日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

コンタクティやチャネラーの情報を集めています。森羅万象も!UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象といわれます。

2015年初場所の番付では幕内42人中、外国籍力士が16人、そのうちモンゴル国出身力士が11人である。「モンゴル人はみんなハングリー。彼らのほとんどは何が何でも強くなって大金を稼ぎ、故郷で暮らす両親に楽をさせてやろうという思いで入門してくる」(1)

 

 

『現代モンゴル読本』   増補改訂版

佐々木健悦  社会評論社   2017/10/10

 

 

 

<モンゴル政界の低迷ぶりが一読瞭然>

・第1章では民主化を阻む主因である「政治の低迷と乱走」を扱う。政治の貧困は社会の貧困を招き、寡頭政治家と「人気取り」“政治家”ばかりが富み肥大する。彼らに政治哲学や政治理念があるとは思えないから、「政治家」と敬称したくない。彼らは利権と権益の獲得のために、とかく「政事」に係わりたがる政事業者であるから「政事家」と呼び、特に「政事屋」あるいは「政治屋」と蔑称する。

 

・「ジャーナリズムとは、報じられたくないことを報じることだ。それ以外は広報だ」(ジョージ・オーウェル)。教科書検定基準を気にしたような記述のモンゴル紹介本や日モの政府や企業の広報のような記事が横行している。それらを常に監視し、「ファクトチェック」し、「オルタナティブ・ファクト」【事実でないことをもう一つの事実と偽証すること】を警戒し、「フェイクニュース(偽のニュース)」に惑わされてはならない。

 日本人の書くモンゴル紹介本やモンゴル報道、モンゴル国で出ている日本語紙や雑誌は大抵、日モ政府の広報である。

 

<人材育成奨学計画>

・留学させずとも、住友商事は2011年以降2017年現在も、モンゴル国立大学生(30人)と科学技術大学生(20人)に無償の奨学金を年百万Tg供与してきた。住友商事は今後、優秀な卒業生を雇用する予定もあるそうだ。

 2014年度は、JDS第10期生として18名が日本の大学院の修士課程で学んだ。被災地や汚染地域にある大学に派遣された留学生はいない。「人材育成奨学計画(JDS事業)は、特に若手行政官を対象にした人材育成事業で、1999年度から始まった。モンゴル国からは、2001年以降、175名が派遣され、142名がすでに帰国している。しかし、官公庁に登用されるのは一部で、むしろ多くは民間に採用されると聞く。

 政府機関でも非政府機関でも、国の発展に尽力することに変わりはないが、人材育成は受け皿があってこそ活きる。時代を拓くには、人材を育成したら、登用・採用し、しかも重用、厚遇しなくてはならない。

 

<日モの大学乱立問題>

<質が低下する大学教育>

・総人口210万程度だったモンゴル国民主化後の一時期、大学が200校も乱立し、総人口が280万に近づいた2012年4月現在、95校に激減した。2014年10月現在、国立大学が16校、私立大学が79校、外国の大学付属の大学が5校ある。17年現在で、ウランバートル市内には国立や私立の大学や専門学校などの高等教育機関が96校ある。

 それでも今なお、内実の充実が望まれる。私立大学は言うに及ばず、国立大学でさえも、特に分校であれば、その教育の設備も条件も質も日本の専門学校程度かそれ以下。だから、より「箔を付ける」ために日本などの国外の大学に留学する。

 

<定員確保に外国人留学生>

・日本の大学進学率は上がったが、定員を満たせない。私立大学の約46%が定員割れ。低偏差値の大学の学生確保は難しい。そのため、オープンキャンパスで受験生に事実上の合格内定を出し、AO入試などを使って「フリーパス」で合格させる大学も珍しくなく、入学者の1割しか一般入試で入っていない大学もある。それでも足りないのか、外国人留学生で補充する向きもある。日本人学生に人気のない地方の大学で留学生が妙に突出し、学生の7割が留学生という大学もある。定員割れに苦しむ日本の私立大学の中にはモンゴル下んだりまで学生募集に出かける大学もある。

 

・日本の大学など高等教育機関に在籍する外国人留学生は2013年5月現在で13万5519人。14万1774人でピークだった2011年以降、3年連続の減である。

 

ウランバートル市には日本の高校そっくりの高校がある。2000年創立のこの高校【現在は小中高の一貫校】では、カリキュラムは日本の高校をモデルにし、日本の高校の制服を着、給食も食べ、部活もある。

