日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

コンタクティやチャネラーの情報を集めています。森羅万象も!UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象といわれます。

もし次にもっと恐ろしいウイルスが他国で出現したら、日本はまた同じような対応しか取れないのではないかという思いです。もしかしたら私たち国民と政府を目覚めさせるきっかけを与えてくれたと言える(1)

 

 

『危うい国・日本』

インテリジェンスなき日本は滅びる

百田尚樹  江崎道  ワック  2020/4/26

 

 

 

日本を危機に陥れる「デュープス」をご存じですか?

今、日本は戦後最大の危機を迎えていると言っても過言ではありません。

 これは国の根幹である安全保障を長年にわたってアメリカに任せきりにしてきたツケが一気にまわってきた結果とも言えます。

 2020年1月、中国において新型コロナウイルスの感染爆発が起こった時、日本政府は固まったまま、何の対応も取れませんでした。世界の国が次々に中国からの渡航者をストップさせているにもかかわらず、日本が実質的に中国全土から渡航禁止措置を取ったのは2ヵ月も遅れた3月です。しかしこれは政府の怠慢だけではありません。野党もメディアも専門家も、そして私たち国民も、「たいしたことにはならないだろう」という楽観論に染まっていた結果です。政府というのはその国の国民以上に賢明なものはできません。

 

もし次にもっと恐ろしいウイルスが他国で出現したら、日本はまた同じような対応しか取れないのではないかという思いです。またウイルスではなく、他国から軍事行動を起こされた場合、ただちに対応策を取れるのかという不安です。たとえば、他国が日本に向けてミサイル発射の準備を行っているという情報を政府が掴んだ時、首相はいかなる決断を下すのでしょう。

 

今回の新型コロナウイルス(中国肺炎)は、もしかしたら私たち国民と政府を目覚めさせるきっかけを与えてくれたと言えるかもしれません。それは「国を守る」「国民の命を守る」とはどういうことかを私たちが初めて考えることができたからです。

 

・皆さんは「デュープス」という言葉をご存じでしょうか。これは直訳すると「おバカさん」という意味ですが、単なるバカではありません。政治的な意味を含んだ言葉で、「共産主義者ではないのに、共産主義者と同じことを主張し、同じ行動をする、おバカさん」なのです恐ろしいことに、今の日本を危機に陥れている一番大きな存在は、もしかしたらこの「デュープス」かもしれないのです。

 共産主義社会主義)国家は人々を幸福にしない政治体制であるというのは、21世紀の今日、完全に明らかになっています。1917年のロシア革命以来、世界では多くの共産主義国家が生まれましたが、幸せになったのは権力を握った一部の特権階級のみで、大多数の国民は塗炭の苦しみを味わいました。粛清、虐殺、貧困、言論弾圧、監視社会が生まれるのが共産主義国です。

 にもかかわらず、日本を含む自由主義社会において、共産主義の信奉者ではないのに、彼らと同じことを言い、同じことをする「デュープス」という存在が多数生まれています。学者や文化人、ジャーナリスト、小説家、映画監督、芸能人、それに普通の市民の中にも「デュープス」は多数存在します。彼らの存在がいかにやっかいなものか、対談の中でも熱く語っています。

 

実は彼らは自然発生的に生まれたものではありません。そもそも彼らをこしらえたのは「コミンテルン」という存在です。初期の「コミンテルン」はロシア革命を成し遂げたソ連が、地球上のすべての国を共産主義国家にするために、世界各国の中に作った組織です(その後、初期の方針は変化します)。ちなみに今、世界を脅かしている共産主義大国の中国共産党も、そもそもソ連が戦前に中国で作ったコミンテルン中国支部が前身です

コミンテルンは1943年に消滅しましたが、形を変えて今も世界中に存在します。彼らは共産主義者を作り上げることを目的としていますが、同時に共産主義者そっくりのデュープスも作り上げているのです。

 

日本はやっぱり「カエルの楽園」――「中国肺炎」の教訓

安倍首相にも直言した――日本は「中国封鎖」を断乎やるべし

・(百田) 日本の政治家たちは「カエルの脳みそ」以下の連中というしかありません。こんな事態になっても、国会では、立憲民主党をはじめ、野党のほとんどが、サクラがどうしたこうしたの議論を優先していました。どうかしてると思います。

 繰り返しますが、中国が武漢を封鎖した時(1月23日)に、日本も中国人観光客を全面ストップすべきだったんです。私は武漢封鎖の前日に、ツイッターで、「ただちに中国からの観光客を止めるべきだ」と書いています。

 

