『国民はこうして騙される Fakeが「Fact」に化けるカラクリ』
<新型コロナの影響がひどいことになっている>
・その中で、これまで取り組んでこなかった社会の弱点も露呈することになった。とくに際立つようになったのがフェイクの蔓延だ。米大統領選でフェイクニュースが飛び交い、メディアの世論調査が多くの人々の混乱を招いた、
・私が参与に就任することになって財務省は大騒ぎしているそうだが、菅総理はそんな官僚が反発するような人間もいとわず任命する胆力がある人だ。筆者は菅氏が総務副大臣のころから仕事をサポートし、見てきたが、菅氏は、右から左まで、いろんな意見を聞いて決断し行動に移す「仕事のできる人」だ。
<ファクト(数字)により浮かび上がるコロナショックの真実>
<GDP減少率は「戦後最悪」の大恐慌級>
・昨年10~12月期から今年4~6月期まで年率換算で30~40%の下落となるので、この意味で戦前の大恐慌とほぼ同じ程度の経済苦境になるだろう。
<消滅した需要サイド>
・そうなると、この経済活動の落ち込みをカバーする経済対策は、政府が落ち込んだGDPと同程度の有効需要を広範につくるためには、公共事業などの政府支出より、減税、社会保険料減免、給付金のようなものが適切だ。
<このままでは失業率は大幅上昇>
<●筆者の予測は的中したが……GDPは戦後最悪へ>
・2020年4~6月期のGDPの1次速報値は、8月17日に発表された。前期比7.8%減で、年率換算で27.8%減、戦後最大の落ち込みだった。
・筆者は、かなり以前から4~6月期は25%程度の減少となると予測していたので、この数字は想定内だった。
<●日本は3期連続マイナス>
・海外を見ると、4~6月実質のGDPは米国の年率32.9%減少、同じくユーロ圏が40.3%減だった。これだけみると日本の27.8%減はましなように思えるが、実は、日本のGDPのマイナスは3期連続であり、これは他国にはないことだ。
<●日本経済は「逆ルート字回復」へ?>
・しかし、底を打った後の「V字回復」は望み薄で、「逆ルート字回復」なら、当分良い景気になるとは言い難い。その意味で、一般人の感覚とはだいぶズレているといえよう。
<●世界と比べると日本はまだまし>
・日本の経済成長率の落ち込みが欧米諸国と比べて小さくなっているのは、詳しくは後述するが、「真水」に相当する財政出動・減税措置の対GDP比を見ると、日本は11.3%と米国に次いで2位と高い。だから、この程度で済んでいるのだ。
<●GDP成長率が下がれば失業率は悪化する>
・GDP成長率をなぜこれほどうるさく言うかというと、GDP成長率と失業率の間には、オークンの法則という経験則があるからだ。失業は、景気悪化の結果として起こるが、景気がV字回復になるのがわかっていれば、失業はかなり抑えられる。
<新型コロナ以前に、「マイナス成長」に陥っていた日本経済>
・新型コロナウイルスの感染拡大、そしてその対応から経済が大きな打撃を受けているが、実は日本はそれ以前からマイナス成長へと陥っていた。それは2019年10月の消費増税によるものだった。
・こうしてみると、GDPを大きく低下させた原因は、リーマンショック、消費増税、東日本大震災だったが、このうちリーマンショックと東日本大震災は外的要因であり、不可避であった。
しかし、消費増税は政治判断の結果であり、避けようと思えばできたはずだ。国の財政状況は財政再建が必要なほど悪い、という間違った状況認識のもとで、間違った消費増税が行われ、予想通りにGDPが失われたことになる。
<●消費増税ショックのあとに来た「新型コロナショック」>
・2期連続マイナス成長なら『景気後退』という判断になるので、そうなれば国会でも補正予算、追加金融緩和も必要との議論になっていくだろう。いずれにしても、昨年の消費増税は最悪のタイミングだった。
<安倍政権の景気拡大が戦後最長とならずほっとした人たち>
・政府は、消費増税による景気後退を認めたくないから、2014年3月の「山」と16年の5月の「谷」をなかったことにしているように思える。