 モ国の女子は小中高からイアリングをし、化粧するのも珍しくない。そういう女子生徒たちが制服として日本のセーラー服を着ているのには違和感がある。日本の教育の全てを真似て欲しくない。教科化された「道徳」がカリキュラムに導入でもされたら堪らない。

 日本留学の予備校化し、図書室には日本の大学の「赤本」が並び、受験のための補習授業まであり、生徒の多くは日本留学を目指す。日本留学を志望させる校風に私は馴染めない。長く日本で教職にあった私は、日本の高校や大学の実情と実態を知悉しているから、「箔を付ける」だけの留学など勧められない。

 

<日本語学習熱の疑問>

・その後、日本語を教える教育機関は毎年1機関ずつ増える勢いで、2006年には90機関、学習者1万2620人に及んだ。しかし近年、大学の統合化が進み、廃校廃科も増えて、2010年3月現在、日本語を教える大学は30余、日本語学習者は約9千人に減少した。

 

モンゴル国には日本語能力を必要とする職場が少ない。受け皿がなければ、能力は活かせない。モ国は、日本語をマスターしたモンゴル国民を多く必要としては、いない。今の日本語学習者の10分の1で済む。獣医師が全国的に十分足りているのに獣医学部を新設する必要が無いのと同様である。

「英語帝国主義だ」という批判はあるが、現代は英語力なしには専門的な仕事はできない。英語が分かれば、日本人のみならず、どこの外国人とも一緒に仕事ができる。世界のインターネット利用者の約70%は英語を使用言語にしている。

 モンゴル国の若者は外国語を学ぶなら、先ず英語。職を得るためなら、次に中国語が有利で、学習者数で第3位を占めるのが韓国語。モ国の出稼ぎ者が最も多く向かうのは韓国だからだ。

 

<モンゴル社会の混迷>

<モンゴル社会の「いい加減」>

・モンゴル人には金を貸してはいけない、とよく言われる。返してもらえないことが多いし、返してもらうには仲たがい覚悟で執拗に迫らなくてはならない。モンゴル人が借金するのは集りに等しい。モンゴル人は列を作って順番が待てない。窓口に殺到し、平気で割り込みもする。モンゴル人だけで道路舗装工事をすると、地盤をきちんと固めて整地してから舗装しないから、1年も経たない内に、亀裂が生じ凸凹になる。社会の機構もその運営も、規則規定もその運用も、いい加減だ。

 全てのモンゴル人が何事においても「いい加減」だというのではない。「国民性」とまで言えないものの、そういう体質がある。モンゴル人自身もモンゴル好きの日本人も、こういうモンゴル人の体質や性向を肯定的に見ていることが問題だ。

 

・モンゴルに「金回りが良ければ皆な親類、貧すれば皆な敵」という金言がある。親類縁者の金持ちに群がり集る現象を言う。日本人なら、「金の切れ目が縁の切れ目」と言うところだ。何の得もないと見られれば、付き合いは続かない。ドライと言えば余りにドライ。

 

・「明日(マルガーシ)」とモンゴル人は請け合うが、これが「いい加減」で、当てにならない。いつが「明日」なのか、いつまで「明日」なのか、いつ「明日」が来るのか、分からない。

 モンゴル人の「明日」はスペイン人の「明日(マニャ-ナ)」に似ている。スペイン内戦に参加したG・オーウェルはスペイン人の時間のルースさに呆れた。武器の支給にしても戦闘の開始や列車の発車にしても、「何か口実がみつかるかぎり、今日の仕事は明日まで延ばされる」「その明日はけっしてやってこなかった」(『カタロニア賛歌』1938年)

 

・この「いい加減さ」も現在では、私生活はさておき、公務やビジネスの世界では緩和されたかに思える。しかし、この「マルガーシ」については、通算37年間のモンゴル滞在経験があってモ国の公人たちと公務上の付き合いが多かった城所卓雄・元駐モ日本大使も度々、呆れている。公人でさえ時間と約束を守らない。法律順守などは稀。建設事業は2、3年遅れるのが普通だし、数年遅れることも珍しくない。

 

・この「いい加減さ」は、モンゴル社会にどっぷり漬かった日本人も含む外国人にも伝染し、モンゴル化する。モ国の日本語メディアの内容の杜撰、日本語の出鱈目にも及ぶ。日モ両政府の広報紙にもなれない。

 それでも、モンゴル国で暮らすなら、モンゴル人と付き合わざるを得ない。お互いに利用価値のある間は巧みに、である。こんな現金な人間関係は、モンゴル社会に限るまい。

 

