日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

コンタクティやチャネラーの情報を集めています。森羅万象も!UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象といわれます。

私は、中国の崩壊というのは、パンデミックによって実現するかもしれないと思っています。宋と元はペスト、明はコレラによって滅んだという側面があるからです。(1)

 

 

『中国敗戦』

米中新冷戦の真実と結末

石平  黄文雄   徳間書店 2019/8/30   

 

 

 

米中対立は「中華思想」と「近代文明」の戦い

アメリカの中国に対する制裁関税が始まった2018年7月から、米中の対立は日ごと悪化している。

 

・中国の為替操作国認定もそうだが、日本が韓国を「ホワイト国」から除外したことなどは、日本の戦後脱却の一環でもある。トランプ政権誕生前から、われわれ2人は今日のような情勢変化について論じてきたのである。

 もちろんそれが可能だったのは、われわれが中国および中国人の考え方から民族性、政治・外交手法、歴史まで、単なる知識としてだけではなく、自らの体験として「知っている」ことも大きい。日本人にはなかなか思いつかない「中国理解」が、われわれ2人にはある

 これはべつに自慢しているわけではない。黄文雄氏は「2.28事件」、私は「文化大革命」「天安門事件」などを通して、中国という国の本質を否応なく理解させられた経験があるのだ

 

・現在の習近平政権は、一方では「自由貿易の旗手」であるかのように振る舞いながら、その裏では国際ルールを破り、「一帯一路」では他国のインフラ建設支援を装いながら、借金漬けにして、その国の主権を奪う経済的植民地化を進めている。

 また、国内では言論統制を強め、人権弾圧を加速させている。まさに、毛沢東時代の再来である。

 このような国が世界第2位の経済力をもち、いずれ首位に立とうとしているわけだ。

 

・経済問題にしろ、南シナ海尖閣諸島などの領有権問題にしろ、「自分たちこそ絶対に正しい、だから他人がつくったWTOルールや国際法など無視、ルールは俺たちがつくる」というのが中国の姿勢である。こう考える背景には中華思想がある。

 

米中衝突で破綻が迫る中国経済のヤバイ実態

中国が抱える9700兆円という巨額の債務爆弾

・(石平)2018年5月に出された中国政府の数字として、全国の国有企業の負債総額だけで108兆元、日本円にして1795兆円に達しています。1795兆円といえば、日本の国内総生産(GDP)の3倍以上です。

 2018年の中国のGDPは約90兆元でしたから、国有企業の借金だけで一国の国内総生産を上まわっている。極端にいえば、2018年1年間で、中国国民が頑張ってつくった経済価値が国有企業の負債返済にも足りないという話です。

 

・加えて、民間負債も膨れ上がっている。

 2019年1月下旬、中国国内の各メディアは香港上海銀行が行った経済調査の数字を大々的に報じました。それによると、いまの中国では、20代の若者たちが抱える個人負債額は1人当たり12万元で、この世代の平均月給の18倍強に相当するという。「12万元」となると、日本円にして約200万円。現時点での中国国民と日本人との平均収入の格差を考慮に入れれば、「負債額12万元」は、日本での感覚でいえば、20代そこそこの若者たちが平均して「500万~600万円の借金」を抱えていることになります。

 中国の20代が抱える負債の多くは民間の消費者金融からの借金です

 

・(黄文雄中国の家計債務が急拡大していることは、世界のリスクとして認識されるようになってきました。2019年7月28日付の「日本経済新聞」では、中国の可処分所得に対する家計債務が日本のバブル期なみに達したと報じています。

 

・また、中国では民間企業は相互債務保証をしています。銀行は国営企業ばかりに貸し込み、民間企業への融資には及び腰だからです。

 そのため、いったん債務不履行が起こると、次々と連鎖していく。

 

