日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

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新型ウイルスは今後とも中国で発生する可能性が高い。中共に近いWHOを権威とする姿勢を改めない限り、日本はそのつど感染の渦に巻き込まれることになろう。(1)

 

 

『3年後に世界が中国を破滅させる』

島田洋一  ビジネス社  2020/8/26

 

 

 

習近平中国共産党は3年後に滅びる

・気鋭の学者、島田洋一氏が喝破する。

 「ナチスには海軍力がなく、ソ連には経済力がなかった。中国はその両方を兼ね備えた文明史上最大の脅威だ」

 にもかかわらず氏は、習近平中国共産党は3年後に滅びると断ずる。

 

習近平は眠りを殺した

・米リベラル派は2016年の大統領選で「あのトランプ」に負けたことがどうしても受け入れられず、以来、無理な陰謀論や些末な揚げ足取りに血道を上げてきた。アメリカの大手メディアは、ウォールストリート・ジャーナル紙、FOXニュースなど一部を除いて、軒並み民主党支持、反トランプである。

 それら米主流メディアの論説をより単純化して受け売りする日本のメディア(産経など例外はある)に情報を頼ると、間違いなくアメリカ認識を誤ることになる。

 

・トランプ政権の国連人権理事会および世界保健機関(WHO)脱退は、日本では、「またトランプが世界の重要課題に背を向けた」と批判的に論評されるのが普通である。しかしいずれの脱退も、中国の策動と密接に絡んでいる。いまだ国連信仰に安住している日本では、その意味が十分理解されていない。

 

ナチスには海軍力がなく、ソ連には経済力がなかった。しかし中国はその両方を兼ね備えている。文明史上最大の脅威と言ってよい。

「肉を切らせて骨を断つ」姿勢を相当期間維持できなければ、独裁体制を倒すことはできない。中国台頭の規模とペースを考えれば、おそらくいまが最後のチャンスだろう。トランプ政権と共和党指導部は、その意識のもと、戦う意志を固めている。

 その点、日本の有力政治家や経済界のリーダーから、「米中とも冷静さを取り戻し、早く事を収めてほしい」といった言葉が出るのは情けない。

 軍事以外は途上国だったソ連とGDP世界第二位まで成長した中国では体制の強靭さが違うといった議論もよく聞かれる。しかし多くの国民が豊かさに触れた中国の方が経済悪化への耐久力は弱いともいえる。中国で独裁体制が崩れれば、その支援に頼る北朝鮮、イラン、ベネズエラなどの「連鎖倒産」も期待できよう。

 

「戦狼外交」とは何か

中国外交は、野望を隠して相手を油断させ、利用していく鄧小平以来の「韜光養晦(とうこうようかい)」戦術を捨て、露骨に脅し付け、嫌がらせをし、平伏させる「戦狼」外交へと変貌を遂げた。

 戦狼精神は中国国営メディアの命名で、人民解放軍特殊部隊の元隊員がアメリカ傭兵部隊などを相手に戦う映画シリーズに由来するという。

 かつて私は、福田康夫政権の対外姿勢を「全方位土下座外交」と名付けたが、戦狼外交はその“真逆”と言える。いわば「全方位威嚇外交」である。

 

「異質」の根源――ファシズム国家中国

中共の本質をどう捉えるべきか。

 現代中国は非常に危険な段階に入った「先進ファシズム」体制と言えるだろう。

 この「ファシズム」という用語は、中共が特に対日歴史戦においてキーワードとしてきたものである。中共プロパガンダ(政治宣伝)戦に対抗する上で、この言葉の正確な理解は欠かせない。

 中国政府の公式見解によれば、第ニ次世界大戦は日独伊という「邪悪、闇、反動」を体現するファシズム勢力に、中ソ米英ら「正義、光、進歩」を体現する勢力が立ち向かった「世界反ファシズム戦争」ということになる。

 

・国際政治は、先進自由主義陣営と先進ファシズム陣営が雌雄を決する時代に入った。文明対ハイテク野蛮の決戦と言ってもよい。中共が勝利すれば、自由で人間的な文明は地を払う。ナチス・ドイツは海軍力を欠き、ソ連は経済力を欠いたが、中国はその両方を備え、日々増強を図っている。

