日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

コンタクティやチャネラーの情報を集めています。森羅万象も!UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象といわれます。

中国の経済縮小、何よりもその不確かな「偽造統計」が、中国バブル崩壊後、世界にどれだけの影響を及ぼすのか――未曽有の大混乱がほぼ確実に起こることを前提に、私たち日本人は備えていかなければならない。(1)

 

『中国GDPの大嘘』

高橋洋一    講談社   2016/4/21

 

 

 

<中国の偽造経済がクラッシュする日はいつか>

・さらにいえば中国経済の崩壊は、まだ序章に過ぎず、これから本格化すると私は見ている。それはあたかも、ソビエト社会主義共和国連邦ソ連)崩壊を想起させる状況であり、これは偶然の一致ではない。

 

ソ連が崩壊したのは、その経済停滞が大きな要因だが、ソ連を間違った方向に導いたのが偽造統計である。偽造統計はソ連崩壊まで続けられ、その日まで公にならなかった。白日のもとにさらされるようになったのは、ソ連が崩壊し、関係者がようやく自由に発言できるようになってからである。

 

・その間、ソ連の指導者や官僚たちが一党独裁と自らの保身を図るため、さまざまに統計が捏造されてきた。それが積もり積もってソ連の国家としての方向を誤らせたのだ。

 ソ連崩壊まで世界は騙され続け、国民所得の伸びに至っては10倍以上にも膨らませていた。公表していたGDPも、実際はその半分程度だった。

 

ソ連も結局、市場経済への移行とともに、1990年に国際通貨基金IMF)や世界銀行などの国際機関による調査団を受け入れ、これをきっかけとして、統計を正常化させていった歴史がある。

 しかし現在の中国は、情報公開の面で国際機関による調査団を受け入れないだろう。ということは、しばらくの間、中国の統計は信用できない。

 

・では巷に溢れる「中国崩壊論」のように中国経済がクラッシュするかというと、そう単純にコトは運ばない。中国経済が抱える問題は、マグマのように溜まり溜まり、これからも溜まっていくが、一気に爆発するということは当面ない。

 なぜなら共産党一党独裁体制下では、本書で述べる偽造統計などを駆使して、いかようにも問題を糊塗できるからだ――。

 しかし、さまざまな局面で、少しずつ小噴火を起こしていく。いつ大爆発を起こすか――2年や3年の間は起こらないが、その先は不透明である。そしてそのとき、リーマンショック、あるいはそれ以上の衝撃を世界に撒き散らすことは容易に想像がつく。しばらくは中国の動向からは目が離せないという理由もそこにある。

 

<中国の自動車工場の稼働率は半分に>

・日本のメーカー各社も、今後の業績見通しに関し慎重なスタンスを取っている。それも、この中国市場での不振が足を引っ張っているからだ。上場企業についてシンクタンク等が発表するレポートでも、自動車メーカーに関しては、「中国市場で業績が退潮」などといった文言が躍る。

 これは何も自動車メーカーや建設機械メーカーに限ったことではない。ビジネスで中国と関わっている企業に共通することなのだ。そこまで中国経済の減退は進行しており、この先どこまで落ち込むか、まったく底が見えない。

 

<「バラマキ政策」も続行不能>

・あらゆる面で手詰まり感がある中国経済には、明るい未来はまったく見えない。将来に希望を失った庶民が、どこまで共産党一党独裁を許すのか、今後はそこに焦点が当たるようになるだろう。

 中国の経済縮小、何よりもその不確かな「偽造統計」が、中国バブル崩壊後、世界にどれだけの影響を及ぼすのか――未曽有の大混乱がほぼ確実に起こることを前提に、私たち日本人は備えていかなければならない。

 

<中国の実際のGDPは3分の1か>

・しかし私は、中国の実際のGDPは、公式発表されている数値の3分の1程度ではないかとさえ思っている。

 こんな計算の仕方もある。ソ連の公式統計では1928~85年の国民所得の平均成長率は年率8.2%とされていた。しかし実は3.3%でしかなかったという事実を、1987年、ジャーナリストのセリューニンと経済学者のハーニンが、その論文「狡猾な数字」で指摘している。この手法を中国国家統計局が踏襲し、仮に15年間続けていたとしたら……その実際のGDPは半分ということになる。

