『これから始まる中国の本当の悪夢』
習近平に迫る経済壊滅、政権分裂、国内大乱
<「パンツ経済」しか構築できなかった中国>
・(黄)これまでの中国経済の構造的な歪みとしては、過剰生産、それと同時に国内の過少消費ですね。過剰投資によって、不動産や株がバブル化してしまいました。
加えて、業績を上げるために無理な過剰生産を行ってきた。
・しかも、生産しても質がよくないので、売れない。中国人ですら、できることなら中国製品は買いたくないと思っています。日本での「爆買い」が象徴的ですが、中国人はブランド品のみならず、紙おむつさえ奪い合うように買っていくわけです。しかも、「爆買い」は転売目的です。
・商品の品質については、現在の中国では解決不可能です。基礎技術がないから、パクるしかない。地道な基礎研究を重ねるということはせずに、すべて海外の企業からパクったり、盗んだりしてきたというのが、改革開放のいわば「成果」であったわけですから、いまから基礎研究を始めて、製品開発力を磨くなどということができるはずがない。
・(石)1980年代、中国の主要輸出品は安物の靴下やパンツでしたが、現在でもわれわれは中国製のパンツを履いています。中国の輸出が数十年間でパンツから自動車に変わったかといえば、変わっていないのです。
結局、中国製品というのは、安い労働力が唯一の武器だったわけで、農村には労働力が余っているから、いくらでもかき集めて安い賃金で働かせてパンツをつくれば、中国企業は潤ったのです。いわば、「パンツ経済」ですね。
・このような労働集約型の産業だから、技術開発をする必要がなかった。逆に言えば、いっこうに「パンツ経済」から抜け出そうとしなかったのです。
しかし、労働者に安い賃金しか与えず、儲けは経営者に集中するという貧富の格差が拡大することで、長期的には国内消費が落ち込みます。結果的に、中国自身が製品をつくりながらも、国内の慢性的な内需不足に悩まされるようになりました。
2000年くらいまで、中国のGDPにおいて個人消費が占める割合は46%ありましたが、ここ数年は35%前後にまで落ち込んでいます(日本は60%程度)。経済が成長するに従って、中国経済のなかで国民が消費する割合はむしろ減っているのです。
・それでどうやって経済を成長させてきたかといえば、一つが輸出ですが、輸出を伸ばすためにはさらに賃金を安く抑える必要がある。それがまた、国内の消費不足を招くことになりました。
もう一つは、黄さんが言ったように、過剰投資です。国民が消費しないなら、政府が投資すればいいということで、公共投資によって道路や橋をつくって、需要を創出したわけです。それに伴い、セメントや鉄鋼など、いろいろな需要が増えます。
・こうして中国は、全土で“投資中毒”になってしまった。中央政府も地方政府も、公共投資や土地開発をバンバン行った。その資金を調達するためにお札を刷り、さらに投資を増やして経済成長を加速させていったのです。
そんな政策を長くやってきたことで、過剰生産が深刻化してしまった。人が住まないゴーストタウンが大量にできあがり、生産設備も全部が余るようになったのです。
<輸出では13億超の国民を養えない>
・(黄)内需も投資も限界となると、中国にとっては外需頼みになるしかない。だから、AIIBにしても、中国国内の過剰生産を海外でのインフラ建設に向ける狙いがあるわけですね。
とはいえ、通商国家の弱みは、相手国に買う力がなくなると経済危機に陥るということです。
<中国政府の経済対策は「やるやる詐欺」>
・(石)中国共産党としては、成長が止まってしまえば政権を維持できないことがわかっている。雇用を確保できなければ、全国で大暴動が起きて政権が吹っ飛ぶ。
だから、「経済改革をやる」とは宣言しても、本当にやれば中国経済はさらに悪化するから、結局は旧来のやり方を踏襲するわけです。いわば、“やるやる詐欺”みたいなものです。
とはいえ、経済改革をやるにしてもやらないにしても、経済崩壊が早まるか、少しは先延ばしになるくらいで、どっちみちもう持たないでしょう。
・(黄)結局、これまでもよく言われてきたように、8%以上の経済成長率がないと、完全雇用は不可能なのです。
