日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

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デフレは間違いなく平和の産物であって、大規模な戦争がない時代にはデフレの終息はありえない。デフレは「買い手に極楽、売り手に地獄」である。(1)

 

 

『2017 長谷川慶太郎の大局を読む』

長谷川慶太郎  李白社  2016/9/13

 

 

 

<デフレは「買い手に極楽、売り手に地獄」である>

・「デフレ対応には必要不可欠なインフラ整備・補修、技術開発に全力を挙げれば日本は世界一住みよい国になる」

 

・デフレは「買い手に極楽、売り手に地獄」であると30年前の著作『日本はこう変わる』で初めて述べた。その本の帯のキャッチフレーズにはすでに「インフレは終焉し、デフレ時代は新しい発想が求められる」とも書いている。しかし、どうだろう。政府も日銀も経済学者もエコノミストも相も変わらず旧態依然の経済学的知識の金融政策や財政出動で「デフレからの脱却」を叫んでいる。果たしてどうだろう。デフレから脱却できたか。デフレは間違いなく平和の産物であって、大規模な戦争がない時代にはデフレの終息はありえない。

 

・また、最初は泡沫候補扱いで政治関係者やマスコミ関係者から相手にされなかったトランプ氏が結局、共和党の正式な大統領候補に選出されたのもデフレが本格化してきたからである。共和党支持者はアメリカの既成の政治体制と政治運営のあり方に強く反発し、それが既成の政治体制と政治運営のあり方への異議を強く唱えているトランプ氏を大統領候補に押し上げた最大の原動力となった。

 

デフレは世界的な傾向なのだから買い手である有権者が既成の政治を否定するのはイギリスやアメリカに限られたことではない。世界全体にわたってその動きが広がっていくし実際に具体的な形でどんどん表面に出てくる。

 日本でも小池百合子氏が東京都知事に選ばれたことがまさにそうだ。

 

小池氏の背後にいる一般大衆は自民党のいうことを聞かないし、ましてや民進党のいうことなど耳も貸さない。

 

既成の政治体制はインフレ時代にとらわれている。だから、政治家はデフレがなぜ生じたかというはっきりとした認識を持っていない。それどころか、政治家は金融政策や財政政策でデフレ脱却ができると思い込んでいて、デフレ脱却のためと称する日銀の異次元金融緩和を大歓迎したけれども、それがスタートしてから3年半経過しても一向に日本経済がデフレから脱却する気配はない。デフレやインフレと金融政策や財政政策とはまったく関係がないのだ。

 

日本については今後ともさらにデフレに対応していくために必要不可欠なインフラの整備・補修に全力を挙げていくべきであるこれによって日本が世界でいちばん住みよく強い国になるし、それはまた世界に対して目に見える形でデフレに対応したという実証ともなるはずだ。

 

<21世紀は平和が続く、デフレの支配する時代になる>

デフレだからこそニーズのあるインフラへの投資が不可欠

・デフレ脱却のために国が財政資金を投じるのは無駄である。戦争がない以上、デフレから脱却できるはずがない。しかしデフレ時代という前提があればこそ、絶対に不可欠なのが、インフラへの投資だ。つまり、デフレ下の財政政策のいちばんの焦点は結局、インフラへの投資しかないし、10年単位の長期の投資が必要なインフラ整備ができるのも国だけだ。この点では、公共事業費を増やすべきだが、新幹線や高速道路はもうこれ以上いらない。

 ニーズがないのに新幹線や高速道路の建設で需要をつくり出そうという政策は間違いだし、必ず失敗する。

 

リニア新幹線も本来ならば建設すべきではない。東京の品川と名古屋間のルートには総工費が9兆円もかかるが、工事費が巨額なのはリニアのルートの86%がトンネルだからだ。

 

だから私のいうインフラへの投資とはニーズのあるものだけだ。その意味で道路やトンネルの補修、橋梁の掛け替えなどは必ずやらなければならない。放置しておくと交通インフラが使えなくなって日本の経済活動を支えられなくなる。費用については、全国のトンネル補修だけで2兆3000億円、橋梁の掛け替えに至っては10兆円を超えると見込まれている。

 

・さらにアメリカのようにLCCとともになるべく低料金のヘリコプター網も整備する必要がある。

 

