『今あるガンが消えていく食事』
進行ガンでも有効率66.3%の奇跡
「20個あった肝臓ガンがすべて消失」「膵臓ガンが1/3に縮小した」
済陽高穂 マキノ出版 2008/10/15
<再発を含む進行ガンでも、きちんと食事療法を行っていけば、6~7割が改善する>
・現在までの約10年間に、食事指導を行った各種ガンの症例について、集計結果が出ました。対象は、胃ガン、大腸ガン、肝臓・膵臓のガン、前立腺ガン、悪性リンパ腫など、計20例です。いずれも晩期ガンを含む進行ガンで、根治手術後の再発例も約半数含みます。
これらの患者さんに食事療法を行ったところ、完全治癒13例、改善58例、不変2例、進行3例、死亡34例で、有効率66.3%という結果を得ました。さらに、乳ガン・前立腺ガン・悪性リンパ腫といった、ガンのなかでも食事療法が効果を示しやすいものについては、70~75%の有効率となっています。
つまり、再発を含む進行ガンでも、きちんと食事療法を行っていけば、6~7割が改善するのです。
<質と量に気をつければ牛乳・乳製品は健康食になる>
・ヨーグルト以前に、その材料となる牛乳について、最近は肯定的な意見と否定的な意見があり、迷う人も多いのではないでしょうか。
私は、この問題の決め手は「量」と「質」だと思っています。
牛乳は、カルシウムをはじめとする栄養素を豊富に含む天然の健康食品ですが、乳脂肪を多く含むので、とりすぎるとかえって肥満や脂質異常症の危険が増すこともあります。
・実は、私自身も昼食には必ずヨーグルトドリンクを500ミリリットルとっているのですが、最初は牛乳を飲んでいました。同じ外科医として尊敬する先生が、50年来、リンゴと牛乳の昼食をとり、90歳を超えてもかくしゃくとしておられるのに感銘を受け、50歳になったときから同じ内容の昼食をとり始めたのです。
しかし、昼食としてリンゴ1個と牛乳1リットルをとっていたところ、牛乳を飲むとどうもおなかがゴロゴロと不安定になるうえに、半年で4キロも太ってしまいました。そこで、リンゴ1個とヨーグルトドリンク500ミリリットルに換えたところ、おなかの調子がよくなり、体重も戻ってすこぶる快調になりました。
牛乳でおなかが不安定になるのは、牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素が不足しているせいです。
・いずれにしても、卵と乳製品(ヨーグルト)については、「オボ・ラクト・ベジタリアン」(卵と乳製品はとる菜食主義者)という言葉もあるほど、ほかの動物性食品とは一線を画す「天然の健康食品」ですので、「高品質のものを適量(300グラム程度。とりすぎないよう注意)」という条件を守ったうえで、ぜひとり入れてください。
<キノコのβ―グルカンと海藻のフコイダンが免疫力を増強>
・さて、ヨーグルトと並んで、すぐれた免疫賦活力を持つとされるのがキノコと海藻です。シイタケをはじめとするキノコ類には、「β―グルカン」と呼ばれる免疫賦活物質が含まれています。
その一部は医薬品にされ、当初は注射薬としてガン治療に用いられていました。私たちも使いましたが、残念ながら、これはあまり効かず、とくに進行ガンには効きませんでした。ところが、最近になって、ナノテクノロジーによってβ―グルカンを微粒子にしたサプリメントが開発され、これをとるとリンパ球がふえ、免疫力が上がることがわかってきました。
・海藻もキノコも、食物繊維を豊富に含むので、前述の「プレバイオティクス」の視点からも、野菜と並んでおすすめしたい食品です。毎日の食事に、ぜひたっぷりとり入れましょう。
<ハチミツ、レモン、ビール酵母も習慣的にとる>
・ハチミツは、古来、滋養に富む食品として知られてきました。幅広いビタミン・ミネラルやオリゴ糖などを含み、花粉も多く入っています。ハチミツに含まれる花粉は免疫を賦活することがわかっています。
そこで、ガンの食事療法では、1日に大さじ2杯程度のハチミツをとることをおすすめしています。
・ハチミツとともに、毎日習慣づけてとってほしいのがレモンです。
レモンには、ビタミンC、クエン酸、ポリフェノール、カリウムなどの有効成分が豊富に含まれています。ここまで述べてきたとおり、いずれもガンの抑制には欠かせない重要な成分です。
目安として、1日2個のレモンをとるようにしましょう。