・それを3月の終わりになってから、日本政府の対応が遅すぎる、中国からの入国をもっと早くから止めるべきだったなんて言う奴がいますが、「お前ら、2ヵ月前にそれを言ってたのか」と言いたいですね。「虎ノ門ニュース」の出演者の中にも、「新型肺炎はインフルエンザよりも怖くない。中国人観光客を止めても効果なし」なんてことを言っている論客もいました。要するに、危機意識がない人が大勢いたということです。

 

なんで小池都知事兵庫県知事は貴重なマスクを送ったのか

・(江崎) 2月4日、虎ノ門ニュースに出演させていただいた際に指摘しましたが、リーダーシップの差、政治家の個人的力量の差もあるでしょうが、対外インテリジェンス機関の有無も重要だと思います

 果敢な決断をしたアメリカも台湾も、中国各地に協力者を配置してヒューミント人間を活用した諜報)を通じて、武漢を含む中国各地で何が起こっているのか、中国の公式発表やWHOの判断が実態と異なることを早期に把握できていたのだと思います。正しい情報があってこそ、政治は正しい判断を下せるのですから。

 ところが日本には、対外インテリジェンス機関は存在しない。よって同盟国アメリカや台湾などから情報をもらうしかない。正確な情報をもらえなければ、中国政府の公式発表を頼りにするしかないわけですが、中国政府の公式発表を鵜呑みになんかできない。よってどう判断したらいいのか分からないまま、オリンピックや中国人観光客などのこともあってか、中国への忖度が優先されてしまい、果敢な対応を取ることができなかったと思われます。

 

・(百田)中国人シャットアウトの代わりに何をやったかと言えば、唖然とすることに、備蓄していたマスクや防護服を気前よく中国にくれてやったことです。東京都や兵庫県をはじめとする各自治体が我先にそんなことをしました。私の住んでいる兵庫県井戸敏三知事は、なんと県が緊急時用に備蓄していた120万のマスクの中から100万も送ったのです。その時点でマスクがなくて困っている県立病院があるのにです。もちろんマスクを買えない県民は多数いましたこのニュースを見たとき、この知事はほんまもんのバカだと思いましたね。こいつを落選させるためにも次の知事選にワシ出たろうかなと(笑)。

 

・(江崎) 乾パンやカップラーメンを送るのと違って、そもそも日本国内で売られているマスクにしても中国製が大半です。その中国で、自動車の部品やらメーカーの工場が休止状態になって、日本国内の工場でも生産停止になったりしていた段階で、そういう貴重な備蓄を送るのは危機管理の視点からも疑問です。

 

新型コロナウイルス」は生物化学兵器から生まれた?

・(百田) ところで、未確認情報ですが、一部で言われているけど、アメリカは今回の新型コロナウイルスは生物化学兵器の開発途上で外に漏れたものではないかとの見方をしている、との噂もありますよね。だから、アメリカは、徹底して中国からの入国を拒否するのではという憶測も生まれている。このあたり、どうですか。

(江崎) それに関してワシントンワイムズ(1月24日)が伝えていましたね。『誰がテポドン開発を許したか クリントンのもう一つの“失敗” 』(文藝春秋)の著書でもあるビル・ガーツという軍事専門家がその中で、その可能性に触れていました。武漢には『武漢病毒研究所』があって、イスラエル生物兵器専門家のダニー・ショハム氏が、コロナウイルスは、その研究所で研究されていたもので、それが漏洩した可能性が考えられると指摘していました。ただし、それを示す証拠はないと断っています

 とはいえ、日本政府がやらないといけないのは、その仮説を唱えたビル・ガーツやダニー・ショハムの二人に直接会っていろいろと話を聞くとかやるべきなんですよ。どういう背景で、そういう記事を書いたのかも外務省や防衛省の方で確認しておくべきなんです。まあ、当然やっていると思いますが、その辺りの裏どりをして正しい「分析」を提示することも、国民に「安心感」を与えるためには必要な措置なのです

 

インテリジェンスなき日本でいいのか

日本人はインテリジェンスが苦手か

・(江崎) 日本人自身が、日本民族の偉大さを見失ってしまったことはかなり深刻です。

 

・そこで私は「みなさん、申し訳ないですが、日露戦争で活躍した明石元二郎さんとか、第ニ次世界大戦で日本に重要な情報をもたらした小野寺信さんや。杉原千畝さんの話、さらには台湾の独立に関わった根本博さんをご存じですよね」と言いました。

 

・さらに「スパイ防止法が日本で一向に成立しないのも、やはり(日本は)インテリジェンスに向いていないからだ」とか言っていましたね。私は「いや、違います」と。歴史的に見て日本はインテリジェンスに優れた実績を残しているのです。

