『トンデモ本の世界X』
と学会 著 楽工社 2011/7/1
<その多くは、書店の棚に普通に並んでいるものです>
・僕たち「と学会」という団体は、トンデモ本をはじめ、現代にはびこる数々のトンデモ物件をウォッチングする趣味のグループです。
毎年、「日本トンデモ本大賞」というイベントも開催しています。
・陰謀本あり、オカルト本あり、成功哲学の本あり、歯の本あり、はたまたポルノ小説ありと、トンデモ本といっても実に多彩なヴァリエーションがあることが分かります。
<無農薬りんご作りで有名な著者の神秘体験満載の自伝>
<『すべては宇宙の采配』 木村秋則 東邦出版 2009年>
・天文学者のジョージ・エラリー・ヘールは、初めて太陽のプロミネンス(紅炎)の撮影に成功したり、当時世界最大の反射望遠鏡を備えるウィルソン山天文台を建設したり、天文学の世界に大きな貢献をした人物である。その一方で、ヘールはしばしば緑色の妖精の訪問を受けていた。
・2007年7月24日、ロイター発のニュースによれば、ノルウェー国王ハーラル5世の娘で、理学療法士でもあるマッタ・ルイーセ王女は、自分が設立に関わった特殊教育センターのウェッブサイト上で、子供の時から天使と交信していると明かした。
2010年4月、ロシア連邦南部のカルムイキア共和国のキルサン・イリュムジーノフ大統領は、国営放送のトークショーに出演し、「モスクワのマンションのバルコニーに透明のチューブに入った宇宙人が現われた」と発言した。
こうした事例は他にもある。社会的地位の高い人でも妖精や天使や宇宙人と出会った人はいるのだ。ヘールの場合、妖精は彼の相談相手で、仕事が遅れていると、きびしく叱りつけたりもしたという。つまりヘールの業績の一部は妖精の叱咤のおかげかもしれないのだ。
もちろん、霊などに悩まされて生活がめちゃくちゃになる人もいるだろうが、その一方で、超常現象と共存し、なおかつ人生で成功を収めた人もいるのである。本書の著書、木村秋則氏についても同じことが言える。
・木村さんは青森でりんご農家を営み、無農薬のりんごの栽培に成功したことで一躍有名になった。
・確かにそうした本筋も面白い。しかし、僕が興味をそそられたのは、本書の中で語られる超常現象の数々だ。それも平凡な幽霊目撃談やUFO目撃談ではない。木村さんの身辺に起きるのは、とびきりのハイ・ストレンジネス事例ばかりなのである。
たとえば、高校2年の時に龍を見たという話が出てくる。7月のある日、学校から自転車に乗って家に帰る途中のこと、道を歩いていたおじさんが、時間が止まったかのように、片足をあげたまま動かなくなってしまう。
「オヤジさん、なにしてんだ?」
パントマイムのように完璧に止まっているオヤジさんに目をぱちくりさせていると、左側にある防風林の上から、いきなりワニの親分みたいな顔がドテッと現れたのです。
半端な大きさではありません。防風林の向かいにある梅干屋さんに届くくらいの長さで道路いっぱいに恐ろしげな顔を広げています。わたしの位置からは長く伸びた口元と、人間の太ももくらいにある太いヒゲが、なまずのヒゲのように、うにょうにょ動いているのが見えます。ワニの親分の目はまだ後方にあるらしく見えません。
・巨大な龍は尻尾を細い松の木の先端にひっかけて空中に浮いていたが、やがて空に向かって一直線に飛び去った。それと同時に時間が動き出し、オヤジさんは何事もなかったかのように歩きはじめた……。
龍ですよ、龍。それも不可解な時間停止現象まで伴っている。僕もいろんな超常現象本は読んだが、こんなのは初めてだ。
これだけでも十分すぎるほど突拍子もない体験なのだが、これも木村さんが体験した超常現象のひとつにすぎないのである。
りんご栽培がうまくいかず、経済的に困窮していた頃、木村さんは副業として長距離トラックの運転手をしていた。その時、幽霊を助手席に乗せたという。
・話のパターン自体は古典的だが、幽霊が人の姿や人魂ではなく「青白い巨大な三角おにぎり」というのがユニークだ。
他にも木村さんは、UFOを見たことがあるし、宇宙人にも会ったことがある。やはりりんご栽培で苦心していた頃、畑で二人組の宇宙人に遭遇したのだ。宇宙人は全身タイツを着ていて、鼻も口も髪の毛もなく、目だけが光っていたという。
・りんご栽培に成功して人生が好転した頃、今度は宇宙人に誘拐される。深夜の2時頃、窓から例の2人組の宇宙人が入ってきて、木村さんを抱え上げ、空を飛んでUFOに運びこんだのだ。UFOの中には白人の男女もいた。
