日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

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第1に環境破壊、第2に極端な格差と経済崩壊による2億6千万人の流民の処遇、第3に一人っ子政策の歪みによる3400万人の「男性余剰」の問題を解決するには、「中国人の生存空間を国外に求める」しかないのです。(1)

 

『「カエルの楽園」が地獄と化す日』

百田尚樹   石平      飛鳥新社  2016/11/11

 

 

 

『カエルの楽園』という寓話小説

多くの読者の方もご存知の、『カエルの楽園』という寓話小説、世紀の予言書である。この本が発売されて間もなく、岡山から松江へ向かう特急電車「やくも」のなかで読んだ。主人公のアマガエル、ソクラテスたちは、生まれ育ちの土地をダルマガエルに奪われ、苦難の旅の末に平和で豊かな国であるナパージュに辿り着いた。そこで安息の地を得たかと思いきや、「カエルはカエルと争わない」ことを信念とするナパージュのカエルたちはあまりにも「平和主義的」で無防備であるがゆえに、ナパージュの国は結局、近くの「気持ちの悪い国」に住む、巨大で凶悪なウシガエルによって侵略され、占領されることになる。そして平和を愛するナパージュのカエルたちは、虐殺されながら国を奪われていく。こうしたなか、やっとの思いでナパージュに亡命してきたソクラテスたちは再び、安息の楽園を失うことになるのである。

 

<史上もっとも安全な時代に、最大の軍拡に走る異常な国>

<アジアのルールは中国が決める>

(石平)2016年8月16日、中国紙の『環球時報』ネット版「環球網」は、中国国防大学戦略研究所元所長の楊毅教授(少将の階級を持つ現役軍人)の発言を掲載しました。中国に逆らって、米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の国内配備を決めた「韓国を徹底的に懲らしめることによって、今後のための一つのルールを確立することができる。周辺国に分からせよう。中国と付き合うのにはルールがある」と。つまり楊教授は、力づくで周辺国をねじ伏せ、一方的にルールを作って周辺国に強制すべき、という中華帝国の本音を語っているのです。

(百田)前の章で「歴史的に見て中国の定義は難しい」と言いました。中華帝国は、中央の専制政治の力が強くなれば外に膨張し、弱体化すれば収縮して辺境地域を失うことの繰り返しですから、「国境」がはっきりしないのです。中華帝国に侵入してきた異民族を同化して、その領土も勝手に版図に加えるという特異な思考パターンがあります満州族が建国した清帝国は、沿海州ハバロフスク満州、モンゴル、新疆ウイグルチベット支配下に置き、史上最大の版図を築きました。すると国共内戦に勝利した毛沢東は、1840年アヘン戦争以降、帝国主義列強に侵略された中国の版図を取り返すといって、満州内モンゴル、新疆ウイグルチベットを軍事力で押さえました(ただし、台湾は奪取に失敗し、沿海州ソ連に遠慮して手を出しませんでした)。

 

(百田)テレビ、新聞はこの本をまったく取り上げません。これだけマスコミに無視されると、通常なら売れないのですが、すでに27万部以上は売れています。その意味では希望はあります。マスコミでは一切報じられないけれども、口コミで「これは危ない。『カエルの楽園』は真実だ」と広まっている。アマゾンでは、発売数カ月経ってもランキング上位です。知り合いの某出版社の編集長は「この本が百万部売れたら日本は変わる」と発行時に話していました。

 

(石平)おそらくマスコミ人たちは、『カエルの楽園』の本当の価値と、ベストセラーになっている意味をわかっているからこそ、触れたくないのでしょう。27万人以上の読者が『カエルの楽園』のメッセージに真実味を感じて、日本をとりまく現実に目覚めた。そういう人たちに向けて、私たちは語りたいですね。

 

