日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

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インテルプロセッサーの8割以上がイスラエルで設計・製造されている。(1)

 

知立国家  イスラエル

米山伸郎   文春新書   2017/10/20

 

 

 

あなたの周囲はイスラエルだらけ

意外に思う人が多いかもしれないが、じつはわれわれの日常生活の中には「イスラエル」が溢れている

 毎日自宅やオフィスで使うパソコンの心臓部のプロセッサーインテル製であれば、それはおそらくはイスラエルにあるインテルの研究所で設計され、イスラエルの製造工場で作られたものである可能性が高いインテルプロセッサーの8割以上がイスラエルで設計・製造されているからだ。

 

・そのパソコンを日々、不正アクセスから守ってくれているセキュリティ機能「ファイアウォール」を開発したのもイスラエル企業である。

 現実世界のファイアウォールにも、イスラエルの存在がある。原子力発電所や軍事基地などの重要施設では、テロリストや工作員の侵入を防ぐべく、厳重な警備管理体制が敷かれているが、監視カメラに「人工知能的フィルター」を搭載したのもイスラエル企業である。

 

「個の強さ」にこだわる

・だが、イスラエルで筆者が会ったビジネス関係者や教育関係者は、イスラエルを語る時、ほとんど例外なく「○○で世界一の国」という表現を使っていた。ただし、すべてが「国民一人あたり」あるいは「対GDP比」という条件付きである。

 その「〇〇」に入るのが、次のような項目である。

ノーベル科学3賞受賞者数

博士号保有者数

研究開発費

特許保有

ベンチャー企業

ベンチャーキャピタル投資額

起業数

技術者数

教育費

大学学位数

 

・人口やGDPなどマクロの絶対値でみると、イスラエルは世界でも全く目立たぬ「小国」となってしまう。しかし「国民一人あたり」でみると、とりわけ知的レベルの高さにおいて、イスラエルは傑出した存在感をもつようになる。

 

・電話やインターネットのように加入者・参加者が増えるほどユーザーの便益が増すことを「ネットワーク外部性」と呼ぶが、イスラエルは国家自身がある種の「ネットワーク外部性」を実現している国家といえる。参加者(国民)が増えるほどにネットワークが多重化して便益が高まり、国民一人あたりの価値を高めていくメカニズムを設けているように感じられるのだ。

 

世界最高の投資家が「最良の国」と絶賛

・世界で最も成功した投資家として誰もが知っているのは、アメリカの「オマハの賢人」こと、ウォーレン・バフェットである。

 彼は「外国企業は買収しない」と公言していたが、2006年に自らの方針を破り、50億ドルもの資金を投じてイスラエルの金属切削工具メーカー「ISCAR」の株式80%を買収した。

 

・その理由として、「自分にとってイスラエルは最良の国で、イスラエルよりずっと大きい国や豊かな国と比べても、その遥か先端を行っているから」と語っている。

 さらに、「私はユダヤ人ではないが、イスラエルの建国からの生い立ちはアメリカのそれを思い出させる。人々の固い決意、高い動機づけ、知性、イニシアチブは顕著で突出している。私はイスラエル経済の強い信奉者です」とまで述べ、イスラエルに強い信頼を寄せている。

 イスラエルに注目しているのはバフェットだけではない。インターネット検索エンジンから始まり、自動車制御、ロボット、そして今や人工知能で世界を制御しようとしているグーグルのエリック・シュミット元CEOもその1人である。

 

組織内でも「正面突破」

・今やマクロでもGDPで世界191カ国中34位、人口で188カ国中93位という立派な業績(国力)を実現している。

 

CPUの現界を突破したイスラエル技術者

・組織の中でも「正面突破」の例として有名なのが、インテルのCPU開発の話である。1970年代のインテルは「アメリカで研究開発し、アメリカで生産をする、アメリカの優良企業」であった。だが、研究開発において重大なイノベーションをもたらしたのは、イスラエル人だった。

 

イスラエル中毒」になったインテル

・「Core マイクロアーキテクチャー」の例に限らず、インテルイスラエルから出てきたイノベーションによって多大な恩恵を受けている。

 

クルマの未来を変える

・クルマをスマホのようなネットワークを構成するプラットホームと捉えた場合、高度なIT技術を搭載した自動運転型コミュニケーションネットワークプラットホームとしてのクルマと、さまざまなアプリが登場するであろう。

 