<リーマンショックを上回る「昭和恐慌」に学ぶ、コロナ対策>
<●消費税減税を視野に入れよ>
・まさに、日本も世界もリーマンショック級の事態になっている。この未曽有の危機は、当然、消費税減税を行う立派な大義名分になる。消費税よりも国民の命と経済を優先すべきである。
<●コロナショックを軽く見ていた野党、マスコミ>
・今回のコロナショックでは、観光業が打撃を受けるとともに、人の移動が制限され、それによる経済活動の停滞もある。
<緊急経済対策を評価するなら「真水」を見るべき>
<●「真水」でないと意味がない理由>
・経済対策には、大別すれば(1)公共事業、(2)減税・給付金、(3)融資・保証がある。「真水」とは、(1)のうち用地取得費(事業費の2割程度)を除いた部分、(2)は全額、(3)は含めないで、(1)(2)を合算したものを指すことが多い。
<経済において最も守るべきは「雇用」だ>
<●GDP下落は雇用の悪化に>
・こうした雇用の悪化は、もちろんGDPの下落と大いに関係がある(オークンの法則)。雇用の悪化を防ぐ意味でも、減少するGDPを補うほどの有効需要を経済対策でつくらなければいけない。
<●「真水」をシャビ―にする財務省のシナリオ>
・そうした中、コロナショックの経済対策に骨格がようやく出てきたが、その内容があまりに酷すぎる。
事業費60兆円というが、GDPに影響を与える「真水」ベースでは20兆円程度以下になってしまうことは、すでに述べた。しかし、対策の内容が明らかになるにつれて、はたして「真水20兆円」すら確保できるかどうか、心配になってきた。
<●現金給付を最速で行う方法がある>
・あとは、給付を最速で行う方法さえ考えればいい。
麻生政権時の定額給付金は地方事務であったために、給付に時間がかかった。最速の処理方法は政府小切手である。補正予算が通れば、2週間ほどで可能だ。
<●100兆円基金で即効性のある対策を>
・筆者の提言は「100兆円基金」である。100兆円あれば、かなりの経済ショックに対応できる有効需要をつくれる。これには予算総則の改正が必要であるが、そのとき同時に国債の日銀引受も可能にしておけば、財政問題はなくなる。一方、100兆円程度であれば、酷いインフレを心配することもない。
<様変わりする生活・雇用>
<景気回復まで何年かかる?>
<●失われたGDPは約48兆円>
・戦後の経済ショックの中でも、今回のコロナショックは最もひどく、戦後最悪のものだ。
・特効薬やワクチンが開発されれば、これらはなくなるので、景気はおのずと回復するだろう。しかし、それには少なくともあと半年を要する。場合によっては2~3年かもしれない。
<●経済回復には最低4年は必要>
・リーマンショック時にも、原因となった海外金融機関はすぐに整理されるなど原因は除去されたが、それでも回復に4年を要した。今回のコロナショックでは、企業への持続化給付金、全国民への特別定額給付金、雇用助成金の拡充などで失業や企業倒産回避の施策が行われているが、それでもリーマンショックを超える経済ショックとなった。
新型コロナの特効薬やワクチンの開発があと半年程度で成功したとしても、回復にはやはり4年程度を要するのではないか。
<●最低賃金より雇用確保へ>
・これまでの政府は、良好な雇用環境を反映し、最低賃金について19年度まで4年連続で3%以上の引き上げで、早期に全国平均で1000円を目指すとしていた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大による経済は著しく悪化し、賃金より雇用確保に軸足を移している。
<ウィズ・コロナによる構造変化で消費は減退>
<●消費の落ち込みは当面は続く>
・大きく落ち込んだのは、パック旅行費97.1%減、交通73.0%減、外食67.0%減、洋服58.9%減、理美容サービス41.9%減、保健医療サービス14.8%減など、それぞれ3月も減少していたが、4月になってその減少幅は拡大した。
<●コロナで変わった生活様式はもう元に戻らない>
・新型コロナウイルスは生活様式も変化させてしまった。「3密」回避やソーシャルディスタンスの確保により、消費の基本構造も一部は変わった。
