日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

コンタクティやチャネラーの情報を集めています。森羅万象も!UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象といわれます。

夏季の北極海氷は、いまやその半分以下へと減少し、遠からず海氷のない夏を迎えるだろうと予測している。(1)

 

 

『北極がなくなる日』

ピーター・ワダムズ  原書房  2017/11/27

 

 

氷の減少が最終的に迎える結末、夏期の海氷の消滅

40年間北極研究に携わってきたピーター・ワダムズ

その長いキャリアで彼自身が目撃した重大な変化が記されているかつては800万平方キロメートルの広さがあった夏季の北極海氷は、いまやその半分以下へと減少し、遠からず海氷のない夏を迎えるだろうと予測している。

 海氷の融解は遠く離れた地での興味深い現象ではない。宇宙へ反射する太陽の入射エネルギーを60パーセントから10パーセントへと大幅に低下させ、地球温暖化サイクルをさらに加速させる力があるそのうえ最終氷期以来、凍ったままだった堆積物が、いまやメタンガス――非常に強力な温室効果ガス――を大気中に噴出しているのだ。本書は北極の現状に関する正確な報告書であると同時に、北極海氷の消滅によって世界が直面する脅威をタイムリーに思い起こさせてくれるだろう。

 

・ワダムズ博士は、海氷研究に新たな視点を取り入れてきた。海洋の波が海氷の成長にも消耗にも影響すること、面積的な広がりは安定に見えても暑さの変化が進行していることを潜水艦による調査から明らかにした。世界には多くの海氷研究者がいるが、潜水艦で自ら氷の下を訪れた研究者はほとんどいない。海氷の下の活動が本書には描かれている。

 

特に2000年以降、科学者の追随を許さないかのような、急速で多様な変化が北極で起きている。

 

・本書で、ワダムズ博士は、「われわれ人類に何ができるだろうか」と問いかけ、そして、「闘いのときが来た」と宣言する。迫りくる気候の変化をしっかり認識して、温室効果ガスの増加を減らすための生活や技術開発に取り組むよう、一般市民に呼び掛ける。北極に「さらば」と言わないための闘いを、本書は高らかに歌い上げている。

 

<青い北極海

・しかし、実際は変化していた。1976年と1987年におこなわれた潜水艦での遠征調査の計測結果を比較し、氷の厚さが平均して15パーセント減少している明確な証拠を初めて入手したひとりになれたのいは幸運だった。その調査結果は1990年の<ネイチャー>誌で発表している。それから10年徹底的な調査をおこなったところ、氷が薄くなったのが事実であるばかりか、1970年代と比較すると、実に40パーセント以上薄くなったことが明らかになった。劇的な変化が起こっているのは間違いなかった。

 

・現在では、夏にベーリング海峡から北極海に向かう船は、広大な大海原を目にすることだろう。その青い海ははるか北へとつながっているが、北極点の直前で行く手を阻まれる。だが本書が出版されるころには—―多くの人が予想しているとおりに――

 

<北極の海氷の未来――死のスパイラル>

<つぎは海氷になにが起こるのか?>

・優秀かつ穏健な地球物理学データ分析官アンディ・リー・ロビンソンは、急速に減少する北極の夏季の氷量は消滅に向かっていることと、それ以外の時期も減少傾向にあることを、北極の氷量データは非常に明確に示していると指摘する第一人者といえるだろう。

 

・氷が薄くなっているため、海氷面積のデータだけを見て予想していたよりも、氷の減少が急ピッチで進行しているようだ。

 

しかし、いまではこの作業を実行するために設計された人工衛星が存在する。それはクライサット2号という名の衛星で、2010年に欧州宇宙機関が打ち上げ、「フリーボード」と呼ばれる喫水線より上に出る氷の高さをレーダー高度計で測定する。レーダービームが氷の表面に反射して戻ってくるまでの正確な時間を計測することで、フリーボードがわかるのだ。そして既知の氷の厚さと積雪量に基づく換算係数を適用して、フリーボードから氷の厚さを算出する。

 

