『新・生産性立国論』
デービッド・アトキンソン 東洋経済新報社 2018/2/23
人口減少で「経済の常識」が根本から変わった
<人口減少はすべてを変える>
・人口が減少しても、ロボットやAIを活用したり、移民を受け入れたりすれば、何とかなると主張する人がいます。しかし、この主張は明らかに日本の人口減少問題の深刻さを過小評価しています。
人口減少によって、今までの常識はすべて覆されます。人口激増が可能にした寛容な社会も、曖昧な制度も、日本的資本主義も、すべて根底から崩れ去ります。経済の常識も、企業と労働者の関係も、政治のあり方も、これまでとはまったく異なるものになるでしょう。
<かつて、これからの日本と同等の「人口減少」を経験した地域があった>
・実は人類の歴史上、これからの日本と同じように比較的短い期間に人口が激減し、その結果、社会がガラッと様変わりしてしまった先例があります。それは1348年以降、欧州で起きた黒死病、ペスト大流行の時代です。ペストが流行した後、30年ほどで欧州では人口の約半数が亡くなりました。その結果、欧州の社会は激変し、社会制度が根っこから崩壊しました。
<労働者の質が高い日本なら人口減少に勝てる>
・国連などのさまざまな調査で、日本の労働者の質は世界最高レベルと太鼓判が押されています。しかし、日本の生産性は先進国最低レベルです。これは、日本の経営者が奇跡的に無能であるということを意味しています。
・生産性を向上させることによって、日本の労働者は豊かになり、ワーキングプアは消え、貧困に窮している子供たちが救われ、日本社会全体が幸せになります。
<「日本は特別」という幻想を捨てよう>
・しかし私は、日本が成し遂げた戦後の大きな成長は、人口の激増とそれにともなう内需の拡大が主要因だったと分析しています。たとえば日本では昭和30年から昭和40年たった10年の間に、労働者が1000万人から2100万人まで増えました。だからこそ、日本は高度成長を果たしたのです。
<日本が経済大国なのは「人口大国」だから>
・日本人が勤勉なことや、高い技術力があることは先進国になるための必須条件なのであって当たり前。高度成長の秘密として大々的に取り上げるべき主因ではありません。
一方、日本がGDPで世界第3位の経済大国になっている主な要因として決して忘れてはいけないのが、人口の多さです。
・日本や日本企業が特異だから、日本経済が戦後急速な発展を遂げたのではなく、他の国にも共通する、ごく普通の理由によって日本経済が成長したという前提に立てば、日本も他の先進国と同じように、普通の方策で改革できます。
・「日本は特別だから普通の経済合理性があてはまらない」という考え方があっからこそ、普通の国では考えられない「失われた25年間」があったのです。実際、世界銀行のデータによると、1990年から2014年までの日本の生産性向上率は世界156カ国中第126位でした。先進国では最低で、アフリカ諸国並みの低さです。
<「事実」を重視すれば日本経済は甦る>
<人口問題はすべて「数字」で語れる>
<問題の根源は「高齢者が減らない」こと>
・生産年齢人口のほうが国民全体より大きく減るのは、高齢者が減らないからです。生産年齢人口が減ることのほうが、国民全体の減少より経済に大きなインパクトがある。
<「5人に2人が移民」に耐えられるか>
・どの程度の規模の移民が必要かを試算せず「移民を迎えればよい」と主張するのは、感覚的な空論です。
日本の経済を維持するのに必要な3419万6000人の移民を受け入れようとすると、日本中で大反対の声が沸き上がるでしょう。
<「日本は巨大国家である」という自覚を持とう>
・たしかに今後、多くの先進国でも人口減少が予想されています。しかし、2060年までの減少規模はドイツで1052万人、イタリアで504万人、スペインで323万人です。日本の4101万人減は、まさしく桁違いの規模なのです。
<高齢者を働かせても「数」が合わない>
<生産性を上げないと「1日17時間労働」?>
<女性活躍を進めないと男性は「1日21時間労働」?>
<結局、「生産性」を上げるしかない>
<なぜ「経済規模」を維持する必要があるのか>
・つまり、高齢者の数が減らない以上、GDPの規模を維持する必要がある。これが1つ目の理由です。もう1つは借金です。
日本は国として1200兆円の借金を抱えています。1200兆円という金額だけ聞いても、巨額すぎてピンとこないかもしれませんが、簡単に言うと、日本の国家予算の10年分以上。いずれにしてもとてつもない金額です。
<経済規模を維持しないと「親を見殺しにする国」になる>
<「痛みをともなう改革」は自業自得だ>
