日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

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私たちはそもそも、既に日本は財政再建を終えており、消費税増税も必要なかったと考えている。(1)

 

 

『スガノミクス』

菅政権が確実に変える日本国のかたち

内閣官房参与 高橋洋一 ・ 原英史   白秋社    2021/1/6

 

 

 

大阪都構想」に見る守旧派の手口

・さて本書の主題にも密接に関係することが、校正中の2020年11月1日、日本国民が注視するなかで行われた。「大阪都構想」に対する住民投票である。結果は、賛成67万5829票、反対69万2996票と、僅差ではあるが反対多数になり、この構想は否決された。

 

・すると翌週、投票日の6日前、10月26日の毎日新聞の一面に「市四分割 コスト218億円増 大阪市財政局が試算」という記事が出た。「大阪市を四つの自治体に分割した場合」という書き出しで、総務省が規定する「基準財政需要額」がどうなるか、という記事だった。

この記事はNHKと朝日新聞によって追随され、広く流布された。これらの記事は、自民党共産党、学者らの都構想反対派に利用された。大阪都構想」によって大阪府の財政がコストアップになると吹聴されたのだ。関係者の話によれば、この記事によって大阪都構想への反対が、急速に増えた。

 10月27日、大坂市財政局長が記者会見を行った。「コスト218億円増」とは、報道機関の求めに応じた機械的試算の結果だと釈明したのだ。

 

・この報道を拡散した大阪都構想反対派の人たちは、地方財政の知識がまったくないのか、確信犯的なのか、そのどちらかだ。

 特に、数字を捏造したともいえる大阪市の役人は、許されるだろうか。このタイミングで、松井市長に知らせもせず、大坂都構想とはまったく関係のない数字を出した責任は大きい。

 

・ちなみに、こうした事情をよく知る元大阪市長橋下徹氏は、「大阪都構想」で大阪市役所がなくなると困る「役所のクーデター」である、とツイートしていた。

 そして、こうした既得権を国民の面前に炙り出そうとしているのが、菅義偉首相なのである。

 

日本国の借金1000兆円の大嘘

菅義偉首相は経済政策について「アベノミクスを継承する」としたうえで、「デジタル庁」創設、地方銀行の再編、ふるさと納税の推進、携帯電話料金の引き下げなど、独自色も出している。新型コロナウイルス感染症による不況への対応は待ったなしだが、菅首相は「スガノミクス」で日本経済を復活させることはできるだろうか。

 

・コロナ対策では、どれだけ財政出動などで「真水」を投入できるかがポイントだ。喫緊の対応としては、積極的に財政出動するだろう。

 

・菅氏は財政について、「経済成長なくして財政再建なし」とする。財政再建よりも経済成長を優先する「経済主義」を表明している。

 ただ、こうした議論をすると必ずや「日本の財政危機」が持ちだされるのだが、私たちはそもそも、既に日本は財政再建を終えており、消費税増税も必要なかったと考えている。

 

国の資産1400兆円の多くは金融資産

・すると上司は、「それでは天下りができなくなってしまう。資産を温存したうえで、増税で借金を返すための理論武装をしろ」といってきたのだ………。

実際、政府資産の大半は、政府関係機関への出資金や貸付金などの金融資産で構成されており、技術的には容易に売却可能なものばかりだ。大多数の一般の人は、「資産といっても、道路や空港など土地建物の実物資産が多いから、そう簡単には売却できないだろう」と思っているだろう。しかし実は、それは事実とは違う。

日本銀行を含めた「統合政府」ベースのバランスシートでいえば、1400兆円程度の資産のうち、実物資産は300兆円弱しかない。つまり、国の資産のうちその多くが「売却可能な資産」なのである。

 

政府資産額は世界一の日本

・2018年度の日本政府だけのバランスシートを見ると、資産は総計674兆円。そのうち、現金・預金51兆円、有価証券119兆円、貸付金108兆円、出資金75兆円、計353兆円が比較的に換金が容易な金融資産である。加えて、有形固定資産184兆円、運用預託金112兆円、その他3兆円となる。

 そして負債は1258兆円、その内訳は、公債986兆円、政府短期証券76兆円、借入金31兆円、これらがいわゆる国の借金であり、合計1093兆円である。

 また、運用寄託金の見合い負債である公的年金預り金120兆円とその他が7兆円。よって、ネット負債(負債の総額から資産を引いた額、すなわち1258兆円-674兆円)は584兆円となる。

