日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

コンタクティやチャネラーの情報を集めています。森羅万象も!UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象といわれます。

妖精物語の多くが、巨人その他の怪物について語っている。大きくて毛むくじゃらな北のトロールは、ビッグフットに似ている(嫌なにおいがするというビッグフットの特徴も持っている)。(1)

 

『妖精の教科書』

神話と伝説と物語

スカイ・アレクサンダー    原書房  2020/1/31

 

 

 

妖精はいたずら好き>

・妖精はいたずら好きで気まぐれで裏切りも得意、人を助けることもあれば死に誘うこともある。ルールに縛られない自由さと危うさは、太古から人を惹きつけてきた。世界各国に存在するさまざまな個性をもつ妖精を紹介、妖精の目撃談も収録。

 

元素

・魔術師が元素をいうとき、学校で習う周期表を指しているのではない。それは自然界その他を作る空気、土、水、火の4大元素を指しているのだ。古来、神話や伝説には、空を飛び、土に潜み、深海を泳ぐ超自然的な存在が登場する。だが、こうした不思議な生きものは自分たちの居場所に住すんでいるだけではない。それぞれの領域の守護者となったり、大使となったりするのだ。彼らを特定の存在というより活力だと説明する者もいる。また、神話によってさまざまな名前で呼ばれる。東洋の神秘主義では、デーヴァと呼ばれる神(天使や下級神と似ている)が自然界の妖精を指揮している。妖精界で最もよく知られる3つの元素は、シルフ、スプライト、そして水のニンフである。サラマンダーと呼ばれる火の精もときおり登場するが、それほど知られていない。

 

シルフ――空気の精

・ティンカ・ベルをはじめ、空を飛ぶ妖精はこのカテゴリーに分類される。だがシルフは、現代の映画や絵本に描かれているような、繊細な羽を生やした魅惑的な存在というだけではない。空気や空に対して、さまざまなことができるのだ。空を飛ぶ能力のほかに、シルフは風を操り、大気の質に影響を及ぼし、人間の呼吸を助ける。今日では、化学物質による飛行機雲をきれいにするのに忙しいという説もある。また、鳥や空を飛ぶ虫を助けたりもする。

 

フィンドホーンの土の精

・1960年代初頭、アイリーンとピーター・キャディ夫妻、友人のドロシー・マクリーンが、フィンドホーンと呼ばれるスコットランドの荒涼とした土地に、霊的なコミュニティを創設した。その土地はほとんど砂地で、天候も荒れていたが、フィンドホーンは熱帯の花や19キロほどもあるキャベツが育つ見事な庭園で有名になった。なぜこんなことが起こったのだろう?ドロシーによれば、植物の生育を司る元素――彼女がいうには“裏で働いている、創造的知性の生きた力”――がフィンドホーンの創設者を導いて、素晴らしい庭園を造り、維持させたという。

 

妖精はどこに住んでいる?

・目には見なくても、妖精はすぐそばに住んでいる。現に、今このときにも、あなたの隣に座っているかもしれないし、あなたの庭で踊っているかもしれない。ほとんどの人が妖精を見たことがないのは、彼らが平行世界に住んでいるからだ。そこは私たちの世界と並んで存在しているが、異なる周波数で機能しているのだ。たとえば、TVやラジオのチャンネルと比較すれば理解しやすいだろう。1つのチャンネルに合わせているとき、ほかのチャンネルは視聴できないが、それは確かに存在している。“妖精の世界”にも、同じことがいえるのである。

 

降格された神々

・多くの民間伝承で、妖精は古代の神や女神の子孫だといわれている。何千年もの間、こうした神々は天と地、そして、そこに住むものを支配していた。彼らは昼と夜、陸と海、季節、植物の生育、野生の動物や家畜――つまり、あらゆるものを支配していた。すべてを網羅するその力は、まさに彼らを畏れるべき存在にし、世界じゅうのほぼすべての文化で、人々は支配者としての神を敬った。

 だがキリスト教の隆盛とともに、こうした古代の神々は衰退していった。教会は古い信仰を禁ずるだけでなく、こうした神々にすがる人々を迫害したのだ。伝説によれば、人間が古代の神や女神をあがめたり、敬ったりするのをやめたとき、彼らの力が衰えはじめたのだという。結果として、神々の一部は伝説上の存在に成り下がった――妖精もその1つである。こうした成り行きを妖精は喜ばなかった。そのため、人間にいたずらをするのかもしれない。