・これまでの常識を全否定し、改革を進めるためには、相応の負担を日本国民全員が負わなくてはいけなくなります。中には痛みのともなう負担もあるでしょう。
<「生産性」を正しく理解し、目標を立てよう>
<「世界第3位の経済大国」なのは技術があるから?>
・しかし、この考え方は国の経済規模を左右する重大な要素の存在を見逃しています。人口の違いです。
<労働者1人あたりでは、日本は実はスペインやイタリアより低くなる>
<目指すべき生産性目標は「世界トップ」レベル>
<日本の経済規模は米国の10分の1以下に沈む>
<今後22年間が「正念場」と言える理由>
<「生産性」を正しく理解し、目標を立てよう>
<経済規模の米国の2割台を守るために必要な生産性向上率は「米国の1.5倍」>
<「利益」と「生産性」を混同してはいけない>
<増やすべきは「利益」ではなく「付加価値」>
・今までのように、付加価値を増やさず、利益だけを増やして配当を払うと、海外の機関投資家を喜ばせるだけです。
<「窓際族」がいても生産性には影響しない>
<「効率性」と「生産性」を混同してはいけない>
・効率性は高いけれど生産性が低い仕事の説明をする際に、私はよく銀行の窓口業務の話をします。
・銀行の経営者たちは、彼女たちの仕事ぶりの素晴らしさに酔いしれて、いまだに旧態依然たる人材配置を続けています。
<高品質・低価格は「人口増社会」でしか通用しない>
・日本経済が米国経済に比べて、ここ何十年も縮小しているのは事実です。
米国と日本の経済成長に大きな違いができたのは、人口動態の違いに主な要因があります。米国の人口は常に増加していて、とどまるところを知りません。米国は質ではなく、量で勝負しているから、沈まないのです。ですから、その人口動態を十分に理解していない学者の予想が外れるのは、不思議なことではありません。
<高品質・低価格は「労働者の地獄」を生み出す>
・しかし、日本は先進国です。先進国でありながら、給料面では途上国の労働者と同じ状況に追いやられているとしたら、日本は労働者にとって地獄だとしか言いようがありません。
日本は一見、国として栄えているように見えますが、さまざまな調査で明らかなように、国民の幸福度は非常に低いのです。栄えている先進国の国民が不幸だというのは、本来おかしな話です。
<自国の労働者の首を絞める日本の消費者>
・しかし、人口が減少するこれからの日本で不当に安い価格を求めると、消費者は自分で自分の首を絞めることになります。価格を下げても需要は喚起されませんので、質の高いサービスや商品を不適切に低い価格で求める行為は、そのサービスや商品を提供している労働者の所得を下げることにつながります。
<高品質・低価格は「伝統的な価値観」ではない>
<日本に溢れる「高品質妄想商品」>
・高品質妄想商品は、大きく以下の6つに分けられます。
- 求める人がいなくなっている「ちょんまげ」高品質・低価格
- 誰も求めていない高品質・低価格
- 適切な価格にすると「やらなくていい」と言われる高品質・低価格
- 供給側が勝手に高品質と思い込んでいる「なんちゃって」高品質・低価格
- 消費者を「洗脳」した高品質・低価格
- 低価格がもたらす「妄想」の高品質・低価格
<高品質・低価格であれば日本は「輸出大国」になっているはず>
・本書では何度も繰り返していますが、日本は人口が多く、かつ先進国なので、総輸出額が大きいのは当然のことです。しかし、それだけでは、決して輸出が強いという根拠にはなりません。実際、日本の輸出総額は世界第4位ですが、1人あたりの輸出額は第40位です。
<必要なのは「高品質・相応価格」>
・高齢化が進み、多額の借金を抱えて、社会保障が充実しているこの国に求められているのは、高品質・低価格ではなくて、高品質・相応価格なのです。
<「女性」をどうにかしないと生産性は上がらない>
・日本、イタリア、韓国の生産性が同レベルの低水準にある大きな理由が、「女性の活躍」の少なさにあります。
<GDPの71%は男性が生み出している>
・このように計算すると、GDP総額のうち男性が創出している割合は71%。つまり、日本経済の71%は全人口のうち48%しかいない男性によって生み出されていることがわかるのです。
<女性が働けば働くほど「生産性が低下」する現状>
・その理由は女性の参加率が上がっているのに、男性に比べた収入が海外のように改善していないからです。収入が改善していないのは、生産性も海外のように改善していないからです。
<女性の生産性向上の歴史>
・生産性が上がれば、当然給与にも反映されます。事実、日本以外の先進国の女性たちの収入は、ここ数十年で劇的に上昇しました。
