日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

コンタクティやチャネラーの情報を集めています。森羅万象も!UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象といわれます。

新型ウイルスは今後とも中国で発生する可能性が高い。中共に近いWHOを権威とする姿勢を改めない限り、日本はそのつど感染の渦に巻き込まれることになろう。(2)

 

『アフターコロナ V字回復する世界経済 』

武者陵司  ビジネス社   2020/6/10

 

 

 

株式資本主義は終わらない!

コロナショックは中国と欧州の没落をもたらし、米国の圧勝で終わる!日本経済は明治維新以来、3度目の大チャンスとなった!

 

withコロナの時代

・この新型コロナは感染力が著しく強く、ワクチンの完成、集団免疫獲得までは、withコロナの時代が続く。あと半年から最長で3年、この間の経済の完全回復は困難である。人的接触を回避しながら恐る恐る経済活動が再開されても、第二波、第三波の流行が起き、その都度活動は圧迫される。

 

・世界株価はコロナ感染勃発に4週間で4割という史上最速ペースの暴落となった。しかし、その後2週間で下落の半値戻しを達成、これまた史上最速の戻りであった。

 

・悲観論の根底には、リーマンショック後の経済成長は禁じ手政策の連発による砂上の楼閣であり、持続性はない、という大局観がある。コロナパンデミックは、いずれ下されるべき審判を速めたに過ぎない、というわけである。

 これに対して私ははっきりと長期経済ブームの波は終わってはいない、コロナの後は再度上昇の波に戻ると主張したい。理由はコロナが歴史の流れを推し進めると考えられるからである。コロナパンデミックという世界的惨事が歴史の流れをせき止めていた障害物を一気に押し流し、長期的に経済成長率を高め、株価を押し上げると考える。

 

・米国株式を100年単位で振り返ると、20年間で10倍になるという長期ブームとその後の10年間の調整が繰り返されてきた。

 

・コロナ以前から3つの歴史的趨勢が起きていた。①ビジネス、生活、金融、政治のすべてを覆いつくすIT・ネット・デジタル化、②財政と金融の肥大化による大きな政府の時代、③中国の孤立化と国際秩序・国際分業の再構築である。しかしこうした歴史的趨勢は、牢固な障害物により展開を阻まれ、それがここ10年近く世界経済の桎梏となっていた。障害物とは、ネット化に対して既存の慣習・制度・変わりたくない抵抗勢力大きな政府に対して健全財政信仰、緊縮金融信仰、中国抑制に関しては中国経済力の脅威、中国の横車・恫喝等である。

 

・コロナでインターネット活用とデジタル化の障害物、古い制度・慣習・変わりたくない抵抗勢力が吹き飛んだ。

 

よって財政と金融双方の拡張政策で余っている資金を活用し、需要を喚起することが必要であった。遊んでいた資本と供給力が活用されることで、景気はコロナ感染前より良くなる。財政節度という今の時代にまったく適合していない呪文から解き放たれることは、本来最も必要なことであった。大恐慌が「ゆりかごから墓場まで」の近代的社会保障制度の起点になったように、コロナパンデミックが社会的セーフティーネットの飛躍的拡充、ユニバーサル・ヘルスケアの登場、ユニバーサル・ベーシックインカムの時代を開くかもしれない。

 

株価暴落の本当の理由

株式益回りーボラティリティコスト=10年国債利回り

この式が意味するのは、「株式の債券に対する超過リターンは、株式で発生するボラティリティコストによって相殺されている」ということだ。したがって、株式の益回りと10年国債利回りの乖離が大きければ大きいほど、ボラティリティが高まることになる。10年国債利回りが低く、株式の超過リターンが大きくなれば、投資家はレバレッジを高めてでも株式に投資し、より大きなリターンを追求しようとする。

しかし、この手のハイレバレッジポートフォリオがもたらす高いリターンは、時折、株式市場を襲う大波によって失われてしまう。まさにボラティリティがコストになる瞬間である。