 中国も経済発展すれば徐々に自由民主化する、だから積極的に成長を支援すべきという発想は過去半世紀における最大の誤りだった。

 一党独裁ファシズム国家を経済発展させれば、先進ファシズム国家に変貌するだけなのである。

 

前哨戦を戦う香港市民

自国民の人権を平気で蹂躙する体制が、他国の権利や国際ルールを尊重するはずがない。中共の対外行動のルーツは中国内部に窺うことができる。

 先進ファシズムとの決戦の前哨戦が戦われてきたのが香港である。

 2020年5月28日、中国共産党の下部組織である全国人民代表大会全人代)が、「国家安全法」の香港への導入方針を承認した。

 

「香港国家安全維持法案」は非常に広範かつ曖昧な内容である。例えば、最高無期懲役など厳罰が科せられる「国家分裂」を煽る行為には、香港独立を主張した場合だけでなく「その他の地域」すなわちウイグルチベット、台湾の独立を支持する言動も含まれる。

 また外国人が外国で中国政府や香港政府に「憎悪を募らせる」言動をしたり「香港または中国に対する制裁」を唱えたりした場合も処罰対象となる。外部世界にもはっきり牙をむいた「戦狼法」と言えるだろう。

 

中国市民に独裁打倒を呼びかける米政府高官

・こうした認識から、解決は中国の体制転換しかないとの考えがトランプ政権中枢部からも打ち出されるに至った。香港の自由を回復するには、中国全体を自由化するしかない。

 マット・ポティンジャー大統領安保副補佐官のオンライン講演がその代表である。

 

・私は、ポティンジャーとはホワイトハウスに隣接するNSCの会議室で二、三度会ったことがある。北朝鮮による拉致被害者家族会、救う会拉致議連訪米団の一員としてだった。決して大柄ではなく、人懐っこい笑顔の持ち主だが、テロ勢力と直接戦うため報道の世界を離れて海兵隊に入った経歴が物語るように非常に芯が強い。

 米紙ウォールストリート・ジャーナルの記者として中国駐在中は、民主活動家との接触などを理由に当局の苛烈な取り調べにさらされている中共の弾圧を身をもって味わった人物が政権中枢にいるのは心強い。

 

・なお人口14億の中国で普通選挙を実施すれば大変な混乱に陥ると強権体制を擁護する向きもあるが、ほぼ同人口のインドで現に民主選挙が実施されている。インドにできて中国にできない理由はない。

 理想は、中国全体が自由民主義体制という「一制度」に変わることである。しかし「一国」のまま留まるかどうかは住民の判断になる。中国が民主化される過程で、旧ソ連同様、いくつかの主権国家に分裂する事態もありうる。かつて李登輝台湾総統が、一例として中国の八分割を示唆したこともある。

 

ウイグル人弾圧が示唆する未来

アメリカでは、「香港人権民主法」の成立(2019年11月27日)に続き、2020年6月18日、「ウイグル人権政策法」が成立した。中国の新疆ウイグル地域の人権状況に関する報告書を180日以内に議会に提出するよう求め、ウイグル人弾圧に関わった中国当局者を特定して資金凍結やビザ取り消しなどの制裁を科す内容である。

 熾烈な政争を続ける中でも、こうした法律は超党派で成立させてくる米議会に、日本の国会も学ぶべきだろう。

 

・なおよく、中国が北朝鮮体制崩壊を望まないのは、難民の大量流入を恐れるためと解説する人がいる。これまた中国発のプロパガンダと見なければならない。難民対応が難題となるのは、人権を重視する国に限られる。中国政府の場合、躊躇なく物理的暴力で難民の流れをせき止め、追い返すだろう。現に国連難民条約に違反して、脱北者を強制送還し続けている。自国籍のウイグル人を強制収容する中共が、北朝鮮難民の保護に意を用いるはずがない。

 

武漢ウイルスの毒

トランプ大統領は、米国で武漢ウイルス禍の続く2020年5月14日、FOXニュースとのインタビューで、「この感染症は中国政府の不当な工作がなければパンデミックにはならなかった」とした上、「中国とのすべての関係を断つこともできる」と大きく踏み込んだ発言をした。

