『米日露協調で、韓国消滅!中国没落!』
<米中経済戦争の火蓋が切って落とされた>
<米露間のビッグ・ディールとは何か>
・先ず、ロシアが求めているのは、アメリカによる経済制裁の解除とクリミア併合の承認である。
・それでは、トランプがロシアから引き出したい妥協とは何だろうか。それは北朝鮮とイランの核武装阻止、アフガニスタンのアヘン問題の解決、シリアとイラクの安定化などにおいて、ロシアの支援を得ることである。
・近い将来、人民元の対ドル相場は暴落するので、ドル建てでのチャイナのGDPは、極端に縮小し、日本のGDP以下となるであろう。
<国際社会には必ず裏取引がある>
・また、パキスタンの核開発はサウジアラビアが全額拠出しているので、何かあれば、サウジがすべての核を引き取ることになっているという説もあります。
いずれも真偽は不明ですが、国際社会ではこうした裏取引や密約は必ずあります。そうでなければ、米国がパキスタンの核を黙認するはずがありません。
<中国経済の実情>
・では、不動産価格が暴落しない理由は何か、中国の不動産相場は完全な人為相場であり、国有銀行と国有企業によって支えられています。実際に取引はなくても架空の取引も行われることで、不動産価格は維持されています。その結果、無人のマンションがいまだに増え続けています。
地方政府は5年前から借金が出来ずに息切れ状態でしたが、それを救ったのがシャドウ・バンキングと地方政府の債券発行を認めたことでした。つまり、目の前にある借金を返済するため、地方政府が債券を発行して帳消しにするという悪循環です。
シャドウ・バンキングと地方債務、赤字の国有企業とそれに貸し付けをしてきた国有銀行の累積債務を中国政府は過少に見積もっています。しかし、ウォール街やスイス銀行の推定によれば、中国全体の債務は37兆ドル、日本円に換算して3800兆円にのぼるといわれます。
今、中国の住宅金利ローンの金利は5.5%であり、庶民の組んでいる不動産ローンの債務だけで600兆円近くになるはずです。この債務の爆発は時間の問題であり、それをひたすら誤魔化しているのが現状です。
・その手段になっているのが不動産ブームの維持・拡大。それに新幹線・ハイウェイといった国内プロジェクトの拡大・継続です。しかし、こうしたプロジェクトは将来の運賃が担保です。もとから運賃の安い中国ではまったく回収出来ていません。そこで鉄道債を発行して庶民に買わせ、かつ、外国の一部にも買わせることで運用してきました。
・中国政府はシャドウ・バンキングやネット上での取引、地方政府による債券発行制限など、様々な手段を駆使して債務の爆発を食い止めています。
・この対米貿易黒字がなくなれば、最も困るのは中国です。しかも経済破綻の直接の要因になるならば、中国は何としても米中貿易戦争の泥沼化を避けるはずです。
<「一帯一路」は時限爆弾>
・つまり「一帯一路」プロジェクトは中国の在庫品と余剰労働力を海外に放出して処分しようとするものであり、あこぎなことに相当数の囚人がその余剰労働力の中に入っています。そのことはパキスタンの議会質問で分ったことです。
・さらに「一帯一路」プロジェクトのマイナス面を紹介すると、中国が貸し付けをした国は破産の危機に直面しています。ベネズエラの対外債務は680億ドルであり、そのうち、420億ドルが中国の債権です。国民はハイパー・インフレに苦しみ、コロンビアやブラジルに経済難民となって流出しています。
パキスタンもベネズエラと同様、間もなくデフォルトになります。IMFの管理下に入れば、緊縮財政と増税を求められるため、プロジェクトは中止になります。だから中国は6月下旬に10億ドルを追加融資しました。今後、そうした国が増えていくはずです。中国の貸し付けた金の償還期限が来ても、支払える国はどこにもないためです。
<中国の影響下に落ちる国々>
・さて、日本ではあまり報道されていないのがインド経済圏です。ネパール、ブータン、インド、スリランカ、バングラディシュ、モルディブが含まれます。
前述のように、スリランカが中国による借金の罠にはまりましたが、モルディブも同様です。モルディブ政府の歳入は1億ドルしかないのに、中国から20億ドルも借り入れをしています。中国はモルディブから16の無人島を借りており、その担保権行使にでる。中国の軍港にすることは簡単なことです。
