日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

コンタクティやチャネラーの情報を集めています。森羅万象も!UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象といわれます。

どんな商売であれ、機械が代替できない創造的な領域の仕事は生き残る。最終的に価値があるのは、コンサルティングだと私は思う。(1)

 

日本の論点 2020~21』

大前研一  プレジデント社   2019/11/14

 

 

 

{アホ}が支配する世界で私たちはどう生きていけばいいか

混迷続くイギリスの「ブレグジット」が示す民主主義の危機

・21世紀初頭の20年が過ぎようとしている。世紀の節目にあって、世界を俯瞰して改めて感じるのは、民主主義の危機的状況だ。ありていに言うなら、「アホ」が支配する世界になったということである。「我々のリーダーはしっかりしている」と国民が胸を張って言える国がどれだけあるだろうか。

 

・離脱推進派が扇動する声ばかりが響いて、「雇用を奪う移民、難民を制限できる」とか「ブリュッセルEU本部)の指図を受けないで済む」といった離脱のメリットがクローズアップされた。

 

・私の見立てでは50%台の後半、57~58%ぐらいの国民は「Stay」、つまり「離脱反対、EU残留」を選択すると思う。

 

世界各国で台頭するポピュリスト政治家たち

・民主主義が成れの果ての衆愚政治に向かうときには、ハッキリした意見やシングルイシューが支持される傾向がある。わかりやすいからだ。

 

・ドイツの与党が支持率を下げた理由は明白で、移民政策の失敗である。シリアなど中東から難民が押し寄せた2015年の欧州難民危機で、メルケル首相は人道支援の名目で大量の難民を受け入れた。これが国内の治安悪化を招き、難民が通過する周辺国との摩擦を引き起こした。

 

“異形の大統領”トランプに破壊されたアメリカの政治システム

・しかし、トランプ大統領のやり方はまったく違う。自分が考えていることを、人事の発令や政策まで含めてすべて、まずツイッターで発信するのだ。

 

立法府の議会ばかりでなく、司法においても最高裁が保守化して、トランプ政権の暴走に歯止めをかける機能を失いつつある。

 

アメリカのメディアも無力化したトランプ氏のツイッター民主主義

・マスコミを一切介さず、自分の言葉で直接、国民や世界の人々に向けて発信する効果、威力というのはすさまじいものがある。フォロワー数は5000万人を超えていて、トランプ大統領の言葉は翻訳ツイッターによって各国の言葉でシェアされ世界中に拡散していく。その浸透力、波及力は従来メディアの比ではない。

 マスコミ嫌いのトランプ大統領は記者会見をやりたがらないから、新聞も大統領のツイッターに基づいて記事を書くしかない。新聞記者の仕事などまったく役に立たなくなってしまった。

 

トランプ大統領ツイッターやインスタグラムをチェックしたほうがよほど価値ある「一次情報」を得られる。

 そういう意味ではトランプ大統領ツイッター民主主義は三権分立のみならず、第4の権力であるジャーナリズム、マスコミにも破壊的なダメージを与えたと言えるだろう。

 

・トランプ政権の3年間は、「オピニオン・リーダー」とか「識者」と呼ばれるようなインテリ層も破壊した。トランプ批判をしようものならツイッターで速射砲のような反撃がくる。ケチョンケチョンに叩かれ、けなされるものだから、すっかり腰砕けになって、皆、口を閉ざしてしまった。誰も反論しなくなったのである。

 

アメリカ国民も「トランプ・ベノム」に侵されてしまった

・毒蛇など生物の毒腺で作られる毒液を英語で「ベノム(Venom)」という。

 トランプ大統領ツイッターで繰り出すのはまさに「トランプ・ベノム」で、咬みついた相手を痺れさせて動けなくする。そしてトランプ批判という自分に向けられた「毒」をたちまち無毒化する解毒作用まである。

「毒をもって毒を制す」で、北朝鮮との関係はステージアップしたかもしれない。しかし、TPP、パリ協定、イラン核合意、NAFTANATO、中東和平といった国際協調、世界秩序の枠組みをトランプ・ベノムは破壊、あるいは壊しかけ、米中の緊張関係をエスカレートさせてきた。

 

・2020年の大統領選挙でトランプ大統領が再選されようとされまいと、アメリカはもう元に戻らないと私は思っている。なぜならトランプ・ベノムにやられて一番痺れてしまったのはアメリカ国民だからだ。