 そもそも、日本が外事警察を作ったのは、アメリカのFBI創設より早い1899年です。日清戦争直後のことです。

 一方、FBI設立は1908年。日露戦争後なのです。

 

情報を軽視したトップの責任

・(百田)ただ、日本は第ニ次世界大戦からすでにインテリジェンスに対する感覚が鈍ってきていましたよね。情報に対する認識の劣化が始まっていたともいえます。

(江崎)そうですが、現場の優秀さは基本的には変わっていないと思います。問題はトップが現場からの情報をどう使うか、です。

 残念ながら第ニ次世界大戦の時、指導者の情報に対する意識は大変、劣化していました。

 

・逆に大東亜戦争になるといくら現場が情報を取って来ても、政府と軍の中枢が握りつぶしています。その落差が大きいと思います。政治家と軍の指導者たちのインテリジェンスに関する感覚・認識の劣化が問題であったのであって、インテリジェンス活動自体はかなり優秀であったと思います。

 

アメリカの卓越した偽装工作

・(百田) 第ニ次世界大戦でいうと、日本はいろいろな面でアメリカやイギリスに劣っていたのです。情報戦の在り方に関して言うと、日本と英米とでは大きな開きがありました。たとえば暗号解読にしても、英米は凄い。

(江崎) いや、実は日本軍も相当なものでした。日本は戦争に負けたので、情報戦もまったくダメだと思い込んでいるのですが、英米と比較しても決して劣っていたわけではない。暗号解読などけっこうやっていたのです。

 作家の阿川弘之さんは、戦時中、海軍少尉として暗号解読の業務についていたのは有名な話です。そうやって、地道に暗号を解読したのに、解読した情報を活かすことを上層部が出来なかったのです。その理由は政治家や軍の指導者が、端的に言うならば“バカ”だったからだと思います。「作戦重視、情報軽視」「長期的視野の欠如」「セクショナリズム」に陥っていた。これは戦後の官僚政治家たちにもいえることです。現場はそれなりの実力は持っていました。

 

・(百田) アメリカもそういう偽装工作はよくやっていました。たとえば、日本海軍の山本五十六昭和18年4月18日、ラバウル基地から一式陸攻に乗って何機かの護衛機を付けて、前線基地の視察に向かっていました。それがアメリカ軍に暗号解読されてあらかじめやってくることが分かって、ブーゲンビル島上空付近でアメリカ軍機の奇襲襲撃を受け、撃ち落された。つまりピンポイントでアメリカ戦闘機は待ち伏せしていたわけです。当然、日本側は山本機の飛行情報が暗号解読によって漏れていたのではないかと疑う。そうはさせまいと、アメリカ軍はしばらくの間、山本機が飛んだ同じ空域に、同じ時間帯に戦闘機を飛ばすのです。日本軍に、たまたま敵の戦闘機に出くわせたと思わせたわけです。

 

ミッドウェー海戦日本海軍の動きは読まれていた>

・(百田) それから、ミッドウェー海戦の時も、アメリカ軍は日本海軍の暗号をかなり解読していました

 ただ、「地名」を解読できなかった。ミッドウェーについては「AF」という暗号を日本軍は使っていました。この「AF」というのがアメリカ軍はどこか分からなかった。しかし、大掛かりな作戦を日本海軍が近く実行しようとしているのは予測がついた。そこで、「AF」はどこの場所を指すのか、それを解くために、わざとニセ電報を多くの基地から発信させます。そのひとつに、ミッドウェー島の基地から「ミッドウェー基地で海水濾過装置が壊れてしまい、水が足らない。飲料水を遅れ」というものがありました。そうしたら、日本軍が発信した電報の中に「AFは水が足らないようだ」というのがあったのです。それで、アメリカ軍は「AF」が「ミッドウェー」であることを掴み、ミッドウェーで待ち構えることができたのです。

 

米国は日本民族を徹底調査、日本は英語使いを一兵卒扱い

・(百田) あと、アメリカは戦争突入前まで日本人が一体、どういう民族か、特に調査もせず無視していました。ところが、戦争が始まって、あまりにも日本軍の戦闘ぶりが凄いので、慌てて「戦時情報局」が調査に乗り出したのです日本民族を徹底的に調べ、こういう事態になると、日本人はどのような行動を取るのか。また、何を考えるのか。ありとあらゆる研究をしました。

 

