日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

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中国は高所得国への移行を目指しているが、部分的な民主化すらせずに、その移行を成し遂げた専制国家は存在しない。(1)

 

 

『通貨の未来 円・ドル・元』

英『エコノミスト』編集部  文藝春秋  2016/4/15

 

 

 

人民元の国際化>

人民元の国際化に乗り出して5年。中国は目標達成に向けて、目覚ましい前進を遂げてきた。中国の国際貿易のうち人民元で決済される割合は、2009年にはゼロだったが、2014年には22%まで上昇した。本稿執筆時点で、人民元は世界の決済通貨で第5位に位置している。

 しかし、人民元がドルに肩を並べたとは、まだお世辞にも言えない。約50ヵ国の中央銀行が準備通貨に人民元を含めているが、保有額は少額だ。中国の株式や債券の外国人保有高は2000億ドル相当だが、アメリカの場合、その金額は80倍の16兆ドルに上っている。要するに、人民元はいまのところ、グローバルな舞台では脇役でしかない。しかし、20世紀はじめには、ドルもそのような存在だった。

 

人民元基軸通貨になれるか? まとめ

基軸通貨がポンドからドルへ変わったときは、どちらも一定のレートで金と交換ができたので、交代のリスクはさほど大きくはなかった。だが、通貨の価値が金によって裏付けられていない今日、基軸通貨の転換が起きたら、需要と供給のバランスによっては、通貨が暴落する可能性もある。

 

・中国政府は、人民元の国際化を「平和的なもの」と位置づけようとしている。だが、専制体制によって統治され、経済に対して国家主義的なアプローチを採っている中国が、アメリカにとって潜在的な敵であることは否定できない。

 

・今日の世界で、国境を超える取引の約45%はドル建てでおこなわれている。そのため、国際業務に携わる金融機関は、決済や現金管理のためにアメリカの金融システムにアクセスする必要がある。この仕組みが、アメリカが経済制裁を実行する力の源になっている。しかし、人民元基軸通貨になれば、アメリカによる経済制裁は無力化し、その主導権は中国に移る。

 

・アメリカは、基軸通貨の発行国であることで、国家・企業ともに資金を調達することが容易になり、また自国通貨で借り入れができるため、通貨危機の引き金となりがちな「通貨のミスマッチ」が起きることもない。これらをすべて合わせると、アメリカはドルが基軸通貨であることで年間1000億ドルの恩恵を得ている。人民元がドルに肩を並べると、アメリカは中国にこの恩恵を奪われはじめる。

 

中国は、人民元基軸通貨にしようとするならば、市場を全面開放したり、法の支配を確立させたりする必要がある。それが実現するかどうかは、中国政府がどのような政策を選ぶか次第である。

 

・中国の国際貿易のうち人民元で決済される場合は、2009年にはゼロだったが、2014年には22%まで上昇した。現在、人民元は世界の決済通貨で第5位だ。

 

・だが、人民元とドルとの差はまだまだ大きい。中国の株式や債券の外国人保有高は2000億ドル相当だが、アメリカの場合はその80倍の16兆ドルだ。人民元は、いまのところ、グローバルな舞台では脇役でしかないが、20世紀はじめには、ドルもまたそういう存在だった。

 

市場全面開放と言うトレードオフ  まとめ>

香港の独自通貨は、30年以上にわたって為替レートが米ドルに固定されている香港ドル。香港市場の株式は、世界のマーケットから隔離され、厳しく制限されている上海市場とは異なる価格で取引されるケースが多い。

 

中国経済は、開放的な面と閉鎖的な面を併せ待つ、ちぐはぐな状態になっている。また、中国本土の消費者はBMWの自動車やグッチのハンドバッグを買うことはできるが、それらの会社の株式を買うことは許されていない。

 

すでに、中国の非常に厳重な規制の隙間をすり抜けて、巨額の資金が国外に流出し、マンハッタンの不動産市場やスイスの債券市場に投資されている

 

中国は人民元の使用を促進するための仕組みを築いたのはいいが、それは自動車の走っていない10車線の高速道路のように閑散としている。

 