新しい商品の開発でリスクを冒さない経営者は生き残れない

・デフレ時代だから物価は上がらない。しかも企業間の競争が国際的な規模で激化していき、優勝劣敗もはっきりしてくる。大企業というだけで存続が保証されるわけではない。物価が上がらないなかで一方的に根拠なく値上げを行ったら、その企業は市場から追い出されるだろう。

 値上げが裏目に出た一例に衣料品小売店チェーンのユニクロがある

 

・言い換えれば、今のデフレ時代は、安かろう悪かろうという低価格競争で生き残っていくのは難しい。消費者はあらゆる商品について品質、性能、機能などを厳しく品定めするようになっている。

 

・だが、デフレ時代には新しい商品をつくり出さなければ生き残っていけないのも確かだ。リスクが大きくても思い切って新技術への投資をした経営者や企業だけに勝ち残る。ユニクロの場合も客足を戻すだけでなく増やしていこうとするなら、柳井社長にはさらなるリスクを冒す決断が求められているのである。

 

中国経済は需要の大幅低下で急減速している

<安定雇用の日本企業に入るために日本語を学ぶ中国人が増えている>

今後は中国脅威論や中国経済衰退論を広めてはならない

これはまさに中国らしい上から目線の要求だ。とりわけ「中国経済衰退論」に引っかかる筆頭が私だろう。中国を強く批判し、中国経済が衰退するどころか、中国は崩壊に向かっているという本を書いてきたからだが、にもかかわらずというべきか、だからこそというべきか、実はアマゾンなどのネット通販を通じての香港の人々が私の著書を大量に注文しているのである。

 

・当時のことを考えると、中国人が日本企業に入りたがっているというのは不思議な気がするけれども、現実に日本語のできる中国人からの日本の書籍に対する需要は潜在的にものすごく大きい。しかも中国は言論統制をしているため、私の著書のように中国をきちんと分析し批判している本は表向きにはなかなか読めない。だからこそ人気も高いのだろう。

 

金詰まりで民間投資の伸び率も3分の1に激減

・とはいえ、そもそも社会主義を掲げる中国に株式市場があること自体がおかしい。本来、株式市場は市場経済でなければ成り立たないのだから中国の株式市場は偽物だ。中国政府は偽物であれば株価の維持ができると考えて、手練手管を使って株価の維持を試みたのだが、それさえ失敗してしまった。いずれにせよ、金融市場をコントロールしようとすること自体に無理がある。

 

加えて2015年8月に天津市で起こった大爆発事故も、減速中の中国経済の足をなおさら強く引っ張っている。日本企業を含む多くの中国内外の企業が被害を受けて活動停止を余儀なくされたばかりか、中国の輸出入の最重要拠点の天津港が長期間使用できなくなり、爆発の際、大きく空いた穴も1年後の今もそのままである。

 

・また、世界的に石油製品の需要が落ちてきているが、特に中国はひどく、ガソリンの売れ行きもどんどん落ちている。ガソリン価格は中国政府が統制していて、かつては国際相場と比べても割安な水準に据え置かれていた。ところが、逆オイルショックによって世界のガソリン価格が急落してくると、中国の統制価格は明らかに割高になってしまった。

 つまり、ガソリンの売れ行きが落ちているのには景気悪化による需要不足だけでなく価格の高さも響いている。といってガソリン価格を下げると中国の石油関連の国有企業が打撃を受けるので簡単には下げられないのである。

 

・ところで、2016年7月15日、中国の政府系有力シンクタンクである中国社会科学院国家金融・発展実験室が中国全体の負債額について発表した。それによると負債額の総額は2015年末時点で168兆元(約2570兆円)にも上る。これは中国のGDPの249%に達し、そのうち企業の分が156%を占めている。

 したがって中国国内では企業が金詰まりに陥っており、そのため企業の倒産旋風も吹き荒れている。さらに7月18日の国家統計局の発表によると、今年上半期において民間企業が行った固定資産投資の伸び率は前年同期比で2.8%で前年10.1%を単純比較すると昨年の3分の1以下に落ちたことになる。

 