 主要先進国と比較して日本政府のバランスシートの特徴をいえば、政府資産が巨額であることだ政府資産の中身についても、すばやく換金が可能な金融資産の割合がきわめて大きいのが特徴的だ。

 

政府の資産は温存し国民に増税を求める財務省

・ただし、現在公表されている連結ベースのものには大きな欠陥がある。日銀が含まれていないのだ。政府から日銀への出資比率は5割を超えており、様々な監督権限もあるので、まぎれもなく、日銀は政府の子会社である。

 経済学でも、日銀と政府は「広い意味の政府」とまとめて一体のものとして分析している。これを「統合政府」というが、会計的な観点からいえば、日銀を連結対象としない理由はない。

 

・そして、この日銀を含めた統合政府ベースのバランスシートを見ると、先述の通り、1400兆円程度の資産のうち、実物資産は300兆円弱しかない。要するに、国の資産の多くが、「売却可能な資産」なのである。

 それほど多くの資産を温存しているのに、国民に増税を訴え、国の借金を返済しようと訴えるのは、どう考えても無理筋だ。こうした財務省増税志向は、それと表裏一体の歳出カット政策とともに、緊縮財政志向を生み出している。

 

IMFの提言は財務省からの出向者が作る

・緊縮財政については、その本家ともいえるIMFですら、1990年代から2000年代にかけての「緊縮一辺倒路線」は間違いだった、と2012年には認めている。

 

IMF財務省から出向した職員が仕切っている面が強く、単なる財務省の代弁としかいいようのないレポートもある。が、財務省の出向職員が手を出せないスタッフレポートのなかには、いいものもある。

 

IMFが認めた日本の財政再建

・日銀の保有する国債への利払いは、本来であればそのまま国庫収入になる。しかし、それを減少させることになる日銀の金融機関の当座預金に対する付利が、大きな問題になるわけだ。これは、はっきりいえば、日銀が金融機関に与える「お小遣い」であり、金融政策とは関係がない。

 

「研究開発国債」でノーベル賞を量産

・「研究開発国債」というべき国債を、ぜひ発行すべきなのである。この考え方を自民党の会合で紹介したのだが、これに最も抵抗したのは、財務省だった。財務省代理人と思われる学者も出席していたが、教育や研究開発が社会的な投資であることを認めながらも、国債ではなく税を財源にすべきだといっていた。ファイナンス理論や財政理論を無視した暴論である。

 

社会保障のための増税は大間違い

・実は、社会保障の将来像を推計するのは、それほど難しいことではない。何より、社会保障財源として消費税を使うというのは、税理論や社会保障論からいって、間違っている。

 

新・利権トライアングルを倒し岩盤規制撤廃

役所と業界の「接着剤」とは誰か?

・権限を持っている役所から天下った人たちが、役所と業界の「接着剤」になっていたからである。

 

政府が出資し補助金を付け天下る

・「政府のバランスシート」――これを見ると、貸付金と出資金が山ほどある。その行き先は、すべて天下り先だ。民間ではなく、政府系企業や政府系法人である。つまり、財務省の子会社のようなものである。

 政府が出資して、補助金を付けて、役人はそこに天下るという構図だ。

 

運転免許証更新のオンライン化で警察OBの天下り

・なぜ民営化と公務員制度改革を実行しなければならないのか?それは、役所が民間に企業に取り込まれてしまうことを避けるためである。経済学でいう「規制の虜」だ。

 

・民営化ができないから、政府がある部分を抱えてしまう。それを政府が抱えてしまうと、本当は民間でやってもいいことをやらない。こうして、まともなことができなくなるわけだ。

 

コロナ禍で悔やまれた行政のオンライン化

・第二次安倍政権は、アベノミクスのスタート当初から、「第一の矢」(金融)と「第二の矢」(財政)は合格点だが、「第三の矢」(成長戦略)は落第だといわれ続けてきた。評価は履らないまま、長期政権が終わった。

 成長戦略の一丁目一番地とされたのは、「岩盤規制改革」だった。

 

・だが、多くの分野で規制改革は停滞した。とりわけ、世界で急速に進むデジタル変革への対応では、出遅れた。医療や教育のオンラインなど部分的には前進しつつも、厚い壁をなかなか突破し切れなかった。そうこうするうち、2020年の新型コロナウイルス感染症の流行で、図らずも改革の遅れが露呈した。

 

