日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

コンタクティやチャネラーの情報を集めています。森羅万象も!UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象といわれます。

斬首と標的殺害は、テロリストや反乱者との戦いで広く用いられてきた。両戦略とも、武力行使を行う際の方法と対象について、他の戦略よりも緻密かつ差別的であろうとするものである。(2)

 

 

『米中戦争 そのとき日本は』

渡部悦和  講談社  2016/11/16

 

 

 

ライバルを必ず潰してきた米国

・日米関係について言えば、1970~90年代における米国の経済面での最大のライバルは日本であった。ハーバード大学エズラ・ヴォーゲル教授が1979年に書いた『ジャパン・アズ・ナンバーワン』は有名だが、多くの米国人が日本に脅威を感じていた。とくに日本経済の黄金期であった1980年代の米国人は日本を最大の経済的脅威として認識し、日本に対してさまざまな戦いを仕掛けてきた。その典型例が日米半導体戦争である。半導体分野で首位から転落した米国のなりふり構わぬ日本叩きと熾烈な巻き返しは米国の真骨頂であった。こうした米国の仕掛けが成功するとともに、日本の自滅(バブルを発生させてしまった諸政策と、バブル崩壊後の不適切な対処)も重なり、バブルを崩壊後の失われた20年を経て日本は米国のはるか後方に置いて行かれたのである。そして今や中国が米国にとって最も手強い国家となっている。

 

スコアカード・5つの提言

ランド研究所では「紛争開始時の米軍の損害を減少させ、勝利を確実にする」ための、5つの提言を行っている。

  • バランス・オブ・パワーの変化は米国に不利なトレンドではあるが、戦争は北京にとっても大きなリスクであることを明確に認識させるべきである。
  • 兵器調達の優先順位においては、基地の抗堪性(余剰と残存性)、高烈度紛争に最適なスタンドオフ・システムで残存性の高い戦闘機及び爆撃機、潜水艦戦と対潜水艦戦、強力な宇宙・対宇宙能力を優先すべきである。
  • 米国の太平洋軍事作戦計画策定においては、アジアの戦略的縦深(地理的な縦深性、日本などの同盟国が米国の緩衝地帯を形成することに伴う縦深性)を活用する。米軍がこうむる当初の打撃を吸収し最終目標に向かっての反撃を可能にする(積極拒否戦略)を考慮すべきである。その結果、中国近傍の地域を静的に防護することは難しくなるであろう。
  • 米国の政治・軍事関係者は、太平洋の島嶼諸国及び南東アジア南部の諸国とも連携しなければならない。これは、米国により大きな戦略的縦深と、米軍により多くの選択肢を提供することになる。
  • 米国は戦略的安定・エスカレーション問題において、中国に関与する努力を続けなければならない。

 

スコアカードに関する筆者の評価

日本の安全保障に与える影響

  • 本報告書には日本防衛に影響を与える記述が随所にあり、その記述を詳細に分析する必要がある。例えば、「嘉手納基地に対する比較的少数の弾道ミサイル攻撃により、紛争初期は緊要な数日間基地が閉鎖、より集中的な攻撃の場合は数週間の閉鎖になる可能性がある。米国の対抗手段により、その脅威を減少させることができる」などといった記述である。

 とくに台湾危機シナリオは日本防衛に直結する。台湾の紛争が在日米軍基地への攻撃などの形が我が国に波及すれば、日本有事になる。南西諸島の防衛をいかにすべきか、在日米軍基地を含む日本の防衛態勢をいかにすべきかを真剣に考える契機とすべきである。台湾や南シナ海の危機は日本の危機でもあるのだ。

 

  • ランドの研究グループは、作戦構想としてのエア・シー・バトルを採用しているために、「アジアの戦略的縦深を活用し、米軍がこうむる当初の打撃を吸収し最終目標に向かっての反撃を可能にする「積極拒否戦略」を考慮すべきである。中国近傍の地域を静的に防護することは難しくなるであろう」と提言しているが、この提言は重要だ。要するにこれは、「危機当初は米空軍・海軍が中国軍の打撃を避けるために後方に退避し、反撃を準備してから攻勢に出る」という意味である。米国の同盟国である紛争当事国は米軍の反撃が開始されるまで中国軍の攻撃に耐えなければいけない—―「積極拒否戦略」にはそのような意味が込められている。
  • 我が国においても、ランド研究所のシミュレーションを上回る分析が必要であり、詳細かつ妥当な分析に基づく防衛力整備、防衛諸計画策定がなされていくことを期待する。