・一方、インテルはパソコンへのプロセッサー供給で世界のヘゲモニーを握ってきたが、パソコンは伸び悩んでおり、このままではジリ貧だ。インテルはこうした変化を見越して、いち早く自動車業界で勝負に出たのだ。

 

マイクロソフトイスラエルで人材集め

・CPUの巨人、インテルイスラエルに進出したように、オペレーション・システムの巨人、マイクロソフトイスラエルに拠点を設けている。

 

・「人口わずか700万人(当時)なのに、コンピュータサイエンスで有名な世界の大手トップ30の中にイスラエルの大学が4校も入っている。いかに優良な人材が多く輩出されているか、この数字でわかります」

 

豊富な博士号人材

近年ではイスラエルの博士号保持者を、かなりの割合でアメリカやカナダの企業がヘッドハントしているという

 

キブツ」という産業革命

ピンチをチャンスに転化した軍事産業

イスラエルの特異性をあらわすもうひとつの点として、「軍事技術」が挙げられる。これはそのまま国防産業という新産業を生み出している。

 

アメリカを徹底活用する戦略

アメリカの政治や宗教団体がイスラエルの動静に注目し、イスラエルを声高に支援するのは今に始まったことではない。アメリカにはユダや系アメリカ人が約600万人いる。

 

アメリカとの緊張関係

・ワシントンでは、イスラエルとの外交関係の見直し議論が定期的に起こる。通常、これは両国関係が高い緊張状態にある際の兆候である。

 もっとも、米国議会はイスラエル・ロビーの強い影響下にあり、常にイスラエルに対して強い支持を続けている。

 

政令経熱

資源は「人間」しかいない

・大勢の移民によってもたらされたものは、文化・社会の多様性である。

 

・「わが国の重要な資源は人間だけです。したがって、建国の父は、積極的な移民受け入れ政策を通じて、人間という資源の確保を最重要視しました。それと同時に教育も最重要視し、大学の強化に努めてきたのです

 

・ひとつの国家の中に多くの人間が生活し、しかも多様性が存在することは、それだけリスクに強いということになる。多様な人材がいれば、それだけ異なった変革が起きるチャンスがある。つまり、イノベーションベンチャーの起業のチャンスも必然的に増える。

 日本では「人間の数の確保」を気にすることは久しくなかった。それが今、急速に進行する少子高齢化によって危うくなっている。移民受け入れについても、日本社会には根強い拒絶反応がある。

 

女性、LGBTに優しい国

イスラエルの多様性は、言語や文化面だけではない。とりわけ印象深いのは、女性の活躍である。

 

・また、近年では同性愛者が集まる場所として、テルアビブが世界的な注目を集めている。毎年6月におこなわれるゲイ・プライド・パレードには、世界各国から約20万人が参加する。同性愛を禁じるユダヤ教の厳しい戒律とは裏腹に、イスラエルは性的マイノリティ(LGBT)の人権を守ることに熱心な国であり、世界の先端を行っている。1988年にイスラエル政府は同性愛を合法化、92年には性的志向による雇用差別を全面的に禁止、現在では同性婚カップルにも配偶者控除・年金など、通常の異性婚と同じ権利がほぼ認められている。

 一方で、イスラエルにおいてはすべて結婚は「宗教婚」でなければならないという厳然とした規則も存在する。だが、海外で挙式した場合は除外されるなど、抜け穴も多い。

 

ロシア系移民の頭脳

・現在のイスラエルの中枢で活躍しているのは、ロシア・東欧系のユダヤ人(アシュケナージ)にルーツをもつ人が圧倒的に多い。

  

高学歴移民をベンチャー企業に駆り立てる

ソリューションを見つけ出す能力を高める教育

イスラエルの義務教育は幼稚園1年、小中高11年と充実している。古代イスラエルの頃より教育は生活と文明の一部として位置づけられ重視されてきている。ただし、イスラエルにはユダヤ教という特殊要因がある。

 

人種のるつぼ化

・だが、様々なバックグラウンドの移民を受け入れるにつれ、問題も生じてきた。1950年代以降、中東からの移民が増えてきた。シリアやイラクなどのアラブ諸国や、北アフリカで迫害されたユダヤ人たちを吸収していったためだ。

 すると、旧移民(欧州系)と新移民(中東・アフリカ系)との間での軋轢が目立つようになった。

 