 WHO脱退や対中制裁の一段の強化を打ち出した5月29日の演説でも、「中国は武漢から中国内の他の地域への移動を禁止しながら、ヨーロッパやアメリカへは自由に旅行させた」「世界は中国政府の不法行為の結果、苦しんでいる。武漢ウイルスに関する中国の隠蔽工作が病気を世界に拡げ、世界的流行をもたらした」とはっきり中国政府を名指しで非難している。

 武漢ウイルス蔓延の結果、アメリカは歴史的な低失業率を誇った状況から、大恐慌の再来を思わせる苦境へと一気に突き落とされた。その責任は中共にあるとするのがトランプ政権のみならず米保守派の一般の認識である。

 中国政府が意図的に武漢ウイルスの国際的拡散を図ったとする証拠はない。しかし実態としては、アメリカはじめ各国に「生物兵器戦争」を仕掛けたと同様の結果になった。経済のみならず軍事面でも具体的被害が生じている。

 

大量破壊兵器は、核、化学、生物の三種からなる。この内、核ミサイルは瞬時に巨大な破壊を引き起こすものの、「リターン・アドレス付きの攻撃メール」と評されるように、誰が放ったかが明白なため、相手が核保有国の場合、破壊的な報復を覚悟せねばならない。

 その点、生物兵器は、効果が出るまで時間がかかる一方、いつ誰がどこで攻撃に出たかが分かりにくい。

 

新型コロナウイルスが、一部専門家の示唆するように、武漢ウイルス研究所その他中国の公的機関から漏れ出たものかどうか、さらには生物兵器に関連したものだったかどうかは分からない。一党独裁下では透明性のある調査はもちろん期待できず、現体制が続く限り、真相は藪の中にとどまろう。

 いずれにせよ銘記すべきは、武漢ウイルス禍のような事態が、意図的な生物兵器攻撃としても起こりうることである。軍事的意味を念頭に置いた対応が必要なゆえんである

 

ファシストには便利な「人口調節ウイルス」

発生源となった中国はいち早く収束宣言を出し、他国に先駆けて経済活動の正常化を図った習近平国家主席が収束に向け陣頭指揮するパフォーマンスを見せた以上、共産党組織としては、実際の感染状況がどうであれ「収束」以外のシナリオはありえない。症状を訴えた人間は「反革命分子」扱いされかねず、自然、沈黙を強いられる。

 中国の国営企業はいち早く、パンデミックで大打撃を受けた欧州各国において現地企業の買収に乗り出すなど、混乱に乗じた攻勢に出ている。

 

・もちろん共産党幹部とその家族の安全は守らねばならない。ウイルスを兵器として使うには、ワクチンと治療薬まで開発済みであることが望ましい。

 現在の日本やアメリカでは、必ず情報が表に出るため、秘密裏の生物兵器開発などありえない。その点、中国や北朝鮮は違う。

 先述のとおり、生物兵器は使用者を特定しづらく、報復が難しい。すなわち抑止力が効きにくい。極秘の生物兵器開発が可能な非人道的体制をこの世からなくす以外、根本的な対策はないだろう

 

台湾とイスラエルを継子扱いする国連機関

・しかし、独裁体制の打倒、自由民主化を長期的戦略としつつも、その間、繰り返されるであろう中国発の新型ウイルス禍にしっかり自衛策を講じていかねばならない。この点、示唆に富むのは台湾の対応である。

 台湾は、中国と地理的に近く経済的結びつきが深いにもかかわらず、ほとんど死者をださぬまま収束に成功した中共とWHOを信用せず、独自の情報収集と分析に基づき、航空便の検疫強化、次いで中国との往来停止など積極的な防衛策に素早く出たことが功を奏した。

 台湾当局がヒト・ヒト感染の可能性をWHOに通告したのが2019年12月31日。しかしWHO指導部が責任ある対応を取らない、どころか応答すらしないため、自主的に往来停止などの措置を取った。WHOがようやく緊急事態宣言を発したのが2020年1月30日。この間の対応が各国の被害状況を大きく分けた。

 

WHOを含む国連機関は、寄り合い所帯という組織の性質上、米CIA、英MI6のような独自の情報機関を持たない。役所の窓口同様、各国から寄せられるデータを待つだけで、自ら踏み込んだ情報活動をする体制も能力もない。