AIIBは、中国が議決権の26%を握り、総裁の任免や加盟国の除名などにおける、あらゆる拒否権をもっている。ただ、その仕組みは、アメリカがIMF世界銀行で拒否権をもっているのを手本にしただけである。

 

・2014年に発行された国際債のうち、人民元建ては1.4%にとどまる。

 

・中国本土外のオフショア人民元の規模は4000億円ドル相当。その多くがアジアに集中しているが、香港とシンガポールにおいても、オフショア人民元の規模は、オフショアドルの4分の1どまりで、この差は過去2年間ほとんど変わっていない。ただ、オフショア人民元の世界には、「最後の貸し手」が存在する。中国人民銀行が外国中央銀行に巨額の通貨スワップ枠を提供しているからだ。

 

・中国指導部には、市場の自由化を果たして世界における中国の地位をもっと高めたいとの野心がある一方で、それによって大量の資本移動が起きることへの強い恐怖心ももっている。現在、中国は貿易と直接投資の超大国に、金融と通貨のミドルパワーに向けて歩んでいる。こうした控えめな野望をもつことは、中国にとっては得策かもしれないが、それでは世界の金融・通貨システムの問題は未解決のままだ。

 

<2016年の元安の意味を考える>

・2016年、新年早々に世界を襲った同時株安、その原因は、中国が抱える「3つの問題」にあった。この8年間で10兆ドルもの債務を積み上げた中国企業は、加速する元安に怯えている。中国発のデフレが世界を襲おうとしている。

 

2016年の元安の意味を考える まとめ>

・2016年最初の2週間で、世界の株価は7.1%下落した。この原因は、中国が抱える次の3つの問題への、世界の不安の高まりにある。

  • 減速しつつある経済。
  • 半固定相場制の為替制度。
  • 抜け道の多い資本移動の規制。

 

 

人民元の正式な為替レートと、オフショア市場のレートが乖離し続けている状況を見た投資家たちは、中国政府がさらなる元安を容認すると予測している。問題は、元安が予想されると、ますます人民元の信認がそこなわれることだ。また、元安が急激に進めば、この8年間で10兆ドルの債務を積み上げてきた中国企業は、破綻の危機に晒され、世界にもデフレ圧力がもたらされるだろう。

 

中国は、市場経済と国家統制経済の間の危険な中間領域にはまりこんでいる。

 

習近平のジレンマ>

民主化を達成せずに高所得国へ移行した国はない。このドグマに公然と挑戦するのが、習近平だ。習のとなえる「中国モデル2.0」は、ナショナリズムに力点をおく改革だ。が、経済の国際化による新貧民層の誕生と、成長の鈍化による中流層の不満が、不吉な影となり習を悩ます。

 

習近平のジレンマ まとめ>

中国の株価指数は、2016年最初の2週間で15%も下落した中国経済メルトダウンするのではないかという不安が世界に広まっているが、2020年まで年平均6.5%の成長率を維持するという目標は、達成不可能な数字ではない。

 

問題なのは、これまで万能な存在で、市場をも自由に動かせるように思われていた中国政府が、その力を失いつつあるのではないか、と思われはじめたことにある。

 

・鄧小平以来、中国の経済モデルは、右肩上がりの経済を土台とした中国社会の急速な成長と、共産党内部の対立の沈静化を背景に成功をおさめてきた。しかも今日、それらの要素はどれも当てはまらず、中国はモデル転換を余儀なくされている

 

中国では急速な高齢化、不動産価格の高騰、新卒者の就職難、環境問題などが発生しており、国内の不満が高まっている共産党幹部も、その経済モデルは「安定を欠き、バランスを欠き、調整を欠き、究極的には持続可能性を欠いている」と言う。

 

・そこで習氏が掲げたのが「中国モデル2.0」だ。これは、経済の構造改革によって、市場に「決定的な役割」を狙わせようとする改革だ。その目的は、急激に増加した中流層の支持を、低成長時代においてもつなぎとめることにある。だが、このモデルはナショナリズムに大きく依存している。

 

