日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

コンタクティやチャネラーの情報を集めています。森羅万象も!UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象といわれます。

コロナショックは、社会革命とまではいかないが、数年、数十年かけて起こるべき変化を早く始めさせる作用はあるだろう。通常であれば、在宅勤務しない人の在宅数が急激に増えた。(1)

 

 

『ジム・ロジャーズ   大予測』   激変する世界の見方

ジム・ロジャーズ  東洋経済新報社 2020/5/1

 

 

 

驚愕の未来予測&投資戦略

次の金融危機が私の人生で最も大きなものになろう

▼世界の主要国がみなダメージを受けるなか、いち早く立ちあがるのは中国になる

▼日本のみなさんはオリンピックの開催が心配だろうが、それよりもその後の債務のことをもっと心配すべきだ

▼私は人々が熱狂しているときには静観し、常にベア相場を気にしていて、底値を探している

▼私は買うことができるなら、日本の農地を買いたい。かなり割安でいま底値に近いと考えるからだ

 

コロナショック

コロナショックが世界を混乱に陥れている。戦後最悪の不況が襲来するのではという不安が、経済やマーケットを覆っている

 世界の株式市場は連日乱高下をくり返し、ニューヨーク株式市場では3月16日に、1日で2997ドル下落という記録的暴落に見舞われた。

 

・ロジャーズ氏は、コロナ危機については、過剰に反応しすぎているとしながらも、人々は「恐怖」に支配されてしまっており、世界経済はパニック的な大混乱に陥るだろうと述べている。

 

次の金融危機が私の人生で最も大きなものになる

――コロナショックで世界のマーケットが混乱しています

ロジャーズ: 世界が不況に突入することは、もはや避けられない。最大の理由は世界中の国が経済を停止させ、国境を閉じてしまったからだ。

 

・おそらく、いや確実に、次に来る金融危機は私の人生で一番ひどいものになるだろう。

 

・おそらく、株価の値下がりは今後も続く。50、60、70、いやそれ以上だろう。実体経済の落ち込みは、いずれ金融機関の破綻をもたらし金融システム不安を引き起こす。いつとは断言できないが、それは必ず起こる。次の金融危機が私の人生で最も大きなものになるだろう。

 

――その理由を教えてください。>

ロジャーズ: なぜなら2008年以降、世界中の債務がどんどん増えているからだ。

 

日本でも、日銀が大量にお金を刷り、ETF国債を買って債務を増やしている。中央銀行は、どんな手段を用いても金融危機は避けたいと思っている。

 しかし、中央銀行も無限に債務を増やし続けることはできない。いつの日か終わりが来る。ある日突然、相場参加者のモメントが変わるときが必ずやって来る。その局面では、もはや誰も世界経済を救うことはできない。次の危機はそうした最悪の危機になると見ている。

 

――マーケットの下落のペースは予想外のものでしょうか。

ロジャーズ: もちろん。これほど早く、そしてこれほど大きく相場が下げたことは、はじめての経験だ。ただ、今回の下落はコロナウイルスだけが要因ではない。

 

<「恐怖」に支配された相場、経済に打つ手なし

ロジャーズ: 今回の経済危機は、リーマンショックとは逆の流れで危機が広がっていくだろう。まず消費やサービスが落ち込み、企業業績が悪化、それが金融不安につながっていく。

 

――今回のコロナ危機はパンデミックということで、中世末期の欧州のペストと比較する向きもありますが………。

ロジャーズ: 死亡者数を見れば、ペストとは比較の対象にならない。ペストは当時の欧州の人口の3分の1、国によっては8割以上の人が亡くなっている。

 

・もちろんメディアは、ペスト再来だと、そう思ってほしいだろう。なぜなら、センセーショナルに書けば新聞も売れるし、ネットのアクセス回数も増えるからだ。

 毎年アメリカでは4万人がインフルエンザで亡くなっている。全世界ではインフルエンザでは毎年、数万、数十万人の死者が出ている。数字の上では、メディアが報道している恐怖とはほど遠いものと言える。

 

――ペストの流行が中世を終わらせ資本主義の契機になったと言われますが、今回の危機がなんらかの「社会革命」を引き起こすでしょうか。

ロジャーズ: 社会革命とまではいかないが、数年、数十年かけて起こるべき変化を早く始めさせる作用はあるだろう。通常であれば、在宅勤務しない人の在宅数が急激に増えた

 