 

<地方GDPの合計額の不思議>

 ・一つには、複数の地方にまたがる経済活動が増えているという実態があり、それが関連する地方政府で重複して計算されているという可能性がある。そうした事情も多少はあるかもしれない。だが、数値の乖離は「注水」と呼ばれる偽造統計、すなわち「水増し」のせいであると、国家統計局自身が認めているのだ。

中国のメディアが伝えている。地方政府が統計の水増しを行うには企業と結託しなければならないが、ときには企業が出した数値を改竄するケースもあったというのだ。

 

<電力消費10%減で8%成長?>

・このように数字を突き詰めていくと、矛盾だらけで偽造統計が見え見えというケースは枚挙に暇がない。

 たとえば2001年の段階で「中国崩壊論」を唱えたピッツバーグ大学のトーマス・ロースキ教授は、そのさらに数年前から中国の統計に不審な点があることを指摘していた。「中国のGDP統計にどんな問題が発生しているか」という論文で、中国国家統計局と中国の各省や各市の経済統計データが一致していないことを明らかにしている。

 各省の統計数値をすべて積算すると、中国全体の数値を上回ってしまうなどということは珍しくもない。

 また、次のような矛盾したデータも指摘している。「経済成長が8%成長と発表された同じ年の電力消費が10%も落ち込んでいる」——このように、起こりえないことが堂々と、『中国統計年鑑』に掲載さえているのだ。

 

<首相自ら認めた「統計のデタラメ」>

・「中国の経済統計、指標などまったく信用できない」こう公言したのは、のちに首相の座に就く李国強である。

 

<中国の統計データの矛盾点>

・経済統計の数値の真贋を見抜くには、複数の統計を合わせてみるとわかる。そうして矛盾点があるか整合性があるかを見極め、統計数値の信頼性を測るのだ。

 たとえば前述したGDPと失業率の関係。ところが中国当局が発表する公式の失業率がまったく当てにならないのだ。

 

・図表3に示す国家統計局と人力資源社会保障部が発表する登記失業率は過去10年間、4.0%から4.3%の間でしか動いていない。その数値は、中国政府が「完全失業率は4.5~4.7%以内」と掲げる国家目標の範囲内だ。リーマンショックによる景気後退、あるいは2014年の景気後退の際も、ほぼ4%と安定した数値を叩き出し、とても実態を表しているとは思えない数値だ。

 そもそも中国の公式失業率は、調査の対象を、失業率が低い都市部の戸籍を持ち、なおかつ職業安定所に登録した労働者だけにしている。もともと無意味な失業率調査であり統計数値なのだ。

実情としては、中国の失業率は10%以上、15%から、悪いときは20%にも上るとみられている。だから正確な失業率統計などないに等しいのだ。

 

<輸入が前年比10%以上も減っているのに、GDPがプラス成長ということはまず、ありえない。>

・そこで私が注目したのが貿易統計だ。中国が発表する統計のうち、数少ない、というか、唯一信用できるのが、この貿易統計。

 

・後述するが、中国の労働賃金は上昇している。工場閉鎖が相次ぎ、レイオフも高水準となっているなか、賃金上昇という相矛盾する現象が起きているが、これは中央政府の強い意志が働いているからだ。

 しかし中小企業では賃金未払いや遅延が生じ、お寒い福利厚生などが実情である。賃金が上がっているというのは、一部、それも中国に進出している外資系企業なのかもしれない。

 いずれにしろ、格差が広がっているというのは間違いないようだ。

 

<世界中でトラブルを起こす中国企業

・フィリピンでは2004年、マニラとおよそ100キロ離れたクラークを結ぶ鉄道事業を中国が担った。ところが工事は遅れに遅れ、2007年には、完工予定が2012年に延期。しかも、その後ほとんど進展せず、結局、事業は全面凍結の憂き目に遭った。

 