・逆に、日本はアメリカ民族の研究についてまったくしませんでした。学校での英語使用を禁止したりした。これは大きな違いです。アメリカ人は個人主義でマイホーム主義者だから、戦争になれば、皆、逃げるだろうというのが、軍の上層部のアメリカ人像でした大和魂を持っている日本の兵隊とは比べものにならないという認識でした。これでは話になりません。

(江崎) さらに、アメリカのルーズベルト政権は日本語の分かる留学生や文化人を研究者としてOSS(戦略事務局)が雇い集め、徹底的に日本研究をしました。

 それに対して日本は英語が出来る大学生を惜しげもなく前線に送ってしまうのです。当時の風潮として英語が分かるインテリは「アメリカかぶれ」の疑いがあって危険人物扱いすらしていました。だから、一兵卒として戦地に行かせてしまった。ようするに、日本軍上層部は人材の使い方を知らなかったのです。英語ができる大学生をアメリカ研究に使えばいいのに、それをしない。大きな問題だったと思いますね。適材適所が出来ていない。

 

熟練工を戦地に行かせたために稼働率が低下

・(百田) 人事に関しては、日本軍は本当にひどくて、当時の日本軍は総力戦たるものをまったく理解していなかった。1942年あたりから、飛行機生産の稼働率が落ちてしまいます。加えて、完成した飛行機の質も悪くなっていくのです。

 これはどうしてか。理由は簡単で、熟練の職工を日本人の特有の平等主義から、「赤紙」で戦地に送り込んでしまうからです。

 

・他方、同盟国のドイツ軍はどうか。軍需相のアルベルト・シュペーアは、徴兵権を持っていたこともあって、熟練労働者は絶対に前線には送りませんでした。熟練の工場労働者を前線に送ったりしたら、その分の補充は効かないですから、そういう観点においてドイツ軍は合理的でした。

 

ゼロ戦」を牛車で運ぶ愚かさ

・(百田) さらに、日本は戦争中も現在も言えるのは、官僚の縦割り行政が酷い点です。戦争中も横の連携がまったくないため、飛行機を作るのに陸軍と海軍とでは仕様が違っていました。また、銃の仕様も違います。

だから、弾の規格が違っていて同じ日本軍なのに陸軍と海軍で互換性がありません。

 

<「部分最適」より「全体最適」を優先すべきだったのに

(江崎) そういう意味では日本は判断に合理性が欠けるというか、全体が見えないのです。

 全体の中で特定の分野は高い能力を発揮するといった意味で「部分最適」は実現している。三菱重工業ゼロ戦は素晴らしい戦闘機でした。戦艦大和もそうでしょう。でも、その戦闘機や軍艦をさらに効率よく運用するためには、製造工場以外の各部門も歩調をあわせて協力体制を構築するという「全体最適」を目指すべきだったのに、それが実現しなかったのが戦前・戦時中の日本でした。

 

これからは「ダイム(DIME)の時代だ――軍人は経済、金融政策に関心を持て

・(江崎) これからは、そういう過去の失敗から学び、日本人も「部分最適」ではなく、大局を見る「全体最適」を考えないといけないと思うのです。それは国家の運営でも当てはまります。その「全体最適」を考えるのは政治家の役割なのに、政治家自身が「全体最適」をよく分かっていない。

 トランプ政権になって、アメリカ軍の情報関係者と情報交換しました。今のトランプ政権は軍事だけで中国を閉じ込めることは不可能だと考え、貿易戦争を仕掛け経済的に圧力をかけた。そしてファーウェイを排除し、技術的な覇権を維持することにしたのだと言っていました。そして国防権限法などを制定し、アメリカにいる中国の産業スパイを炙り出し、国外退去させています。

 

この戦略を我々専門家の間ではダイム(DIME)と呼んでいます。外交(Diplomacy)、インテリジェンス(Intelligence)、軍事(Military)、経済(Economy)の四つを踏まえながら、どうやって相手国――この場合は中国をさしますが――を封じ込めて暴走を食い止めるのか。このダイムをアメリカ軍とホワイト・ハウスが一緒になって実行しています。アメリカ軍の情報将校はそういう観点から中国封じ込めを考えているのです。

 そのために最近は、米軍幹部たちが日本にやって来て、自衛隊幹部との会合で金融や経済政策の話を持ち出すことが増えたという。

 

日本陸軍日本海軍の対立

・(百田) 日本が大東亜戦争に突入した最大の原因は石油がない事でした。そこで日本軍は、オランダが支配していたインドネシアに進撃してまず石油を確保することに成功する。ぶっちゃけて言えば、日本はインドネシアの石油を取るために、大東亜戦争を始めたのです。つまり戦争の目的は石油でした。