 ほかのあらゆる世界と同じく、妖精界にも社会構造や階級がある。基本的に、妖精は次の2つのカテゴリーに分けられる。

・自然界を守り、導く妖精

・人間の運命や宿命を操る妖精

 

運命の妖精

自然の精霊についてはすでに少し触れているので、ここでは運命を司る妖精を見てみよう。これらの妖精は、赤ん坊が生まれた直後に現れ、誕生を祝い、赤ん坊の運命に影響を及ぼすことが多い。勇気や美しさ、賢さといった贈り物を持ってくるのが常である。これらの誕生を祝う精霊は、ケルト、スラヴ、フランスの民間伝承に登場する。ギリシアのモイラ(運命の3女神)も、このカテゴリーに入る。アルバニアのファティも同様だが、彼らは通常、赤ん坊が生まれてから3日後まで待ち、蝶の背中に乗ってやってくる。セルビアでは、ウースードと呼ばれる妖精が誕生から7日目にやってくるが、母親だけにしか姿は見えない

 妖精たちの気前のよさに、お返しをするのはいいことだ。さもないと、怒りを買うことがあるかもしれないし、妖精を侮辱するのは決していいことではない!

 

ほとんどの国で、人間とも、上位の神々とも違う種がいることが広く信じられている。こうした生きものは洞穴や深海といった彼らだけの領域に住んでいる。そして一般には、力や知恵で人間を上回り、人間と同じく死ぬ運命は避けられないが、人間よりも長く生きる。

 

妖精の性格

いい妖精、悪い妖精、美しい妖精、そして徹底的に醜い妖精

ピクシー

・初期の伝説では、ピクシーは小さい、子供のような妖精で、ブリテン島やブルターニュ周辺のストーンサークルの下や妖精の丘に住んでいるといわれていた。しかし、スウェーデンではこの妖精をピスケと呼んでいるため、スウェーデンに端を発しているという説もある。ピクシーはまた、ピクトともつながっている。古代アイルランドスコットランドに住んでいた、小さくて色の黒い神秘的な種族である。たいていは、ピクシーは妖精界での“お人よし”と考えられている。

 

現代のピクシーは、概して尖った耳を持ち、先の尖った高い帽子を含め緑色の服に身を包んでいる。

 

エルフ

・今日では“エルフ”といえばサンタクロースの小さな助手のイメージが浮かぶが、初期の民間伝承では、ハンサムで人間と同じくらいの大きさの生きものとされている。彼らはチュートン人の伝説に登場し、職人、射手、治療師として大きな力を発揮する。スカンジナヴィア神話では、エルフは3つのタイプに分かれる。光のエルフは天上界で神や女神と暮らしている。闇のエルフは下界に住んでいる。そして黒のエルフは魅力的で、人間と同じくらいの大きさで、2つの世界の間に暮しているノルウェーの民間伝承によれば、自分に価値があることを証明できれば、人間は死後、エルフのレベルに進むことができるという。

 

・伝承では、エルフは人間をさほど好きではなく、助けることもあるが害を与えることもある。とはいえ、エルフは人間と結婚することでも知られている。ドイツのニーベルンゲンが没落した後の最後の生き残りであるハゲネの母親も、エルフと結婚した1人だ。物語では、この精霊は“エルフの矢”といわれる毒矢で人間を攻撃する。

 

アイスランドのエルフ

アイスランドの人々は、エルフと特別な関係を結んでいる。おそらく、ほかのどの文化よりも緊密な関係といえるだろうアイスランド政府観光局の報告では、国民の80パーセントがエルフの存在を信じているという。アイスランドには、エルフを人間の侵害から守る政策まである。住民の25パーセントが妖精を見たことがあるという港町ハフナフィヨルズゥルでは、エルフのために土地が保護され、指定された地区に建物を建てることができない。エルフの聖地に建物を建て、彼らを怒らせたのではないかと恐れる人々は、エルフ・ウィスパラーを呼び、エルフに会ってどうすれば問題が解決できるかを探るのだ。

 

ドワーフ

・『白雪姫』の7人の小人のことはよく知っているだろう。ディズニーのアニメ映画では、このおかしな小人たちには、ごきげん、おこりんぼ、ねぼすけなど、人間の感情を表す名前がついている。『白雪姫』の小人のように、妖精の伝承に出てくるドワーフはたいていひげを生やしていて、小さな体なのに驚くほど力が強い。もじゃもじゃのひげを生やしているが、年齢は7歳にも満たない――彼らはすぐに成長するのだ!