 この構造的弱点にさらに輪をかける事情がある。脅威に直面する度合いが大きい国ほど情報戦を戦う意識が高い。併合意図を隠さない中共と向き合う台湾、各種テロ勢力に囲まれたイスラエルがその典型である。

 

・ところが国連は、まさにその台湾とイスラエルを継子扱いしてきた。台湾は中共の圧力で加盟すら許されず、イスラエルアラブ諸国や国際左翼勢力の圧力でいまだ一度も安保理非常任理事国に選ばれていない。

 近年国際的に被害をもたらした感染症では、SARSと武漢肺炎が中国、MERSが中東を発生地とする。中国と中東は今後も要警戒地域だろう。それゆえ、感染情報を素早く得、自衛措置を講じるには、台湾とイスラエルを含んだ情報ネットワーク作りが肝要となる。それは国連機関には期待できない。

 

感染症の中国抜き「有志情報同盟」構築を

・といって、新たに「第二WHO」を作るといった発想にも注意が必要である。鈍重な国際官僚機構をもう一つ生み出すだけに終われば、かえって機動力を失う。

 正解は、有志諸国が、それぞれの情報機関に感染症対策部門を設け、本格的な情報収集活動に当たるとともに、相互の連携を密にしていくことにあるだろう。

 この点で参考になるのが、ブッシュ(子)政権時代に立ち上げられた拡散防止構想(PSI)である

 

・このPSIの成果の一つが、核物質を積んでリビアに向かう密輸船の拘束だった。突破口を開いたのはイスラエル対外特務機関(モサド)で、秘密取引の仕切り役アブドゥル・カーン博士(パキスタンの「核開発の父」)がジュネーブのホテルに滞在中、室内に潜入した情報部員が、カバンの中の書類を多数写真に収めた。その中に核運搬船の情報が含まれていたわけである。

 感染症についても、場合によってはこのレベルの諜報活動も必要となろう。しかし情報を他国と共有した時点で、収集方法についてもある程度の推測がつく、信頼できる国しか中核メンバーに入れないゆえんである。

 

体質としての「産業スパイ国家」の異形性

・日米のような自由主義体制と中共のようなファシズム体制では、同じ表現を用いても、常に「認知のズレ」があることを意識しておかねばならない。

 

オバマ政権の末期、米側代表として米中「戦略安保対話」に臨んだバーンズは、人民解放軍などによる組織的な「サイバー産業スパイ」活動を取り上げ、具体的な証拠を示しつつ、即座に中止するように求めた。結果は、約7時間に及ぶ押し問答となったという。

 中共側は頑として証拠の認知を拒んだが、バーンズはその背後に「より広い意味の認知のズレ」を強く感じたという。

 米側は「国家安全保障のためのスパイ行為と、経済的優位を得るためのスパイ行為」を峻別し、前者はプロの情報機関同士の「日常業務」であり「やられた方が悪い」と言うべき世界だが、後者は「堅気に手を出す」行為であって仁義にもとるとの立場を強調した。

 ところが中共側の口ぶりには、「政治的であろうが経済的であろうが、政府とはあらゆる手段を用いて優位を築いていくものだ」との姿勢がありありと窺えた。

 独裁政権の感覚では、そもそも政府や党は法律外の存在、すなわちアウトローであって、その行動を縛る道徳やルールなどないのである。

 

・また情報作戦の遂行に当たって「政府」と「民間」の区別など意識されない。外国の組織や個人は政府、民間を問わずすべてスパイ行為の対象となる。一方、中国の組織や個人は、政府、民間を問わず、すべて国家情報活動の先兵として動かなければならない。

 サイバー分野以外でも、例えば尖閣諸島への圧迫強化作戦に当たって、中国海軍と「漁船」は密接に連携してきた。両者の間に明確な線はなく、「海上民兵」が乗る漁船は軍の別動隊に他ならない。

 中共幹部と机を挟んでやり取りする中でバーンズは、相手が異形の存在であることを鋭く感じ取ったわけである。

 

回顧録の中でバーンズは、国務省には交渉相手国の立場に「理解を示し過ぎ」、いつしかその代弁人のごとくになってしまう職業病があり(国務省内でも自虐的に「クライエント病」と呼ぶ)、自分はそうした勢力と常に闘ってきたと強調している。