そして、このボラティリティコストを通して、株式に存在する超過リターンは金融機関、投資家といったさまざまな市場参加者に再分配されるというメカニズムがビルトインされていると考えられる。2018年2月のVIXショックなど、ファンダメンタルズでは説明がつかない市場の暴落は、ここ数年来の株式市場にビルトインされたメカニズムによるものだろう。

 

AIトレーディングと自社株買いの影響

・市場のボラティリティを高めている要因はほかにもある。

 まず、AIがトレーディングの主役になったことだ。かつてゴールドマン・サックスには500~600人のトレーダーがいたのに、今ではたったの2~3人といわれている。CTA(商品投資顧問業者)やリスクパリティといった投資ファンドの運用者は、ほぼすべてAIに置き換えられた。こうしたAIによるトレーディングは、極めて短時間で巨額の資金を動かすため、価格変動を大きなものにしてしまう。

 加えてETFを中心としたインデックス運用が、株式市場の資金流入経路の中心になったことも、ボラティリティを高めている原因のひとつだ。

 

・そしてもうひとつの無視できないのが自社株買いの動きだ。

 米国の株式市場において自社株買いは、ここ数年、唯一といってもよい圧倒的な買い主体であり、対照的に家計と投資信託は継続的な売り主体であった。

 

リーマンショックとの違いとリスク要因の整理

・このように今回の株価暴落は、米国経済のファンダメンタルズが悪化する懸念が高まって引き起こされたというだけではなく、株式市場にビルトインされたボラティリティを高めるメカニズムによって誘発された可能性が高い。

 

・米国経済のファンダメンタルズは、十分にしっかりしている。

 ただ、第二波、第三波とパンデミックの制圧に手間取り、人的接触遮断が長く続き、想定していた以上に経済の回復力が弱く、株価の戻りが叩かれるというリスクは念頭においておく必要はあるだろう。

 

変わるものと変わらないもの①~世界のレジーム転換について

・私は、株式資本主義を強化してさらに国力を強めていく米国と、ユーロの呪縛から解き放たれた英国がアングロサクソン連合をより強固なものとして、新たな世界秩序を構築し、経済の発展に寄与していくと考えている。

 さて、私たちの日本はどうなるのか。強化されたアングロサクソン連合のもと、日本はアジアにおける地政学的優位性を維持するためにも、特に米国にとってはなくてはならないパートナーになる。今までそうであったが、パンデミックが一段落した後、日本の地政学的プレゼンスは一段と強まっていくだろう。

 

変わるものと変わらないもの②~個人の生活とビジネスモデル

・個人の生活やビジネスモデルに関してはネット化、デジタル化が急速に進展するだろう。最も大きく変化するのは私たちのライフスタイルであり、働き方だ。

 

変わるものと変わらないもの③~財政政策における「禁じ手」の解禁

・この10余年で、2回のショックが世界を襲ったことになる。ひとつがリーマンショックであり、もうひとつが今回のコロナショックである。両者の違いについては前述したとおりだが、この2回のショックは経済政策において歴史的な意味合いを持っている。それは財政策と金融政策の「禁じ手」が完全に解禁されたことだ。

 

・財政政策の禁じ手が解禁されたことによって、米国経済はより力強さを増すはずだ。そして、日本経済もその恩恵に浴することになる。

 

成長の壁にぶつかる中国経済

中進国の罠

・中国の国民1人当たりGDPは、2019年で1万263ドルなので、中進国上位の水準に達している。中国経済も中進国の罠に陥り、深刻な経済停滞を余儀なくされるのではないだろうか。

 ただし現時点において中国は、新型コロナウイルスを抑え込むことに成功している。

 

価値創造ができない中国の悲劇

・しかし共産党一党独裁制を維持している限り、短期的に景気回復が実現できたとしても、その持続難しい。中国は民主主義と市場経済を軸とした西側経済のフレームワークから締め出され、経済困難➡金融困難➡通貨困難➡社会不安➡体制危機と続く、崩壊過程に入っていく可能性が高いのではないか。

 