・ボールダーのNSIDC(米国立雪氷データセンター)所長でもある氷河学者のマーク・セレズは、これを見て、“北極海の死のスパイラル”と命名した。

 北極海の死のスパイラルを目にすれば、おのずと夏季の北極海氷は長く保たないと気づくだろう。減少傾向によって夏期の氷量はゼロに近づき、2016年は9月と10月の氷が、2017年は8月から10月の氷が、2018年には7月から11月の氷が消えるだろう。このような傾向線は2016年には氷のない期間が2ヵ月、2017年には3ヵ月、2018年には5ヵ月になると予想している。残る7ヵ月もそれよりはいくらか時間がかかるといはいえ、どの時期も加速度的な勢いで死のスパイラルの中心へ向かっていくことは間違いない。

 

科学者が“消滅”という言葉を使用するときは、広大な氷の大半が消え去り、アメリカ大陸からユーラシア大陸まで北極海が開水域となることを意味する。当然、小さな氷は残存しており、特に沿岸部や北西航路などの航路には100万平方キロメートルかそこらの氷は存在するだろう。だが、主要な氷は消滅している。つぎの章では、我々が感知できる北極のフイードバックはすべてその方向を指しており、夏期の海氷が減少する傾向を遅らせるか、あるいは阻止できる対策は存在しないことを説明しよう。これは北極点にとって最初の重要な一歩となり、氷のない9月へ至る道は、氷のない北極へ至る道と同義だという意見が優勢となるかもしれない。

 

・近年加速する一方の減少傾向に寄与する要因を思いだしてみよう。多年氷はほとんど姿を消した。そのうえ北極の大気循環に突然変化があったとしたら、北極ではもはや新しい氷が翌年や2年後に充分な厚さとなるまで成長することができなくなったということだ。また夏期に氷がないと水温は上昇しつづけ、秋になっても氷結が遅れるうえ、いま存在する氷も高い水温と波の影響のために崩壊する危険が高まる。

 

<すでに転換点を越えたのだろうか?>

・近年、“ティッピング・ポイント(転換点)”という概念が広く知られ、気候とは無関係の分野でも使われるようになったため、言葉の定義が非常に曖昧になっている。わたしは厳密な定義にしたがい、ある一定のレベルのストレスを与えられて以前の状態に戻ることは不可能となり、ストレスが排除された新しい状態へ移行することを、ティッピング・ポイントを迎えたと表現する。

 

・北極の海氷はティッピング・ポイントを越えたのだろうか。わたしは以下の理由から超えたと考えている。

 北極圏では冬期の多年氷が年を追うごとに減少していることが判明している。気圧場の影響もあり、いま氷は広大なポーフォート循環のなかで長期間循環するよりも、形成域からすぐに北極海盆の外へと流される傾向が強い。この傾向が今後も続くのであれば、広大な海氷は年々完全に融解する地域が増大するだろう。なぜなら以前に比べて1年氷が成長するのに時間がかかる一方、融解は急速に進み、水温が高い地域が広がることで氷のない状態が毎年恒例となるからだ。

 

・仮に二酸化炭素排出量が突然減少したとしても、気温は長期間、ことによると数十年も低下しない可能性も考えられる。水温はいうまでもなく。

 

<こうしたすべてが現実に起こることを、どうすれば我々人類は認識するのだろうか?>

・意気阻喪させられるうえに理解できないのは、フィールドワークをおこなう科学者がデータに対する態度を変えることだ。わたしが若かったころは、北極圏で起こる現象の観測・測定結果は自動的に正当だと受けとられ、観察傾向から導きだした推論もそれが予測を立てる最善の選択だとみなされていた。少なくとも、短期間はそのとおりのことが起こっていた。ところが現在はもはや事情が違うようだ。観測結果に基づいた予測が、主に気候モデルを研究している科学者に警鐘を鳴らすような内容であると、それを黙殺し、かわりにすでに不完全だと判明しているような、コンピューター上の気候モデルの予測結果を採用する科学者が存在するのだ。

 

氷の後退がもたらす当面の影響――北極圏の航海

・未来の北極圏、特に夏期は、現在よりもはるかに氷量が減少することは明らかだ。つぎの章では、氷の後退が気候システムに計り知れないほど重大な意味を持つこと、そしてそれが引き起こしたフィードバックの結果として起こりうる大惨事について説明しよう。しかしながら、氷の後退は人類の2種類のありふれた営利活動、船舶航行と石油探査にも影響をおよぼすのは間違いない。

 氷が少なくなった北極圏の航海には3種類の新しい可能性が考えられる。アメリカ大陸の北方を通過する北西航路の商業利用、ロシアの北方を通過する北極海航路の商業利用、そしてベーリング海峡とフラム海峡を結ぶ、真の北極横断航路の開発だ。