<●東京財団のトンデモ提言>
・筆者はかねてより消費増税をすべきでないと述べてきたが、政府は「リーマンショック級の事態が起きなければ」という条件で消費増税に踏み切った。いまはコロナで実際に、リーマンショック級以上の経済ショックが起こっているのであるから、素直に考えれば、政府は消費減税をすべきである。
<●緊縮財政のドイツでさえ減税に踏み切った>
・そうした中で、ドイツで興味深いことが起こった。財務省はこれまで「緊縮財政のドイツを見習うべき」と言ってきたが、ドイツでさえ、2020年7~12月までの期間限定で、付加価値税税率を19%から16%へ引き下げる、つまり消費減税をするという。
<●財務省もかつて「正論」を言っていた>
・ちなみに、筆者が国会などに消費税の議論で呼ばれたときには、消費税を社会保障目的税としている国は日本以外にないことの他にも、日本の財政破綻確率は、日本政府の子会社(日本銀行)を含めた連結のバランスシートでみれば無視できるほどであり、ゆえに消費増税はすべきでないこと、また社会保障で問題なのは保険料がきちんと徴収されていないことであるから、歳入庁を設置する必要があることなどを申し上げてきた。
<●予備費10兆円をめぐる国会の茶番>
・筆者はテレビなので、あと3兆円国債を追加発行し予算を13兆円として、消費税を1年間限定で5%に減税するとか、社会保険料を減免にするとかの、具体的な政策項目を国会論戦すべきと主張していた。この程度の議論ができない国会はどうしようもない。
<●消費税減税は給付金支給より即効性がある>
・新型コロナ対策に即効性を持たせるために、10万円の一律給付があった。筆者は、即効性を求めるなら一律10万円を政府振出小切手で、年金定期便の住所に政府から送付するのが最速の方法だとしていた。
<●人命より財政健全化が大事な財務省とシンパたち>
・要するに、中央銀行を持たないドイツでは、減税するために財政黒字が必要かもしれないが、中央銀行を持つ日本では、通貨発行益を利用して一時的な減税が可能になるわけだ。財務省シンパの提言は、こうした基本的な理解ができていない。
<●国債の大半は返済の必要なし>
・ある意味で、国債の大半は「返済されない」といっても言いすぎではない。今でも、借換債を発行して、借り換えが行われているのが事実だ。
<●インフレを心配する必要はない>
・コロナショックで大きな需要(それに伴う供給)が失われたので、当面はインフレを心配する状況ではない。「政府と日銀の連合軍」は、インフレを心配する必要なしで協力できるはずだ。
<●浮き彫りになった行政の障害>
・中央省庁の場合、実際に動く手足がない場合もあり、それが実務を行う上で障害になる。経産省は特に地方組織がないので、具体的な実行が苦手だからだ。
<●明らかになった貧弱な社会インフラ>
・話はややそれるが、今回のコロナ禍では、各種政策を実施する際に必要な社会インフラの貧弱さを味わった。
<激変する世界で異常さを隠しきれなくなった中国>
<まったく信用できない ⁉ 中国のGDPをどう読むか>
<●コロナショックを契機に中国の実態を示す数字に近づいた?>
・2020年1~3月期のGDPの伸びがマイナスというのは1992年以来初めてというが、初めてまともな数字になったのではないか。昨年もGDPの伸び率がマイナスでもおかしくないが、コロナショックをきっかけに、やっと本来の数字に近づいたとも考えられる。
<2カ月半遅れの中国全人代で経済成長目標はなし>
<香港の自由を奪い自らの首を絞めた中国>
<●ついに見えた、中国政府「衣の下の鎧」>
・これまでも中国政府は、一国二制度は「香港固有のものではなく、すべて中央政府から与えられたものである」と公言してきたが、今回の香港国家安全維持法で、ついに衣の下から鎧が現れてしまった。
<●国際金融センター・香港の没落>
・香港から一国二制度を取ったら何が残るというのだろうか。その証拠に、政治的基盤が揺らぎ始めてから、香港経済はガタ落ちだ。
<●上海に香港の代替はできない>