成長産業に電波帯を空けるアメリ

・「岩盤規制」がもたらしているのは、「オンラインで診療や授業を受けられない」といった利便性の問題にとどまらない。

 経済社会全体での生産性の低迷、ひいては一人当たりGDPの低迷をもたらしてきた。

 

・その主な原因は、デジタル化への対応の遅れをはじめ、イノベーションの欠如だ。そして、古い仕組みを強いているのが、「岩盤規制」だ。だからこそ、安倍政権の成長戦略の一丁目一番地は、「岩盤規制打破」でなければならなかったのだ。

 こうした古い仕組みが随所に残る代表的分野が、「電波」である。

 

自民党長老議員の電話一本で規制改革がストップ

・こんなことが起きるのは、無人ロッカーの設備投資ができるのは比較的大手の事業者であり、資力の乏しい零細クリーニング店にとっては解禁が好ましくないためだ。零細クリーニング店も業界団体などによる政治力はあるので、無意味な規制維持を政治や行政に強力に求め、これがまかり通っているのが現実だ。

 現に、規制改革推進会議でこの議論をした際、自民党の某長老議員が直ちに事務局に電話をかけてきて、ストップをかけた。残念ながら、そんな電話一本で止まってしまうのが、現在の規制改革の実情だ。

 

安倍政権は「官邸主導」ではなかった

・では「安倍一強」ともいわれた強力な政権で、なぜ「岩盤規制改革」は進まなかったのか?答えの一つは、安倍政権は決して「官邸主導」ではなかったことだ。

 安倍政権では、外交や安全保障は別として、官邸の力は強くなっておらず、内政は概ねコンセンサス重視だった。内閣人事局を作って官邸が思うがままの人事を行い、結果、官僚の忖度を生んだというようなことがいわれたが、官邸主導の政策決定など、それほどなされていなかった。

 結局、官僚機構のほうがまだまだ強く、官邸主導で突破していくことは難しかった。

 

新・利権トライアングルの正体

・そして安倍政権で規制改革を阻んだ、もう一つの、より重要な要因は、国家戦略特区での規制改革が、2017年でぱったりと止まったことだ。2017年の通常国会で「加計学園問題」への疑惑追及がスタートして以降だ。

 

・マスコミと野党議員にとって、事実がどうかはどうでもいい。マスコミが「疑惑」を報じればそれを国会で追及、国会で「疑惑追及」したらマスコミで報道、と「証拠なき追究」を無限サイクルで回し続けることができる。

 証拠は要らず、「疑わしい」と唱えるだけで十分なのだ。そして、2017年以降に国家戦略特区の規制改革がぱったり止まったように、それで十分に効果は上がる。

 

各省設置法を一本化し事務分担は「政令」で

・民間企業でも、組織の改編は執行部が決めている。そうでないと、時代の変化に対応でないからだ。

 この発想からいえば、現在ある各省設置法をすべて束ねて政府事務法として一本化し、各省の事務分担は「政令」で決めればいい。こうした枠組みを作れば、そのときの政権の判断で省庁再編を柔軟に行える。

 

内閣人事局の破壊力

省庁や業界が族議員と築き上げた利権構造

・各省庁には、それぞれの縄張りで、所管業界や族議員とともに長年築き上げてきた利権構造がある。端的にいえば、国民一般の利益を犠牲にして、既得権者が利益を得る仕組みだから、時の政権が国民目線でこれに切り込もうとすることは、古くからときどき起こった。

 

省庁OBが「縦割り利権」を護持するわけ

・この不文律のもとで何が起きていたのか? 官僚たちが、大臣よりも、実質的な人事権のある官僚機構のボスを見て仕事をするようになったのだ。「政権の方針」より「省庁の論理」が優先されるわけだ。

 しかも、ボスは必ずしも現職の官僚トップではなく、省庁のOBたちが実権を握っていたりする。こうしたOBたちは所管の利権団体に天下りしているのだから、「縦割り利権」護持が最重要課題になるのは当然だった。

 

省庁のガバナンス構造改革のため内閣人事局

・「内閣人事局構想」は、言い換えれば、各省庁のガバナンス構造の改革だ。旧来の構造では、国民によって選ばれた政権の方針が貫徹されない。だから、古くからの「縦割り利権」に手を付けられない。これを、「国民によるガバナンス」が利く構造に改めようとするものだ。

 

民主党政権内閣人事局を設置しなかった謎

・付け加えておくと、政府・与党は当初は、内閣府の外局として「内閣人事庁」を提案した。これに対し、官邸直結の「内閣人事局」を強く主張したのは、当時の民主党だった。

 