 

・現在では北西航路航海はことさらめずらしいことではなくなっているが、貨物輸送に利用される様子はない。

 

・それに対して、ロシアの北方を通る北極海航路(NSR)は経済的に成功を収めている。地勢は遥かに単純だ。なんらかの理由で夏期に氷が北方へ後退したため、大陸海岸線に近い入り組んでいない航路が航行可能となった。現在のいちばんの難所はシベリア北方に位置するヴィリキツキー海峡だ。そこから海岸線が北方へ曲がるうえ、ノヴォシビルスク諸島が行く手を塞ぐので、夏中氷のたまり場となることがあるのだ。

 

つまり我々人類は、夏期ならばすでに信頼性の高い北極横断航路をひとつ手に入れており、もうひとつも道半ばといえる。最終的な目標は、さらに氷が後退するかどうかによるが、真の北極横断ルート、つまり北太平洋からベーリング海峡を抜けて北極圏を横断し、フラム海峡経由で大西洋へ出る航路の実現だ。それが実現すれば、途方もない節減が可能となる。

 

氷の後退がもたらす当面の影響――石油と海底

・氷の後退がもたらす当面の影響としては、北極圏での石油探査が従来よりも盛んになることが考えられる。つい最近まで、石油探査はほぼ浅海にかぎられていた。

 

・しかし石油探査は、石油の成り立ちも考えても、より深い海域へと広がっていくのは必然である。北極圏以外では、水深1800メートルの掘削施設、「ディープウォーター・ホライズン」で大災害を引き起こしたメキシコ湾や沖やブラジル沖のように、深海での掘削が進んでいる。現在の石油業界は、北極海の浅海や定義が明確な大陸棚を通り越して。深海に目を向けている。しかしここで産業界と政治が衝突するのだ。北極海について、まだ合意に至った海洋法は存在しない。原則として、海岸線から200キロメートル以上離れた海域は公海とみなされ、国際海底機構の管轄となる。

 

・面倒なのは、北極には果てしない法廷論争になりかねない問題、ロモノソフ海嶺が、存在するのだ。この海嶺はグリーンランド島とエルズミーア島の国境線上で始まり、北極点近くを通ってシベリア大陸棚に達する。そのため、ロシアはシベリア大陸棚の延長とだと主張している。カナダとグリーンランド島の国境線上から始まるため、カナダとデンマークも権利を主張している。しかし、それ以外の国では公海とみなすべきだとの意見が主流だ。

 

原油流出とその対処法>

北極の環境が海底噴出による原油流出の脅威にさらされていることは広く知られている。米国学術研究会議の委員会でも、わたしも作成に参加した原油流出に関する報告書が発表された。我々は海底噴出が起きたら、それを除去する方法は発見できていないとの結論に達した。

 

・もしも北極で1年間続く流出が起こったとしたら、氷の後退は実に悲しい結果をもたらすだろう。1970年代に想定された流出事故のシナリオは、原油は氷のサンドウィッチとなって北極海内を漂流し、夏になると氷原から分離して氷縁が融け、夏期の氷の周囲に原油が浮かぶというものだった。だが将来は、夏期は氷が消滅しているだろうから、そもそも氷縁など存在しない。原油が混入した氷はすべて融解し、流れでた原油は遮るもののない北極海の開水域全体に広がるだろう。与えるダメージも除去の費用も莫大なものとなる。

 

・最後に密接な関係がある問題を指摘して終わりたい。氷の後退によって、北極海の海洋生態系が変化している。春期の水中の光のレベルが格段に上昇したことで、プランクトンが従来よりも早い時期に大量に発生し、それにより新たな漁場が出現する可能性がある。海洋生態系がどのように変化するかを予想することは難しいが、海氷の後退が時期的にも地理的にも漁船の活動範囲を拡大し、それがなんであれ生物資源の利用を可能にしたことはたしかだ。

 

今世紀に氷の後退がたどるだろう道

・今後開水域が登場する時期がどのように変化するかを予測するのは、気候モデラーにはきわめて難しい。主な理由は、情けないことにほとんどの気候モデルは夏期の北極海氷の現状を再現することに失敗しているからだろう。これまでは9月の北極から氷が消滅するのはいつかという問題に激論を闘わせてきたが、いまとなっては関係者の興味はもっと重要な問題に移っている。北極の海氷が季節を問わず後退するときは、どのくらいの速さで、どのような形で訪れるのか、だ。死のスパイラルが示すところによると、わずか数年で9月の海氷は消滅し、氷のない季節が基本的には7月から11月の5ヵ月に拡大する。しかしそれで終わるのだろうか。