(石平)中国ではすべてが借金で賄われている。中国高速鉄道にしても、85兆円もの債務を抱えているといわれています。つくりすぎで、ほとんどが赤字路線なのです。

 それでは、国有企業や民間企業、地方政府、中央政府、家計も含めて、全体でどのくらい負債があるのか

 2019年1月20日中国人民大学教授の向松祚氏は上海で行った講演で、中国国内で各方面の抱える負債総額は「約600兆元(約9700兆円)に達している」と語りました。これは、中国の名目GDPの6倍以上という、天文学的な数字です。

向松祚氏は前年12月の人民大学の学内シンポジウムで「重要研究機関の内部調査によると、2018年の中国の成長率は1.67%だが、別の試算ではマイナス成長だ」と披露したことでも注目を集めましたが、そんな低成長率の中国が、それほどの負債を抱えていることになる。

日本円で9700兆円ということは、もう少しで1京円ということです。これは、中国経済を脅かす時限爆弾となってくるでしょう。

 

黄文雄) 中国当局は1ドル=7元を壁として、それ以上の人民元安を警戒しています。しかし中国経済の減速、不良債権の増大などで人民元の暴落が起こる可能性も否定できない。

 中国のアメリカ国債保有高は約1兆2000億ドルですが、米中貿易戦争によって貿易黒字が減少すれば、このアメリカ国債保有高も細っていく。そうなると、一気に人民元の下落に対処できずに、資金流出が加速する可能性が高いわけです。

 

5000万戸が空室

・(石平) バブルが弾ける懸念があるのが、不動産です。

 中国国内の不動産時価総額は65兆ドル(約7310兆円)で、これはアメリカ、EU、日本のGDPをすべて合わせた約60兆ドルをも超えている額です。

 

しかし、その不動産に人が入らず、大変なことになっています。「ブルームバーグ」(2018年11月9日付)によると、投資用に購入されたマンションの空き家が5000万戸にも達しているといいます。

 北京・上海の不動産価格は、ニューヨークや東京も超えています。しかも誰もが借金をして投資用に2軒目、3軒目を買っている。しかし、空室や不動産在庫が積み上がれば、いつか価格は落ちる。そうなると、高いローンを払いながら、不動産価格が落ちていくわけですから、売りが売りを呼ぶことになります。

 中国政府はこれに対処するために不動産市場を凍結することになるでしょう。

 

・しかし、逆にいえば、誰も買わなくなる。そうなると不動産市場はこれで終わる。2019年5月の不動産販売は、前年同月比5.5%減で、2017年10月以来最大の落ち込みでした。

 売れなくなると開発業者は大量の在庫を抱えるので、そうすると資金繰りが苦しくなる。そうなると、みんな大量に投げ売りすることになります。

 

・(石平) 消費も落ち込みつつありますね。米中貿易戦争による景気の減速で内需不足が起こりつつある。

 たとえば、自動車販売台数は2018年7月から11カ月連続で前年実績割れが続いています。

 

米中貿易戦争がいつまで続くか、また負債問題がいつ爆発するか。それが現在の中国が抱える最大のリスクでしょう。

 

・(黄文雄) もっとも、いつも言っていることですが、これでも中国の成長率は水増し疑惑が絶えません。前述のように、1%台の成長だという中国学者や、マイナス成長だと唱える学者もいる。

 中国の不動産バブルがなかなか弾けないのは、中国政府が海外への投資を厳しく制限するようになったからです。

 中国政府は2017年8月に「対外投資の方向性のさらなる誘導・規範化に関する指導意見」を公布し、海外の不動産、ホテル、映画館、娯楽業、スポーツクラブなどへの投資を制限しました。

 

・もちろん、アメリカへの投資減は米中貿易戦争の結果、アメリカが投資基準を厳格化したことも大きいでしょう。

 いずれにせよ、海外に資本を移動できなくなったことで、マネーが国内不動産への投資に向き、中国の不動産バブルを維持してきたという側面があることは間違いない。

 中国の不動産ですが、上海でもその75%が不良建築だといわれています。ということは、不動産バブルが弾けたら、まったく資産価値がなくなるということです。

 