航空会社、シェール関連企業の破綻は避けられない

――株価下落の一方で、原油価格も大きく下落しています。

ロジャーズ: 原油はいま底値をつけようとしている段階だ。やはり将来から現在を振り返ったときに、「2015年から2021年の間が複雑な底値だった」と認識するようになるだろう。

 そして、そこから原油価格はまた上昇する。

 

――原油価格の急落で、シェールや原油絡みのハイ・イールド債(低格付債)の利率が急上昇しています。これらの動きをどうみますか。>

ロジャーズ: 明らかに危険なサインだ。シェール関連産業の危機が発端になり、他の信用度の低い企業やETFにも波及する懸念はある。

 ここ数年、シェールをはじめとしたエネルギー産業はこの世の春を謳歌してきた。

 

20年ほど前にインターネット・バブルが破裂したが、その後もインターネットがまだ存在したように、シェール関連産業が消えることはない。

 

――経営危機に陥る企業は増えそうですね。

ロジャーズ: 間違いなくそうなるだろう。こういった状況で一番弱い企業は債務の多い企業だ。逆にキャッシュに余裕のある会社は、生き延びることができる。テクノロジー産業など、比較的新しい産業は債務が少ない。

 現在、苦境に陥っているのが航空会社だ。

 

・観光や外食、レジャー、娯楽産業などでも、移動制限のため甚大な痛手を受けており、破綻する企業、吸収・合併される企業が多くなるのは避けられない。

 

恐慌前夜の世界経済、日本でも大型倒産が続出する

――日本企業も例外ではないですね。

ロジャーズ: もちろん、例外ではない。日本では、当初、中国との関係が深い企業が受けるダメージが大きいと思われていた。

 

・自粛がいつまで続くのか、先が見えない状況では、やはり債務の少ない企業ほど生き残る可能性は大きいが、それにも限度がある。

 さらに、ここへ来て、一連の危機はサービス業から製造業にも広がっている。

 

――いまや世界最大の市場である中国の見通しはいかがでしょうか。

ロジャーズ: 中国は政府の発表が正しいものだとすれば、感染のピークは過ぎ、工場の操業を再開したというニュースも流れている。しかし、その情報を半分程度に受け止めても、まだ元の状態に戻るには程遠く、自動車など売れる状態ではないだろう。

 

世界の中央銀行はいつまで過ちを続けるのか

――実体経済の落ち込みは深刻です。世界恐慌は避けられないのでしょうか。

ロジャーズ: 可能性はきわめて高いが、すぐに起こるかはわからない。世界の中央銀行は、なりふり構わずいろいろな対策を打っている。それが次のバブルを生む可能性がゼロとは言えない。

 事実、リーマンショックの際には、「100年に一度の経済危機」と言われながら、その後、わずか数年で、それを上回る規模の新たな金融バブルがつくられることになった。

 

空前の危機にあって、個人投資家はどう行動すべきか

――あなたが懸念している人工的なラリーが到来した場合、どうすればいいのでしょうか。ここがチャンスと考えている投資家もいると思います。

ロジャーズ: 簡単に言えば、一番やられたものを買うべきだ。現時点では、航空会社が一番だろう。レストランやホテル、観光関連、海運も含めた運行関連会社は壊滅的なダメージを被っている。再上昇相場に入った際には、そういった産業に一番大きなラリーが訪れる。他には農業銘柄も買えるだろう。

 

コロナウイルスによる影響が少ない銘柄で、利益が落ちない企業を見つけることができれば次のブル相場で一番伸びが期待できるだろう。しかし、一番の問題は、次のバブル相場がいつ来るかは予想できないことだ。それは今年かもしれない。あるいは君のまだ生まれていない子供が大人になった40年先になるかもしれない。

 

――この危機が起きている間、何かに投資しましたか。

ロジャーズ: 海運会社の株を少し買い始めた。そして大きく下落した金・銀をもうすぐ買う予定だ。

 