 

キル・チェインとC4ISR能力

弾道ミサイルなど、長射程兵器の「キル・チェイン」と、それを可能とする指揮・統制・通信・コンピュータ・情報・監視・偵察{C4ISR}の能力はきわめて重要である。キル・チェインとは、ほぼリアルタイムで目標を発見、捕捉、追跡、ターゲティング(目標指示)、交戦(射撃)の効果を判定する—―という、一連のプロセスを指す。

 

東日本大震災時に軍事偵察を活発化させた中国・ロシア

筆者が最も恐れる最悪のシナリオは、同時に生起する複合事態である。2011年に発生した東日本大震災は複数の事態が同時に生起する複合事態であった。当時の自衛隊は、地震津波原子力発電所事故に同時に対処する必要に迫られた上、周辺諸国の情報偵察活動も続けなければならなかった。多くの日本人は知らない事実だが、当時、自衛隊が大震災対処で忙殺されている間に、その自衛隊の警戒態勢を試すかのように周辺諸国(とくに中国とロシア)が軍事偵察を活性化させた。その姿勢には強い憤りを感じたものだ。しかし、それが我が国周辺の厳しい安全保障環境であると改めて実感したことを思い出す。

 筆者が恐れる「同時に生起する複合事態」の一例は2020年に開催される東京オリンピック関連である。この大会に備えてテロやサイバー攻撃への対策が議論されているが、大会直前や開催中の首都直下地震の発生及び対処は考えられているだろうか。

 筆者がさらに恐れる同時複合事態は、首都直下地震(または南海トラフ大震災)の発生に連動した日本各地でのテロ活動、もしくは、尖閣諸島など日本領土の一部占領である。

 

日中紛争シナリオ

各シナリオ共通の事態

・いかなる日中紛争シナリオにおいても、非戦闘員ないしは特殊部隊による破壊活動は必ず発生すると覚悟すべきであろう。平時から中国軍や政府機関の工作員、そのシンパで日本で生活する中国人、中国人観光客が、沖縄をはじめとする在日米軍基地や自衛隊基地の周辺に入っていると想定すべきである。

 

中国の準軍事組織による「尖閣諸島奪取作戦」

中国は常套作戦としてPOSOW(準軍事組織による作戦)を遂行し、米国の決定的な介入を避けながら、目的を達成しようと考える準軍事組織による作戦の特徴は、①軍事組織である中国軍の直接攻撃はないが、中国軍は準軍事組織の背後に存在し、いつでも加勢できる状態にある。②非軍事組織または準軍事組織が作戦を実行する。例えば、軍事訓練を受け、ある程度の武装をした漁民(海上民兵)と漁船、海警局 の監視船などの準軍事組織が作戦を実施するのである。この準軍事組織による作戦は、南シナ海—―ベトナム、フィリピン、インドネシアに対して多用され、確実に成果をあげている作戦である。

 

・以上の推移で明らかなように、この作戦には軍事組織である中国海軍艦艇が直接的には参加しない。日本側から判断してこの事態は有事ではなく、平時における事態(日本政府の言うところのグレーゾーン事態)であり、海上自衛隊は手出しができない。尖閣諸島に上陸した漁民を装った海上民兵を排除するためには大量の警察官などの派遣が必要となる。法的根拠なく自衛官を派遣することはできないからである。

 中国の準軍事組織による作戦は、日米に対してきわめて効果的な作戦となるだろう。なんといっても日本の法的不備をついた作戦であり、自衛隊は手出しができない。

 一方、米国にとっても準軍事組織による作戦に対して米軍が対応することはできない。つまり、こうしたケースの場合は米軍の助けを期待することができないため、これらの事態の対処は当事国の日本が単独であたらなければならない。

 

日米の機雷戦

・日本はすでに、南西諸島沿いに太平洋に出ようとする中国の水上戦闘艦及び潜水艦に脅威を与える高性能の機雷を多数保有している。日本の洗練された機雷は、狭い海峡を通り抜けようとする艦艇・潜水艦を目標として製造されている。適切に敷設された機雷原は、第1列島線を超えて東方に向かう中国艦船の行動を遮断する。機雷は大量生産が比較的簡単で、高価な艦艇よりはるかに安価である。

 対潜戦と同じく、中国海軍は対機雷戦にも弱く、この弱点を衝くべきである。

 