・宇宙人は木村さんに、宇宙船の推進力になっているという黒い金属を見せ、「我々は256ある元素をすべて使っているのです」と説明した。
・木村さんは臨死体験もしている。インフルエンザで寝ていた時、シャボン玉のようなものに入って肉体を離れ、死後の世界を訪れたのだ。
ここまでならありきたりの臨死体験だが、ユニークなのはこの後だ。それから1年以上過ぎたある日、一人の女性が木村さんに会いに来る。運転手付きの黒い車から降りてきた髪の長い女性は、あの日、木村さんといっしょにシャボン玉に乗って、あの世に行ったのだと語る。あの時の体験は
妻以外に話したことはないはずなのに、と混乱する木村さん。
女性は「わたしは木村さんのあの世への案内人なんです」と言い、大学生ぐらいにしか見えないのに「もうすぐ50歳になります」と言う。そして木村さんと小1時間ほど話をして、「あなたが気づかないばかりに、です」という謎の言葉を残して、また黒い車で走り去る……。
<ブルンヴァンの本との出会い>
<「信じるか信じないかはあなた次第です」>
・「この本が僕を呼んだ」 民俗学者ジャン・ハロルド・ブルンヴァンの『消えるヒッチハイカー』(新宿書房)との出会いはまさにそんな感じだった。
・「『消えるヒッチハイカー』?アメリカでは社会情勢が変わって、ヒッチハイカーが少なくなってるんだろうか?」
そんなことを考えながら何となく手に取って、ぺらぺらめくってみた。
そこで初めて都市伝説という魅力的な言葉を知った。ブルヴァンによれば、それは神話や昔話とは違い、現代を舞台にしていて、「これは本当にあったことだ」として語られ(多くの場合、語り手の「友達の友達」が実際に体験したこととされる)、大勢の人に真実だと信じられているが事実ではない口述の伝承である。
・タイトルの「消えるヒッチハイカー」とは、車の後部座席に乗せたヒッチハイカーが実は幽霊で、目的地に着くと消えてしまうという話。アメリカでは第2次世界大戦前から、各地で広く語られてきたという。『消えるヒッチハイカー』の中にはそのヴァリエーションが多数紹介されている。
・僕はびっくりした。これは日本の「タクシー幽霊」の話と同じではないか!日本ではヒッチハイクという風習が一般的ではないので、タクシーの話に変わったのだろう。しかも同じパターンの話はロシアや韓国にもあるし、車がまだなかった時代には、馬や徒歩のバージョンもあったという。日本の怪談だと思っていた話が、実は世界的な広がりがあったとは!
・また、ブルヴァンら本職の民俗学者・社会学者らは、都市伝説を基本的に「事実ではない話」として紹介している。ごくごく稀に、都市伝説と思われるものが事実だったと判明した例もあるが、とても珍しい。ほとんどすべての都市伝説は、嘘であると証明されているか、根拠のないものである。
ところが現代日本に氾濫している「都市伝説」本は違う。「本当かもしれませんよ」という語り口で読者を惹きつけるのである。
<好きだからこそ信じない>
・僕は都市伝説が好きである。だからこそ、「都市伝説を信じてはいけない」と強く訴えたい。
<『気象兵器・地震兵器・HAARP・ケムトレイル』ジェリー・E・スミス著 (成甲書房)2010年>
・トンデモ本は、大きく二つに分けられる。
ひとつは、客観的な証拠の類をほとんど何も示さず、自己の強固な思い込みや偏見だけをひたすら書き連ねていく、というタイプのトンデモ本だ。
・もうひとつは、豊富な具体例やデータをあげつつ、読者を巧みにトンデモゾーンへと誘いこもうとするタイプのトンデモ本。こちらは、書かれている個々のデータそのものはけっこう正しいのだが、資料を恣意的に選んでみたり、データが示す文脈を微妙にずらしてみたり、思わせぶりに紹介することなどによって、自説のトンデモワールドの中へ読者を強引に引きずり込もうと狙うタイプの本だ。こちらのほうは、欧米系のトンデモ本に圧倒的に多い。
この『気象兵器・地震兵器・HAARP・ケムトレイル』は、明らかに後者に属する本だ。だから、読んでいて、実はかなり楽しい。筆者も知らなかったような事実がたくさん紹介されているからだ。
・つまり、いろいろ書いているけど、核実験で地震が誘発できるという確実な証拠は、実は何もないってことじゃないの? また万が一、小型の地震が誘発できたとしても、そんなもの兵器にもなんにもならんということじゃないの?