・もちろん、香港の国債金融センターとしての魅力は、自由な金融取引ができなければ維持できない。もはや、金融センターとしての香港の将来はないだろう。
<●中国が国際金融センターを持てない理由>
・要するに、中国では自由な資本移動がないために、本格的な国際金融センターを擁することも不可能なのだ。
<●東京の復権につなげられるか>
・いずれにしても、香港の将来は明るいとはいえない。香港の企業、金融機関や人々は、これから中国に従うか、それとも香港から脱出するかの二択を迫られることになるだろう。香港の人口750万人のうち、半数程度は香港に居づらくなるだろう。
<「香港国家安全維持法」のヤバすぎる内容>
<●「犯人引き渡し条約」締結国で中国批判すれば日本人も危険>
・法律の適用範囲について、筆者も出演したTV番組「正義のミカタ」で、中国事情に詳しい石平氏がこう解説した。
「中国の体制批判をする自分(石平氏)が、フランスで同様のTV番組に出演すれば、中国に逮捕される可能性がある」と言うのだ。
<●国際常識に反する「域外適用」>
・「属地主義」だと、香港において外国人が罪を犯しても捕まってしまうのは理解できる。しかし、「域外適用」であれば、石平氏が話したように、外国人でも、フランスで「香港独立」と言ったら捕まってしまい、中国と犯罪人引渡し条約を結んでいるフランスから中国に連れて行かれてしまう恐れがある。
・実際、カナダは「香港との犯罪人引き渡し条約」を停止した。日本人でも、中国と同条約を締結している国に旅行しているとき、うかつに中国共産党批判をしたら逮捕となりかねないのだ。
<中国とまともに付き合うのは現界>
<●日本は欧米諸国と安保・経済の連携を>
<バイデン大統領で米中対立はどう変わるか>
<●民主党政権でも対中強硬路線継続の公算が強い>
<菅政権に引き継がれる安倍政権の功績>
<安倍政権が残した歴代最高の成果>
<●雇用確保で歴代最高の成果、菅政権は減税と改革を進めよ>
・金融政策では完全雇用に近い状態を実現できたので、インフレ目標2%を達成できなくてもよかった。財政政策では2度の消費増税が余計なことで、これがなければ、さらに雇用の確保を達成したはずだ。
<●「お花畑論」から日本を救った安倍政権>
・集団的自衛権については、筆者は様々なところで何回も取り上げているが、なにより、集団的自衛権により同盟関係を強化することは、戦争確率を減少させる。つまり、安全保障が強化されたのだ。
<●残された政治課題>
・一方、安倍政権でもできなかったことは当然ある。拉致問題は心残りだろう。北朝鮮の経済は、コロナが追い討ちとなってガタガタだ。もう少しすれば、北朝鮮からのシグナルがあるかもしれないところだったが、残念だった。
北方領土は、戦後70年間も解決していないのだから、いくら安倍首相でも完全解決に持ち込むのは非常に難しかったのではないか、と筆者は考えている。
<各国首脳が信頼した安倍首相の人脈を菅氏は活用せよ!>
・安倍首相を頼りにしていたのは先進国だけではない。イランに対して米国が強硬姿勢をとるとき、実は裏で安倍首相にイランとのパイプ役を頼んでいた。
<●中国には毅然かつしたたかに>
・日本としては、基本路線は西側民主主義国家として共産党独裁国家の中国をいさめつつ、時と場合により、必要ならば中国と西側民主主義国家の仲介もいとわない、「毅然たるも、したたかな国家外交」をすべきだろう。
<「アベノミクス」をいまだ理解せず、的外れな批判をするマスコミ>
<●「インフレ目標2%」の意味がわかっていない>
・要するに、完全雇用が達成できていれば、インフレ率が2%に達していなくても問題ではなく、それはむしろ喜ばしいことだ。
・アベノミクス、とりわけインフレ目標の意味について、完全雇用達成を目指しつつも金融政策をふかしすぎないための歯止めであり、その範囲内なら財政再建を意識する必要はないということを、いまだに日本のマスメディアが理解しないで、デタラメ記事を書いている。マスコミがきちんとアベノミクスを評価できていないのは情けない。