需要があれば爆食しても消費できる。しかし中国経済の減速とともに、たとえば国内で生産した鉄鋼やセメントの消費量が減って在庫の山ができてしまった。在庫の山は消費不足のためだが、生産の立場からは過剰生産ということだ。過剰生産をしているのは国有企業だ。だから過剰生産をやめるためには国有企業の操業を減らさなくてはならないが、今度はそれが国有企業の倒産の急増につながる恐れがある。要するに、中国経済をここまで押し上げてきたシステムは事実上すでに崩壊してしまったのだ。

 

<国際通貨SDRに人民元の採用が決まって資産逃避がとまらない>

・こうして資本逃避が本格化しただけではなく、中国政府はドルの外貨準備も大幅に取り崩さなくてはならなくなった。でないと人民元をドルに替えたいという強い需要に応えられないからである。2015年は中国の外貨準備が年間ベースで1992年以来初の減少となったのだが、人民元のSDRへの採用が決まった直後の12月には1079憶ドルも減ってしまったのだった。

 以後も資本流出は続いており、2016年8月の中国の外貨準備は約3兆2000億ドルまで減った。これは2014年6月のピーク時と比べて2割もの減少だ。また、中国企業の2016年1月から6月の海外M&A総額は12兆4000億円となり過去最高だった2015年通年を上回っている。これなどもテイのいい資産逃避であろう。

 

ゾンビ企業の扱いで鋭く対立する習近平VS李国強>

量から質への転換・ゾンビ企業の淘汰・イノベーションの促進

・今回の全人代では、過剰設備の解消、技術革新の促進、製造業の高度化、都市・農村の地域格差の縮小、環境対策、改革開放の深化、福祉の向上などの項目で具体的な施策も発表された。たとえば過剰設備の解消では、鉄鋼やセメントの余剰設備の解消を掲げ、そのために今回、ゾンビ企業とも呼ばれる不振企業の淘汰・再編も打ち出された。技術革新の促進では、イノベーションを通じた産業の高度化を「国家の発展の中核に据える」として成長戦略に重点を置く姿勢が示された。

 このように全人代では大小多くの目標や方針が示されたわけだが、ポイントを絞れば、「量から質への転換」「ゾンビ企業の淘汰」「イノベーションの促進」という3点が挙げられる。

 

言論の自由のない中国で画期的な新技術が生まれるはずがない

・3点のうち「量から質への転換」は、中国でもデフレ時代に入っているから当然のことである。デフレ時代にはいくら安くても質が悪いのでは需要はない。だから中国でもこれまでのような量的な拡大は不可能だ。量的な拡大を目的にすると必ず売れ残りが大量に発生して在庫の山ができてしまう。ところが、量から質への転換を達成するのは簡単ではないし、時間も非常にかかる。

 

オイルショックの打撃を受けて量の拡大には限界があることを痛感したため、質の向上を目指さなくてはならないというので、多くの企業が中央研究所を新設して一所懸命に研究開発に取り組むようになった。技術を国際商品化したものが特許だが、日本は特許の国際貿易においては1992年から黒字になり、1996年からは世界のすべての国に対して黒字となった。アメリカもドイツも日本に売る特許よりも日本から買う特許のほうが多くなっていて両国とも特許では対日輸入超過なのだ。

 中国はやっと2016年になって量から質への転換を掲げたけれども、日本でさえ量から質への転換を終えるのに1973年から始めて1996年まで20年以上もかかっている。同様に中国も時間がかかるが、量から質への転換を達成するまで中国は国として持たないだろう。

 

・もう一つの「イノベーションの促進」は、その前提として何よりも言論の自由がなければならない。アメリカや日本では事業者に好き勝手にやらせているからイノベーションが起こるのである。日本の技術が戦後伸びたのも自由な雰囲気のなかで経済活動ができたからだ。

 

共産党一党独裁体制で言論統制を行って発言の自由を抑えている中国でイノベーションが起こるはずがない。それなら他国のイノベーションの成果を真似すればいいという意見もあるが、確かに真似した技術でも一時的には使えるし、さらに発展させることもできる。ただし発展させようと思えば自由な雰囲気が必要だ。でないと一時的に真似しただけで終わってしまう。それに技術は日進月歩なのだから、イノベーションにも終わりはない。イノベーションを継続させるためには自由な雰囲気が不可欠である。

 