<「利権のボスへの忖度」から「国民への忖度」へ

・そのようななかで、「内閣人事局」を廃止ないしは弱体化すべきだ、との主張が唱えられるようになった。「内閣人事局」が人事を握っているので、官僚による「官邸への忖度」が生じているという指摘だ。

 

・旧来の縦割り、あるいは官僚主導行政が「深刻な機能障害を来している」ことは、1997年の行政改革会議における「最終報告」で、はっきりと指摘されている。

 

人事評価はAばかり

・ではなぜ安倍政権において、内閣人事局が万全に機能していなかったのか?大問題は、内閣人事局が客観的な人事評価をサボってきたことだ。

 霞が関の官僚人事の伝統は、「身分制」と「年功序列」だ。

 

いまも色濃く残る「身分制」と「年功序列

・もちろん、霞が関全体が本当にそんな素晴らしい働きぶりをしていたら、政府はずっとよく機能している。馴れ合いで「みんなよくできました」を続けてきたわけだ。

 結果として、霞が関の人事は、あまり変わっていない。

 

人事評価を各省庁に丸投げしてきた内閣人事局

・ところが、現状は先に述べた通りだ。内閣人事局は人事評価を各省庁に丸投げし、基準確立も適格性審査もサボり続けてきた。結果として、「各省庁の仲間内人事」は旧来のままで、たいして変わっていない。

 

安倍政権が「岩盤規制」で成果を出せなかった背景

・安倍政権が「岩盤規制改革」を唱えながら十分な成果を出せなかったのは、結局、こうして霞が関の内実が変化せず、縦割り利権を頑強に守り続けていたためだ。その一方で、客観評価を欠いた「内閣の人事権行使」は、中途半端な官僚たちのあいだで「官邸の歓心さえ買えば出世できる」との間違った忖度を生む要因にもなった。

 

・方針決定後には従うとの大前提が守られる限り、当然、「異論を唱えたら左遷」などということがあってはならない。

 菅首相もそんなつもりはないはずだ。しかし、「反対したら異動」ばかりが流布されてしまっており、誤解を招きかねないので、菅首相は改めて明確にしておいたほうが良いだろう。

 

公式会議でのガチンコ討論を避けた安倍政権

・残念なことに安倍政権では、首相の出席する公式会議でのガチンコ討論を避ける傾向があった。小泉政権での経済財政諮問会議などとは大きく違った。そのために、あとから「無理やり押し付けられた」などと刺されやすかった面も否めない。

 これから菅政権が規制改革の難題に取り組むうえでは、政府・与党内での意見の対立は避けられない。これを表に晒して決着を付ける仕組みを確立することこそが重要だ。菅政権発足以降、実際に、官邸での政策会議は、ガチンコ討論に徐々に切り替わりつつあるようだ。

 

菅政権は、「内閣人事局」の機能不全の解消をはじめ、縦割り利権の打破を目指す体制をさらに強化していくだろう。これは様々な難題を解決していくために、不可欠であるはずだ。

 

再生エネルギーと脱炭素で世界を救う

エネルギーの脱炭素化が進んでいない日本

菅首相所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスゼロ(カーボンニュートラル)」を宣言した。しかしこの分野では、日本は世界の流れに乗り遅れてきた。

 

東日本大震災以降、原子力発電所がほとんど動いていないことに加え、再生エネルギーの比率が低いことが、日本のCO2排出量が多い原因なのである。

 

国民は再エネを電力会社は原発

・「エネルギー供給の脱炭素化」が課題であることは論を俟たない。これが置き去りにされがちなのは、厄介な難題であるからだ。

 

安倍「経産省内閣」で起こった思考停止

・たとえば原発の新設をどうするか、その方針も不明なまま、2030年の電源構成では、原発比率を「20~22%」と掲げ続けてきた。そして、処理水やバックエンド問題の解決もなされなかった。

 

発送電分離のあとも残る電力市場の歪み

・たとえば、発送電分離で送電網は切り離されたが、発電と小売りは基本的に一体で運営されている。

 

・発電市場の8割を大手電力会社が支配しているから、自社の小売部門に対してだけ安価に電力供給をすれば、小売市場でも有利な立場に立てるのだ。

 

電電公社の民営化後に行ったこと

・実際に、大手電力会社による不当廉売など、新規参入者を追い落とそうとする動きも見られた。

 

