UFOアガルタのシャンバラ 日本は津波による大きな被害をうけるだろう

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中国は習近平のもと、経済だけでなくあらゆる面で世界との戦いに敗れ、滅亡の道を辿り始めている。(1)

 

『日本の「非核」神話の崩壊』

日高義樹  海竜社   2019/7/12

 

 

 

核兵器は使えない」

・これまで「核兵器は使えない」という思い込みのもとで、いわゆる非核戦略つまり核兵器保有しない安全保障政策を維持してきた我々はいま一度、国が国民の安全を保つために何をするべきか、考えざるをえなくなっている。

 

中国は習近平のもと、経済だけでなくあらゆる面で世界との戦いに敗れ、滅亡の道を辿り始めている。

 

・国際社会の現実を直視するならば、核兵器は「使えない」のではない。敵対する者に「核兵器を使えない」と思わせる強力な抑止力があるから、「使えない」のである。

 

技術の目覚ましい進歩の結果、究極の兵器と言われてきた核兵器を、北朝鮮という遅れた国までが持ってしまった。

 

「始めたら負け」が核戦争の大原則

・これまで核戦争が起きなかったのは、アメリカの学者たちが作り出した「相互確証破壊」という概念なのである。双方が同じ核兵器を使った場合、双方が壊滅する。こう考えれば、核兵器を使うことはない。専門家であろうがなかろうが、この概念は理解できる筈だ。

 いまアメリカをはじめ世界の専門家のあいだで、相互確証破壊戦略が不確実になったと考えられていることには別な理由がある。

 

・「敵対国からの核兵器による報復」について考えた場合、中国、北朝鮮という国がほかの先進国とまったく違っていることに留意しなければならない。中国は朝鮮戦争で、国府軍から降伏した兵士を最前線に送り込む人海戦術をとった。この無慈悲な戦術の結果、数十万の兵士たちが無残に殺された。

 文化大革命では紅衛兵が、子供や年よりまで無差別に殺害した。天安門事件の際にも、政府の手で大勢の若者が殺された。いまでも何百万という異民族に対する残虐な弾圧が続いている。

「中国軍は反政府の指導者だけでなく、何の関わりもない一般人を平然と殺害したり投獄したりしている」

 国外に逃れたウイグル族の女性がアメリカの報道人にこう述べているが、中国の指導者たちにとって国民を殺害すること、犠牲にすることは、人道的にも政治的にも配慮するべきものではないのである

 

核戦争になった場合、中国の国民がどれだけ殺され、犠牲になるかという問題は、政治的にも戦略的にも真剣には考慮されないのである。中国の指導者には相互確証破壊戦略という概念がない。

 国民が核兵器による報復攻撃で何人殺害されようと、中国政府の戦略にはまったく影響を与えない。これまで何千万という国民を殺害し続けて来た中国の指導者にとって、「国民の損害」というのは無意味なのである。

 専制国家の北朝鮮も同じである。ロシアもスターリン時代に行われた数々の虐殺をみれば、中国や北朝鮮と同様の性格を持った国である。アメリカの専門家が信じている相互確証破壊戦略というのは、中国、北朝鮮に対しては意味の無い戦略であり、理論なのである。

 

相互確証破壊戦略の概念がない中国や北朝鮮と戦争になった場合には「指導者層をすべて抹殺するほかはない」というのが、現在のトランプ大統領の国家安全保障担当補佐官、ジョン・ボルトン博士の考え方である。

 ボルトン博士とはテレビ取材を通じて幾度か会話を交わし、一緒に食事をしたこともある。人間味に溢れた真正直な学者で、「共産主義の指導者と話し合いはできない。政権を変え、指導者を抹殺するほかはない」という考え方をしている。

 

このジェームズ・シュレジンジャー博士が提唱した核戦略は、全方位戦略と呼ばれているソビエトの重要拠点をすべて攻撃するというものであった。現在のロシアで言えば、軍事拠点だけでなく、重要な都市、プーチン大統領が大切にしている油田や王宮など、あらゆる拠点を攻撃して徹底的に破壊し、プーチン大統領を降伏に追い込むという戦略である。