・以上のほか、ガンの患者さんにすすめているものとして、ビール酵母食品(エビオス錠)があります。ここまで紹介してきたのはみな自然の食品でしたが、ビール酵母食品だけはサプリメントです。
・ビール酵母食品は、こういった植物性たんぱくと動物性たんぱくの、いわば「いいとこどり」の食品なのです。そこで、動物性食品を厳しく制限するガンの患者さんの食事療法に取り入れるには最適というわけです。
そこで、私のガンの食事指導では、ビール酵母食品を朝晩10粒ずつ、1日合計20粒とってもらっています。
・しかし、現代人の食生活では、このうちn・6系の多価不飽和脂肪酸に属するリノール酸の摂取量が非常に多くなっています。これは、油を使った加工品や外食メニュー、スナック菓子などに、リノール酸の多い植物油が多く使われているのが大きな理由です。
リノール酸は、体に適量が必要な「必須脂肪酸」で、欠乏すると皮膚症状などを起こすのですが、あまりにも偏って多くとりすぎると弊害が出てきます。最近では、n・6系の多価不飽和脂肪酸に極端に偏った食生活は、ガンを含む生活習慣病の危険性を増す一因になるといわれます。
・このバランスを是正するには、植物性脂肪酸全体をとりすぎないように気をつけたうえで、n・6系の多価不飽和脂肪酸が多い一般的な植物油を少なくし、できるだけn・3系の多価不飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸の摂取の割合をふやす必要があります。
とくに、ガンの患者さんがとる植物性脂肪としては、シソ油やエゴマ油、亜麻仁油などがすすめられます。ただし、これらは加熱すると酸化しやすいので、原則として生で使うドレッシングなどに限定して使うほうがよいでしょう。
・トランス脂肪酸は、液状の不飽和脂肪酸を固めるために、水素を添加して飽和脂肪酸に変化させる過程でできるもので、マーガリン、ショートニング、スナック菓子、フライドポテト、プロセスチーズなどに多く含まれています。
トランス脂肪酸は、LDLコレステロールをふやして動脈硬化の危険を高めるとともに、前述したメカニズムでマクロファージの活性を弱め、免疫機能を低下させるといわれています。
・欧米では、数年前からトランス脂肪酸に関して規制の動きが出ています。日本でも、最近、自主規制などの動きが見られるようになってきました。とくに、ガンの食事療法では、トランス脂肪酸の多い食品はさけるようにしましょう。
なお、チーズは乳糖のほとんどが分解されている消化のよい乳製品としておすすめできますが、トランス脂肪酸のことを考慮し、食べるならナチュラルチーズを選ぶとよいでしょう。
<自然水を飲む>
・水分は代謝に不可欠で、成人の体内では、1日に2リットル前後の水が使われ、入れ替わっています。その水を、何でとるかは重要な問題です。
・しかし、健康を気遣うなら、とくにガンの食事療法では、水道水を飲むことをおすすめできません。水道水中には、添加された塩素やフッ素が含まれ、それを摂取することで、体内で活性酸素がふえるからです。
ガンの患者さんに限らず、病気の人やお年寄りは、できるだけ水道水は飲まずに、自然水を飲むことをおすすめします。
・ガンの食事療法では、大量の野菜ジュースを飲むので、それほど多くの水は飲まないかもしれませんが、それでもストレートに吸収されるものだけに、飲むときは必ず自然水か浄水器を通した水を飲みましょう。お茶やコーヒーなどを飲むときも同じです。
以上の8項目に加え、断酒と禁煙も大切です。
<ガンを起こす4つの要因がわかってきた>
・さまざまな統計をもとに、ガンの原因の約30%が喫煙、40~50%は食品やそれに準ずるもの(添加物など)だと発表しました。つまり、およそ半数は「口から入るもの」が原因となっているわけですから、そのことだけを考えても、ガンの対策として「食事」はたいへん重要です。
・これまでわかっている食品関連のガンの原因のなかで、とくに私が重要視しているのは、次のようなものです。
❶塩分のとりすぎ(ミネラルのアンバランス)
❷クエン酸回路の障害
❸過剰な活性酸素(ふえすぎると体に害を及ぼす非常に不安定な酵素の一種)の発生
❹動物性のたんぱく質・脂肪のとりすぎ
<塩分のとりすぎ>
<塩分の多い食事は胃ガンの危険性を高める>