 ドワーフと後述のトロールは、ノルウェーやドイツの神話の中で、数多くの共通点を持っている――場合によっては、この名前は互換的に使われる。どちらの種族も、丘のふもとに隠れた巨大な建物の地下に住んでいる。またどちらも金属細工が得意で、莫大な富を蓄えているといわれる。初期の民間伝承では、ドワーフは死者と結びつけられ、墓地の周りにたむろするとされている。古代ノルウェー叙事詩『古エッダ』では、ドワーフの王は「炎の血と、死者の手足から作られた」という。

 

トロール

・伝説や民間伝承の中で、トロールはさまざまな評価がされており、そのイメージは数百年の間に悪くなっている。彼らは愛想がよく、人間を助けることもあるという――彼らは盗人で、財産だけでなく女子供も奪うものだと。もちろん、彼らには魔法の力があり、それには姿を消したり、別の姿に変身したりする能力も含まれている。

 一般的に、この生きものは醜く、頭が鈍く、猫背である。

 

トロールは、ほかの妖精と同じく音楽や踊りが大好きで、自分たちの国に音楽を持ち込むために長い距離を旅することで知られている。もちろん、楽曲をダウンロードというわけにはいかないので、彼らは人間の音楽家をさらってきては自分たちを楽しませ、囚われ人にする。一部の物語では、子供を誘拐する山の民として、トロールにさらに暗い光を当てている。

 

現代文学での悪い評判とは裏腹に、昔話のトロールはしばしば善良な者として描かれている。この夜行性の生きものは地下の穴、洞窟に住み、そこで莫大な財宝を守っているという。彼らはハーブや金属の扱いに特に長けており、時には進んで人間を助けることもある。多くの妖精にまつわる民話と同様、彼らは変身やまじないが得意で、出会った人間を惑わすことができる。

 

ハッグ

この妖精は老婆に似ていて、精霊だけでなく、不思議な力を持つ人間の老婦人もハッグと呼ばれることが多い。民間伝承では、ハッグは悪夢の原因であり、眠っている男性の胸の上に座って、金縛りにするという説もある。別の話では、ハッグは若い美女に変身して、夜、サキュバスのように男性のベッドに忍び込み、眠っている人間と交わるともいわれる。

 ハッグは多くの文化における伝説に登場する。アイルランドのバンシー、東欧のバーバ・ヤガー、日本の鬼婆などだ。おそらく、英語圏で最もよく知られているハッグは、シェイクスピアの『マクベス』に登場する3人の魔女だろう。

 

・魔女と同じく、ハッグも何世紀もの間、悪魔その他の邪悪な力の仲間で、醜く邪悪な生きものとして描かれてきた。ヨーロッパや植民地時代のアメリカで、15世紀から18世紀にかけて無数の女性や子供が殺されたのは、こうした誤解がもととなっているのかもしれない。

 

レプラコーン

・伝説によれば、レプラコーンに出会うと、金の入った壺をもらえるという――けれども、レプラコーンをだまして宝物を奪おうと思うなら、考え直したほうがいい。無邪気そうに見えるが、彼らは非常に頭がよく、やすやすと人間に黄金を奪われたりはしない。民間伝承では、このアイルランドのいたずら者は、たいてい身長120センチほどの小柄な老人の姿で、時には風変わりな帽子の緑の上着を着て、ブライアーのパイプをふかし、棍棒を持っている。

 

・レプラコーンはトゥアハ・デ・ダナーン(アイルランド民族の祖先である神)の子孫だといわれているが、ポップカルチャーでは、セント・パトリックの日に襟に四つ葉のクローバーを飾り、緑のビールを飲む、ただの陽気な小鬼になっている。

 

ゴブリン

醜くて意地悪なこの小さい生きものは集団で旅をし、大惨事を引き起こす――妖精界では、人間のギャングに相当する存在だ。一説によれば、この貪欲な妖精はお金やごちそうが大好きで、ほしいものを手に入れるためには策略その他の手を使うのをためらわない。