いま、中国の毎年の大卒者は約700万人ですが、その3分の1が就職できないと言われています。
・こうした大卒者を含めて、年間約1500万人の新規雇用を吸収しないと社会が安定しないわけですが、中国政府は先の全人代で経済成長率の目標を7%前後でいいということで決定しています。
<次はシャドーバンキングの大爆発が起こる>
・(黄)土地バブルが弾けたことで、もともと高利のシャドーバンキングへの債務が返済不能となり、地方政府の破綻と、不良債権が拡大する可能性が高まったので、地方政府の救済策として、低利の地方債を発行して資金調達することを認めたわけです。
とはいえ、問題は何も解決していません。単に借金のつけ替えをしただけで、債務は解消されていないし、返済の落ち込みを防ぐために土地や不動産に流れ込む可能性も高い。そうして再び、不良債権の火種が拡大していく危険性があるでしょう。
地方政府のみならず、中央政府も巨額の債務を抱えています。
・(黄)中国のシャドーバンキングの規模について、イギリスの銀行大手バークレイズは、2014年時点で38兆8000億元(約621兆円)と推計していますが、誰も正確なことはわからない状態で、一種のブラックボックス化しています。正確な数字がつかめないので、いざ破綻したら、どこまで被害が広がるかまったくわからない。
・(石)しかし、こういうめちゃくちゃな状況は、もう最終局面だと思いますよ。株価の暴落は相変わらず繰り返されていますし、実体経済はさらに落ち込むでしょう。不動産市場の規模はどう考えても半減するだろうし、輸出も回復しない。
これまでの政府主導の投機・賭博経済、パンツ経済などなど、すべて終わらざるをえない。
<世界で次々と失敗している中国の対外投資>
<チャイナショックの世界的影響は?>
・(石)中国は経済的にも政治的にも外交的にも、世界から信頼されていないのは確実ですね。
問題なのは、中国経済の崩壊が進むことで世界経済にどれほど影響を与えるかということです。
私はおそらく限定的な影響しかないのではないかと思っています。もちろん、株式市場の大暴落や景気減速は、一時的にいろいろな影響を与えるでしょう。
・しかし、日本全体にとっては、それほど大した傷にはならない。というのも、中国からの生産設備の移転は進んでいるし、対中輸出も現在ではそれほど大きくないからです。
日本の対中投資を見ると、2014年で4割減、2015年も1~5月で9.4%減と、毎年減りつづけています。
一方、韓国などは悲惨な状況になるでしょう。この数年、完全に中国依存型の経済になっていますから。
・(黄)台湾の元大宝華総合経済研究所によると、対中輸出への依存度(対GDP比)が世界でもっとも高いのはマレーシアで19.18%。次に韓国が14%、シンガポールが10.73%と続くそうです。これに対して、日本は2.48%しかない。
・(石)ヨーロッパでは、おそらくドイツがもっとも影響を受けるでしょうね。ドイツは盛んに中国に投資していますし、メルケル首相は毎年、中国を訪問しています。日本には一度しか来ていませんが。
<賄賂をもらえない者は尊敬されない中国>
・(黄)だいたい、中国の場合は、賄賂をもらえないのは下っ端なんですよ。賄賂をもらえる人こそ、地位が高いと考えられている。
だから、賄賂がもらえない人は、誰も相手にしてくれないんです。
<今後問題になるのは日本国内の反日勢力>
・(黄)対中国について常に意識せざるをえない台湾では、こうした反中国の動きが高校生にまで広がっているのです。それに対して、日本では、安保法制に賛成する学生たちの動きというのは、ほとんどないですね。どうも台湾とは方向性が逆なんです。
<日本の外交は、まだまだ中国に対して甘すぎます>
・また、彼ら(中国人留学生)のほとんどが中国共産党幹部や軍部の子弟です。だから、もともと反日ですし、中国に帰れば反日的な言動を行うようになる。日本に留学した中国人が、人権活動家となって習近平政権を批判したり、反体制派になったりしたということは、まず聞いたことがありません。
だから、日本政府は、反日中国人を育てるために多額の国費を投じているわけです。こういうところから修正していく必要がある。