・つまり日本の提案が、事前に中国サイドに漏れていたということだ。証拠もないのにあれこれ邪推するのはよくないが、関係者によほどの「親中派」がいるか、「袖の下」を渡されたか、そのどちらかだろう。

 

・中国では手抜き工事は日常茶飯事で、「おから工事」という言葉まである。スカスカに手抜きをした工事、ということだ。「おから新幹線」が大きな事故を起こすという心配が付きまとうのも無理はない。

 

・トラブルで工事が中断する、工事を途中で投げ出すといった事例は、すでに紹介したフィリピンの鉄道工事のほかにも、いろいろと「前科」がある。

 

<アフリカで高まる反中感情

・では、アフリカの人々が諸手を挙げて中国の進出を歓迎しているかというと、必ずしもそうとは限らない。その例がザンビアである。

 中国企業ザンビアに20億ドルを投資し、2万人もの雇用を創出した。その一方で、中国企業と現地労働者の間で労使紛争が絶えなかった。2006年には銅山を買いとった中国企業に対し、現地労働者の抗議デモが発生。中国人作業員が発砲し、46人が殺害される事件が起こるなど、トラブルが多発した。結果、ザンビアでは、一気に反中感情が高まった。

 

<囚人まで海外に押し付けて>

・また、中国が海外でのプロジェクトで安値受注できるのは、犯罪者を労働者として送り込んでいるという側面もある。監獄生活か海外労働のどちらかを選ぶか囚人に選択させ、ほぼタダ働きさせているのだ。

 そのなかには死刑囚まで含まれている。中国の刑務所で死刑囚を収容できる上限の人数は400万人で、刑務所は「満員御礼」の状況が続いているという事情も背景にはあるのだが……。

 

<アフリカでも違法操業する中国漁船>

・中国の漁船がアフリカ沿岸で違法操業を繰り返していると報じられた。フランスの『ル・モンド』紙が伝えたが、同紙によると、アフリカ沿岸で中国漁船が獲っている魚は年間、何と300万トンを超えているという。

 そこでは中国の三大水産企業の漁船、74隻が違法操業を行い、中国が海外で得る漁業収入の3分の2を占めるまでになっている。アフリカの被害は大きく、特に西アフリカではハタ類の魚が8割以上も減少……そのほかにも乱獲で生態系も大きく破壊された。

 そのうえ、中国漁船の出荷先はアフリカ、欧州、中国に3分され、地元漁業や零細漁業にも打撃を与えている。

 このためアフリカの24ヵ国は、中国政府に対策を取るように求めた。

 

・人口が13億人を超え、その胃袋を満たさなければならない中国の苦しい側面が、そこからもうかがえる。国民の不満が高まれば、その矛先は一党独裁共産党指導部に向かう。せめて国家の運営がうまくいっているように見せかけなければならない。ここにも中国が偽造統計を駆使する理由が隠されている。

 

<戸籍のない子が1300万人>

・中国の社会主義体制が生んだ「歪んだ政策」に、一人っ子政策がある。この人権侵害、非人道的政策ともいえる政策が大きく方向転換した。2015年10月、実に1979年以来、30年以上も続けられた政策が大きく方向転換した。2015年10月、実に1979年以来、30年以上も続けられた政策が廃止されたのは、何も人権保護や人道性に目覚めたからではない。

 

・多額な罰金を支払うことができず、出生届を出さないまま子どもを育てる夫婦が増加……この戸籍がない子どもは「黒孩子(ヘイハイズ)」と呼ばれ、当然、学校にも通えない。また身分証も持てないから、鉄道も利用できず、ホテルにも泊まれない。

 結果、高額な戸籍を買うために、別の子どもを売り飛ばす人身売買まで横行する始末。男児のために女児を売り飛ばすのだ。というのも、中国では家を継ぐ男子が望まれる傾向が強いため、女児の場合、出生届が出されないどころか、間引きされることもあった。また、人身売買されたり、捨てられたりする女児も多い。

 黒孩子(ヘイハイズ)は、2010年の政府の統計で、全人口の1%に相当する1300万人にも上るとされている。が、実際はもっと多いのではないかと想像がつく。

 