<津波も人工的に誘発されている⁉>
・確かに海中でどデカイ爆発を起こせば、ツナミというか、高波くらいは生まれるだろう。しかし、爆発によるエネルギーは、前に進むツナミを起こすだけでなく、四方八方へと散っていってしまうはずだ。
ふつうなら、そんな面倒なことはせずに、その爆弾をそのまま敵の頭の上に落とすほうが効果的と判断するのではないだろうか?
<電波で地震を誘発するために作られた「HAARP」⁉>
・本書ではさらにHAARPも扱っている。このHAARPというのは、米国のアラスカ南東部にある高周波を発する電波施設のことで、「高周波能動オーロラ研究プログラム」の略称でHAARPと呼ばれている。
・竜巻も津波も地震も、頭の中の声さえも、みなHAARPのせいにするのは、歪んだ現実認識なんだってさ!そんな使われ方はしてないんだって!なんてまともな意見なのだろう。
・「東日本大震災は、HAARPで引き起こされた」などと信じている「妄想地震兵器」派の方々は、まずは半世紀以上前の、この平田論文から勉強し直されたほうが良いのではないだろうか。
<証拠がないことが証拠である! 最近の地震兵器の先駆本>
<『阪神大震災は闇の権力の謀略だった』池田昌昭 文芸社 2000年>
・2011年3月11日、東日本大震災が起きると同時に、リチャード・コシミズやベンジャミン・フルフォードといった陰謀論者たちが、「人工地震だ」「地震兵器による攻撃だ」といっせいに騒ぎ出した。ネット上でもそれを信じている者が大勢いる。
地震兵器という発想自体は以前からあったものだが、それが陰謀論者の間で真剣に信じられるようになってきたのは、20世紀の終わり頃からである。ここで取り上げる『阪神大震災は闇の権力の謀略だった』は、その先駆とも言うべき一冊だ。
<事実と妄想の区別がついていない>
・著者は本書の中で、闇の組織が明石海峡の海底にこっそり穴を掘って核爆弾を爆発させ、阪神淡路大震災を起こしたと論じている。
読むと分かるが、池田氏は論理や証拠を無視し、感性や想像を重視する人である。
・陰謀がなく「被害妄想」「誇大妄想」なのかも知れない。
・陰謀の証拠が見つからないことこそ、陰謀が存在していることを意味しているというのだ。すごい理屈! たまらん!
<ベテランジャーナリストによる妄想力あふれる怪作>
<『東電OL殺人事件』 佐野眞一 新潮社 2000年>
・「足で稼げ」という言葉がある。何もこんにゃく屋の手間取りになれというわけではない(例えが古いね、どうも)(足を使うという事:当ブログ注)。物書きを商売にしている者なら一度は言われたことがあるのではなかろうか。
「取材を大事にしろ」ということである。松本清張の小説に出てくる刑事たちは、ひとつの事件の捜査で靴を何足履きつぶしたかを競うかのように聞き取り調査に回るし、選挙の基本はずばり、ドブ板選挙だ、と田中角栄もよく言っていたそうだ。ドブ板を踏んで一軒々々、訪問して回るようでなければ票は集められないという意味である。
・ベテランジャーナリストであり、『旅する巨人――宮本常一と渋沢敬三』(文藝春秋)で大宅壮一賞も受賞している佐野眞一が、東京都渋谷区円山町のラブホテル街で1997年に起きたOLの殺人事件を追った渾身のルポ、『東電OL殺人事件』(新潮社)は、そのオビの惹句にある「凄絶なルポルタージュ!」という文句を裏切らない力作である。
・ページ数にして444ページという大作のこのルポルタージュ本は、まずその冒頭から、著者の、この事件、というよりこの事件の起こった渋谷という街に対する、なんでそんなに、と首をかしげたくなるほどの思い込み表現から始まっている。
・たとえば、著者は円山町にラブホテルが多い理由をこの渋谷ホテル旅館組合の人などにインタビューして聞き出している。その結果わかったのは昭和27年、岐阜の奥飛騨に建設が開始された御母衣ダムによって、水没した荘川村の住民たちが、保証金を元手にして上京し、円山町でホテル業を始めたのが、この街がラブホテル街になる発端であったことだった。