習氏の反汚職キャンペーンは、中流層の支持を得ているものの、それによって官僚たちは臆病になり、改革実行のリスクを避けるようになっている。また、習氏は憲法の影響力の強化も主張しているものの、憲法に基づく統治の実現を訴えた週刊紙の記事を検閲で差し替えさせ、それに抗議した活動家を逮捕するなどしている。

 

中国は高所得国への移行を目指しているが、部分的な民主化すらせずに、その移行を成し遂げた専制国家は存在しない。

 

中流層の存在なくして中国が経済的に成功することはありえないが、これ以上経済成長が減速すれば、彼らの支持をつなぎとめることは難しくなる。2021年、中国共産党は創立100周年を迎える。この年に歓喜の祝典を迎えられるかどうかは、向こう数年間の中国の改革にかかっている。

 

<マイナス金利という実験 まとめ>

2016年~20年の間、日本経済の実質成長率は年平均1%、消費者物価上昇率は年平均1.1%にとどまるだろう。

 

自民党政権はしばらく盤石であり、アベノミクスは今後も日本政府の経済政策の大方針であり続ける。だが、アベノミクスが全面的な成功を収めることはないだろう

 

アベノミクスの第1の矢、金融政策は難しい状況にある。日銀は2016年1月、遂にマイナス金利の導入に踏み切った。それにより、金融機関がその資金を融資に回すことが期待されているが、その効果は薄いだろう。そもそも日本で融資が増えていないのは、融資資金の供給不足ではなく需要不足が原因だからだ。

 

日銀はすでに、2%の「物価安定目標」を3度にわたって延期している。これまでの苦戦ぶりを見るかぎり、日銀はいずれ軌道修正し、この目標を放棄するだろう。

 

一方、第2の矢の財政政策の状況も難しい。日本は景気刺激のための財政出動をしながら、同時に財政の再建もしなければならないからだ。景気の足腰が弱い状況では、政府は2017年の8%から10%への引き上げ以降、それ以上の消費税増税には踏み切らない可能性が高い。だがそうなると、日本の公的債務残高の対GDP比は先進国最悪の水準のままになり、2020年には246.5%に達する。

 

アベノミクスの成否は第3の矢の構造改革にかかっているだが、労働市場規制緩和や農業の活性化、企業統治の変革などは、利益団体や与党議員からの抵抗が強いため、日本経済に一大変革をもたらすほどの結果は得られないだろう。

 

TPPが輸出産業にもたらす恩恵は、2020年以降にならないとあらわれない。

 

2020年までに、日本の国民1人当たりのGDPは、アメリカと肩を並べる水準になるだろう。しかし、インフレ率と賃金上昇率は低いままであるため、経済の停滞感は拭えないだろう。

 

2017年には貿易収支が黒字化し、為替は円高に振れはじめる。そのため、2019年以降には、インフレは再び後退するだろう。

 

アベノミクスを採点する>

エコノミスト・インテリジェンス・ユニットは、2015年12月、日本の経済成長率と消費者物価上昇率の予測を大きく引き下げた。それはなぜなのか。

 

円は人民元に地位を奪われるのか?

・中国の人民元が台頭することは確実だ。しかし、円が主要国際通貨の一つとしての地位を失うと予測するのは、あまりにも悲観的すぎる。投資家にとっても、円は資産の安全な投資先であり続けるだろう。

 円の対ドル為替レートは、大筋では円安基調が続く可能性のほうが高そうだ。

 

中国政府は、為替の自由化と資本移動の規制緩和を引き続き推進する意向だが、道のりは平坦でない。中国政府はすでに、中国経済の減速と大幅な元安への懸念が高まるなかで、資本流出が加速していることを受けて、資本流出への規制を強化せざるをえなくなっている中国の人民元相場の不安定さ、資本市場の未成熟ぶり、そして、政府によるあからさまな株価の下支えを見るかぎり、人民元の国際化にはまだ多くの年数がかかりそうだ。したがって、少なくともあと5年~10年は、円が重要な国際通貨であり続ける。

 

<TPPとAIIBは、アジアにおける円と人民元の関係にどのような影響を及ぼすのか?>

つまり、TPPの影響が実際にあらわれるのは、早くても2020年になる。それでも、長期的には日本の経済と貿易に好ましい効果があるだろうTPPは、ゆくゆくは日本の経済的地位を強くし、さらには円の国際的地位も高める効果をもつと考えられる。