労働人口が年に371万人も減少>

一人っ子政策のような不自然な政策は、さらなる歪みを生む。一つには、前述したように女児の堕胎や間引きが横行したため、男女の人口比率がアンバランスになった。そのため、結婚できない独身男子が巷にあふれかえった。

 それ以上に深刻なのが、少子高齢化問題である。2000年代の早い段階で専門家はこの問題を指摘し、一人っ子政策の方針転換を訴え始めた。2003年には、かつて2億人もいた農村の余剰人口はゼロに……各地で人手不足が目立つようになった。

 

・2012年、「生産年齢人口」(15~59歳)が、建国後初めて減少に転じたことで、危機感を抱いた中国政府もようやく重い腰を上げた。2014年だけで371万人の人口減少である。

 そのため2014年からは、夫婦のどちらかが一人っ子なら第2子を認めるという緩和策を打ち出す。このときは毎年200万人の新生児が誕生するという予測があったものの、その期待は見事にはずれ、新生児は50万人にも満たないという結果に終わる……。

 理由は、教育費の高騰により、すでに第2子を生む余裕が家庭になくなってきていたことだ。

 

・もう一つ付け加えておくと、1年間で労働人口が371万人も減少したと記したが、これに関係する現象がある。それは、がん患者の激増。これによって、労働人口の喪失が発生しているのだ。

 加えて、環境汚染の結果、1年で220万人(2012年)もの死亡者も………中国経済はまさに満身創痍の感がある。こういった問題は、もはや統計を偽造するような小手先の策ではとうてい解決など不可能だ。

 

<軒並み沈没した日本の中国関連企業>

・中国の統計はアテにならないが、中国に関係する外国企業の動向、あるいは業績から、さまざまなことを判断することができる。中国向けの輸出比率が大きい企業、中国に進出した企業、中国からの訪日観光客に大きく依存する企業の最近の業績を見れば、中国経済の減退ぶりは顕著だ。

 

<全速力で逃げ出す外国企業>

・こうした状況下、中国からの外国企業の撤退が相次いでいる。日本企業もその例に漏れない。

 最大の理由は、労働力市場としての魅力が薄れてきた。中国が経済成長するにつれ、労働者の賃金も上昇してきた。たとえば都市部の工場の労務コストは、ここ数年で倍増。労働集約型の生産が特色だった中国は、生産拠点としての魅力が薄れてきた。

 代わりに台頭したのが、ベトナムミャンマーだ。

 

<中国の「失われた100年」>

ソ連崩壊と同じ道を>

・この習近平の性急、かつ徹底した、腐敗を一掃する動きと、贅沢禁止令は、また別の副作用をも生み出している。

 下っ端に至るまで、すべての役人が委縮してしまっている。贅沢禁止令のおかげで、高級飲食店の多くも潰れた……。

 これは、ソビエト連邦崩壊の直前に書記長を務めた、ゴルバチョフと同じ轍を踏むのではないかと思わせる。

 ゴルバチョフは、1980年代後半、ソ連共産党を浄化しようとしたあまり、共産党の組織そのものを麻痺させてしまった。自由化を図ろうと共産党の権限を縮小させたため、今度は経済や社会をコントロールする機能まで奪ってしまった。こうして大混乱をソ連の社会に招いたのだ。

 では、中国のなかで汚職が完全に撲滅できたかというと、そうではない。いまでもビジネスを始めるには袖の下が必要だし、当局の気まぐれで財産を没収されたり、逮捕されたりするリスクが付きまとう。大混乱の最中、かえってどうしたらいいのかわからなくなっているケースも多い。

 つまり、何をやっても壁にぶち当たるほどに、中国の政治と経済は蝕まれている。その病巣は、とてつもなく深い。

 

<中国政府もサジを投げた>

・そこで国家発展改革委員会は、今後の中国経済について、こうした悲観的な発言をする。「中国経済は短期的に深刻な状況に陥る。第一の原因は、生産過剰。第二の原因は、資産価値バブル。第三の原因は、地方自治体の過剰な債務」