・しかし、円山町に暗い負のオーラを感じとった著者の心霊アンテナは、このダムの村で凄いものを見つける。それは、世界遺産に指定された白川村(荘川村と同じく一部がダムに沈んだ)の合掌造り集落の一軒の居間に飾られていた、大平正芳元総理の写真だった。この家の主に訊くと、以前選挙がらみで隣県の代議士に連れられて上京して大平に会ったとき、記念にと一緒に撮影したものらしい。田舎の家にはこういう写真がよく飾ってあるものだ。ところがここで、筆者の頭脳はまた、恐ろしい因縁の糸車を感じ取る。
・大平は一時期、円山町の花街に足繁く通った。SKD(引用者注・松竹歌劇団のこと)出身のさる大きな料亭の女将が大平の愛人だったということは、今でも円山町の老妓衆の間で公然と語りつがれている。
・大平さんもとんだところで旧悪をあばかれて、草葉の陰でさぞアーウーうなっていることだろう。そして、さらに著者は凄いことをあばく。殺されたOLの所持していた手帳には、彼女が客としてとっていた男性の名前と連絡先が記されていた。
・警視庁詰めの新聞記者によれば、彼女のもっていたアドレス帳には大平正芳の三男で、現在、大正製薬副社長の大平明の名前と携帯電話の番号も書かれていたという。
・しかも、大平明は大正製薬入りする前は東電に籍を置き、彼女の上司だったこともあるというのだ。著者は彼女の客であった男への取材で、彼女の口から大平明の名前が出たことをつきとめる。
・大平正芳が足繁く通い、愛人までつくった円山町に、彼女が夜ごと立ち、客の一人に、自分の上司でもあった大平の息子の名前をさりげなく告げる。
御母衣ダムと円山町を結ぶ地下茎のようなネットワークは、大平親子という人的ファクターをはさむことによって、さらに根深い闇を広げていくような気がしてならなかった。
・新聞報道などでご記憶の方もおいでだろうが、この事件で容疑者として逮捕されたのは、近くのインド料理店につとめるネパール人、ゴビンダ・プラサド・マイナリであった。著者は彼と面談し、事件当日のことなどを訊き出すうちに、彼が無実である、ということを確信する。
・結局その著者の信念は実って(?)ゴビンダ被告は無罪をかちとる。それは非常に喜ばしい結果であったと言えよう。しかし、肝心の、昼は東電のエリートOL、夜は男を引っかける売春婦という二面を持った被害者女性の心の謎が解けたかというと……著者の結論は“わからない”である。
・ノンフィクションの要諦は、わからないことは正直にわからない、と書くことだ、わからないことを賢しらにいかにもわかったように解釈してみせる一知半解さこそ、ノンフィクションの邪道だ。
<ウンモ星人が「ナガラブー」>
<『宇宙人との対話』 大川隆法 幸福の科学出版 2010年>
・「幸福の科学」主宰の大川隆法氏の膨大な数の霊言集については、今さら深く解説する必要もないと思う。古今東西の偉人の霊や神様や宇宙人が大川隆法氏のところに降りてきて、大川氏の口を借りていろいろなことを喋りまくるというものである。最近では、金正日、胡錦濤、菅直人、仙谷由人といった存命中の人物まで、「守護霊の霊言」と称して語らせるという手法を使いはじめた。
中には歴史的にかなり間違っているものもある。
・さて、アダムスキーは宇宙人と接触した人物だったわけだが、そのものズバリ、宇宙人の霊言を収録したのだが、この『宇宙人との対話』。集まった聴聞者の中から、前世が宇宙人だった人を選び、その霊を降ろすのである。プレアデス星人、ウンモ星人、レプタリアン(爬虫類型宇宙人)、ベガ星人、金星人、ケンタウロス座α星人が登場する。
・ウンモ星人というのは「宇宙人ユミットからの手紙」で有名になった宇宙人。1960年代から、何人かのスペイン人のところに、ウンモ星人ユミットと名乗る人物から手紙が送られてきたというものである。手紙の内容によれば、彼らは人間そっくりで、1950年に初めて地球に着陸して以来、地球人にまぎれて暮らしてきたことになっている。
ところが大川隆法氏に降りてきたウンモ星人は、「地球に来たのは2百年前が初めてですけれども」と言う。しかもその姿は、3メートルぐらいあって脚が8本あるハチである。本書にはその想像図も載っている。
地上で活動する際は、催眠術で人間のように見えるように幻覚を見せているという。