・中国の言論統制というと最近の具体例ではパナマ文書がある。これはパナマの法律事務所が作成した租税回避に関する機密文書だが、匿名でドイツの新聞にリークされ、その内容が2016年5月に公表された。これによると世界各国の企業や個人富裕層が租税回避地であるパナマに、実際に事業をしているわけではないダミー会社を設立していた。その数は約21万社にもなるが、問題なのは企業や個人富裕層がダミー会社をマネーロンダリング資金洗浄)のために使っていることだ。

 

不振の国有企業に公的資金を入れてゾンビ化させた中国政府

・3点のうち残る「ゾンビ企業の淘汰」は中国経済を建て直すには必要不可欠だが、結局、掛け声だけで終わってしまう可能性が高い。となると中国経済は破綻に向かっていく。

 中国には現在、約16万社の国有企業がある。国有企業のほとんどは鉄鋼、石炭、石油化学非鉄金属などの重化工分野に集中しており、深刻な過剰生産能力と債務超過問題を抱えている。中国企業の借金の約3分の2は国有企業に集中しているといわれるが、国有企業は中国政府が保護してきたため、これまではそれほど潰れなかった

 

・なぜゾンビ化に追い込まれたのかというと、一つの理由としては、国有企業が中国共産党と強く結び付いているからだ。

 

もう一つの理由は国有企業を淘汰すると大量の失業者が出るからだ。過剰設備によって過剰生産をしてきた国有企業は、中国経済の減速から需要が大幅に落ちこんできたために在庫の山を抱えている。

 

ゾンビ企業の淘汰を行えば、大量の失業者が出るとともに、ゾンビ企業と関係の深い共産党も崩壊してしまう可能性がある。逆にゾンビ企業を存続させれば、中国経済はますます死んでいって破綻するかもしれない。いずれにしてもゾンビ企業が中国という国家を揺るがす大きな問題になってきたのである。

 

中国で余った鉄鋼のダンピング輸出で世界中が大迷惑している

・また、20%の減産でリストラすると数百万人もの失業者が出るといわれている。ただしこれは鉄鋼業界だけの話だ。他の業界のゾンビ企業もすべて淘汰したら、失業者の数はさらに膨大なものになってしまう。失業者が増えて最初に困るのが地方政府である。クビを切られた従業員は暴動を起こすばかりか、地方政府にも押しかけるからだ。それで行政がとまってしまう。ゾンビ企業の淘汰で膨大な失業者が生まれると暴動の規模も非常に大きくなって、地方政府にもそれだけ大量の失業者が押し寄せることになる。

 

2017年秋の共産党大会に向けて始まった人事をめぐる権力闘争

だが、いずれにしても中国は経済が破綻するどころか、2020年までは政治システムも持たないと思う。ゴルバチョフ氏は1985年3月にソ連のトップである共産党書記長になったのだが、ソ連が崩壊したのはそれから7年も経たない1991年12月だった。習近平氏が総書記に就任したのは2012年11月である。7年後は2019年だ。

 今のところ国際社会は中国に一目置いているわけだが、かつてのソ連も潰れるその瞬間まで国際社会は大国として扱ってきた。にもかかわらず、ソ連の政治システムはあっけなく崩壊してしまった。中国も経済の崩壊が政治システムの崩壊へとつながっていって、解体・崩壊・消滅への道を余儀なくされるだろう。

 

・では中国が崩壊すると世界経済が大ダメージを受けるのか。そんなことはない。今は世界の政治家や金融関係者のなかに中国崩壊の衝撃を過大評価している人たちがいるが、間もなくそういう人たちでさえ中国が崩壊しても大したことはないと気が付くに違いない。

 

<一帯一路に資金を提供したくても長期債を発行できないAIIB(アジアインフラ投資銀行)>

・AIIBは2016年1月に開業し、まず長期債を発行して長期資金を調達しようとしたが、これに失敗してしまった。長期債の格付けが取れなかったからだ。

 S&Pをはじめ世界にはいくつもの格付け機関があるが、格付け機関が格付けをしてくれないと長期債の発行はできない。AIIBが格付け機関に格付けを要請したところ、どこからも格付けを拒否されたのだ。AIIBの債券は信用がゼロどころか、マイナスである。そんな債券はだれも買わない。AIIBの経営戦略や財務内容が不透明で、AIIBを主導している中国に長期資金が乏しいからである。

 

ともあれ、長期債も発行できず、単独融資もほとんどできないというのでは、AIIBの行く末も見えている。一帯一路構想に巨額の資金を提供するというのは夢物語で終わる以外にはない。

 

 

 

長谷川慶太郎の大局を読む 緊急版 大転換』

トランプの政策が見えてきた!