 

・一部の民話では、彼らはあまり頭のよくない、意地悪な妖精で、緑がかった肌に毛むくじゃらの体、赤い目を持つと描写されている。

 

<シー>

アイルランドの神話によれば、シーは古代の有力な妖精集団で、前からアイルランドスコットランドの一部を支配していたという。“丘の人”を意味するシーは、妖精の丘や妖精の輪の下に住んでいる。アオス・シーや、その他の名前でも知られ、トゥアハ・デ・ダナーンの子孫という可能性もある。

 外見は人間に似ているが、シーは通常、並外れて美しく、人間よりもはるかに大きな力を持っているという。たとえば、彼らはものすごいスピードで空を飛び、違う生きものに変身できる。伝説によれば、この妖精はほぼ不死だともいわれる。ケルト人の土地にキリスト教が持ち込まれたあとも、アイルランドスコットランドの人々は、この超自然な存在を高く評価しつづけている。

 

動物の妖精

動物も妖精になることができる――そして、妖精も動物になれる。現に、姿を変えることのできる精霊は好んで動物や鳥、さらには爬虫類にも変身する。妖精は自然界を守っているため、動物と親しいのだ――ユニコーンやドラゴンといった、魔法をかけられた生きものもそれに含まれる。

 世界じゅうの神話や伝説で、動物と人間の複合体だけでなく、動物の妖精についても語られている。たとえば、南アフリカのロコロシェは、小さくて尻尾のないヒヒに似ているという。スコットランドのセルキーは海の中ではアザラシとして暮らし、陸上では人間になる。ブラジルのエンカンタードは蛇やイルカに変身できる。日本の妖精は白鳥や鶴の姿をしているし、ウェールズのグウィリオンは、しばしばヤギの姿をしているといわれる。ほかの妖精と同じように、動物の妖精も人間に対して親切にふるまったり、敵対したりする。

 

アメリカ先住民の守護動物

・北米や南米の土着民の間には、動物や鳥、爬虫類、虫の姿をした不思議な存在にまつわる物語が無数に見られる。ある文献では、魂を持つ動物は実際には超自然的な存在で、ときおり動物に宿るのだという。別の文献では、こうした存在は地上では肉体を持つ動物だが、死ぬと神になるという

 

ケルトの猫

古代エジプト人は、猫を神としてあがめたが、ケルト人も猫には超自然的な力があると考えてきた。アイルランドの民間伝承では、猫のシーが黄泉の国とその財宝を守っているという。魔法の白猫は、ウェールズの女神ケリドウェンに付き添っている。猫の画像は、古代民族ピクト人の手で、スコットランドの特別な石に描かれている。女性の妖精や魔女は、昔から猫を使い魔(魔法の従者)として手元に置いたり、猫に変身したりすることで知られている。

 

魔法の馬

ユニコーンケンタウロス、空飛ぶ馬は、老若を問わず人を魅了する――だが民間伝承や美術、文字は、普通に見える馬にも魔法がかかっている場合があることを物語っている。妖精が馬全体に魅了されていることを考えれば、妖精界に馬がいたり、妖精が馬になりすましたりしたとしても何の不思議もない。ケルピーというスコットランドの水の妖精は、しばしば馬に姿を変える。やはり水の妖精であるドイツのニクシーは、灰色の馬に変身するという。

 

・東欧のヴィラも、自分自身を白鳥やオオカミのほかに馬に変える。アイルランドの小鬼プーカは、時に黒い犬、時に馬の姿を取る。

 

・「何であれ、いないと証明されるまでは僕は信じる。だから妖精も、神話も、ドラゴンも信じている。たとえ心の中だけでも、それはみんな存在しているんだ。いい夢や悪い夢が、今この時と同じ現実ではないと、誰にいえるだろう?」 ――ジョン・レノン

 

妖精の行動といたずら

・大きくても小さくても、優雅でも凶暴でも、妖精は私たちを恐れさせると同時に魅了する。妖精を信じ、友達になりたいと思う一方、その評判を聞くと少し尻込みしてしまう。これまで見てきたように、妖精は人間にいたずらを仕掛け、森で迷わせ、ものを盗む――人間を溺れさせたり赤ん坊をさらったりすることまで知られている。それでも、私たちは炎に誘われる蛾のように妖精に惹きつけられる。