<賄賂はモンゴル社会の持病>

<腐敗認識度>

NPO「Transparency International」は「腐敗認識度指数」を発表する。世界182ヵ国が対象で10点満点。要するに贈収賄はいけないと認識している度合いで、その国のクリーン度。2011年は、9点以上のトップ・グループ6ヵ国中の第1位はニュージーランドで、世界で最もクリーンな国ということになる。最下位の1点はソマリア北朝鮮。日本はドイツと並んで8点で第14位。そして、モンゴル国は2.7点で世界120位、2013年になっても83位、2016年の腐敗認識度指数は百点満点中37点で、87位。腐敗度はかなり重度のままだ。

 

国連の「アジア基金」と調査機関「サント・マラル」は2006年度以降、賄賂に関する世論調査を実施しているが、2006年の3月と12月に行った調査に拠れば、「賄賂が要るならば、止むを得ず金を渡す」が41.8%。「誰に賄賂を渡すか」の質問には多い順に教師(39%)、医師(37.6%)、公務員(34%)、警察官(22.7%)。この頃、教師と公務員は薄給だったし、医師と警察官には特別扱いの見返りとして賄賂贈答が必要だった。汚職と着服は税関や税務署の職員、裁判官、地方の役人まで蔓延った。

 なお2017年3月の調査では、モンゴル国民の約60%が「警察と医療機関での収賄が最悪」と見ている。

 

・2015年末の調査では、ここ3年間で「増えた」が59%、「変わらない」が27%で、「減った」と答えたのはたったの14%、つまり相変わらず増えているとモンゴル国民は認識している。賄賂を要求してきたら、「要求に応じない」が38.7%、「金があれば贈賄する」が21.5%、「賄賂しない解決策を見つける」が14%、などと答えている。

 

<許認可—―贈収賄の温床>

・モ国では公的機関に係わるあらゆる領域が贈収賄の温床になっている。贈収賄の土壌は至る所にあるが、その主な土壌に政府が握る許認可権がある。国有財産の民営化でも、土地の私有化と使用の許認可でも、鉱物資源の探鉱権と採掘権でも贈収賄がある。医療機器や医薬品に絡む横領着服もある。N.エンフバヤル第3代大統領のそれは、並外れて巨額だった。

 

<日本の外国人研修・技能実習制度の欺瞞――出稼ぎ労働の実態>

・日本には2016年12月現在、約230万人の外国人が暮らし、人口の約1.8%を占める。経済協力開発機構OECD)の統計上の定義では、国内に1年以上滞在する外国人は「移民」である。

 厚生労働省の2014年度の統計では、日本で働く外国人は約79万人。日本の国家公務員64万人をしのぐ数だ。日本で働く外国人労働者は、2017年には百万人を超えた。

 2016年12月現在、日本の技能実習制度で働く外国人は74職種で約21万人。中国からの実習生が最も多く、実習生の約6割を占める。「途上国支援」「研修・技能実習」という目的は霞み、国内の人手不足を埋める手段になっている。

 実習先は選べる余地がなく、転職も原則できない。彼らの4割は来日1年以内に失踪してしまう。来日直後に失踪するケースもある。2015年は10月末までに約4930人が実習先から消えた。年間で最多だった2014年の4847人をすでに上回った。

 

・失踪した彼らは、日本のどこかで不法就労することになる。不法と知りつつ、彼らを雇う日本人雇用者たちは彼らを「不法さん」と親しく呼んでいる。

 

<日本大相撲モンゴル人脈>

・モンゴル勢の日本大相撲進出は、スポーツ交流にはなっていない。日本人がモンゴル相撲界にデビューした例は、未だ無い。むしろモンゴル国民の「出稼ぎ遠征」とでも言うべきだ。荒稼ぎした彼らは帰国して、その資金で起業し、政界を牛耳り、時には自ら政界デビューする。

 日本相撲もモンゴル相撲も神事で国技。国技であった柔道が国際化した。今や海外10ヵ国から日本に「出稼ぎ」に来ている。2015年初場所の番付では幕内42人中、外国籍力士が16人、そのうちモンゴル国出身力士が11人である。「モンゴル人はみんなハングリー。彼らのほとんどは何が何でも強くなって大金を稼ぎ、故郷で暮らす両親に楽をさせてやろうという思いで入門してくる」。

 

・モンゴル人力士を含む多くの外国人力士が日本大相撲界で活躍して良い。しかし、日本のマスコミは、特にモンゴル人力士に厳しい。モンゴル勢が大相撲界を制覇し、橫綱白鵬を頭にモンゴル勢一強の観があるからだ。

 モンゴル勢の中でも断トツの強さを見せている白鵬に対しては、取組み直後の“ダメ押し”や懸賞金の荒い受け取り方など「態度が悪い」と、横綱としての「品格」を問う声が横綱審議員から出ている。