・さて、この原稿を書いている今(2011年4月)、幸福の科学は大きく揺れている。以前から不仲だった大川隆法氏夫人の大川きょう子氏が、2月24日、教団と夫を名誉棄損で提訴したのである。
・(エル・カンターレ) 「幸福の科学」の本尊。幸福の科学の教義においては、エル・カンターレは、最高大霊であり、その本体が地上に下生したのが大川隆法であるとする。
<2010年度・トンデモ本広告の傾向>
・まとめよう。本調査によって2010年のトンデモ本は、宝くじや、代替医療としてのがん治療、その他の治りづらい疾患(腰痛等含む)の治療などを扱う傾向にあり、不確定要素や不安を利用した不安産業を形成していることがわかる。繰り返すが、宇宙人や超能力と違って(場合によるが)、代替医療は冗談ではすまない。こういった書籍がベストセラーになることそれ自体が悪いことだと筆者には断言できないが、問題なのは、それを直接的に検証したり批判したりする書籍を目にしないことのほうだろう。命に関わる大惨事を引き起こさないためにも、専門家や研究者、医師の方々に期待したい。
<僕らは仮想現実に住んでいる>
・ヒトは知らず知らずのうちに、たくさんのフィクションの中で生きているわ。
・ヒトは間違ったことを信じ続ける。生まれてから死ぬまで、自分たちの脳内にしかない仮想現実に住んでいる。それが事実ではないと知らされると、激しく動揺し、認めまいとする。
『UFOとローマ法王、そして自然栽培』
空飛ぶ円盤で日本を変えた男
高野誠鮮 学研プラス 2017/9/26
<UFO伝説が羽咋の救世主に?!>
・すると、奇妙な古文書が見つかりました。地元の正覚院という寺に伝わる『氣多古縁起』という文献ですが、その中に「成山飛行虚空神力自在」という文言があったんです。神力によって虚空を自在に飛行する、と読めます。
羽咋に「そうはちぼん」という不思議な飛行物体の伝承があることも知りました。「西山の中腹を徐々に西に移りゆく怪しき火を、そうはちぼん、或はちゅうはちぼんと云ふ」(原文ママ)などという文献が伝わっているんです。
「そうはちぼん」とは、日蓮宗で使われる仏具です。シンバルのように左右を触れあわせて音を出すもので、その形状は、鍋のフタや麦わら帽子に似ています。ほかの文献を見ると、この飛行物体は、わりと頻繁に目撃されていることがわかりました。
・ここに出てくる眉丈山近辺には、「鍋が空から降ってきて人をさらう」という不思議な神隠し伝説も伝わっていました。
「これって、UFOのことじゃないか!?」そう気づいたときには、思わず鳥肌が立ちました。
これは町おこしに使える!と思いまして、賛同してくれるメンバーを何人か集め、「羽咋ミステリークラブ」というUFO町おこし団体をつくりました。
しかし、UFOで町おこしといっても、手もとにあるのは古い文献コピーだけ。
・次は「外堀作戦」です。「羽咋市がUFOで町おこしをはじめた」というニュースを各地の新聞社やテレビ局、タウン誌編集部と、APやロイターといった外電に流しました。結果は上々で、北海道の一部ではかなり盛りあがり、九州の新聞にも掲載されました。海外ではアメリカの「ウォール・ストリート・ジャーナル」をはじめ、16紙が記事にしてくれ、そうした動きを知った東京の新聞が、情報を流してくれたりもしました。
ここまできたら、そろそろ地元で具体的なことをしないといけません。そこで、知人の両親が経営しているうどん店で「UFOうどん」を出してくれないかと頼み、それを「週刊プレイボーイ」に取材してもらいました。
<そうはちぼん伝説>
・桜の花も散って、大分暖かくなった夕暮時分や、向かい側の眉丈山の中腹から、上の方にいくつもの火の魂が出たもんや。
その火の魂は、いくつも連なって横になって、一の宮の神様の方角へ歩いて行くが、谷に入っては消え、また山の上に現れるという。
不思議な火の魂で、小田中や高畠のもんは、
「そりゃ、また、そうはちぼんがでたわい」と言うた。
<「宇宙とUFO国際シンポジウム」の実現>