 これにどう対応していくか、いくつか対策を挙げているが、いずれも困難を伴うと自ら認めている。

「一つは体制改革。ただし大きな問題と矛盾に直面して実現は困難。一つは生産性の向上。これは現時点でイノベーションは難しい。次の対策は輸出促進。これは為替操作にも限界と歪が生じてしまう。最後の対策は消費促進。これも限界があり、効果も限定的」

 

 

 

『日本はこの先どうなるか』

高橋洋一  幻冬舎   2016/8/10

 

 

 

<政治・経済では本当は何が起きているのか>

<英国のEU離脱、欧州への大量移民、崩壊寸前の中国経済、米国の過激な大統領候補、日本の戦争リスク………>

<データに基づかなければ、議論する意味はまったくない>

参院選の結果を受け、さらなる経済政策が実行される。

憲法改正は容易ではない。

・イギリスEU離脱の悪影響はボディブローのように効いてくる。

・イギリス経済は将来的には成長する可能性あり。

・経済は人の「気分」で動く。

エコノミストの予測が外れるのは経済学部が「文系」だから。

・輸出入統計から推計した中国のGDP成長率はマイナス3%。

国債暴落説の大ウソ。

財務省の税務調査権は実に恐ろしい。

・日本経済は必ず成長できる!

・戦争のリスクを甘く見てはいけない。

 

<データは嘘をつかない>

<トランプ大統領の誕生は日本にどう影響するか >

・最近のトランプ氏の発言を聞いていると、いよいよ「へりコプターマネー」を言い出すのではないかと考えている。

 へりコプターマネーのもともとの意味は、中央銀行が紙幣を刷ってへりコプターから人々にばらまくというものだ。ただし、実際にこれを行うことは難しく、「いつどこにへりコプターが来るのか教えてほしい」というジョークすらあるほどだ。

 現在のように中央銀行と政府が役割分担している世界では、中央銀行が新発国債を直接引き受けることで、財政赤字を直接賄うことをへりコプターマネーと言うことが多い。

 

 

 

バーナンキ氏のそれは名目金利ゼロに直面していた日本経済の再生アドバイスであったが、具体的な手法として、国民への給付金の支給、あるいは企業に対する減税を国債発行で賄い、同時に中央銀行がその国債を買い入れることを提案していた。

 中央銀行国債を買い入れると、紙幣が発行されるので、中央銀行と政府のそれぞれの行動を合わせてみれば、中央銀行の発行した紙幣が、給付金や減税を通じて国民や企業にばらまかれていることになる。その意味で、バーナンキ氏の日本経済に対する提案はへりコプターマネーというわけだ。

 

<もし朝鮮半島で有事が起きれば、韓国における在留邦人保護も大きな課題>

・体制の維持には、一定の経済力が必要だ。中国経済の景気後退の影響で、北朝鮮経済は深刻なダメージを被っていることが予想される。対中輸出依存度が25%程度の韓国でさえ、2015年の輸出額は対前年比6%程度も減少している。対中輸出依存度が70%以上と言われる北朝鮮は、中国経済の低迷の影響をモロに受けているに違いない。

 北朝鮮のGDPは謎に包まれているが、400億ドル程度(4兆4000億円程度)とされており、一人当たりGDPは2000ドルにも達しない最貧国である。人口は約2300万人で、そのうち5%、つまり約120万人が軍人である。

 これを日本に当てはめて考えると、自衛隊員を600万人も抱えている計算になる。その経済的な負担は、あまりにも大きい。

 

北朝鮮は、国連制裁をこれまで4回も受けている。1月の核実験、2月のミサイル発射を考慮して、もし追加の国連制裁を受けた場合、事実上は6回の制裁と考えていいだろう。これは、7回も国連制裁を受け、結果としてつぶされたイラク並みである。そうなると、朝鮮半島有事も充分に想定できるのだ。

 

<米軍が日本から撤退すれば、日本の核保有が現実味を帯びる>

<願うだけで平和が実現できるなら、世界はとっくに平和になっている>

集団的自衛権の行使容認は、アメリカとの同盟関係の強化をもたらし、日本の戦争リスクを下げることにつながるのである。

 集団的自衛権は、同盟関係と一体不可分のものだ。世界では、集団的自衛権なしの同盟関係はあり得ない。その意味で、もし集団的自衛権の行使を認めなかったら、日本はいずれは日米同盟を解消される恐れもある。