・塩分は、とくにとくに胃ガンと深いかかわりがあり、さらにはガン全般ともかかわっています。
・当時、秋田県は、脳卒中が非常に多い県として知られていました。保存の利く漬物や塩蔵品による塩分摂取量が多いことや、塩辛いものをつまみながらお酒を飲む人の多いことが、大きな理由と考えられました。つまり、塩が脳卒中の発症率を高めている”主犯”とされたのです。
・秋田県では、独自に「秋田県立脳血管研究センター」という研究施設をつくり、脳卒中をへらすための研究と減塩を呼びかける運動を始めました。
・すると、それに伴って、脳卒中の発症は、全国平均よりわずかに多いくらいになり、秋田県の数値だけを見ると、およそ半分にまでへらすことができました。
ところが、改善したのは脳卒中だけではありませんでした。脳卒中が半減するとともに、胃ガンの発症が3分の1になったのです。減塩の意外な副産物でした。このことが話題となり、研究者が胃ガンと塩分の関係に注目する大きなきっかけとなったのでした。
<塩分とピロリ菌がタッグを組んで胃ガンをふやす>
<ガンを改善するには「限りなく無塩に近い食生活」が必要>
<クエン酸回路の障害>
<発ガンのリスクを高めるATPの不足>
・クエン酸回路がうまく回らなくなってATPが不足すると、細胞内外のミネラルバランスがくずれて発ガンにつながることが、最近になってわかってきました。
<過剰の活性酸素の発生>
・ここで威力を発揮するのが、活性酸素を除去する働きを持つ「抗酸化物質」です。ビタミンA(カロテン)・C・Eや、数百種類以上あるといわれるポリフェノールなどは、その代表格で、新鮮な野菜・果物に多く含まれています。
多くのガンの食事療法で、新鮮な野菜・果物の大量摂取をすすめるのは、ここに大きな理由があります。生ジュースや青汁、そのほかの形でとる大量の野菜や果物は、活性酸素の除去を通じて、ガンのリスクを下げ、進行を阻止する大きな力になってくれるのです。
<動物性のたんぱく質・脂肪のとりすぎ>
<動物性脂肪をとりすぎるとマクロファージがムダに使われる>
・多くのガンの食事療法では、動物性食品を制限しています。動物性食品とは、広い意味でいえば魚や鶏肉も含めた魚介・肉類ですが、狭い意味では四足歩行動物、つまり、牛・豚肉を指します。
「済陽式ガンの食事療法」では、魚介類と鶏肉は、種類や部位を選べば「少量ならよい」としていますが、牛・豚肉はかなり厳しく制限します。とくに、ガンの手術から、少なくとも半年くらいの間、あるいは、手術が不能な進行ガンで、食事療法を徹底して行うような場合は、完全に禁止です。
なぜなら、失・豚肉は、その脂肪もたんぱく質も、それぞれにガンの発生・悪化を促す要因となるからです。
<アニマルプロテインは発ガンを促す>
・最近では、脂肪だけでなく、動物性たんぱく質(アニマルプロテイン)も、ガンのリスクを高めることがわかってきました。
<動物性食品は悪玉菌をふやして大腸ガンのリスクも高める>
・動物性食品については、もう一つ別の面でも、ガンとの関連が注目されています。それは、腸内細菌を介して起こる大腸ガンへの影響です。
私たちの腸には、300種類・100兆個といわれる腸内細菌が棲んでいます。この腸内細菌には、健康づくりに役立つ「善玉菌」と、逆に毒性を持っていて病気のもとになる「悪玉菌」があり、両者は絶えず、”勢力争い”をしています。
<自ら試して考案した合理的な「星野式ゲルソン療法」>
・主な禁止事項と野菜・果物の大量摂取など、大きな指針は原法どおりですが、野菜ジュースは「1回400ミリリットルを1日3回以上飲む」としています。原法より野菜ジュースが少なくなる分、ビタミンC剤などを補給します。
また、ニンジンジュースにリンゴを加えて飲みやすくする、植物性でありながら動物性たんぱくに似た味わいを持つ代用たんぱくを活用するなど、実践者ならではのきめ細かい提案もされています。
<50年の歴史を有しガンや難病に実績のある「甲田療法」>
・甲田療法では、患者さんの状態に応じて、断食や少食療法、玄米生採食を適宜行います。玄米生採食とは、文字どおり、玄米採食のすべてを加熱しないで生でとる方法で、主食は生の玄米粉とし、大量の青泥(葉菜をすり鉢ですったりミキサーにかけたりしてドロドロの状態にしたもの)や青汁、根菜のすりおろしをとるのがポイントです。朝食は抜き、昼と夜は玄米生採食にします。