日本では反日日本人が、こうした反日中国人、反日韓国人と呼応して、盛んに日本の非を鳴らしている。むしろ問題は中国側というよりも、日本国内のほうにあると思うのです。
・(黄)また、日本国内の韓国人や左翼勢力とも連携して、歴史認識問題だけでなく、安全保障、原発、沖縄問題など、さまざまな点で日本を弱体化させるような方向への世論形成を目論んでいる。そういう点に、日本人はもっと警戒すべきです。
これまでの中国のやり方を見ても、中国は情報戦で相手を封じこめる事が多かった。口では「絶対不可分の領土」だとか。「沖縄解放、琉球回収」などと過激なことを言いますが、実際に直接的な行動に出ることはあまりない。
台湾に対しても、この70年近く、「血で台湾を洗う」などと激しい言葉で脅かしてきましたが、威嚇はあっても実際の武力行使はしてこなかった。やはり、それだけの実力がなかったということでしょう。
そのかわり、国際的なプロパガンダを盛んに仕掛けてきました。ロビー活動などで相手を取り込もうとする。
・もちろん、日本の保守派にも反米の人はいます。その理由もわかるのですが、現実問題として、やはり中国の脅威は見過ごせない。いま、アメリカと袂を分かつことに、何のメリットもありません。
それに、日本がアメリカと離れるならば、独自防衛を覚悟しなくてはなりません。核武装か、核以上の最終兵器の開発をすることも含めて、それだけの覚悟があるのか。対米従属である必要はありませんが、国益のためにアメリカをうまく利用するというしたたかさが必要ですね。
・(石)加えて、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の行方も重要です。日本でもアメリカでも、TPPについては賛成から反対までさまざまな意見があり、また、抱えている問題点も多いのは確かです。
しかし、安保法制で日米同盟が強化されると同時に、TPPが成立することにより日米中心の経済圏ができあがれば、日米の相互依存度はますます高まります。
・(黄)TPPについては、とにかく短期的に考えるのではなくて、100年単位くらいの長期で考えるべきでしょう。しかも、石平さんのおっしゃるように、TPPは単に経済の問題だけではありません。
<中国は本当に戦争をするか>
・(黄)加えて、中国が今後、本当に戦争に持ち込む可能性があるかどうか、という点についても、日本は検証する必要があるでしょうね。
ジョージ・ソロスは「中国の経済が崩壊して、第3次世界大戦が起こる」というようなことを言っています。はたして習近平は戦争をしようと思っているのか。あるいは、戦争をしたがる軍部が暴走する可能性もある。その点はどうですか。
・(石)習近平はいつでも戦争をやりたいというわけではありません。ただ、自分たちの戦略を達成するために、武力と戦争を、相手を恫喝する手段であると考えているのは確実です。そこが問題です。
・そういう意味では、かなり危険な部分がありますね。
中国の軍人については、いま戦争したいとは思えない。彼らにすれば、戦争で勝っても負けても賄賂を採れない。戦争などどうでもよくて、お金さえ儲かればいいと思っている。ただし、自分たちのところに膨大な予算が入ってくるために、あるいは体制内の自分たちの立場を強化するために、わざと好戦的な姿勢を示すことがあります。
『チャイナ・リスク爆発前夜』
黄文雄 海竜社 2011/8/16
<中国のカタストロフィーがやってくる日>
・中国は国が大きく、人口も多い。だからこそ政治経済的にも社会文化的にも矛盾がうずまく。20世紀に入ってから、ロシア帝国とオスマン・トルコ帝国、すべての植民地帝国、そして、ソ連社会主義帝国が崩壊したのはそのためである。
・人民共和国を見るかぎり、大躍進失敗後に数千万人が餓死、文革のように党、政府まで崩壊しても国家が生き残ったのは、民国や清帝国時代もそうだった。国家の破局や体制崩壊はきわめて多元的な原因によって起こる。戦乱や天災、疫病などの複合的中国型カタストロフィーが連鎖的に襲来するのが、よく見られる中国崩壊の歴史法則であった。
人民共和国が辿る歴史の宿命は崩壊である。その日は、複合的中国型カタストロフィーが襲来し、党人が民衆を管理する力が限界に達する日であろう。
<アメリカに対する中国の戦争恫喝>