<米中軍事対決と中国崩壊は不可避だ>
<習近平は独裁体制を強めている>
・経済の面では、市場経済から統制経済に戻すことで株価の暴落を防いでおり、一応の平穏は保たれていることになります。ただし、地方政府の債務を帳消しにしたことで、国内における潜在的インフレは高いレベルに達しているはずです。
バブルの崩壊が起きない代わりに、国内における経済資源の分配は非効率的になります。李国強は国有企業の民営化を促進しようとしていましたが、そうした動きはすべて頓挫したことになります。
経済資源の分配が非効率化すれば、対米貿易を通じた外貨の獲得力は衰えます。
<中国は米国と戦争をする気があるのか>
・私は習近平政権が強いか否かを判断する上で重要なことは、南シナ海で米軍を相手に戦争が出来る政権なのか否かということだと考えます。習近平は個人的には対米戦を恐れていますが、南シナ海での米中軍事紛争はもはや避けられないと思います。
・2017年12月30日、パット・ブナキャンのインタビューが産経新聞に掲載されました。彼はニクソン政権とレーガン政権でスピ―チ・ライター等を務め、トランプの米国第一主義にも影響を与えた人物であり、このインタビューでは、「日本は真剣に核武装を考えるべきだ」と述べています。
これは北朝鮮の核武装は防げないという前提での発言です。その上で、米国は南シナ海でコミットメントすべきではないと述べています。米軍は米国の国境さえ守ればいいという思想の持ち主です。
・米中の軍事紛争が長期化するか、短期に終結するか分かりませんが、私は米中の直接対決は起こるはずだと見ています。その時こそ、日本が覚悟を決めるべき時です。南シナ海における中国の敗北は共産党独裁体制の瓦解につながるのではないか、というのが私の希望的観測です。
<人民元暴落こそ戦争の危機だ>
・中国が最も望んでいるのは人民元経済圏をつくることです。最初は20カ国で人民元スワップをしていましたが、現在は大幅に縮小しています。国際金融市場では香港、シンガポール、ロンドンだけです。事実上、人民元経済圏に組み込まれてしまったのがラオスとカンボジアです。
私は2018年3月にラオスを訪問しました。中国との国境地帯には高層マンション、カジノホテル、大型免税店が立ち並ぶ大都会が出現していました。
・中国はドル建てから人民元への転換を急いでいます。そのために原油市場をつくりました。上海の原油取引所は人民元で取引することになっています。
しかし、産油国としては原油と引き換えに人民元を手にしても大して意味のない国々は多い。せいぜい武器を買うぐらいしか出来ませんから。そう考えると、ドル建てのほうがよく、人民元経済圏がうまくいくとは思えません。
・さて、さきほどの藤井さんのご指摘で興味深いところがありました。中国が人民元暴落によるバブル崩壊を防ぐため、様々な規制をしているというのは事実です。
そうすると、どこにその矛盾が吹き溜まっていくのか。結局は外国為替になります。
人民元が暴落すると、中国国内にインフレが発生し、かつ、世界各地から中国人観光客の姿が消えます(それは歓迎ですが……)。中国当局は外貨規制をますます強化しますが、中国国民には正確な情報は入ってきません。ハイパー・インフレになっても通貨は増刷されるため、不動産価格が暴落しないかぎり、中国の民衆は深刻に危機を自覚することはありません。
中国における真の危機は何か。不動産は絶対に値崩れしないという信仰が崩れた時です。どういうかたちでその危機が訪れるか分かりませんが、必ずパンクします。
中国政府はその矛盾をどう誤魔化すのか、ということを考えると、やはり対外戦争以外に手段はありません。負ける場所に侵攻することはあり得ませんので、台湾の金門島周辺の無人島をひとつ、ふたつ占領することで、勝った勝ったと宣伝し、体制強化の口実にしようとするかもしれません。
<軍事と経済から見た米中関係>
<米中軍事衝突・貿易戦争の可能性>
・次に経済についてですが、私は米中貿易戦争と呼ぶほどの対立にはならないと思っています。