 たとえオバマ前大統領のような理性的なリーダーが出てきて議会とうまくやってたとしても、トランプ劇場を見慣れた観客たちには面白くない。「自分の考えを説明せよ」「自分の言葉で発信せよ」とブーイングを浴びせることになるだろう。ドナルド・トランプという破壊者が残した爪痕はあまりに深い。

 

日本の「21世紀最初の20年間」をどう総括するか

21世紀初頭の日本の20年間をどう総括すべきだろうか。劣等感の魂になってしまったという印象が私には強い。

 

結局、「平成の30年」とは、世界経済における日本のプレゼンスが大きく後退した時代だった

 

・ハイテク分野における特許出願数や学術論文の数も今や中国、アメリカに遠く及ばない。

 

・世界一少子高齢化が進んだ日本は、「課題先進国」とも言われる。他の国がまだ経験したことのない課題に向き合っているからだが、考えようによっては、日本はよく乗り越えてきたとも言える。

 

・政府は骨太の方針で、「最低賃金を早期に全国平均1000円にする」という目標を掲げている。私は企業家でもあるが、もし「最低賃金を1000円にしろ」と国から言われたら、大概の経営者は仕事を労働コストの安い海外に移すか、ロボット化やAI化を進めて人を減らす。つまり、国内の雇用を抑える方向に向かうのだ。政治家や学者はそれがわからないから、「最低賃金を引き上げろ」と気安く注文をつける。そんなことをしていたら、日本から良質な雇用が失われていく一方だ。

 

日本の再生を妨げているのは、過去の成功体験だ

・逆に日本は20世紀後半にあまりに成功したために、そのシステムの範疇で「一層、奮闘努力せよ」という頑張り方をしている。規制に阻まれて、公道での自動運転の走行テストもままならない。あらゆるシステムが大成功をもたらしてくれた20世紀を引きずっている。

 それでは21世紀の新しい成長方程式には近づけない。

 

東京オリンピックで真に見るべきは、世界のトップのレベル

・21世紀に対応できないまま20年が経過した。日本人は危機意識が低いと述べたが、「失われた平成の30年」の間に、日本が誇ってきた完全神話を瓦解させるような災害、事故、企業の不祥事などに見舞われることもあって、心の奥底で日本人は劣等感を肥大させてきたように思う。

 

・世界標準がどんなものか、世界のトップレベルとはいかなるものかを肌で感じてほしいと思う。

 経営、ビジネスの世界についても同じである。グローバル企業の戦いというのは世界大会であり、メジャーのプレイヤーもいれば、恐ろしい勢いで成長している新興プレイヤーもいる。日本はこの辺りの研究がまったく足りていない。

 世界には日本と同じような衰退の時期を経過して今まで立派に生き残っている国や地域があるし、アメリカのようにスクラップ&ビルドで主役がどんどん入れ替わりながら成長を続けている国もある。

 

[日本編]

 

  • 歴代最長の安倍政権において憲法改正は達成されるのか

 

[結論!] ポスト安倍」は石破茂氏や岸田文雄氏を飛び越えて、河野太郎氏や小泉進次郎氏が中心となるだろう。一方、安倍首相悲願の憲法改正は、国民の抵抗感が強く、仮に国会で発議されたとしても、国民投票で否決される可能性が高い。憲法改正の全体構想をゼロベースで練り直す必要がある。

 

  • 財務省が2024年に密かに進める“令和の徳政令”プラン

 

[結論!] 2024年に行われる紙幣の刷新は、財政破綻を避けるために、不動産や金融資産を対象にしたストック課税へのシフトを目論む財務省が周到に準備してきたと考えられる。

 

  • 国の借金を容認する、嘘っぱちMMT(現代貨幣理論)に騙されるな

 

[結論!] 財政赤字容認派が信奉しているMMT理論は、「低欲望社会」という日本の特殊性を理解していない空論である。現在60代~50代後半のバブル世代がリタイアするときが、日本が低欲望社会から脱却するきっかけとなるかもしれない。

 

  • 自民党政府のお家芸、「密約外交」では、沖縄基地も日露関係も解決しない

 

[結論!] 北方領土問題は、安倍首相がロシア側の主張を受け入れたことで返還に向けて動き出す可能性が出てきた。しかし、安倍首相は国内向けにはその事実を知らせずに、従来の密約外交スタイルで交渉を進めていくことだろう。

 

  • EPAの裏で温存される欧州高級ワイン“ぼったくり”システム

 