 

しかし本稿執筆時点で、AIIBは少なくとも差し当たり、ドル建てでしか融資をしない方針だという人民元建ての融資はおこなわないのだ。そのため、円と人民元の勢力争いに及ぼす影響はきわめて限定的にとどまる。AIIBがこのような方針を打ち出したことからも明らかなように、世界の国々がドルの使用を望むなかで人民元の国際化を推し進めることは難しいと、中国当局も考えているようだ。

 

2020年の東京五輪は、日本経済にどのような影響を与えるのか?

東京五輪は、2つの面で日本経済に影響を及ぼすだろう。1つは、消費者と企業の心理がよくなることだ。この効果は、五輪開催前の2年間にとくに強くあらわれるだろう。インフラ投資などにより建設業界が恩恵を受けることに加えて、五輪関連の製品やサービスへの需要も高まると予想される。

 もう1つは、好ましくないほうの影響だ。五輪閉幕後にも旺盛な投資と良好な企業心理が持続しなければ、経済にダメージが生じかねないのである。

 

円の未来に大きな影響を及ぼすアメリカ経済は、なぜ2019年に景気減速するのか

・それでも、世界経済には悪影響が及ぶ。なにしろアメリカは、大幅な輸入超過状態にあるグローバルな輸入大国だからだ。しかしその後、アメリカ経済はすぐに好転し、早期に成長を取り戻すだろう。2020年の経済成長率は2%以上を記録する見通しだ。

 

アベノミクスの成果は、どう評価すべきか?>

これまでのところ、全体として見ると、期待されたほどの効果を発揮していない。第1の矢である金融政策は、主として日本銀行量的緩和という形で実行されてきた。ところが、大規模な量的緩和の甲斐なく、デフレ傾向からの脱却という目的はまだ達成できていない。為替の円安基調は、輸出産業を後押しする効果があるが、輸入品は割高になる。輸入に大きく依存している日本経済にとっては、そのダメージも見過ごせない。

 

・第2の矢である財政政策は、政府債務を減らすと同時に、景気を刺激するという難しい課題に直面している。この「矢」がどの程度効果を発揮しているかについては、見方が大きくわかれている。いずれにせよ、誰もが認めるような成功とは言えないことは確かだ。

 

・同様に、第3の矢である成長戦略(構造改革)も、まだ的に命中していない。規制緩和に対する既得権益層の抵抗は根強く、安倍晋三首相はなかなか真の改革を実現できずにいる。

 

高齢化は、日本社会に短期と長期でどのような影響を及ぼすのか?

日本は、世界でも有数の高齢化社会だ。慢性的に出生率が低く、平均寿命が高い日本は、21世紀半ばまで、高齢化で世界の先頭を歩み続けるだろう。65歳以上の人が人口に占める割合は、現在すでに4分の1を突破している。この割合は、2050年までに36%前後まで上昇する見通しだ。

 

高齢化に加えて、日本は人口減少という試練も突きつけられている。日本の総人口は、2008年の約1億2800万人をピークに減少に転じているのだ。我々の予測によれば、2019年には1億2540万人、2030年には1億2010万人、2050年には1億740万人と、人口が減っていくとみられる。

 

これが経済に及ぼす影響はきわめて大きい。日本の生産年齢人口は1996年から減り続けており、その傾向は今後も続く。

 

アベノミクスを採点する まとめ>

人民元が台頭することは確実だが、円は今後も資産の安全な投資先であり続ける。少なくともあと5~10年は、円は重要な国際通貨としての地位を失うことはない

 

・TPPを運用するための仕組みづくりには、あと3~4年かかる可能性がある。そのため、TPPの影響が実際にあらわれるのは2020年以降になるだろう。それでも、ゆくゆくは日本の経済的地位を強くし、円の国際的地位も高める効果を持つ。

 

・AIIBがアジアにおける中国の影響力を高める可能性は高いが、現段階ではドル建てでしか融資をしない方針であるため、円と元の勢力争いに与える影響は小さい。

 