そもそも人民元で外貨を獲得する力が弱まれば、外国から輸入している食料品も値上げせざるを得ません。食料品価格を政府が統制しようとすれば、必ずヤミ市場が生まれます。庶民の生活は苦しくなり、中国の体制は動揺します。
中国が豚肉をはじめ、食料品を米国からの輸入に依存している以上、米中貿易戦争は中国にとって圧倒的に不利です。米国以外の輸入先を見つけようとすれば、食料品価格が上昇するからです。
・残念ながら、シリコンバレーの主要企業をみると、アップルだけでなく、マイクロソフトやグーグルも社内は圧倒的にアンチ・トランプ派で占められ、中国への傾斜が進んでいます。中国で導入されている顔認証技術の多くはもともと米国の企業が開発したものです。
トランプにとって、中国から米国への企業移転を促進することは重要課題です。タックス・ヘイブンに預けた資金を米国に戻せば、課税率を下げるという政策もその延長線上に位置します。その代わり、中国企業が米国に進出する場合は課税しないというのも雇用創出策の一つです。
<トランプは国境に壁をつくるのか>
・なお、米国とメキシコの関係について補足しておきます。
これまで両国間の入国管理は厳正に実施出来ておらず、メキシコのマフィアが違法薬物と並んで、違法移民の密入国を組織的に手引きしてきました。相場として一人当たり5000ドルで米国に密入国出来るそうです。マフィアは米国から密輸した銃器で武装しており、トランプが違法移民の入国規制を宣言したことは間違ったことではありません。
・米国ではサンフランシスコ、ニューヨーク、シカゴなど、違法移民と分かっていても逮捕しない都市があります。これでは法治社会といえません。
現在、米国は好景気であり、いわゆる「3K」(きつい、汚い、危険)の職場で働く労働者が不足しています。トランプとしては国境管理を厳正化することで違法移民を厳しく取り締まる姿勢を示していますが、それは合法移民の受け入れ枠を増やすという結果につながります。
メキシコとの間に巨大な壁をつくるというのはシンボリックな話ですが、国境管理を厳正化しなければ、米国とメキシコの不幸はますます続きます。
・トランプが示した方針はドリーマー問題についての極めてリーズナブルな解決策です。彼らがよき米国人になるならば、認めようと言っているのであり、トランプは優しい大統領だと思います。この方針に対して、共和党保守派だけでなく、民主党まで反対したことは滑稽です。
<エリート官僚が支配するEU本部>
・私は藤井さんの分析は基本的に正しいと思いますが、もう少し過激な意見を持っています。やはり、ユーロは解体せざるを得ないのではないか。
そもそも金利は経済主権に属する問題です。金利まで制限され、財政赤字への規制が強すぎれば、その国の経済はおかしくなります。ポーランド、ハンガリー、チェコがユーロに加入しないのはそのためです。現在、ユーロをめぐって悲鳴を上げている国が多くあります。特に背伸びして加入した国は物価水準に追いつけずにいるなど、様々な場所に諸矛盾が表れています。
また、EU域内における移動の自由を想定したシェンゲン協定は難民を想定してつくられたものではありません。現状は労働人口の自由な移動という理想から乖離しています。
<ブリュッセル(EU本部)の官僚主義への批判がイタリアで高まっている>
・私は2018年3月にベルギーを取材した際、タクシーでEU本部とEU議会を見学しました。あの一帯だけが完全にインターナショナル・ビレッジのごとき印象を受けました。
官僚たちが食事とワインを楽しみつつ、空想的な議論に耽っているようでした。まさに鼻持ちならないエリート主義です。
ベルギー国民はその光景を見て、「こんなことは許せない」と口を揃えていました。EUのエリートが一般庶民から相当恨まれている証拠であり、そうした感情が各国で反EU主義を掲げる政党の躍進につながっているのではないでしょうか。
<EU存続の条件は財政規律主義の見直し>
・EUは、前身であるECの段階から庶民の願望ではなく、エリート願望が反映された国際制度です。第2次世界大戦後、フランスとドイツの間の鉄鋼と石炭の生産協力関係からスタートしましたが、そこに多くの国が入ってくれば問題も起きます。ギリシャやイタリアに金を貸して返済するのを期待すること自体がおかしいという説もあるくらい、各国の文化は違います。