 

・現在の中国、ロシア、北朝鮮に対して、人間味のある戦略に効果がある筈はない。中国、ロシア、北朝鮮に対する核戦略は、習近平プーチンキム・ジョンウンとその政権をすべて抹殺するか、排除する戦略しか効果はないと思われる。これまでアメリカの基本戦略であった相互破壊確証戦略は通用しないと思われる。

 

世界の核バランスを変える北朝鮮

北朝鮮が新しい核技術を手にして、飛躍的に核戦力を向上させた。政治的な脅しだけにとどまらず、実際に軍事行動を起こす能力を身につけ、水爆を搭載した核ミサイルをアメリカに撃ち込む能力を持ったのである。恐るべき事態であるが、それ以上に世界にとっての脅威は、深刻な政治的影響である。

 

・「アメリカは北朝鮮と核問題について話し合わなければならないが、その話し合いを北朝鮮に対する譲歩と考えるべきではない。アメリカにとって同盟国の安全を維持することが重要で、北朝鮮の政権を変える必要はないと考えていることを北朝鮮側に伝えなければならない。アメリカをはじめ西側は早急に、北朝鮮核兵器をあきらめさせなければならない

 

・「現在の状況は1953年、冷戦が激しくなった時以来の深刻な状況である。しかもこうした状況に対してアメリカおよび同盟国の首脳たちは対応策を誤り、事態を悪化させてしまった。新しい核技術が拡散している状況のもと、我々は核戦争を防ぐための努力を始めなければならない

 

失敗したアメリカの朝鮮半島戦略

北朝鮮は依然として水爆の製造を続けている。大陸間弾道ミサイルの開発もやめていない。つまり北朝鮮の核の脅威という問題は未解決のまま残されている。この状況から見る限り、北朝鮮から核を取り上げるというトランプ大統領の目論見は失敗してしまった。

 

保有国家として認められたい北朝鮮

北朝鮮は世界の核保有国の常識である核融合爆弾、水爆の実験に成功したのであった。しかもアメリカ国防情報局の情報によると、北朝鮮の純度の高いプルトニウムの作成や濃縮ウランの量産体制からみて、すでに50発以上の核爆弾の製造に成功している。

 こうした国防情報局の情報とは別に、CIAや国家安全保障省の専門家は、プルトニウムやウランなど核爆弾の原材料の生産量や北朝鮮重工業部門の能力からみて、北朝鮮は100発ちかい核爆弾を製造したと考えている。

 現在核爆弾を保有する国は、すべての敵を相手に核戦争を考える戦略をとっている。ある意味で言うと、かつてフランスのドゴール大統領が発表した全方位戦略を基本にしている。

 

中国は核装備についてなんの発表も行っていないが、製造しているミサイルの数と原子力発電所の数からみて、やはり5000発以上の核弾頭を保有していると推測される。フランスは400発ないし600発、インドとパキスタンも、ほぼ同じ量の核弾頭を保有しているとみられる。

 イスラエルについては、アメリカCIAなどは100発前後としているが、文字通り、周りがすべて敵であるイスラエルは、同じように数百発の核弾頭を保有しているとみるべきであろう。

 

アメリ国務省の核問題の専門家が私にこう言ったことがある。「北朝鮮は遅れた貧しい国だ。我々と対等の国とみるべきではなく、また扱うべきでもない

 

北朝鮮の危険な政治軍事体制

北朝鮮の軍事体制の遅れや、時代遅れの個人崇拝の独裁体制を変えることはきわめて難しい。

 

現地にみる朝鮮半島の軍事情勢

・我々がもっとも注目すべきは、核兵器という破壊力の大きい兵器を、専制君主による独裁体制が持つ開発途上国北朝鮮が持ってしまったことの危険である。北朝鮮の核装備は軍事的な対立国である韓国とアメリカだけの問題ではなく、日本やヨーロッパも同じように考慮しなければならない重要な問題なのである。