 

妖精の力

・神話や伝説によれば、妖精は超自然な力の宝庫で、それをよくも悪くも使うことができる――そして、ただの人間は彼らにはかなわない。歴史を通じて、親切な妖精は穀物や家畜を守り、病気を癒し、赤ん坊を取り上げ、願いをかなえ、幸運を呼ぶなどして人間を助けてきた。一方、怒った妖精は嵐を呼び、穀物を枯らし、疫病を招き、永遠に続く呪いをかけ、人間をヒキガエルや石、さらにひどいものに変えるといわれている。したがって、妖精の機嫌を取りたいと思うのは当然だ。

 しかし、そこが難しい問題なのだ。妖精は人間と同じような感情を持たないし、人間と道徳観を同じくしていない――とはいえ、妖精には妖精の、きわめて強固な規範がある。せいぜい、妖精は善悪を超越していると考えるしかない。

 

妖精はほぼ永遠に生きる

・妖精は不死ではないが、人間よりもはるかに長生きする――10倍か、それ以上かもしれない。一部の伝説では、彼らは人間が登場するよりずっと昔からこの星に住んでいるという。その間、妖精たちは人間について知っておくべきことはすべて学んでいる。しかも、人間が次第に衰え、老いていくのとは違って、妖精は年を重ねても力を失わない。

 

妖精は見た目より強い

妖精物語の多くが、巨人その他の怪物について語っている。大きくて毛むくじゃらな北のトロールは、ビッグフットに似ている(嫌なにおいがするというビッグフットの特徴も持っている)。しかし、小さなドワーフにも筋肉がそなわっている――彼らは3歳になる頃には大人になる。ハワイの神話では、メネフネと呼ばれる小さな精霊が、カウアイ島に驚くべき石のダムと壁を作ったといわれている。またアラビアの神話では、ジンと呼ばれる妖精がピラミッドを造ったという。

 

妖精は未来を予言できる

・妖精の多くは人間よりも鋭い洞察力があるばかりでなく、未来を見通すこともできる。“千里眼”(透視)は、彼らにとって自然のことなので、何が起こるか前もってわかるのである。明らかに、それによって当てずっぽうは減り、ほとんどの状況で優位に立つことができる。

 

妖精は姿を消すことができる

・見えたと思えば消えてしまう。ついに姿をとらえたと思ったら、相手は見なくなるマントをはおり、目の前で消えてしまう。あるいは、ただ音もなく、周りの影や緑にまぎれるか、魔法の国と私たちの世界を隔てるヴェールの向こうへ逃げ込んでしまう。現実には、妖精を見ることができるのは、相手が姿を見せる気になったときだけなのだ。しかも妖精たちは、まばたきする間に自分たちの王国をまるごと出したり消したりして、すべてが夢ではなかったかと思わせることができる。

 

妖精の目撃談

・「コーンウォールで休暇を過ごしているときのことでした。娘と曲がりくねった道に差しかかったとき、突然、小さな緑色の男が、門の側で私たちを見ているのに気づいたのです。全身緑色で、尖った頭巾をかぶり、耳も尖っていました……。私たちは恐怖でぞっとしました。そして、眼下の渡し船まで走っていきました……。あれほど怖かったことはありません」

 

取り替え子

妖精が人間の子を盗むという話は、民間伝承には数多い。多くの国の伝説で、妖精は家に忍び込み、異世界の子供と人間の子供をこっそり取り替える。人間の親は、妖精が自分たちの子供を“取り替えた”ことに、すぐに気づく場合も、気づかない場合もある。だが、気づいてからの結果は悲惨なものだ。

 妖精はこの方法で、劣った子を捨て、強くて健康な子を手に入れることで、子分たちの種を活性化させるという説がある。

 

異種間結婚

人間は長きにわたり、妖精を完全に信用できずにいるが、2つの種族間の結婚はおとぎ話にはしばしば出てくる。ある場合には、人間が妖精の世界へと消えてしまう。別の場合は、妖精が人間界で暮らすことを選択する。セルキーやメロウの名で知られるアイルランドの水の精は、しばしば人間の姿で陸に上がり、人間の伴侶を得る。民間伝承によれば、それぞれアザラシの毛皮または赤い帽子を盗むことで、人間はこの美しい生きものをとらえることができるという。