 また陸軍軍人の家庭に生まれ育ったバーンズは決して反軍リベラルではない。圧倒的な軍事力とそれを行使する意思に支えられてこそ、特にテロ国家相手の外交は機能するとの考えを繰り返し記している。

 その人にしてこうした、全体主義政権に「理解を示し過ぎる」状態に陥るわけである。国務省と世間一般における「認知のズレ」も相当なものと言えよう。

 

もう一つのウイルス(情報空間支配)との戦い

・トランプ政権のピーター・ナバロ通商担当大統領補佐官はかねて、「独裁的でますます軍国主義的となってきた中国への経済的依存を減らさないなら、将来弾丸やミサイルが飛んできても全くの自業自得だ」と、中共の軍資金を枯渇させる意味でも、米国および同盟国は中国製品を買い控え、供給網から外していかねばならないと主張してきた。「米中新冷戦」や「米中のハイテク覇権争い」といった言葉をよく目にするが、事は「米中」の問題ではない。繰り返すように文明対ファシズムの闘いである。

 そして目下の主戦場は「情報通信」である。ここで中国が覇権を握れば、サイバー空間の支配に加え巨額の軍拡資金、工作資金が流れ込む。文明諸国による対中包囲網の形成が欠かせない。

 

・企業経営者としては、「技術力が良くて安い」ものを使わないと株主から追及を受けかねない。中国政府による各種嫌がらせも予想される。日本政府の指示なので従わざるをえない、という形を政府がいかに迅速に作れるかが今後ともカギになる。

 法治国家である以上、議会が法律制定によって政府を後押しせねばならない。さらには「政府より一歩前に出る」動きも重要である。そのことが政府の対中交渉力および戦闘力を高める。

 この点、米政府と米議会は近年、文明の将来を賭けた戦いを先導する国にふさわしい動きを見せてきた。

 

・要すれば、「例えば中国製通信機器に、仕様書にないポート(通信の出入り口)が見つかった例がある。インターネットで外部と通信が可能なため、不正にデータを盗み出すバックドア(裏口)に悪用できる。携帯電話の基地局については、そこを経由するスマホの端末識別用の情報や通信の宛先情報が分かる。企業のネット接続用ルーターなどは、設定次第で社内ネットワークに流れるあらゆる情報を取得できる。最近の不正プログラムは特定の時間しか動作しないなど手が込んでいて、ここまで検査をすれば安全というゴールを設定できない」というのである。

 米国では、2018年8月に成立した国防権限法が、ファーウェイなど中国の通信5社を名指しし、「安全保障」上、政府機関や取引企業の調達先から排除せねばならないと規定した。

 さらに「対象国」を唯一「中華人民共和国」と明記した上で、国防長官、国家安全保障長官、連邦捜査局FBI)長官が「対象国政府と関係がある」と「合理的に信ずる」いかなる企業も追加的に排除できるとした。議会が政府に強力な武器を与えたと言える。

 

・ファーウェイと取引のある企業は米市場から締め出されていき、取引を隠して営業を続けた場合、巨額の罰金に加え、経営幹部の訴追、収監といった事態にもなろう。もちろん日本企業、日本人経営者も例外ではない。

 同盟国と相談、合意の上で物事を進めるべきだというエリートたちの声もあるが、中共の圧力に屈する国も多く、その最大公約数を取れば踏み込んだ措置にはなりえない。結局、中国包囲網を構築するのは、アメリカが制裁を振りかざして強引にリードしていく以外ないだろう。

 

中国排除に本気な米議会

・米議会では、通信分野のみならず米企業の知的財産を窃取したと見られる中国のすべての企業を米市場から締め出すという動きもある。

 経済面でも安全保障、人権面でも対中強硬路線を主導してきたマルコ・ルビオ上院議員共和党)は、「中国にサプライチェーンを有する米ハイテク企業は、いかに困難を伴おうとも依存の低減に本腰で取り組まねばならない」と警鐘を鳴らし続けてきた。