・台湾に対する核や中性子爆弾や日本に対する核や水爆の恫喝発言は別として、核大国のアメリカに対しても核恫喝が今でも続いている。その中でも、軍長老の超震と朱成虎将軍の対米核恫喝が代表的だ。超将軍によれば、中国は7回もアメリカを消滅できる核を持っている。その半分ぐらい使用すればアメリカも目が覚める、と核による「訓戒」と「懲罰」の用意があると警告したのだ。
・「アメリカが台湾との紛争に軍事介入するなら、中国はアメリカに対する核攻撃の用意がある」。
・「アメリカは数百の都市が破壊されることを覚悟するべきだ」
・「アメリカに対しては我が国が備蓄する核の10分の1で充分だ。台湾、日本、インド、東南アジアは人工密集の地域であり、人口削減のための核攻撃の主要目的となる」
・「我々の行く先を邪魔するアメリカを殲滅することが我が国の最大目標である」
・「我々は非常手段を使ってアメリカを殲滅し占領する。準備を着々と実行に移していく。もう一つの中国を建設することで中華民族は安泰だ。このアメリカを倒すには飛躍的に発展したバイオ技術を使って、化学兵器よりも生物兵器による大規模殺人が効果的だ」(元国防相 遅浩田)
・「改革開放の勝ち組として億万長者はほとんどが、「権貴」といわれる「特権貴族」で、ことに代表的なのは「太子党」といわれる党高級幹部の子女、家族、親戚である。ことに億万長者の8割以上が軍の高級幹部ともいわれる。ではなぜ中国人民解放軍の大幹部は、権貴資本主義中国の主役になったのだろうか。
・「解放軍と民間企業との決闘、乱闘が続出している」
『日本人は中国人・韓国人と根本的に違う』
<マスコミ>
<日・中・台のマスコミの特徴>
・(黄)台湾では日本とは違って、「マスコミは人を騙すもの」というのが、私も含めた台湾人一般の印象なんですね。中国語でいえば「都是騙人的」、つまり人をあざむき、人をたぶらかすもの、これがマスコミなんだというのが多くの人たちの感じ方だといっていいと思います。そしてもう一つ、マスコミは政府を代弁するもの、かつての「国民党政府の殺し屋」と同じだという印象が強くあります。
・台湾のマスコミは、政府を礼賛するような言論活動をやる。現政府を礼賛するのが、ジャーナリストの心得だと考えているところがある。ですから、読む者の側からすれば、そもそもマスコミというのは大衆の敵だという見方になります。
・私の見るところでは、本格的にマスコミを作れない、マスコミのパワーを利用できないというのが、台湾人の大きな弱点なんですね。
・(呉)韓国も日本と同じに同質性の強い国ですが、言論事情はまったく異なります。韓国の場合、対日とか対米とか、対外的な問題についての言論では、きわめて挙国一致が起きやすいんです。反対意見をいおうものなら、愛国心がない、売国奴だとすら非難されるので、多くの人が口を閉ざして自分の意見を語ろうとしないという事情があります。韓国の民族主義は、身内正義の民族主義です。ですから外国の見方をする者は、不正義となってしまう。そういう身勝手な愛国主義・民族主義が、実際的に自由な言論を抑圧しているんです。
・(石)台湾や韓国とは違って、中国の言論は自由以前の問題なんですね。そもそも中国には正しい意味でのマスコミがないんです。ようするに、マスとしての大衆のコミュニケーション手段というものがないんです。
・中国のマスコミは政府の宣伝道具にすぎません。中国には新聞もテレビもラジオもありますが、すべてが中国共産党の宣伝道具なんですね。ですから中国の報道機関は、正しい意味でマスコミと呼ぶわけにはいきません。中国は自ら「宣伝戦線」といっています。新聞もテレビもラジオも、中国共産党の公式見解を発表する場で、けっしてマスコミではありません。
・戦線というのは、中国共産党にとっての戦いの第一線を意味しますから、彼らにはテレビも新聞もラジオも、中国共産党のために働くことがその役割なんです。「宣伝戦線」というのは、別に誰かが共産党を攻撃していっているんじゃなくて、自分たちでいっていることです。つまり、中国の新聞やテレビをすべて統括する一番のボスが共産党の宣伝部という機関なのだと、自らいっているわけです。
<台湾の政治記事で本当のことは1パーセントしかない>