<不十分な女性活躍は130兆円もの機会損失をもたらす>
<女性活用か、移民受け入れか、長生きを諦めるか>
・日本全体の生産性が低いのは、女性の低い生産性が原因の1つであるのは明らかです。この女性の低い生産性を上げなければ、社会保障制度が崩壊するのを指をくわえて見ているか、長生きをやめるか、大量の移民を受け入れるか、いずれにしても苦渋の選択を受け入れるしかなくなります。
<女性を活用できない「男性主体」の日本的経営>
<「女性に仕事を奪われる」という妄想>
<専業主婦という「贅沢」はもう許されない>
<優秀なのに出世したがらない日本の女性たち>
<女性活用を阻む「3つの問題」>
・日本では、女性の活用を進めるために、以下の3つの問題を解決しなくてはなりません。
- 国民の意識の問題 (2)経営者に対するプレッシャーの問題
- 政策の問題
<「結婚するだけで優遇」は、時代遅れの政策だ>
<子供のいない夫婦は優遇されるべきではない>
<子供の数に応じた優遇が「世界の常識」>
<廃止するべき「3つの制度」>
・私は、子供の数に応じた手当を徹底させる代わりに、結婚している人が今受けている優遇措置を、すべて廃止すべきだと思っています。配偶者控除も、第3号被保険者制度も、遺族年金制度も、すべてです。
<社会保障導入は「伝統を壊す地雷」だった>
・日本は西欧と同じような社会保障制度を導入したことによって、西欧と同じような社会変化や改革を行わなければいけない地雷を埋めたのです。
<西洋もつい最近まで「男尊女卑」社会だった>
・今では考えられない話ですが、私が若いころの英国では、男尊女卑はまだ一般的でした。
<男女平等は「政府主導」でしか成り立たない>
・男女平等に限らないかもしれませんが、古くから続く慣習を変えるのは、そう簡単なものではありません。
<無能なのは「労働者」ではなく「経営者」だ>
・しかし、素晴らしい労働者を抱えていながら、現在の日本の生産性は先進国の最下位です。「人材の質と生産性のギャップが世界一大きい国」と言っても過言ではありません。
・要は、人材の配置と使い方を間違えているのです。
<人口増加が止まる事態に対応しなかったのは「致命的なミス」だ>
・しかし、1990年代から人口増加が止まると、その当時の経営者たちは事の重大さを理解せず、変えないといけなかった昔ながらの戦略を継続させてしまいました。その結果、経営者がデフレを起こして、失われた25年と言われる不毛の時代をつくり出してしまった。
<日本の経営者は「人口激減社会」に備えているか>
・日本経済の長期にわたる停滞の理由を、経営者の問題だと私が断言するには、企業のかじ取りをしているのが経営者だから他なりません。
<デフレは「経営戦略のミス」から生まれた>
・日本は長年、デフレから脱却できずに苦しんでいます。
このデフレこそが日本の生産性向上を滞らせたと考える人がたくさんいます。一部のエコノミストは、高品質・低価格はデフレの結果だと言いますが、常識的に考えれば実態はその逆です。今の高品質・低価格現象こそが、デフレの原因です。たしかに、何でも肯定したい人が「誰の責任でもない」と主張したいのであれば、日本と海外の生産性の差をデフレのせいにするのが一番簡単です。
・高品質・低価格はデフレという、抗いきれない、いわば自然災害のようなものの結果として起きたのか、はたまた、経営ミスの結果、人為的に起こされてしまったのか。この論点が今までの失われた25年を理解する上での鍵を握っています。
<人口減少社会で「賃金を下げた罪」は重い>
・この一連の流れの中で、経営者たちが起こしたもっとも大きなミスは、平均給与を下げたことです。これが、日本経済がデフレになった最大の原因です。給与を決めるのは他の誰でもなく経営者なので、経営のミスだと断言します。
<「価格を下げる」のはどんな無能でもできる安直な戦略>
<先進国で平均賃金が下がるのは「異常事態」>
・付加価値を上げずに価格を下げるために、平均給与を下げる行為は、普通の国では最低賃金の制限があり、許されることではありません。
<経営者の売国行為>
・付加価値を増やさなかったのに利益を増やした会社は、従業員の給料を削って、それを利益に変え、配当として外資系の機関投資家に渡しています。これを「悪質な経営者」と言わずに何と言いましょう。
<なぜ日本の経営者は生産性を上げなかったのか>
・残念ながら、日本にはこの25年間、生産性を向上させるほどの強いリーダーシップも外部要因も、その必要性の自覚もありませんでした。
<株主のガバナンスが弱い:生産性を上げなかった理由1>
<労働組合の弱体化:生産性を上げなかった理由2>
<インフレがない:生産性を上げなかった理由3>