アイデンティティは「ヘブライ語」と「国防」

・ナショナル・アイデンティティの根幹は、第一には言語である。現在、イスラエル人は固有の言語としてヘブライ語を用いている。

 

ユダヤ教徒以外の人材も囲い込む必要性

・彼の言う「社会改革」とは、「超正統派」の人々の取り扱いをどうするかという点に突き当たる。超正統派の人々はイスラエルの人口の2割にもおよぶが、経済活動を一切せず、国から支給される生活費で、日々ユダヤ教の研究だけをおこなっている。

 

移民を受け入れない日本

・また、人口減少は安全保障においても懸念材料である。たとえばアメリカは毎年約1%ずつ人口が増え、平均年齢も先進国の中では圧倒的に若い。肥満など生活習慣病以外に、アメリカには人口動態的死角がない。

 

徴兵制が若者を一人前に育て上げる

・そんなイスラエルの若者の人間育成において、徴兵制度は決定的な意味をもっている。周囲を敵国に囲まれたイスラエルにとって、「生存」こそが至上命題である。生存のためには、国防に「頭脳」を結集させなければならない。

 

・計量的心理テストの結果は56段階で表示される。56がトップで、それに基づきオフィサー候補と下士官候補にふるい分けられる。また、体力試験を含めたプロファイルは97段階に分類される。

 

・昔も今もイスラエルの若者は、エリート部隊への配属にあこがれている。以前はパイロットや特殊任務部隊など実戦部隊がエリートであったが、現在ではITを駆使したインテリジェンス系の部隊がエリートとされている。

 

トップ頭脳集団「タルビオット」

・タルビオットは毎年30人程度の理工系最優秀人材を選抜して教育するプログラムで、世界に類のないものだ。

 

<豪華絢爛のエリートたち

・そうやって選抜された約30人の若者は、最新兵器開発のための選りすぐりのスーパーエリート候補として教育と訓練を受ける。

 

・また、タルビオット出身者により起業されたイスラエルベンチャーは枚挙に暇がない。

 

軍が才能と自立心を養う

・タルビオットのようなエリート集団に限らず、軍での体験は、イスラエルの若者たちに大きな果実をもたらしてくれる。

 

・余談だが、シンガポールにも最優秀の学生を集めて英才教育を施す「スカラー」というエリートコースがある。このコースの出身者が40代の若さで政府のトップに抜擢されていく。これはイスラエルから取り入れたシステムである。

 

最強のサイバー諜報組織「8200部隊」

・「8200部隊」はサイバー諜報活動を担うエリート集団であり、かの有名なモサドイスラエル諜報特務庁)と並んで世界にその名を轟かせている。

 

・8200部隊の名を一躍有名にしたのは、10年、イランが極秘裏に進めてきたウラン濃縮装置が破壊された事件だろう。

 イランはイスラエルという国家の存在を認めておらず、政治指導者が「抹殺」を公言している。一方でイランは核拡散防止条約を無視し、核開発を強行してきた

 

・現在、インテリジェンス関連の情報の90%は8200部隊がもたらし、諜報特務庁「モサド」にせよ他の情報機関にせよ、8200部隊なしに大きな作戦を遂行することはないという。

 

ITベンチャーの創業者が続々誕生

・8200部隊もタルビオットと同じく高校卒業時に上位1%の中から選抜される。

 

・さらに驚くのは、13歳の若さでの選抜もあることだ。

 

・そうした経験によって培われた自信と達成感が、企業家精神に相通じるのかもしれない。8200部隊の出身者は、イスラエルのIT業界でさまざまな起業をしている。

 

8200部隊の経験が起業につながる

兵役で養われる「人の見分け方」と「人的ネットワーク」

・開拓者精神や移民の多さなど、イスラエルアメリカの起業家で共通点は多いが、両者で決定的に異なるのは、兵役である。

 

・タルビオットや8200部隊などの超エリートでなくても、兵役除隊後にベンチャーを創業して成功している例は多々ある。

 

兵役で知る「個」のエゴを上回る「大義

「軍産官学」の連携

・兵役を終え、除隊したイスラエルの若者の過半数は、いったんアルバイトか短期就職でお金を貯め、海外見聞の旅に出る。そして半年か1年を経て母国イスラエルに戻り、海外見聞で得た問題意識も踏まえながら大学を選ぶことになる。大学入学時点の年齢は男性で平均23歳くらいである。大学で学ぶ日本人の場合、学部を卒業する年齢である