――日本の円については、どう見ていますか。

ロジャーズ: ファンダメンタルズが悪化をし続けているにもかかわらず、円のパフォーマンスは私の予想を上回っている。私は、マーケット参加者はみな私の知っていることは知っていると想定しているが、日本円ではそうではないということを何度も思い知らされている

 

――航空会社を注視しているとのことですが、「買い」のサインはあるのでしょうか。>

ロジャーズ: 反発の勢いを確認してからでは利益の多くを逃してしまう。買いシグナルの警報などが鳴るわけではないが、買いタイミングが存在するとすれば、それはおそらく国際的な航空会社が破綻した時になる。二社が破綻すればタイミングがハッキリする。

 

――すでに投資をしていて、アマゾンやアップル株などの大型株を持っている人へのアドバイスはありますか。>

ロジャーズ: 言葉が見つからないね。君たちは運がいいよ、とでも言おうか。なんてラッキーなんだ、と。なぜなら、これからそういった大型株はさらに下がる。ベア相場が本当に到来する時にはアマゾンやアップル株は50%から80%は下がると見ている。けっして悪口を言っているわけではなく、これが相場の仕組みなのだ。

 

――2008年に暴落してから金融銘柄は高値まで再上昇しましたが、金融セクターの見通しはいかがでしょうか。>

ロジャーズ: 2008年の危機のときは、アメリカでは不動産にもっとも大きなバブルが生じていた。そのバブルがはじけると、サブプライム・ローンを抱えていた銀行銘柄がもっとも下落した。今回のバブルはテクノロジー関連株や政府債、そして債券全般に生じている。アメリカにおいて、いくつかの州は債務超過で破綻寸前の状態だ。

 

――マーケットがベア相場に突入するのは避けられないのですね。>

ロジャーズ: 避けられないだろう。しかし、くり返し言っているが、その前に株が大きくラリーする可能性もゼロではない。政府と中央銀行があらゆる対策を打ち出してきているからだ。

 

――マーケットが中央銀行を信用しなくなると、「現金が王様」になりますか。

ロジャーズ: もちろんそうだ。しかし、その際、持つべき通貨を間違えてしまうと大変なことになる。

 

そして、今回、持つべき通貨は、絶対に円でもスイスフランでもない。米ドルが最も魅力的な通貨と考えている。

 

――あなたが中央銀行総裁だったら、どんな政策をとりますか。

ロジャーズ: 難しい質問だね。マイナス金利や長期間のゼロ金利が歴史上存在したことはないので、FRBはとんでもない過ちを犯したのは間違いない。これが長続きするはずがないことも確かだ。ゼロ金利に近づき、あとどの程度続くかわからないが、それが失敗だと気付くと変化が生まれるだろう。日本はすでにマイナス金利になっているが、ゼロ・マイナス金利という実験のエンドゲームが近づいている。

 

――投資なんて懲り懲りで現金が一番と思っている日本の読者へメッセージをいただけますか。>

ロジャーズ: みなが相場から逃げている時こそがチャンスで、相場に挑むべきだ。たとえ買わなくても、しっかり注視すべきだと思う。

 

これから世界で何が起こるのか~世界の主要国が後退し、中国覇権が加速する

今回のコロナ危機で欧米経済の凋落が決定的になる

――今回のコロナショックは、国際政治や安全保障にも大きな影響を与えそうです。

ロジャーズ: 数十年後に現在を振り返ったときに、多くの出来事について、今回の危機が分岐点だったと記録されているだろう。長期的な視点に立てば、世界経済の成長が大きく減速し、アメリカや欧州はじめ世界の主要国の凋落が決定的になる。

 

・排外主義やポピュリズムが蔓延したのは1930年代で、歴史はくり返されるわけではないが、歴史は韻を踏む。これはアメリカの文豪マーク・トウェインの言葉だが、世界の出来事のほとんどは、まったく同じではなく、少しだけかたちを変えてくり返される、という本質を突いた言葉だと思う。

 

――ヨーロッパについてはいかがでしょうか。

ロジャーズ: ヨーロッパはアメリカと並んで、コロナ感染が一番深刻な地域だ。中でもイタリア、スペイン、フランスの状況が深刻で、これらの国では経済活動の停止を余儀なくされているが、その影響がどれくらいになるか。債務危機の再発もあり得るだろう。

 