・(黄)それで、今の台湾のマスメディアの80パーセントが中国資本なんですよ、そのため、マスメディアでの言論は中国寄りでなければやれなくなってしまう。台湾の言論界が中国を美化するのはそのためです。台湾のマスメディアでは朝から晩まで、中国の将来性がどれほど明るいかという報道をやっています。暗いなんて話はまるで出てきません。
ですから、台湾のメディアを実質的に支配しているのは、中国の宣伝部なんです。
<中・韓・台マスコミのいうことはどこまで信じられるか>
・(石)黄さんもいわれたように、中国で歴史的に作り上げられた世界観がいったん身に付いたら、そこからなかなか脱することができません。中国人がよくいいますよ、「自分は政府のいうことを信じない、『人民日報』を信じない」と。でもね、案外、信じてるんですよ。
<お笑い番組が氾濫する日本のテレビを批判する>
・(黄)日本のテレビに対していいたいことはたくさんありますが、一つには、ほとんどがお笑い番組なのはどういうわけだということです。適度な笑いは健康にいいわけですが、これだけお笑い番組が多いというのは、どう見ても異常ですよ。こんなことばっかりやっていていいのかと、私はとても心配してるんです。
・(呉)たしかに最近はお笑い番組だらけで、どこもかしこも似たようなものばかりで個性がないですね。いくらかは見ますが、大部分は
見ないですよ。いいのもあるのかもしれませんが、探してまで見る気にはなりませんね。
<金銭をもらって記事を書く中国・韓国のマスコミ>
・(石)それで、次には、党から与えられた記事を書ける権限を自分の利権にするんです。おたくの企業を取り上げてあげますよとなれば、企業にはいい広告になりますから喜んでお金を払います。『人民日報』の記者だろうが、中央テレビ局の報道マンだろうが、そうやってお金を稼いでいる者は多いんですよ。『人民日報』や中央テレビ局は、中国共産党の宣伝の道具として、全国的な独占権を与えられた典型的なジャーナリズムです。それだけに、記事や報道の影響力には多大なものがあります。
『中国 日本包囲網』
黄文雄 2007/1/16 海竜社
<戦争がなければ国として成り立たない中国>
・中国は戦争をしていなければ、国として存在し続けることができない国である。戦争があってこそ、この国が保てるのである。なぜなら、中国の国家原理は侵略と戦争だからだ。それは歴史が如実に証明している。
・中華人民共和国が樹立されてから今日に至るまで対外戦争を繰り返しながら現在の国家体制を維持してきた。たとえば、朝鮮戦争から中印戦争、中ソ戦争、中越戦争など、中国は17回以上にわたる対外挑発をすることで、国家としての体裁を保ってきたのである。
<中国の国家原理は徳ではなく武力>
<中国の平和的台頭は不可能である>
<北朝鮮の核は中国にとっても切り札となる>
<アジアの安定のためにも強い日本が必要>
・憲法改正と核武装は、本来ならば、日本が選ぶべき賢明な道であるが、実際にそれが実現されるまでには時間がかかり、まず何よりも、日本の国内外をめぐる国際環境の変化がなければ、実現も難しいだろう。しかし、日米同盟以上に選ぶべき道は、憲法改正と核武装であると私は、考える。
<軍事力、武力に頼るのではなく、道徳に頼ることは、まったく意味不明の愚かな外交主張と見なければならない>
・現実に中国がどんどん軍事拡張し、周辺諸国も脅威を感じて軍事的対峙が続いている、冷戦が続いている。
<核拡散の阻止は不可能>
<核アレルギー、戦争アレルギーの日本人の猛反対>
・世界で唯一の核被爆国だから、日本は核を作ってはいけない、持ってはいけない。これがこれまで一般に言われてきたことだ。だが実際は逆で、世界の常識から考えれば、世界唯一の被爆国だからこそ、再度の核攻撃から守るためには、核を持つ権利がある。核兵器保有の資格がある。
・唯一の被爆国で核の恐ろしさを身をもって知っているからこそ、核を持つべき時が来たら核を持つべきなのである。
・日本包囲網に迫られ追いつめられてきた日本は何を選択するべきかと言えば、ベストはもちろん憲法改正と核武装だ。目下はそれが無理だから、次善の策として日米同盟の強化が必須なのである。
『絶望の大国、中国の真実』
日本人は中国人のことを何も分かっていない!