・さて電力の分野では、周回遅れで本格的な自由化に踏み出した。これまでのところ「規制緩和」(自由化)はなされたが、「規制改革」(競争促進=市場の歪みの解消)の観点では、まだまだ道半ばである。

 

新電力市場で得た1.6兆円も火力設備更新に

・こうした歪みの問題が噴出した一例が、2020年夏に入札のなされた「容量市場」だ。電力には、卸電力市場や先物市場など複数の市場があるが、容量市場はその一つであり、2020年から運営が始まった。

 

・容量市場の問題は、電力市場の歪みが噴出した一例に過ぎない。こうした歪みを解消していくことこそが、菅政権に求められる課題なのである。

 

新聞と国会議員のファクトチェック

ファクトチェックでは保守派の言論がターゲットに

・原は2020年4月、問題意識を共有する関係者とともに、オンライン上で「情報検証研究所」を立ち上げた。マスコミ、政府発表、国会論戦、ネット情報など、様々な媒体で、いい加減な情報が乱れ飛んでいる。そこで媒体を問わず、事実に基づく検証(ファクトチェック)を行い、レポートや動画で公開しているのだ。

 

・さて日本では、これまで新聞社がネット情報や政治家の発言などを検証するのがファクトチェックの中心だった。特にファクトチェックに熱心なのが毎日新聞東京新聞などである。このほかに独立したファクトチェック機関もちらほらと活動を始めているが、まだまだ少ない。

 

ファクトチェックのファクトチェックを

・ファクトチェックの主体同士による「ファクトチェックのファクトチェック」も大いに結構。そうしたなかで、ルールを守って好プレーを連発する有力プレイヤーと、ルールを守れないダメなプレイヤーは、自ずとはっきりする。この切磋琢磨を通じて、言論空間はより良いものになっていくはずだ。

 

新聞紙面とサブチャンネルの開放を

・世間的には、フェイクニュースとは、主にネット上に流れる怪しい情報や、いい加減な政治家の発言を意味すると考えられている。リテラシーの高い人ならば、「ネット情報よりも、むしろ新聞やテレビのほうがデマだらけだ」というかもしれないが、世間一般の主流ではない。

 だから新聞は、いまも自分たちは怪しげなネット情報を「検証する側」だと固く信じ、自分たちが「検証を受ける側」になることなど、思いもよらない。

 

毎日新聞が「大阪都構想」で行った故意の「誤報

・先述の通り毎日新聞は、「大阪都構想」の住民投票の直前、「市四分割 コスト218億円増 大阪市財政局が試算」と報じた。ところが、この「218億円」は、「大阪都構想」の4つの特別区に分割する場合ではなく、4つの政令市に分割した場合のコストの試算であることが判明した。その後、大阪市は「あり得ない数字だった」として、試算を撤回している。

 この記事が、住民の意思決定に相当の影響を及ぼした可能性は否めない。

 というのも一般の人には、この記事は「大阪都構想218億円のコスト増」との意味しか読めない住民投票を控えるなか、まったく議論のなされていない「四政令市分割構想」のコストを一面トップで報じることは、常識的にいってあり得ないからだ。

 

「国家戦略特区」でも執拗な誹謗中傷のキャンペーン

・原は、この光景に見覚えがある。実は別件で、毎日新聞と訴訟係争中なのだ。

 前述の通り2019年6月、毎日新聞は、一面トップで原の顔写真を掲載し、国家戦略特区の民間提案者から200万円を受領し、会食接待を受けたなどと、事実無根の記事を掲載した

 その後の1ヵ月で11回(うち一面で7回)にも及ぶ執拗な誹謗中傷キャンペーンがなされた。原は繰り返し記事が間違っていると指摘したが、訂正がなされないので、やむなく訴訟を提起した。

 このときも毎日新聞は、「原が200万円受領」としか見えない記事を掲載したが、訴訟になると「記事に『原が200万円受領』とは書いていない」と主張した。記事の文面には、確かに、よくよく見ると「別の会社が200万円受領」と書いてある。ここでも、そんな事実はないと、最初から分かっていたわけだ。

 明らかなのは、どちらも、うっかり間違った「誤報」ではないということだ。事実ではないと分かっていながら、そうとしか読めない記事をわざわざ掲載した「意図的な虚偽報道」としか考えられない。

 