 このインドネシアの石油を取るために海軍も協力したのですが、地上で主に戦闘したのはもちろん日本陸軍でした。「空の神兵」と喧伝されることになった陸軍の落下傘部隊を使って電撃攻撃に成功し占領した。すると石油施設のほとんどは陸軍の管轄下になった。でも、戦争で実際に石油を大量に使うのは海軍です。陸軍はそれほど石油を使いません。そして驚いたことに、海軍に石油が足らなくなっても、陸軍はその石油を縄張り意識から海軍になかなか回さないのです。間抜けですよね。

 

・(江崎) 当時は陸軍、海軍は反目しあっていて、そこに外務省、内務省、大蔵省などが加わって、国家戦略をめぐる縄張り争いをしていたわけで、どうにもならなかった。

 

(江崎) アメリカは1980年代、レーガン大統領の時にソ連と本気で戦うつもりでしたが、当時のアメリカ陸軍と海軍は連携が弱く、戦前の日本のように関係がぐちゃぐちゃになっていたのです。武器弾薬ですら海軍と陸軍と一致していないなど、話にならなかった。

 

(江崎) 実は第ニ次世界大戦中はアメリカも陸軍が圧倒的に強かった。陸軍、海軍、海兵隊があって、戦後になって空軍が出来て、4軍になった。

 しかし、ベトナム戦争になると、それぞれ軍が縄張りを主張し始めたのです。有事の時は協力しあっていた米軍も平時になるといささか対立するようになったわけです。それが酷くなり、実践のベトナム戦争において、各軍がバラバラだったために戦争遂行の上で齟齬が発生し非常に問題となって、レーガン大統領の時に連邦議会がコールドウォーター・ニコルズ法を制定しました。

 この法律で各軍に統合運用を義務付けたのです。

 

「言霊信仰」が大東亜戦争敗因と原発ミスのキーポイント

・(百田) 最悪の状況を想定して動かないのです。

 この手の話は「中国肺炎」以前にもいくつもありました。たとえば、昔から原発施設に大事故が起きた場合、人間が入れないような危険施設内では、ロボットが人間の代わりに修理をすればいいじゃないかという議論がありました。ところが、原発を積極的に導入していた東京電力ではロボットを導入できませんでした。なぜかというと、ロボットを導入しようとして予算を取ろうとすると、反対派が導入を阻止するのです

 反対派から「どうして、ロボットを導入するのか」と質問されて、「これは万が一の事故に備えてです」と答えたとします。すると、「原発は人が入れない恐ろしい事故が起きるのか?」と反問されます。さらに「原発は安全だと言ったから作られたんじゃないか」と畳みかけられます。そうなると、もうそれ以上のロジックを展開できません。結局、万一の事故に備えてのロボットは最初から導入できなかったのです。

 

「ダチョウの平和」はもう通じない

・――平和憲法があったらどこの国も攻めてこないという発想と同じですね。

(百田) その通りです。もし、攻めてきたらどうするという発想、議論がないのです。前述したように、赤旗と白旗を掲げたら大丈夫という程度の想像力なき予想しかできない。それでいいのだと思っている。私の持論なのですが、戦争という極限状況になると、その民族の最も凄いところと、最もダメなところとが極端に出ますね。ですから、大東亜戦争を見ると、日本ではトップのダメさが極端に現れた。逆に、最前線で戦っている兵士は優秀だった。

 

(百田)実は日本において、大東亜戦争はいまだに総括をしていないのです。いわゆる「東京裁判」によって、総括が出来ていると思っているけど、あれは戦勝国側の「論理」を押しつけられた代物でしかない。その点を勘違いしています。

 

ソ連のスパイが日米分断に動く

・(江崎) ソ連の指導者であったレーニンの有名な演説が残っていて、「日本とアメリカという資本主義国家同士を闘わせて、お互いの反目を煽って、日本とアメリカを潰し合わせる。そのうえで、日本やアメリカを敗戦に導き出し追い込んで、大混乱の中で、敗戦革命を起こして一気に権力を握ってしまえ」とハッキリ言っているのです。

 

・(百田) 1921年頃から、アメリカの対日政策が変わっていきます。日本人はアメリカの土地を自由に買えなくなるとか、あるいは、父親が持っているアメリカの土地をアメリカに住んでいる子どもが相続できないとか。かなり、日本人に対して厳しい排日政策が取られてきます。これも、コミンテルンの工作の影響があったかもしれませんね。

 