[結論!] 日欧EPA発効によって、世界最大規模の自由貿易圏が誕生

した。欧州の工業製品や農産物が安く買えるようになる。しかし、ワインなど、代理店が流通を牛耳っているために、価格面の恩恵が得られない物品も存在する。

 

  • 老害の財界が密かに進める原発再開のロビー活動

 

[結論!] 原発メーカーは原発推進再開に余念がないが、多くの面で実現には困難が予想される。また政府も原発推進の司令塔の役割を果たしていない。電力問題は原発や再生エネルギー以外の節電による解決を推進すべきだ。

 

  • 成人年齢を引き下げるなら、無償義務教育は高校まで延長せよ

 

[結論!] 「18歳成人」は、教育問題と切り離すことができない国家の根幹を成す施策である。国が成人を「社会に対して責任を負える人間」と定義するのであれば、高校の義務教育化は当然の帰結である。逆に、職能を磨く大学を無償化する正当性はまったくない。

 

  • 人出不足と人口減の解決策は、「戸籍廃止と移民受け入れ」だ

 

[結論!] 改正入管法は移民に踏み切れない日本政府の姿勢を表したその場しのぎの対策にすぎない。本格的な移民政策の導入は待ったなしである。また、少子化対策も効果をあげている先進各国のレベルに近づけて、予算や社会的コンセンサスを整備しなくてはならない。

 

  • 憲法第8章を書き換えない限り、日本の地方衰退は進んでいく

 

[結論!] 日本国憲法第8章に見るとおり、日本では「地方自治」という言葉が明確に定義されておらず、自立的に発展するための権限が自治体に与えられていない。連邦政府化を念頭にした憲法改正を行わなければ地方創生は永遠に絵に描いた餅のままである。

 

  • つながる、自動運転、共有、電動、「CASE」時代の自動車業界の未来

 

[結論!] これまでの日本の自動車メーカーは、ミドルクラス向けにリーズナブルな価格のクルマづくりで成長してきた。しかし、クルマのビジネスモデルが所有からシェアに変わっていく時代、飛び抜けた特徴を持たない日本車は苦戦することが予想される。

 

  • 世界都市・東京」復活のカギは、築地、勝どき、晴海の一体開発にあり

 

[結論!] 東京に残された最後の開発地・築地と、隣接する勝どきと晴海を、「ランドマーク」「職住近接」「食の街」の3つのコンセプトで一体開発すれば、世界都市として東京は今後も魅力的であり続ける。

 

[世界編]

  • トランプのイラン制裁は、アメリカの国内問題なのか?
  • 今や再選絶望のトランプ。次期大統領の候補は誰か?
  • トランプと金正恩、外交センス・ゼロの2人に振り回される世界
  • 戦争も道具。チープなトランプ劇場はもう見飽きられている
  • 日本のメディアが勘違いしているプーチン提案の真相
  • 裏の顔を持つサウジ皇太子とトランプ政権の蜜月関係のゆくえ
  • 超大国・中国と渡り合うしたたかな台湾人から学ぶべきこと
  • 「統一コリア」を進める文在寅大統領。日本がとるべき現実的戦略とは
  • 出口のまったく見えないブレグジット問題で、イギリスの英知は発揮されるのか?

 

 

[特別編]

  • 日仏3社連合の裏で見え隠れするフランス政府の野心
  • 「答えのない」時代に求められるリーダー育成法とは何か?

 

私がマッキンゼー初の日本人取締役になれた理由

日本企業の海外M&A失敗の理由は人材不足

・文化の違う海外の企業をマネージするのは簡単なことではないが、日本企業の海外M&Aがことごとく失敗しているのは、海外経営人材が圧倒的に不足していることが理由だ。

 

アベノミクスは20世紀型の経済政策

・“アベクロバズーカ(異次元の金融緩和)”の不発は最たる証拠で、どれだけ金利を下げ、マネタリーベースを増やしても景気は一向に上向かない。消費意欲が極端に低下した低欲望社会で1800兆円の個人金融資産がある日本は、金利が高いほうが経済は回るのだ。

 

生産性アップのカギはナローキャスティング

・業務効率を改善するシステムはいくらでもある。そうしたシステムやAIを使い、データを寄せなければ生産性は上がらないのだが、日本にはそうした努力を本気でやっている会社がほとんどない。

 

  • AI時代に不可欠な「人間にしかできないスキル」を養う教育システムのつくり方

 

世界経済をけん引する

・成功のためにはLGBT(性的マイノリティ)や国籍も宗教も問わない、という徹底ぶりがこの強さを引き出している。

 