 

・「人口当たりのイスラエルの大学の数、GDPに対する教育費の割合の高さ、研究開発費の割合の高さは、いずれも世界一です。国が整備してきた高等教育と知的活動環境が、この結果を生んだのです」

 

イスラエルが国策としてコンピューターサイエンスを狙った理由については「小国のイスラエルには、巨額の設備投資を必要とする重厚長大型産業は難しいためです」と、タドモア教授は語った。

 

「国家ビジョン」が確立されている国

・一方、その後も起業家を目指す人材を支援し続ける様々な制度もある。

 たとえば「ヨズマ」と呼ばれるプログラムは、起業家に投資するベンチャーキャピタルを国の内外から呼び寄せるために、イスラエル政府がマッチングファンドを提供する制度である。ヨズマはイスラエルの起業家と資本家の間のブリッジ役を見事に果たしている。

 

ユダヤ人は優秀」の謎

・とはいえ、イスラエルが極めて教育熱心な国家であることは間違いない。現在のイスラエルには世界的にみても卓越した大学や研究機関が多数存在する。

 

ワイツマン科学研究所の啓発プログラム

・テルアビブ市内から車で南に30分ほど走ったレホヴォトに、ワイツマン科学研究所がある。緑に囲まれた広大なキャンパスに中に、数学、物理学、化学、生物学、コンピューターサイエンスなどの研究棟が立ち並び、研究者用のアパートやイベントホール等も整備されている。約1000人の研究者のほか、1100人以上の大学院生(うち約400人がポスドク)が日々、研究に打ち込んでいる。

 

・そうした歴史をもつワイツマン科学研究所は2011年、学術誌『サイエンティスト』が選ぶ「アメリカ以外で研究者が働きやすい場所」1位の座を獲得した。

 

早い英語教育と英語を必要とする環境

イスラエルの英語教育は小学校で始まる。ただ、学校教育だけではない。それ以前から各家庭で子供たちが見るテレビ番組にはアメリカを中心とした海外番組が流れ、英語がそのまま音声を通じて日常空間に入り込んでいる。

 

徴兵制度に替わるもの

・日本は平和国家であり、徴兵制度とは縁がない。ただ、イスラエルの優秀な頭脳たちが、軍において安全保障という国家の最も重要なテーマに向き合って頭脳をさらに鍛え上げ、起業・イノベーションで成功しているという流れを見てくると、日本は安穏としていられないという気にもなる。日本の場合には、自衛隊の頭脳を民間がどう活用しているのかは、興味のあるところである。

 

多様性「ダイバーシティ

イスラエルの「移民効果」は、マクロにおいてはリスクテイカーが入ってくることによって、社会が新陳代謝されるという点が大きい。

 

格差とナショナリズム

・「イスラエルは確かにトップ層の知的レベルは非常に高いが、残りの多くには特にそう感じさせるものはない」

 

・むしろ問題は、「格差」にある。25歳から64歳までの一般的イスラエル人の場合、男性の84%、女性75%が就業しているが、アラブ系の女性と超正統派ユダヤ人男性はそれぞれ21%と27%にすぎない。

 

日本の持続性とハイブリッドを目指す

・世界で初めて人口減少と超高齢化を同時に迎える日本が引き続き、賑わいを取り戻して発展していくためにも、イノベーションが求められている。日本文化の成熟ぶりをポジティブにとらえることは、「クールジャパン」

的には良いことかもしれぬが、成熟の後に衰退が来るのを甘んじて待つことは避けたい。国として持続的に発展するためには新陳代謝が必要である。キーワードは若い世代への大きな権限委譲、挑戦、失敗体験の機会提供、そして中間管理職のダイバーシティマネジメントスキルであろう。

 そんな日本への新たな刺激として「イスラエル・エコシステム」を取り入れることで、イノベーションと新陳代謝が促されることを期待したい。

 

 

 

『フランス人は1割しかお嫁に行かない』

親子3人パリに住んでみた

柴田久仁夫  東邦出版  2016/6/23

 

 

 

フランス人は1割どころか、お嫁になんて誰も行かない!?