日本を守ることに反対するおかしさ

・(百田)中国の脅威を語ろうとしないマスコミの言論空間は改められねばなりません。日本の新聞社やNHK「日中記者交換取極」に従って、①中国を敵視してはならない②米国に追随して「2つの中国」をつくる陰謀を弄しない③両国関係が正常化の方向に発展するのを妨げない、という政治三原則を守り、中国に対して不利な報道を行なわないことを約束し、北京に記者を置くことが許されています。中国の意に反する報道を行なえば、記者の常駐が禁じられるのです。

 

・(石平)日本人はよくスイスを平和国家だというけれど、私も行ったことがありますが、あちこちで兵隊さんと会いますよ。街中の日常風景に、兵士が溶け込んでいます。

(百田)スイスは国民皆兵の国です。男子は全員徴兵の義務があり(女子は任意)、除隊すると60歳まで予備役として登録され、いざ戦争が起きれば軍に直ちに復帰します。21万人の兵力を持っていて、自衛隊とほとんど変わらないんです。

(石平)自衛隊員は22万人、日本とスイスは人口の規模がまったく違いますね。

(百田)日本の人口は1億2千万人ですが、スイスは8百万人くらいです。日本の人口比に当て嵌めれば、スイスは3百万人以上の強大な軍事力を、持っている計算になりますソ連崩壊と冷戦終結で、西ヨーロッパでは戦争の危機はほぼ去ったといわれましたが、スイスは国民投票で徴兵制の義務を改めて決めたほど、国防意識が高いわけです。2百年間も戦争をしていない国が、これほど高い国防意識を持っているのです。いや、そこまでの国防意識があるから2百年も戦争をしていないとも言えます。

 現在でも、「侵略を受けたら徹底抗戦する」と宣言し、もし敗れるようなことがあれば、国内の発電所、ダム、橋梁などあらゆる施設を破壊し、国土を焦土化して侵略国に何も与えない。一家に1冊『民間防衛』という本が配られ、市民がどのようにゲリラ戦を行うかが書かれています。民間人でも予備役にも小銃が支給され、90年代までは家に実弾まであった。いまは公的機関の倉庫に備蓄されていて、いざという時に支給されるそうですが、有事に際して国民が立ち上がって戦う覚悟を決めている国だということがわかります。

(石平)だからといって、日本人はスイスを「戦争のできる悪い国」だとは思っていません。日本より立派なでまともな国だと思っている。なぜ日本がスイスと同じように自国を防衛しようとすると、「戦争ができる悪い国」になるのか?おかしいですね。

 

<狙い目は日本のマスコミ論調>

・(石平)日本を守ろうとすれば戦争になる。戦争は悪でやってはいけないから、守ること自体を放棄すべきだ、という単純な議論を、マスコミはいまだに語り続けています。

(百田)困ったことに、戦後70年間で日本人は平和に慣れきってしまって、世界のなかでもっとも国防意識の低い国になってしまいました。同時期のヨーロッパも同じ冷戦の時代を過ごしていましたが、それでも軍隊はしっかり維持していた。中立国のスイスとオーストリア国民投票で徴兵制廃止を否決したし、ロシアと国境を接するフィンランドも徴兵制を維持しています。一度は徴兵制を廃止したウクライナでは、ロシアのクリミア侵攻後に徴兵制を復活させました。

 NATO加盟国でも徴兵制度を持っている国は多い。冷戦終結後に、フランス、ドイツ、スウェーデンが徴兵制を廃止しましたが、現在でもNATO加盟国でエストニア、トルコ、ギリシャデンマークノルウェーの5ヵ国が徴兵制を採用しています。さらに、2018年からスウェーデンが徴兵制を復活させる方針を固めたと報道されています。冷戦が終わって、現実にはヨーロッパで戦争が起きる確率はすごく低くなったのですが、国防という国の基本は絶対に忘れないのです。

 

人が住めない環境、暮らせない社会

・(石平)第1に環境破壊、第2に極端な格差と経済崩壊による2億6千万人の流民の処遇、第3に一人っ子政策の歪みによる3400万人の「男性余剰」の問題を解決するには、「中国人の生存空間を国外に求める」しかないのです。これは彼らにとって、きわめて論理的な結論です。