手足を縛りすぎる自己規制はやめにしよう

習近平首席の軍改革の目的は「戦って勝つ」軍隊の創設だった。戦う相手は日本であり、勝つ相手も日本である。戦って勝つためには手段を選ばない超限戦を実行する。超限戦では国際法も民主主義国家の倫理も無視する。こういう手強い相手が中国であることをまずは認識すべきである。

 これに対して日本の安全保障のキャッチフレーズは「専守防衛」だ。防衛白書によると、「専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則った受動的な防衛戦略の姿勢をいう」。

 

中国軍の航空・ミサイル攻撃に対する強靭性を高める

・我が国の防衛の最大の課題は、中国軍の航空攻撃や大量のミサイル攻撃から生き残ることである。そのためには防空能力を高めること、築城による基地・駐屯地の抗堪化、装備品の分散・隠蔽・掩蔽、装備品の機動性の向上、被害を受けた際の迅速な復旧の措置による被害の回避が必要である。

 

・防空能力については、統合の防空能力を強化すべきである。そのためには、各自衛隊の防空装備品を統一運用するためのC41SRシステムが必要となる。さらに日米共同の防空能力の構築にも尽力すべきであろう。

 将来的には、電磁レールガン、高出力レーザー兵器、高出力マイクロ並兵器の開発を加速させ、中国軍のミサイルによる飽和攻撃にも対処できる態勢を構築すべきであるとくにレールガンは、中国軍の次期主要武器――高速飛翔体や各種ミサイル—―を無効化する可能性のあるゲーム・チェンジャーであり、その開発を重視すべきだ。

 

強靭なC4ISRを構築する

ミサイルのキル・チェインを成立させるためにC4ISRが大切であることも繰り返し述べてきた米軍も統合運用を深化させる過程で、異なる軍種のC4ISRシステムの連接に努めてきた。とくにグローバルに展開する武器を連接し、リアルタイム情報に基づいて迅速かつ効率的に火力打撃を実施するためには、強靭なC4ISRが不可欠である。

 

継戦能力を保持する

・最後に強調したいのが「継戦能力」である。予想される戦いは短くても数週間、数カ月間継続する。弾薬・ミサイル、燃料、予備部品などの備蓄は必須だ。形ばかりの防衛力整備ではなく、継戦能力の向上のために、より実際的な事業が不可欠なのだ。

 

ランド研究所の「中国との戦争(考えられないことを考え抜く)」の論文

・「米中戦争は、両国の経済を傷つけるが、中国経済が被る損害は破滅的で長く続き、その損害は、1年間続く戦争の場合、GDPの25%から35%の減少になる。一方、米国のGDPは5%から10%の減少になる。長期かつ厳しい戦争は、中国経済を弱体化して手に入れた経済発展を停止させ、広範囲な苦難と混乱を引き起こす

 

・本書の目的も、米中戦争という最悪の事態を想定し、それに対処する態勢を日米が適切に構築することで、中国主導の戦争を抑止する点にある。

 

いずれにせよ、日米中が関係する戦争(紛争)が実際に生起することを抑止しなければならない。平和を達成するためには戦争を知らなければならない。

 

 

 

『悪魔の情報戦略』  

  隠された「真実」を看破する戦略的視点

浜田和幸   ビジネス社   2004/4/1

 

 

 

中国有人飛行成功の裏に隠された情報戦略

・国民の平均年収が8万円でありながら、3000億円近い経費を投入した今回の打ち上げに対しては、内外から批判的な見方もあったが、ひとたび成功のニュースが流れるや中国人の間では「偉大な中国の科学力の勝利」といった歓迎ムードが広がった。

 

中国共産党にとってはかってない規模での政治ショーを成功させたことになる。国内では貧富の差も広がり、教育や福祉、環境、人権などさまざまな分野で国民の不満が溜まっているところだったから、今回の宇宙ショーは、その国民の気持ちを高揚させ、共産党支配の未来に希望を抱かせる上で、極めて効果的だった。

 

「2017年米中宇宙戦争勃発」のシナリオを描くアメリ

・なぜなら、中国の宇宙開発計画は将来の「宇宙戦争」を念頭に置いていることを、もっともよく理解しているのはアメリカに他ならないからである。ラムズウェルド国防長官の特別補佐官を務め、現在はノースロップ・グラマン・ミッション・システムズ副社長となっているリッチ・ハパー氏は「このままではあと20年以内にアメリカと中国は宇宙での戦争に突入する」との見通しを明らかにしているほど。実際、アメリカの国防総省では「2017年米中宇宙戦争勃発」とのシナリオに基づく模擬戦争演習を行っている。