・朝日新聞は、これまで安倍政権を批判してきたが、世論調査(9月2、3日実施)では、「安倍政権を評価する」が71%となった。
<菅義偉首相の力量>
<●菅氏は調整役ではなく「仕事ができる人」>
・一言で言えば、「仕事のできる人」だ。ちなみに、「菅さん」は、仕事のできる人の常であるが、会話・電話・メールはすべてで簡潔、的確だ。
<●温めてきた構想を実現する仕事師>
・なにしろ、菅氏は「仕事師」なので、最善の方法をすぐ見つけられる人だ。筆者は、菅氏が首相になった場合には、拉致問題の進展を密かに期待している。
<菅内閣で既得権者との闘いが始まる>
<「菅政権誕生」を前に早くもうごめき出していた、マスコミと財務省の思惑>
<●早期解散総選挙が俎上に上がる裏で起きていたこと>
・ほかにも、衆議院解散はこれまで衆議院議員の任期が3年目に入る前に行われる例が多いことなど、理由はいくらでもある。
<●メディアが悪玉に仕立てる内閣人事局の真実>
・内閣人事局で官僚が忖度するようになったというのをマスコミは悪いことのように書くが、どんな企業でも幹部人事は各事業部ではなく本社中枢が行う。
<●ふるさと納税創設の経緯>
・ふるさと納税のアイディアは斬新だったが、類似制度がなく難渋。筆者は、納税者が地方自治体への寄付を行い、その寄付額を税額控除するものを菅氏に提示した。菅氏はこれをすぐに理解、法案化に取り掛かった。
<●総裁選前に財務省の暗躍が加速>
・ただし、財務省が人口減少と消費税を結びつけて消費増税をいうロジックも間違いだ。そもそも消費税を社会保障目的税としている国はない。医療保険などの社会保障では給付とリンクしている社会保険料は徴収しやすい。
マイナンバーとのリンクや歳入庁による保険料の確実な徴収などをしないまま、消費税にたよる日本の社会保障制度は先進国で唯一であり、極めていびつな形になっている。人口減少で行うべきは、消費増税ではなく、マイナンバーと歳入庁である。
<●次の総選挙で自民党が勝つには時限的消費税減税しかない>
・その場合、コロナ不況への対処と自民党が勝つためには、時限的な消費減税しか手がないと思う。
<バイデン「大統領就任」で、日本経済がピンチになるかもしれない理由>
<●米上院と下院の「ねじれ状態」はどうなる?>
・バイデン政権になっても、上院では共和党優勢、下院では民主党優勢という「ねじれ状態」は変わりない。伝統的に、民主党は「大きな政府」指向なので、トランプ政権と比べると、歳出圧力はやや大きくなるだろう。
<●「円高」がさらに加速する可能性>
・実際、為替市場では、かなり前からバイデンを取り込んできて、それが一つの理由になって、円高が徐々に進行している。
・であれば、日本に比べ、アメリカの金融政策はより「強い緩和」になると市場は予想している。つまり、ドルが相対的に円に比べて多くなり、相対的に多いものの価値は安くなるので、円高傾向になるわけだ。
<●3次補正予算の規模が重要>
・ということは、円高を止めるためには、コロナ対策により3次補正予算を国債発行にするしか、今のところ方法がない。
<●日本経済に迫る危機に備えよ>
・以上の考察は、バイデン政権になると、3次補正予算について。30兆~40兆円規模でないと、半年後の失業を招くとともに、さらなる円高を招き、さらに日本経済が苦境に陥ることを示唆している。
<電波利権をメディアから国民の手に取り戻せ>
<●2020年のノーベル経済学賞はオークション理論>
・2020年のノーベル賞で、日本人受賞者はいなかった。2015年10月12日に筆者はコラムで「日本のノーベル賞受賞者は10年後には激減する! データが示す『暗い未来』 研究への公的支援を根本的に見直せ」で不吉な予測をした。
<●先進国で電波オークションを導入していないのは日本だけ>
・というのは、先進国で電波オークションを導入していないのは日本だけだ。今では、インド、タイ、台湾、パキスタン、バングラデシュ等にも広がっている。表を見ると、日本人としてかなり恥ずかしくなるはずだ。
<●マスコミで報じられることはなかった>