答えのない問題に日本人は極端に弱い

・前述したように、明治以来、日本はすでにある答えを見つける、あるいは覚える教育しかやってこなかった。ゆえに答えのない世界に放り込まれたとき、日本人は極端に弱い。手本にしたくても先頭を走るGAFA自身が答えを持っていないのだから、追いかけようがないのだ。

 

自動運転、AI、IoT、すべてで遅れている日本

人間にしかできないスキルを磨くしかない

・「AIを使いこなす人材の育成」などと眠たいことを言っている余裕はない。来るべきシンギュラリティに向けて、そうした能力やスキルが身につくように、この国の教育システムを抜本的に変えていく必要があるのだ。

 

  • 日本を成長させるのは、「構想力」を持った人材である

 

人材教育以外に日本の将来を切り拓くものはない

日本企業に見向きもしないインドのスーパーエリート

「先生」という呼称をやめた北欧諸国

・優れたグローバル人材を輩出している北欧諸国は、1990年代に「答えのない教育」に舵を切った。「答えのない時代に先生が教えるのは危険」という考え方から、「先生」という呼称もやめた。

 

国際的教育プログラムの要は「論理的思考力」と「語学力」

・もう一つ、重要視しているのが言語である。「1カ国語しかできない人間は世界のリーダーにはなれない」というのがIB(インターナショナル・バカロレア)の強い信念で、少なくとも母国語と世界の主要言語、2カ国語をネイティブ並みに話すことが要求される。

 

見えない答えを見る「構想力」と答えを導き出す力

・しかし、経営は答えの見えない世界。そこで求められるのは見えないものを見る力であり、自分で答えを導き出す能力とスキルだ。これからの企業の浮沈は、それらを持ったグローバル人材をいかに世界中から集めてくるかにかかっている。

 

  • 21世紀サイバー経済でパスポートとなるのは、どんなスキルか

 

「今後10~20年で今ある仕事の約半分が自動化されてなくなる」という英オックスフォード大学の研究成果がある。

 

議論の途中から入って議論を主導する力

・リーダーとしての素養が問われるのは語学力ではなく、そこから先である。どんなコンテクスト(文脈)でもポンと割って入って、話を5分聞いただけで議論を収束させる方向性を見いだす。そして、「もし答えがあるならこうではないか」と仮説を提示しながら議論をリードし、いつの間にか皆がその方向で議論するうちに「答え」にたどり着く。

 

誰も至ったことのない結論を議論で導いていく力

・しかし、21世紀は「答えのない時代」だ。過去の成功体験にこだわれば、目の前の変化に対応できなくなってしまう。答えのない世界で、どうやって答えにたどり着くのか。このプロセスが重要になる。「議論によってまだ誰も至ったことのない結論に到達する」というのは有力な方法論だ。

 

ロボットが代替できない仕事もある

2045年という年限はさておき、AIの超加速度的な進化を考えれば、シンギュラリティは起こりうる。それ以前にディープラーニング(深層学習)によってAIがどんどん進化して、人間の仕事の多くをコンピュータやロボットが代替するようになるだろう。

 

・将来的にどんな職種が生き残るかといえば、すべての職種は生き残る可能性があると私は思う。あらゆる職種で機械に置き換わる部分が出てくるが、人間にしかできない仕事は最後まで残るからだ。

 

答えを教えるのではなく、アドバイスできる力

どんな商売であれ、機械が代替できない創造的な領域の仕事は生き残る。最終的に価値があるのは、コンサルティングだと私は思う。人間や組織の内面まで観察して、表面的な数字では捉えきれない課題を抽出し、課題解決をアドバイスする。こうしたコンサルティング機械的にはできないのだ。

 

スマホが世界共通のプラットホームに

・経済が根本的に変わったと指摘したが、20世紀と21世紀で何が違うか。

 最大の違いは、スマートフォンによって世界のすべての人々がネットワークの中で連結したことだ。

 

イスラエル、台湾、インドの3国に共通する危機感

・21世紀に必要なグローバルな人材というのは、世界的に見るとインド系、イスラエル系、台湾系が圧倒的に多い。

 

・これら3つの国に共通するのは「危機感」である。無意識のうちにも育つ過程で強い危機感があるから、世界のどこに行っても生きていけるグローバル人材が育つ。競争力のある人材が出てくる。

 