宮崎正弘 + 石平 ワック 2009/5/8
宮崎;結局、中国の政治と言うのは党の細胞があるだけであって、行政がないからなんです。あるのは党と軍なんです。
石;みんな中国政府、中国政府という。あれがほんとに政府であるとは思えない。政府は全部党の出張機関みたいな有様です。
宮崎;このように行政っていうのは飾りなんですね。国務院っていうのは、中国における政府で、国務院総理というのは日本でいう総理大臣ですが、温家宝よりも偉い人が山盛りいて、じゃあ、温家宝は中央の権力の中でいったい何番目なんだと、こういうことですよね。行政より党細胞が優先するという話です。
石;大学でもそうです。大学でいちばん偉いのは学長先生ですが、いちばん偉いのは共産党の細胞。
石;要するに党がすべての利権を手にいれている。すべて利権を手に入れてみんないっせいに汚職する。しかも党の幹部自体も汚職で生まれたポストですから。完全にすべての利権を掌握してすべての利権でカネを手に入れて、それを自分たちのフトコロに入れる。もう汚職専門集団そのものですよ。
<ビル・ゲイツが中国人にとってのヒーロー>
<ネットは革命前夜の雰囲気>
石;さっき、大学生の就職難の話が出ましたけれど、北京の公共浴場、つまりお風呂屋さんが三助を募集したんです。そしたらなんと五千人の大学生が応募してきた。こうした事態にまで発展してきたらそれこそほんとに暴動が起こってきます。もう絶体絶命の状況です。
石;そのために唯一の道はみんな公務員を目指す。公務員試験は今年でいうと百万人の卒業生が受ける。競争率は73倍。女の子は大学卒業前に結婚しちゃう。
宮崎;日本人が誤解していた中国という国家像が、じつは実体は党細胞が中心で行政っていうのは飾りにすぎなかったということなんですが、国はいまだに共産主義を謳っている。実体を動かしている共産党は、共産主義をもはやまったく信じていなくて資本主義のカタマリでしょ。人民はどうかといったら、人民は自己中心主義で、もうカネ以外にあんまり興味がない。教養主義もすたれた。
『ならずものの国家 中国の本性』 蹂躙されたチベット
ペマ・ギャルポ 石平 ワック 2008/8
<参議院の三割は元官僚がいい>
・私は、日本を良くするため、参議院は議員数を半減し、教育、防衛、外交に関してはもっと責任と権限を与え、外務大臣と文部科学大臣は参議院から任命し、その任期は総理大臣と同じにするべきだと思う。
・世界の他の国々、例えば、日本の13倍以上の人口を有する中国において通常の常識に基づく健全な民主制度は存在しないが、一応、日本の国会に相当するのは全国人民代表大会の常務委員会であり、そのメンバーは現段階で197人である。また日本の7倍以上の人々を有する世界最大の民主主義国家インドでは、上院が241人、下院が543人で日本とほぼ同数である。これから見ても、日本の国会議員の数がいかに多いかということがわかる。
・また参議院は良識の府として衆議院とチェックアンドバランスを考慮し、経験豊かな人であることが必要である。そのため立候補の資格年齢を5歳引き上げる。
・私個人的には3割ぐらいは元官僚が占めても良いのではないかと思う。
・供託金制度や選挙制度に関しても見直す必要がある。面白半分で徒に立候補するのは困るが、今の制度では資金の無い人は組合や宗教団体に身売りしなければ、どんな素晴らしい理想を持ち、経験を積み清らかな動機を持っていても国民にその考えすら、十分に伝えられない仕組みになっている。
『自壊する中国 反撃する日本』
日米中激突時代始まる!
