日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

コンタクティやチャネラーの情報を集めています。森羅万象も!UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象といわれます。

2007年に生まれた日本人の子どもたちの半数は107歳まで生きると推計されている。平均寿命100歳の時代が訪れようとしている。おそらく日本はそこに名乗りを挙げる最初の国の一つとなるかもしれない。(1)

 

 

ガラパゴス・クール』

日本再発見のための11のプログラム

クール・ジャパン論」を越えた21世紀の新ジャポニズム

船橋洋一  東洋経済新報社   2017/2/24

 

 

 

「失われた時代」からの跳躍

・「失われた時代」からいかに抜け出すか、どのようにして次に踏み出すか。そうした切羽詰まった時代状況の中で、単にインフレから脱却し、成長の糧をつかみ取るだけでなく、世界の直面する課題と需要を世界とともに取り組み、取り込む中で、新たな座標軸、言い換えれば新たな価値観を探求することが、日本が「失われた時代」を克服し、次の時代へ跳躍する上でおそらく必要なのではないか。

 

・日本はもはやどこかの先進モデルにキャッチ・アップするという受け身の姿勢ではなく、同時代を生きる国際社会の一員として、ともに世界を生き、人生を謳歌し、よりよき社会とより豊かな経済を築き、平和な世界を作る、そのような世界の切実な課題と利害関心に一緒に取り組み、その成果を共有する歴史的立ち位置にある。

 

・次に、日本人論はやらない。

 日本の魅力を探求するとしても、それは日本の文化がユニークであり、日本は特殊であるが故に、日本が優れているとか、日本が魅力的であるという日本特殊論の立場は取らない。世界とともにより豊かに、そしてより平和に生きる日本のフロンティアを探求したい、日本から世界に与える「もの」や「こと」、そして、そういうことに取り組んでいる「人」を発見したい。

 

・最後に、日本の魅力を他国や他の民族と比較し、その良し悪しを語ることでそれを定義するのは慎む。

 

日本が世界に提供できるものは何か  三浦瑠麗>

<なぜ日本は重要なのか>

・日本は戦後、20年近い高度成長と「ジャパン・アズ・ナンバーワン」によって世界に華々しく再登場した。しかしその後、冷戦終焉とほぼ同じくして発生したバブル崩壊後の20年以上に及ぶ経済低成長の「失われた時代」と、グローバル化と、中国台頭の中での「ジャパン・パッシング」によって、その存在感は徐々に低下していった。

 

<日本は今なお「失われた時代」の中にいる。>

日本の「失われた時代」そのものが、それと似たような挑戦に直面する国々にとっては「日本化」現象として意識されるに至っている。要するに日本は反面教師の役割を図らずも担っているだけであり、日本への関心もその文脈において注目されているにすぎないのかもしれない。

 

・もう1つ、日本に対する世界の関心はグローバル化が進めば進むほどその価値を増してくる多様性、それも息の長い文化と伝統を踏まえた多様性に注がれている。

 

・インバウンド観光の戦略的産業としての発見にもこうした側面が見られるが、総論で船橋が論じるように、それは、日本社会がグローバル化に深くさらされ、組み込まれる過程で、デザインやイノベーションなどの分野を中心に世界規格から自らを閉じたいわゆるガラパゴス化グローバル化――が生じている。

 

なぜ日本は重要なのか  ガラパゴスグローバル化

・「日本は世界一クリエイティブな国だ。グローバルな意識調査をした結果では36%の回答者が日本が一番クリエイティブな国だと答えている。私自身もそう思う。問題はそのクリエイティブさを解き放つことができるかにかかっている」

 ケリーは日本人の新しいものに対する好奇心と、弛まない修練と、細部へのこだわりと、正確な技術がその創造力の土台にあるという。

 

<社会課題からのバックキャスト>

・さらにいえば、ガラパゴス化を世界に解き放つには、それぞれの技術なり事業なり企業家が、どれだけ社会のニーズと社会システムの変革に敏感であり、コミットメントを持つかにもよっているだろう。

 

ガラパゴス化グローバル化と日本の次なるフロンティアの開拓は本質的なところで、日本社会のグローバル化と開放性と深く関わっているのである。

 