 

戦争に勝てない軍事大国中国

中国の力を過信し、やがてアメリカに代わってスーパーパワーになると信じている学者がアメリカには大勢いる。だがそうした人々は、中国の経済的繁栄と軍事力を数字の上だけで判断しているに過ぎない。中国の政治や経済、社会がきわめて歪んで異常なものであることから目をそらしているのである。

 

人工頭脳AIを狂信する北京

・中国の習近平は「2030年までに中国は人工頭脳AIの覇者になる」と豪語している。突出したAI技術を駆使して、アメリカを圧倒する軍事戦略をたてる野望を抱いているが、すでに述べたようにAI技術の軍事的な活用という面では、アメリカがはるかに先を行っている。

 

電子マネーと借金漬けの中国経済

・中国にはおよそ5万社の国営企業があるといわれているが、香港の金融機関の報告によれば、そうした国営企業の負債は、すでにGDPの159倍に達しているという。

 

・中国が共産党一党の独裁という政治体制をとり続ける限り、中国の経済体制は資本主義を基盤とする正常な経済体制にはなり得ない。さらに危険なのは、中国の経済が安い賃金によるダンピング貿易によって成り立っている。国際的にみるといわば不正行為を基盤にしていることである。不法な経済活動によって拡大してきた経済に支えられた中国は、いくら軍事力を持とうが、私に言わせれば、スーパーパワーになる資格がない。

 

・フーバー研究所は膨大な予算をかけ、大勢の研究者を動員して、中国が将来どうなるかを研究してきた。フーバー研究所は「中国はもはやスーパーパワーになれないだろう」と結論づけているが、習近平アメリカへの挑戦は完全に失敗に終わったのである。

 このフーバー研究所の報告は、つい先ごろまでアメリカでもてはやされていたハドソン研究所の学者による、「中国とアメリカの戦いは長いマラソンのようなものだ」という考え方を否定している。私はハドソン研究所の研究員だが、中国についてはフーバー研究所の結論をとる。

 

崩壊し分裂するアメリカ政治

ロシア疑惑に関わるすべての問題を閉じてしまわずに、さらにトランプ大統領批判を続けると、いま渦巻きになっているワシントンの流れが津波になり、反民主党の動きになる危険が十分にある。

 いまここでアメリカの国民が正しい判断をすれば、2020年の大統領選挙でトランプ大統領に大勝利を与え、トランプ大統領が強い政治力を行使して、アメリカの政治を正常に戻すことになる。

 

アメリカのマスコミの構造的な欠陥

アメリカのマスコミの構造的な問題とは、アメリカのテレビ局や新聞社などの経営の基盤が非常に弱いことであるアメリカのビジネスのレベルで考えると、テレビ局や新聞社のビジネスとしてのスケールは、ほかのアメリカの企業と比べると小さく貧弱で、収益性が悪い。

 

失敗したアメリカ官僚のクーデター

アメリカ政治だけでなく世界外交を混乱させてきたトランプとプーチンの密約疑惑は、FBIや司法省の官僚たちがでっち上げたものであることが判明した。この人々の大統領に対するクーデターは失敗に終わったのである。

 

アメリカ理想主義の混乱と矛盾

・こうした状況から、2020年11月の大統領選挙では、トランプ大統領が再選される可能性がきわめて強くなっている。今の段階ではトランプ大統領は再選されると言ってもよいであろう。

 

・「トランプ大統領が自ら自覚しているかどうかは明らかではないが、彼は歴史を変えようとしている」

 

私は50年にわたってアメリカを見てきたが、この間にアメリカは、官僚体制が恐ろしく進み、社会が完全に硬直化してしまった。

 

アメリカには、リヴォルビング・ドア、「回転ドア」と呼ばれる現象がある。回転ドアをくぐるように、役人がシンクタンクに入り、そこからウオール街に移ったり、ジャーナリストが官僚になったりする。