 

ライバル視する中国、誘い込むアメリ

・一方、中国の人民解放軍の幹部も、「科学技術の粋である宇宙戦争を戦える力を持たねば、我々はアメリカによってコントロールされる」と言う。それのみならず、「宇宙大戦争計画」と称して、やはり「アメリカとの最終戦争の舞台は宇宙になる」との見方を示しているのである。

 

・曰く、「中国は陸、海、空の領土保全に加え、これからは第4の領土である宇宙に目を向け、その開発に積極的に取り組むべきである。宇宙の資源をめぐる争奪戦での最大のライバルはアメリカとなるだろう。この戦いに勝利するため、我々は、必要な宇宙兵器の開発を早めねばならない」

 

宇宙から選ばれし国家「中国」という情報操作

・中国UFO調査協会では中国の宇宙開発を支援するための教育啓蒙活動に熱心に取り組んでいる。なぜなら、今回の友人宇宙飛行にも関わった北京航空航天大学の沈士団学長がこのUFO協会の名誉会長を務めるほど、中国では「飛碟」(UFO)や「外星人」(宇宙人)研究が政治的に認知されているからである。

 

内部書類「対米全面戦争勝利戦略」の信憑性

・このところ、北朝鮮の新聞やラジオは盛んに「アメリカの攻撃に対して大規模な反撃を準備しよう」という呼びかけを続けている。北朝鮮には100万を超える陸軍兵力に加え、470万の予備役もいる。数の上では世界第4位の軍事力と言うのがご自慢で「イラクの軟弱兵士と比べ、我々には高いモラルを維持しているので、徹底的にアメリカ軍を殲滅できる」と意気盛んな限りである。

 

地震は本当に起こる?

情報に対して未熟な日本

とてつもない大きな地震が来るかもしれない。中央防災会議では「東海地震はいつ発生してもおかしくない。東南海地震と同時発生の可能性もある。東南海、南海地震は今世紀前半の発生が懸念される」と発表している。

 

地震学的に間違いないといわれているものの、根拠なき理由から、たとえ大地震が来ても自分だけは助かるという、信じる者は救われるような情報の価値とはまったく異なる次元で人は生きているところがある。

 

脆弱な日本の情報機関

・日本でも以前には「明石機関」や「陸軍中野学校」などで知られる諜報組織や情報機関と言うものがあった。ところが占領軍によって壊滅させられたのである。

 

英米諜報機関のような大組織によって世界中に張り巡らされているネットワークから上がってくる情報に基づいて政策を策定する、そういった情報サービス機関はない。

 

・日本版のCIAといわれる内調でさえ内実は国内情報分析で60人、海外の情報分析で80人の計120人体制なのである。例えば、日本に最も影響の大きいアメリカの情報分析にも4、5人でフォローしているという状況である。

 

・そこで、どういう対応をするかというと国家予算を使ってアメリカの法律事務所やコンサルタント会社と言ったビジネスの情報機関から定期的にワシントンやニューヨーク情報を買うのである。

 

 

 

『語られざる中国の結末』

宮家邦彦  PHP  2013/10/16

 

 

 

人民解放軍の「サイバー戦」観

・ここで、中国サイバー軍の概要について簡単にまとめておこう。各種報道によれば、中国は2003年以来、秘密裏に軍人3万人、民間専門家15万人という総勢18万人のサイバー・スパイを擁する、巨大なサイバー軍を実戦運用しているといわれる。

 中国はサイバー攻撃を最も有効な対米「非対称戦」と位置付けている。最近は中国サイバー戦能力の向上が著しく、米国は中国のサイバー軍を「米国にとって唯一、最大のサイバーテロ・脅威」とみなしているようだ。

 

米国が恐れる中国版「真珠湾攻撃

・米国が恐れているのはズバリ、中国版の「真珠湾攻撃」だろう。冷戦終結後の湾岸戦争ベオグラードの中国大使館誤爆事件を契機に、中国側は現代戦争の重点が「機甲化戦」から「情報化戦」へ変わりはじめたことを、ようやく理解したからだ。

 情報化戦では、ミサイル、戦闘機など在来型兵器に代わり、敵のアクセス(接近)を拒否するため、緒戦で敵の指揮・統制を麻痺させる戦略が重視される。中国は初動段階でのサイバー・宇宙戦など、「非対称戦」の重要性を強く認識しているはずだ。

 