東京五輪による日本経済への好影響は、とくに開催前の2年間に強くあらわれる。だが、閉幕後には、その揺り戻しで景気が冷え込む危険性もある。

 

アベノミクスは、選挙で有権者の支持を獲得する効果はあったが、実際に経済に与えている効果は限定的で、当初の期待に応えられてはいない。

 

 

 

週刊東洋経済』2014.12.27

「危機  著名投資家ジム・ロジャーズ」

 

 

世界規模の破綻が2020年までに来る

行きすぎた紙幣増刷は世界に何をもたらすか

 

(――東京オリンピックまでの世界経済をどう見ていますか。)

安倍晋三首相がおカネを大量に刷らせているから、日本経済は当分の間、景気がいいでしょう。しかし、東京オリンピック前に状況が悪化し始め、日本のみならず、世界のほぼ全土で経済が破綻するでしょう。2020年までに、少なくとも1回は世界規模の破綻が起こります。米国や欧州など多くの国々で、今後6年の間に問題が起こるでしょう。正確な時期はわからないが、たぶん16年か17年でしょう。

 

(――つまり国債が暴落すると?

そうです。国債が大暴落し、金利があがります。株価も暴落します。今すぐにというわけではありませんが、20年までに起こるでしょう。世界規模の経済問題が発生し、ほぼすべての人が影響を被るでしょう。

 

<安倍首相は円安誘導で日本を破滅に追い込む>

 

――なぜ破綻が起こるのですか。)

・大半の国々では4~6年ごとに経済問題が発生しています。だから、もうじき、いつ起こってもおかしくない状態になります。

 

 今の景気浮揚は、日本や米国、英国など欧州の国がおカネを大量に刷ったことによる人為的なものです。

 

(――破綻を回避する道は。)

今のところ、防ぐ手立てはありません。(何をしても)非常に悪い状態になるか、少しましなものになるかの違い程度でしょう。いずれにせよ、世界経済は破綻します。

 

日本は減税をし、大型財政支出を打ち切るべきです。人口問題対策も

講じなければなりません。どうせやらないでしょうがね。仮にやったとしても、問題は起こります。しかし、(何もしないと)16~18年に事がうまく運ばなくなったとき、問題が表面化するでしょう。

安倍首相は、「日本を破滅させた男」として、歴史に名を残すでしょう。投資の世界の人たちや、(金融緩和)でおカネを手にしている人たちにとっては、しばらくは好景気が続くでしょうが、安倍首相が過ちを犯したせいで、いずれはわれわれ皆に大きなツケが回ってきます。

 

(――日本は、東京オリンピックがあるから、少しはマシ?)

いや、逆かもしれません。オリンピックで大量におカネを使い、債務が増えていくため、状況が悪化する可能性があります。1億2000万人強の日本の人たちを、オリンピックで救うことはできません。

 

(――円安誘導が間違っている?

最悪です。短期的には、一部の人が恩恵を受けますが、自国通貨(の価値)を破壊することで地位が上がった国はありません。この2~3年で、円は対ドルで50%も安くなりました。このことが日本にとってよいはずはありません。

 

『日本を破滅させた男』として安倍首相は歴史に名を残すでしょう。

 

(――以前「米国は世界の警察をやめるべき」と言っていました。オバマ大統領は実際そう宣言しました)

・米国がおカネを大量に刷るのをストップし、(世界の)人々に対し何をすべきか、あれこれ言うのをやめるとしたら、世界にとっても米国にとっても素晴らしいことだと思います。しかし、私はオバマ大統領のことは信じません。

 

多くの米国人は「米国が他国にあれこれ指図すべきだ」と思っています。私は、そう考えない少数派の一人です。「米国の言うことを聞くべきではない」と考える人たちが世界中に増えているのに、大半の米国人は今でもそう思っています。

 日本でも「米国に指導してもらうべき」だとみんな考えているのでしょうが、それは間違い。自分で考えるようにしなければなりません。

 

 

 

『日本が全体主義に陥る日』

旧ソ連邦・衛星国30ヵ国の真実

宮崎正弘   ビジネス社   2016/12/7

 