 

逸ノ城関は、観衆の質問にも当意即妙に日本語で応じた。日本に来て驚いたのは列車の速さと高層ビルの林立。モンゴル国の鈍い列車に比べたら、日本の新幹線のスピードは驚異的だし、地震国に高層ビルが立ち並んでいるとは驚異的だろう。好きな日本の食べ物は寿司と刺身に納豆と意外。

 

逸ノ城の2015年初場所の成績は6勝9敗と、入門後初の負け越し。主因は太り過ぎ。入門時183キロだった体重は今や202㌔。原因食べ過ぎ。大食漢の逸ノ城は「夕食後の夕食」を食べ、自室にはお菓子を置いていた。腹が出ると、股関節の動きが悪くなって膝が前に出ず、動きが遅くなる。食間のおやつも止め、節制に努めている。

 

逸ノ城の体重は、2016年秋場所には212㌔に達し、幕内最重量、腰を痛めて全休した。秋場所の幕内の平均身長は184㌢、平均体重は164.3㌔で過去最高。体格が大きくなれば、怪我のリスクも増える。

 

白鵬は驚異的な瞬発力がある。陸上男子百㍍の世界記録を持つ選手でも秒速4.01㍍なのに、白鵬の「飛び出し」の速さは秒速4.0㍍だ。出足の速さで優る白鵬は、闘志丸出しで猪突する朝青龍を咄嗟の判断で軽く往なしたのだ。

 

・日本を初訪問したサイハンビレグ首相が、白鵬モンゴル国の「文化大使」に任命し感謝状を手渡した。白鵬は「いっそう良い取り組みをし、実績を上げます。両国の懸け橋になって励みたい」と語った。また、ツァガーン・サル(旧正月)を母国で迎えるために帰国した白鵬は2015年2月17日、日本の「国民栄誉賞」に当たる「労働英雄勲章」を授与された。

 

<飲酒の問題>

モンゴル国民のアルコール依存>

・アジアで一番、酒を飲む国民は?それは韓国人。2005年の統計では国民1人当たりの年間アルコール消費量は、韓国が14.8㍑で世界13位【日本は約8㍑、中国は約5.9㍑】。度数が高めの蒸留酒に限れば、世界第1位。

 

・北の隣国ロシアはどうか。ロシア保健社会発展省などに拠ると、1人当たりのアルコール年間消費量は、ウオッカ約50本分に相当する18㍑で、300万人が重症のアルコール依存症

 

・それではモンゴル国ではどうか。2008年の統計では、モンゴル国民は年間2836万㍑のアルコール飲料を飲む。これに馬乳酒が含まれているかどうか不明だが、おそらく入っていまい。モンゴル人にとって馬乳酒は酒ではなく、子どもも飲む「清涼飲料」だから。だが、立派にアルコール分を含み、数㌫から、発酵が進んだものは十数㌫に達する。

 

・成人男性の22%、つまり5人に1人強がアルコール依存症モンゴル国民の10%余りが肝炎に罹っている。

 

労働力人口

・2016年末現在の労働力人口は約160万人で、その10%が就業していないが、求職しても職に就けない失業者の実数は約3万1500人らしい。そのうちの30.6%は大卒で、58.7%は15歳から34歳の若者である。

 

<陰るモンゴル国の経済成長率>

・しかし、ここ2、3経済成長に陰りがでてきた。2014年度の経済成長率は9.5%と見込んだが、約8%に止まった。モンゴル財務省は2015年9月、2015年度の経済成長率を3.0%、2016年度のそれを4.1%と見込んだ。だが、中国の2015年度の経済成長率は7%を切った。その煽りでモンゴル国の経済成長率は2.3%に減速した。

 

モンゴル国は「中進国」を自称するが、経済規模は大きくない。モ国が2015年度のGDPとして示した2.3%という数字は、どういう算出方法を採ったのか。16年1月~9月期は1.6%のマイナスに落ち込んだ。

 モンゴル経済は今、火の車。資源価格の下落や投資の減少で外貨が稼げなくなる中、巨額の借金の返済が迫る。17年から2年間で国外に借金の返済が迫る。17年から2年間で国外に借金20億㌦を返済しなければならない。

 