 

1年中氷が存在しない北極海を想像するのは難しいが、死のスパイラルから予測できる冬期の最終的な状態はそれしかない—―冬期の氷量もらせんを描いて徐々に内側に向かっていくのだ。

 真冬にも氷が存在しない北極海は、周期的に氷が存在する北極海とは、海水の循環サイクルもまったく異なるだろう。今世紀中にその事態を迎えるかもしれないが、そのころには地球にさらに劇的な変化が起きて、人類が居住できなくなっている可能性もある北極海氷の後退が原因か、少なくとも関連があるそうした変化については、つぎの章で説明しよう。また、我々はすでにこの惑星へ多大なダメージを与えてしまったことを認識しなくてはならない。夏期のシベリア大陸棚にすでに氷は存在せず、それにより大量のメタンガス噴出という脅威が生まれたことについては第9章で述べたい。

 

 

 

『日本3.0』   2020年の人生戦略

佐々木紀彦  幻冬舎   2017/1/25

 

ガラガラポン革命のキーワードは、「移動」と「下剋上」だ>

・2020年の東京オリンピック団塊世代の卒業式となる。その後は、リスクを恐れず、挑戦する30代にチャンスが来る。大きな成功を掴むのは、デジタルとアナログ、世界と日本、地方と東京、大企業とスタートアップといった境界線を越えていける人間だ。

第3のガラガラポン革命を引き起こす「10のファクター」

明治維新と敗戦という2つのガラガラポン革命により生まれ変わった日本。では、「第3のガラガラポン革命」はいつ起きるのでしょうか。

「第1のガラガラポン革命(18687年)」と「第2のガラガラポン革命(1945年)」は、およそ70~80年の周期で起きています。その法則を当てはめると、敗戦70周年の2015年は、「第3のガラガラポン革命」が始まる節目になるのではないか、というのが竹内氏の見立てです。

・では、「第3のガラガラポン革命」において、何が「移動」と「下克上」を引き起こすのでしょうか。私は次の「10のファクター」が複合的にガラガラポンをもたらすと読んでいます。

(1) 年功序列の終わり

(2) 正社員と非正規社員の格差解消

(3) 男女逆転

(4) 外国人労働者の登用

(5) 難民

(6) 業界再編・伝統企業の倒産

(7) スタートアップの隆盛

(8) 第4次産業革命

(9) 交通革命

(10) グローバル化

<遂に平成にも身分改革と黒船がやって来る>

(1)の「年功序列の終わり」は、戦後のGHQによるパージと似た効果を生むはずです。今後は、先進的な企業ほど年功序列を廃止し、30代役員の誕生など若手の抜擢が進むでしょう。そうでないと国際競争に勝てないからです。政府は法律で「同一労働同一賃金」を徹底するなどして、その流れを後押しできます。

 また、「同一労働同一賃金」の推進は、(2)の「正社員と非正規社員の格差解消」にもつながります。これは明治維新によって打ち破られた「上士と下士のアンフェアな格差解消」と似たインパクトをもたらすはずです。

 安倍政権もすでに「年功序列の見直し」と「同一労働同一賃金」を政策メニューに掲げており、問題意識は十分持っています。

(3)の「男女逆転」は、一言で言えば、女性がどんどん地位と影響力を高めるということです。「男女逆転」社会がリアルになっていきます。

 法律の後押しもあります。2016年4月より、女性活躍推進法が施行され、労働者301人以上の大企業は、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定などが新たに義務づけられました。欧州でのクオータ制(女性役員比率などを法律で義務づける制度)に比べると緩やかな政策ですが、企業社会での女性の活躍を多少は促すはずです。

<今後、既得権を失う「おじさん」と、時代の追い風をうける「女性」の出世争いが過熱していくはずです>

・しかし、やっと女性登用の機が熟しました。女性の層が厚くなってきたのです。日本の大企業において、女性の総合職が一気に増え始めたのは、1976年生まれの“ナナロク世代”からですが、その世代が40歳を迎えました。