中国経済の根本的な問題点は、価値構造の仕組みがないことにある。中国における価値創造のメカニズムは2つの観点から欠陥品と言わざるを得ない。

 その第一は棚ぼた、ただ乗り(フリーライド)を前提としたビジネスモデルだということである。棚ぼたがいつも与えられるという甘えた企業DNAは持続性がない。

 

・第二の価値創造を阻害する問題点は政府、共産党の強力なビジネス介入、指図がイノベーションを殺してしまうということである。

 

中国経済に突破口はあるのか

・では、これらの突破口を中国はクリアできるのだろうか。

 一帯一路構想と人民元経済圏の確立。そしてハイテク分野における覇権の獲得。これらをすべて中国が手にするということは、中国が覇権国として世界を支配するのと同じ意味を持つ。

 

だから米中は今、激しく対立しているのだ。米国にとっては、ドルの基軸通貨体制による覇権国の座を、みすみす中国に渡すわけにはいかない。だから米国は、中国に対する締め付けをどんどん厳しくしているのである。米中は正面衝突コースを歩んでいるといわざるを得ない。

 

徐々に狭まる中国包囲網

・米中貿易戦争は終わらない。中国にとって最大のお客様だった米国は、中国に対して市場を閉ざしてしまった。米中貿易戦争が長引けば長引くほど、高関税の対象範囲がどんどん拡大され、ますます中国の対米輸出は困難になっていくだろう。コロナ発生以降、欧州諸国も中国供給依存体制のリスクを思い知らされており、中国の対欧州輸出にもブレーキがかかるのは必至である。

 資本の流れに関しても、これまで以上に中国への資金流入は減少していくだろう。

 

・加えて中国が一帯一路プロジェクトの一環として展開していた新興国に対する投資、融資は回収が困難である。コロナショックにより世界経済の需要が蒸発したが、そこで失われた労働集約的製品やエネルギー、鉱物資源を提供している諸国のダメージは大きい。

 

・今後は中国の競争相手として台湾、ASEAN諸国などが浮上し、両者間で価格競争が高まっていくのは必定だ。そうなれば中国の貿易、経常収支は悪化し、外貨市場におけるドルの調達難が一段と進行するはずだ。それは中国国内の金融市場における緊張を高め、バブル崩壊の土台を作る。また、度重なる財政出動と公的部門による投融資は、財政バランスを急速に悪化させていく。

 ますます中国経済は隘路にはまり込み、いずれ習近平体制も存続の危機を迎えることになるだろう。

 

グローバルプレイヤーとしての適格性と習近平体制への疑義

さらに新型コロナウイルス問題は、グローバルプレイヤーとしての中国の適格性に対して疑問を投げかけることにもなった。今世界は、感染拡大を抑えることに全力を尽くしている局面だが、感染拡大が落ち着いてくれば、今度は犯人捜しが始まる。

 そもそも新型コロナウイルスの発生源は何なのか

 なぜ感染が世界中に拡大してしまったのか。

 これらは将来のウイルス感染予防の上でも、ぜひ解明すべきことである。

 

このように新型コロナウイルスに関しては情報統制、捏造、隠蔽によって中国当局、平たく言えば習近平体制を守るための圧力が至るところに感じられる。

 新型コロナ発生源・発生自縄自縛の隠匿、感染対応の初動の情報統制による遅れなどから、中国習近平政権が歴史的パンデミックの第一義的責任を負うことは国際的には周知となった。ところが潔くそれを認めるわけにはいかず、それどころか居直りを決めたようである。武漢ウイルス研究所からのウイルスの漏出か、細菌兵器開発の過程での漏出か、何か秘密にしなければいけない事情があるのだろうか。それとも国内政治配慮から強硬姿勢をとらざるを得ないのか。「あたかも放火犯が消防士を装うごとき」(FT)習近平政権の態度は、国際的孤立を加速させている。それなのにかえって南沙諸島の領有権強化、香港での民主派拘束などの強硬姿勢を強めている。

 