・しかし、ようやく2019年に電波法改正で「価格競争の要素を含む新たな割当方式」が創設された。先進各国から20~30年以上遅れて、やっと電波オークションができる制度になった。
<菅政権肝煎りの「デジタル化」に抵抗する、霞が関の役人たち>
<●動き出した規制改革、行政改革の流れ>
・実は、e-Taxを社会保険料にも応用して、地方自治体を含めた各種補助金システムを包括すれば、歳入庁を超えた役所のワンストップ化が可能となって、窮極の縦割り行政打破にもつながってくる。
<●「縦割り行政」解消のチャンス>
・まず、デジタル化・オンライン化を進めると、担当部署のたらい回しに代表されるような省庁の縦割りはなくなるかもしれない。
<●税理士なしでも手続きできるe-Tax>
・e-Taxソフトは最新の税改正に織り込んでいて、古い知識の税理士より賢いので、税理士が不要になるのだ。
税務手続きに限らず、行政のデジタル化・オンライン化が進展すると、国民と役所の間に入って手数料をもらっていた人(〇〇士)はこれから中抜きされるかもしれない。
・筆者は役人時代から、すべての文書をデジタル化し、手のひらに載るようなPCに入れていた。今でも、筆者はスマホのみ、データはクラウドという行動スタイルだ。しかし、それはかつての役所では通用しなかった。
<●非デジタルに甘んじている役人>
・オンライン化で、誰にでもメリットを感じられるのが、運転免許更新のオンライン化だ。これは海外では当たり前だ。そもそも免許更新はデータのアップデートでしかない。
<●コロナ助成金でもハンコ、ハンコ>
・今回のコロナ対応で、各種補助金・助成金は、国と地方自治体のものがあり、多種多様だ。数はとても多いのだが、役所はあまり宣伝しないので雑誌で特集が組まれているほどだ。それらの申請書類をみるとハンコが必須で、書類に手書きし、それを持参するのが原則になっている。
<ようやく進んだ診療や授業の「オンライン化」>
<●医療や教育以外も積極導入を>
・一方、新型コロナウイルスの感染拡大を機に、診療や授業などのオンライン化がようやく実現されようとしている。
・筆者の身近でも思わぬことがあった。ニッポン放送のラジオ出演を自宅から「Skype」で行ったのだ。前々からラジオ局に提案していたものだが、今回のコロナショックによる緊急事態宣言によってようやく実現した。
<菅総理の「自助発言」をいたずれに批判する、野党とマスコミの勘違い>
<●期待が大きい菅総理>
・就任談話の中で、「我々が目指す社会像は『自助・共助・公助、そして絆』です」と書かれている。これに一部野党や一部マスコミが噛みついた。
枝野幸男代表は、「政治家が自助と言ってはいけない。政治の責任放棄だ」と、菅首相の「自助」を批判している。
<●自分の発言を忘れた野党>
・少し考えてみれば、自助は、古今東西、当然のことであることがわかる。それを菅首相が持ちだしたところ、批判するというのは、常識外れというか的外れだろう。
<●抽象的な議論は菅総理には向いていない>
・前述のTV番組では、某コメンテーターから、菅首相は新自由主義者だとか理念的な批判もあったので、筆者のほうから、思想信条よりも具体的な問題を解決する人だと言っておいた。
その問題解決の観点は庶民目線なので、ほとんどの人が納得するものだ。
<●教師側の実力がはっきり露呈するオンライン教育>
・免許証更新のオンライン化では、警察OBの天下りも絡んでくると、結構面倒なことになる。今の官僚制度では、本音では官僚にとって天下りの確保のほうが、運転免許更新者の利便をも上回るからだ。
<●庶民感覚で霞が関の旧弊打破を>
・いずれにしても、海外で行われている運転免許更新のオンライン化でも、日本でやろうとすると、天下りが大きく関係してくることになるだろう。天下りは、なかなか海外では珍しい慣行なので、先の菅政権の話に戻せば、「具体的な問題を解決する」という視点でも絡んでくる。
これが、運転免許の更新にかぎらず、一般に「規制改革」といわれるものでも、よく見られる構図である。天下りが絡んでいることが、日本で改革が難航する理由の一つであると筆者は思っている。庶民目線の菅首相が、この霞が関の旧弊を打破することを期待している。