 この女性は、結婚、出産後も仕事を続けるのが普通です。多くの総合職の女性は、ワーキングマザーとして働く道を選んでいます。もちろん、保育園の不足や、家族のサポート不足により、ハンデを背負っている面もありますが、着々と存在感と実力を高めています。ビジネスパーソンとして一番脂がのっているこの世代の女性から、新時代のロールモデルが次々と生まれてくると私は確信しています。

(4)の「外国人労働者の登用」は、高度人材と単純労働人材の双方がありますが、まず優先すべきは、高度人材に日本に来てもらうための取り組みです。とくに、AIやソフトウエア開発など日本が弱い分野は、日本人だけでは世界競争に絶対勝てません。

・(5)の「難民」とは、ズバリ、北朝鮮と中国からの難民です。今後、北朝鮮の体制が崩壊した場合、数万人、数十万人単位で北朝鮮の国民が日本に押し寄せることもありえます。さらに、中国がバブル崩壊や権力争いで大混乱に陥った場合、中国人が日本に大挙してやってくるかもしれません。難民問題は日本にとって対岸の火事ではないのです。

<「第2の開国」で日本は浮かぶか>

・次にマクロな要因を見ていきましょう。

 まず(6)の「業界再編・伝統企業の倒産」はかなり高い確率で起きるでしょう。「失われた20年」の間に再編が進んだ業界もありますが、まだ手付かずの業界がたくさんあります。とくに、規制や言語や文化の壁で、世界との競争に晒されなかったセクターはその典型です。たとえば、建設業、流通業、農林水産業、メディアなどは、これから再編が本格化するはずです。都政の混乱からもわかるように、公的セクターの多くもいまだ昭和モードのままです。今後は地方議会不要論も出てくるはずです。特殊法人などを含む行政セクターも再編を強いられるでしょう。

・きっと今後10年の間に、有名企業の倒産がいくつも起こるはずです。

 業界再編が吹き荒れる中、(7)「スタートアップの興隆」も起きるでしょう。ただし、第3章で詳しく述べますが、スタートアップの過大評価は禁物です。日本はどこまでも大企業支配の国であって、スタートアップが成功するのは容易ではありません。

 ただ、死屍累々とはいえ、大企業や海外企業の力をうまく借りながら、急成長を遂げるスタートアップもいくつか出てくるはずです。

・そして、スタートアップを含む日本企業の大きなチャンスとピンチになるのが、(8)の「第4次産業革命」です。これも第4次産業革命とは、簡単に言うと、AI、ロボット、IOT(モノのインターネット)、ビッグデータの4つのテクノロジーがもたらすビジネス界の大変革です。

・(9)の「交通革命」は、まさしく、国内外の人の移動の流れが変わるということです。とくに注目すべきプロジェクトが2つあります。

 ひとつ目は、2027年始動予定の東京(品川)――名古屋間のリニア中央新幹線です。

 2つ目は、羽田空港の国際ハブ化、拡張です。

南海トラフ地震

・4つ目の「自然災害」の中で、もっとも恐れるべきは南海トラフ地震です。南海トラフとは、四国から静岡県の南の海底にある水深4000メートル級の深い溝のことであり、大規模な地震発生帯としても知られています。政府の地震調査委員会は、南海トラフ地震の発生確率を次のように予測しています。

・今後50年以内に90%以上

・今後30年以内に60~70%

・今後20年以内に40~50%

・今後10年以内に20%程度

マグニチュード9.1とも言われる巨大地震が発生すれば、被害想定は、最大で死者32万人、被害総額は220兆円。もっとも被害を受けるのは静岡県で、10.9万人もの死者が出ると推計されています。地震が起きれば、国債も売り浴びせられ、財政危機も同時に到来するかもしれません。

<「日本3.0」時代は30代が主役になる>

・では、第3のガラガラポンによってもたらされる「日本3.0」の主役となるのは誰でしょうか。

 結論から言うと、今の30代だと思います。

 先ほど「2020年は団塊世代の卒業式」と書きましたが、卒業する団塊世代からバトンを受けるのが、団塊ジュニア以後の世代の「大人への入学式」でもあるのです。

・では、なぜ30代がカギを握るのでしょうか。それには主に3つの理由があります。

 ひとつ目に、30代は、いつの時代においても経験と無知のバランスが最適だからです。

<ナナロク世代の破壊力と新たな価値観>

・30代がキープレーヤーとなる2つ目の理由は、今の30代はそれ以前の世代と価値観が違うからです。おおまかに、1976年生まれあたりを分かれ目として、価値観に大きな溝があります。