対日サイバー攻撃は年間1000件以上

・以上はあくまでシュミュレーションだが、実際に日本の政府機関や企業へのサイバー攻撃は、警察庁が把握している分だけでも、年間1000件以上あるという。また、情報通信研究機構NICT)の調査では、2012年の1年間だけで、この種のサイバー攻撃関連の情報通信が、78億件もあったそうだ。

 

「攻撃」を模索する米側のロジック

・パネッタ長官は、サイバー攻撃には「防衛」だけでなく、「攻撃」の選択肢も必要であり、サイバー空間での「交戦規定を包括的に変更中」であるとも述べた。その直前にオバマ大統領は、「破壊的攻撃を行なうサイバー兵器」の開発を命じている。米中サイバー戦はすでに新たな段階に突入しつつあるのだ。

 

サイバー攻撃能力」の研究を

・過去数年来、米国ではサイバー戦を「抑止」するための「サイバー攻撃」に関する準備が着々と進んでいる。日本でも、憲法上の制約があることを前提としつつ、サイバー戦「抑止」のための「サイバー攻撃能力」を研究する時期に来ている。

 

「第2次東アジア戦争」は短期戦?

・他方、だからといって近い将来、米中間で大規模かつ、長期にわたる軍事衝突が起こると考えてはならない。少なくとも、米国や米国の同盟国が中国を挑発する可能性はきわめて低い。米国は中国大陸に侵入して中国と戦うことなど考えてもいないだろう。

 

・先に述べたとおり、米国の関心は西太平洋地域における米国の海洋覇権が維持されることを前提とした「公海における航行の自由」の維持であり、中国大陸における領土獲得や政権交代などではないのである。

 一方で中国側、とくに中国共産党文民政治指導者にとっても、いま米軍と戦争をする利益はあまりない。そもそも、戦闘が始まった時点で中国をめぐる多くの国際貿易や経済活動は停止するか、大打撃を蒙るだろう。これは中国経済の終焉を意味する、事実上の自殺行為である。

 

そうだとすれば、仮に、たとえば人民解放軍側になんらかの誤解や誤算が生じ、サイバー空間や宇宙空間で先制攻撃が始まり、米中間で一定の戦闘が生じたとしても、それが長期にわたる大規模な戦争に発展する可能性は低いと思われる。

 

実戦能力を高めるだけでは不十分

中国の「敗北」後に予測される7つのシナリオ

A 中国統一・独裁温存シナリオ(米国との覇権争いの決着いかんにかかわらず、共産党独裁が継続するモデル)

 

サブシナリオA1 中国が東アジア・西太平洋における米国との覇権争いに勝利。

 

サブシナリオA2 中国が統一と共産党の政治的権威をほぼ現状のまま維持。

 

サブシナリオA3 第二次「文化大革命」などによる独裁強化。

 

B 中国統一・民主化定着シナリオ(米国との覇権争いに敗北。米国主導の民主化、中国超大国化モデル)

 

C 中国統一・民主化の失敗と再独裁化シナリオ(国家分裂のないロシア・「プーチン」モデル)

 

D 中国分裂・民主化定着シナリオ(少数民族と漢族で分裂するも民主化が進む、資源のない中華共和国モデル)

 

サブシナリオD1 たとえば北京を中心に漢族中心国家の統一が維持される一方、他の少数民族民族自決する。

 

サブシナリオD2 サブシナリオD1で想定した漢族中心の統一国家がさらに分裂し、現存する中国各地の主要経済圏を基盤とする複数の漢族中心国家群が出現。

 

サブシナリオD3 分裂した中小国家群が、一部または全部で、連邦制ないし国家連合を組む。

 

E 中国分裂・民主化の失敗と再独裁化シナリオ(少数民族と漢族の分裂後、民主化が失敗するロシア・「プーチン」モデル)

 

サブシナリオE1 たとえば北京を中心に漢族中心国家の統一が維持される一方、他の少数民族民族自決する。

 

サブシナリオE2 サブシナリオE1で想定した漢族中心の統一国家がさらに分裂し、現存する中国各地の主要経済圏を基盤とする複数の漢族中心国家群が出現。

 

サブシナリオE3 分裂した中小国家群が、一部または全部で、連邦制ないし国家連合を組む。

 

F 中国分裂・一部民主化と一部独裁の並立シナリオ(少数民族と漢族の分裂後、民主と独裁が並立するモデル)

 

サブシナリオD、Eと同様、分裂の仕方については三つのサブシナリオが存在。

 