21世紀の生き方としてのリカレント教育

・そうした動きに並走する、少なくとも遅れずについていくためには、どんどん勉強し直さなければいけない、理想は毎日だが、せめて10年に1度は3カ月なり6カ月なり、まとまった時間をとって最新の経済と経営を学び直すべきだ。

 

会社を休まず学び直したいなら、サイバー教育を利用すればいい。ボーダレス経済とサイバー経済がつながった21世紀においては、教育も学校の校舎に行くことが必要ないくらい進化を遂げている。

 

 

 

日本の論点   2019~20』

大前研一  プレジデント社   2018/11/29

 

 

 

今は持ち家よりも賃貸が賢明――日本の不動産「2022年問題」

・政府が罪深いのはバブル崩壊直後の92年に景気対策として「ゆとりローン(ステップローン)」を導入したことだ。これは最初は金利を安くして月々の返済額を抑え、(景気が回復して、給料や地価が上がっているであろう)6年後とか11年後から金利が上がって返済額が大幅に増えるローンで、「家賃並みの返済額で家が買える」と利用者を募り、住宅購入を煽ったのだ。国民を景気刺激の手段として使ったのだ。

 しかし、日本はそのまま「失われた20年」、世界に例のない大デフレ時代に突入、給料も不動産価格も上がらずに、逆にリストラや企業倒産が相次いで収入を維持することすら難しくなった。当然、ゆとり返済期間終了後の返済額増加に収入が追いつかず返済に苦しむ人が急増して、ローン破綻が続出した。

 住宅ローンの残債を別の金融機関で借り直して一括返済する「借り換え」をしようにも、住宅の残存価値がローン残債より高くなければ金融機関は金を貸してくれない。実際、借り換えがほとんどできないくらい住宅価格は落ち込んだ。返済期間の繰り延べなどの救済策も取られたが、返済期間が長くなればトータルの返済額は増えるし、定年後もローンを払い続ける悲惨な老後が待ち受ける。

 

「借金したくない」から持ち家願望がない40歳代以下

・ここにきて90年代前半に組まれた住宅ローンのサイクルが一巡して、ゆとりローンを払い終わった引退世代が出てきた。今の50代後半から60代はしんどい思いをして返済してきたトラウマがあって、それが消費不振の一因でもある。

 

・さらに40歳前後から下の世代ともなると、「家を持ちたい」という欲望のほうが少ない。「金利が低い今が買い時」と言われても、「もっと下がるんじゃないか」と何となく感じているし、そもそも家を買って借金を抱えることは大きなリスクだと思っている。我々世代にはまったくなかった発想で、「負けから入りたくない」と彼らは言うのだ。

 

・水道関係ならJWWA(日本水道協会)などの許可を得ていないと自治体は水さえ流してくれない。世界中の材料が使えるようになれば、建築費は半分になる。そうなれば住宅ブームも起きそうなものだが、住宅資材は輸入規制がかけられているし、仮に海外の住宅資材が入ってきても流通業者が取り扱わない、などの非関税障壁にガードされて建築コストが簡単には下がらない仕組みになっている。

 

生産緑地は東京ドーム100個分

・デフレ慣れした若い世代には「今、家を買わなければ高くなる」という感覚がない。実はこれは100%正しい。少子高齢化で19年以降、日本の世帯数は減少に転じる。このトレンドが続く限り、住宅価格が上がる理由はないからだ。

 日本は世界一空き家が多い国で総住宅数に占める空き家の割合は13年に13.5%。33年には空き家率が30%を超えるとの試算もある。

 

一方で住宅用地の供給は今後さらに緩む。よく言われるのは「2020年問題」。30年間、農林漁業に使うことを義務付けられた生産緑地の営農義務が22年に解除される。つまり、宅地に転用できるようになるのだ。

 92年に生産緑地に指定された土地は全国で約1万3000ヘクタールあって、東京で3000ヘクタール以上。東京23区だけで東京ドーム100個分近くの生産緑地があって、これがすべて宅地化されれば約25万戸の一戸建てが供給可能だという。これは年間の東京都の新築一戸建て着工件数の倍の数字だ。

 

日本人にとっては、ライフプランを前提に考えると持ち家よりも借りるという選択肢のほうが賢明――。そう、戦後一貫して続いてきた日本人の住宅観は根本から変わってしまったのだ。

 

結論!)「借金からスタートしたくない」という人生観を持つ若い世代が、賃貸住宅を選択するのはきわめて現実的。今後は賃貸物件の供給も増えるから、よほどの好立地でなければ高騰の心配もない。

 