 同じくテッド・クルーズ上院議員共和党)も、「ファーウェイは通信企業の皮をかぶった中国共産党のスパイ機関だ。その監視ネットワークは世界を覆い、その顧客はイラン、シリア、北朝鮮キューバなどごろつき国家だ」と国際的に排除を徹底すべしとの意見を繰り返しおおやけにしている。

 

アメリカ、WHO脱退の論理

・2020年5月29日、トランプ大統領は中国に関する演説の中で「中国に支配され」、本来の責任を果たさず、改革の意思も見せない世界保健機関(WHO)との「関係に終止符を打つ」と脱退を表明した。WHOに拠出予定だった資金は「他の国際的な、資金を出すに値する緊急性の高い保険事業に振り向ける」としている。

 米保守派はこれを歓迎したが、日本では否定的な捉え方が多いようだ。「またトランプが国際社会での責任を放棄し、身勝手な行動に出た」というわけである。はたしてそうか。

 

新型ウイルスは今後とも中国で発生する可能性が高い。中共に近いWHOを権威とする姿勢を改めない限り、日本はそのつど感染の渦に巻き込まれることになろう。

 なお、国連機関というと聞こえが良いが、要するに「特殊法人」である。幹部職員は各国の官僚OBで占められている。整理縮小に官僚が必死に抵抗するのは、居心地のよい第二の就職先、出向先を奪われるからである。事情は、国内の特殊法人改革が挫折に終わる経緯と変わらない。

 国連機関が少なからず、設立趣意に反して、単なる中間搾取団体、さらには民間活動を妨害する存在と化しているのも特殊法人と場合と同じである。

 途上国支援は、「援助貴族」と言われるWHOや国連開発計画(UNDP)のような肥大化した官僚組織を通すのではなく、実績あるNGOに直接資金供与する方がはるかに効率がよい。

 

・2020年春、新型コロナウイルスの影響で経営に打撃を受けた中小企業に国が最大200万円を支給する持続化給付金をめぐり、事業を委託された経産省の外郭団体がほとんどの業務を大手広告代理店に再委託しながら、20億円を事務経費名目で「中抜き」していると野党が追及した。

 

・しかしそれなら、毎年国庫から出て行く国連諸機関への拠出金についても同趣旨の追求が行われねばならないだろう。拠出金凍結や脱退を武器に無意味有害な事業や中間搾取を排していかねばならないはずである。ところがそちらはほとんど素通りである。

 国連と聞くと思考停止に陥る習性を改めないと、日本はどこまでもカモにされる。官僚任せでいる限り、拠出金の減額ないし停止を武器に改革を迫るような動きは出てこない。日米の違いは結局、政治家の意識の違いということになろう。

 

今後も歩調を合わせる中共とWHO

・なおテドロスは高まる批判を振りほどこうと焦ったのか、2020年4月8日、黒人の自分に対する人種差別的言動が台湾から噴出していると、会見の場で根拠なき誹謗中傷を行った。

 アメリカでリベラル派がよく政争に使う「人種カード」の国際版である。

 

中共とWHOは、今後も歩調を合わせて国際情報戦を展開していくと見ておかねばならない。

 北京の後押しで、テドロスは国連事務総長の座を狙っているといわれる。アメリカで保守政権が続く限り、安保理常任理事国としての拒否権を発動して阻止するだろうが、民主党政権になれば、単に棄権くらいで実現を許してしまうかもしれない。そして韓国の潘基文(パンギムン)はじめテドロス程度の人物が何人も事務総長になってきたのが国連の歴史でもある。

 

アメリカの国連人権理事会脱退は当然の判断

・WHO脱退に先立ち、2018年6月19日、トランプ政権は国連人権理事会からも脱退している。以後、拠出金は払っていない。日本でも予想どおり、「人権に背を向けたトランプ」といった単純な批判が多く聞かれた。しかしここでも「中国」が、アメリカの決定の最重要ファクターである点を見落としてはならない。

 

・要するに「人権問題は人権理事会で」という中国の主張は、まず事案を制裁権限を持つ安保理から制限権限を持たない人権理事会に追いやった上で、メンバー国の事案は取り上げないという不文律を盾に握りつぶしていくという意味に他ならない。

 