 こうした回転ドア現象は、アメリカ民主主義の優れた点であるとされてきたが、つまるところは官僚化が進んだ結果、官僚の周りにビジネスマンや学者、専門家、ジャーナリストが結集するという現象が出来上がってしまったのである。トランプ大統領はこうした状況を打ち壊そうとしている。

 これに対して民主党は、新しい政策や政治哲学が無いまま、「国家は貧しい人を助けなければならない」という、社会主義的な考えに取りつかれてしまっている。その代表がオバマ大統領とその周辺の政治家である

 

・こうした状況を見ると、民主党トランプ大統領からホワイトハウスを奪い返すことはほとんど不可能であると思われる。さらに民主党にとって悪いニュースは、最も有力な候補とされているバイデン前副大統領に中国絡みのスキャンダルが浮上していることである。

 

急速に増える世界の核兵器

大きな円形の時計の針が零時2分前を指して世界を睨みつけている。

 この円形の時計は、アメリカのシカゴにあるサイエンス・アンド・セキュリティ―委員会のロビーに掲げられ、世界の人々から「世界終末時計」ドゥームズディ・クロックと呼ばれている。

世界終末時計」は、核戦争が始まり世界が終末を迎える時を午前零時とし、それまであと何分かを示しているのである。

 

・その後冷戦が終わり、ソビエトが崩壊したこともあり、時計の針は17分まで戻され、世界の人々をほっとさせた。この時計の針が再び午前零時2分前に進められたのは、北朝鮮が水爆の実験に成功した2018年のことである。

 

そして2019年1月24日、時計の針は午前零時2分前にとどめられる決定がなされた。核戦争まであと2分という状態が2年も続いていることは、世界が危機的な状況にあることを示している。

 冷戦が終わって30年、世界は再び核戦争の新たな脅威に襲われている。このような状況になっているのは、アメリカとロシアに配備されている核兵器が急速に増えていることにあわせて、今後さらに核保有国が増大すると予想されるからである。

 

・「核戦争まであと2分」というのは、いつ核戦争が始まってもおかしくない状態であることを示しているが、さらに恐ろしいのはいまや、世界のどこの国であれ、核兵器を作ることが可能になっていることである。

 世界中に原子力発電所が普及して、核爆弾の材料である濃縮ウランや純度の高いプルトニウムを作ることが容易になっている。

 

・こうした状況をブロンソン博士らは、発展途上国である北朝鮮までが独自の力で高度な核兵器を開発してアメリカを脅かすという、これまで人々が経験しなかった「異常な核の恐怖の時代」と言っているのである。

 

核技術を盗み続ける危険な中国

・異常な核の時代、と言われる現在の危機的な状況のなかで、もっとも危険な現象の一つは核技術を盗み続けて核保有国になった中国が、核戦力の強化に突っ走っていることである。

 

・中国が1970年代の終わりから90年代、クリントン大統領の時代まで、あらゆる努力を傾け、アメリカから核兵器の技術を盗み取ったかを組織的に調査したのがアメリカ下院特別委員会で、1999年5月25日、その調査の内容を膨大な報告として議会に送っている

 この報告を見るかぎり中国の核戦力がすべてアメリカから盗んだ技術で作られたコピーであることははっきりしている

 

・いずれにせよ現在の中国の軍事力の根幹になっている核戦力はすべてアメリカから盗んだものであると言っても言い過ぎではない。トランプ大統領は、中国がアメリカから先端技術を盗んでいると非難しているが、核兵器をつくるために中国がやった盗みは、いまと比較にならないほど壮絶なものであった。

 

・サイエンス・アンド・セキュリティー委員会の核兵器碩学が言及してはいないものの、新しい核の時代に、もっとも大きな危機と脅威を世界に及ぼすのは中国であると言わざるをえない。