・(石平) 中国のバブル崩壊の規模は、日本のバブル崩壊リーマンショックの比ではないわけですね。前述したように、中国国内の債務は9700兆円という途方もない額です。場合によっては、これがすべて不良債権になる。

 そんなことになったら、中国経済30年間の成果が一瞬で吹き飛ぶことになる。

 中国人の資産のうち、非金融世帯資産額すなわち不動産が占める割合は62%(2018年)で、いわば財産の大半を不動産としてもっている。それで、20年前に30万元で買った1軒のマンションがいまでは300万元、10倍に膨らんだというように、不動産価格の上昇が中国人の資産上昇を支えてきました。

 しかし、経済というのは、いずれ本来の価値に戻るのです。だから、突然バブルが崩壊したら、300万元の財産の9割を失うことになる。それがバブル崩壊というものです。

 

いまだに経済の水増しは止まらない

・(石平) 中国経済はバブルだといわれますが、それ以前に、実態の水増しをずっと続けてきたわけです。

 アメリカのブルッキングズ研究所が2019年3月7日に発表した報告書では、中国政府はここ10年近く、GDP成長率を平均約2%水増ししてきた可能性があるとしています。

 

・そのような水増し状態の経済のうえにバブルが崩壊したら、いったいあとに何が残るのか、非常に疑問です。

 

・(黄文雄) 中国では地方政府のGDP合計が中央政府発表のGDPと大きく乖離していることも有名ですね

 地方政府の役人にとって、その地域のGDPを大きく伸ばすことが共産党内で出世する道であるため、水増し発表するわけです。その弊害から習近平も水増しやデータ捏造撲滅を指示し、人事評価としての成長至上主義を改めるとしたため、2017年12月には、4省・10地方都市が財政収入15億4900万元の水増しを「告白」するということがありました。

 

・前述のように、習近平は水増しをやめるように指示していますが、その一方で2020年のGDPを2010年の2倍にすると公約しています。習近平の独裁体制が進むなか、これが達成できなければ、それは担当者の責任となる。だから、どうしても水増しが増えていくのではないかと思います。

 

(石平) 毛沢東大躍進政策のときと一緒ですね。あのときは各地で「前年の3倍の収穫が可能となった」「4倍増になった」といった荒唐無稽な水増し報告が相次ぎました。独裁者の命令は絶対ですから。習近平に権力が集中して神格化が進むほど、再び水増し報告が増えると考えるのが普通でしょう。

 

「中国人は100年単位で考える」の嘘

・(黄文雄) よく「中国は100年単位でものごとを考えている」という論がありますよね。100年後、200年後のことを考えて策を練っていると。私は、これは中国を過大評価しすぎだと思っています。

 だいたい、中国は20~30年ごとに大乱が起こっている。中華人民共和国にしても、成立してまだ70年です。その間に大躍進政策文化大革命天安門事件など、国内に大混乱をもたらした事態が何度も起こっていますし、現在は香港での大規模デモですね。

 

・(石平) 中国史は、新しい王朝が生まれると、やがて必ず内部腐敗と権力闘争が起こり、それが全土を巻き込んで権力と富の争奪による経済疲弊を招き、各地で飢饉や大災害が頻発し、そして大規模な農民の反乱で天下が大いに乱れて王朝が滅亡する、ということが繰り返されてきました

 結局、経済の自滅によって王朝が滅んできたわけです。現在は世界を舞台に、中国は天下の権力と富を争奪しようとしている。

 しかし、中国の歴史法則からすると、経済の自滅によって滅びる可能性が高い。

 だいたい、旧ソ連にしても、アメリカとの軍拡競争の果てに経済破綻して自滅しました。決して、直接的にアメリカが戦争して勝利したわけではない。

 今回の米中貿易戦争も、中国は「最後までお付き合いする」などと強気でしたが、結局、弱体化した中国経済に追い打ちをかけ、自滅を加速化させると思います。

 