「フランス人は、1割しかお嫁に行かない」

本当かな、と思いますね。この本を書いた僕でさえ、最初は半信半疑でした。でも実際に統計にあたってみると、2010年とちょっと古い数字ですが、20代フランス人の婚姻率は、12.6%しかなかったのです。男女に分ければ、わずか6.3%ずつということになります。

 この20代の数字に30代を加えても、29.5%にとどまります。単純に計算すると、14.75%の女性と14.75%の男性が結婚しているだけ。フランスではその後も婚姻率は下がり続けてるはずですから、「フランス人は、1割しか嫁に行かない」とうたっても、あながちウソではないと言えます。

 

一方でフランスは、事実婚率が他国に比べて非常に高いんですね。正式な婚姻手続きを取らなくても、各種社会保障などまったく同じように受けられることも、大きな理由のひとつです。この国では結婚せずに一緒に暮らし、家族を作ることに対し、社会的な偏見はほとんどありません。現職のフランソワ・オランド大統領からして、4人の婚外子のパパなのですから。

 

・なので今や事実婚の場合は、全カップルの50%に迫る勢いです。それを合せたフランス人の婚姻率は、むしろ日本より高いほど。そして出生率は日本をはるかにしのいで、平均すると家族当たり2人以上の子供がいるのは、ご存知の通りです。

 

・そもそもフランス女性には、「嫁に行く」という概念はありません(フランス語には「嫁」という単語がない)。本文でも詳しく紹介してますが、何百年も続くよほどの名家ならいざしらず、一般のフランス人家庭では、「家に嫁ぐ」という意識がまったくないのです。となると本書のタイトルは、いっそのこと「フランス女性は、誰もお嫁に行かない」がいいのかも………。

 

・この本はそんな結婚事情を始めとする、フランス・パリに暮らす僕たち日本人一家の見聞録です。

 

・そして、見た目は完全に日本人ながら、中身はフランス人的メンタリティがけっこう色濃い娘(こういうのをフランスでは、バナナと呼んだりします。そのココロは、「皮は黄色で中身は白い」という、身も蓋もないものです)。

 

結婚

ごちゃまぜ婚も当たり前に

・2年ほど前のフランスで、家族を扱った映画が大ヒットしたことがありました。『Qu’est-ce qu’on a fait au Bon Dieu?』、直訳すると、「神様、私たちがなにをしたというのです?」というタイトルの喜劇映画。日本でも『最高の花婿』という題で上映されました。話の展開は、きわめてシンプルなものです。

 裕福なブルジョワで、敬けんなカトリック教徒のフランス人一家がいました。ところが4人の娘たちのうち、上の3人が順にアラブ人、ユダヤ人、中国人と結婚してしまいます。ショックを受けつつ、義理の息子たちになんとか寛容なところを見せようとする両親。しかしついつい差別的な態度が出て、怒った娘たちは実家と絶縁状態に。そこで彼らは、末娘だけはなんとかまともなフランス人と結婚してほしいと願うのですが、その願いも空しく、末娘が連れてきた婚約者はアフリカ出身の黒人でした。しかも彼の父親は、かつての宗主国フランスが大嫌い。そこからドタバタが巻き起こるという粗筋です。

 この映画が面白いと思えるかどうかの境目は、おとぎ話と割り切ってすんなり物語のなかに入れるかどうか、だと思います。なにしろフランス人は日常的に、異文化、異宗教、異人種間のゴタゴタにさらされています。なのでこの映画のウソ臭さというか、最後は皆がわかり合い、和解するというあまりに安易なハッピーエンドぶりは、実生活では絶対にありえないとわかっているはずだからです。

 

それでも封切り2カ月で、1000万人を超える人々が映画館に足を運びました。ハリウッドの大作でも、なかなか達成できない記録です。人生に対してちょっと斜に構えたところのあるフランス人たちも、素直な気持ちでこの映画の世界に浸り、十分に楽しんだということでしょう。

 4人の姉妹が全員非フランス人と結婚するというケースは、さすがに現実にはほとんどないと思います。でも一族の誰か一人が国際結婚をしたという例なら、僕の周りだけでも、日仏カップルに限らずいくらでもあります。

 

・そういえばパリ在住の日本人なら誰でも、フランス人に道を訊かれた経験があるはずです。うちの奥さんも暮らし始めてすぐの頃、まだフランス語もろくにできないのに、いきなり道を訊かれて困ったと言っていました。

 