 いまブロンソン博士をはじめ世界の核の権威が注目すべきは、超大国であるとされている中国が実は遅れた脆弱な核国家であり、新しい核の脅威の時代には、もっとも危険な国であるという事実である。

 

核兵器が溢れる破産国家ロシア

いまや世界に核兵器が溢れているが、そのなかできわめて危険な事態は、政治的には破産してしまったロシアに大量の核兵器が溢れていることである。

 いかにロシアの状況が異常であるかは、15の社会主義共和国から構成されていたソビエト連邦が崩壊した後、あっという間にそれぞれの共和国が独立し、ソビエト連邦の中核であったロシアに核兵器がすべて残されていることに示されている。

 ロシアは冷戦時代、3万発を超す戦略核兵器と1万5000発を超す戦術核兵器保有していた。その核兵器のすべてが放置されているか、あるいは何らかの形で残されているのである。

 

アメリカや西側の核保有国と違っていたのは、核兵器を先制攻撃に使うと決めていたことである。つまり核兵器を先に使う戦略をたてて軍事訓練をくり広げていった。

 核兵器を先に使うというソビエトの考え方は、その後ロシアに引き継がれた。

 

核兵器を先に使うという戦略に基づいてロシア軍はあらゆる種類の核兵器保有している。ロシア陸軍は5キロトンという超小型の核弾頭を持った砲兵部隊を実戦配備して、数キロ先の敵を小型核兵器で攻撃する体制をとっている。また核地雷という恐るべき兵器も保有しており、実際に戦闘に使う体制をとっている。

 ロシア海軍核兵器に頼っていることはよく知られている。すでに述べたように魚雷に核弾頭を装備しているのをはじめ、海上艦艇は10キロトン程度の核弾頭を持つクルージングミサイルを搭載している。

 ロシア空軍がほかの国の空軍と際立って違っているのは、戦闘機が核爆弾を搭載していることである。

 

・戦闘機が核弾頭を搭載した空対空ミサイルを装備していることは、軍事常識から言えばきわめて異常なことだが、ロシア政府の首脳はそうは思っていないようである。

 

・ロシアの戦略は、現在北朝鮮アメリカとのあいだで行っている騙しの戦略の原型とも言える。

 

・しかしながら私の見る限り、現在の核の危険な状態を作り上げたのは、アメリカが間違って結んだソビエトとロシアとの核軍縮協定であり、その軍縮協定を利用して作り上げた強大なロシアの核戦力である。

 

世界が異常な核の時代に入ってしまった理由の一つは、破産国家であるロシアに核兵器が溢れているという事実だが、世界の核問題の碩学たちは、この点を指摘することを忘れている。

 

(当ブログ註;)「広島に落とされた原子爆弾リトルボーイ)は、TNT換算で約15キロトンである」といわれます。

 

同盟国の信用をなくすアメリ

・2019年4月、日米安保条約の実施についての話し合いが日米の外交防衛専門家のあいだで開かれ、中国が日本に対してサイバー攻撃をしかけた場合には、日米安保条約の適用範囲の問題として、アメリカ軍が中国の攻撃基地を攻撃することを決めた。

 

・技術的にみて、日本に対する中国のサイバー攻撃の拠点を見つけることはきわめて難しい。私はハドソン研究所の研究の一環として、1990年代からこの問題を研究し続けているがサイバー攻撃というのは多くの場合、幾つかの発信拠点を経由して行われるのが通例である。つまり中国が北京にある拠点から東京の外務省や防衛省、さらには総理府対してサイバー攻撃をかける場合、直接攻撃を行うことは絶対にありえない。

 1990年代の初歩的な研究のなかで推定されたのは、次のようなルートであった。北京から発信された信号は中東の中国寄りの湾岸国家のどこかに転送され、そこから中国寄りのカタールオマーンに転送され、さらにアフリカの中国に近い腐敗国家マリやナイジェリアに転送される。そこからさらに、アジアのインドネシアや、あるいは中国側の島々に転送され、そこから日本を攻撃する。

 