<日本文化の奥深い「旨み」>

・第1章(加藤)は、日本の観光資源の豊富さと観光サービスの多彩さが、アジアの新興中産階級の世界への目ざめと交差する地平に日本のインバウンド開国の可能性を見だしている。

 

・日本の飲食店・レストランに世界でも例を見ないほどの多くの星がついたミシュランガイドを発行している、日本ミシュランタイヤの元会長である、ベルナール・デルマスは、日本の料理人がとりわけ注意深くイノベーティブで豊かだと指摘する。それはとりもなおさず、日本は食の世界では熾烈な競争が存在し、また消費者の味覚の質が高いことを意味している。

 

・第2章(毛)は、日本の文化、芸術、ライフスタイルの魅力を、村上春樹、「清貧の思想」「断捨離」などのブームを切り口に、中国での受容のあり方を切り口に解き明かしている。そして、その観点に限っていえば、日本の「失われた20年」は日本にとって「恵まれた20年」だったと論じる

 

・第3章(隅、バントロック)は、日本のデザインや建築が世界をリードしているだけでなく、世界に大きな影響を及ぼしている姿を描く。

 建築のノーベル賞といわれるブリツカー賞を受賞した日本の建築家はこれまでで7人、世界のどの国よりも受賞者が多い。

 

・第4章(アルト)は、『Pokemon Go』をはじめとするゲーム、ユニクロに象徴される日本ファッション、さらにはMUJIやコンマリに代表される日本のライフスタイルに焦点を当てる。

 

<世界に誇るアイデアやヒント>

・確かに、日本にはシリコンバレーが生み出すような突破力のあるイノベーションや起業家はごく少数であるかもしれない。

 しかし、日本の大企業はスタートアップの力を摂取し、活用するために革新を遂げつつある。情報技術や科学技術を中心とするスタートアップ企業のエコシステムも離陸し始めた。起業家たちと大企業は共生関係に立ちつつある。

 

<日本の役割と貢献>

・第9章(伊波)は、インフラ構築、母子手帳、米栽培、保健システム、海上警備に至るまで日本の国際援助機関、JICA(国際協力機構)の現場のさまざまな取り組みに焦点を当て、そこから日本の対外援助の理念と実践のエッセンスをつかみだしている。

 日本の開発途上国に対する援助の特徴は、経済成長に長期的に資するインフラ建設を重視してきたことであり、また自らの価値観を当てはめ、押しつけることを控え、援助の受け入れ側の最も切実なニーズにボトム・アップで応えようとしてきたことである。いずれも、援助を一回きりの慈善ではなく持続的な自力更生の能力を構築することを目標としている。援助の最終ゴールは「途上国が1人で補助論を外しても自転車に乗れるようになる」ことという現場の声が印象的である。

 

・その際、21世紀に入ってから激変した国際環境—―9・11テロと中東国際秩序のメルトダウン、中国の海洋攻勢、欧州統合のひび割れとロシアのクリミア併合とウクライナへの介入、米国主導の世界秩序の揺らぎ――といった地政学地殻変動を前に、「グローバル・シビリアン・パワー」もそれに応えるべく新たな戦略概念を付加する必要が生じてきた、と主張する。具体的には「人間の安全保障」概念、「法の支配」アプローチ、「海の平和」の能力構築を中心に、日本の新たなイニシアティブの意義を強調している。

 

ソフトパワーは物語を伝える力>

・日本のアイデアやイニシアティブが世界で発見され、受け入れられる。そして、そのことが日本で再発見され、再評価される。

 そのようにして、日本は世界に提供できるものを改めて知るに至る。

 別に日本に限ったことではないだろう。

 国々の文物は昔からそのような力学と過程を経て、世界に伝搬したのであろうし、人々はそうして世界を知覚し、世界を共有してきたのだろう。

 

<世界一の美食都市>

・2010年、東京はミシュラン三ツ星レストランが世界で最も多い都市となった。それを発表した記者会見でミシュランガイドブックの総責任者ジャン・リュック・ナレは「東京は世界における美食の首都」と述べた。その後も、東京は世界一の美食都市の座を維持している。2015年に星を獲得したのは226店で、2位のパリの95店を大きく引き離している。

 

<観光先進国への5つの課題>

競争力のある観光産業を持っているか否かは、先進国かどうかのカギでもある。その点、日本の観光産業はまだまだ発展途上である。GDPに対する外国人観光客から得た収入の比率を見ると、日本は0.4%でしかない。