 中国の環境問題はPM2.5で有名な大気汚染だけでなく、砂漠化や水質汚染、水不足で彼らの生存空間が破壊され、狭められているために、国外に出なければ生きていけないし、領土を新たに獲得しなければならない。

 

<生存空間とは>

・(石平)生存空間とは、14億人の中国人民が暮らしていく環境全体を指す用語です。民族が生存していく基本要素として水と空気と土地が必要ですが、中国ではいずれも汚染が進んで、ほとんど回復不可能な状態です。その結果、中国大陸といういままでの生存空間は、人が生存できないようになってきたのです

 まず水問題から見ていきますと、中国全土で水不足が深刻化しています。2007年の政府発表によると、全国660都市のうち511都市が水不足に陥っており、なかでも110都市はとくに深刻な状況だと指摘されています。中国の水資源は人口に必要な量の3割しかなく、今後の枯渇をどう乗り切るかは国民全体のテーマと位置づけられています。

 にもかかわらず、水質汚染が深刻です。全国の地下水源の80%と地下水の45%がすでに汚染されており、都市部に限れば地下水源の97%、地上の水源の90%がコントロール不可能な汚染を受けてしまっているのです。すでに2億人以上が安全でない飲み水を使っています。

 さらに淡水系の5割、海域でも渤海の79%、東シナ海の78%、黄海の45%、南シナ海も28%が漁業に適さない水質になってしまったと報道されています。

 

水質汚染と並んで、大気汚染もひどい状態です。すでに2006年、中国の全都市の3分の2近くが、大気汚染問題を抱えていることが国家環境保護局の報告で明らかになりましたが、とりわけ石炭の産地で石炭火力発電に頼っている北部の山西省や北東部の遼寧省北京市天津市、河北省の39都市の汚染度がひどく、マスクが必要どころか、「もはや人間が暮らすことのできない程度にまで汚染が広がっている」と中国人自身が指摘するほど悪化しています。

 その結果として、たとえば2013年の中国で、大気汚染を原因とする死者は91万6千人に及んだと、精華大学と米の研究チームが発表しました。このままでは2030年に年間最大130万人が犠牲になると警鐘を鳴らしています。中国では肺ガン患者が毎年27%ずつ増えているといわれ、ガンによる死因の第1位です。たとえば、2012年に新しく肺がんになった人は世界で182万人でしたが、そのうち3割以上の65万人を中国人が占めた、とWHOが報告しています。

 

・「水土流出」が進むと土壌がますます痩せてしまい、植物や動物などの命を育むことができなくなってしまいます。その先に待っているのは土地の荒廃、荒れ地化です。現在、中国全土で水土流出が進んでいる土地の面積は356万平方キロメートルで、国土の何と38%を占めています。

 それに追い打ちをかけているのが、国土の砂漠化です。中国国家林業局の発表によると、2014年時点で荒れ地化したのは261万平方キロメートルで、国土面積の27%、4分の1以上ですが、砂漠化した土地は175平方キロメートルに達し(日本の総面積の4.6倍)、国土面積の18%、6分の1以上が砂漠化したというのです。現在も進む国土の荒廃で、4億人以上の生活に影響が出ているといわれます。

 

・すると、総人口の98%が暮らしているのはそれ以外の3分の2の土地ですが、その半分はまた「水土流出で荒漠化が進んでいる最中」の土地です。結局、このまま荒廃が進めば、14億人の中国人民にとっての「生息に適する良質の土地」、つまり国民に必要な「生存空間」は全国土の3割未満になってしまいます。しかも、その3割に属するはずの数多くの都市が水不足に苦しみ、地下水と地上水の大半が汚染されていて、至るところに汚れた大気に覆われているのが実情です。