2017年後半から大恐慌へ  ◉EU中国ロシア崩壊始まる

◉米中対立激化で    ◉重視される在日米軍基地

長谷川慶太郎   徳間書店    2017/1/25

 

 

 

2017年度末に予想される大激変に備えよ!

◉株価は日経平均20000円を超える

◉これからはEVが主流。出遅れたトヨタは衰退する

2017年度末に予想される大激変に備えよ!

◉トランプのシェールオイルテコ入れでOPECの原油減産協定は砂上の楼閣

保護貿易、いちばんダメージを受けるEU・中国・ロシア

◉減税、巨大インフラ投資で絶好調のアメリカ経済

 

2017年は時代の大転換点になるというのが私の予測

・イギリスとアメリカの一般大衆の動きは明らかに既成政治に対する不満と一部エリート層に対する怒りが爆発したと判断したほうが良い。この根本的な理解がなければこれからの社会、政治、経済状況は的確に把握できないといっても過言ではない。

 

・まず、ヨーロッパ大衆の反難民感情はますます高まり、右派勢力が台頭し政権を奪取。さらに銀行の不良債権問題がそれに拍車をかけ保護貿易に走り、EUは崩壊の道をたどり始める。

 EU崩壊の影響を一番受けるロシアも完全に青息吐息状態に陥り、中国は世界的な保護貿易の高まりで「安かろう悪かろう」の製品が売れずがたがたに――。世界はいやがうえにも大恐慌の道を進む。しかし、この大恐慌は長く続くまい。

 やはり保護貿易政策をとるアメリカは減税や内需拡大策が功を奏し好調な経済を持続。日本も豊富な長期資金を活用しアメリカとともに世界経済の復活に積極的に手を貸すだろう。

 以上これらの流れのなかでヨーロッパもアメリカも保護主義の愚かさを知り新たな時代の幕開けになる。まさに2017年は時代の大転換点になるというのが私の予測である。

 

日本の軍事と経済はこうなる

軍事面で日本はどんな国際貢献ができるのか?

<日米両首脳が象徴の地を相互訪問したことで日米戦争の戦後が完了した>

・日米両首脳による2つの象徴の地への相互訪問によって日米戦争の過去は清算されて第2次世界大戦の戦後も完了となった。つまり、第2次世界大戦が完全に歴史になったことを具体的な形で示したのである。その意味で安倍首相とオバマ大統領は歴史に大きな業績を刻んだといえる。

 

米海軍の陸上離着陸訓練基地として馬毛島を日本政府が買収

・日米同盟関係は日米安保条約の下で日本側がアメリカ側に米軍基地を提供していることで成り立っている。鹿児島県の種子島の隣にある馬毛島が米軍基地として提供されれば日米同盟関係の基盤はさらに強くなるはずだ。

 

・陸上離着陸訓練基地としての馬毛島の利点は3つある。1つが4200メートルという日本で最長のメイン滑走路があること。さらにメイン滑走路にクロスして伸びた2500メートルのサブ滑走路も備えている。このような空港は日本では馬毛島にしかない。2つ目が馬毛島無人島だということだ。人が住んでいないのだから、反対運動は起こらず、住民とのトラブルも生じようがない。だから空いている土地も広い。居住棟、管制塔、倉庫、燃料施設、弾薬庫などの建設にも十分に余裕がある。

 さらに3つ目は、周辺の海が深いので大型の艦船も入れるということ。それで戦前は旧日本海軍馬毛島を使っていたのだが、大型の艦船が入れるとなると米海軍の原子力空母も接岸できる。つまり、原子力空母3隻を馬毛島終結させ、それらのすべての艦載機を用いて統一的に訓練することもできるわけだ。

 買収額は数十憶から30憶円と噂されているが、その程度の金額では無理だろう。

 

日本で創設される民間軍事会社のPKO部隊を派遣する手もある

・とはいえ安倍政権は12月6日に南スーダンのPKO部隊が駆けつけ警護で死亡した場合、隊員に支給する弔慰金の最高額を6000万円から9000万円へと引き上げることにし、PKOの手当についても1日1万6000円から2万4000円に増やした。この手当は日本のPKOでは過去最高額である。