 それでも、日本への海外からの観光客は、過去5年で3倍以上に膨れあがっている。日本政府は2020年までに4000万人の観光客の目標を掲げ、「観光大国」、あるいは「観光立国」を標榜し始めた。

 しかし、日本にはインバウンド・フロンティアを大きく開く上で、いくつかの重大な課題を克服しなければならない。

 第1に、観光客の数だけを追わないことである。

 

・第2に、過度の精神論、過度の文化論の落とし穴に嵌まらないことである。

 

・第3に、日本を「1つの日本」ではなく、「多様性に富む日本」として意識し、表現し、語ることの大切さである。

 

・第4は、規制解除が急がれることだ。日本の観光は、旧態依然たる規制とその規制を維持させようとする既得権益の壁を打ち破れないため、新たなイノベーションが起こりにくい。

 日本のホテル・旅館は旅館業法にのっとって運営されている。これだと個人の住居用の部屋が旅行者に貸し出されるAirbnbのようなシェアリング・エコノミーのサービスは浸透しない。

 

・第5に、インバウンド・フロンティアを新たな国づくりのための一大産業に育て、それを経済だけでなく文化の創造へと深め、それを通じて日本と世界(中でもアジア)の共存と平和の足場とすることである。

 その過程で、他者の目に直接さらされ、他者との対話も共感も生まれ、自己標識を研ぎ澄まし、自己認識を深める契機をつかみとることができるだろう。

 

<日本のフロンティアを世界のフロンティアにする>

20世紀が『組織の世紀』であったとすれば、21世紀は『個人の世紀』となるだろう。>

グローバル化の時代、英語とコード(コンピュータ言語)による世界とのリアルタイムで円滑なコミュニケーションができ、協調も競争もできるグローバル人材が必要なことはいうまでもない。世界標準を使いこなし、身につけてこそコネクティビリティーもスケールもモノにすることができる。

 

<量が勝負の戦いはできない>

・今、日本のフロンティアを日本の中に発見する試みはますます重要になりつつある。

 日本は、人口減少と少子高齢化と地方消滅によって、これまでのような成長はもはや望めない解決を求めて山積みする課題に応えるための企業の技術革新と社会のシステム革新が待ったなしの状態にあるグローバル化と技術革新の波に飲み込まれず、日本の競争優位と付加価値を常に維持、発展させる必要がある。日本の中にフロンティアを拓くことが大切である。

 

Galapagos cool(ガラパゴス・クール)とGalapagos fool(ガラパゴス・フール)

・その逆に、ガラパゴス化を日本だけで賞味し、満ち足りているところからは新たな発見も、再発見も生まれないし、普遍的な価値をもたらす革新も出てこない。そのような自己満足的な閉鎖的なガラパゴス化は結局は、ガラパゴス・フール(Galapagos fool)で終わるだろう。

 

<日本は再び躍進を遂げる可能性がある>

要するに、日本は再び躍進を遂げる可能性があり、それはすでにこの国で起きている大企業と、興隆しつつあるスタートアップ企業のエコシステムによる、ハイブリッド型のイノベーションに負うところが大きい。新生日本はまだまだ進行中ではあるが、本章では、活用されていない既存大企業の強靭さと、過小評価されているスタートアップエコシステムの高い変革力の両方を活かして、日本が重要な役割を担う領域があることを明らかにしてきた。新生日本は急速に進む高齢化社会の課題に取り組みながら形成されていくだろう。

 

<平均寿命100歳時代   石川善樹>

<2007年生まれの半数は107歳まで>

・カリフォルニア大学バークレー校およびマックスプランク研究所の研究によれば、2007年に生まれた日本人の子どもたちの半数は107歳まで生きると推計されている。

 平均寿命100歳の時代が訪れようとしている。おそらく日本はそこに名乗りを挙げる最初の国の一つとなるかもしれない。

 2015年段階で、日本人女性の平均寿命は87歳、男性は81歳である。女性は香港に次いで世界2位、男性は香港、アイスランド、スイスに次いで4位である。

 