G 中国漢族・少数民族完全分裂シナリオ(大混乱モデル)

 

まとめ

▼米中がなんらかの戦争ないし戦闘により衝突する場合、中国人民解放軍が米軍を圧倒し、決定的な勝利を収める可能性は低い。

 

▼他方、こうした戦争ないし戦闘において米軍が優勢となるにしても、中国側は早い段階から決定的敗北を回避すべく、政治決着をめざす可能性が高く、米側の決定的勝利の可能性も低い。

 

▼されば、サブシナリオA2、すなわち仮に中国が敗北しても、内政上の悪影響を最小限に抑え、中国の統一と共産党の政治的権威をほぼ現状のまま維持する可能性が、現時点では最も高い。

 

▼その場合、中国共産党の指導体制は当面、揺るがない。しかし、米中衝突という異常事態が中国国内の政治経済環境に及ぼす悪影響は計り知れず、いずれ、国内情勢は不安定化していく。

 

▼万一、国内の政治的安定が崩れれば、中国の分裂が現実味を帯びるだろうが、その場合でも、漢民族の連帯は強く、分離していくのはチベットウイグルなどの少数民族に限られるのではないか。

 

▼可能性は最も低いものの、実現した場合の悪影響が最も大きいのが「漢族分裂」現象であり、その場合には、民主的でない複数の漢族中小国家が生まれる可能性が最も高い。

 

▼複数の漢族国家が誕生するか否かは、中国人民解放軍がどの程度、軍としての統一を維持できるかにかかっている。

 

▼その場合、各国の軍隊の大小、装備の優劣、とくに核兵器保有の有無が鍵となる。各国軍隊の力が均衡すれば分裂は長期化し、逆に一国の軍隊が突出すれば、いずれ中国は再統一に向かうだろう。

 

・現在、中国では、国民の多様化した政治的、経済的、社会的利益を「誰が代表するのかが静かに問われはじめている。中国共産党が新たな統治の正統性を見出さないかぎり、正統性の第一、第二の柱に依存しつづける。そうなれば、中国共産党の統治システムはいっそう脆弱なものとなるだろう。

 

 

 

 

 

 

『スパイ大事典』

ノーマン・ポルマー、トーマス・B・アレン

論創社    2017/7/6

 

 

 

ゲーレン、ラインハルト  (1902-1979)

・第2次世界大戦中、ドイツ参謀本部の東部(ロシア)戦線における情報活動を監督し、戦後は西ドイツの対外情報機関BND(連邦情報庁)の長官を務めた人物。

 

・その後44年12月1日に准将へ昇進しているが、司令官を経験せずに将官となったのは他に数名しかいない。部下の参謀はソビエト軍の兵力や意図に関しておおむね現実的な評価を行なったが、ナチス指導者とりわけアドルフ・ヒトラーは情報評価に根本的な不信感を抱いていたため、それらが活用されることはほとんどなかった(ヒトラーの出席する会議において、ハインツ・グデーリアン大将がゲーレンのもたらしたソビエト軍関連の情報を提示した際、ヒトラーは怒り狂い、ゲーレンは気の狂った精神薄弱者に違いないと喚き立てた。45年4月9日にヒトラーがゲーレンを更迭したのも、彼がもたらしたソビエト軍の兵力及び意図に関する情報が原因だった。

 

・しかしゲーレンはすでに自分自身の将来を考えていた。ソビエト軍関係の情報ファイルやロシアの航空写真といった膨大な資料をドラム缶50個の中に密封した上、将来に備えて複数の場所に埋める。第3帝国の滅亡が迫る中、ゲーレンと主だった部下はハインリヒ・ヒムラーによる暗殺を恐れ、潜伏生活に入った。

 1945年5月上旬の終戦後、ゲーレンは—―主な部下と情報ファイルを伴って—―5月22日アメリカ軍へ部下6名と共にワシントンへ移送され、アメリカ軍の高級情報将校と会談する。その後1年近くアメリカにとどまり、ゲーレン機関を組織すべく46年7月に船でドイツへ帰国した。この組織の目的は、ソビエト占領地域でアメリカがゲーレンのスパイ網を活用するにあたって手を貸すことだった。

 1956年、ゲーレンの組織はBNDとなり、ゲーレン自身が長官に就任した。

 

ゲシュタポ

・秘密国家警察(Geheime Staatspolizei)の略称。ドイツ国内及び占領地域でナチスに敵対する者を容赦なく取り締まり、その他の国々では諜報活動や破壊工作を行なう傍ら強制収容所を運営した。