・EUは初めからスキームに無理があります。本来、ユーロという共通通貨を導入するならば、財務省は一つにせざるを得ないはずです。しかし、各国の経済対策や賃金に違いがあり、同じようにやるのは不可能です。
・私はユーロ廃止まではいかないにしても、現在の財政規律問題を改善しなければ、EUは存続出来ないと思います。もしもドイツが財政規律主義の緩和を認めなければ、最悪の場合、ユーロは解体に向かうでしょう。
そもそも財政規律主義を押し付ける見返りとしてギリシャに補助金を出すならば、問題はありません。しかし、絶対にドイツはそんなことはしません。
・マクロンは、大統領就任後の動向をみていると意外にまともな人物といえます。徴兵制の復活を主張し、国内政治の面では規制緩和です。
社会党を与党とするフランソワ・ミッテラン政権(1981-1995年)以来、フランスは社会主義化されました。政府や企業が職員を解雇することが非常に難しくなりました。マクロンの政策は規制緩和によって自由化を進め、もう少しフレキシブルにしようという程度のものです。国内に敵は多いのですが、割とよくやっていると思います。
徴兵制を復活させましたが、1ヶ月程の訓練でフランスの軍事力が大幅に増強されるわけではありません。国防意識の育成と反テロリズムの教育によって国民的一体感を持たせるのが目的です。
<欧州は対中国で足並みが揃っていない>
・なお、対中関係を見ると、フランスとイギリスは南シナ海に権益を持っているため、空母を派遣するなど、足並みは揃っているようにみえます。しかし、ドイツがあそこまで中国に傾斜しているのはなぜか。将来、メルケルの政策の失敗として評価されるのだと思います。
現にフォルクスワーゲンのデータ改ざん、ドイツ銀行の不振、そのドイツ銀行の筆頭株主がいつの間にか中国だったという舞台裏でのつながりなど、独中関係も裏をみると闇の部分が多いですね。
<日本人は冷静に英独両国を見よ>
・私は戦後のドイツを覆っているのは反ナチズム全体主義だとみています。少しでもナショナリズムの匂いがするものは徹底して排除しなければならないという意識です。
・メルケル首相は国内で人権擁護をアピールしていますが、国外的には世界最大の人権蹂躙・環境破壊国家である中国と経済的に提携しており、非常に矛盾しています。
・ドイツの親中路線は明確な反米主義を軸にしたものであり、英国の場合も同様の傾向が認められます。英米関係は非常に複雑であり、英国は新しい覇権国である米国に嫉妬している面があります。
<タックス・ヘイブンを中国に利用させるな>
・なお、英国のEU離脱交渉(ブレクジット交渉)がどうなっているのか、私たちにはよく分かりません。今、くすぶっているのはタックス・ヘイブン問題です。英国の王室直属領はいまだにタックス・ヘイブンです。英国がEUを離脱するのは構わないが、そうした地域のタックス・ヘイブンは規制してもらいたい、というのがEUの原則的立場です。他の国々によって利用されれば、タックス・ヘイブン規制が底抜けになるからです。
・しかし、英国としては本国でのタックス・ヘイブンは規制するが、そうした地域は別扱いという論理のため、ブレクジット交渉も前進しないというのが現状です。英国海外領については規制を導入しましたが、王室直属領についてはいまだに例外としています。私は英国が今まで抜け道として利用してきたタックス・ヘイブンこそ、一番大きな問題だったと思っています。たとえば、カリブ海にある英国領バージン諸島には中国のペーパー・カンパニーが多数登記されており、そこを巨額の資金が行き来しています。
<電気自動車ブームから見たエネルギー問題>
・中国では電気自動車が主流になりつつありますが、その背景には原油価格の高騰に耐えられなくなるという必死の焦りがあるためです。しかし、電気自動車を走らせるには電力が必要です。中国は2030年までに原発を100基体制にすると豪語していますが、不可能です。
・米国で電気自動車が主流になることはないという前提があるためです。したがって、現在の電気自動車ブームは中国主導によるものです。言い換えれば、中国の計算違いによるマーケット期待です。