「平成の次」の時代に「維新」を唱える改革の旗手は現われるか

「地方創生」という言葉は本当に成り立つのか

・総裁選の結果に語るべきことはもはや何もない。長期政権の腐敗臭をどれだけまき散らしても揺るがない、対抗馬すらまともに出てこない安倍政権の強さは、日本の政治の劣化と裏表である。安倍政治のアディショナルタイムによって、日本の真の改革が手遅れにならないことを祈るばかりだ。

 

・そもそも地方創生というコンセプトは本当に成り立つのだろうか。もっと本質的な問いかけをするなら、地方というのは創生できるものなのだろうか。

 

税収の範囲内に歳出を抑えればとりあえず出血は止まる

・総人口に占める現役世代(15~64歳までの生産年齢人口)の割合が増加して、経済成長が促されることを「人口ボーナス」という。国民の平均年齢が30歳くらいまでは人口ボーナス期とされ、子供が生まれて人口は増えていく、高度成長を続けていた頃の日本はまさに人口ボーナス期にあった。

 

・しかし、人口ボーナス期に経済発展して社会が豊かになり、医療や福祉、年金制度が整備されて、高齢化が進んでいくと人口オーナス期に反転する。人口オーナスとは現役世代の比率が低下し、社会保障費などが重荷になって経済成長しにくくなる状態をいう。

 日本は1990年代から人口オーナス期に突入したと言われるが、世界一の高齢国となった今の日本で、先細る可能性がきわめて高い将来から借りてきて国債を発行するのは現役世代の犯罪だと私は思う。「景気を良くして、経済を伸ばして、税収を増して、借金を返せばいい」などと軽々しく口にする政治家は嘘つき、フェイク政治家だ。

 

国民に甘い言葉を投げかける「成り行き任せ」の政治家ばかりが台頭

5年8カ月経っても2%成長はほど遠い

健全財政を義務付ける条項を加えるなら憲法改正を主題にする意義もあるが………

憲法に健全財政を義務付ける条項を加えるというならば、憲法改正を主題にする意義もある。日本国憲法では健全財政は明文化されていないが、ドイツやスイスの憲法には国に均衡財政を義務付ける条項がある。ニュージーランド憲法には財政目標を2年連続で達成できずに放置した中央銀行総裁はクビにするという規定まである。

 

憲法改正案について安倍首相は自分の言葉で語ってほしい

・駐留軍があわてて作成した憲法は今となっては読むに耐えない。原文が英語、というのもかなり大きな問題だ。これを直すべく私は『新・国富論』『平成維新』『君は憲法第8章を読んだか』などの著作で広範な提案を行ってきた。

 

「改正」や「加憲」ではなく「創憲」の視点を持ち、時間をかけるべき

・そもそも国民が憲法改正を火急の論点としてとらえているかといえば、決してそうではない。

 

医療崩壊を回避するためには医療制度改革も待ったなし

・日本の医療制度がまだ機能しているのはそれだけ金をかけているから。しかし、当然、国家財政の重荷になっている。

 

世界からヒト、モノ、カネを呼び込むための仕掛けづくり

・政府は2030年までに訪日インバウンド6000万人を目標に掲げて「観光立国」を目指すという。一方で規制の強い民泊法を通し、既存の旅館やホテルの権益を守ろうとしている。

 

・1000万人というとヨーロッパでは中堅国の人口規模に相当する。世界からヒト、モノ、カネを呼び込むための仕掛け作りにはそれぐらいのスケールが必要で、人口3万人規模の“地方創生”プランでは世界から見向きもされない。

 

・いかにして1000万人単位の受け皿をつくるか。その答えは私がかねて提唱してきた「道州制」にあると思う。

 

地方へ権限を委譲する「道州制」で世界から繁栄を呼び込むことのほうが現実的

道州制の肝になるのは中央から地方への権限移譲だ中央政府が何でもかんでも全国一律に決めて平均化しようとするから、地方の繁栄は抑えられてきた。地方のことは地方に任せる。地域の住民に決めさせる。そのためには今は中央政府が一手に握っている立法権の一部を地方に譲らないといけない。

 

・山手線の内側の面積に匹敵するパリの都心部は平均6階建て、ということは、パリ並みにしようと思えば倍以上の高さにできるわけだ。

 

土地ボーナスは日本に残された最後のチャンスと言っていい。それを活用することで都市の大改造が可能になり、10~20年規模の空前の大開発ブームが起きる

 