スパイは大将(大統領)を操る

・(江崎) 終戦が間近に迫った1945年2月にヤルタに、米英ソの首脳(ルーズベルトチャーチルスターリン)が集まり、第ニ次世界大戦後の国際体制について話し合いが行われました。老齢で判断力が低下していたルーズベルト大統領の側近アルジャー・ヒスが舞台裏で暗躍し、世界をソ連に有利な形で分け合う戦後のレジュームを作りました。それが東西冷戦の原因にもなったのです。ソ連の対日参戦と千島列島の編入もこの時に取り決められた。ヒスは政府高官とはいえ、彼がヤルタ会談全体を仕切ってしまった。

 アメリカ軍の幹部たちはヤルタ会談で「絶対対日参戦もノーというべきだ」と、そのレポートをアメリカ軍はホワイトハウスに送るのです。しかし、ホワイトハウスに送られてきた文書をチェックするのがアルジャー・ヒスです。このレポートをヒスはすべて握りつぶしたのです。

(百田) 酷いですね。これで1945年8月9日に、ソ連が日本との中立条約を破って参戦するわけですね。これはヤルタ会談スターリンルーズベルトと約束をしていた。それを後ろで操っていたのが、スターリンの手下だったというわけですね。

(江崎) そうです。この時、アメリ国務省幹部にジョセフ・グルーというストロングジャパン派の人がいました。元駐日大使の日本通で国務次官でした。ところが、そんな政府高官がヤルタ会談から完全に外されるのです。なのに、局長クラスの人間(アルジャー・ヒス)がヤルタ会談に行って仕切っているわけです。

 

天皇制」廃止のためのビッソンの地雷

・(江崎) 共産主義の典型的なやり方を日本の占領政策の初期に実行させられてしまった。本当の共産国家なら「追放」ではなく「粛清」(処刑)だったでしょうが……それでも生活の糧を奪われて路頭に迷う人も少なくなかった。

 そしてトーマス・アーサー・ビッソン(太平洋問題調査会(JPR))系の日本研究家としてGHQ民生局に属し憲法占領政策に関わった。著書『ビッソン日本占領回想記』三省堂)が皇室典範に関わったということを少し、触れさせてください。実は日本国憲法はもともと、英文で作られていました。その総司令部案を日本語に訳した時、日本側は日本に有利なように訳文を作ったのです。

 

このビッソンは本当に酷い男で、憲法に関してさらなる改悪を試みています。というのも、大日本帝国憲法では「皇男子孫之ヲ継承ス」として男系男子による皇位継承を明確に定めていたのですが、現行憲法は「世襲」と規定するだけで、男系による皇位継承の原則の規定は、国会の審議で改正可能とされた新皇室典範「第一条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」)に移されています。そういう風にさせたのもビッソンなのです。

 もし、ビッソンの介入がなければ、新皇室典範憲法と同等の最高法規であり、「皇位継承は男系男子による」という原則も最高法規となっていたはずなのです。

 しかし新皇室典範憲法の下位法となってしまった結果、憲法の男女平等条項に基いて「女系継承もありうる」との解釈が成立してしまう余地が残ってしまったのです。そしてそれは現在の女性天皇論など、さまざまな形で影響を与えています。もし、悠仁さまのご誕生がなければどうなっていたことか。

(百田) もしビッソンの容喙がなく、現行憲法が「皇男子孫之ヲ継承ス」となっていたら、改憲するしかなかった。巷の、日本共産党をはじめとする「女系天皇容認論」は憲法違反になっていたわけですね。

 

日本には「デュープス」が一杯いる

・(百田) そういう風にソ連スパイの行動を見ていくと、日本の戦後はソ連共産党やその傀儡の日本共産党に相当、歪められましたね。先述したように、GHQも途中から、ソ連のスパイやそれらに操られている勢力の存在に気づいて、追放しているのですが、中途半端に終わりました。

 

・それで、「講和条約締結を阻止しろ」という指令を、戦時中に廃止したコミンテルンを改めた新組織ともいうべきコミンフォルムから受けた日本共産党社会党左派などは揃って「単独講和反対」を口にしだす。

 時の東大総長の南原繁なども先頭に立った。こんなのは「容共リベラル」もいいところ。「すべての国と講和すべきで、単独講和はよくない」という主張でしたが、当時、日本の講和に反対していたのはソ連とその衛星国家のチェコポーランドだけ。英米仏など48ヵ国は賛成していた。だから「単独講和」ではなく「(圧倒的)多数講和」なのに、そういう言葉のイメージ操作によって、朝日をはじめとする日本のマスコミは猛反対をしていた。「安保法案」を「戦争法案」と呼称して反対していたのと同じ。左翼の卑怯なやり方は70年経っても同じです。