あの風力発電や太陽光パネルの一時的興隆は政府の補助金でした。いまの電気自動車ブームの本質もこの補助金であり、開発は赤字、将来の市場性も望めないのに、各メーカーが狂奔しているのは補助金の共食いでもあるのです。
<化石燃料の時代は今後100年続く>
・米中の経済関係を考える上で最も大きな問題は、米国が金利を上げるということです。国内が好景気になったための措置ですが、中国としては資金調達の上で相当の打撃を受けます。したがって、米国による金利引き上げは一種の対中経済制裁といえないこともありません。
米国内は景気が上向きになったので多少の金利引き上げにも対応出来るので、その分、中国に国際的な圧力をかけようということではないでしょうか。
・つまり、従来型の天然資源に加え、シェールガスやシェールオイルもあるので、今後30年くらいは米国はガスやオイルの輸出国であり続けるでしょう。将来、日本も米国から液化天然ガスを輸入し、日本で利用するようになるでしょう。
そうしたことを考えると、石油ピーク論はまったくの嘘です。今後とも100年は石油、天然ガスを主要エネルギー源として使用する時代は続くはずです。石油は経済ショックや戦争などの一時的なことを除けば、それほど価格は上昇しないでしょう。
<中国はコバルトとレアアースの独占に失敗した>
・ちなみに江西省では岩盤を化学薬品で溶かし、残ったものをレアアースとして採取していました。その結果、地下水が汚染され、付近の住民のなかには奇病になった人が続出しました。
・レアアース戦争は仕掛けた中国の側に痛手を残したといえます。コバルトも、そういう結果になるような気がしています。
<「トランプ砲」>
・トランプは中国にたっぷり貯め込んだ外貨を散在させて、その国力を弱体化させる戦略を行使しているのではないか。
米国は中国が呼びかけているAIIB(アジア・インフラ投資銀行)に最初から冷たかった。日本も参加する意思はない。
第一にトランプの戦略は中国の金利政策、外貨規制に照準を合わせている。中国の外貨準備が底をつけば、必然的に人民元は激安に向かう。
・第二に中国の不動産バブル崩壊は必定だが、それを早めることである。つまりFRBが金利を上げると、投機資金は米国へ還流する。不動産価格を下支えしているのは、国有企業、国有銀行などが巧妙に公的資金を注入しているからだ。中国の庶民がかかえる住宅ローンも、金利が高まれば個人破産が増える(おそらく暴動が頻発するだろう)。
・第三に中国経済がかかえている難題は「株安」「債券安」「人民元安」と、三つの市場における連続的な下落である。ところが雇用方面では賃金高、インフレが昂じて物価高、金融市場は金利高になって、その政策と現実の乖離は激烈である。
・第四に中国は国内にゴーストタウンを量産したが、くわえて週一便しか飛ばない辺地に飛行場を造成し、乗客が見込めない田舎にまで新幹線を建設し、あちこちに橋梁を架け、トンネルを掘り、都市部から離れた田圃に新駅を造り、50の地方都市では採算が合わないとされる地下鉄網をつくって、エベレストより高い借金の山をつくった。
・第五に遅れて参入した生損保、とりわけ生命保険の迎えるインソルバンシー危機(債務超過)。また福祉、老人年金はすでに多くが基金を取り崩している。中国は少子高齢化の速度が日本より速く、しかし介護保険制度はなく、老人ホームは富裕層しか入居できない。
・「一帯一路」は、まさに不良在庫処理と、労働力の輸出であり、相手国経済を収奪することだ。
したがって、すでに工事中断に至っている案件はニカラグア運河、ベネズエラ高速鉄道、インドネシア新幹線、ミャンマーの水力発電などで、目標通りに完成させたのはヨーロッパをつなぐ鉄道くらいである。
・かつて日本はスーパー301条発動にくわえて「ローカル・コンテンツ法」によって、自動車メーカーは米国進出を余儀なくされた。
それによって部品の下請け、孫請けもぞろぞろと米国へ進出したため、国内は空洞化を来たしたように、中国もいずれそうなるだろう。つまり米中貿易戦争とは、アメリカの中国貧窮化政策といえるのではないだろうか。
『愛国のリアリズムが日本を救う』
「何のために」を見失った日本人への骨太の指針!