<消される「記憶遺産」―—モンゴル吉村隊「暁に祈る事件」>

<忘れられた抑留中の事件>

・2015年10月、中国の申請した「南京大虐殺の記録」と日本の申請した「シベリア抑留・引き揚げ関連資料」が、ユネスコの「世界記憶遺産」に登録された。

 毎年8月、国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑で「シベリア抑留」犠牲者を追悼する集いがある。シベリアと言っても、旧ソ連各地と旧モンゴル人民共和国に抑留されて犠牲になった約5万5千の人々のことだ。参加者らは、実態解明を急ぐことや政府主催の追悼行事にすることを求めている。

 しかし、旧モンゴル人民共和国にもシベリア経由で日本人捕虜約1万2300人近くが死亡したことを記憶している日本人は少ない。特に吉村隊にあっては、隊長の私的制裁に因って少なくとも35人が隊内で死亡したと言われる。私的制裁後に病院や転属先で病死あるいは衰弱死した隊員を含めれば、その数は、「約2千の墓標の大部分が吉村隊の犠牲者」とも言われた。とりわけ、厳寒の屋外の木などに縛り付けられ放置された隊員は、朝になると、昇る太陽に向かって首を垂れる姿勢になっていたことから、「暁に祈る事件」と呼ばれた。事件の明確な輪郭と真相は未だに不明である(佐藤悠『凍土の悲劇―モンゴル吉村隊事件』1991年)。モンゴル被抑留者が居なくなった今、全容解明は難しい。

 

・「虐メ」から逃れるには、所属する閉鎖的集団、例えば学校や職場を替えるしかない。しかし軍隊では、それが難しい。幸いにして捕虜病院に入院するか他の隊になっても、吉村隊での酷使が祟って、入院先や転属先で死亡した隊員も多かった。

 幾ら極限状況下での保身のためとは言え、この事件は日本人による同胞に対するおぞましい虐メ殺人の歴史的事実である。

 近年、学校や職場などでの陰湿で残忍な虐めが横行している。学校で虐めを学び培養され、職場や社会のあちこちに蔓延るといっても過言ではない。少年たちは「虐メリンチ殺人」さえする。少なくとも日本人は、この事件を、未来永劫「記憶」に留め置かなければならない。

 

<●●インターネット情報から●●>

ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)より引用

 

「暁に祈る」事件(あかつきにいのるじけん)は、第二次世界大戦終結後の1940年代後半、ソ連軍によるシベリア抑留の収容所において、日本人捕虜の間で起きたとされるリンチ事件。リンチの指示を行ったとされる人物が、日本への帰国後に逮捕・起訴されて有罪判決を受けたが、本人は冤罪であると主張していた。事件が起きた部隊の名称から「吉村隊事件」とも呼ばれる。

 

 

 

新潮45 12月号 2017』

 

『土俵の神様が味方してくれた   日馬富士公平(第70代横綱)』

 

 

 

<最後の砦として土俵に立ち続けた「一人横綱」の心境とは>

<7場所ぶり9回目の優勝>

・12日から大相撲九州場所が始まっています。「1年納めの九州場所」とも言われている今場所、いい成績で締めたいというのが力士たちの本音でしょうね。私に関して言えば、大関に昇進したのも九州場所四股名安馬から日馬富士に改名するのを発表したのもここ、新横綱として登場したのもこの土地と、縁起のいい場所でもあるんです。

 

<先の秋場所、3横綱が休場する異常事態の中、「一人横綱」として奮闘。>

・(優勝直後のインタビューで)「素直にうれしいです」と言いましたが、うれしさよりも、逆転優勝を決めてホッとした、これでようやく横綱の責任を果たしてという気持ちが大きかったですね。

 

・この一番、立ち合い、私が低く踏み込んでいくと、琴奨菊関が一瞬遅れて手をつかないまま立ったので、私は「待った」をし、力を抜きました。けれども、すでに行司さんの軍配が返っていたため、勝負は成立と判断され、力を抜いた状態の私はあっさり寄り切られてしまったのです。

 思ってもみない形での初黒星でしたが、やっぱり負けは負けなんですね。「勝ちには理由なし、負けには理由あり」。自分のせいで負けたんです。今考えてみれば、心に隙があったんだと思います。

 

・この時点で優勝戦線トップの豪栄道と3差をつけられてしまいました。頭で考えていることと、体の動きがバラバラ……。心技体が噛み合っていない、そんな状態でしたね。けれども、ここで逃げ出すわけにはいきません。横綱には、毎場所優勝を目指すという責任がありますから。

 

・優勝をたぐり寄せるためには、残りの相撲をすべて勝つだけ。横綱の意地を見せる時だと思いましたね。

 