WSJコラムニスト、政治学者のウォルター・ラッセル・ミード氏は、21世紀は生物兵器の時代であり、それに備えなければならないと主張している。某国の科学者がコロナのようなウイルスとワクチンを開発し、ウイルスを敵国に流す一方、自国民や友好国民はワクチンによって守られる」という世界があり得るのだと言う(4月28日)。それはまさしく中国を念頭に置いての主張である。トランプ大統領やポンペオ国務長官武漢でのウイルス発生事情を追求し、ウイルス研究所の査察まで求めるのは、生物兵器化の懸念を持っているためだと思われる

 

・国際社会は、このように自国に不利な情報を徹底的に隠蔽しようとする体制の存続を歓迎しない。このパンデミックは、習近平国家主席を頂点とする中国共産党、そして中国という国家がグローバルプレイヤーとして不適格であることを、はからずも露呈させることになったといえる。1986年に起こったチェルノブイリ原発事故は、旧ソビエト連邦体制の情報隠蔽体質の弊害を露呈させ、ソ連崩壊の原因になったといわれている。

 新型コロナウイルス問題が習近平強権体制にとって、チェルノブイリと同じような役割を果たすかもしれない、との指摘がFTなどのメディアに現れている。

 

ひとつのアキレス腱、香港

新型コロナウイルスパンデミック化によって、2019年3月から2020年1月まで連日のようにテレビや新聞で報道されていた香港民主化デモの消息が途絶えた。パンデミックによりデモはいったん終息し、その間隙を縫って香港政府と中国指導部は人権派の拘束、弾圧に乗り出している。しかし香港情勢、香港民主化運動とそれに対する中国政府の対応の重要性はまったく変わっていない。

 

・実際、米国はこのデモを受けてアクションを起こした。2019年11月に米トランプ大統領が署名して成立した「香港人権・民主主義法」は米国務省に、香港における「一国二制度」が機能しているかどうかを検証する年次報告書を作成するように義務付けた。そして機能していないと判断されれば、香港が受けている関税などの優遇措置、および金融的なステータスを見直すというものだ。

 もし、この法律が適用されれば、中国は香港経由でドル資本が調達できなくなる。そうなると中国共産党は、香港の人権派を徹底的に弾圧することができなくなる。一方、香港の人権派は、香港の立ち位置を利用して中国共産党に徹底抗戦し続けるはずだ。この問題は、当時の最高指導者だった鄧小平が香港で共産主義を実施しないことを確約した期限である2047年までは、ほぼ平行線をたどることになるだろう。

 

中国分裂リスク

習近平体制が今のままの政策を続けるとしたら、中国は、西側資本主義のフレームワークから孤立化していくだろう。その先に待っているのは経済的困難である。そうであるならば、中国国内の政治家、官僚たちが習近平体制にこだわり続ける理由はなくなる。

 政変によって習近平体制を一新し、他のリーダーを据えて国際社会と連携を図ろうとすることも起こり得るのではないだろうか。この場合、習近平国家主席スケープゴートとなり、政治の表舞台からは完全に消えることになる。

 

・とはいえ、人口14億の中国が民主化を推し進めることは容易ではない。

 そもそも、あれだけの大国を誰がどういう形で統治していくのかという難問に直面するだろう。前述したように過剰な投資によって蓄積された巨額な債務問題、不良債権処理、いずれ膨張するであろう経常赤字、生活拠点の国外移転、そして根強く残されている所得格差など、乗り越えなければならない問題は山積みとなっている。

 その結末は、これまでの共産党一党独裁に対する不満として民主革命が起き、それを抑えるために共産党が再び独裁を強化するというシナリオも出てくる。これは最悪のシナリオで、下手をすれば中国が北朝鮮化する恐れがある。

またかつてのソビエト連邦と同じように、現在は中国共産党人民解放軍の圧力で抑えている自治区独立運動が加速して、広大な中国の領土がどんどん小さくなっていくという分裂シナリオも想定できる。

 

・かつて東側の盟主だった旧ソビエト連邦は、ロシアのウクライナ、カザフ、ジョージアラトビアエストニアなど、民族によって15の共和国から構成されていたが、1991年12月にソビエト連邦が解体されたことによって、各構成共和国は主権国家として独立した。