石平 古森義久 ビジネス社 2014/8/1
<議会内で機能する「中国に関する議会・政府委員会」>
・(古森)ただし、オバマ政権の姿勢とは別に、アメリカの立法府である議会にはさまざまな形で中国の言動をウォッチし、勧告をしていく制度的なメカニズムができ上がっている。
たとえばアメリカ議会では、常に各種の関連委員会によって中国の動きや中国関連問題を検討する公聴会が開かれ、提言がなされている。激しい非難も表明される。なかでも代表的なのは、「中国に関する議会・政府委員会」の存在だ。議会を舞台としながら、行政、立法と二つの府が合同で中国問題を論じる組織である。政府高官とともに、議会側からは議員の他、中国に詳しい専門家たちが参加し、中国社会における人権にかかわる案件をテ―マに、いわば中国の闇の部分、恥部にまで深々と切り込んでいく。
・もう一つ、米中の経済関係がアメリカの国家安全保障に与える影響について調査、討論し、議会や政府に対し政策上の勧告をする超党派機関の「米中経済安保調査委員会」という組織がある。この組織もきわめて活発であり、中国の軍拡がアメリカにどんな意味を持つかなどという大きな課題にも積極的に取り組んでいる。
<パンダ・ハガーとドラゴン・スレイヤー>
・東西冷戦時代には、アメリカの学界でももっとも優秀とされるベスト&ブライテストの人材は、みなソ連の軍事力の研究に集中していた。そうした優れた人材が、いまでは中国軍事研究にシフトしてきた。中国の軍事動向の把握は、いまのアメリカにとって非常に重要となったのだ。
・ところがここ数年、中国の軍拡はどう見ても台湾有事への対応という範囲を超えているという状況となってきた。だから、中国の軍拡をあくまで台湾有事限定と見なす研究者たちの主張は楽観論とされ、その種の人たちは中国に甘すぎるとして「パンダ・ハガー」と呼ばれるようになった。パンダを抱擁する人、という意味だ。
その逆に中国の軍事脅威を大げさに語る人たちも、もちろん存在する。
「いや、中国は確実にわれわれを攻めてくるぞ。気をつけろ」
こんな中国脅威論を強調する人たちは、パンダ・ハガーとは逆に「ドラゴン・スレイヤー」と、冗談半分に呼ばれるようになった。ドラゴン(龍)を殺す人という意味だ。
最近のワシントンの中国軍事動向の研究者たちの間では、パンダ・ハガーはもうすっかり後退を強いられ、ドラゴン・スレイヤーが圧倒的な主流となってしまった。
<GDPの35%しかない国内消費>
(石平)あまりにも一部の人に金が集中すると、その人たちは国内で消費しない。みな欧米や日本で不動産を買う。その代わり、中国の金が海外に行ってしまう。
一方、大半の国民は中国の国内で消費しようとしても、それほど金がない。それはGDPに対する個人消費を示す「個人消費率」という数字に如実に表れてくる。
たとえば、日本の個人消費率は毎年GDPの約6割を占めており、最大の需要となっている。日本経済の6割は国民が消費需要として支えており、そういう意味では日本経済は実に健全だ。
さらに優秀なのはアメリカで実に70%。それでは中国ではどのくらいの個人消費率になるのか。なんと35%しかないのである。
<人民元を刷り続けることができた理由>
・では、こうした投資資金の出所はどこか。中央政府が人民元をじゃんじゃん刷った。そして、中国が20年間も毎年2桁近い経済成長を続けてこられた最大の要因は、土地ビジネスの成功であった。
<終わりを告げた中国の経済成長戦略モデル>
・昨年末に中国国内で流通していた人民元は109兆元にも上った。この109兆元がどういうレベルかというと、昨年の中国のGDPが52兆元だから、その二倍強となる。ドルに換算すれば、アメリカ国内で流通しているドル総額の1.5倍になる。
大幅な過剰流動性になると何が起きるのか。当然、国内では人民元の価値が下落する。逆に言えば、モノの価値が上がる。物価上昇、インフレとなる。その契機となったのがリーマン・ショック直後の政府の経済対策だったということになる。
・また、金融引き締めは公共投資も減少させた。これだけの副作用をもたらした挙句、個人消費も冷え込んだままだ。
おまけにここにきて、中国経済をずっと牽引してきた輸出に急ブレーキがかかった。
2010年までの対外輸出の伸びは毎年25%以上だったが、昨年は7.9%まで落ち込んだ。さらに衝撃が襲う。今年の第1・4半期はついにマイナス6.4%まで落ち込んだのである。
輸出が完全に止まった。国内投資も止まった。中小企業は壊滅状態。国有企業は国有銀行頼みで、競争力がまったくない。国内の人件費の高騰で、外資企業の中国離れが加速している。中国の経済成長の戦略モデルは完全に終わったのである。