 

・安保関連法の成立を世界の視点で見れば、これまで同盟関係がありながら集団的自衛権の行使を認めなかった「非常識」を、世界の「常識」に則るようにした程度の意味である。そう考えれば、「安保関連法で日本が戦争をする国になる」などといった主張が単なる感情論にすぎないことがわかるだろう。実際、国際関係論の数量分析でも、同盟関係の強化が戦争のリスクを減らすことは実証されているのである。

 安全保障を議論するときはいつもそうだが、左派系が展開する議論はリアルではなく、非現実的かつ極端なものばかりだ。

 安保関連法案が国会で審議されている最中、衆議院憲法審査会において、3人の憲法学者が「安保関連法案は憲法違反」と指摘して話題になったことがある。聞けば、95%の憲法学者集団的自衛権の行使容認を違憲だと考えているという。

 

<中国のGDP成長率を推計すると、「-3%」程度である>

・中国政府のシンクタンクである中国社会科学院は、2015年のGDP成長率を「+6.9%」と発表しているが、これはおそらくウソだろう。

 もし、筆者のこの推計が正しければ、中国経済は強烈な減速局面に突入していることになる。

 

・要するに、貿易面から見れば、中国経済の失速はアメリカのそれと大差ないくらい、世界経済に与える影響が大きいものになるということだ。

 しかも、その影響は中国との貿易依存度が大きいアジアでより深刻になるはずだ。

 ちなみに、リーマンショック後の2009年、アメリカのGDPは3%程度減少し、輸入も15%程度減少した。貿易関係を通じた実体経済への影響については、現在の中国の経済減速は、リーマンショックのアメリカと酷似している状況だ。この意味では、中国ショックはリーマンショック級の事態に深刻化する可能性を秘めているのである。

 

<中国は「中所得国の罠」にはまり込んでいる>

・「中所得国の罠」という言葉を聞いたことがあるだろうか。「中所得国の罠」とは、多くの途上国が経済発展により一人当たりのGDPが中程度の水準(1万ドルが目安とされる)に達した後、発展パターンや戦略を転換できず、成長率が低下、あるいは長期にわたって低迷することを言う。

 この「中所得国の罠」を突破することは、簡単ではない。アメリカは別格として、日本は1960年代に、香港は1970年代に、韓国は1980年代にその罠を突破したと言われている。一方で、アジアの中ではマレーシアやタイが罠にはまっていると指摘されている。中南米でもブラジルやチリ、メキシコが罠を突破できすにいるようで、いずれの国も、一人当たりGDPが1万ドルを突破した後、成長が伸び悩んでいる。

 

・これまでの先進国の例を見ると、この罠を突破するためには、社会経済の構造改革が必要である。社会経済の構造改革とは、先進国の条件とも言える「資本・投資の自由化」である。日本は、東京オリンピックの1964年に、OECD経済協力開発機構)に加盟することによって「資本取引の自由化に関する規約」に加入し、資本・投資の自由化に徐々に踏み出した。当時、それは「第二の黒船」と言われたが、外資の導入が経済を後押しし、それが奏功して、日本の1人当たりGDPは1970年代半ばに5000ドル、1980年代前半に1万ドルを突破した。

 

・では、中国ははたして「中所得の罠」を破れるだろうか。筆者は中国が一党独裁体制に固執し続けるかぎり、罠を突破することは無理だと考えている。

 ミルトン・フリードマン氏の名著『資本主義と自由』(1962年)には、政治的自由と経済的自由には密接な関係があり、競争的な資本主義がそれらを実現させると述べられている。経済的自由を保つには政治的自由が不可欠であり、結局のところ、一党独裁体制が最後の障害になるのだ。

 そう考えると、中国が「中所得国の罠」を突破することは難しいと言わざるを得ない。

 