 

・安保関連法があっても自衛隊は軍隊ではないから、自衛隊のPKO部隊についてはなお法律上の不備がある。自衛隊が軍隊ではないのは憲法9条で武力行使を禁止しているからだ。それで自衛隊は部隊としての重装備が許されず、駆けつけ警護においても軍隊なら当然できるような武力行使ができない。となると犠牲者も出やすくなるが、そういう立場に置かれているPKOの自衛隊員は非常に気の毒だ。これは弔慰金の金額を上げるといったこととは別次元の話である。     

 

・とはいえ南スーダンにPKO部隊を送っている先進国は日本だけだ。日本がPKOに初参加した1992年にはPKO派遣人数では上位10ヵ国中6ヵ国がイギリス、フランス、カナダなどの先進国だった。それが2015年には上位10ヵ国はインド、バングラデシュパキスタンエチオピアルワンダなどアジアやアフリカの開発途上国ばかりになっている。開発途上国がPKO部隊を派遣するのは外貨を稼ぐことが大きな目的である。だから日本のような先進国が今さらPKO部隊派遣に力を入れる必要があるのかという指摘も出ている。

 また、PKO部隊については欧米などの民間軍事会社が派遣するという動きも広がってきている。とすれば日本が国としてPKOに部隊を出すことにこだわっているのなら、それ自体がすでに時代遅れになってきたといえる。もっと言えば、日本でも民間軍事会社の創設を許して、その会社からPKOに部隊を出すという発想をしてもかまわないのではないか。今回の南スーダンのような場合も日本に民間軍事会社があればここがPKO部隊を派遣するということになるだろう。

 

鮮明になってきた黒田日銀の敗北

異次元緩和を始めて4年近く経ってもなぜデフレ脱却ができないのか?

・賃金は上がっているのに消費が伸びないということだ。これは言うまでもなくデフレだからである。それで消費者は急いで買っても得になることはない。

 

・では消費者は賃金が上がった分をどうするか。それはまず貯蓄に回すだろう。もちろん株式投資にも向けていくので、その点では企業も潤わないはずがない。もともと日本の景気は悪くないのだから、いずれにしても株価については今後も上昇基調である。

 

したがって本来なら日銀も「2%目標達成に失敗した」と正直に告白すべきなのだろうが、となると今度は責任問題が浮上してくるため、失敗を認めるわけにもいかない。同様の理由から表向きには日銀は今後とも「2%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現する」という姿勢を維持していくことになった。

 もとより金融政策だけでインフレにしたり、あるいはデフレにしたりなどと金融を自由にコントロールできるはずがない。いくら異次元緩和などと称したところで、戦争がない以上、デフレ脱却など無理なのである。日銀が方針転換に追い込まれたのは当然だといえる。

 

<戦争がないのにデフレ脱却ができるはずがない>

改めて言うと3年半も異次元緩和を続けて2%の目標ができなかったのは日銀の失敗だ。そうなった最大の要因は「いくら金融を緩めてもデフレをインフレにはできない」と日銀が率直にいえなかったことにある。

 

・消費者も長期にわたる平和が確立するという認識に立って経済では徹底したデフレが定着することを本能的に感じ取っている。にもかかわらず、日銀は金融政策でデフレをインフレに変えられると信じていた人物を日銀総裁に据えたということだ。

 

中央銀行としては常識外の長期金利のコントロールにまで踏み込む>

・ただし今回の日銀の方針転換で金融関係者が最も驚いた点は、10年物国債金利をゼロ程度で推移させるということ、つまり日銀が長期金利をコントロールすると宣言したことだった。なぜ驚いたかと言えば、長期金利は上げ下げのコントロールができないというのが今の資本主義経済の原則であり常識だからだ。本当に日銀に10年物国債金利をゼロ程度に維持する力があるのかどうかはともかく、それを実現するためと称して日銀は長期国債の購入のほか、最長10年の資金を固定金利で供給するという金融調節手段も採用することにした。

 