 

・それと同じことが、今後の中国にも起こり得る。このようにみていくと、中国が今の経済力を維持できるかどうかは、はなはだ疑問である。

 

一段と有利になる日本の立ち位置

中国の台頭で再び強まる日米関係

・さて、その「日米安保ビンのふた論」によって、日本が米国からひたすら叩かれる時代が今も続いているのかというと、そんなことはない。かつての「日本脅威論」も今は昔で、日本経済のプレゼンスは大きく後退した。今の日本が、米国にとって脅威となるような要素は、ほとんど見当たらない。

 しかし、その一方で新たな脅威が浮上してきた。それは本書でも何度か触れているが、中国の存在である

 

トランプ政権になり、米国が中国を明らかな脅威とみなすようになったことで、米国と日本の関係は、これからますます密接になっていくだろう

 前述したように、明治維新以降近代日本の経済は、スーパーパワーとの関係性を通じて大きく発展してきた。したがって、これからの日本経済の行方を考えるうえで何よりも大事なのは、この世界で一体誰がスーパーパワーなのかということだ。

 現時点において、スーパーパワーを名乗れるのは米国と中国くらいのものだろう。EUを中心とした大陸欧州の先行きは厳しい。米国はブレグジットによってプレゼンスを高めていくと思うが、スーパーパワーではない。そして中国は、この先、非常に厳しい試練が待ち受けており、スーパーパワーにのし上がる可能性は極めて低い。強大な軍事力、強い経済力、巨大な消費マーケットを有している米国は、やはり世界唯一のスーパーパワーなのである。

 それは日本の将来展望にとって、最も重要な構成要素になるはずだ。

 

バブル崩壊後の「失われた20年」は「日本企業を鍛えた20年」だった

・1990年代からアベノミクスがスタートした2012年までの20余年を指して、多くの人は「失われた20年」というイメージを抱いている。

 しかし私は決して、失われた20年だとは思っていない。この20年はむしろ「日本を鍛えた20年」だと考えている。この20年間という長期にわたる艱難辛苦があったからこそ、アベノミクスを導火線にして、日本経済は大きく回復してきたのだ。それは、新型コロナウイルスによる経済へのダメージにも耐えうるほど強いものであると確信している。

 仮にこの20年間、何の努力もしてこなかったとしたら、いくらアベノミクスで金融緩和を大胆に行ったとしても、景気が力強く反発するようなことにはならなかっただろう。多くの日本企業は試練に耐え、日本の国民、労働者は粛々と逆境を受け入れ、空前のコスト削減を達成した。この劇的なまでのコスト構造の転換を可能にしたのは、生産性の上昇、流通の効率化、そして規制緩和である。

 コスト構造を転換した結果、何が起きたのか。

 1990年代初頭、世界でも有数の高物価・低効率国だった日本の物価が下がり始めたのだ

 

・実際、日本企業はそれ以降の20年間に、大変な努力を積み重ねて、世界でも有数の低コスト国になった。購買力平価で見ても、1990年代初めの1ドル=210円台から、2012年には1ドル=120円台まで円高が進んでいるので、米国との比較で言うと、日本の物価は過去20年間で大幅に下がったことになる。つまり、日本の高物価、高コスト構造が飛躍的に改善されたのだ。

 もちろんその裏では、日本企業の絶え間ない努力が積み重ねられてきたわけだが、その結果、今の日本企業はバブル期にかけて付いた贅肉を削ぎ落し、世界的に見ても極めて競争力の強いスリム体質を身に付けたことになる。

 

・どうして、ここまで物価を下げることができたのか。

 第一に、ユニット・レーバー・コストが低下したことが挙げられる。ユニット・レーバー・コストとは、「生産1単位あたりに要する人件費」のことだ。つまり企業が一定数量のモノを作るうえで必要になる賃金である。