<日本の財政は悪くない>

<「日本の借金は1000兆円」という財務省による洗脳>

・話を消費増税の延期に戻そう。そもそも消費税率を引き上げる目的は、「税収」を増やすためである。税収を上げたがっているのは誰かと言えば、それは財務省だ。景気が充分に回復していない状況での増税は経済成長を阻害することが明白であるにもかかわらず、なぜ財務省は消費税率を上げたがるのか?その理由については後述するが、増税の方便として使われているのは、いわゆる「日本の借金」である。1000兆円—―

 この数字を見て、おそらく読者の皆さんのほぼすべてが、「日本の借金」という言葉を頭に思い浮かべたに違いない。それほどまでに、「日本の借金1000兆円」というフレーズは巷間に定着してしまっている。

 

・当時から、旧大蔵省は「日本の国家財政は危機に瀕している」と対外的に説明していたが、バランスシートを作成した筆者には、すぐその主張がウソであることがわかった。負債と同時に、政府が莫大な資産を所有していることが判明したからだ。このとき、幹部からバランスシートの内容を口外しないように釘を刺されたことを覚えている。

 あまりに資産が多額であったからであり、それまで「国の借金はこんなにたくさんあります」と資産の存在を公表せずに負債だけで財政危機を煽ってきた説明が破綻してしまうからだ。

 

・しかも資産の大半が特殊法人などへの出資金・貸付金であったため(これは現在も大差ない)、仮に資産の売却や整理を求められると、特殊法人の民営化や整理が避けられなくなってしまう。これは、官僚にとっては{天下り先}を失うことを意味し、自分で自分の首を絞めることにつながる。筆者も当時は現役の大蔵官僚だったため、「口外するな」という命令に従わざるを得ず、情報を外部に漏らすことはしなかった。

 残念ながら、筆者が作成したバランスシートは、大蔵省だからか「お蔵入り」になってしまったが、1998年度から2002年度までは試案として、そして2003年度以降は正式版として外部にリリースされるようになった。

 

・何しろ日本の長期金利は、2016年2月9日に史上初のマイナス台に突入したほどの超低金利なのだ。にもかかわらず、国債暴落説はいまだに巷間でくすぶり続けている。

 国債暴落説の根拠とされているものはいろいろあるが、その一つは、日本の財政破綻だ。日本政府がいずれ国債金利負担に耐えられなくなるとの見通しから、損を回避したい人々の間で国債の売却が加速し、いっきに債券価格が下落して金利が暴落するというロジックである。しかし、前述のように日本は財政破綻状態ではないため、この話はそもそもの前提が間違っていることになる。

 

・金融や財政に馴染みが薄い一般の人が、財政破綻論や国債暴落説を語ったり信じたりすることは仕方がない面もあるが、専門家である学者の中にも財政破綻論や国債暴落説を語る人がいることには驚くばかりだ。

 たとえば、東京大学金融教育センター内に、かつてものすごい名称の研究会が存在した。その名も、「『財政破綻後の日本経済の姿』に関する研究会」だ。代表を務めるのは、井堀利宏(東京大学大学院経済学研究科教授)、貝塚啓明氏(東京大学名誉教授)、三輪芳朗氏(大阪学院大学教授・東京大学名誉教授)という日本の経済学界の重鎮たちだ。

 同研究会の活動内容はホームページに公開されている。2012年6月22日に第1回会合が開かれ、2014年10月3日までの2年余りの間に、計22回が開催されている。『発足とWebPage開設のお知らせ』に掲載されている文章を見ると、「われわれは日本の財政破綻は『想定外の事態』ではないと考える。参加メンバーには、破綻は遠い将来のことではないと考える者も少なくない」と書かれている。

 第1回会合では、三輪氏が「もはや『このままでは日本の財政は破綻する』などと言っている悠長な状況ではない?」という論点整理メモを出し、勇ましい議論を展開している。要するに、財政破綻は確実に起こるので、破綻後のことを考えようというわけだ。

 

財務省が消費税率を上げたがるのは「でかい顔」をしたいから>

<外債投資で儲けた20兆円を、政府は財政支出で国民に還元すべきだ>

・問題は財源だが、これはいとも簡単に捻出できる。「外為特会」を活用すればよいのである。