香港弾圧に米国よりも中国を支持した国連加盟国

米国「抗議暴動」の真相は何か――「黒人の命は大事」とアンティファ

バイデンは本当に外交安保通か

ジョー・バイデン(1942年生)は「外交通」を以て任じてきた。彼の回顧録『守るべき約束――人生と政治で』は、家族に関するとりとめのない記述が多く散漫な本田が、国際政治の知識と経験では誰にも負けないと盛んに強調している。だが、はたして実際そうか。

 バイデンは、米政界エスタブリッシュメントの最高級会員制クラブというべき連邦議会上院で、44歳で司法委員長になり、その後数次にわたって外交委員長を務めた。いずれも注目度の高い重要ポジションである。これには、彼が異例の若さで初当選したことが大きく寄与している。

 経済界では若手の大抜擢が当たり前のアメリカ社会だが、上院は古来、年功序列を基調とする世界である。各州平等という憲法の建前上、人事に当たって当選回数以外の基準を採用しにくいためである。

 

「それほどタフじゃない」カマラ・ハリス

・もっとも、人種問題はしばしば諸刃の剣である。バイデンを攻撃したつもりが、逆に自滅を招いたケースもある。典型例は、ジャマイカ人(黒人)の父とインド人の母を持つカマラ・ハリス上院議員である。

 

レーガンの対ソ政策を理解できなかったバイデン

・さて自らを中道左派と位置づけるバイデンだが、外交安保政策では安定と多国間協調を重視する現状維持派である。

 例えば1980年代にレーガン大統領が打ち出したミサイル防衛構想(SDI)にバイデンは強く異を唱えた。軍拡競争を招き米ソ関係が不安定になるとの理由である。レーガンの対ソ政策はまさにソ連崩壊、すなわち積極的な不安定化を目指すものだったが、バイデンにはそうした発想は理解できない。

 

世界を混乱させるサンダースの「平和憲法」的非介入主義

「勝つことによって終わらせる」レーガンの冷戦戦略

 ソビエト連邦崩壊の過程は、現代中国の行方を考える上で多くの参考資料を提供してくれる。「悪の帝国」ソ連を崩壊させた最大功労者の一人、ロナルド・レーガン米大統領は「勝つことによって冷戦を終わらせる」が口癖だった。「われわれが勝つ。彼らは負ける。それが私の冷戦戦略だ」という単純ながら本質を突いた言葉もレーガンにはある。

 

大物スパイ「フェアウェル」

テクノロジーでの対ソ・カウンター攻撃

「シベリア・パイプラインの爆発「事故」

チェルノブイリ武漢ウイルスの類似

・2020年2月初旬に北京大学憲法学者ら50人以上の中国人識者が、文字どおり命がけで発表した声明文に、武漢ウイルスの蔓延は「言論の自由の封殺によって引き起こされた人災だ」とある。いち早く警鐘を鳴らした若い男性医師が、「デマを流した」と逆に当局に弾圧されたのが典型例である。

 

レーガン保守なら中国をのさばらせなかった

・冷戦の後半期、アメリカは、対ソ包囲網強化の観点から、同じ抑圧体制でありながら中国を特別扱いした。そこには、経済の「改革開放」が政治の民主化につながるはずという幻想もあった。それゆえ、本来ソ連とともに「歴史の灰の山」に落ちていくべき体制が生き残り、先進ファシズム国家へと成長した。ここで流れを逆転させなければ、冷戦の最終的勝者は中共だったということになりかねない。

 中共独裁を突き崩す機会が、これまでなかったわけではない。1989年6月の天安門事件がその一つである。

 

国賓普通選挙を条件とせよ

天安門事件後、日本は、天皇訪中によって中共の「国際復帰」を大いに助けた。いままた中共は、日米分断とイメージ改善のため、習近平国賓訪日を実現させようとしている。

 あまりに中国に深入りしたがゆえに、多くの日本の経営者は、中共の嫌がらせや資産没収を恐れて身動きが取れない。そうした財界の怯えを背景に、日本政府も、習近平国賓招待という宥和外交の旗を降ろせない。国会議員も大半は、彼らの唯一の行動原理たる「長い物には巻かれろ」に従い、何の意思表示もしない。

 