小選挙区制で限界が見えている。日本再生には選挙制度改革しかない

道州制、ゼロベースの憲法改正、移民政策、容積率の緩和など、私の政策提言のすべてはこの本から始まっている。

 

・あれから30年が経過した。2005年はとうに過ぎ去り、平成が終わろうとしているのに、私が平成維新から唱え続けてきた政策提言はほとんど何も実現していない。ということは、平成の30年間、私は空論を振り回していただけということになる。大前研一ぐらい平成をむなしく過ごした日本人はいないのではなかろうか。むなしい空論になってしまった最大の理由は、選挙制度が変わったことだ。

 

・しかし、小選挙区制が導入されて日本の政治はどうなったか――。風が

吹くと一気にブームが巻き起こるために振れ幅が極端に大きくなって、政治が不安定化した

 一番最悪なのは、目先の選挙のことしか眼中になくて「おらが村」に予算を引っ張ってくる小粒な運び屋ばかりになってしまったことだ。天下国家や外交、大局的な日本の論点を語れる政治家がすっかり出てこなくなった。

 小選挙区制を続ける限り、政治家に日本の将来を託すような政策立案及び議論は期待できない。小選挙区から出てきた政治家に、自ら選挙地盤を変えてしまう道州制のような統治機構改革ができるわけがない。ゼロベースの憲法議論や発議ができるとも思えない。

「大前さんの政策提言はよくわかった。でも日本の政治でそれをどうやって実現するんですか?」

 厳しい問い掛けだが、それに答えるなら一歩目は選挙制度の改正しかない。

 

世界最低レベルの休暇意識――日本人の“忖度”という病

日本の有給休暇消化率は世界最低レベル

・2017年2月24日からスタートしたプレミアムフライデー。政府の働き方改革と可処分時間の増加による個人消費の喚起、一石二鳥の呼び水にと期待されたが、現状は完全に企画倒れの感である。

 初回の2月24日にプレミアムフライデーを実施した企業・団体の割合は日本全体のわずか0.1%にすぎなかったそうだ。

 

・月末の金曜日という一番忙しいタイミングに早上がりを推奨するのもセンスがない話だが、そもそも国がかけ声をかけてやるべきことなのかと私は思う。

 日本人は「休暇」に対する意識が非常に低い。先進国としては遅れている、と言ってもいい。

 

日本の有給休暇の消化率は世界最低レベルなのだ

・他方で日本は祝祭日の日数が先進国の中でも抜きん出て多い。おおっぴらに休みやすい法定休日を政治家が量産してきたからだ。

 

・皆が横並びの祝祭日なら大手を振って休めるが、自分の都合を優先する有給休暇は取りにくい。プレミアムフライデーにしても、お上が号令をかけなければ働き方や休み方を変えられない日本人のしみったれた根性の産物なのだ。

 

日本人のバケーションは貧しすぎる

部下の有給休暇取得を阻んだらパワハラ

・しっかり休むことは大事なことで、仕事の生産性向上にもつながる。働き方改革とは、休み方改革でもある。

 

・「この仕事のオーナーは自分だ」というメンタリティを持てない人は、雇われ根性が抜けないから、会社としても「仕事を任せて安心」とはならない。

 

(結論!)雇われ根性が抜けなければ、休暇は取れない。そればかりか「仕事を任せて安心」という評価も得られない。休みが「取れない」のではなく「取らない」という忖度が大問題だ。

 

ブラックマンデーは何度でも起こる――乖離する金融経済と実体経済

・2018年2月5日月曜日、ニューヨーク株式市場のダウ平均株価が大幅に下落、1175ドル安というリーマンショックを超える過去最大の下落幅を記録した。

 

・さて金融経済と実体経済の乖離はなぜ起きるのか。理由は2つある。一つは古い経済学に基づいて景気を刺激するために、金利を下げたり、通貨の供給量を増やしたりする政治的な動きだケインズ以来、20世紀のマクロ経済的な景気刺激策、つまり世の中の金回りをよくする方法は金利を下げることとマネタリーベースを増やすことの2つしかない。

 だから安倍晋三首相もトランプ大統領もそこをいじりたがる。有効需要をつくるために金利を安くして借りやすくしたり、通貨供給をジャブジャブにしたりするのは政治的にもやりやすい。選挙のときも「景気対策を重視する」と言ったほうが倹約ベースの経済政策を主張するよりも圧倒的に民衆の受けがいいのだ。

 