(百田)聞いているだけで、背筋が寒くなってきます。まるで、ディストピア小説のあらすじを聞かされているようです。いや、ホラーSF小説の設定です。

(石平)これが、中国という巨大な公害国家が置かれている厳しい現実です。当然のことながら、今後、こうした状況が大きく改善される見通しはまったく立ちません。むしろ環境破壊はますます深刻化していく、と専門家は警告しています。なぜなら、中国人民はさらに豊かになろうと本格的な大量生産、大量消費の産業社会の建設に向かって一路ひた走っているからです。

 では、わずかに残った3分の1弱の「良質な国土」もどんどん汚染され、環境が破壊されていったら、14億人の民は一体どこで生存していけばよいのでしょうか。当然、中国人民は自国の外に自らの生存空間を確保していかねばなりません。これこそ、21世紀の世界に突き付けられた最大の難題のひとつなのです。

(百田)中国の政府高官は、子弟を世界中に移住させていますね。

(石平)もちろん、数千万円以上をかけて子供に海外で高等教育を受けさせ、永住権を取得できる高官たちの家族にとっては、生存空間の問題は解決しています。しかし、そんな経済力のある階層は人口の最上位2%にすぎません。庶民たちは困っています。

 

<最下層の流動人口、「男余り」、無戸籍者>

・(石平)2013年に政府が正式に発表した数字ですが、安定した生活基盤を持たず、職場と住居を転々としている流動人口が2億6千万人、そのうちの8割が農村戸籍を持つ、いわゆる農民工で、平均年齢は28歳とされています。この「暴動者予備軍」とされる、農村から都市部に流れてきた出稼ぎ労働者をどうするか。彼らははっきり言って、奴隷的な存在です。今後、そういう人々の生活をどう安定させるか、政権の死活にかかわる問題です。

 中国の経済成長は、もっとも安い賃金で働く彼らの犠牲のうえに成り立ってきました。農民から土地を取り上げ、開発した土地に投資してインフラや工場、住宅を建設する。土地を失った農民たちが農民工として安価な労働力となり、主に輸出向けの加工産業などで低賃金労働に従事し、リーマンショック以降は公共投資や不動産バブルに吸収されて、建設現場で働いてきました。しかし不動産バブルの崩壊と低成長によって、彼らは切り捨てられます。土地がありませんから、農村に帰ることもできません。中国にはまだ7億人もの農民がいるのです。2億6千万人もの怒れる不満層をどう養うのか、中国社会の抱える時限爆弾です

 

・(石平)1980年代生まれで、大学を卒業しているのに収入の低い若者です。仕事が見つからない、あるいは非正規労働で賃金が安いため、1人で住む部屋が借りられず、何人か集まって劣悪な環境で共同生活を送る若者が、北京だけでも10万人、上海その他にも多数いて、全国で100万人を超えると推計されています。大卒でも3割しか正規の職は得られません。中国はすでに、究極の格差社会なのです。

 

・(石平)国内問題を解決できないから、戦争も辞さずといって中国人の生存空間を拡張しなければならない。習近平政権が領土で強硬姿勢を崩さない背景に、2億人以上の怒れる下層民の存在があるのです。

 もうひとつ、中国の深刻な人口問題に、結婚適齢期の男女比のバランスが崩れていることがあります。長年の一人っ子政策に男尊女卑が加わり、後継ぎに男の子を求める家庭が多く、妊娠中の子が女の子だとわかると中絶したりで、出生するする男女比が120対100と歪になった結果、すでに3400万人もの「男余り」状態です。

 確実に結婚相手がいない若い男性が、社会への不満を蓄積する。考えてみれば、これも深刻な社会問題です。しかも、3400万人の適齢期の女性を短期間で確保するのは不可能ですから、国内で解決することは物理的にできません。そうなると、余った男たちを外国に送り込むしかない。領土を増やして流動人口を送り込むメリットは、ここにもあります。

 