 ユニット・レーバー・コストを引き下げるためには、仮に人件費が変わらないとすれば、生産性を引き上げることによって実現できる。つまり同じ賃金で、より多くのモノを生み出せれば、ユニット・レーバー・コストは下がる。また、生産性が変わらないのであれば、賃金を引き下げることで、やはりユニット・レーバー・コストは低下する。

 日本の場合、他の主要国に比べて労働生産性が上昇する一方、1人あたりの雇用者報酬が低下した。そのため、他の国に比べてユニット・レーバー・コストが劇的に低下した。

 

第二は、高コスト構造の是正が進んだこと。企業の間接費、販売管理費の削減が大きく進展し、流通革命も起こった。その象徴がSPA(製造小売業)という新しいビジネスモデルの急成長だ。ユニクロブランドで有名なファーストリテイリングニトリなどは、製造から小売りまでを一貫して手掛けることによって、徹底した流通の効率化と商品の低価格化を実現した

 また、インターネットを活用した電子商取引(Eコマース)が当たり前になり、小売り市場で激しいシェア争いを展開しているコンビニエンスストアも、かつては多段階だった流通経路を大きく簡略化した。その結果、流通の効率化が大きく進展し、コストを下げる効果をもたらしたのだ。

 

そして第三は、規制緩和が進展したことだ。もちろん、これは時間のかかる作業になるため即効性はないものの、たとえば公共料金の内外価格差の縮小などは、まさに規制緩和と競争促進政策を導入したことによる賜物と言える。かつて世界で一番高かった東京の地下鉄料金は、今ではニューヨークやロンドンのほぼ半分になっている。

 これらの努力を積み重ねた結果、今の日本経済は世界で最も筋肉質な経済体質を持った国になったといっても過言ではない。

 

ジャパン・アズ・オンリー・ワンの開花

・しかし、だからといって悲観する必要はまったくない。日本はJapan as Number Oneになれなくても、すでに「Japan as Only One」になっているものがたくさんあるからだ。

 日本には世界的ハイテク株ブームを牽引するメガプレーヤーが不在だが、メガプレーヤーを支える基盤技術、周辺技術に関して圧倒的な部分を日本が担っているのも事実である。この基盤・周辺分野は、ひとつひとつの商品分野はニッチ・小規模だが、価格競争が及びにくく、技術優位と価格支配力が維持しやすい分野である。

 このように国際分業において日本がハイテク・ニッチ・ハード部門でプレゼンスを築いたことが、日本の企業収益に大きく寄与している。日本のハイテク製造業は、大企業であっても多数のニッチ基盤、周辺技術分野に特化しているのだ。

 

・たとえばエレクトロニクス分野について考えてみよう。

 日本はデジタル分野の中枢である半導体液晶テレビスマートフォン、パソコンなどの最終製品では、グローバルな競争に完敗したが、それは価格競争で太刀打ちできなかったからだ。

 では、デジタル分野の中枢でプレゼンスを失った日本が一体どこで生き延びているかというと、デジタルが機能するためのインターフェースである。インプットインターフェースとしての各種センサ類、アウトプットインターフェースとしてのアクチュエーター(モーターなど)で、日本企業は圧倒的な競争力を有しているのだ。

 あるいはさまざまなデジタル製品を作るうえで必要不可欠な素材、部品、装置などでも強みを発揮している。こうしたハイテクを支えるピラミッド型産業集積において、すべての要素を備えているのは世界でも日本だけだろう。

 

・これらの分野では多様な技術的差別化が求められ、素材や仕組みなどを駆使して、日本の得意分野である「擦り合わせ」が有効に働く。日本企業はこうしたポジションンにシフトすることで価格競争から脱し、技術や品質の優位な分野にビジネスモデルを特化させてきた。

 この考え方は、恐らくサービス業やその他の分野においても当てはまることであり、ここに日本の強みがあると考えられる。

 たとえば環境ビジネスで、日本の優位性は顕著だ。飲料水不足を解消する純水装置、海水淡水化用の逆浸透膜再生可能エネルギー分野など、いずれも日本企業が世界で大きくリードしている。