経済政策「アベクロ・バズーカ」は時代錯誤だ

しかしばらまかれた資金が国内経済に吸収されて実需に向かうことはほとんどない。「アベクロ・バズーカ」と呼ばれる経済政策が低欲望の日本社会に対しては時代錯誤かつ実態把握不足で効果が見られないのも、これが原因だ。

 

トランプ大統領が推し進めているのも20世紀の古い経済政策で、減税したうえに予算を過剰に積み増しているので、不動産や株に余剰資金が回って実体経済との乖離がどんどん大きくなっている。日本でも実需がないので日銀は国債を腹いっぱい食べているし、年金積立金管理運用独立行政法人などの年金ファンドは株を大量に買っている。日銀はETP(上場投資信託)も買い付けるようになって、国を挙げてPKO(株価維持政策)を推進中だ。当然、金融経済と実体経済の乖離はアメリカと同じく大きくなっているわけだ。

 

スマホ経済が需要不足に拍車をかける

・先進国の需要不足に拍車をかけているのが、21世紀型のサイバー経済が加速したシェアリングやアイドル(空き)エコノミーだ。個人も企業も「所有から利用へ」と進んでいけば需要が減るのは当然。

 

労働力の安い途上国がそうした機械を買って良質な部品や製品をつくれるようになったから、供給力にはほとんど制限がなくなった。このように需要不足と供給過剰によって需給ギャップが広がるから、モノ余りになって実体経済の動きは鈍くなる。カネ余りで投資先を求めて過熱する金融経済とますます乖離していく。

 こうして考えてみると、需要不足は不景気だからではない。21世紀経済の構造的な問題なのだ。しかし政治家やマクロ・エコノミストはそうした事実を知らない。

 

・政治家とマクロ・エコノミストが21世紀の経済圏に移住してこない限り、証券会社や不動産業界が従来のトーンで「お買い得品」を煽り続ければ、いつ大規模調整が入ってもおかしくない。最近の4~5%もの(肝を冷やすような)株価下落は今後何回も繰り返されるだろう。

 

(結論!)需要不足は不景気だからではない。21世紀経済の構造的な問題なのだ。だから市中のマネーサプライが増えても実需に結びつかず投機に向かう。金融経済と実体経済の間に大きな隙間が生じているのは、ブラックマンデー直前と同じ状況だ。

 

物申せない空気の中「ポスト安倍」に最も近い男は誰か

(結論!)安倍一強の物申せない空気の中で、正論を吐ける小泉進次郎氏は器が大きいのだろう。地味な役職を労を惜しまずにこなしてきたから党内でも人気も高い。総裁選に立候補すれば勝ち切る可能性も低くない。そのタイミングに注目だ。

 

「服を買う必要がない」――アパレル市場の“3分の1”が消滅した理由

なぜデート着がまったく売れないのか?

・国内アパレルの不振が続いている。販売不振で大手アパレルメーカーでもブランドの廃止やリストラ、大量閉店を余儀なくされ、百貨店の撤退も相ついでいる。国内アパレル市場規模は1990年代には15兆円を超えていたが、今や10兆円を割り込んでいる。

 

・(結論!)“デート着”という「おめかし」カテゴリーは消滅し、もはや服を買う必要すらなくなった。新しいプレーヤーが国内アパレルの変革をリードする一方、従来の百貨店やブランドショップは起死回生への道がなかなか見えない。

 

大阪の衰退は1970年に開催された「万博」から始まった

イベント経済を期待してしまう関西の政財界

・東京一極集中が加速して関西、大阪の没落を招いたのだが、大阪万博の頃には新幹線の輸送力はさらに増強され、山陽新幹線が72年には岡山、75年には博多まで延びた。同時期に航空業界でもジャンボジェットが登場して大量輸送時代を迎える。関西、大阪が頭越しにされる条件をどんどん整っていったのだ。

 

・もはやインフラをつくっただけでレガシーになる高度成長期ではない。ネットでも何でも見られる時代に万博をやる価値がどれだけあるのか。

 マッキンゼーの日本支社長をしていた80年代に大阪を拠点にしていたからよく知っているが、大阪は「自分の町をつくる」という発想と気合に乏しい。にぎにぎしくイベントを引っ張ってきては、公共事業にありつく、ゼネコンが強いこともあって、どうしてもイベント経済を志向しやすい。

 

大阪市の人口は約270万人。人口規模で立派なメガシティだが、「毎日人がくる、企業がくる、情報がくる、お金がくる」というメガシティ繁栄の4要件は見事に欠けている。