 しかし、妖精には厳しい行動規範がある。人間は、自分の伴侶が妖精であることを誰にもいってはいけないし、土曜日には相手を見てはいけないし、入浴中の姿を見てもいけない。人間の男が妖精の妻を叩けば、彼女は夫を置いて永遠に妖精の国へ帰ってしまう。

 

・こうした異種間結婚では、両親の親の特徴を受け継いだ異常な子供が生まれることがある。しかし、子供はどちらの世界にも完全にしっくりこなかったり、受け入れられなかったりする。こうした混血児の中で最も有名なのが、アーサー王の異父姉で強い力を持つ女魔法使い、モーガン・ル・フェイだという伝説もある。

 

妖精の世界を訪ねる

もしも、妖精の世界への境界を偶然またいでしまったら、タイムワープする可能性が高い。妖精界で1時間に感じるものが、私たちの世界では数カ月や数年に等しいかもしれないのだ。2度と戻ってこられない人もいる。戻ってきた人が、何らかの品を携えている場合もたまにある。コップやコイン、幸運を呼ぶお守りなどだ。だが、許可なく妖精の宝を持ち出せば、妖精の国を出たとたんに消えてしまう。

 

日本の河童

妖精といっても、目もくらむような美しさの持ち主ばかりとは限らない。現に、非常におぞましい生きものもいる。日本の河童もそれに入るだろう。この水に住むグロテスクなゴブリン――大昔から存在していたが、本当に広く知られるようになるのは江戸時代(1615~1868年)のことだ――もまた、奇妙な特徴を持っている。ありがたいことに、この特徴はほかのどの妖精にも見られない。

 

日本の伝説では、この水の妖精は身長約90センチから120センチで、黄緑色の肌をし、足には水かきがあり、魚のうろこまたは亀の甲羅に体を覆われている。

 

・民間伝承ではしばしば河童を、川や湖に住む肉食性の妖精と描写している。彼らを吸血鬼になぞらえるものもある――彼らは家畜を襲い、水に引きずり込んで溺れさせてから、生命のエッセンスを吸ったり肝臓を食べたりするとされている。

 

・したがって、この気味の悪い生きものは完全な悪というわけではないのだ。そして、河童をつかまえたら、彼らから接骨その他の治療法を聞き出すことができる。

 だが、河童の最も奇妙な点はこれからだ。伝説によれば、あらゆる人間は、腸の中に尻子玉という小さな玉を持っているという。それは人間の魂だという説もある。また、河童の大好物である肝臓と結びつける者もいる。誰も正確な理由は知らないようだが、理由はどうあれ、河童は尻子玉をほしがり、その魔法の玉を手に入れるために人間を殺すという。

 妖精その他の超自然的な生きもの全般にいえるように、現代のメディアは河童を浄化している。現代の漫画では、河童は奇妙な外見に描かれてはいるが、愛嬌があるといっていい。野球をしている河童の人形や、河童の冷蔵庫用マグネット、子供のお弁当箱に入れる河童のつまようじを買うこともできる。もちろん、現代人は河童の異常な行動をほのめかしたりしないだろうが、子供を河童と過ごさせることについては考え直したほうがいいだろう………。

 

 

 

『何かが後をついてくる 妖怪と身体感覚』

伊藤龍平  青弓社    2018/8/3

 

 

 

台湾の妖怪「モシナ」の話

「お前さんモシナかい?

日本では、台湾の「モシナ(魔神仔)」の知名度はどれほどのものだろう。台湾人で「モシナ」を知らない人は少ないが、日本で知っている人のほうがまれではないだろうか。

 モシナとは、主に夜、山中や草原に出る怪で、道行く人を迷わせて帰れなくしたり、夕方まで遊んでいる子どもをさらったりする。また、口のなかにイナゴを詰めたり、夜中に寝ている人を金縛りに遭わせたりもする。

 

モシナの容姿については、赤い帽子と赤い服(もしくは、赤い髪、赤い体)の子どもの姿(猿に似ているとも)をしているといわれるが、一方では、人の目には見えない気配のようなものだともいう。

 