<稽古は嘘をつかない>

・実際、この連敗はキツかったですね。自分の相撲に自信がもてなくなった私は、それを取り戻すために久しぶりにキャンバスに向かいました。

 私の趣味は油絵を描くことです。モンゴルの高校時代は、美術専門コースに通っていて、その頃から描いている油絵。力士になってからも時間を見つけて描いています。モチーフは、日本一の山、富士山。以前、富士山の絵だけの個展も開かせていただいたほどです。

 

・普段から私は、本場所中の夜、外に出かけたりはしないのですが、名古屋場所中の10日間で「横綱」を仕上げました。一人でキャンバスに向かって集中することで、相撲とは別の世界に入れますし、自分自身と向き合う大切な時間にもなりました。

 

<01年初場所初土俵を踏んだ私は、力士生活17年目となりました。>

・けれどもその一方で、相撲内容や力士の稽古に対する姿勢に関しては、疑問を感じる部分もあります。一番の「?」は、稽古量です。

 

・ただ、「よく稽古をしている」と言っても、今の力士の場合、多くて30番とかなんですよね。自分たちの時代は、30番を越えてからが本当の稽古でした。私は118番とか、そんな番数の稽古をこなしていた。だからこそ、今の自分があるんです。その時、必死でがんばった。必死で耐え抜いた。心と体に稽古がしみ込んでいるんですね。稽古は嘘をつきません。

 

・社長と平社員の違いってなんだと思いますか?一日中仕事のことを考えているのが社長、決められた時間の中だけ仕事をしているのが平社員なんじゃないかと思うんです。社長の姿勢は横綱にも通じます。ゴハンを食べている時も、寝ている時だって、一日中相撲のことを考えているのが横綱。力士全員にそれを求めるのは難しいでしょうが、「強くなりたい」と思うなら、若手力士にはそれくらいの気持ちで相撲に取り組んでほしいと思うのです。

 

・本当に必死だった、ただそれだけです。今の夢は2020年の東京オリンピックまで現役であり続けたいということです。オリンピックは国民に夢を与えるイベントですから、横綱としてそのお手伝いができれば最高ですね。

 

<●●インターネット情報から●●>

ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)より引用

<交流>

 

2011年時点で在日モンゴル人は約4,800人、在モンゴル日本人は450人となっている

 

文化面では、日本の国技とされる相撲分野において、1990年代以降元小結の旭鷲山昇・元関脇の旭天鵬勝を皮切りにモンゴル人力士が多数来日して活躍するようになり、2016年現在朝青龍明徳(引退)・白鵬翔・日馬富士公平鶴竜力三郎の四横綱を輩出している(この数字は平成になってからでは一ヶ国・一都道府県の出身横綱として最多である)。なお、白鵬の父であるジグジドゥ・ムンフバトは1964年東京オリンピックレスリング選手として出場している。

 

 

 

『最後の超大国 インド』  元大使が見た親日国のすべて

平林博    日経BP社    2017/6/22

 

 

  

北京の地下壕見学

・筆者は、1974年から76年までの文革末期に、北京の日本大使館に1等書記官として勤務していたので、反覇権主義については生き証人の1人だ。

 当時の北京には、地下にめぐらしたトンネル網が網の目のように広がっていた。核攻撃に備えたシェルターの役割と同時に、ソ連の侵入に際し、ゲリラ戦の基地にしようとしたのである毛沢東主席は、ソ連に侵略されても、結局はお得意の人海戦術のゲリラ戦により勝つと豪語していた。

 信じられないかもしれないが、外交官である筆者なども、夫人同伴で、地下壕を見学させてもらった。当時の中国には娯楽などはなく、外国人が行けるレストランも1ダース以内であったから、地下壕見学の招待には、みな喜んで応じた。雑貨屋の入り口を入ると地下壕への入り口があり、下りていくと長いトンネルのところどころに食糧備蓄庫などがあった。

 

<2025年に中国を追い越す>

・インドの人口は、現在では12憶3000万人と推定されており世界第2位だが、2025年頃までには中国を追い越すと予想されている。

 

カースト差別との戦い>

違憲・違法だが根強い>

・国内的にも国際的にも発展著しいインドだが、大きな弱点がある。カースト差別の慣行だ。

 カースト制度は、インド独立当時に制定された憲法違憲とされて以来、法的には違憲・違法だが、社会的慣習として広く深く残っている。特に、農村部など政府の目の届きにくいところで顕著である。

 政府は、この差別をなくすために、下層カーストのための優遇措置などを講じてきた。一定の成果は上がっているが、まだ十分ではない。インド人は、相手の風貌や名前からある程度カースト階級を推測できるらしいが、我々外国人には難しい。難しいが、よく理解しておかないと、インドでの活動やインド人との付き合いで苦労することになる。