未婚じゃない、“非婚”の国

・話を結婚に戻しましょう。少し古い統計ですが、2013年のフランスでは23万1225組のカップルが結婚式を挙げました。1日当たりに直すと、630組。というとものすごく多いように感じますが、第2次大戦以来、最も少ない数字なんだそうです。結婚する人数は年々減り続け、さらに婚姻年齢は高くなっています(男性32.3歳、女性30.5歳。その10年前の2003年は、男性30.6歳、女性28.5歳でした)。晩婚化はフランスに限らず、日本をはじめとする先進国共通の傾向ですが、フランスの場合、結婚数の減少や晩婚化とは裏腹に、出生率は増え続けています。

 

・大きな理由としては、手厚い家族手当があるわけですが、もうひとつ「PACS」の存在も見逃せません。1999年に制定されたパックスは、同性異性を問わず、事実婚カップルに対して、法的婚姻関係とほぼ同等の権利を認めた制度です。税制、あるいは出産、子育ての優遇措置が受けられるもので、つまり法的に結婚していなくても、経済的なハンデを負うことなく家族が持てるわけです。その結果、パックスの申請者数は順調に増え続け、2013年には16万8126組に達しました。つまりフランスでは今や、一緒に暮らしているカップル10組のうち4組が事実婚、という計算になります。

 

そしてそんな保守的な人々をいっそう憤激させたのが、2013年に成立した「同性婚法」でした。

 この法律はひとことで言えば、「性別を問わず、誰でも正式に結婚できる」というもの。その結果、同性カップルも市役所で市長立ち会いのもと、正式な結婚式を挙げられるようになりました。しかしこの法律がなによりも革新的だったのは、「同性婚、および同性カップルにも、養子を迎える権利を認めた」ことでした。というのもそれまでのフランスでは、「養子縁組ができるのは、(同性、異性に限らず)法的婚姻者のみ」だったからです。パックスの成立で同性カップルも法的婚姻者とほぼ同等の権利を得られるようになりましたが、「子を持つ」ことまでは無理でした。それがこの同性法によって、養子縁組が全面的に認められたのです。

 

ベビーカーと男性カップ

・法律施行からちょうど2年が経った2015年5月、『ルモンド』紙が「同性婚カップルのその後」をレポートしています。それによれば、この間に正式に結婚式を挙げた同性カップルは、1万7500組。2014年に限れば1万件で、これは同年の婚姻総数24万1000件の約4%を占めるとのことでした。そのうち男性同士が54%と女性同士よりやや比率が高く、平均年齢も女性同士の43歳に対して50歳と、ずいぶん高めでした。

 

・では同性婚法の目玉とも言うべき、養子縁組はどうなったでしょう。彼らのうち721の女性カップルが養子縁組を申請し、この記事が出た時点で281件の縁組許可が下りたということです(男性カップルの申請数は、未発表)。

 

・とはいえ同性婚に否定的な首長が存在していることはたしかでしょう。そこにはカトリックの伝統的な考えも影響していると思われます。信者数が減少しているとはいえ、フランスは依然としてカトリック大国です。そしてカトリックにとって同性愛行為は、罪深い行いとされます。

 

同性婚の家族を扱った映画は、少なくともコメディの分野ではまだ出てきていません。笑い事ですませるにはちょっと生々しすぎる話題だと、製作者側が感じているからでしょうか。

 

<女たち>

日本人妻はクリスマスにぐったり

・それはさておき、それだけ大事なクリスマスですから、クリスマスプレゼントも気合が入ってます。日本だったら、小さな子供にサンタさんから贈りものが届く程度ですが、フランスの場合は家族全員が送り合います。

 

こうやって買い込んだプレゼントを自家用車のトランクに詰め込んで、フランス人たちは両親宅へと向かうわけです。

 しかしそんな習わしが、フランスの日本人妻にかなりの重荷になっているようです。経済的な負担もさることながら、1人ひとりに毎年違うプレゼントを考えないといけない。ある奥さんが嫁いだ一族は、ご主人が5人兄妹ということもあって、クリスマスには総勢24人が勢ぞろいするそうです。自分たちの家族4人分も含め、全員に違うプレゼントを買うわけで、これはたしかに大変な労力です。

 

フランスには結婚式や出産の際、事前に「欲しいものリスト」を作成し、プレゼントをくれそうな知人や友人たちに送付する、「リスト・ド・マリアージュ」「リスト・ド・ネサンス」という習慣があります。リストをもらった人は自分たちの懐具合と相談しながら、リストから商品を選びそれに見合った金額(あるいはその一部)を贈る、これならいらないものが贈られることもないし、贈る側の経済的負担も比較的少ない。実に合理的なシステムです。なのにクリスマスだけは、相手が喜ぶかどうかわからないものを毎年贈り続けている。

 

実は「鬼嫁」だらけ?