――大量のお金が用意されているにもかかわらず、なぜ、世界経済は減速してしまうのでしょうか。>

ロジャーズ: それは大量の債務が足を引っ張るからだ。政府も民間も現在ほど、多額の債務を抱えた時代はない。債務は成長の機会を奪うのだ。欧米も日本も新興国も多額の債務を抱えているまさしく歴史上初の異常事態と言ってもよい。

 

コロナショックがトランプの再選を脅かす

――2020年のアメリカ大統領選をどう見ていますか。

ロジャーズ: 今回の危機が起こる前は、もし、どちらかに賭けろと言われたらトランプ再選に賭けていただろう。なぜなら、90年代以降、現職の大統領が再選されているケースが多いからだ。

 

・しかし、今回の危機で株式市場が崩落した。なりふり構わずの対策で、株価や経済の落ち込みを食い止めようとしているが、そう簡単なことではない。

 

最大級の危機が中国の覇権を後押しする

――中国については、どう見ていますか。>

ロジャーズ:先に、今回の危機で世界の主要国がみなダメージを受けると述べた。それは中国も例外ではないが、その中からいち早く立ち上がるのは中国だろう。私がアジアに移ったのは、中国が次の経済覇権を握ると信じているからだ。中国がアメリカに代わる覇権国になることを疑っていない。ただ、その過程ではさまざまな問題に直面するだろう。

 

――共産党の独裁体制はリスクにならないでしょうか。>

ロジャーズ: 中国人は自分たちの国家体制を共産主義と言っているが、中国は世界で一番の資本主義国家だ。数十年後のことを予想するのは難しいが、自らを共産党と称していてもその中身はほど遠いものになっているだろう。キューバも自国のことを共産国家と称しているが、現状はまったく異なるものだ。

 

アメリカが後退する一方で、多くの国に歓迎される一帯一路

ロジャーズ: このように、中国という国は、世界が驚くような潜在的能力を秘めている。これから、ますます、その潜在力を発揮し世界に影響を与えていくだろう。中国が世界の牽引役になると考えるのは自然なことだ。

 

――帝国化する中国を懸念する声が多くあります。

ロジャーズ: 特に中国と国境を接する国で、そういった意見が多いことも知っている。自国をはるかに超える勢いで軍備の拡張を行っている現実を目にしているので、そういった懸念が高まるのだろう。

 軍事衝突というものは、突発的な要因で起こるものなので、絶対に戦争が起こらないとは言えないが、中国はこの先も軍事力ではなく、経済力を使って、自国を豊かにしていくと見ている

 

<――中国の一帯一路についてはどうお考えでしょうか。>

ロジャーズ: 同じように、早い段階で一帯一路に賭ける人は、巨額の富を手に入れるチャンスがある。一帯一路で鉄道が通る街に投資すべきだ。そしてその土地のよく知ることであなたは成功でき、富を手にすることができる。中国の一帯一路は、その地域の成長を促すとともに、多くの人に富をもたらす。したがって、それは多くの人から歓迎される。非常に重要な政策になる。

 

あまり知られていないが、中国の最大の弱点は「水問題」だ

――中国に対して期待が膨らみますが、最大のリスク要因は何でしょうか。

ロジャーズ: 電力や大気汚染と考えるだろうが、それは間違いで、最大のリスクは水問題だ。現在、中国は深刻な水問題を抱えており、それを解決するために、巨額の投資を行っている。

 私がかつてバイクで世界一周をしていたとき、さまざまな国を訪れたが、多くの国における最大の悩みは水問題だった

 

・しかし、多くの場所で中国の水は水質が悪く、それに対する人々の不満が高いことも事実だ。中国の水ビジネスは、この先も有望と見るべきだろう。

 

香港はこれからもアジア金融の中心地であり続けるか

――次に香港についてうかがいたいと思います。大規模なデモがあり、シンガポールなどに移住したいという人が増えています。香港はどうなるのでしょうか。このまま金融都市の地位を維持できるのでしょうか。

ロジャーズ: 現在の香港の産業は金融、観光、不動産だ。

 しかし、その3つだけでは、もはやアジアの金融センターを維持できない。都市間競争に敗れた都市にはつらい未来が待っている。

 