<超低金利政策:生産性を上げなかった理由4>
<輸入がきわめて少ない:生産性を上げなかった理由5>
<なぜ量的緩和してもインフレにならないのか>
・要は、人口が増えている国で実行してこそインフレを起こせる量的緩和政策を、人口が減っている日本で実行したのです。これで同じ効果を期待していたエコノミストは、人口動向の違いとその意味を理解していないと言われてもしかたがないでしょう。
<日本の経営者報酬は本当に少ないのか>
・日本はインフレがなく、金利もきわめて低く、社員は優秀で、最低賃金も異常に低い。これで儲からないとか賃上げができないと言っている経営者は、まさに「奇跡的な無能」だからです。
<米国の経営者が世界一有能なのは、労働者が無能だから?>
<「プロ意識の欠如」は40年前から指摘されていた>
・日本では国の借金が膨らみ、年金も不足し、金利もつかない状態に陥っています。企業も長年にわたって、従業員の給料を下げ続けています。
<国がとるべき「3つの生産性向上策」>
・政府は上手に政策を実施することによって国民の生活を救済することができます。そのためには、以下の3つの政策が非常に重要です。
- 企業数の削減
- 最低賃金の段階的な引き上げ
- 女性の活躍
<労働者激減は生産性改革を引き起こす>
・生産性の低い企業は人を採用することができなくなるので早晩消える運命にあることは、データからも明らかです。
・本書でたびたび指摘しているように、日本企業は1990年代から生産性が向上していません。一方で、金利の低下を筆頭に、生産性を向上させるプレッシャーも受けていません。そして、企業の生産性が向上しなかった分を、国が穴埋めしているのが日本の現状です。その結果として、国の借金が山のように積みあがってしまったのです。
<「中小企業が好き」意識を改革せよ>
・従業員がどういう状態で働かされているかより、中小企業の数に敏感なのが日本政府です。
<増えすぎた「生産性の低い」企業>
・これは1975年から1995年までの企業数の推移を、企業別に示したものです。この間、日本の企業数は約170万社増加しましたが、その実に88%、約150万社が、従業員10人未満の会社でした。給与水準のもっとも低い企業を中心に増加してきたのです。
<すでに始まっている改革>
・日本では1993年以降、人口減少によって総需要が減少しています。マクロ的に見れば、比例して総供給を減らすべきなのは明らかです。
・幸いなことに、企業数は生産性の低いところから静かに減っています。1995年の389万社から、今は352万社まで減りました。
<子供の数と企業数>
・この流れは、子供の数と企業数を見てもわかります。
・1社あたりの平均社員数を25人とすると、今現在の約352万社から、2060年には131万社まで減る計算となります。
<日本の企業数は「今の半分」でいい>
・粗い分析ではありますが、これによると企業数はよくて3割減、おそらくは半減する必然性を示唆しています。
諸外国と比べても、日本企業が多すぎるという結論は変わりません。
<AIと技術革新だけでは日本経済は救われない>
<生産性の低い企業は「退出」させなければならない>
・生産性の低い企業の中には、政府によって守られているから生き残っているだけで、実は遠い昔に経済合理性がなくなった企業も多く含まれています。
<国益を食いつぶしている企業を守る余裕はない>
<企業の「統合・廃業」を促進せよ>
・しかし「生産性革命」は安倍政権の方針となりました。
<段階的に「最低賃金」を上げるべき>
・最低賃金が高ければ高いほど生産性も高まるのです。
<日本の生産性が低いのは、最低賃金が低いから>
・日本の最低賃金は、同じように生産性が低いスペインとほとんど変わりません。それ以外の欧州各国よりかなり低いのです。日本人の労働者の質は、この程度なのでしょうか。
<今の最低賃金は「日本人労働者をバカにしている」水準>
・私が注目しているのは、日本の「人材の質の高さ」に対する「最低賃金の低さ」です。
<最低賃金の低さが「経営者の無能」の原因>
・企業にとっては、これほど能力が高く、しかも真面目に働いてくれる人材を、ここまで安い賃金で働かせられるのは、まさに「極楽浄土」でしょう。しかし、労働者にとっては地獄です。
<最低賃金は2020年に1225円にすべし>
<最低賃金を上げても「失業」は増えない:英国の例>
・日本人は人材のレベルが高いにもかかわらず、今は不当に安い賃金で働かされています。需要者の減少と需要の中身の変化に対応するため、企業数を減らす必要もあります。企業が生き残るために人材を安くこき使うことはデフレを引き起こしますので、これもやめさせなければなりません。