 

・1939年10月、ヒムラーがドイツ民族性強化国家委員に任命され、新たに併合されたポーランドの統治を委ねられたのを受け、ハインリヒ・ミューラーが後任のゲシュタポ長官に就任する。ミューラーは戦時中におけるゲシュタポの悪名高き活動を指揮し、「ユダヤ人問題の最終的解決」において主要な役割を演じるも、敗戦間際の1945年5月1日にベルリンの総統地下壕で目撃されたのを最後に行方不明となる。そのため、最後まで残ったナチ支配下の地域を連合国が蹂躙した際、ゲシュタポを指揮する人間は不在だったことになる。

 

有末精三(ありすえせいぞう) (1895-1992)

第2次世界大戦の大半を通じて日本軍による諜報活動の責任者を務めた陸軍軍人

 

参謀総長の副官の1人がある会合に加わり、日米両軍が激戦を繰り広げていたガダルカナル島での勝利を祈願するため、明治神宮に参拝してきたことを告げた。すると同席していた有末は「ガダルカナル島とはどこか?」と訊いたというのである。

 上記の著者たちは、日本陸軍の主たる関心が太平洋地域ではなくアジア大陸にあることを強調するためこのエピソードを記したというが、1942年8月に有末が参謀本部第2部(諜報担当)部長に就任した時の状況がまさにそうだった。なお彼は45年8月の終戦までこの職を務めている。

 

・1945年8月6日に広島へ原爆が投下された翌日、有末は徹底的に破壊された市街地に急行して生き残った将校に会い、大惨事の直接的な情報を入手した。後に総理大臣から指名を受け、8月28日に厚木飛行場へ着陸したダグラス・マッカーサー元帥の先遣隊を公式に出迎えている。その際、有末はアメリカ陸軍の将校をテントに案内し、オレンジパンチを差し出したという。なおもアメリカ人たちが躊躇していると、有末はグラスを取り上げ自ら飲み干したと伝えられている。

 終戦後、有末は極東及びソビエト連邦に関する自らの知識を、マッカーサーの諜報スタッフに加わる取引道具として活用した。そしてチャールズ・A・ウィロビー少将と緊密な関係を維持しつつ、日本軍の元情報将校による「歴史研究チーム」を組織、マッカーサーの参謀を側面支援したのだった。

 

玄洋社(BlackOcean Society)

日本の影響力を拡大し、中国、挑戦、満州、そしてロシアから情報を入手すべく1881年に結成された秘密結社。国外のアセットを通じて日本に外国情報をもたらした最初の組織である。

 玄洋社という名前は九州と韓国を隔てる玄界灘からとられた。裕福な福岡藩士の家に生まれた平岡浩太郎によって1881年に結成されたが、指導者としては頭山満が最も有名である。

 

玄洋社は「皇室を敬載すべし」を社則にした国家主義者の集団だが、G・R・ストリーは日本社会の研究書の中で「テロ組織でありまたスパイ養成学校でもあった」としている。19世紀末にはこのような組織が合同して東亜同文会を発足させ、上海にスパイ養成所を設立した。

 玄洋社の諜報活動において中国は特別なターゲットだった。また事実上政府の一部門として活動しており、日本陸軍にも情報を提供している。さらに頭山は漢口に玄洋社支部を設け、中国陸軍に対する諜報活動も行った。

 玄洋社は情報収集の手段として一貫して性を用いており、日本、中国、そして朝鮮に売春宿を設立して中国の他の秘密結社の会計官や将校を惹きつけ、彼らから重要な情報を引き出した。こうした売春と脅迫を通じ、玄洋社は情報だけでなく運営資金も入手している。

 玄洋社の関係組織である天祐侠は朝鮮におけるスパイ活動を行ない、また朝鮮の弱体化を狙った計画の一環として政府転覆を企み、結果的に後の韓国併合につながった。

 

 

サイキック情報

テレパシー(ESP)もしくは心霊能力の活用など、超常的手段で入手されたと思しき情報のことアメリカ国防情報局(DIA)は10年以上にわたり、推定2000万ドルをかけてサイキック情報の入手を試みた。スターゲイトというコードネームが与えられたこの計画は1980年代に始められ、DIAなどの情報機関が心霊専門家(「透視能力者」と呼ばれていた)を雇用していたことを当局が認めてプログラムを中止する1995年まで続けられた。

 

スターゲート計画はCIAに引き継がれ、外部専門家による検証がなされたが、直後の95年中頃に中止された

 