・この慣用句にはモシナの本質が凝縮されている。モシナとは、知らぬ間に自分の背後に忍び寄る存在だった。黄さんは、モシナを「影のような存在」とし、「幻のようなもの」とも呼んでいた。

 

・「急に、影みたいに現れて消えるとか、そういうものをモシナって、鬼はもっとはっきりした形があった場合は鬼よね。モシナというのは、何かしら薄いような影(の姿)をした鬼でしょうね。だから小鬼という。実際の鬼じゃなくて、いたずら鬼、いたずらをする鬼」

 

 

モシナの事件簿

・モシナとは何かという点については、世代による違いもある。中年以上の台湾人は、モシナと鬼とをはっきり区別していることが多い、人の死後の姿かどうかが一つの基準になるが、ほかにどのような違いがあるのだろうか。

 黄さんは、モシナと比べて「もっとはっきりした形があった場合は鬼」と話していた。同じ意見を鄭埌耀さんからも聞いている。鄭さんによると、「鬼ははっきり見えるでしょう、モシナは見えないんだ」とのこと。民俗資料には、赤い服と赤い体という鮮烈なビジュアルなモシナが記録されているが、実際、台湾の人から話を聞くと、こうしたビジュアルがないモシナのほうが一般的である。

 それでは、具体的にはモシナはどんなことをするのか。以下、鄭さんに聞いた話を要約する。

 

日本統治時代、台南にモシナが棲むという噂の空き家があった。あるとき、剛毅な男が、銀紙(冥銭。死者に捧げるお金)を奉納したうえで、その家を借りた。ところが、夜中、目が覚めると、男はいつのまにか土間に落ちている。どうやらモシナのしわざらしい。

 そんなことが、夜ごと繰り返されたので、とうとう男も腹を立て、「俺は金を払ってんだ、文句あるか!」と怒鳴ると、それ以来、悪さをしなくなったという。

 

 たわいもない話である。怒鳴られて退散するモシナも気が弱いが、鄭さんによると、「モシナはただ、いたずらをするだけ。これが鬼なら殺されてる」とのこと。蔡さんの「実際の鬼じゃなくて、いたずら鬼」という発言とも呼応し、台湾人のモシナ観が見て取れる。

 

・このモシナの話は、日本の「迷わし神型」妖狐譚とよく似ている。日本の場合、狐狸貉に化かされた人が団子だと偽った馬糞を食べさせられる話が多いが、台湾のモシナもイナゴではなく、牛糞を食べさせることがある。おそらくは日本の「馬の糞団子」の話のように、ごちそうに見せかけられたのだろう。化かされている最中に口にした食べ物が怪異体験の証拠になる点は共通している。

 気になるのは、台湾の「モシナ」と日本の「ムジナ(貉)」の発音の近さである。

 

・妖怪のなかにも勢力関係があって、弱い妖怪は、強い妖怪に駆逐されていく傾向がある。例えば、「河童」という妖怪の知名度が上がると、水難事故などの水辺にまつわる怪異はすべて河童のせいにされてしまい、似た行動パターンの妖怪の名は忘れられていく。

 

とはいえ、解釈装置としてのモシナは、現在も生きている。現代でも台湾のマスメディアでは、行方不明事件や不可解な死亡事故を報じる際に、紙面に「モシナ(魔神仔)」の文字が躍る。

 

・台湾中部の苗栗県大湖郷で、81歳の女性が朝から行方不明になり、捜索の結果、2日後、自宅の対岸の川辺で発見された。女性が発見されたのは急峻な崖下の川辺で、救助の際もロープで担架を下ろすなど、困難を極めたという。失踪当日は雨も降っていて水量も多かった。高齢な女性がどうやってここに来たのか、警察や消防の関係者も首をひねっていて、「モシナのしわざではないか」と話している。

 

「鬼」化するモシナ

・台湾人が幼少期によく聞いたのは、父母のしつけの言葉のなかに出てくるモシナである。「遅くまで遊んでいると、モシナに連れていかれるよ」「あんまり遠くまで行くと、モシナに連れていかれるよ」など。モシナの原義と推察される「模(モォ)」に「攫う」という意味があることについては先に述べたとおりである。

 日本でいえば、カクレザトウ(隠れ座頭)、カクレババ(隠れ婆)、カマスショイ(叺背負い)、ヤドウカイ(夜道怪)、アブラトリ(油取り)……などの、夕暮れ時に現れて子どもを連れ去る妖怪の系譜に連なるモシナである。