甲田先生は、薬をいっさい使わず、これらの療法で多くのガンや数々の難病を治療しておられます。
・ゲルソン療法と甲田療法は、違いもありますが、次のような主要な部分では共通しています。
・動物性の脂肪とたんぱく質の禁止
・塩分制限(甲田療法では自然塩を適量なら可)
・大量の生野菜の摂取(ゲルソン療法では野菜ジュース、甲田療法では青汁やすりおろし)
・胚芽(未精白穀物)の摂取(ゲルソン療法ではオートミールや全粒粉の小麦粉、ライ麦パン、甲田療法では玄米)
こうした共通点に、ガンの食事療法の重要な要素があるのではないかと考えたことも、私にとっては大きな参考になりました。
<米国では食事とガンの関係がくわしく研究されている>
・5000ページに及ぶこのレポートでは、「ガンや心臓病など種々の慢性病は、肉食中心の誤った食生活が生み出した『食原病』であり、薬では治らない」と断じ、「私たちはこの事実を率直に認め、ただちに食生活を改善する必要がある」と述べています。
さらに、その具体策として、「肉を中心とした高エネルギー・高脂質の動物性食品をへらし、できるだけ未精製の穀物、野菜、果物を多くとる」ことを提言しています。
・そのなかでは、ガン抑制効果の最も高い食品として、ニンニク、キャベツ、大豆、ショウガ、ニンジンなどが、それに次ぐ食品群としてタマネギ、お茶、柑橘類などがあげられています。
<ガン対策にも有効な健康食として米国で大人気の日本食>
・「ガンの原因の30%は喫煙、35%は食事であり、アルコールや薬剤、添加物などを含めると、ガンの原因の40~50%は食品(口から入るもの)である」と発表しました。
・全米にある128の大学のうち、現在では半数以上が「医科栄養学」、つまり、医学部における栄養教育を重視しているそうです。
以上のような研究と、それを受けた具体的政策、食事指導の成果で、ここ十数年、米国ではガンがへり続けているのです。米国に限らず、多くの先進国では十数年前から、ガンの栄養指導を行なっています。
この分野では、残念ながら、日本はかなり立ち後れています。現代の日本のガン医療は、そろそろ真剣に食事との関連を考えていかなければならない分水嶺にきていると思われます。
『100歳まで元気でぽっくり逝ける眠り方』
大谷憲 片平健一郎 あさ出版 2013/11/11
<いい生き方・いい死に方を決める鍵は「眠り方」にある」
・あなたが、いかに健康で楽しい人生を送り、苦しまない最期を迎えられるかは、「眠り方」にかかっています。
・ご長寿国家日本では、「平均8年間寝たきり」の現実が
・100歳まで健康か病気がちかを分けるのは、「眠り方」だけ
・人生の3分の1を費やす睡眠が「一生の質」を決定づける
・なぜ、私は、数ある健康法のなかでも「眠り方」にたどり着いたのか。これにはいくつか理由がありますが、いちばん大きな理由として挙げたいのが、「どんな人でも寝ることはできる」ということ。
人間は生きていれば必ず睡眠をとります。たとえ病人であっても、寝たきりになったとしても、「寝ること」だけはできるはずです。
<ぽっくり死ぬためのキーワードは「血流」と「睡眠」>
<郷ひろみさんの血管年齢は20代>
・たしかに、郷さんは日々ジムなどに通って、肉体のトレーニングを欠かさないからこそ、激しいダンスやパフォーマンスでファンを魅了できるのでしょう。
・なんと、「血管年齢が20代よりも良好」と判定されていたのです。番組によると、中性脂肪、血糖値、コレステロールなどが、すべて20代平均よりもよい数値でした。
私たちは、仕事柄たくさんの人の血管を見てきていますが、郷さんの結果は奇跡的といっても過言ではありません。過度のストレスや不規則な生活をしている現代人の多くは、実年齢よりも血管年齢のほうが上であることが多いからです。
・その番組の中では、郷さんの1日の生活習慣を紹介したうえで、若さの秘訣は、「自律神経のバランスをうまくとっていることにある」と結論づけていました。
<交感神経と副交感神経のバランスが健康の秘訣>
・自律神経とは、簡単に言えば、呼吸や血液の循環、消化、代謝など生きるために大切な機能をつかさどる神経のこと。
その名の通り、人の意思とは関係なく自律的に働いている神経で、たとえば、人が眠っているときでも呼吸を続けられるのは、自律神経のおかげです。