・1947年、日本人の平均寿命は女性54歳、男性50歳だった。そのときに比べるといずれも30歳以上、長生きする社会になった。1980年代以降、日本は世界屈指の長寿国であり続け、なお毎年のように平均寿命の記録を更新している。2007年生まれの子どもの半数が107歳まで生きるという上記推計は、この傾向が今後も長期にわたって続くことを示唆している。

 

・日本の平均寿命が長くなった原因については複数の理由がある。

 栄養状態の改善や衛生状況の改善に加えて、和食中心の低脂肪、低カロリーの食習慣や減塩運動のような啓発活動が功を奏したことが原因として挙げられてきた。また、公衆衛生の改善が戦後まもなく、高度経済成長よりも前に達成されたこと、そして国民全体の貧富の差が比較的小さかったことも平均寿命を伸ばすことに寄与した。

 

・1961年に日本が国民健康保険を導入したとき、英国はまだそれを実施していなかった。当時の、日本の国民所得は英国の半分にすぎなかったのである。

 その一方で、健康や命を守る保健医療にかかる日本のコスト(医療費)がGDP比で増え続け、国家財政を脅かしている。

 かつての日本は、医療費が低いことで知られていた。しかし、医療費の増加の勢いは経済成長をはるかに上回るペースで進み、医療費対GDP比率はここ数年で急激に上昇した。2005年は8.1%(OECD平均8.1%)であったが、2013年には10.2%とOECD平均の8.9%を上回り加盟34ヵ国中8位となった。

 また2014年の数字では、税収約54兆円に対し、医療費の国庫負担は約11兆円と2割を占めるに至っている。

 

<健康食としての和食>

・近年、注目を集めているのが、和食(日本人の伝統的な食文化)の健康への影響である。

 2013年に和食は無形文化遺産としてユネスコに登録された。それにより和食の特色である出汁やうま味への世界の関心が強まるとともに、和食が健康にいいという点も広く紹介されることになった。

 日本の食事つまり和食が健康にいいという見解を最初に発表したのは、米ミネソタ大学の生理学者、アンセル・キーズ博士らの研究チームである。

 キーズは第2次世界大戦終了後の1947年、心臓病で亡くなる人が急増していることに気づき、それがコレステロール値の高さと関係し、そしてコレステロール値は、肉、卵、チーズに含まれる飽和脂肪酸と関係しているのではなかいと仮説を立てた。

 

・各国のデータを比較してみると、驚くべきパターンが浮かび上がった。

 特に有名なのが、血中のコレステロール濃度を、日本とフィンランドとを比較した次のグラフである。当時のフィンランドは、世界で最も心臓病が多い地域として有名だったが、データからもコレステロールの濃度が高いことがみてとれる。これに対して、日本のコレステロール濃度は極めて低い。

「日本人の心臓病死亡率が低いのは、どうも和食が関係しているらしい」ということが国際比較の中ではじめて科学的に証明されたのがこの研究だった。

 

ただ和食には、野菜、果物、魚のほか豆腐、こんにゃく、麩などの低脂肪、低カロリーの素材が多い。これが、心臓病死亡率だけでなく直腸癌と乳癌による死亡率をも低下させる上で重要な要素となっていると見られている。

 その一方で、日本の食事では塩を多用するため、それが脳卒中を多発させる原因になっているとも指摘されてきた。ただ、1960~1970年代にかけて、国をあげた減塩キャンペーンを行い、世界最悪だった脳卒中死亡率は劇的に低下した。

 

<ナショナル・データ・クリニック>

・ところで、平均寿命100歳国家への道のりが始まったのは、今から半世紀以上前の1961年の国民皆保険の導入に遡る。

 その背景には大正デモクラシー時代の1922年、政府が労働者保護のために創設した健康保険法がある。その後、世界恐慌ショックもあって日本も大不況に陥る中で、農業所得が激減。農家の収入の半分以上が疾病の治療費に充てられるような事態となった。そのため1938年には、新設された厚生省が企業労働者以外を対象とした国民健康保険法を制定した。

 戦後は、1958年に制定された新たな国民健康保険法に基づいて、1961年には国民皆保険の導入が実現した。

 

・ただ、皆保険が実現された日本では、データ様式の標準化が進んでいる領域が少なくない。病院や診療所が保険請求する際に用いるカルテの臨床データはすでに99%が電子化されている。また、国民がほぼ毎年健康診断が受けられる仕組みが整備されているため、健康状態を把握するためのデータも蓄積が進んでいる。このビッグ・データを上手に活用することが、保健医療のイノベーションに不可欠となってきた。