 

 

ソ連崩壊から25年—―全体主義の呪いは本当に解けたのだろうか>

・日本でも戦後70年以上を経て、やっとこさ「歴史の真実」が次々と明るみに出始めた。

 フーバー大統領はルーズベルトを「狂人」と呼んでいた事実が判明した。ようやくフーバー回想録の邦訳が日の眼を見た。

「ヴェノナ文書」はソ連コミンテルンのスパイたちの交信記録である。「1940年から1944年にかけて、アメリカにいるソ連のスパイとソ連本国との暗号電文をアメリカ陸軍が密かに傍受し、1943年から1980年までの長期にわたって国家安全保障局NSA)がイギリス情報部と連携して解読した」(江崎道朗『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』祥伝社新書)。

 

要は日本に戦争を仕掛けたルーズベルト政権にはコミンテルンのスパイがごろごろといて幹部の位置を占めており、不都合な情報はすべて握りつぶし、大統領をたぶらかして、なんとしても日米開戦へもって行く目的があった。「アメリカを使って日本をたたきつぶす」というのがコミンテルンの当初からの秘密の戦略だった。日本が消耗し、その隙をつけばシナ大陸は共産化し、東欧諸国もごっそりとソ連影響下にいただける。

 ヤルタの密約でスターリンに騙されたルーズベルト、ワインを飲んでいたチャーチル。戦後、「中国と欧州を失ったのは誰か」と議論されたが、時すでに遅く、各地で共産主義独裁が成立していた。

 体制批判者は粛清され、国民は党の命令に背けば刑務所か労働改造か、あるいは処刑が待っていた。このため多くの知識人が沈黙を余儀なくされた、世界中で数千万の無辜の民、民主を求めて独裁と戦った知識人が消された、コミンテルンに呼応したアメリカにおけるソ連のスパイはルーズベルト政権の内部、それも政策決定権を持つレベルに浸透したばかりか、政党、マスコミ、教育界、労働組合に浸透した。キリスト教会、とりわけプロテスタント系にも、共産党と組んで偽装組織を雨後の筍のように増殖させた。YMCA、YWCAも工作された青年組織も根こそぎ共産党の「人民統一戦線」という戦術に騙されてしまった。

 

<民主主義をはき違えていないか>

田中角栄以後、日本の政治は官僚政治から党人派政治となり、彼らには国家安全保障の根幹が希薄なため「介護」「待機児童」など枝葉の議論が優勢となった。「防衛」「憲法」「安全保障」は二の次であり、テレビの政治番組は目を覆うばかりに劣化し、背骨のないポピュリズムが蔓延し、声の大きい者、組織がバックにある者が当選しても理想を説く政治家は遠ざけられる。国家の基本は安全保障、つまり軍隊と警察の重要性がすっぽり日本の政治議論から抜け落ちている。

 政治家の役目とは理想と現実のギャップを一歩一歩埋めていくことだが、戦後日本は「理想」を喪失しており、国民も政治家にそれを求めなくなった。

 聖徳太子ソクラテスアリストテレスもいない日本では理想に邁進する政治家は疎んじられ、カネと現実のどぶ板選挙で濾過された、ひ弱な人間が政を司る。この現状にまっとうな政治を待ち望むことは絶望的かもしれない。

 しかしそれでも全体主義よりマシな制度と言わなければならないだろう。

 

旧ソ連圏の大反転>

全体主義とはけっきょく、イデオロギーであり、一神教(宗教)であり、排外的ナショナリズムの狂気であり、生存への不安、焦燥、恐怖がある日、飢えや死から逃れようとして、狂気の行動を取るのだ。1917年のロシア革命、1949年の中国共産革命は大量の流血をともなって全体主義国家を産んだ。

 その影響はソ連の衛星国(東欧、モンゴルなど)と中国共産党の衛星国(ラオスカンボジア)などを産んだ。そして全体主義共産主義の悪性ウイルスは世界にばらまかれ、あちこちに愚行が繰り返され、悲劇を産む一方で、植民と経営に失敗した欧米列強は、皮肉にも被植民地からの移民を大量に受け入れ、ナショナル・アイデンティティ喪失の危機にさらされ、歴史の報復を受けている。