自律神経はさらに「交感神経」と「副交感神経」の2つに大きく分けられます。
交感神経はストレスがかかっているときに優位に立つ神経で、たとえば、スポーツなど活動しているときや興奮時に優位になります。副交感神経はリラックスしているときに働く神経で、夕食後など休憩時やリラックスしているときに優位になります。この2つがうまくバランスをとることで、体が正常に機能しています。
<あなたの快眠度セルフチェック>
Q・あてはまるものをチェックしてください。
1、 寝つくまで1時間以上かかる。
2、 ひと晩に2回以上目が覚めて、その後なかなか寝つけない。
3、 朝の目覚めが普段より2時間以上早く、目覚めたあと眠れない。
4、 日中に過度な眠気があったり、居眠りしてしまったりする。
5、 寝言、いびきが多い。
6、 ぐっすり眠ったという実感がなく、寝足りなさが常に残る。
7、 トイレに二度以上起きる。
8、 夢ばかり見る。
9、 朝目覚めが悪く、気だるい。
10、 「睡眠中に無呼吸になることがある」と言われたことがある。
11、 朝、顔がむくんでいる。
12、 物忘れがひどい。
13、 吹き出物ができやすい。
14、 寒がり、冷え性だ。
15、 風邪をひきやすく、治りにくい。
16、 首、肩が凝る。
・チェックが5個以上 慢性不眠、あなたの睡眠は危険水域!すぐに改善を!!
3~4個 不眠気味かも!?気をつけましょう。
2個以下 比較的よい睡眠がとれています。できるだけ維持を。
<ポイントは「毛細血管」の血流>
・血流とひと口で言っても、特に大事なのは「毛細血管の血流循環」ということ。毛細血管は、動脈と静脈をつなぐ細い血管のこと、血管はなんと、髪の毛の直径の10分の1ほどの細さです。
心臓から送り出された血液は、動脈から毛細血管に流れ、静脈を通って心臓に戻ります。
人間1人の血管をすべてつなぎ合わせると、約10万キロに達すると言われていますが、これは地球を2周半するほどの距離です。
そしてその血管のうちの実に95%以上は、毛細血管と言われています。こうした毛細血管が、体中に張りめぐらされています。
人間の体は、60兆個の細胞で構成されていますが、毛細血管はこれらの細胞に栄養や酸素を運搬するという大切な役割を担っています。
・末梢の毛細血管まで血液が十分にまわらないと、細胞はその役割を果たすことができませんが、十分な血液によって活性化した細胞は再生能力が高まり、免疫機能も上がります。
・郷ひろみさんが若々しく健康的なのは、血管年齢が若く、血流がよいことが大きく影響していることが想像できますよね。
ぽっくり逝きたければ、昼は活発に活動し、その中でストレスを感じたら、副交感神経を優位にできる時間を確保する。そして夜は副交感神経を優位にすることです。それが毛細血管の血流循環をよくする秘訣です。
・しかし、忙しい現代人は夜になっても緊張から解放されず、交感神経が高ぶったままなかなか寝つけない人が増えています。夜に副交感神経を優位なコンディションにすることができる生活スタイル、テクニックが求められます。
睡眠前に、毛細血管まで血液がスムーズに流れていると、体温が高くなり、リラックスした心地よい睡眠をとれるようになります。
血液と睡眠は、実は、健康を保つうえで密接に関係しているのです。
<ぽっくり逝きたいならいい睡眠をとりなさい>
<睡眠中は体の温度は低くなる>
・子どもを育てたことがある方ならご存じでしょうが、子どもは眠くなると、手のひらから足先まで熱くなってきます。人間は眠りに入り始めると、毛細血管がゆるんで、心臓から遠い手足の毛細血管まで血液が流れ込むからです。
しかし、眠っているとき、人の体温は下がっています。
矛盾したことを言うようですが、皮膚の表面温度が上昇する代わりに、深部体温(脳や内臓などの温度)は、放熱して1~1.5℃下がっていきます。
睡眠中は血液を手足の毛細血管に移動させることにより、体温を下げ、基礎代謝能力を下げて、脳と体を休ませようとしているわけです。
反対に、頭や心臓が活発に働く日中は体の中心温度が高く、手足の体温が低くなります。
ここ最近、「手足が冷えて眠れない」と悩んでいる人が増えています。こういった悩みのほとんどは、低体温で血流が悪いことが原因です。