・今はデフレ時代なので放っておくとどうしても長期金利はマイナスになってしまう。しかしデフレ脱却は無理だとしても、これ以上デフレを進行させないために、日銀としてはせめて金利をゼロ程度で維持しておきたいということなのだ。たとえ現実的には難しくても、日銀の立場としてはやはり長期金利のコントロールにまで踏み込まざるをえなかったのだ。

 

となると追加緩和の手段としては「短期金利の引き下げ」しかない。これは一つには「日銀当座預金のマイナス金利の幅と量をさらに拡大すること」だ。もう一つは、「銀行の法人預金全体にマイナス金利を導入すること」である。

 

<政府と日銀は覚悟を持って法人預金にマイナス金利を導入すべし>

・日銀が日銀当座預金にマイナス金利を導入したのも物価上昇率2%の目標を実現するためだった。金融機関も、日銀当座預金に資金を置いて金利を取られるくらいなら、その資金を企業などへの融資に積極的に回すだろうと予想された。これで投資が増えて景気が良くなれば2%の目標達成もできるはずだったのだ。ところが、日本企業は380兆円もの内部留保の余裕資金を貯め込んでいたため資金需要が小さく、金融機関の融資もあまり拡大しなかった。その点で日銀当座預金のマイナス0.1%という金利物価上昇率2%を達成するには非力だったのである。

 そこで、すでに述べたように「日銀当座預金のマイナス金利の幅と量をさらに拡大すること」あるいは「銀行の法人預金にマイナス金利を導入すること」が求められるようになった。

 

トランプ政権に期待を抱くプーチン政権に未来はない

リオ五輪で流れたロシア国家にはっきり表れているソ連への回帰志向>

・ロシア経済が急速に落ち込み始めたのは2014年からだ。まず3月にロシアがウクライナクリミア半島を併合すると宣言したため、欧米諸国は7月からロシアに対して本格的な経済制裁を開始した。加えてこの年の後半から逆オイルショックが起こって原油価格が暴落し、それが世界有数の産油国であるロシアを直撃した。ロシアは輸出の約7割を原油天然ガスに依存しており、国家予算の歳入も約4割は原油関連の税収が占めている。原油安が歳入の大幅減を招いて国家財政を圧迫するようになった。

 欧米の経済制裁および逆オイルショックは今も続いている。ロシアの通貨ルーブルが下落しインフレも起こって国家財政が悪化しているばかりか、国民生活も非常に苦しくなっている。このままいけば外貨準備が底を突いて、ロシアは早晩、貿易の決済ができなくなる。1991年のソ連崩壊後にロシア国民に提供された最大の成果は海外旅行の自由だったが、ルーブル安と外貨準備不足のためにここのところロシア国民は海外旅行がほとんどできなくなっている。

 このようにロシア経済が沈んでいく一方、プーチン政権が熱心に取り組んできたのは経済の回復ではなくロシアをソ連のような大国にすることだった。

 

時期が来ればトランプ政権は容赦なくプーチン大統領を切り捨てる

・だが、シリアで米露が共闘したらクリミア半島の併合もトランプ氏は承認するとプーチン大統領が思っているとすれば、それは間違いだ。トランプ氏の本質を見誤っている。ISを潰して中東情勢を安定させるという目標が達成できた後は、もはやトランプ氏にとってロシアは必要なくなる。だから次はいよいよロシアを潰す番だ。その方法は簡単で、経済制裁をもっと強化するだけでいい。ロシア経済はどんどん悪化して破綻するだろう。ロシア経済の実質経済成長率は2015年はマイナス3.7%だった。2016年はさらに悪くなっているはずだ。

 ロシア国民の生活は今でさえ非常に苦しいのに、ロシア経済が持ち直すどころか、逆に悪化していくばかりだとするなら、ロシア国民のプーチン政権に対する支持も急速に落ちていく。そしてついにはプーチン政権が崩壊するはめになる。

 

<権力闘争の渦中にある中国と韓国最大財閥が受ける試練>

腹心失脚で巻き返しを図った習近平主席も党大会での再任は不透明

・非常に激しい党内の権力闘争は党大会まで続いていくのである。他方、中国経済はすでに危機に陥っている。権力闘争はその危機にさらに拍車をかけていくことになる。中国経済の破綻は直接、共産党の崩壊につながるのだから、そのときに党内の権力闘争にも終止符が打たれるということなのだ。

 