・「サイバー攻撃の原点を攻撃中に見つけ、それに対して何等かの反撃を行うことは、不可能とは言わないが、想像を絶する難しい仕事になる

 

・「アメリカ側があらゆる技術的な問題を乗り越えて、中国の日本に対するサイバー攻撃の基地と現場を押さえたとしても、アメリカ側がその基地に対して簡単に攻撃を加えられるとは思われない。攻撃できたとしても中国が、アメリカ本土の同じような基地に対して報復攻撃を行うことは必至だと思われる

 

日本に求められる強力な抑止力

そうした状況が変わり、北朝鮮が核を保有し、イラン、さらにはサウジアラビアなどといった国々が核兵器を持つことになれば、偶発戦争的な核戦争が起きる危険が高まり、世界が不安になってしまう。確かに非常事態であり、まさに異常な核の時代である。

 

・少し乱暴な結論とは思うが、アメリカとソビエトが互いに核兵器を持ったことによって紛争が起きないという現象も世界各地にみられる。インドとパキスタンが核保有になった結果、これまで戦いをくり返してきた南西アジアの軍事情勢が安定し、インドとパキスタンが銃火を交えることはなくなってしまった。

 

人類の歴史を紐解いてみると、現在のように科学技術が発達し、遠く離れた国と国の対立や戦争が重要になってくる以前、少なくとも第1次大戦に至るまでの世界は、国境を接した国家同士の戦いが争いの主流であった。この国境を接する国と国の対立では、常に相互の軍事力が拮抗している、つまりある種の相互抑止が働いているあいだには戦争にならなかった。だがそういった相互抑止が崩壊した場合には、必ずと言っていいほど軍事力で優位にたつ方が侵略戦争を始めた。逆にまた抑止を破られたが方が奇襲攻撃をかけるというのが通例であった。

 こうした相互の力の均衡に基づく抑止力が破れるには幾つかの原因があった。軍事技術の向上、指導者たちをめぐる対立や内紛、経済や食料供給の問題といったものが、安全保障上のバランスの崩壊をもたらした。

 

世界の核問題の碩学たちは、そういったアメリカの帝国主義的な体制が崩壊してしまった混乱を異常だと指摘しているのである。そういった状況のなかで、日本の安全と世界の秩序を維持するためには、これまで日本がまったく考えてもみなかった抑止力を日本が自らの力で持つことが重要である。日本が独自の抑止力を持たなければ、日本の国そのものが徐々にではあるが、崩壊してしまうことになる。

 

・日本が独自の抑止力を構築するには莫大な経費が必要である。アメリカや中国が作り上げている安全保障体制を持つには、日本のGDP10年分という膨大な経費が必要となる。そのうえ日本は国土が狭く、核戦争になった場合の被害吸収能力、つまり攻撃に耐える力がきわめて弱いところから不利な立場に立たされている。

 

我々はまず、敵に使わせないために使える核兵器を維持する必要があること、核兵器が最終的な抑止力としての兵器であることを理解しなければならない天皇制をはじめ日本の仕組みを守るために、使えない核兵器を抑止力として持ち、邪悪な国々が日本に対して核兵器を使えない状況を作らなければならない。

 

 

 

『AI時代の新・地政学

宮家邦彦   新潮社   2018/9/13

 

 

 

AI兵器

AI時代を迎え、従来の地政学の常識は大きく書き換えられていく。戦略兵器となった「AI兵器」が核にとって代わり、熱い戦争ではなく「水面下の刺し合い」が主戦場となる可能性すらある。

 

国際情勢分析を仕事とする身としては、現在起こりつつあるAI革命が伝統的な地政学的思考に如何なる影響を及ぼすのか、考え続けざるを得ない。

 

・伝統的地政学とは、ある民族や国家の地理的状況や歴史的経緯に着目し、当該国家・民族や関連地域への脅威およびその対処方法を考える学問だ。

 しかし、特定の国家が有する地理的・歴史的状況はそれぞれ大きく異なる。安全保障上の利害関係に関しては、全世界共通の傾向や法則などそもそも存在しない。

 