2050年にも同じく香港という街は存在しているだろう。しかしそれは、我々が知っている香港とは大きく違うものになっているに違いない。

 

――次のアジアでトップの金融センターはどこになるのでしょう。>

ロジャーズ: 上海か、そうでなければコンピューター、いや、スマートフォンかもしれない。アフリカでもモンゴルでも、どこにいてもスマートフォンさえ持っていれば、そこがマーケットになる。

 

朝鮮半島は向こう10~20年でもっとも魅力的な地域になる

――中国以外のアジアの国の話も聞かせてください。10~20年でもっともエキサイティングなのは北朝鮮とおっしゃっていますが。

ロジャーズ: 以前から話をしている通り、私は38度線が解放されることを楽観的に見ている。そして、もしそのようになれば、朝鮮半島は向こう10~20年の間、最もエキサイティングでチャンスにあふれた場所になるだろう。

 

アメリカと日本は朝鮮半島の統一を望んでいない

ロジャーズ: しかし、私は、もう38度線が解放される流れは止められないと見ている。早ければ、数年内にそのときが来る。そうなれば、日本も経済政策はもちろん、安全保障についても見直しが必要になる。すぐにアメリカとの同盟が解消されることはないが、その距離感については大いに考えるべきときが来るだろう。

 

日本にとって東アジアの成長は、千載一遇の大チャンス

――その通りになれば、韓国は魅力的な投資先になりますね。

ロジャーズ:長期的に考えればその通りだが、現時点では韓国よりも日本のほうに魅力を感じている。

 韓国には期待しているもののまだ時期尚早だ。韓国はいま多くの難題に直面している。

 

・GDPに占める輸出依存度が大きいのが特徴だ。したがって、今回の世界的な経済危機の影響を、日本やアメリカ以上に受ける。今後、さらなる変化が朝鮮半島に見られない限り、韓国に投資をする時期はもうすこし先だと思っている。

 

――しかし、長い目で見れば、アジアは有望な投資先になりますね。改めて日本はどうでしょうか。

ロジャーズ: 日中、日韓の間に数多くの問題があることは知っている。しかし、安倍首相はこのチャンスの中で、「我々も中国、韓国との関係を強化して将来の富を手に入れよう」と言うべきだと思う。

 さらなる成長を遂げる中国、ロシアのシベリア開発、朝鮮半島の投資機会、これらすべてに関して、日本は先行者優位を取るべきだ。

 

・信じられないことだが、現在、東アジアからヨーロッパまでの輸送は、船で運ぶよりも鉄道で運んだほうが安くすむ。

 

変化を好まない日本人は、儲けのチャンスを失っている

――その通りだと思いますが、素直に「イエス」と言えない感じもありあます。

ロジャーズ: 日本と韓国が仲が悪いのは有名だ。日本と韓国を比較してみると、日本人はシャイな性格で内向きに感じる。それが日本文化の持つ繊細さにつながっているのだろうが、企業のものづくりにしても一番に国内の需要を意識している。

 しかし、韓国を見てみると、サムスンにしてもK-POPにしても、はじめから海外を意識しているように思う。そして、韓国人は外国人にもフレンドリーで、彼らを快く受け入れてくれる。

 

――韓国が90年代以降、急成長を遂げた理由は何でしょうか。>

ロジャーズ: 一番の理由はグローバル化の影響で、日本の製造業の地位が低下し、それに代わってサムスンなど韓国や台湾のものづくりが台頭したことだ。

 

アメリカが韓国に投じた資金は、日本に投じた額を上回っている。韓国の人口は日本の半分以下なので、アメリカによる投資が韓国に相当なインパクトを与えたことは確かだ。ソウル五輪後の90年代前半には、韓国は経済的にかなり力をつけていた。

 

いま世界的な投資家が注目している国や地域はどこか

――いま投資をしたいと思っている国、地域はありますか。

ロジャーズ: くり返しになるが、もし38度線が開くようであれば、一番は朝鮮半島に投資したい。しかし、現時点では北朝鮮に株式市場は存在しない。ただ、北朝鮮シンガポールなどに人を送り込み、株式市場について研究させていることをご存知だろうか。

 