・もともと体温の低い人は、体の中心部の温度を冷やさないように血液が極力皮膚を通らないようにするため、毛細血管の血流が悪くなり、手足が冷えてしまいます。いざ眠ろうとしても、手足に血液が流れないので、深部体温が下がらず、体がなかなか眠る状態にならないのです。
問題は寝つけない事だけではありません。毛細血管まで十分な血が回らず、皮膚の表面温度が下がったままだと、「体が覚醒している」と勘違いしてしまいます。そのため、脳と体を十分に休ませることができないのです。
<質の悪い睡眠は万病のもと>
・質の高い睡眠がとれないと、心身ともに悪影響が出てきます。
・十分な睡眠をとらないと、脳細胞が死んでしまい、学校の成績や作業効率に影響します。
また、風邪などの病気にかかりやすくなるだけでなく、がんなどの病気も誘発します。肥満の原因にもなったり、自律神経のバランスが崩れてうつ病になる人もいます。認知症の原因になるとも言われています。
さらに、最近の研究では「6時間以下の睡眠で1週間を過ごした人は、炎症や免疫系、ストレス反応に関連する711の遺伝子の発現に影響が出た」という結果が出ました。また、睡眠不足の人たちの遺伝子は、概日リズム(睡眠・覚醒などの1日周期のリズム)が不規則になることも報告されています。つまり、質の悪い睡眠は、遺伝子レベルでも人間の健康を阻害することになるのです。
・一方で、質の高い睡眠をとれば、自律神経のバランスを保つことができます。それは、毛細血管への血流循環に好影響をもたらし、ますます健康になっていきます。
つまり、「血流をよくすること」と「いい睡眠をとること」は、互いに相乗効果をもたらし、ぽっくり死の実現に大きく貢献してくれるのです。
<「あたため睡眠」が日本を救う>
・「長生きの秘訣」の1つ目は 「いつまでも夢を持つこと」。
・2つ目は「自分でできることは自分ですること」。
・日本人1人ひとりがこの2つを実践できれば、100歳まで元気でぽっくりと逝くことができ、よりよい社会を構築できる。
・私の祖父は83歳のときに脳梗塞で倒れたあと、肺炎、心不全、白内障、糖尿病で足先の切断、閉塞性動脈硬化症、腎不全、胸水を経て10年後にうっ血性心不全で永眠しました。
その後、祖母が脳梗塞となり、介護生活6年目を送っているところです。祖母と同居している私の両親の介護生活は壮絶なものです。病気になるとか誰かのお世話にならなくてはなりません。自分自身だけの問題ではないのです。
国や市町村の財政が、医療費や介護費に圧迫され財政難に陥っています。だからといって、どの行政も削減するわけにはいきません。
一人ひとりが健康になり、生産人口を増やすことです。それが誰とも対立しない建設的な提案です。日本の最重要課題はここにあります。
・本書で提案した「あたため睡眠」を実践していただくことで健康問題以外への波及効果も生まれます。睡眠障害による交通事故や消失の件数を減らすことができるのでしょう。子宝にも貢献し、子どもは学力が向上します。脳が明晰になり、能力も向上します。「睡眠の質を高める」「自律神経が整う」ということはそういうことです。
・人によって寿命が違う理由は、「寿命=実年齢」ではないのです。日本人の死亡原因を分析した結果、血管年齢の老い具合によって寿命が決まるのがわかっています。寿命は血管年齢と関係しています。私たちの健康法を実践している人は、みなさん血管から若返ります。
本書に書かれている内容は、今日からすぐに実践できます。本書を読まれた皆さまは、ぜひ死亡原因4.2%の中に入ってください。そして、4.2%の割合を増やすことができれば、日本には明るい未来が待っています。
『歩く人。』 長生きするには理由がある
土井龍雄、佐藤真治、大西一平 創英社/三省堂書店 2013/6/20
<健康に長生きする人>
・正しく歩きつづけることで、いつまでも健やかに暮らせます。歩くことは、健康増進や生活習慣病予防に役だちます。
<歩くことの大切さを科学的に検証する>
<データが示した「よく歩く人は長生きする」>
・私が積極的にみなさんに、歩くことをすすめるようになったのは、ある論文との出会いがきっかけでした。
それは、私の恩師(矢野勝彦先生)が関わった論文で、ハワイに移住した日系人707人を対象に12年間、彼らの健康状態を調査したものでした。驚くことに、日ごろからよく歩いている人と、あまり歩いていない人の死亡率に、なんと倍以上の差が出ていたのがわかったのです。