 

・殷さんが、女友達とキャンパスに続く坂道を歩いていると、分かれ道になっているところにボロボロの服を着た女が立っていて、何か話しかけてくる。殷さんが返事をしようとすると、友人はそれを制止し、手を引いてその場を離れた。

実は友人には何も見えてしかったのだが、殷さんが「何か」を見てしまったのに気がついて、そう対処したのだと後で聞かされた。

 友人は鬼のしわざだと思ったが、殷さんは、子どものころに聞いた母親の言葉を思い出し、即座に「モシナかもしれない」と思ったという。

 

謎の女を、殷さんは「モシナ」だと思い、友人は「鬼」だと思っていて、見解が分かれている。先に「モシナと鬼は違う」とする説が台湾では一般的だと書いたが、それは中年以上の年齢層での話であって、若い世代は両者を混同していることが多いようだ。

 台湾人の精神世界を探るのに有効だと思われるモシナだが、アカデミズム方面では、ようやく研究の緒についたばかりである。

 

ここでいう「広義のモシナ」とは「鬼」のことである。中国語の「鬼」を日本語に訳すと、狭義の「妖怪」の意味にもなるが、ここでは「幽霊(死霊。人の死後の姿)」を指している。ただし、祀られている鬼ではない。祀られずに(供養されずに)世間を漂っている鬼であり、さらに単独で出るものとされている。

 一方、「狭義のモシナ」は、本質的には「山精水怪」の一種で、さまざまなものに化けて、人にいたずらをする。林と李は396例にのぼる事例を整理し、その特徴を、①小さい体、②猿のような顔、③青黒い肌、④赤い色(帽子、目、髪、体)、⑤ふわふわと動く、⑥単独で行動する、としている。林と李は、こちらをモシナ本来の姿だとして考察の対象としている。

 

・最初に、モシナにはビジュアルがないとする説とあるとする説を述べたが、それは広義のモシナか狭義のモシナか、ということではないだろうか。狭義のモシナには鮮烈なビジュアルがある。例えていうなら「幽霊的モシナ」と「妖怪的モシナ」である。林と李が後者を研究対象としたのは、モシナ研究の端緒としてはまったく正しいが、今後は前者のモシナを、台湾の鬼の話(非常に多い)のなかで捉える視点も必要になる。

 

・今後の展望としては、林と李は「モシナの比較民俗学」を提唱している。ここで比較対象にあげているのは、中国大陸の「迷魂仔」「茫神仔」、日本の「河童」「神隠し」、欧米の「ブギーマン」「フェアリー」など。いずれも比較対象として魅力的だが、その前に、地理的に近い南西諸島との比較がなされるべきだろう。狭義のモシナの外見や行動からは、沖縄のキジムナーや奄美ケンムンの伝承が想起される。「金縛り」という行動面でも類似点が多い。また、これも先に述べたことだが、行動がそっくりな日本の狐狸貉の話との比較も有効だろう。ムジナ(貉)=モシナ説の是非はさておき、「迷わし神」型妖怪の比較研究はまだなされていないはずである。

 

・現代の台湾には鬼の話が多く、日本の幽霊話よりもリアリティーをもって話されている。しかし、日本の場合と同じく、妖怪の話は例が乏しい。そう考えると、「妖怪的モシナ」に比べて「幽霊的モシナ」のほうがリアリティを保てているのかもしれない。

 

東アジアの小鬼たち

<お人よしの水鬼>

水鬼を「水難にて死せしものゝ魂魄」と説明しているが、これはいわゆる「地縛霊」のことだ。

 

・『現代台湾鬼譚』でもふれたが、「水鬼」という語は現在でもよく使われている。子どもに対する教育的配慮を含んだ警句のなかで、「川に入ったら、水鬼に連れていかれるよ」という具合に使用される。日本でも、河川や池沼への立ち入りを禁止する看板に、河童のイラストが描かれることはあるが、母親が子どもに「河童が出るよ」と言うケースはもう少ないのではないだろうか。台湾の水鬼には、日本の河童が失ったリアリティーがある。

 新聞やテレビなどのニュースの見出しにも、しばしば「水鬼」という文字が躍る。