 この点で日本は海洋国家であり、単一民族であり、多神教であるがゆえにユーラシアが体験した全体主義とは無縁でいられた、歴史の僥倖に恵まれたとも言える。

 しかし、一度は破産したはずの共産主義あるいは社会主義運動が、ソ連崩壊以後は「グローバリズム」の隠れ蓑に本質を隠して、世界をグローバリズムという一神教思考で統一しようとした。そうだ、グローバリズムという妖怪も一種全体主義的である。

 その破産が世界中で現れ、米国にトランプ現象、英国のEU離脱、ドイツの新党運動も、いやイタリアにもオランダもフランスも政権与党を窮地に追い込むか、敗北させている。これが現代世界である。全体主義との戦いはまだまだ続くのである。

 

<むしろ全体主義に転落しそうなのは日本ではないのか>

<西側は言葉の戦争で負けている>

地球市民」「ボーダレス」「新自由主義」などの言葉は響きが良く耳障りにならず、まさか共産主義全体主義の裏返しであることに気がつく人は少ない。いまはやりの「グローバリズム」とはかつて熱病のようにもてはやされた共産主義のメダルの裏側である。一種の全体主義なのだ。

 東西冷戦は自由主義諸国が勝利してソ連が崩壊した。中国は極度に警戒し、独裁体制を引き締めたが、共産主義イデオロギーは雲散霧消した。

 それから四半世紀を閲したというのに日本のメディアはまだまだ左翼偏向が強い。というよりGHQの洗脳から逃げきれない人たちが時代錯誤の暴論を繰り返している。彼らの好きな言葉は「平和」「市民」「反戦」である。

 事実に即さない、想像上の虚構から勝手に論理を組み立てた観念的な暴言が、あたかもラウドスピーカーのごとく左翼の大手新聞やテレビに登場してくる。このため一般読者を惑わすのである。

 

・ジャーナリスト自らが左翼のプロパガンダを拡大するという役目を担わされていても、それを自覚していない。自覚がないのに、ある程度の影響力を行使ができる人を「無自覚のエージェント」(UNWITTING AGENT)という。典型はかの鳩山由紀夫元首相だろう。影響力のある代理人」として中国やロシアの使い走りを自ら引き受ける。

 この区分けはスタニスラフ・レフチェンコ証言でも頻繁にでてくる。

KGB工作員だった。主として日本のメディア工作に当たった。80年代初頭にアメリカに亡命し、議会証言をしたが、当時の日本のメディアの中にうごめいた「ソ連代理人」を具体例とともに挙げた。議会証言録は筆者が翻訳した(ソ連スパイの手口』山手書房、絶版

 

・「平和」への信仰ぶりも同様である。

 中国、韓国のでたらめな歴史観に基づく強制連行、慰安婦=性奴隷、大虐殺など、日本はまさかとは思いながらも誠実に弁明し、釈明し、事実を認めたかのような謝罪を繰り返して、世界の笑いものとなった。謝罪とは日本以外の国では「金銭の補償」という意味である。この日本批判の合唱に巧妙に便乗してドイツ、英国、そして米国が日本を貶めるキャンペーンをしゃあしゃあと繰り出している。

 いずれも自らの過去の残虐さ、たとえば広島、長崎などの戦争犯罪を隠蔽するのに中国、韓国の日本批判は格好の隠れ蓑というわけだ。

 日本の目の前の脅威は指摘するまでもない。北朝鮮の核爆弾と、中国の軍拡を等閑視している日本のメディアの危うさ。

 かれらは「平和」という魔法の妖術を用いて大衆をたぶらかし、中国と北朝鮮の軍事力は「脅威」ではないと言いつのり、防衛を強化することに反対してきた。日本の防衛費は世界の常識であるGDPの2~3%の半分以下、これでは独立国家とはいえないのではないか。

 

軍国主義ファシストは中国だ>

・日本の隣には「北の核」に加えて、もう一つの独裁国家がある。

 醜悪な独裁体制で、情報をすべて統制し、国民を洗脳し、戦力を日々強め、日本に侵略を準備している国がある。日本の目の前にあって、不気味な軍事力威嚇を続ける中国の現実である。