<『カエルの楽園』>

・この対談では拙著『カエルの楽園』が素材として使われています。『カエルの楽園』は、「カエルを信じろ」「カエルと争うな」「争うための力を持つな」という不思議な「三戒」を守って平和に暮らしているツチガエルの国が、凶暴なウシガエルたちに滅亡させられるという寓話です。

 石平さんは『カエルの楽園』を非常に深く読みといておられました。それは石平さんご自身がおっしゃっていたように、彼の半生が、作中のソクラテスという名前のアマガエルの境遇と似ていたせいかもしれません。石平さんと話していると、作者の私よりも作品に深く通じているのではないかと思うことがしばしばありました。

 日本にもしっかりした研究に基づいて「中国の脅威」を語る人は数多くおられます。しかし石平さんの語る言葉は巷にいる中国ウォッチャーとは一線を画します。なぜなら、石平さんは中国で生まれ育ち、中華人民共和国の教育を受け(中国の最高学府である北京大学卒です)、中国の歴史についても、中国人の気質についても非常に深く知っておられるからです。中国という国を知り尽くした石平さんだからこそ、語る言葉にはリアリティがあり、その洞窟と分析は限りなく深いものがありました(現在、石平さんは日本に帰化されています)。

 

 

 

『これから始まる中国の本当の悪夢』

習近平に迫る経済壊滅、政権分裂、国内大乱

黄文雄 × 石平  徳間書店    2015/9/30

  

<「パンツ経済」しか構築できなかった中国>

・(黄)これまでの中国経済の構造的な歪みとしては、過剰生産、それと同時に国内の過少消費ですね。過剰投資によって、不動産や株がバブル化してしまいました。

 加えて、業績を上げるために無理な過剰生産を行ってきた。

 ・しかも、生産しても質がよくないので、売れない。中国人ですら、できることなら中国製品は買いたくないと思っています。日本での「爆買い」が象徴的ですが、中国人はブランド品のみならず、紙おむつさえ奪い合うように買っていくわけです。しかも、「爆買い」は転売目的です。

 ・商品の品質については、現在の中国では解決不可能です。基礎技術がないから、パクるしかない。地道な基礎研究を重ねるということはせずに、すべて海外の企業からパクったり、盗んだりしてきたというのが、改革開放のいわば「成果」であったわけですから、いまから基礎研究を始めて、製品開発力を磨くなどということができるはずがない。

 ・(石)1980年代、中国の主要輸出品は安物の靴下やパンツでしたが、現在でもわれわれは中国製のパンツを履いています。中国の輸出が数十年間でパンツから自動車に変わったかといえば、変わっていないのです。

 結局、中国製品というのは、安い労働力が唯一の武器だったわけで、農村には労働力が余っているから、いくらでもかき集めて安い賃金で働かせてパンツをつくれば、中国企業は潤ったのです。いわば、「パンツ経済」ですね。

 ・このような労働集約型の産業だから、技術開発をする必要がなかった。逆に言えば、いっこうに「パンツ経済」から抜け出そうとしなかったのです。

 しかし、労働者に安い賃金しか与えず、儲けは経営者に集中するという貧富の格差が拡大することで、長期的には国内消費が落ち込みます。結果的に、中国自身が製品をつくりながらも、国内の慢性的な内需不足に悩まされるようになりました。

 2000年くらいまで、中国のGDPにおいて個人消費が占める割合は46%ありましたが、ここ数年は35%前後にまで落ち込んでいます(日本は60%程度)。経済が成長するに従って、中国経済のなかで国民が消費する割合はむしろ減っているのです。 

 

・それでどうやって経済を成長させてきたかといえば、一つが輸出ですが、輸出を伸ばすためにはさらに賃金を安く抑える必要がある。それがまた、国内の消費不足を招くことになりました。

 もう一つは、黄さんが言ったように、過剰投資です。国民が消費しないなら、政府が投資すればいいということで、公共投資によって道路や橋をつくって、需要を創出したわけです。それに伴い、セメントや鉄鋼など、いろいろな需要が増えます。