 

<「健康寿命ギャップ」解消>

・日本政府は現在、「健康寿命」を延ばすことを政策目標に掲げている。

健康寿命」は、世界保健機関(WHO)が2000年に発表した新しいコンセプトであり、単に長生きするというだけでなく、いかに健康に長く生きられるかも尊重されるべきだという価値観を踏まえている。

 

・実際のところ、「健康寿命」では日本はすでに世界187ヵ国中第1位である。

 しかも、日本は最も健康な子どもの国でもある。日本は西欧の食文化が深く浸透しているが、それでも肥満症の子どもが世界で最も少ない。ここでも、野菜、果物、豆腐、魚中心の食文化、それらを主体とする学校給食、徒歩で学校に通う習慣などが肥満防止に役立っているとみなされている。現在、日本で生まれる子どもは、世界のどの国で生まれる子どもよりより長く健康な生活を送ることになるだろうと専門家は見ている。

 

<健康は「人間の安全保障」>

・21世紀、アジア諸国が日本の高齢化とほぼ同等かそれを上回る速度で同じように高齢化社会へ向かっている。そこに到達する速度は、タイ20年、ベトナム15年、ミャンマー30~40年、アジア全体では25年である。

 

・そうした日本の保険医療のパラダイムシフトへと思い切って踏み出さなければならない。

 少子高齢化、さらには人口減少の時代を迎え、国民の健康を守る、最も基本的な次元での「人間の安全保障」は、国家の大きな使命であり責任となっている。

人間がより有意義な選択肢を得ようとするときに健康を損なうと、選択肢を増やすチャンスを確実に失ってしまいます。ですから、人間の安全保障という考え方の中でまさに中核を占めるのが健康です

 

 

 

『未来の年表』 人口減少日本でこれから起きること

河合雅司   講談社   2017/6/14

 

 

 

<呑気な人々>

 

2020年 女性の半数が50歳越え

2024年 全国民の3人に1人が65歳以上

2027年 3戸に1戸が空き家に

2039年 火葬場が不足

2040年 自治体の半数が消滅

2042年 高齢者人口がピークを迎える

 

少子高齢化に歯止めをかける」と口にする国会議員、地方議員は数知れない。全国各地の議会や行政の会議で、認識不足や誤解による議論が重ねられ、どんどんトンチンカンな対策が生み出されている。

 

<“論壇”の無責任な議論>

・たしかに、目の前にある人手不足は、機械化や移民による穴埋めで幾分かは対応できるかもしれない。だが、日本の労働力人口は今後十数年で1000万人近くも少なくなると見込まれる。そのすべてを機械や外国人に置き換えることにはとうてい無理があろう。

 

・最近は、悲観論が語られることを逆手に取ったような論調も多くなってきた。人口減少を何とかポジティブに捉えることが、現実を知らない聴き手にはウケるのかもしれない。「人口減少は日本にとってチャンスだ」、「人口が減ることは、むしろ経済成長にとって強みである」といった見方がそれである。

 

・あまり知られていないが、この社人研の推計には続きがある。一定の条件を置いた“机上の計算”では、200年後におよそ1380万人、300年後には約450万人にまで減るというのだ。

 

この“机上の計算”は、さらに遠い時代まで予測している。西暦2900年の日本列島に住む人はわずか6000人、西暦3000年にはなんと2000人にまで減るというのである。ここまで極端に減る前に、日本は国家として成り立たなくなるということだろう。それどころか、日本人自体が「絶滅危惧種」として登録される存在になってしまいかねないのだ。

 要するに、国家が滅びるには、銃弾1発すら不要なのである

 

<「静かなる有事」が暮らしを蝕む>

・言うまでもなく、人口が激減していく過程においては社会も大きな変化を余儀なくされる。それは、時に混乱を招くことであろう。

 日本の喫緊の課題を改めて整理するなら4点に分けられる。1つは、言うまでもなく出生数の減少だ。2つ目は高齢者の激増。3つ目は勤労世代(20~64歳)の激減に伴う社会の支え手の不足。そして4つ目は、これらが互いに絡み合って起こる人口減少である。まず認識すべきは、社会のあらゆる場面に影響をもたらす、これら4つの真の姿だ。