地方政府の債務問題を放置すれば確実に中国経済も崩壊していく

中国の地方政府の肩には莫大な債務がのしかかっている。今やこれは中国という国家の崩壊につながりかねない時限爆弾である。

 ではなぜそんなことになったのか。原因は1978年にスタートした中国の改革開放政策にある。中国政府はこの政策を加速させるために公共事業投資、都市開発、住宅地開発、外国からの投資導入、資源開発などの権限を地方政府に移譲した。それで地方政府が自ら先頭に立って地域開発を行ない、地方経済も活性化していった。ところが、地方政府が地方債を発行して資金を調達することは、財政規律を緩ませるとして中国政府が激しく制限したため、地方政府は地域開発において慢性的な資金不足に陥ってしまった。

 

・地方政府は融資平台を通してシャドーバンキングから巨額の資金を得て、乱脈な不動産開発をどんどん拡大していった。それで中国各地に人の住まないマンション群が林立していったのだが、そんなマンション群を中国では、人間が住めないで鬼が住む場所という意味で鬼城と呼んでいる。普通の言い方だとゴーストタウンである。

 

・むやみに投資を行なったのだから、当然ながら増えたのは鬼城ばかりではない。シャドーバンキングの理財商品の残高は40兆元(約680兆円)にもなった。これは日本の銀行が持つ預金総額に匹敵する。この40兆元のうち15兆元を中国の銀行が保有している15兆元というのは銀行の総資産の8%に相当する。だから理財商品での債務不履行が多くなるにつれて中国の銀行の倒産も増えていくことになる。

 

・これに関連して懸念されるのが地方政府に留まる一方の債務の破綻である。地方政府の債務は2016年末には17兆元まで膨らんだのだった。しかも融資平台の債務の一部が地方政府の債務に算入していない隠れ借金となっている。つまり、地方政府の債務は17兆元どころではないということだ。

 

地方政府の債務問題が放置されると確実に中国経済の崩壊につながる

この地方政府の債務問題が放置されると確実に中国経済の崩壊につながる。だから時限爆弾なのである。だが、中国政府が対策として出したのは、地方政府の債務の肩代わりや救済はせずにすべて地方政府の責任で処理させるという方針だった。

 となると地方政府が債務削減のためにできるのは、財政支出の多くを占める公共事業投資を減らす一方、税収の大幅増を図ることしかない。税収を増やすには地方企業の法人税や営業税を引き上げなければならないが、となると中国経済が落ち込んでいるため、ただでさえ苦境に立たされている多くの地方企業は一段と追い詰められることになる。その結果、中国全土で倒産と失業者が増えて中国経済はさらに大きく沈んでいくことになる。同時にこれは中国という国家も崩壊の道を歩むということなのである。

 

小さな政府・公共事業投資・自由貿易体制

デフレ時代に不可欠な小さな政府のための行政組織のリストラ

・トランプ氏は「偉大なアメリカの復活」「アメリカ第一主義」を掲げているが、デフレ時代においてアメリカのような大国の政府は何を最重要視すべきか。

 

・トランプ氏は金融規制や環境規制の緩和を力説し、「1つ規制をつくった古い規制を2つ撤廃するというルールもつくる」とも述べている。そして所得税法人税の税率も大幅に引き下げる。トランプ氏は規制緩和と減税による小さな政府路線を打ち出しているわけだから、同時に行政組織全般にわたって速くかつ大規模なリストラも推進していくに違いない。

 

ニューディール政策や州間高速道路整備と1兆ドル公共事業投資

・次の「公共事業投資」については、トランプ氏は11月9日の大統領選の勝利宣言で次のように述べている。「都市部のスラム化した地域を整備し、高速道路や橋、トンネル、空港、学校、病院などのインフラを整備することが最重要課題だ。そのために何百万人という労働力を投入する」。100日計画では10年間で1兆ドルものインフラ投資を掲げ、積極的に財政出動も行うのだが、「何百万人という労働力を投入する」とはそれだけの数の新規雇用の創出も狙っているということだ。

 トランプ氏の提案するインフラ投資は投資規模から、1930年代のルーズベルト大統領によるニューディール政策や1950年代のアイゼンハワー大統領によるインターステート・ハイウェイ(州間高速道路)整備計画といった、アメリカの歴史に残る公共事業とも比較されるようになっている。