――他に魅力的な国はありますか。

ロジャーズ: 刺激的だと思うのは、もし投資が許されるのであればベネズエラだ。しかし、ベネズエラの土地を買うことも、まだアメリカ人には許されていない。

 

私は、これまでの歴史から、大惨事が起きた国に投資をしておけば、数年後にリターンが返ってくることを学んだ。その法則に従えば、ジンバブエがそれにあたる。

 

あなたたちも、世界を見て、大惨事が起こった国を見つけたなら、ブローカーに電話して、すぐにその国に投資すべきだ

 ベトナムではETFに投資している。ベトナムも長い目でみれば、魅力的な市場だと思っている。人口は9000万人を超えていて、みな勤勉だ。

 

・他には南アフリカランドが購入できれば魅力的に感じる。森林火災が起きたオーストラリア、暴動の起きた香港、こういった国や地域にも目を向けるべきだろう。

 また、コロナの影響で下落している中国、航空銘柄、ホテル産業、こういった業界も注意を払っておく必要がある。

 

――オルタナ資産はどうお考えでしょうか。原油や金といった商品への投資も考えていますか。>

ロジャーズ: 私は日本の農業への投資を勧めたい。日本の農家の平均年齢は約66歳。そして彼らの子孫は大阪や東京、そしてシンガポールに移り住んでいる。アメリカの農家の平均年齢もやく58歳と過去最高で、オーストラリア、カナダも似たようなものだ。そしてイギリスの農家の自殺率は非常に高く、インドも同様だ。今後、農業には大きな変化が起こると思っているので、農業への投資はお勧めしたい。

 日本語には次のような言葉があるだろうか。それは「ウィー・ジーン」と言って、「大惨事の後にはチャンスが訪れる」ということだ。

 

――日本語の「危機」でしょうか。

ロジャーズ: ピンチの次にチャンスが訪れる。ピンチとチャンスは表裏一体という意味だ。農業に当てはめると、平均年齢がどんどん上がっていく中で、農業に投資することができれば、ピンチの次にチャンスが訪れる。ここ20~30年、農作物の価格は右肩下がりに下落している。長期の投資という意味では、農作物にも目を向けるべきだろう。

 

・もし、地方の土地に投資をしたくなければ、農作物の先物を買うのはどうであろうか。例えば、砂糖は最高値から8割下がっている

 

20年後、「日本終了」が現実味を帯びてきた

私が日本人なら海外脱出するか、AK-47(自動小銃)を使えるようにする

――日本に対して警鐘を鳴らし続けていますが、日本人の危機意識はあまり高まっているとは言えません。>

ロジャーズ: 日本の将来を考えたとき、ものすごい勢いで子供を増やすか、移民を受け入れるか、とんでもないスピードで借金を減らすかしない限り、日本が長期停滞から脱する見通しは絶望的だ。若者が減って高齢者が増える。社会保障のサービス水準が変わらないとすると、数少ない若者に重税を課さない限り借金は増え続ける。誰にでもできる未来予測だ。

 このままいけば、日本には恐ろしい未来が待っている。

 

――日本も少しずつではありますが、変化を受け入れているように感じます。

ロジャーズ: 本当にそうだろうか。私にはまったく「変化」しているようには思えない。人口減少はいっこうに改善されない。いま若い人が子供を生もうとしないのは、将来に対する不安が大きいからだ。若い人は何かがおかしい、と感じているのだ。

 

・百歩ゆずって、「ゆっくり」と変わり始めているとしよう。しかし、「ゆっくり」が問題なのだ。社会保障にしても、少子化対策にしても同様で、非常にゆっくり変わっている間に人口は減り、借金は増えていく。その間に日本は没落してしまうだろう。

 

外国人にとって日本ほど不自由な国はない

――少子化対策では間に合わないのではないでしょうか。>

ロジャーズ: その通り。20年後には間に合わないだろう。私は移民政策が不可欠だと思っている。安倍首相は、新たに34万5000人の外国人労働者を受け入れると発表したが、これは移民政策に一歩踏み出したということでは評価はできる。

 

海外に目を向けなければ、日本は縮小していくだけ

ロジャーズ: 経済が好調で、国が上昇基調にあるときは、外国人のことなど気にしなくてもよい。特別な関心を示さなくても、向こうから来たいと言ってくれるからだ。しかし、衰退した国に、外国人は来ようとは思わない。