 

カースト制度とは?>

カースト差別は、紀元前1500年頃、アーリア民族がインド亜大陸の北西部から侵入を開始し、もともと在住していたドラヴィダ系の民族を征服していく過程で成立したと言われているカーストとはポルトガル語のCasta(血統)を表す語からきている。インドではヴァルナ(Varna)と称される。4つのヴァルナとその下にあるアウト・カーストがある。

 その名が示すように、カースト制度は、アーリア人ドラヴィダ人など原住民と区別し、自らを上位に置く制度であった。肌の色や血統による差別であるが、時代を経るにつれて制度化され、また職業によりヴァルナの中が細分化されていった。職業別の階層は、ジャーティないしサブ・カーストと呼ばれる。ジャーティの数は、数百とも数千ともいわれるが、厳密には数えきれない。

 

カースト制度は、厄介なことに、宗教と結びついている。アーリア人が持ち込んだ原始宗教は思想的に整備され洗練されて、バラモン教となった。バラモン教が形骸化すると、紀元前5世紀に仏教やジャイナ教といった改革宗教が起こった。主な動機の一つは、バラモン教の形骸化、特にカースト差別への反発であった。仏教は、その後、マウリア王朝のアショカ大王によってインド全土に広まった。支配階級や商工業界層には仏教に帰依するものが多かった。他方、バラモン教民間信仰なども取り入れてヒンドゥー教へと変身した。

 ヒンドゥー教は、カースト制度と密接に結びつき、支配階級や上層階層には極めて都合の良いものであったため生き残った。

 

・4階層のヴァルナは、次のようなものである。

 トップ界層は、ブラーミン。僧侶階層とされる。ヒンドゥー教を守り、宗教儀式を司り、経典の解釈を担当し、下の階層にヒンドゥー教を説く役割がある。ヒンドゥー教を守る聖なる役割を担当するので、ブラーミンを殺すことは特にご法度だ。もっとも、近代になると、ブラーミンといっても僧侶に限られることなく、政治家、官僚、企業経営者、学者など各界で活躍している。

 

・次は、クシャトリア。王族、貴族、軍人などである。現在でいえば、政治家、官僚、軍人である。彼らの活躍の場も大きく広がっている。

 第3は、ヴァイシャ。平民階層と称することもある。商工階層と上層部の農業階層が属する。今では、彼らの中からも政治家や官僚が輩出されている。

 

・第4は、スードラまたはシュードラ。以前は、隷属民という訳もあった。農業従事者の中でも小作人、中小の商工業、下働きのサービスの従事者などである。彼らの中からも政治家などになるものも少なくない。

 

・この4つの下にダリット階層がある。以前は、不可触民(アンタッチャブル)ないしアウト・カースト(文字通りカーストの外)と言っていた。

ダリットも、後述するように政治の世界に進出している

 

カーストヒンドゥー教と一体化しているので、ヒンドゥー教にはカーストが一生ついて回る。職業を変えることも難しい。インド人の中では、表だって言わなくても、常に「自分はなに階層」「あの人はなに階層」という意識が離れない。

 

・階層としてのカーストは依然存続するが、職業は必ずしも昔のようにカースト別にはっきりと分けられるものでなくなった。

 

カースト政治

・ここ数十年来、インドの政党政治には、カースト慣行が強く影響するようになった。低カーストは、とかく軽視されがちな自分たちの利益を守るために、政党をつくり政権を担うようになった。俗に、カースト政治と称する。

 

カーストをめぐる悲劇>

カースト差別をめぐる悲劇は、今日のインドでも後を絶たない。

 一番多いのは、結婚をめぐる悲惨な事件だ。カースト慣行によると、原則として結婚は同じカーストの間で行われるべきものとされる。ブラーミンの男子はブラーミンの女子と、ダリットの男子はダリットの女子と、といった具合だ。インドでは、原則として見合い結婚なので、親も仲人も同じカースト同士でアレンジする。

 恋愛結婚によりカーストの上下にまたがる場合、男子が上位カーストの場合は順性婚、女子が上位カーストの場合は逆性婚と呼ばれる。前者は、白い目で見られるが、かろうじて許容される。しかし、後者は、許されない結婚である。周囲からは仲間外れにされる可能性が高い。場合により、二人ないしどちらかが、親や親戚などにより殺されるケースもある。そのような悲惨な事件は新聞に時々掲載されるが、これは氷山の一角であろう。田舎に行けば、偏見が強い分、多くの悲劇が起こっていると思われる。

 インドの新聞の日曜版は、特に分厚い。結婚欄が、10ページぐらいある。カーストなどによって分類されて掲載されている。

 