短期的な金儲けしか考えない世俗性

・(石平) とくに現在の中国人が近視眼的なのは、この数十年間の改革開放のなかで、一部のエリートも、あるいは経営者たち、そして一般民衆たちも、みんな数十年のスパンで将来を考えるのではなく、いまこの時の一攫千金を狙ってやってきたということが大きいですよ。

 

・いずれにせよ、金儲けに固執するという中国人の性格は、経済数値にもよく表れています。

 たとえば、毎月発表される、各商業銀行からの融資内訳を見ると、新規融資として産業に流れているのはおよそ4割未満です。大半は非生産部門の個人に流れている。

 その理由は投資用の不動産を買うためです。銀行融資は経済活動の血液ですから、本来、いちばん健全なのは、企業が融資を受けて生産活動を行うことです。

 ところが企業がお金をまったく借りずに、大半が個人への融資なのです。もちろん、日本のようにデフレであれば、企業は生産規模を拡大しませんから、それも納得できますが、一応、中国は9%を超える成長をしていることになっている。

 そのような国で企業融資がまったく伸びずに、不動産投資のための融資ばかりが膨らんでいる。

 

邪道で成長してきた経済が弾けたら何も残らない

・(黄文雄)その背景には、地方政府が財政のほとんどを土地譲渡収入に頼ってきたからです。2010年には地方歳入の72%を土地譲渡収入が占めています。

 中国では土地の個人所有ができず、すべて国有です。土地供給には地方政府が裁量権をもっており、その地域の住民を強制移住させて、不動産開発を行って売りさばくということを繰り返してきました。そして、それは現在も続いているわけです。

 

・(石平) だから、不動産バブルが弾け、ファーウェイが潰れたら、中国にはもう何も残らないわけです。あとに残るのはコンクリートの塊だけ。現在は、不動産に価値があるという「共同幻想」で、上海のマンションが東京やニューヨークより高いというようになっていますが、その共同幻想が崩れれば、もう中国経済はつぶれるしかない。

 

「ホワイト国」除外に狂乱した韓国に見る中華思想の病理

・(石平) かつて漢人の明が滅んで、朝鮮人が蔑んできた異民族が清王朝を打ち立てて中華世界を支配したとき、李氏朝鮮は清の属国になりながらも、内心、自分たちこそ中華の正統な後継者であることを誇り、自ら「小中華」と称しましたよね。

 そういう屈折した自惚れが、中国人にも韓国人にもあると思いますよ。

 

「盗み」を正当化するのが中華思想

・(石平) 中国の高速鉄道は日本が新幹線の技術を供与してつくられましたが、いまでは中国政府は「自国の独自技術」だといって、世界にセールスしています。それが中国方式なのです。

 しかし、長期的に見れば、それほどバカなやり方はない。そのやり方がまかり通れば、誰も本気で技術開発をしなくなってしまう。

 

・とはいえ、やはり中国がやろうとしているのは技術開発ではなくて、技術盗用ですよね。アメリカはそれを防ぐために、ファーウェイを「エンティティ・リスト」に入れたわけですし、知的財産権を守れ、技術の強制移転をやめろと中国にさかんに言っているわけです。

 しかし、泥棒が泥棒をやめたら終わりです。

 

黄文雄) 私も同意見です。中国に「盗むな」ということは「死ね」ということに等しい

 中国は歴史上、易姓革命(王朝交代)を繰り返してきましたが、「徳を失った天子は、天命によって、別の徳がある者に禅譲する」という儒教思想の建前によって、国を強奪することが正当化されてきました。「易姓革命」とは「別の姓の一族の王朝に易わる」ということです。