 

技術大国は昔の話で、日本のプレゼンスは後退している

――国を開くという以外に、日本人への助言はありますか。>

ロジャーズ: それから44年後、GMは破綻し、トヨタは世界最大級の自動車メーカーに成長した。彼らは高品質な自動車を消費者が納得する価格でつくり続けたからだ。

 

日本人は「変化」を怖がりすぎる

――日本の労働時間や貯蓄率は急速に下がってきています。

ロジャーズ: 日本の農産物のレベルは高く、世界に目を向ければ、新たに市場を獲得できるだろう。「変化」を怖がらないこと。新しいことにチャレンジすることが大切だ。

 

――変化や新しいものへのチャレンジを躊躇するのは、日本人の特性でしょうか。財政や社会保障の改革もなかなか進みません。>

ロジャーズ: これはシルバー民主主義も関係する問題で、日本に限らず先進国の多くの国で、同じような問題に頭を痛めている。しかし、先にも言ったように、簡単な算数ができれば、日本は20~30年後にとんでもない問題に直面することがわかる。これは債務と人口から導かれる簡単な算数の話だ。

 

日本の潜在能力を活かすには、イノベーションを起こせる企業家が必要> 

ロジャーズ: 先に、農業の可能性に言及したが、日本や日本人がもつ潜在的な力を引き出すには、既存の枠を打ち破り、新しいことに果敢にチャレンジするイノベーターが必要だ。

 

――日本では「出る杭は打たれる」ということわざがあります。

ロジャーズ: それは日本だけではなく、世界中にある。

 

――そうかもしれませんが、たとえば、アメリカやシンガポールに行くとイノベーションは非常に歓迎されますが、日本では必ずしも歓迎されません。

ロジャーズ: 覚えておいてほしいのは、日本もかつてはイノベーターを歓迎していたということだ。本田宗一郎盛田昭夫、彼らは出る杭だったのではないか。

 

いま世界で一番のイノベーション大国は中国だろう。中国は毎年、アメリカの10倍もの数のエンジニアを輩出している。

 

・中国がアメリカや日本を超えるテクノロジー大国になることは、もう約束されたようなものだ。

 

観光、医療は日本の競争力優位な分野

――技術立国日本はますます厳しくなりそうですね。>

ロジャーズ: ただ、目先を変えれば、日本にはいくらでも道はある。先に挙げた農業もそうだし、最近では観光が新たな道になりつつある。30年前、日本へ観光で訪れることを考える人はほとんどいなかった。

 

――医療ビジネス、特に高齢者に向けた医療についてはいかがでしょうか。

ロジャーズ: 医療分野は、今後、明らかに成長するマーケットだ。日本の政府は引き続き医療費を減らすことはしないだろう。なぜなら、政治家たちは、高齢者たちの反発を恐れて予算を削ることができないからだ。

 

――たしかにそうですね。外国人労働者の受け入れを考えているようですが、高いレベルの日本語をマスターしないといけないなど、高いハードルが課されています。>

ロジャーズ: 日本を救うには移民政策を推し進めることだと言ったが、介護従事者に対する日本の厳しすぎる基準には「やっぱり」といった感じで驚きはしなかった。外国人に冷たい日本なら当然の基準ということだろう。

 

東京オリンピックはむしろ中止のほうが良い理由

――話を変えますが、最近話題になっているMMT(現代貨幣理論)についてどう思われますか。

ロジャーズ: きわめて愚かな発想だと思う。ただ、どんなにバカげた発想でも、経済が停滞しているときには、信者が増えて理論が徐々に広まっていく。そして、選挙でもこうしたバカげたことを掲げる者が勝ってしまうことがある

 いずれアイビーリーグなど名門大学でも、MMTを授業で教えるところが増えるだろう。

 

――話を少し変えますが、東京オリンピックについてはどう思われますか。

ロジャーズ: しかし、過去にオリンピックで救われた国など、まったく存在しない。これは疑いようのない事実だ。なぜなら、オリンピックというものは、債務を増やすものであって、いずれどこかで国民がツケを払うことになるからだ。政治家は、「オリンピックは日本にとって素晴らしい機会だ」と言い続けるだろうが、日本を救う機会になることはない。日本のみなさんは、オリンピックが開催されるかどうかが心配だろうが、それよりも、その後の債務のことをもっと心配すべきだと言いたい。