・この資金をもとに、1990年11月17日から25日までの9日間、羽咋市主催で「第1回宇宙とUFO国際シンポジウム」を開催しました。会期中は、人口2万5000人の羽咋市に4万5000人以上の人が集まり、市内の店はどこも大繁盛でした。
<「コスモアイル羽咋」は幕末の出島>
・「宇宙とUFO国際シンポジウム」の成功がきっかけとなり、UFOの町、羽咋の拠点となる施設がほしいという話が出てきました。そこで旧自治省主催のリーディングプロジェクトに応募したんです。UFOを幕末の黒船に、羽咋を出島にたとえ、「宇宙の出島、能登羽咋のプロジェクト」という趣旨で、UFOによる町おこしの企画書を作成しました。すると、「おもしろい!」と採用され、52億6000万円の予算が国から下りることになりました。
こうして建設されたのが、UFOをテーマとする初の公的な施設「コスモアイル羽咋」です。
<UFOを信じる人間はバカなのか?>
・こうした資料が物語るように、各国では優秀な人材がUFOの調査・研究に没頭しているんです。
ある大学教授から「まともな科学者はUFOの研究なんてやっていない」といわれたときにはカチンときました。ならば、実際にUFOの研究をしているハーバード大学やスタンフォード大学の教授は、まともじゃないというのでしょうか?
・私は、「UFOが存在する」といっているのではありません。UFOを目撃したら報告しなさいと書かれた書類が存在する、ということです。UFOを
目撃することがありえないなら、そんな報告義務規定をつくったりはしないはず。
じつは、そうした書類の存在を含め、UFO現象というのは、ものすごく軍事色・政治色が強い事柄なんです。事実、コスモアイル羽咋の展示物の約3分の1は、軍人が持っているファイルや、軍から出てきた資料です。
・「JANAP」とは、陸海空軍共通交付のことで、アメリカ軍およびカナダ軍所属のパイロットだけでなく、民間のパイロットにもこの規定が適用されます。また、報告した目撃情報をみだりに口外した場合は、科料もしくは懲役に処すとも書いてあります。
<UFO問題は故意に隠されている>
・ビル・ムーアという、興味深い人物もいました。彼は日本でいうと矢追純一さんのような存在で、アメリカのUFO情報、とくに軍からの資料は、すべて彼を通して出てくるんです。ロズウェル事件に関する情報もそうでした。おそらく軍の関係者が、彼は使いやすいと判断したんでしょう。
<取材中に起こった不可解な出来事>
・ファイルは、「CEⅠ(第1種接近遭遇)」から「CEV(第5種接近遭遇)」までありました。第1種接近遭遇とは、500メートル以内の距離でUFOを目撃すること、第5種接近遭遇とは、異星人と直接的な対話や通信を行うこととされています。つまり、すでに地球人と異星人とのやりとりが開始されているということになります。
<日蓮もUFOを目撃していた!>
・「彼ら」は、古今を通じて、各国政府の指導者や要人と会っているようです。
・それによれば、日蓮が龍の口の刑場で首を切られそうになったとき、江の島のほうから月のごとく輝く毬のようなものが飛んできて、それが放った光によって首切り役人の刀がバラバラに折れてしまったので、処刑どころではなくなったと書かれています。深夜なのに「日中のごときなり」とありますから、急にすごく明るくなったのでしょう。また、「龍ノ口法難」の後、佐渡へ流罪になるまでの約1か月は、相模の本間邸に日蓮が拘束されていたのですが、そこの梅の木に天使が降りてきて、それを見た武士たちが恐れをなしたという記事があります。
日蓮が夜な夜な庵を出て、七面山まで行くのを見た弟子たちが「怪しい」と思ったという逸話も残されています。まあ、女性でもいるのではないかと思ったんでしょう。跡をつけてみると、やはり山の中で女性に会っている。ところが、その女性が忽然と消えてしまうんです。翌日、「ゆうべお会いになっていた方はどなたですか」と弟子が尋ねると、「七面大天女だ」という答えが返ってきたそうです。その七面大天女が、日中、辻説法をやっているときに、聴衆の中に現れたそうです。弟子たちが「今日もいるな」と思っていた、なんていう話もあります。でも、そのときも忽然と姿を消します。
<UFOは「不都合な真実」>