 だから、中国で昔から、盗みを正当化するための屁理屈を用意してきたわけです。韓国も同様です。盗むことも相手を陥れることも正当化するわけですから、中華王朝も朝鮮の王朝も、「朋党の争い」(内ゲバ)が絶えなかった。

 

習近平政権の経済対策は「国民監視」

・(石平) これから中国経済がますます低迷していけば、失業が拡大しますが、これに対して習近平政権はどう対応するか。

 現在、中国で起こっているいちばんすごいことは、もっとも野蛮的な独裁体制がもっとも先端の技術を使って、完璧な社会監視システムをつくり上げようとしていることです。

 中国全土には2億台の監視カメラが配置されているといわれています。そしてAI技術によって、全人民の顔を認識し、いつ、どこで、何をしていたかを把握しようとしている。

 

・学歴や思想まであらゆる個人情報を収集し、その人物が危険人物か、あるいは役に立つ人物かといった点数をつけ、点数の低い人物は飛行機や高速鉄道に乗れなくしたりする。そのような、全人民の社会生活を管理する「社会信用システム」を構築しようとしているわけです。

 これは、独裁政治と先端技術の両方がなければできないことです。そして、中国は残念ながら独裁政治で先端技術を手に入れた。自分たちが開発したのではなくて、あちこちから盗んできた。それを活用して完璧な監視システムをつくりあげようとしている。

 

(石平) 毛沢東も、同じような監視システムをつくり上げました。

 毛沢東は、農村では人民公社、都市部では居民委員会という住民組織をつくらせ、その中心に共産党幹部がいて人民を監視した。さらには密告を奨励して、人民にお互いを監視させたのです。

 こうして毛沢東体制では、人民が全員、誰かに対するスパイになった。場合によっては、夫は妻に対してスパイを行い、妻も夫をスパイする。子供は親をスパイし、時には自分の親を共産党に告発した。

 

中国で復活しつつある密告制度

・(黄文雄習近平自身も、父親が文化大革命で失脚して拘束・迫害されていますから、密告制度についてはよく知っている。

 中国では、国営企業内に共産党支部を設置することが義務づけられていますが、習近平時代になってからは、民間企業、さらには外資系企業にも共産党支部の設置を求める動きが活発化しています。これも監視体制の強化でしょう。

(石平)そうです。現在の中国ではAIによる監視体制ばかりではなく、北京や上海では居民委員会のような機能が復活しています。

 小学校でも教師が子供たちに、自分の家族や親戚に反共産党の行為があるかどうかを報告するように教えている。

 

学生のなかに共産党のスパイがいて、教師が共産党にとって不都合な発言をすると、すぐに共産党委員会に密告するわけです。そうなると教師は解雇され職務を解かれる。そういうことが何件も起こっています。

 

黄文雄) 私が小学生のころ、台湾は国民党支配の時代になっていましたが、先生に動員されて、密告を勧める歌を歌いながら、町を練り歩きました。

 蒋介石時代の台湾では密告制度が敷かれ、反政府嫌疑者を密告しないと同罪とされていた。隣近所は私語を盗聴されており、誣告されるのではとすべてが怖かった。

 

・香港のデモにおいても、5人に1人くらいが中国政府のスパイらしいですね。どこからかタマゴを持ってきて投げつけて去っていったり、あるいは白シャツの暴力団がデモ参加者に暴力をふるったりすることも起こっていますが、それらは中国政府のスパイだという声も多い。

 台湾で起こる反政府デモにも、中国からのスパイが紛れ込んで、現政権の批判を煽っているという疑惑が絶えません。

 

(石平) 毛沢東時代には、深夜の1時、2時に突然、公安警察がやってきて、マンションや家を取り囲んで1軒ずつ問答無用で入るということがよくありました。戸籍検査と称していましたが、その家に、戸籍登録されている者以外の人物がいるかどうかを抜き打ち検査するのです。深夜は街に誰も出ていないから、不穏分子を捕まえやすい。