 こうして中国は、全土で“投資中毒”になってしまった。中央政府も地方政府も、公共投資土地開発をバンバン行った。その資金を調達するためにお札を刷り、さらに投資を増やして経済成長を加速させていったのです。

 そんな政策を長くやってきたことで、過剰生産が深刻化してしまった。人が住まないゴーストタウンが大量にできあがり、生産設備も全部が余るようになったのです。

 <輸出では13億超の国民を養えない>

・(黄)内需も投資も限界となると、中国にとっては外需頼みになるしかない。だから、AIIBにしても、中国国内の過剰生産を海外でのインフラ建設に向ける狙いがあるわけですね。

 とはいえ、通商国家の弱みは、相手国に買う力がなくなると経済危機に陥るということです。

 <中国政府の経済対策は「やるやる詐欺」>

・(石)中国共産党としては、成長が止まってしまえば政権を維持できないことがわかっている。雇用を確保できなければ、全国で大暴動が起きて政権が吹っ飛ぶ。

 だから、「経済改革をやる」とは宣言しても、本当にやれば中国経済はさらに悪化するから、結局は旧来のやり方を踏襲するわけです。いわば、“やるやる詐欺”みたいなものです。

 とはいえ、経済改革をやるにしてもやらないにしても、経済崩壊が早まるか、少しは先延ばしになるくらいで、どっちみちもう持たないでしょう。

 ・(黄)結局、これまでもよく言われてきたように、8%以上の経済成長率がないと、完全雇用は不可能なのです。

 いま、中国の毎年の大卒者は約700万人ですが、その3分の1が就職できないと言われています。

 ・こうした大卒者を含めて、年間約1500万人の新規雇用を吸収しないと社会が安定しないわけですが、中国政府は先の全人代で経済成長率の目標を7%前後でいいということで決定しています。

 次はシャドーバンキングの大爆発が起こる

・(黄)土地バブルが弾けたことで、もともと高利のシャドーバンキングへの債務が返済不能となり、地方政府の破綻と、不良債権が拡大する可能性が高まったので、地方政府の救済策として、低利の地方債を発行して資金調達することを認めたわけです。

 とはいえ、問題は何も解決していません。単に借金のつけ替えをしただけで、債務は解消されていないし、返済の落ち込みを防ぐために土地や不動産に流れ込む可能性も高い。そうして再び、不良債権の火種が拡大していく危険性があるでしょう。

 地方政府のみならず、中央政府も巨額の債務を抱えています。

 ・(黄)中国のシャドーバンキングの規模について、イギリスの銀行大手バークレイズは、2014年時点で38兆8000億元(約621兆円)と推計していますが、誰も正確なことはわからない状態で、一種のブラックボックス化しています。正確な数字がつかめないので、いざ破綻したら、どこまで被害が広がるかまったくわからない。

 闇金融化した中国経済に打つ手なし

・(石)しかし、こういうめちゃくちゃな状況は、もう最終局面だと思いますよ。株価の暴落は相変わらず繰り返されていますし、実体経済はさらに落ち込むでしょう。不動産市場の規模はどう考えても半減するだろうし、輸出も回復しない。

これまでの政府主導の投機・賭博経済、パンツ経済などなど、すべて終わらざるをえない。

 世界で次々と失敗している中国の対外投資

<チャイナショックの世界的影響は?>

・(石)中国は経済的にも政治的にも外交的にも、世界から信頼されていないのは確実ですね。

 問題なのは、中国経済の崩壊が進むことで世界経済にどれほど影響を与えるかということです。

 私はおそらく限定的な影響しかないのではないかと思っています。もちろん、株式市場の大暴落や景気減速は、一時的にいろいろな影響を与えるでしょう。

 ・しかし、日本全体にとっては、それほど大した傷にはならない。というのも、中国からの生産設備の移転は進んでいるし、対中輸出も現在ではそれほど大きくないからです。

 日本の対中投資を見ると、2014年で4割減、2015年も1~5月で9.4%減と、毎年減りつづけています。

 一方、韓国などは悲惨な状況になるでしょう。この数年、完全に中国依存型の経済になっていますから。

 ・(黄)台湾の元大宝華総合経済研究所によると、対中輸出への依存度(対GDP比)が世界でもっとも高いのはマレーシアで19.18%。次に韓国が14%、シンガポールが10.73%と続くそうです。これに対して、日本は2.48%しかない。