現代中国は史上最大のファシズム国家であり、したがって習近平は史上最大のファシストである。人権抑圧は習体制の下で一段と悪化した。2020年7月23日には、ポンペオ米国務長官が、事実上中国の体制転換を呼びかけた重要演説の中で、習近平を、抑圧と覇権追及の張本人たる「破綻した全体主義イデオロギーの盲信者」と名指ししている。

 世界が注視する中、そうした人物への最高の「おもてなし」を両陛下に強要することは許されない。かつて、ヒトラーと組んだ日独伊三国同盟で、日本の国際的イメージは地に堕ちた。その轍を踏むことになりかねない。

 

・経済界は日本に限らず、中共のハラスメントに強く抵抗できない。トランプも、経営者時代は、従業員の生活もかかっており、中国市場では中共の意向に沿うしかなかったと苦々し気に振り返っている。しかし、政治家は違うとも強調している。アメリカがリードして、国際連携で企業をバックアップすれば中共の不正と戦える。それが大統領を目指した最大の動機だという。

 

結語 新冷戦へ向けての日本の決断

・2019年4月、安倍首相の特使として訪中し、習近平を表敬訪問した二階俊博自民党幹事長は、会談後、「今後も互いに協力し合って一帯一路構想を進めていく。米国の顔色を窺って日中の問題を考えていくものではない」と鼻息荒く語った。

 一方二階が、「中国の顔色を窺って日米の問題を考えていくものではない」と語った例を知らない。中共の顔色は常に窺うが、露骨な嫌がらせをしてこないアメリカに対しては安心して虚勢を張るという、田舎の顔役めいた姿勢が情けない。

 実は二階のこの「顔色」発言はアメリカの知るところとなっている。

 

・それでも安倍政権は、集団的自衛権の一部行使に踏み込んだ平和安全法制を成立させた(2015年)。対して立憲民主党を中心とする野党は、いまだに同法制の廃止を唱えている。

 もし、旧民主党政権が復活し、公的実行に乗り出したら、アメリカから強烈な反発が来るだろう。結局は、早々に公約撤回に追い込まれるはずである。公約違反に期待するしかないような政権を誕生させる余裕は日本にはない。日本が目指すべきは、「新冷戦」を勝ち抜くだけの意志と「体幹」を備えた強国である

 

「選挙を意識」

・この「選挙を意識」という言葉は、政治家を貶めたいときによく使われる。しかし選挙を意識しなくてよいのは、習近平金正恩のような独裁者だけで、民主国家の政治家なら当然、選挙を意識する。というより、「選挙を意識する人間」が政治家の定義そのものだ。政治家に「お前は政治家だ」と言っても始まらない。

 批判されるべきは、①特定有権者層の「票を買う」ため長期的な国益を損なう場合、②言葉と行動が矛盾する場合、に限られる。

 つまり、国益の棄損や言行不一致まで踏み込んで論じて、はじめて政治家批判として意味を成す。

 

・国家基本問題研究所の下部組織である朝鮮問題研究会の会合も常に知的刺激を与えてくれる。ここは韓国、北朝鮮研究のベテランが集う場所で、私はアメリカの政策について多少の情報を提供する以外は、もっぱら学生の立場で勉強に努めている。

 歴史認識問題研究会は、いわれなき誹謗から日本を守り、歴史戦に勝利するという明確な目的意識を持った研究機関である。私も役員の一人として、月例研究会に参加している。

 

・スーザン古森氏は、「拉致被害者救う会」在米アドバイザーでもある。家族会、救う会拉致議連は、これまで何度も訪米団を組み、ワシントンやニューヨークで米政府高官、議員、国連関係者、有識者などと意見交換してきた。私も会副会長の立場でたびたび参加している。

 

・一度、同僚教員の知り合いの中国人女性、李さん(仮名)が北京で日本語教室を開いたというので、通訳をしてくれたお礼に、私を含む数人が1時間程度、特別授業をしたことがある。ごみごみした古い雑居ビルの2階に教室はあった。若い人を中心に生徒は多かった。

 授業後、李さんに「繁盛していますね」と言うと、突然表情を曇らせ、だから問題が生じているという。生徒が集まっていると聞いた地区の共産党幹部が、自分と同じビルに日本語教室を開き、入り口に大きな看板を出す一方、李さんの教室の看板は表通りから撤去するように命じたという。中共の行動パターンを現地で垣間見た瞬間だった。