 つまり、まったく国民にプライバシーがなかった。

 

・(黄文雄) これも中国に限らず、台湾も同じです。

 たとえば私が高校生のときは、「軍訓」(軍事訓練)という科目と家でやる宿題の「週記」がありました。「週記」とは1週間の感想を書く記録ですが、これも監視されているんですよ。最初、われわれは何も知らなかったから、感想を書いているだけですが、みんな思想チェックのための資料とされていたのです。

 

・国民党独裁時代の台湾では、何らかの嫌疑をかけられそうになったら、カネで解決したのです。私の母方の家は漢方医で地主だったらしいということで、それなりにカネをもっていたから、そういう解決法を聞いていました。

 ただ、カネ払いが遅れると、逮捕されたり、監禁されたり、自殺させられたりする。かつての国民党時代の台湾は、そういう厳しい時代だった。

 それがいわゆる「自由中国」の真相です。

 友人の兄は中学生で獄死しました。卒業前に逮捕された高校生もいたので、今日まで生きられた私は「幸せ者」だと思います。

 

(石平)やはり共産党にしろ国民党にしろ、中国人の人民監視のやり方は、ほとんど同じなのですね。

 

・実際、新疆ウイグル自治区では、ウイグル人が24時間監視されています。ウイグル人には私生活は何もない。漢族の警察がいつでも自由にウイグル人の家に入って、テロ分子がいないかどうかを検査している。

 

自分以外に無関心な中国人の悲劇

(石平) 毛沢東時代、建国記念日メーデー共産党記念日などの前日は、だいたいどこの街でも何十人かの公開処刑が行われました。一種の前夜祭です。10月の国慶節の前になると公安が忙しくなるのですが、前夜祭の公開処刑のための死刑囚をかき集めなくてはならなかった

 

毛沢東が政権をとったあと、まず農村の地主や都市部のかつての有力者を殺しました。その数は、1年間で71万人だといわれています。このとき、中国の知識人は何も言わなかった。なぜなら、殺される対象は自分たちではないから。

 そうすると、中華人民共和国成立の7年後に反右派闘争が起こり、何百万人という知識人が「右派分子」として粛清されました。しかし、そのときに、共産党幹部は何も言わなかった。自分たち以外の知識人が処刑されただけで、関係ないと思っていたからです。

 そして十数年後、今度は共産党幹部の多くが紅衛兵によって吊るし上げにあい、刑務所に入れられ、リンチで殺されました。

 

・鄧小平は、反右派闘争において右派分子鎮圧の陣頭指揮をとり、何百万人もの知識人を右派分子として強制労働所に送り込んだ人物です。

 

・しかし、習近平は鄧小平のやり方をやめて、完全に毛沢東時代に戻してしまった。失脚した共産党幹部のほとんどは刑務所に入れられています。そうなると、自分も失脚したときに刑務所に入れられる可能性がある。だからますます権力にしがみつく。しがみつくために国民全体を監視する。

 現在、中国では人権派弁護士がどんどん逮捕されていますが、国民の大半は自分の身に災いが降ってきたわけではないから無反応です。しかし、人権派弁護士がみんな刑務所に送られれば、普通の人々の人権を守ってくれる人がいなくなる。気がついたら、一般中国人はすべてを失う。

 

経済衰退とともに強まる人権弾圧

・(石平) 国際的にはそうかもしれませんが、国内的には経済が衰退すればするほど、監視体制が強化されていくでしょうね。

 先ほど、企業内に共産党支部を強制的につくる圧力が高まっているという話がありましたが、共産党組織はがん細胞みたいなもので、気がついたら、企業は共産党組織に乗っ取られてしまう。

 企業は共産党に乗っ取られて支配される。個人はプライベートを監視されて支配される。

 