 

・最近メディアを賑わせている「2025年問題」という言葉がある。人口ボリュームの大きい団塊世代が75歳以上となる2025年頃には、大きな病気を患う人が増え、社会保障給付費が膨張するだけでなく、医療機関介護施設が足りなくなるのではないかと指摘されている。

 だが、問題はそれにとどまらない。2021年頃には介護離職が増大、企業の人材不足も懸念され、2025年を前にしてダブルケア(育児と介護を同時に行う)が大問題となる。

 2040年頃に向けて死亡数が激増し、火葬場不足に陥ると予測され、高齢者数がピークを迎える2042年頃には、無年金・低年金の貧しく身寄りのない高齢者が街に溢れかえり、生活保護受給者が激増して国家財政がパンクするのではと心配される。

 少子化は警察官や自衛隊員、消防士といった「若い力」を必要とする仕事の人員確保にも容赦なく襲いかかる。若い力が乏しくなり、国防や治安、防災機能が低下することは、即座に社会の破綻に直結する。2050年頃には国土の約2割が無居住化すると予測される。さらに時代が進んで、スカスカになった日本列島の一角に、外国から大量の人々が移り住むことになれば、武力なしで実質的に領土が奪われるようなものだ。

 

<国家を作り替えるために>

・では、われわれはこの「静かなる有事」にどう立ち向かっていけばよいのだろうか?

 出生数の減少も人口の減少も避けられないとすれば、それを前提として社会の作り替えをしていくしかないであろう。求められている現実的な選択肢とは、拡大路線でやってきた従来の成功体験と決別し、戦略的に縮むことである。日本よりも人口規模が小さくとも、豊かな国はいくつもある。

 

・日本最大のピンチと私が考える「2042年問題」(高齢者の激増期)を乗り越えるための提言と言ってもよい。われわれが目指すべきは、人口激減後を見据えたコンパクトで効率的な国への作り替えである。本書刊行時の2017年から2042年までに残された時間はちょうど25年。国の作り替える時間としては、それは決して「潤沢な時間」ではない。未曽有の人口減少時代を乗り越え、豊かな国であり続けるには、1人ひとりが発想を転換していくしかない。

 

<人口減少カレンダー>

2016年 出生数は100万人を切った

 

2017年 「おばあちゃん大国」に変化。「65~74歳」人口が減り始める。

 

2018年 国立大学が倒産の危機へ。18歳人口が大きく減り始める。

 

2019年 IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ。世帯数が5307万とピークを迎える。

 

2020年 女性の2人に1人が50歳以上に。出産可能な女性数が大きく減り始める。

 

2021年 団塊ジュニア世代が50代に突入し、介護離職が大量発生する。

 

2022年 団塊世代が75歳に突入し、「ひとり暮らし社会」が本格化する

 

2023年 団塊ジュニア世代が50代となり、企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる

 

2024年 団塊世代がすべて75歳以上となり、社会保障費が大きく膨らみ始める。3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ

 

2025年 ついに東京都も人口減少へ。東京都の人口が1398万人とピークを迎える。

 

2026年 認知症患者が700万人規模に。高齢者の5人に1人が認知症患者となる。

 

2027年 輸血用血液が不足する。手術や治療への影響が懸念されるようになる。

 

2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える。団塊世代高齢化で、東京郊外にもゴーストタウンが広がる。ITを担う人材が最大79万人不足し、社会基盤に混乱が生じる。

 

2033年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる。空き家が2167万戸を数える。老朽化したインフラの維持管理・更新費用が最大5兆5000億円程に膨らむ。

 

2035年 「未婚大国」が誕生する。男性の3人に1人、女性は5人に1人が生涯未婚になる。

 

2039年 死亡者数が167万9000人とピークを迎え、深刻な火葬場不足に陥る。

 

2040年 全国の自治体の半数が消滅の危機に晒される。団塊ジュニア世代がすべて65歳以上となり、大量退職で後継者不足が深刻化する

 

2042年 高齢者人口が約4000万人とピークを迎える。

 

2045年 東京都民の3人に1人が高齢者となる。

 