・でも恐れる必要はない。これは日本にとってピンチであると同時にチャンスでもある。世界の一流国として21世紀に生き残っていけるかもしれない。逆に、この大変革期に及んでも従来の不作為と受動的対応を繰り返せば、人口減少による二流国への転落が確実に待ち受けている

 

AI革命で激変する地政学

・しかし、筆者が懸念するのは、日本での主たる関心事がAIのビジネスに与える影響であるのに対し、他の主要国では政治・軍事に与える影響についてもその研究に多大な人的・財政的資源が投入されていることだ。

 

第5次中東戦争はもう始まっている

・ところが、最近の情報通信処理・AI技術の飛躍的進展は、伝統的地政学が示す優位・劣位の環境を逆転させつつある。従来の強者が弱小集団に簡単に敗れる可能性が出てきたのだ。

 

・その典型例が、カタルに対するハッキングやレバノンのサイバー戦遂行能力の向上だ。例えば、昔ならレバノンからカタルに直接攻撃がなされる可能性はほぼゼロだった。が、今やレバノンのような人口の少ない貧乏国でも、サイバー空間では相当程度の攻撃力を得ている。なぜこんなことが可能になったのか。

 

・サイバー戦の世界では防衛よりも攻撃の方が遥かに安上がりである。

 

・特に、攻撃ソフトを扱う闇市場では入手コストが大幅に下落している。

 

だから最近は、伝統的優勢国でも弱小国の攻撃を抑止できなくなっている。

 

巷では「AI技術が経済やビジネスを変える」といった議論が盛んだが、AIには伝統的国際情勢分析の常識を破壊する力もある。

 

AIが作る芸術には創造性はあるのか

・結局、人間は進化したAIに支配されてしまうのか。そこで問題になるのは、AIが人間の能力を超える、いわゆる「シンギュラリティ」の概念だ。シンギュラリティが本当に現実となるか否かについても議論がある。

 

AI革命はダークサイトを変えるか

・ラッダイド運動から50余年後の1864年、ロンドンで第一インターナショナルが結成されたが、AI革命の結末は2つ、第1はダークサイドの拡大と過激化であり、第2はネオ社会主義の台頭の可能性だ。10年後の世界は大量の失業者の不満と怒りを誰が吸収するかにかかっている。

 

AI革命と米中の地政学

・AI技術による米中の力関係の変化は日本の安全保障に直結する重大問題だ。日本もAIの軍事応用を本気で始める必要がある。

 

AI革命と米露の地政学

・ロシアがAI分野で米国に勝つことはなさそうだが、ロシアが米国以上に、他国を実際に攻撃・占領することの政治戦略的意味を熟知していることだけは間違いない。米露競争は今後も緩むことなどあり得ない

 

AIと日韓、日朝、日中の地政学

・問題は対中関係だ。既に触れた通り、中国のAI技術革新は目覚ましい。しかも、その多くは中国国内の社会管理や言論統制など独裁体制を維持するための活動に応用されている。個人のプライバシーを保護することなく、10億人以上ものビッグデータを活用できる中国が国内の管理統制体制を完成させれば、次のターゲットは潜在的敵性国家である日本となるだろう。

 

AI革命は戦争をどう変えるのか

・80年代にはIT革命が米ソ冷戦の終焉とソ連邦崩壊をもたらしたが、2020年代のAI革命は一体何を引き起こすのだろうか。

 

・しかし、民間主導で急速に発展しつつあるAI技術の軍事転用を条約などで規制することは、航空機や核兵器と同様、事実上不可能だろう。

 AI軍事技術のもう1つの問題点は、議論が兵器システムという戦術面の核心に集中していることだ。AI軍事技術の最大の問題は無人兵器運用の是非などではなく、それが国家軍事戦略を根本から変えてしまう可能性である。

 