<今こそ国益と政策的合理性の追求を>
・右と左の観念論を論破し、既得権益に固執する官僚とご都合主義に走る業界を糺す。
<愛国に右も左もない。あるのは日本に対する責任感だ!>
・戦後教育にどっぷりとつかり、学界やマスコミ界という「ムラ社会」の掟と徒弟制度のしがらみから抜けられない学者やジャーナリストなどは、強い思い込みというイデオロギーの世界にはまり込んでおり、現実を直視できていない。
<国益と政策的合理性の追求>
<筆者は、「国益を守る」ということが愛国だと思っている。>
・国という共同体において、そこに生きる人々の雇用が確保され、生きがいを持って仕事に打ち込み、相応の賃金が確保されることは、経済政策の根本だ。相応の賃金の総和が国の豊かさであり、それを実現することが国益の追求となる。
・むしろ、戦争にならない確率をどう高めるかが現実的な課題となる。筆者は、過去の戦争データなどを検証した結果、集団的自衛権を行使した方が戦争になる確率は低いと見出した。
・また、「もう日本は経済成長しない」「金融緩和政策では経済成長はあり得ない」などと言う人もいるが、バブル経済崩壊に伴う「失われた20年」は、日本銀行が間違った金融引き締めを行っただけであり、金融政策をセオリー通りに行っていれば景気の低迷はなかった。リーマン・ショック後も他の先進国が経済成長を果たしている中で、日本だけができない理由はどこにもなかったのだ。
金融引き締めという高金利政策のもとでは、銀行は利ザヤを稼ぎやすくなるため、「銀行ムラ」に所属する経済学者やエコノミストは、自ずと金融緩和政策を否定する。
・特にアベノミクスを批判してきた左派やリベラルの政党、左派系マスコミでは、これらの状況をどのように理解しているのか。「貧富の格差をなくせ」と言うが、まず失業率を低くし雇用が確保されれば、人材不足に陥った企業は自然に賃金を上げざるを得ないのだ。左派・リベラル政党こそ、やるべき政策だったのである。
・一方、わが国の財務省は「財政再建のため消費増税は必要だ」と言う。
しかし、これは彼らの天下り先である特殊法人や独立行政法人を民営化、もしくは廃止して投資を回収するという手段を考慮し、統合政府の考え方で国の子会社である日本銀行をバランスシートに加えれば、日本の財政は健全であることに目を向けようとしない。景気低迷から今まさに脱却しようという途上で、消費増税などというのは、角を矯めて牛を殺す議論でしかない。
<総理大臣は雇用と外交で評価される>
<名宰相の条件>
・当たり前の話だが、首相は日本の国益を最優先して考え、実行していかなければならない。国際社会と協調できず、国民の安全と生活を保障できないようでは、どんなに素晴らしい理想を持っていたとしても、首相としては不適格者だ。
<経済政策の主眼は「雇用」に鈍感だった民主党政権>
<時の政権が見誤った政策の顛末>
・時の政権への批判は野党の重要な仕事であるから大いにやってもらいたいものだが、安倍政権の政策に対して対案を出すにしても、左派系野党の基礎的な学力と分析力、先見性がないとしか言いようがないから、議論しようにもできない。
つまり経済・社会状況や国際関係、過去のデータなどを精査せず、端から「こうあるべきだ」という理想が結論としてあるため、ロジックが通用しない。
政党や個人のイデオロギーは、それぞれ多様で結構なのだが、問題はイデオロギーにあまりに囚われ過ぎて、的確な判断を見誤ってしまっている。そのような政治家が政権にいると日本の舵取りを間違ってしまう。
<雇用を生む政策を見殺しにした民主党政権>
・連立政権の時のような過去の苦い経験を活かし、二度と同じ過ちを犯してはいけない。2008年のリーマン・ショックで後退している景気を立て直すためにも経済政策は重要だった。しかし、民主党の閣僚たちは行政の当事者になるには不慣れであり、各省庁の官僚をコントロールすることなどできるはずはなかった。