1日に歩く距離が、1マイル(約1.6キロ)未満とほとんど歩かない人と、1~2マイル歩く人、2~8マイルと比較的よく歩く人の3タイプに分けて、12年間追い続けて調査した結果が表1です。
2年目を過ぎるあたりから、ほとんど歩かない人の死亡率は高くなり、4年目を過ぎると、よく歩いている人の死亡率が明らかに低くなっていることがわかります。
・1マイルを歩くのに20分かかると考えると、1日に20分以下しか歩いていない人の死亡率は、6年目で約18%、12年目で約43%でした。一方、1日に40分以上歩いている人は、6年目で約9%、12年目で約21%と、あまり歩いていない人とは2倍以上の差があることがわかったのです。この結果は、歩くこと以外の因子を加味しても同じだったと述べられています。
・論文では、死亡率に大きな差が出た要因として、よく歩いている人は動脈硬化の進行が抑制されていたことを指摘しています。動脈硬化の進行が抑えられると、心筋梗塞や脳卒中などの慢性疾患である生活習慣病が予防できます。その結果、死亡率が低く抑えられたのです。
<動脈を鍛えて動脈硬化の進行を抑制する>
・私は、心臓病や糖尿病の運動療法に長くたずさわっています。この経験から確証を得たことは、“運動は動脈硬化の進行を抑制し、生活習慣病を予防できる”ということです。
そしてそこには、3つのメカニズムが働いています。
ひとつは、「動脈そのものに対する効果」、それから「筋肉に対する効果」、そして「自律神経に対する効果」です。
ひとつずつ説明しましょう。まず、「動脈そのものに対する効果」です。
もともと運動が動脈硬化の危険因子(糖尿病、高血圧、肥満等)を改善することは知られていました。最近になって、これらに加え、血管内皮細胞に対する効果が注目されています。
・動脈硬化の進み方にはいくつかのパターンがありますが、いずれの場合もファーストステップは血管内皮細胞の機能の障害です。すなわち、血管内皮細胞の障害を抑え、その機能を保持することができれば、動脈を動脈硬化から守ることができるのです。
血管内皮細胞の機能を鍛え、保持するのに効果的だといわれているのが、歩くこと、運動することです。
その理由を、具体的に説明しましょう。
運動をすると血流が盛んになります。この血流の変化により、血液が血管をこする物理的な力が働きます。この力を「ズリ応力」というのですが、この「ズリ応力」が血管内皮細胞を刺激し、その機能を鍛えるのです。
・若いうちは、血管内皮細胞の機能は運動をしなくても保たれています。歳をとるごとにどんどん機能は低下していきますが、定期的に運動をすることにより、血管内皮細胞の機能は若者と同等に保たれます。歩くことで、血管内皮機能が若者並みに保たれるというのは、とても魅力的ですよね。
・この「ズリ応力」、血管内皮細胞を鍛える以外にも、別のメカニズムを介して動脈硬化を改善します。
血管内皮細胞の機能が弱まると、血管内に脂の侵出を許してしまいます。血管内に入った脂はプラークという炎症を伴う固まりになり、これが破たんすると血栓が生じます。心筋梗塞や脳梗塞は、この血栓によって動脈が詰まることが原因です。
・実は、運動によって生じる「ズリ応力」は、この血管内のプラークを小さくすることも期待されています。ある糖尿病患者さんは、ほぼ毎日4キロメートル歩くことで、プラークを小さくすることができました。同様の効果は、心筋梗塞後の患者さんでも観察されています。
「ズリ応力」は、血管内皮細胞を鍛えるだけでなく、血管内の脂の掃除もしてくれる頼もしい味方です。
<ミトコンドリアを活性化させ糖尿病を予防する>
・次は「筋肉に対する効果」です。
ご存知のように、運動は筋肉の形態や機能にさまざまな作用を及ぼしますが、ここでは筋肉細胞内に存在するミトコンドリアに対する効果について解説します。
ミトコンドリアというのは、われわれの身体の60兆の細胞一つひとつすべてに存在している小器官で、発電工場のような働きをしています。そして特に、筋肉細胞内には多く存在します。
われわれは酸素を取り入れて、脂肪や糖質からエネルギーを得るのですが、そのエネルギーを生みだす役割を果たしているのがミトコンドリアです。生命活動を維持するのに、なくてはならない存在です。