(江崎) 南原さんみたいな人を「デュープス」というのです。別に共産主義者でも党員でもないでしょうが、共産党などの聞こえのいいレトリックに幻惑されたりだまされ易い人たちという意味です。

 

・(江崎) 内閣法制局は絶大な権力を有しています。その権力の源は何なのか。憲政史家の倉山満先生などが詳しく指摘していますが、法律の作成とその解釈を通じて各省庁にあれこれと指示できる点にあります。

 以前、自民党片山さつき議員が地方創生担当大臣の時に「スーパーシティ構想」に関して法案を出そうとしたのですが、ダメになりました内閣法制局が、それは違憲の疑いがあるとクレームをつけたのです。政府がいくらやりたくても、これは違憲の疑いがあると言われた途端、法案はすべて止まるのです。各省庁はいろいろな法案を出したいわけですが、内閣法制局がダメだと言ったら、法案は出せなくなります

(百田) これは、ある意味、影の内閣じゃないですか。

(江崎) いや、影の内閣どころではなく、ある意味、絶対的な権力を持っていると言えます。

(百田) 法解釈の最高権力を握っているわけですね。

(江崎) この内閣法制局が「ノー」と言ったら、すべてが動かないわけです。議員立法に関しては、衆議院参議院の法制局、政府の法案は内閣法制局が担っています。一番、重要なのは内閣法制局となります。ここが、拒否権を持っています。

 

東大法学部は「デュープスの総本山」か

・(江崎) 現在の上皇陛下が、天皇に即位された時の話です。高位継承に関しまして、最も重要な儀式が大嘗祭です。即位の大嘗祭はセットになっていまして、昭和50年代に内閣法制局は、大嘗祭政教分離の疑いがあるから国費ではできないと主張していたのです。

 

・(江崎) 平成から令和にかけて元号の公表を即位の礼より早く公表しました。なんでこうなったのか。

 理由は簡単でして、天皇陛下の即位と一緒に元号の公表を行うことは、国民主権に馴染まないというのが内閣法制局の見解でした。だから、新たな元号発表と天皇の即位を1ヵ月、ズラしたのです。それはおかしいだろうと、総理補佐官が異議を唱えたのですが、このときは残念ながら内閣法制局が勝ってしまった。

(百田) そういう事だったのですか。前もって印刷物とか、民間の混乱を抑えるために、公表を早めたという理由をつけていましたが、内閣法制局が皇室の権限を削ぐためにやった事なのですね。

(江崎) 国民主権に違反する懸念があるためというのが、横畠祐介内閣法制局長官の見解でした。私からすれば、一官僚の如きが思い上がるなと言いたいですね。なぜ内閣法制局がこのような唯我独尊的な考え方になってしまうのか。

 それは、内閣法制局の官僚が東京大学法学部卒業のエリートたちばかりだからです。憲法解釈で戦後、もっとも影響を与えた人物が存在するわけですが、その人物の意思が内閣法制局に色濃く影響を与えています。それは、この本で何回か登場した憲法学者・東大法学部の宮澤俊儀さんです。宮澤さんは、国政と皇室を限りなく切り離す憲法解釈を打ち出した「デュープスの総本山」です

 

エリート官僚と共産主義の思考は底辺でつながっている

・(百田) これは結局、繰り返しになりますが、東大卒がダメなんです。その原因は、実は、東大に入学する以前にあります。

 現在、中学高校生が習っている教科書が日本の自虐史観に基づいた思想で出来ているのはよく知られていることですが、中でも「学び舎」の教科書が特にひどいのです。

 

・つまり東大に進学する子供たちの多くは、そんな教科書で学んでいるのです。東大を目指すような丸暗記型の優等生は十代に教科書の中身をすべて覚えてしまって、洗脳されてしまいます。そういう生徒は性格が素直な事もあって、リベラル的な思考が出来上がってしまうわけです。

 そして、この若者が東大に入学して、さらに左翼系の学者、教授に教えられ、国家公務員の上級試験に合格して高級官僚になっていきます。ですから、どうしても東大を卒業した官僚、あるいは司法試験に合格した司法関係の人間は左翼系が多くなるのです。

 

(江崎) 厄介なのは、エリート官僚たちと共産主義というのは親和性が高いという点です。なぜ親和性が高いかというと、共産主義一党独裁は、党が決めたことに庶民は黙って付いてくればいいという考えに基づくからです。そしてエリート官僚たちも自分たちが決めたことに庶民は黙って従えばいいと内心思っている。

 

(江崎) だから、これから日本が注目すべきなのは、トランプ大統領が演説などで繰り返し主張している事です。「アメリカは庶民の国であって、官僚の国ではない」と。庶民の国なのだから、庶民が活躍できるような税制にする。だから減税第一なのです