AI革命で変わる国家戦略論

  1. AIが国家軍事戦略を変えるということは、AIが核兵器に代わり、「戦略兵器」になり得ることを意味する。戦略兵器とは、それだけで敵の戦意を喪失させ、自らの勝利を保証する究極兵器だ。
  2. AI兵器が敵の戦意を喪失させるとは、核兵器を使わずに、AI兵器だけで、敵国の「大量破壊」が可能になるということだろう。
  3. 現在、核兵器は「使いにくい」兵器となりつつあるが、AI兵器は従来タブーだった「大量破壊」をより容易に、かつAIだけの判断で、実行し得るようになるのだ。
  4. これを阻止するには、敵のAI軍事能力を減殺する「対AI軍事技術」を実用化していくしかない。

 

・そんな未来を議論している米国と比べ、日本は今もAIの軍事応用はタブー、「対AI軍事技術」の議論も皆無だ。これも背筋がぞっとする話ではないか。

 

AIを悪魔にするのは人間である

・当面は「AI」対「人間」の戦いにならない

・AI同士の戦いで優れたAIが勝利する

・AIを悪魔にするのは機械ではなく人間である

 

<AI革命時代に日本がすべきこと>

・(AI時代に日本が何を考え、何を実施すべきか。論点は4つある。)

・AI革命の影響・効果は経済分野だけではない

・AI革命は短期的に社会的格差拡大を助長する

・AIは軍事・安全保障分野でも革命を起こす

今、重点投資すべきは「対AI軍事技術」である

 

・(では日本は何をすべきか。幾つか提言しておきたい。)

・戦後空想的平和主義からの脱却

・AI技術の軍事応用に関する研究者の養成

・AI技術の軍事応用に対する予算配分

・対AI兵器技術の重点的な研究・開発

 

歴史の大局観を磨く

大局を読む直観力を養う方法

・筆者が直観力に拘わるのには理由がある。

 今の日本は国家としての大戦略を欠いている。大戦略を立案するには、20~30年後の世界の国際政治・軍事戦略環境についての冷徹な見通し・シナリオを持つ必要がある。

 

・歴史の大局が発生するためには、それに至る一連の流れが必ずある。その流れを左右するのが歴史の「ドライバー」という概念だ。

 

歴史の大局を左右する「ドライバー」とは

英国の戦略思考家は、国際情勢を左右する主な要因を「ドライバー」と呼んで重視するが、森羅万象の中からこれを見付けるのは意外に難しい。

 

・「ドライバー」「エピソード」「トリビア」に分類する癖をつける

 

・歴史を学び、常に過去と照合する癖をつける

 

・知ったかぶりは厳禁、「知的正直さ」こそが武器になる

 

・では現在の筆者は一体何を「ドライバー」と見るのか。キーワードは、欧州ではロシアのクリミア侵攻、中東では米軍のイラク撤退、東アジアでは中国公船の尖閣領海侵入。ロシアの侵攻でポスト冷戦期は終わり、米軍の撤退でイラクとシリアが破綻国家化し、中国が東シナ海の現状を変えた。いずれも地域情勢を左右する力があると思うからだ。

 

・あるファンドマネージャーが書いたこんな記事を見付けた。「過去の値動きを現在と照合すれば、大局を見失わず冷静に判断できる」――。なるほど、市場と歴史は似ているようだが、1つ違いがある。市場の大局が読めれば大富豪だが、歴史の大局を読めても大儲けはできない。

 

「力の真空」理論と北朝鮮情勢

・「力の真空」状態では、基本的に、最強の部外者が最大の分け前を得る。

・最大強者が動かない場合には、弱い部外者でも分け前に与れることがある。

・部外者が介入しない場合には、破綻国家となるか、新たな独裁者が生まれる。

 

ということだろう。この仮説を北朝鮮に当てはめると何が見えるのか。北朝鮮の「終りの始まり」は「力の真空」を暗示する。中国にとって核武装する北朝鮮はもはや緩衝地帯ではなく、むしろお荷物になりつつある。