 ・(石)ヨーロッパでは、おそらくドイツがもっとも影響を受けるでしょうね。ドイツは盛んに中国に投資していますし、メルケル首相は毎年、中国を訪問しています。日本には一度しか来ていませんが。

 <賄賂をもらえない者は尊敬されない中国

・(黄)だいたい、中国の場合は、賄賂をもらえないのは下っ端なんですよ。賄賂をもらえる人こそ、地位が高いと考えられている。

 だから、賄賂がもらえない人は、誰も相手にしてくれないんです。

 <今後問題になるのは日本国内の反日勢力>

・(黄)対中国について常に意識せざるをえない台湾では、こうした反中国の動きが高校生にまで広がっているのです。それに対して、日本では、安保法制に賛成する学生たちの動きというのは、ほとんどないですね。どうも台湾とは方向性が逆なんです。

 <日本の外交は、まだまだ中国に対して甘すぎます>

また、彼ら(中国人留学生)のほとんどが中国共産党幹部や軍部の子弟です。だから、もともと反日ですし、中国に帰れば反日的な言動を行うようになる。日本に留学した中国人が、人権活動家となって習近平政権を批判したり、反体制派になったりしたということは、まず聞いたことがありません。

 だから、日本政府は、反日中国人を育てるために多額の国費を投じているわけです。こういうところから修正していく必要がある。

 日本では反日日本人が、こうした反日中国人、反日韓国人と呼応して、盛んに日本の非を鳴らしている。むしろ問題は中国側というよりも、日本国内のほうにあると思うのです。

 ・(黄)また、日本国内の韓国人や左翼勢力とも連携して、歴史認識問題だけでなく、安全保障、原発、沖縄問題など、さまざまな点で日本を弱体化させるような方向への世論形成を目論んでいる。そういう点に、日本人はもっと警戒すべきです。

 これまでの中国のやり方を見ても、中国は情報戦で相手を封じこめる事が多かった。口では「絶対不可分の領土」だとか。「沖縄解放、琉球回収」などと過激なことを言いますが、実際に直接的な行動に出ることはあまりない。

 台湾に対しても、この70年近く、「血で台湾を洗う」などと激しい言葉で脅かしてきましたが、威嚇はあっても実際の武力行使はしてこなかった。やはり、それだけの実力がなかったということでしょう。

 そのかわり、国際的なプロパガンダを盛んに仕掛けてきました。ロビー活動などで相手を取り込もうとする。

 ・もちろん、日本の保守派にも反米の人はいます。その理由もわかるのですが、現実問題として、やはり中国の脅威は見過ごせない。いま、アメリカと袂を分かつことに、何のメリットもありません。

 それに、日本がアメリカと離れるならば、独自防衛を覚悟しなくてはなりません。核武装か、核以上の最終兵器の開発をすることも含めて、それだけの覚悟があるのか。対米従属である必要はありませんが、国益のためにアメリカをうまく利用するというしたたかさが必要ですね。

 ・(石)加えて、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の行方も重要です。日本でもアメリカでも、TPPについては賛成から反対までさまざまな意見があり、また、抱えている問題点も多いのは確かです。

 しかし、安保法制で日米同盟が強化されると同時に、TPPが成立することにより日米中心の経済圏ができあがれば、日米の相互依存度はますます高まります。

 ・(黄)TPPについては、とにかく短期的に考えるのではなくて、100年単位くらいの長期で考えるべきでしょう。しかも、石平さんのおっしゃるように、TPPは単に経済の問題だけではありません。