 サービス産業も日本のお家芸だ。確かに、日本のサービス産業は生産性が低いと言われているが、それは日本のサービス業の売値が低く、低付加価値を余儀なくされているからだ。その元凶は円高デフレにあるが、今後ドル高が進めば円高デフレの影響は徐々に軽減されていく。そうなればサービス業の売値も上がり、生産性は上昇に転じるだろう。

 

日本が観光分野で優位に立てるポテンシャルは、十分にあるのだ。その証拠に、新型コロナウイルスパンデミック直前まで、日本を訪れる外国人観光客は過去最高を更新し続けていた。外国人観光客は、パンデミックの終息とともに再び日本を目指すだろう。

 このように、日本は唯一無二ともいうべき魅力的な資源をたくさん持っている。それをいかに活用していくか、皆で知恵を絞ることによって、日本経済にはまだまだ成長する余地が残されているのだ。

 

向上する日本企業の収益力

・少し前になるが、2018年4~6月分の法人企業統計が同年9月3日に公表されたとき、海外メディアは日本企業の利益率上昇に驚愕した。売上高経常利益率は全産業(除く金融保険)で7.7%、製造業で10.5%といずれも過去最高を記録したのである。

 日本企業の売上高経常利益率は、高度経済成長期からリーマン・ショック前後まで、2~4%の水準で推移していたことを考えると、アベノミクスがスタートしてからの5年間で2倍以上に上昇したことは画期的である。

 

・グローバル投資家と多くのエコノミストは、利益率の急伸をもたらしている根本原因を見落としているのではないか。その根本要因とは、日本企業のビジネスモデルの大転換であり、それに伴う海外企業収益の甚大な寄与ということである。そうだとすれば、日本企業の利益率の向上は健全であり、持続性があると考えられる。

 日本の企業収益が歴史的増加局面にあることは、前述の法人企業統計の経常利益率のみならず、日銀短観などにおいても観測できる。それと連動して、ROEが着実に上昇しており、東証上場企業合計のROEは、2017年度に9.1%と過去最高を記録した。

 この収益性向上の本質をどのように理解するべきであろうか。それは採算性つまり現界利益率の急速な向上が原因であり、それは前述の日本企業のビジネスモデルの大転換と、海外利益の寄与によってもたされたと考える。

 

・大企業の損益分岐点売上高比率は1960年代以降、80%程度で推移していたが、2017年度には60%まで急低下している。

 では、ここ数年の限界利益率の顕著な上昇は、何によってもたらされたのだろうか。これについては2つの要因が指摘できる

 第一は日本企業の価格支配が飛躍的に高まっていることだ。前述したように、今の日本企業は価格競争から脱却し、技術品質優位に特化するオンリーワン戦略にシフトしているため、価格競争にさらされることはなく、価格支配力を維持できている。日本企業が手掛ける製品・サービスの希少性が高まっているのも、その一因だ。

 第二はグローバリゼーションの進展によって、海外部門の利益寄与が向上したことだ。

 

・海外進出企業における海外生産比率は、1980年代の10%台、1990年代の20%台から直近ではほぼ4割まで上昇した。また海外雇用人員は、2010年代に入りほぼ550万人で頭打ちとなっており、日本企業のグローバル・サプライチェーンはほぼ確立し終えたとみられる。

 

過去20年間に、日本ほど価値創造の仕組みを転換させてきた国はないだろう。別の言い方をすれば、国際分業との関わり方が劇的までに変化したということだ。

 2000年までは輸出主導、価格競争力主体で関わってきたのが、貿易摩擦円高でその基礎が根底から崩れ去り、国難に等しい価値創造モデルの崩壊に遭遇した。そこから、新たに立ち直ったのである。

 まとめると、その第一の要因は技術品質に特化した非価格競争、オンリーワン商品への大シフトであり、第二の要因は海外現地生産を含むグローバル・サプライチェーンの確立である。各国で最適立地に基づいて工程分業を展開し、日本の本社が全体をオーガナイズするという企業内国際分業体制は、日本において最も発達したビジネスモデルといってよいだろう。