 

私が日本の政治家だったら、少子化対策と移民政策に取り組む

――あなたが日本の政治家だったら、どんな政策を行いますか。>

ロジャーズ: 私がもし、日本の政治家だったら、一番に優先して取り組むのは少子化対策。どうすれば、女性が子供を産みたいようになるかを考える。そして、このことに大きな予算を使うべきだと主張する。

 そして、同時に、日本の財政の立て直しに取り組むだろう。

 

・私がもし日本で政治を行うなら、少子化対策と移民政策、この2つの問題にエネルギーを傾けたいと思う。

 

・したがって、外国語の習得がいま以上に不可欠なものとなる。これからはアジアが成長する。それを考えれば、日本人は、中国語はもちろん、韓国語やロシア語を学ぶべきだと考える。

 

貧しい国になっていく日本では、海外投資は不可欠になる

――海外に目を向けよ、というメッセージは一貫していますね。>

ロジャーズ: 残念ながら、現在の住み心地はいいものの、これから日本は確実に貧しくなっていく。財政赤字が膨らんでいく一方で、日銀が金融緩和でお金を刷り続けている以上、将来、円の価値は確実に下がるからだ。

 

――海外に移住を希望する日本人が増えています。>

ロジャーズ: そうだ、君はシンガポールで、日本人が海外移住をするためのサポートをしているんだったね。

 

シンガポールでもたくさんの日本人が働いているし、中国でも多くの日本人が働いている。

 

人生100年時代、これまでのライフプランを見直せ

ロジャーズ: 大学を卒業した後は、イギリスに留学した。私は、この決断がいまの私をつくってくれたと思っている。生まれ育った場所とは違う世界を見て、価値観を感じられたことは大きく視野を広げてくれたと感じている。

 

――人生100年時代と言われていますが、これまで以上に若い頃の経験が大切になってきますね。>

ロジャーズ: 多くの国で寿命が延び、100年時代となると現役時代は70歳、75歳まで延びることになる。そうなると、若い頃のインプットがいっそう重要になってくるだろう。

 

人生と投資で成功したければ、世界を知り歴史と哲学を学ぶこと

――インタビューも最後になりました。常に歴史や哲学を学ぶことが大切だとおっしゃっていますが、それはどうしてでしょうか。>

ロジャーズ: 投資で成功するには、未来に思いを馳せ、未来と対話できなければならない。そのためには歴史を知ることが大きな武器になる。

「歴史は韻を踏む」というマーク・トウェインの言葉を紹介した。至極名言で、その言葉のとおり、歴史は韻を踏むように少しずつかたちを変えながら反復するものだ。過去に起こった出来事と似たようなことが、未来にも必ず起こるのだ。

 したがって、過去の出来事を知っていれば、将来に備えることができる。

 

日本人はもっと現実を直視し、心配し、行動せよ

ロジャーズ: 2019年、東洋経済オンラインに「私が10歳の日本人だったら、海外に脱出するか、自動小銃を携帯する」という趣旨の記事を掲載したところ、大変な反響があった。

「何をバカな」と批判を受けるものもあったが、多くは「その通りだと思う」という好意的な反応だった。

 日本は巨額の財政赤字があって、少子高齢化に拍車がかかっている。その結果がどうなるかは、誰の目にも明らかだろう。

 このままいけば、インフレと通貨不安が日本を襲い、日本は確実にいまよりも貧乏になる。経済的に困窮した社会では、人々の心は荒び、社会秩序は不安定になる。このような状況は世界のさまざまな国で見られてきたことだ。

 今回のコロナ騒動では、アジア人に対する差別的感情が高まって、アメリカに住むアジア系住民(特に中国系)の多くが、自己防衛のために銃を買いに走ったと伝えられている。

 それでも日本は違う、そのように考える人は多い。本当にそうであれば何も問題ないが、過去の歴史を見ると、どうしても不安にならざるをえない。

 

ぜひ、積極的に海外に出て行ってほしい。自分たちの真の姿に気づいてほしい。