・最近では、村落にもテレビやパソコンが入り、個人がスマホを持つ時代になった。虐げられてきた下層カーストたちも、世の中の情勢を知るようになった。

 

<低カースト救済のための留保制度>

<ダリットからの脱出>

・ダリットのための留保制度などはあるが、日常生活や職業における差別は根強い。特に耐え難いのは、「同じ人間」として扱われないことである。そのような現実から脱する手段を選ぶ人もいる。カースト慣行はヒンドゥー教と表裏一体であるので、一番手っ取り早いのは、ヒンドゥー教に「さよなら」を言うことである。仏教、キリスト教イスラム教、シーク教にはカースト制度はない。

 

・インド政界では、ダリット出身者が実力で出世し権力を持つことが少なくない。

 

<第4次印パ戦争の瀬戸際に立つ>

・筆者が駐インド大使であった頃にも印パ間で武力紛争があり、戦争の瀬戸際まで行ったことがある。

 

<インド人の日本観>

<『スラムドック$ミリオネア』原作者の日本駐在談>

・東京は世界で一番レストランが多いが、1人当たりの自動販売機もそうだ。技術は生活の不可分の一体をなす。世界最古のブレット・トレイン(新幹線)、ウォシュレット、耐震・免振のビル、空港でのペーパーレス・チェックイン、ロボット式の駐車場、バーやレストランのタッチ・スクリーンのメニュー、ロボット式の電気掃除機、さらには真四角のスイカも!

 日本の都市は最も組織化され、最もクリーンだ。公共交通も発達している。早くて便利で時間に正確だ。郵便と宅急便の配送システムは、驚異だ。

 

<インドは宗教の百貨店>

・2011年の国勢調査によると、ヒンドゥー教徒が79.8%、イスラム教徒が14.2%、キリスト教徒が2.3%、シーク教徒が1.7%、仏教徒が0.7%、ジャイナ教徒が0.4%、ゾロアスター教徒が6万人強となっている。

 

カースト制度に要注意>

・特に理解しておかなければならないのは、カースト制度である。他国にはない独特の差別制度であり、かつ根が深いからだ。自分が交渉するインド人、パートナーとなるインド人、雇用するインド人がどのカーストに属するかは、理解しておく必要がある。もちろん、それによって扱いを変えるということではないが、知らないと困ることもある

 日本人は「みな平等」と考える教育を受けているし、日本社会はそうである。だからカーストの慣行には多くの日本人は戸惑う。どう扱ってよいか、慣れるまでは苦労するかもしれない。

 日本の進出企業は、事務所内でも工場内でも、「ここは日本なのだからカーストはなし」との意向を徹底しているようだ。インド人従業員は表向きそれに従うが、彼ら同志ではカーストを常に意識している。日本人管理職がインド人社員の出身カーストを間違って対応すると、ややこしいことになる可能性がある。したがって、社員の人事については、よくわかったインド人に任せるのがよいことが多い。

 

<宗教について敏感であれ>

ヒンドゥー教徒は、最寄りのヒンドゥー寺院にはお参りするが、仕事上の配慮は特に必要ない。キリスト教徒や仏教徒も、うるさいことは言わない。

 しかし、イスラム教徒は、毎日5回、メッカに向かって(インドから見れば西に向かって)礼拝することが義務である。礼拝時間が来れば、それを許さなければならない。工場内には、モスクとはいかないが、どこかに礼拝場所をつくっておく必要がある。

 インド人は政治論議が好きだが、宗教の話はしないほうがよい

 

<菜食主義の奥にあるもの>

・食事に注意することも必要だ。衛生問題ではなく、菜食主義者(ベジェタリアン)かノン・ベジェかについての注意だ。

 インド人にはベジェタリアンが多い。日本人のように、健康上の理由ではない。宗教上の理由だから、尊重する必要がある。

 

・菜食主義者の中でも、程度がまちまちなので、さらにややこしい。卵はOKという柔軟な人もいれば、NOという人もいる。

 極端なのは、ジャイナ教徒だ。ジャイナ教徒の中でも特に厳格な人は、野菜といっても、根菜類(ニンジン、大根、かぶ、ジャガイモ、サツマイモなど)はご法度だ。筆者によれば、理由は2つ。根菜つまり植物の根を食べてしまえば、その植物は死ぬからNO,葉っぱや果実を食べるのはOKというわけだ。第2の理由は、根菜類を採取する際に、地中の虫(例えばミミズ)を殺してしまう恐れがあることだ。ジャイナ教では殺生は厳禁なのである。