透視能力者の1人として、1978年にスターゲート計画(当時はグリルフレイムと呼ばれていた)へ配属されたアメリカ陸軍准尉、ジョセフ・マクモニーグルの名が挙げられる。マクモニーグルによると、彼をはじめとする遠視能力者は通常の手段で得られた情報を補完するために用いられたという。またCIA、NSA、統合参謀本部、麻薬取締局、シークレットサービス、入国管理局、そして沿岸警備隊といった政府機関がサイキック情報を求めたとのことである。

 

ジェームズ・ボンド

イアン・フレミングによる大ヒットスパイ小説と、それを基にして製作された映画シリーズの主人公。大胆不敵なポンドは別名エージェント007といい、00から始まるコードネームは殺しのライセンスを与えられたことを指す。

 ストーリーは空想に満ちているが、現実を思わせる箇所もある。頻繁に適役となったスメルシは実在のソビエト情報組織であり、ブルガリアの作家A・グリャーシは(伝えられるところではKGBの委託を受けて)スメルシ及びソビエトに対する負のイメージを払拭すべく、ボンドを敵役とした小説を書いた。

 

杉田一次(すぎたいちじ) (1904-1993)

第2次世界大戦の主要な戦闘に参加し、降伏にも立ち会った日本陸軍の情報士官。

 

真珠湾攻撃を1ヵ月後に控えた1941年11月、中佐として第25軍に配属され、マレー及びシンガポール作戦に携わる。この作戦中にバイク事故で重傷を負うも、痛みをこらえつつ職務を続け、42年2月にはシンガポール守備軍司令官A・E・パーシバル中将との降伏交渉を補佐し、通訳も務めた。

 

・その後はガナルカナルに赴き、ジャングル戦の苦境と飢えを耐え抜く。日本はこのガナルカナルで陸上戦における初の敗北を喫したが、杉田は兵士13000名の撤収計画を立案した。撤退後は東京での参謀任務に戻る一方、大敗に終わった日本軍のインパール作戦を督戦するため東南アジアに赴いている。

 

・1945年9月2日、東京湾に浮かぶアメリカ戦艦ミズーリの艦上で日本が降伏文書に署名した際、杉田は日本側代表団の一員だった。テーブルの向こうには、3年前に杉田が降伏会場のテーブルまでエスコートし、日本の捕虜収容所から解放されたばかりのパーシバル将軍の姿もあった(降伏調印式当時、杉田は大本営参謀だった)。

 

・戦後収監されるも47年5月に釈放される。その後陸上自衛隊入りし、1960年3月から62年3月まで陸上幕僚長を務めた。

 

スタシンスキー、ボグダン  1931-

毒性の粉末による暗殺の訓練を受けたKGBの暗殺者

 ウクライナ生まれのスタシンスキーは19歳からソビエト情報機関で働き始め、入省早々の1957年、西ドイツで暮らすウクライナ国家主義者のリーダー、レフ・レベトの殺害を命じられた

 スタシンスキーは青酸カプセルを装填した特殊な拳銃を使い、顔面にガスを噴射することになっていた。カプセルがぶつかった衝撃で青酸が放出されるというわけである青酸を吸い込んだ犠牲者は心臓発作を起こして死に至る。またスタシンスキーには銃撃直前に服用する解毒剤が与えられた。

 1957年10月12日、レベトは待ち伏せ攻撃を受けて殺害された。

 

・スタシンスキーの次なる任務は、亡命しているもう1人のウクライナ人指導者、ステファン・バンデラの殺害だった。今度は銃身が2本の拳銃を与えられ、ターゲットだけでなくバンデラのボディーガードの顔面にも毒性の酸化物を撃ち込むよう命じられた。

 

・1959年10月15日に殺害を成功させている。

 

・1959年12月、それまでの功績に対して赤旗勲章が授与され、同時に新たな任務も与えられた。1941年にウクライナ共和国の首相を務め、同じく西ドイツに住んでいたラオスラフ・ステツコフの殺害である。

 この頃、スタシンスキーは東ドイツ人女性と結婚していたが、彼女は夫の職業に恐れおののいた。夫妻は悔悟と罪の意識、そして不安を抱き、1961年8月12日にベルリンでアメリカ当局に亡命を申請した。スタシンスキーは裁判にかけられ、自らの「成果」を自白する。判決は禁固8年だったが、1966年末に極秘で釈放され、アメリカへと連れられた。その後の人生については知られていない。