・フランスにも日本と同じような、いわゆる嫁姑関係はあるのか。これは、難しい質問です。そもそもフランス語に、「嫁」とか「姑」にあたる言葉はありません。第3者に紹介するときは、「義理の娘」とか「息子の妻」、逆の場合は「義父母」というだけです。

 何百年も続くよほどの名家なら話は別なのでしょうが、一般のフランス人家庭では「家に嫁ぐ」という意識がまったくないからだと思います。実際、「嫁と姑」の関係は、日本とはずいぶん違って見えます。

 

・こんな関係性を目のあたりにすると、フランスでは嫁姑問題なんて存在しないんじゃないかと思ってしまいます。そもそも両親が息子夫婦と同居することはほとんどなく、会うのはクリスマスとかだけですから、なおさらです。適度に離れて暮らしているぶん、いい関係を保てているんじゃないかと。

 ところがそんな僕の仮説は全然外れていると、冒頭で紹介した日本人の奥さんに言われてしまいました。「嫁姑問題は、日本よりはるかに激しいわよ」と、彼女は断言するのです。

だってフランス人の嫁は、性格がきついでしょう(笑)。どうしても義父母と、折り合いが悪くなってしまうのよね。私の知り合いとか義弟夫婦を見ても、うまくいっていないのが普通だと言ってもいいぐらい。言いたいことをあれだけはっきり口に出したら、うまくいくわけがないわよね」

そのあたり、ぐっとこらえる日本人妻のほうが、まだうまくいっているという主張でした。

 

・それはともかく、フランス人家族の実家との付き合いも、日本同様に決して簡単ではないということですね。嫁姑の関係に至っては、むしろ日本以上にうまくいってないところが多いのかしれません。

 

大統領のセクシーな私生活

・ひとつたしかにいえるのは、この国は恋愛に対して実に寛大だということです。なにしろ僕がフランスに来てからの歴代大統領はことごとく、1人の例外もなく女性問題を起こしているのですが、それが自身の進退に繋がるとか、轟々たる非難を受けたとかいうことがありません。

 たとえばフランソワ・ミッテランは大統領就任直後、愛人の存在について問われ、「エ・アロール?(それが、なにか?)」と平然と答えたことが、日本でもずいぶん話題になりました。しかしフランス国内でそのとき以上にミッテランの女性問題が大騒ぎになったのは、それから約10年後に写真週刊誌『パリマッチ』が、隠し子との2ショットをスクープしたときです。

 

権力者に愛人がいるのは当たり前だ

・次のシラク大統領は前任者ほど派手ではなかったものの、日本に合計80回以上も旅行したのは愛する日本人女性に秘かに会うためだったというのは、パリに暮らす日本人のあいだでは公然の秘密でした。これがサルコジ大統領となると、はるかにすごい弾けっぷりを見せてくれます。これまで3度結婚しているのですが、2度目の妻セシリアを見初めたのは、彼女が有名なTV司会者とパリ郊外の市役所で結婚式を挙げたときでした。市長として立ち会ったその式で一目惚れ。思いが募った末、のちに彼女を略奪してしまうんですね。

 ところが大統領に就任する頃には2人の仲はすっかり冷え切り、彼女はサルコジ支持者の実業家とニューヨークに駆け落ち。その後いやいや復縁しましたが、たしか就任式にも出席しなかったような気がします。サルコジはまもなく離婚し、わずか3カ月後にはトップモデルで歌手のカーラ・ブルーニと再々婚しました。3年後、女児が誕生。「フランスの歴史上初めて、在任中パパになった大統領」と、当時のニュース番組でずいぶん揶揄されました。

 

・現在のオランド大統領も、この点では負けてません。長年事実婚だった女性政治家とのあいだに4人の子供まで設けましたが、大統領就任前にその関係を解消。未婚の大統領というのも、たしかフランス史上初めてだったはずです。その後、有名ジャーナリストと事実婚となりますが、大女優と密会していたことをまたも『パリマッチ』にすっぽ抜かれ、奥さんにはさっさと去られ、ついでにこれまでの行状を逐一暴露した本まで出版されてしまいます。