 <中国は本当に戦争をするか>

・(黄)加えて、中国が今後、本当に戦争に持ち込む可能性があるかどうか、という点についても、日本は検証する必要があるでしょうね。

 ジョージ・ソロスは「中国の経済が崩壊して、第3次世界大戦が起こる」というようなことを言っていますはたして習近平は戦争をしようと思っているのか。あるいは、戦争をしたがる軍部が暴走する可能性もある。その点はどうですか。

 ・(石)習近平はいつでも戦争をやりたいというわけではありません。ただ、自分たちの戦略を達成するために、武力と戦争を、相手を恫喝する手段であると考えているのは確実です。そこが問題です。

 ・そういう意味では、かなり危険な部分がありますね。

 中国の軍人については、いま戦争したいとは思えない。彼らにすれば、戦争で勝っても負けても賄賂を採れない。戦争などどうでもよくて、お金さえ儲かればいいと思っている。ただし、自分たちのところに膨大な予算が入ってくるために、あるいは体制内の自分たちの立場を強化するために、わざと好戦的な姿勢を示すことがあります。

  

チャイナ・リスク爆発前夜』

黄文雄   海竜社   2011/8/16

  

中国のカタストロフィーがやってくる日

・中国は国が大きく、人口も多い。だからこそ政治経済的にも社会文化的にも矛盾がうずまく。20世紀に入ってから、ロシア帝国オスマン・トルコ帝国、すべての植民地帝国、そして、ソ連社会主義帝国が崩壊したのはそのためである。

 ・人民共和国を見るかぎり、大躍進失敗後に数千万人が餓死、文革のように党、政府まで崩壊しても国家が生き残ったのは、民国や清帝国時代もそうだった。国家の破局体制崩壊はきわめて多元的な原因によって起こる。戦乱や天災、疫病などの複合的中国型カタストロフィーが連鎖的に襲来するのが、よく見られる中国崩壊の歴史法則であった。

  人民共和国が辿る歴史の宿命は崩壊である。その日は、複合的中国型カタストロフィーが襲来し、党人が民衆を管理する力が限界に達する日であろう。

 アメリカに対する中国の戦争恫喝

 ・台湾に対する核や中性子爆弾や日本に対する核や水爆の恫喝発言は別として、核大国のアメリカに対しても核恫喝が今でも続いている。その中でも、軍長老の超震と朱成虎将軍の対米核恫喝が代表的だ。超将軍によれば、中国は7回もアメリカを消滅できる核を持っている。その半分ぐらい使用すればアメリカも目が覚める、と核による「訓戒」と「懲罰」の用意があると警告したのだ。

 ・「アメリカが台湾との紛争に軍事介入するなら、中国はアメリカに対する核攻撃の用意がある」。

 ・「アメリカは数百の都市が破壊されることを覚悟するべきだ

 ・「アメリカに対しては我が国が備蓄する核の10分の1で充分だ。台湾、日本、インド、東南アジアは人工密集の地域であり、人口削減のための核攻撃の主要目的となる。

 ・「我々の行く先を邪魔するアメリカを殲滅することが我が国の最大目標である

 「我々は非常手段を使ってアメリカを殲滅し占領する。準備を着々と実行に移していく。もう一つの中国を建設することで中華民族は安泰だ。このアメリカを倒すには飛躍的に発展したバイオ技術を使って、化学兵器よりも生物兵器による大規模殺人が効果的だ」(元国防相 遅浩田)

 ・「改革開放の勝ち組として億万長者はほとんどが、「権貴」といわれる「特権貴族」で、ことに代表的なのは「太子党」といわれる党高級幹部の子女、家族、親戚である。ことに億万長者の8割以上が軍の高級幹部ともいわれる。ではなぜ中国人民解放軍の大幹部は、権貴資本主義中国の主役になったのだろうか。

 ・「解放軍と民間企業との決闘、乱闘が続出している」