・ところが、先に述べたように、そういうことをいわれて困る連中がいる。だからケネディは暗殺されたし、UFOにかかわる人々も、おいそれとは口を割りません。
・カール・セーガンは、1968年にロサンゼルスで開かれた「ロケット会議」で、面白い発言をしています。このころは、アポロ計画の意義が問われていた時期でしたが、月はエイリアンの前線基地になっている可能性が高く、アポロ計画は、これを調査するためのものである、というんです。これは、セーガンがアメリカの大きなプロジェクトにかかわる前の話です。
<世界政府樹立の窓口は日本!?>
・そろそろ地球は危ない時期にきていますが、むしろ、そのこと自体が希望になりえます。危険な状況を打開するために、地球政府樹立の可能性を示す流れが、どこかで出てくるはずなんです。
・じつは1982年に、アメリカ最高裁が「国の安全保障を脅かすようなUFO情報に関しては、公開しなくてよい」という判断を示したんです。それ以来、貴重なUFO資料はいっさい表に出てきません。
<5万年以上前から「彼ら」は来ていた>
・教科書には、「じつに不愉快な結論だが、エイリアンのコントロールによって、ほかの惑星から地球に飛来しているのがUFOである」ともはっきり書かれています。
<日本での目撃情報はアメリカが管理!?>
・OSI(アメリカ空軍特別調査部)の書類を見ていくと、「JASDAF(航空自衛隊)」の204Aに従って」という文章が出てきます。これは、「自衛隊の報告義務規定に従って報告された」ということを意味します。つまり、自衛隊にもUFOの報告義務規定があるということにほかなりません。
<これ以上は明かせない危険な話>
・さらに調べていくと、特定の町に行き当たりました。ごく普通の町ですが、その町全体がNRO(アメリカ国家偵察局)だったんです。これには驚きましたね。普通のガソリンスタンドやクリーニング店の従業員もすべてNROの職員で、よそからの移住者は入れません。町全体がNROという組織なんです。それ以上詳しいことは、危なくていえません。
・ウ・タント事務総長は、「ベトナム戦争が終わったら、次はUFO問題だ」と語っていました。ところがアメリカの横ヤリが入って、事務総長の座から引きずり降ろされたんです。広報担当官をしていたコールマンは、何も悪いことをしていないのに職を解かれました。解雇処分です。
<UFOの飛行原理はすでに解明済み!>
・つまり、エネルギーのフラクタル変換技術、いってもればエネルギーを分離・回転・圧縮する高度な技術をUFOそのものが担っているわけです。それがおそらく飛行原理でしょう。
<科学者が遭遇した異星人「ウラニデス」>
・UFOについて真実に近い情報をつかんだ人たちは失踪したり、殺されたりします。偽物は生きながらえますが………。
・オーベルト博士は、「ウラニデス」という異星人と一緒に、UFOに搭乗したと明かした最初の科学者です。コールマンに連れられて、フランクフルトでお会いしたんですが、病院のベッドで点滴を打っている状態でした。
・しかし博士は、連合国のものではないと最初から認識していました。「連合国側は、あんなに高い技術を持っていない」といいつづけたんです。
博士によれば、UFOは「ウラニデス(の技術によるもの)だ」と。地球人が持つ技術との差は、歴然としていると感じたようです。「地球上に、あんな飛行ができる航空機は存在しない」と、話していました。
<バチカンはUFO情報を秘匿している>
・バチカンが昔からUFOの情報を収集していることは、公然の秘密です。近年では、バチカンのサンピエトロ大聖堂の真上で静止しているUFOを、観光客がビデオ撮影したこともあります。
<コロラドでUFOに触った大学教授>
・ただ、地球製のUFOは、まだ実用段階ではありません。テスト走行くらいはやったりしているけれど………。
<VIPの「心臓をとめる」超能力者>
<X線より的確に乗客の荷物を透視!>
・ただ、旧ソ連にかぎったことではありませんが、本物の超能力者というのは、絶対に表には出てきません。テレビにちょいちょい出てくるのは、たいしたことのない人たちですよ。とんでもない能力者がいるんです。