 官僚たちに無駄なおカネを使わせるようなことをしたら、官僚たちは統制主義経済を始めてしまう。だから、そうならないように庶民からできるだけ税金を取らないようにする。民間の活動に政府はできるだけ邪魔をしないようにする。それがアメリカの保守派の基本的な考え方です。その点、安倍政権はどっちを向いているのか。

――安倍首相は社会主義経済を推進しているといわれていますね。朝日現役記者の鯨岡仁氏の『安倍晋三と社旗阿修羅儀 アベノミクスは日本に何をもたらしたか』(朝日新書)という本が最近話題になりました。

 

・その経済政策を見る限り、世界的視野から見れば、それは「新自由主義」経済ではなく、民主社会主義福祉国家路線に似通ったものであるということを詳細に論じています。

(江崎) 世界標準から判断するとアベノミクスはそうなります。増税を繰り返すというのは官僚主導の社会主義路線ですからね。

 減税によって国民の自由な経済活動をできるだけ尊重しようとするトランプ流の経済政策とアベノミクスとはかなり違います。

(百田) 年度末になると、我が家の近所では道路を何回も掘り返すのです。水道、ガス工事で、カネ(予算)を消化するために慌ててやっています。これって、前述したように「ゼロ戦」を生産するときの無駄と一緒です。日本は変わっていないのかな(苦笑)。

(江崎) 税金を取りまくっていたら、日本は本当に滅びますよね。渡辺昇一先生はいつも言っていました、「税金高くして国は滅びる」と。だって税金が高ければ国民は働く気をなくします。

 

・「中国肺炎」による企業などの苦境を救うために、政府は補助金助成金など、政府による介入を強める政策ばかりが打ち出されていて、消費税減税や社会保険料の負担軽減といった「国民の自由拡大」政策が見えてこないことが気がかりです。

 

日米が連携すれば「歴史戦」でも負けない

・(百田) いやあ、それにしても「中国肺炎」をめぐっても、いろんな言説がありましたが、発生元の中国に忖度するばかりで、中国人の訪日も封じ込めることを主張するのは私たちぐらい。安倍叩きができるとなると、サクラからコロナに乗り換える人も「後出しジャンケン」で続出。こういった「デュープス」が日本の将来を悪くする元凶ですね。

 

・(江崎) 真珠湾攻撃ルーズベルト大統領が日本に仕掛けたことを保守派の人たちは知っている。だけど、「アメリカメディアは自分たち保守派の意見を、聞こうともしないし、記事にも載せてくれない」と嘆いていました。

 

・(百田) CNNとかアメリカの報道を見ていると、アメリカにもデュープスがいっぱいいますね。いや、これは世界的な傾向かもしれませんね。

(江崎) 日米の戦前の対立はコミンテルンが仕掛けたもの。それに惑わされて日米は不幸な戦争をしてしまったけれども、いまや日米両国は最良の友好関係を維持しています。しかし、その友好関係を破壊し、日米分断をしたいと考えている国がある。いうまでもなく中国、北朝鮮、そしてロシアです。

 その中国の利害のために日本国内(沖縄など)でさまざまな形で蠢いているのが「デュープス」ですコミンテルンの亡霊に怯える必要はありません。しかしこのデュープスをのさばらせないようにするために対外インテリジェンス機関が活動をしているのですが、その活動を支える学問的な基盤が必要です。

 そこで欧米諸国では1980年代から、インテリジェンス・ヒステリー(情報史学)という新しい学問が導入されています

 

インテリジェンスの重要性を知ってください

・インテリジェンスに対する国民的理解を広げたいと願ってきた私にとって、これほど嬉しいことはありませんでした。というのも、政治も

そうですが、軍事(自衛隊)やインテリジェンスもまた国民の理解があってこそ成り立つものだからです。その国民的理解を広げるうえで、百田さんと「虎ノ門ニュース」が果たされた役割は本当に大きいと思っております

 

・本書では、今回の「中国肺炎」をめぐる危機管理から憲法改正、安全保障とトランプ政権、先の戦争の反省と教訓、皇室と内閣法制局、インテリジェンス、そして「ヴェノナ文書」と、現代日本の政治的な課題について具体的なエピソードを紹介しながら多角的に取り上げています。

 

何よりも政治とは、言葉の芸術の世界でもあるのです。そして官僚の言葉は面白みに欠け、政治に対する国民の関心を損なわせることが多いのが現実です。逆に国民の心に届く言葉を政治の側が発することができれば、政治と国民との間はぐっと近づき、その政策の実現性は高まります。