このエネルギーを生みだす発電機能がしっかり働けば、充分な活力が生み出されますが、機能の働きが悪くなると、さまざまな弊害が生じます。
・例えば、ミトコンドリアの機能が低下すると、エネルギーの素となる脂肪が消費されにくくなります。
消費されない脂肪は行き場を失い、筋肉の中に留まりはじめます。脂肪が蓄積されてくると、筋肉は本来の機能である、糖質を蓄えるという機能が鈍くなってきます。
すると、筋肉に取り込まれなかった糖質が血液中に長くとどまることになり、それが高血糖、ひいては糖尿病の原因となります。
・このようなエネルギーの流れの停滞が起こらないように、ミトコンドリアの機能を高めるにはどうしたらいいのでしょう。実はこれも、歩くことや運動することが有効なのです。
より効果的にミトコンドリア機能を高める運動の方法(歩き方)についても研究が進んでいます。
なかでも、強い運動と弱い運動を交互に繰り返す、インターバルトレーニングは、有力な候補です。研究成果がまとまるのは、しばらく先ですが、ブラブラ歩くのではなく、ゆっくり歩いたり早足で歩いたり、高低差のあるところを歩いたりすることは、試してみる価値があると思います。
<歩くことで自律神経のバランスも整う>
・そして3つ目は「自律神経に対する効果」です。
自律神経は、交感神経と副交感神経から成り立っています。自律神経はこのバランスをとることが大切だといわれていますが、歩くこと、運動することによってバランスが整えられます。
・イライラが続いたり、ストレスを強く感じたりすると、交感神経が優位な状態になります。適度に運動をしてリラックスした状態になると、副交感神経が優位にシフトします。副交感神経が優位になると、心拍はゆっくりとなり、心拍数が減ると、心臓にかかる負担も減ります。
哺乳類は、どの動物も一生涯に打てる心拍数は20億回という説があります。副交感神経が高くなり、心拍数が下がると、長寿に繋がるかもしれませんね。
・また、われわれの心拍というのは一定の秩序をもってゆらいでいます。心臓は、安静時「ドキン・ドキン・ドキン」と一定に打っているようですが、厳密には早くなったり遅くなったり、規則性をもってゆらいでいるのです。
この心拍のゆらぎは、副交感神経が優位な人ほど大きくなっており、交感神経が優位な人では小さくなっています。
・心拍のゆらぎは、よく運動している人は大きく、あまり運動していない人は小さいのですが、ゆらぎが大きいほうが長生きできることもわかっています。
自律神経は免疫にも関わっています。副交感神経が高ければ、免疫力が増すことはよく知られていることです。
太っている人は、自律神経のバランスが悪いことが指摘されています。メタボ傾向にある人は、エネルギー消費のためだけでなく、自律神経のバランスを整えるために歩くこと、運動することも意識してほしいですね。
<認知症の予防にも期待>
・冒頭で紹介した、ハワイに移住した日系人を調査し続けた同じグループが、同じ対象で認知症を追跡したデータが、近年報告されました。これをみると、よく歩くことが、認知症の予防にもなることがわかります。
脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症をあわせた認知症全体では、0.25マイルとあまり歩いていないお年寄りよりも、2マイル歩いている人のほうが、約2倍リスクが低いことが示されています。興味深いことに、その傾向はアルツハイマー型認知症において顕著でした。データからわかるのは、よく歩いている人は、歩いていない人よりも、2.24倍アルツハイマー型認知症のリスクが少ないということです。
・日本人にはこれまで、脳血管性認知症が多かったのですが、今後、アルツハイマー型認知症が増えるとの予想もあります。
アルツハイマー型認知症になってしまうメカニズムも、最近やっと輪郭がつかめはじめていますが、予防することを考えると、歩くことの大切さが注目されることは間違いありません。
<身体に負担のかからない歩き方を身につけよう>
・歩くことの効能がいかに多くあるかを、運動療法の専門の立場から述べてきました。ただ最後にお伝えしたように、人それぞれ体力や状況が異なりますので、くれぐれも無理をしないで、歩いてほしいと思います。ずっと歩き続けることで、みなさんが健康になり、長生きをしてほしいと心から願っています。