 その最大の要因のひとつは、インターネットとケータイです。ナナロク世代は、若い頃から、インタ―ネットやケータイを当たり前に使いこなしてきた世代です。ネットが自然と体に染み込んでいるのです。

団塊ジュニア、最後の「下克上」>

・最後に3つ目の理由として、30~45歳の世代はとにかく数が多いのです。政治でも、経済でも、社会でも、やはり数は力です。

 これまで、日本で多数派を占めてきたのは団塊の世代です。2015年時点で、団塊の世代を中心とする60~74歳の世代は約2600万人もいます。それに続くのが、団塊ジュニアを中心とする30~45歳であり、人数は約2550万人に上ります。

団塊ジュニアは、就職氷河期とバッティングしたため、就職などで苦労した人も多く、上の世代や社会への不満も大きいはずです。その構図が、昔の下級武士に似ているように思えます。

・2020年以降の「日本3.0」は、この世代が下克上を起こすチャンスなのです。

・上の世代と同様、30代は、先祖の遺産を食いつぶした無責任世代として歴史に刻まれるか、それとも、「日本3.0」をつくった祖として記憶されるか、その勝負をかけたチャレンジがこれから始まるのです。

<若いときに基礎を固め、よいクセを身につけておけば、それは一生の財産になるのです>

<ハーバードの最先端教養教育>

・ハーバード大、スタンフォード大ともに、伝統的に教養教育を重視してきましたが、近年、教育プログラムの大改革に踏み切っています。世の中が大きく変わる中で、時代に合った新しい教養教育を模索しているのです。

<安寧の日々が続くのもせいぜい2020年まで>

・それに前後して、日本にほぼ確実に修羅場が訪れます。それは、数年に一度のものではなく、数十年、おおげさに言えば、100年に一度と言ってもいいインパクトのあるものとなるでしょう。

・2020年前後から始まる「日本近代の第3ステージ」、通称「日本3.0」は、これまでとはまったく異なる思想、システム、人を必要とします。

<ターニングポイントとなる「4つの節目」>

・とくに大きなターニングポイントになるのは2020年です。この年に日本は4つの節目を迎えます。ひとつ目は、東京五輪です。

・2つ目は、安倍政権、アベノミクスの終わりです。

 予定通り、安倍首相は自民党の総裁任期を3年延長したことにより、2021年まで首相を続けられることになりました。安倍首相は五輪を花道として、遅くとも20201年には政権から去ることになるでしょう。

 安倍首相は、近年の首相の中では、稀に見るリーダーシップを発揮し、賛否両論があるものの、外交面を中心に実績を残してきました。その点は大いに評価できます。

 しかし、経済面では辛口にならざるを得ません。金融緩和はもはや燃料切れ。アベノミクスの「第3の矢」である規制改革もうまく進んでいません。このままでは、金融緩和、財政出動というカンフル剤が切れた後、日本経済は一気に勢いを失うでしょう。つまり、政府主導でGDP拡大を目指した「戦後型日本経済」もフィナーレを迎えるのです。

・3つ目の節目は、東京の人口減少です。

 成長の最後の砦である東京でも人口減少が始まります。最新の推計によると、人口減少のXデーは当初予定の2020年から5年延期されました。

2020年は団塊世代の卒業式

・そして4つ目の節目は、団塊世代の引退です。戦後日本の象徴であった「団塊世代」が、日本の主役から完全に引退するのです。いわば、2020年の東京五輪は、団塊世代の卒業式になるのです。

<「政界再編」。2021年までは安倍政権が続いたとしても、その後を担うリーダーたる人材がいません>

・一気に世代を飛び越えて、小泉進次郎氏がトップに立てば面白いですが、安倍政権以後、自民党は求心力を失い不安定になるおそれもあります。対抗軸となるべき民進党もまず復活の芽はないでしょう。(2020年まで存続しているかどうかすら怪しい)。となると、自民党の改革派、民進党の良識派、改革派首長などが合流して、新党を結成するシナリオを考えられます。その新党が軸となり、日本の政界が流動化する可能性は小さくありません。

 自民党の大幅な若返りか、第三極の新党結成か。このいずれかのシナリオに進まないかぎり、日本の政治はデッドロックに陥るはずです。