・いまは中国人の旅行を政治的武器として使っていますが、いずれ国内的な理由で制限せざるをえなくなるでしょう。その理由は二つあります。

 一つは海外に出て変な思想に染まることを防ぐため、もう一つは資本流出を防ぐためですね。とくに外貨準備高が減ると困りますし。

 

黄文雄) 大躍進政策では数千万人が餓死したとされていますし、文化大革命の犠牲者も百万から千万人単位でしょう。みんな極貧でしたが、中国が潰れるとか、共産党が潰れるといった危機感はなかった。社会は見事にコントロールされていました。習近平もそれを目指しているのでしょう。

 

(石平) だから最近では、麻雀までが取り締まりの対象になっています。2017年には江西省のある県で、共産党委員会が地元政府幹部らに麻雀禁止令を出しました。また、最近では賭け麻雀で逮捕される共産党の役人も増えています。

 胡錦濤政権時代まで、麻雀はやりたい放題でした。とくに江沢民時代は腐敗を許して、賄賂をもらおうが、売春婦を買おうが、賭け麻雀をしようが、とにかく共産党に反抗しなければ、何を楽しんでもいいというスタンスでした。

 生活が安定したら、みんな反政府運動のことを考える暇がない。金儲けと娯楽で忙しいからです。

 しかし、いまでは禁止事項が増えてきています。気がつけば、プライベートも、人権も、楽しみも、何もかも奪われて財産を失うことになるかもしれません。

黄文雄) 大躍進政策のあとで経済は崩壊し、文化大革命のあとで政治も経済も崩壊して、軍だけが残った。それでも中国は生き残った。

 

・(黄文雄)しかし、近代軍というのは、カネがないと維持できない。アメリカによってカネの道が断たれると、軍も崩壊するでしょう。中国は公安費が軍事費以上にかかっている。この公安と軍と監視システムを維持できなくなったら終わりかもしれない。

 もう一つ、私は、中国の崩壊というのは、パンデミックによって実現するかもしれないと思っています。宋と元はペスト、明はコレラによって滅んだという側面があるからです。

 中国大陸は疫病の発生地であり、近現代史から見ると、数年前にはSARS(重症急性呼吸器症候群)、現在は豚コレラが大流行しています。だから、伝染病が流行るときに、この国は滅びるのではないかと思っているのです。

 

無法な「中華思想国」を排除しはじめた世界

日米両国が台湾を国家承認する日

(石平) アメリカと相談して日米両国が揃って台湾を承認し、外交関係を回復するというのも、中国に対する強烈なメッセージになるでしょうね。

 もう一度、台湾を国家として認めて、台湾と正式な外交関係を結び、そして国交回復する。

 

アジアで日本主導の中国包囲網を構築せよ

・(石平)ミクロネシアポリネシアなどの太平洋諸国に対する中国の接近を警戒して、オーストラリアがこれらの国々に資金供与し、中国に対抗しようとしています。あるいは最近、ASEANも独自のインド太平洋構想をもちだしている。このように、いま徐々に世界の関心が、南シナ海東シナ海に集中してきたのです。

 そういう意味で日本は、中国とある程度安定した関係をつくることは悪いことではないですが、アメリカやこれらの国々と協力しながら、日本がリードしてアジアにおける対中包囲網を本気で構築していくべきです。

 

日本の保守派と親中派で共通する反米感情

・(黄文雄) 私は1960年代に留学のために来日したのですが、すでに半世紀以上、日本に住んでいます。

 来日早々、日本の平和主義者の人に叩かれました。その理由はよくわかりませんが、台湾人だったからかもしれません。君たちはなぜ、あの素晴らしい中国に行かないのか、といった理由ではないかと思います

(石平) 中華人民共和国はあちこちで戦争をしてきた国ですよ。チベットを武力で占領しましたし、インドやベトナムとも戦争し、朝鮮半島でも戦争しました。なぜ平和主義者のリベラルが、あんなに中国の肩をもつのでしょうかね。財界ならカネのためということでわかりやすいですが。どうして台湾人は叩かれるのでしょうか。