2050年 世界人口が97億3000万人となり、日本も世界的な食料争奪戦に巻き込まれる。現在の居住地域の約20%が「誰も住まない土地」となる。団塊ジュニア世代がすべて75歳以上となり、社会保障制度の破綻懸念が強まる。

 

2053年 総人口が9924万人となり、1億人を割り込む。

 

2054年 75歳以上人口が2449万人でピークを迎える。

 

2055年 4人に1人が75歳以上となる。

 

2056年 生産年齢人口が4983万6000人となり、5000万人を割り込む。

 

2059年 5人に1人が75歳以上となる。

 

2065年~外国人が無人の国土を占拠する。総人口が8807万7000人で、2.5人に1人が高齢者となる。

 

2076年 年間出生数が50万人を割り込む。

 

2115年 総人口が5055年5000人まで減る。

 

<日本を救う10の処方箋>

【戦略的に縮む】

1・「高齢者」を削減。新たな年齢区分で計算する。増え続ける「高齢者」の数を減らしてしまうのだ。

2・24時間社会からの脱却

3・非居住エリアを明確化

4都道府県を飛び地合併

5・国際分業の徹底

 

【豊かさを維持する】

6・「匠の技」を活用

7・国費学生制度で人材育成

 

【脱・東京一極集中】

8・中高年の地方移住推進

9セカンド市民制度を創設

 

少子化対策

10・第3子以降に1000万円給付

 

<2018年 国立大学が倒産の危機へ>

・18歳人口が急減し始め、定員割れは当たり前。学生の募集を停止する流れが加速する。

 

すでに40%超の私立大学が定員割れ

母校が消滅する――そんな「大学淘汰の時代」が、いよいよ現実となりつつある。

 日本の大学進学者は、高校新卒者もしくは受験浪人が大多数を占めるので、「18歳人口」を見れば、おおよそのパイは見当がつく。そして「18歳人口」というのは18年前の年間出生数をみれば分かる。

 

・わずか15年ほどで20万人近くも減る—―。仮に、半数が大学を受験するとして、10万人の減である。入学定員1000人規模の大学が、100校も消滅する計算である。

 

三重中央大学聖トマス大学など、廃校や学生の募集停止に追い込まれた大学もあるが、「倒産」の流れはさらに加速していきそうだ。日本私立学校振興会・共済事業団の「入学志願動向」によれば、2016年度に「入学定員割れ」した私立大学は前年度より7校増え、257校となった。すでに全体の半数近い44.5%が学生を集められない事態に陥っている。要するに、私立大学が半減してもおかしくないということだ。

 

2050年 世界的な食料争奪戦に巻き込まれる

・日本が人口減少する一方、相変わらず世界人口は増え続けて約100億人に。

 

<増え始める耕作放棄地>

・農地面積は1961年には608万6000ヘクタールを数えたが、2015年は449万6000ヘクタールにまで減った。荒廃農地の抑制や再生がこのまま進まなければ、2025年の農地面積が420万ヘクタールに落ち込むとの推計を、この資料が明らかにしている。農業就業者も減り、農地面積も減ったので収穫量は当然落ち込む。

 

・国連推計は2030年以降の世界人口も予想しているが、2050年には97億3000万人、2100年には112億1000万人と見積もっている。

 

・このように、品目別に見れば例外は存在する。だが、国家単位で食料確保を考えたとき、2050年頃の日本が世界的な食料争奪戦に巻き込まれることは避けられない。

 

<日本は実は水の輸入大国>

・日本にとっての不安材料はもう1つある。食料と並んで深刻さが懸念される水不足問題である。

 

・「バーチャルウォーター」という考え方がある。食料を輸入している国が、もしその輸入食料をすべて自ら生産したら、どの程度の水を要するかを推計した量だ。環境省によれば、2005年に日本に輸入されたバーチャルウォーターは約800億立方メートルで、日本国内の年間水使用量とほぼ同水準だ。しかもその大半は食料生産に使われている。

 食料自給率の低い日本は、食料を輸入することで、本来、食料生産に必要であった自国の水を使用せずに済んでいたのである。これを単純化して言えば、日本は“水の輸入大国”ということだ。

 ある国が水不足に陥り、農産物の収穫量が落ち込んで輸出する余力がなくなれば、日本は立ちゆかなくなる。海外の水不足や水質汚濁に無関係でいられない理由がここにある。