 

人口減少は大きな問題ではない

さて、もはや日本経済の発展は間違いないことがお分かりいただけたのではないだろうか。

 

・1990年以降、日本と米国の関係性は一時的に困難な状況になったが、今は中国が思い抱いている世界支配の野望を食い止めるため、再び強力なタッグを組むようになった。そこにかつての覇権国である英国が加わる。希望的観測を交えて、あえて図式化すれば、これからの世界経済秩序は、米英日の三極主導で再構築が進むというのが、私の大局観である

 

・確かに、日本の人口は今後、長期的に減少傾向をたどっていく。2010年、日本の総人口は1億2805万7000人だったが、2020年は1億2410万人まで減少、その核はあくまでも推計値だが減少傾向が続き、2030年が1億1661万8000人、2040年が1億727万6000人となり、2050年には1億人割れの9707万6000人、そして2060年は8673万7000人まで減少する見通しだ。

 これまで経済成長著しかった中国が、14億人という巨大な人口を抱えていたことから、人口の多さが経済成長率を高めるというイメージを持っている人もいるようだが、これは明かに間違いだ。中国の高い経済成長は、あくまでも外国、特に米国からの技術移転と資本導入、そして米国という巨大マーケットの開放によるものであって、人口が多いからではない。

 人口が将来的に減少傾向をたどるからといって、経済の成長率が低下の一途をたどる、ということでもないのである。

 では、人口の多寡が経済成長を規定するのではないとしたら、何がここでポイントになるのであろうか。

 

それは提供している商品の代替不能性である。代替不能性とは、つまり希少性のことだ。他国の企業では真似できないような製品、素材、部品などを提供できれば、それは代替不能性が高いということになる。代替不能性の高い製品を提供できれば、強力な価格支配力を持つことができる

 つまり商売相手は、言い値で買わなければならないのだ。それは、他に行っても買えないからである。日本の特に製造業は、代替不能性の高い製品を、国際分業の仕組みのなかで提供している、

 

逆に、最も代替不能性が低い、つまりいつでもどこででも替えが効くものは何かというと、「労働力」である

 

・したがって、労働力が潤沢にあるから経済が強いというのは、まったくの幻想である。たとえ人口が少なかったとしても、代替不能性が高い製品をどんどん生み出せば、その国の経済はどんどん強くなるはずだ。つまり人口と経済成長率との間には、何の関連性もないのである。

 それでも「人口が増えなければ需要が増えない。だから経済成長は落ちていく」という意見も出てくる。が、その考えも間違っている。仮に人口が倍になったとしても、生活水準が半分に落ち込んだら、経済は成長しない。逆に人口が半分に倍になったとしても、生活水準が4倍になれば、液剤規模は倍になる。つまり、経済成長を決めるのは人口ではなく、国民1人当たりの生活水準であり、1人当たり生活水準は仕事の代替不能性によって決まると考えるべきなのだ。

 

・かつて、BRICsをはじめとする新興国経済が注目を集めたことがあった。そのときのロジックは、「人口が多い国ほど経済成長が期待できる」ということだったが、それは間違っている。

 新興国から代替不能性の高い製品が生まれてくる可能性は、極めて低いだろう。基本的に新興国は、中国がそうだったように先進国の製造拠点であり、自ら積極的に研究開発を行うことによって高い付加価値を生み出すところまで行けていない。したがって、この分野は基本的に先進国の独壇場である。そう考えると今後、新興国が先進国を追い抜くどころか、逆に先進国と新興国との経済格差は、広がる一方であると考えることができる。

 世界を見渡したとき、代替不能性の高い商品を持っている国は、まず米国であり、それに次いで日本だろう。それだけ優位にある日本の経済が、長期的に人口が減少するから大きくシュリンクしていくなどと言うのは、まったく道理にかなわぬ悲観論といえる。

 新型コロナウイルスパンデミックが一段落すれば、日本経済は米国経済とともに、力強く回復軌道を描いていくだろう。