<何をやりたいのか分からない左派・リベラル政党>
・すでに安倍政権が金融緩和政策を使って雇用を伸ばすという「リベラル」や「左派政党」のお株を完全に奪っている。その結果、日本の政治では初めてそれを使って目覚ましい成果を出してしまい、その勢いで、市場重視、社会福祉でも矢継ぎ早に政策を出しており、左派系野党は後れを取っている。
<何をもってアベノミクスは破綻していると言うのか>
・その大塚共同代表もアベノミクスの金融緩和政策について、「既に破綻している」「5年経ったが良くなっていない」と批判している。
大塚氏は日銀出身で平均的な国会議員よりは政策を語れる能力はあるが、古い日銀の枠からは出ていないようだ。
日本をデフレに追いやり、「失われた20年」を作った当時の日銀は日本経済のガンであった。それをアベノミクスの異次元緩和によって取り戻しつつある今、再び古い日銀を復活させたいとでも言うのか。大塚共同代表は、金融緩和政策が既に破綻していると主張する根拠を「物価が上がらないからだ」だという。まさに古い日銀そのものである。
物価だけに注目していると、デフレが望ましいように見えてしまう。確かにそうした理論も存在しており、いわゆる「フリードマン・ルール」と呼ばれる。
<労働者の雇用を守り賃金を上げているのは誰か>
・首相が経済界に賃上げを求めるのは「官製春闘」と呼ばれるが、これは安倍政権になってからの現象だ。本来これは労働組合や左派・リベラル政党が行うべきことなので、世界から見れば、安倍政権は「左派政策」をやっているように見える。
<原発存廃問題も市場の原理に任せる>
・ところで、左派やリベラルの人の中で「原発ゼロ」を訴え、原子力発電をすぐに廃止しようと言う人がいるが、これも理想を結論に持っていきロジックもなく「こうであるべきだ」論を展開するロマンチストである。
<AIで近未来はこう変わる>
<近未来、国家資格はなくなる>
・AI(人工知能)について話題になる時、プログラミングの経験があるか、ないかでその受け止め方が大きく違うようだ。経験がない人はAIが人類の知能を超える転換点(シンギュラリティ)を迎え、SF的な発想で人類を脅かす存在になると考えているようだ。経験のある人は単なるプログラムとしか見ていない人が多く、筆者もその一人だが、プログラムは活用するだけという立場にいる。
<AIやロボットの導入により、今後多くの仕事が失われるとの予測がある。>
・タクシー・トラック運転手、ネイリスト、銀行の融資担当者、弁護士助手らの仕事は、コンピュータに代替される確率が90%以上とされている。
ほかにも、コールセンター業務、電話オペレーター、集金人、時計修理工、映写技師、カメラ・撮影機器修理工、ホテルの受付係、レジ係、レストランの案内係、不動産ブローカー、スポーツの審判、仕立屋(手縫い)、図書館員補助員などの伝統的な仕事もなくなるという。
・金融業界も大転換があり、投資判断、資産運用アドバイス、保険の審査担当者、税務申告書代行者、簿記・会計・監査の事務員などは消えるとしている。
・これらには、専門的なスキルと言われてきた「士業」が多く含まれている。法律などによる専門資格を要件としているが、そうした「専門的スキル」と称されるものがAIで代替可能になるというわけだ。
例えば、弁護士は、難関の国家資格が必要とされる業務である。しかし、その実態と言えば、過去の判例を調べることが中心とも言える。過去の判例はデータベース化されているので、適切な類似例を調べるのは、今でもパソコンを使ってやっている。そうであれば、AIでもかなり代替できる可能性がある。
公認会計士や税理士もパソコンの会計ソフトがあるくらいだから代替可能だろう。
<銀行の窓口から人がいなくなる>
・メガバンク3行が、AIやロボットによる自動化を進めるなどして、約3万人分の業務量を減らすと報じられている。