<シャドーバンキングが生まれた背景>
<踏み倒されるシャドーバンキング>
・高金利で借りたお金を返済できなくなるリスクはきわめて高い。返済不能となった中小企業はどうするのか。逃げるのだ。
<すでに始まっている不動産バブル崩壊>
<5月連休中の契約件数は昨年比で80%減という現実>
<10年間も続く大学生の就職氷河期>
(石平)不動産バブル崩壊、中産階級全滅、経済成長戦略モデルの終焉というダメージを一度にまとめて背負う運命の中国だが、経済成長を続けているときにもおかしなことが起きていた。
その1つに挙げたいのが、この10年間続いている大学生の就職氷河期である。昨年大学を卒業したのが699万人で、政府が認めただけでも約200万人、約3割が就職できなかった。けれども、自国に有利となる数字は水増しし、不利を招く数字については控えめに発表するのが中国当局の“常”であることから、就職待機組の数字は実際にはもっと多いはずである。
・就職にあぶれた元大学生は、中国国内にいったい何千万人いるのだろうか。都会の劣悪な住環境のなかで生活を続ける「蟻族」や「鼠族」に甘んじる大卒失業者たちに不満や鬱憤が留まらぬはずはない。
<2億6000万人に達した国内流動人口>
(石平)仕事にあぶれているのは大学生だけではない。かつては「盲流」と呼ばれ、農村から都市部に出稼ぎにやってくる「農民工」の流動人口が、凄まじく膨れ上がっているのである。
農民工の多くは、農村にも生活基盤を持たない20代、30代の人々。実は彼らのマンパワーが、これまで中国の高度成長の原動力となってきた。農民工の大量かつ安い労働力が農村から出たからこそ、輸出産業は発達できた。また、不動産投資や公共事業投資が盛んであったときには、農民工の多くは建設現場の労働力としての役目を果たしてきた。
<経済統制を実施するための“限定的”な戦争状態>
・おそらく彼らに残された最後の有効手段の一つは、対外的な強硬政策を推し進めることによって、国民の目を外に向かわせることであろう。
どうにも切羽詰まったら、習近平は“限定的”な戦争状態をつくることにより、物価統制をはじめとする国内の経済統制をおこなうことも視野に入れているはずだ。経済危機に陥った場合、経済統制を実施するのがいちばん手っ取り早い。
<善意がまったく通じない国が日本の隣にあるという事実>
(古森)石平さんが理解に苦しむというのも無理はない。日本の対外活動のパターンには、国際的に見て不可解な部分が少なくない。そうした日本的な特殊な言動というのも突き詰めれば、その原因は結局は日本の憲法にぶつかる。
<10年間に合計1兆ドルの国防費を削るアメリカに対する疑念>
<日本に核を撃ち込むことに何の抵抗感も持たない中国人>
・(石平)私が危機感を募らせている理由は、最近、中国のインターネットで中国国防大学の張召忠教授(海軍少将)の論文を目にしたからだ。論文のタイトルは、ずばり「中国が一瞬にして日本を全滅させることはもはや空論ではない」という凄まじいもの。
日本では中国の理不尽で勝手な振る舞いがどんなに目に余ろうと、「中国を全滅させるために日本はどうすべきだ」というようなテーマで話し合ったりはしない。
しかし、中国は違う。「日本を全滅させるためにはどうすべきか」をテーマに軍人レベルは当然のこと、学者レベル、一般人レベルでも日常茶飯に堂々と語り合われているのである。
・日本人が理解しなければならないのは、中国の指導部にしてもエリートにしても、あるいは一般の多くの国民にしても、日本にミサイルを撃ち込むということに対して、何の抵抗感も違和感も持たない。要するに、内なる抑制力がないわけである。
・中国人エリートは、日本にミサイルを撃ち込むことはむしろ当然だと思っているし、仮に核兵器を日本に撃ち込んだとしても、中国国内では反対論はほとんど出ないはずだ。中国が本気で核兵器を日本に撃ち込む気ならば、2ヵ月間、南京大虐殺の映画を中国全土で上映すれば、すべての中国人は納得する。
・先刻の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われわれの安全と生存を保持しようと決意した」とする憲法前文に戻るけれど、中国にそれを期待するほうが間違っているということだ。
繰り返すが、核兵器を日本に撃ち込んだとしても、中国人には何の心理的抵抗感も違和感もないということを、いい加減日本人はわかったほうがいい。