 中国は問題をすり替えるために南京大虐殺という嘘放送を声高に繰り返し、不都合な事実を葬る。この遣り方に英国もドイツも黙っている。米国は広島・長崎、東京大空襲における大虐殺をほおかむりし、日本が残虐であったことに歴史を改竄した。

 

<「会議は踊る」、いまも踊る>

・英国の場合、この国はもともと連合王国である。女王陛下の権威は宗教が裏打ちしている。カソリックから別れた英国国教会が支配し、これを不服としたピューリタンは英国から海を越えてアメリカ大陸へ渡った。第2次世界大戦は、植民地支配が瓦解、ここへ旧植民地のインド、パキスタン、ナイジェリアあたりからどっと移民が混入し、EU加盟後はポーランドからも100万人、これでは伝統的歴史的価値観は喪失寸前となる。

 

・米国の場合、共通の目的は自由、民主、人権、法治となり、ファミリーヴァリューを尊ぶという共通性はあっても、多彩な宗教は国家の統一性を形成しない。このため政府と納税者、利益団体、地域エゴ混在、連帯感が欠如する。大統領選挙に見られるように、国家目標の分裂、政治の多元化は国内のまとまりをさせないという反作用を産みやすい。

 

全体主義の呪いは日本で解けず>

・かくて日本ばかりか世界中で言語空間はおかしくなり、その混乱を衝いて左翼的な人々が全体主義の隠れ蓑として「反戦」「反原発」「環境」「男女賃金格差」「同性愛結婚」「ヘイトスピーチ」など面妖な言葉による、新しい洗脳工作が継続されている。

 

・中国でもネットで世界情勢が把握できる時代となったのに、精神的には全体主義の呪いが解けたはずなのに、中国人は崇高な芸術作品を追求するのではなく、目の前のカネ、贅沢な物品に狂奔し、精神性は極度に軽視され、拝金主義全盛となった。

ならば、日本は?

 これほどの自由を享受している国でも、左翼の洗脳効果がまだ尾を引いていて本物の絵画や音楽、小説は現れていない。

芭蕉西鶴もいない昭和元禄」は「平成元禄」となったが、過去に『源氏物語』や『古今集』を著して日本人の精神を高らかに謳歌したのは昔話。それこそ「文学の真昼を経験した民族には夕暮れを待つしかない」(三島由紀夫『日本文学小史』)という悲惨な状況に埋没したままである。

 グローバリズムの最先端を競うような亜流の思想か、黄昏の芸術、文学しか望めないのだろうか。全体主義の呪いはむしろ現代の日本に残留しているのではないのか。

 

ラトビア全体主義

ラトビア全体主義という命題で、過去を考えると、やはり「リガの虐殺」というユダヤ人抹殺にラトビア人が手を貸した事実を避けるわけにはいかない。

 ホロコーストナチスの仕業ではあるが、実際に手を下したのはナチスでもドイツでもないケースが夥しいのである。悪名高いアウシュヴィッツポーランドであり、ウクライナでもベラルーシでも、あるいはロシアの大地でもナチス以前にユダヤ人虐殺の「ポグロム」が行われた。

 リガの虐殺はフォーサイスの『オデッサ・ファイル』にも詳しく書かれている。

ユダヤ人虐殺の97%はドイツ国外で行われ、殺害者の半数はドイツ人でもなかった」(ティモシー・シュナイダー『ブラックアース』慶応大学出版会)。

 

・それは国家が崩壊し、生命が脅かされ、資源、土地、食料の限界が見えたときに襲われる生存パニック土台になったときに起こりうる。近年もルワンダブルンジで、そしてスーダンで私たちは大量虐殺を目の前にした。

 中国の文革前後、数千万の人々が餓死、あるいは虐殺された。

 シュナイダー(エール大学教授)は、異常気象と食糧危機が再現し、国家が生存を保障するシステムを喪失すれば、ホロコーストはまた起きうると警告している。ラトビアに限らず、南隣のリトアニアでも、ユダヤ人虐殺はあった。