<「中小企業の反対意見」を気にする必要は皆無>
<政府は「社長」ではなく「国民」を守るべき>
・1990年代に入ってから起こった非正規雇用数の増加、労働分配率の低下、企業の内部留保の増加などの事象は、すべて日本企業がこれまでとってきた戦略の結果です。これらのすべてが生産性向上にはマイナスに作用し、デフレまでも引き起こしました。つまり日本の経営者がやってきた経営戦略は、国益を著しく棄損してきたのです。そこには哲学もなければ、自制心もありません。
<世界も認める日本の経営者の無能さ>
・IMD World Talent Ranking 2017によると、日本の中小企業の経営者のランクは惨憺たるもので。63カ国中、「有能な経営者ランキング」では第58位、「海外経験のある経営者」第63位、「経営教育を受けたことのある経営者」第53位でした。
人口減少の下、政府はこんなレベルの低い経営者を守るべきではありません。
<移民政策は改革を阻害する「危険なたくらみ」>
・これまでの人類の歴史を検証すれば、低賃金でも働いてくれる移民を国外から大量に迎えるのは、もっとも危険な政策です。
<絶対にまちがえている財務省の「プライマリバランス」重視論>
・日本の財政の最大の問題点は、日本が一流先進国にふさわしい社会保障制度を実施しているにもかかわらず、それを支えるために不可欠な生産性が、二流の先進国の水準でしかないことです。
とにかく生産性を向上させるために、税金を納めない企業や、生産性の低い企業には補助を出さない政策を強行することが急務だと思います。
<企業が生産性を上げるための「5つのドライバー」と「12のステップ」>
・人口減少は企業にとって、文字どおりの死活問題です。経営戦略を間違えた企業は人を雇用できなくなり、人手不足による倒産や廃業が増える見通しです。
<日本人は世界一「お金にうるさく」ならねばならない>
<求められているのは差別化された商品の開発>
・今まで国内需要だけで十分だった日本企業は、人口が減って需要が減る分、輸出もどんどん増やすべきです。これは、「重要」というレベルをすでに超え、もうそれしか方法が残されていないという段階です。
<「人口減少時代の経営」にシフトせよ>
・国連の指摘にもあるように、経営者の教育が必要とされています。
<生産性向上の「5つのドライバー」>
<生産性向上のための「12のステップ」>
- リーダーシップ (2)社員1人ひとりの協力を得る (3)継続的な社員研修の徹底 (4)組織の変更 (5)生産性向上のための新しい技術に投資 (6)生産性目標の設定と進捗 (7)セールスやマーケティングも巻き込むべき (8)コアプロセスの改善 (9)Knowledge Management(知識管理) (10)生産性向上の進捗を徹底的に追及する (11)効率よく実行する (12)報・連・相の徹底
<経営者は肝を据えて「内敵」と戦え>
<「何をやめるか」が最優先課題>
・経営者は付加価値の向上にとにかく専念するべきです。今ある資源を使って、より付加価値の高い、高い価格で売れる、生産性の高い商品やサービスをつくることが求められているのです。
<観光産業はどうやって生産性を上げたのか>
・景勝地は、何もしなければ単にきれいな景色を楽しむ場所でしかありませんが、カフェやレストラン、ホテルをつくれば価値を高めることができます。
<常識に囚われない「商品バリエーション」を取り入れろ>
・ここからは、商品のバリエーションが多いほど生産性が高まるという仮説が導かれます。正直に言って、日本は商品のバリエーションに欠けています。特に価格のバリエーションは、本当に少ないです。
<「ちょんまげ企業」は淘汰されていく>
・生産性を高めて生き残るために、組織を変革し、部門間の連携を常に見直すことも重要です。
もう1つ大切なのは、企業間の統合です。日本は企業の数が多すぎます。
<約650年ぶりに起きている経済危機の構造>
・政府は以下の政策を今すぐにでも実施すべきです。
- 国家公務員の新卒採用者のうち、半分を女性にする。
- 企業の統合を促進して、デフレの根源を断ち切る
- 生産性の低い企業を守るべきではない
- 最低賃金を段階的に引き上げる
<物事の本質は、シンプルなことが多い>
・本書の分析は、私が34年間かけて日本経済を研究してきた結果です。
<人口減少が改革を起こします>
・第28位に低迷している生産性、世界最悪の国の財政状況。これらの根源である非現実的で感覚的な「日本型資本主義」という妄想を改め、世界第4位の人材を武器にして、他の先進国でもやっていることを淡々とやれば、昔のように他の先進国がうらやむ素晴らしい経済を取り戻せます。