 

日本のリベラルが抱える闇と欺瞞

・(黄文雄) ただ、世界がグローバル化して、インターネットが普及するにしたがって、中国の内情も次第にわかってくるようになりました。そうなると、中国は人権も守らないとんでもない国だということがだんだん知られるようになった。

 現在の習近平政権は言論弾圧、人権弾圧、自身の神格化に邁進し、まるでかつての毛沢東だということもわかってきた。中国はものすごい賄賂社会だということも見えてきた。

 文革時代、朝日新聞をはじめ多くの日本の新聞、あるいは進歩的文化人が中国を賛美していました。それが間違いだったことは文革終結後にわかった。

 大いに反省したかと思いきや、親中派の人たちは、それでも中国を批判しない。

 

もっと習近平を暴走させて自滅に追い込め!

・(黄文雄) まさに令和の「脱亜論」ですよね。日本人の多くが、韓国とはもう絶縁、断交したほうがいいとおもっている。経済産業省が募集した韓国の「ホワイト国」除外に関するパブリックコメントも、98%以上が賛成でした。

 このような決断ができるということを内外に示したことは、日本にとってプラスでしょう。中国も日本を徒疎かにできない。

(石平) 戦略的、地政学的に考えて、韓国は切り捨て、中国とはほどほどの関係を保って、そのかわりほかのアジアの国々とうまく連携すべきですよ。

 インドネシアベトナム、台湾、フィリピン、インド、ニュージーランド、オーストラリアなど、このあたりの国々と今後、連携して中国包囲網を築くのがいちばん正しい。

 

・(黄文雄だから、中国を封じ込めるというよりも、むしろ、もっと暴走させて自滅させたほうがいい

 おそらく、中国共産党も薄々わかっているのだと思いますよ。習近平がいずれ自滅することを。だから習近平への権力集中も、彼の神格化を許しているのではないでしょうか。「責任はすべて習近平にある」とするために。

(石平) そういう意味では、習近平さんにもう少し頑張ってもらいたい。それが本書の結論ですね。

 

世界の未来を決する最大にして最後の戦い

・米中対立は民主主義や人権主義といった近代文明と、独裁体制かつ人権無視の前近代的野蛮との戦いであり、世界の文明史における大転換点となると、私は見ている。

 

このように、世界は中国に対して、きわめて厳しい目を向けつつある。一方、日本は相変わらず中国への幻想をもっているためか、政界にしても財界にしても、香港デモやウイグル問題、さらには台湾問題についても、ほとんど中国への批判の声があがらない。

 そのことが、長年日本に暮らす私としては、不満と懸念が募る点だ。

 

 

 

<●●インターネット情報から●●>

ウェッブサイトSankeiBizによりますと、中国新聞(2020/9/15)

中国の洪水被災7000万人 経済損失は3兆円超

中国国家洪水・干魃(かんばつ)対策指揮部秘書長で緊急対応管理省次官の周学文氏が国務院(内閣)政策定例報告会で明らかにした。同氏は「今年の洪水被害は1998年以来、最も深刻だ」と述べた。

 

今年は増水期に入って以降、これまでに751本の河川で警戒水位を超え、長江、黄河淮河(わいが)、珠江、太湖などの河川・湖で18回の洪水が発生した。長江、太湖では大洪水が発生し、とりわけ長江上流での洪水規模が大きかった。

 洪水被害は28省(直轄市自治区)に及び、直接的な経済損失は過去5年平均を27%上回る約2143億元(約3兆3302億円)となった。避難した人の数は同47.3%増の約470万人と近年最多。死亡・行方不明者数は同49.8%減の271人だった。

 周氏は「中国は引き続き増水期にあり、河川の状況を把握し、地滑りや台風などにも備えなければならない」と指摘した。(中国新聞社)