共産党市議の発言で露呈した「新・利権トライアングル」の連携

・二つの記事の共通点はそれだけではない。もう一つの共通点は、「政治勢力や利権との連携関係」である。

 「大阪都構想218億円問題」の記事は、反対派の自民党市議が大きく拡大してパネルを作り、街頭演説に活用した。これも、原にとっては見覚えのある光景だ。「国家戦略特区200万円問題」の記事は、森ゆうこ参議院議員がパネルにして国会に持ち込み、NHKの中継がある国会質問で、原が犯罪相当の不正行為を行ったと、大いに宣伝した。

 この事案では、おそらく背後に、国家戦略特区における規制改革に反対する省庁や利権団体がいたはずだ。加計学園問題でも同様のことがあった。

 規制改革をなんとかして潰したいのだが、規制改革を唱える政権に抗するだけの気概や理屈は持っていない利権組織が、マスコミと野党の裏に隠れて抵抗するのだ。

 

毎日新聞は特定勢力の「工作機関」なのか

・原の事案では、200万円受領という記事の続きで記者が取材していた内容を、なぜか記事の掲載前に森ゆうこ議員が知っており、それを国会で質問した。これに対しては、毎日新聞はノーコメントを貫いているが、記事の掲載前に政治家へ取材内容を提供したとすれば、報道機関としてはあり得ない異常な行動だ。

 

・「意図的な虚偽報道」「政治勢力や利権組織との連携関係」「報道前の情報漏洩」……これらの共通点から浮かび上がるのは、毎日新聞は、特定勢力に利用され、いわば下請け機関として「情報工作」を行っていたのではないかという疑念だ。

 もしそうならば、毎日新聞は報道機関とはいえない。もはや特定勢力のための「工作機関」である

 毎日新聞にはぜひ、自らの紙面を解放して、記事をファクトチェックする検証記事を掲載してもらいたい。呑気に櫻井よしこ氏らの発言をファクトチェックしている場合ではない。

 

ネットメディアを見倣うべきは新聞

社会一般の通念では、ネットメディアは新聞より低レベルであり、フェイクニュースの巣窟とされる。だが、原の経験上、そんなことはない

 2020年6月、まったく面識のない国会議員が、原に対する誹謗中傷を含んだ記事を月刊誌に寄稿し、ネット上では「ハーバー・ビジネス・オンライン」などに、あるときは「参照:しんぶん赤旗」などと注記を付けて転載されたこともあった。

 

・さらには、およそあり得ない疑惑をにおわせている。たとえば前記文面では「真珠販売会社の要望に沿って漁業法改正がなされた」といいたいらしいのだが、もともと真珠養殖では漁協に優先権がないので、論理的にもあり得ない。デタラメで、話にならない内容だった。

 原は、この国会議員のことも月刊誌のこともよく知らない。だが、影響力のあるネットメディアで誹謗中傷を拡散されるのを看過することはできない。そこでネットメディアの問い合わせ窓口に連絡し、デタラメな内容であることを伝えたところ、迅速に記事を削除してくれた

 この事例から見る限り、ネットメディアには、確かにフェイクニュースが多いかもしれない。しかし事後の対応は、新聞に比べてずっと誠実だ。

 

国会議事録が拡散する劣悪な言論

新聞よりも、さらに事後対応がなっていない低劣なメディアがある。それは、国会議事録である。

 ネットメディアに削除依頼をした記事の事案では、この亀井議員は、国会でも同じような発言をしていた。

<2020年4月7日 衆議院地方創生に関する特別委員会 亀井亜紀子議員(抜粋)

 

「スーパーシティ」構想の実現に向けた有識者懇談会の名簿、7人の名前が並んでおります。その中で、座長は竹中平蔵さん、座長代理が原英史さんですよ。この原英史さんは、漁業法の改正のときにもワーキンググループで名前が出てきて、真珠販売会社から要望をヒアリングして、内閣府にも言ったんだけれども、そのときの議事録は作成されていなかったということで、随分追及を受けた人物ですし、また、株式会社特区ビジネスコンサルティングというところにも関係していたということでも指摘をされている人です>

 

ネットメディアの記事は削除されたが、こちらはそのまま国会議事録に残り、ウェブで公開され続けている……現状では、これを削除してもらおうと思っても、不可能なのである。

 なぜか? 国会内での議員の発言には憲法上の免責特権があり、訴訟などによって争うことはできない。国会での対処を求めても、取り合ってもらえる可能性は、まずない。

 

なお、原は森議員とも訴訟係争中だが、これはネットで自宅住所を晒したことなど、森議員の国会外の行為を対象にしている。しかし国会での発言そのものは、これ以上争いようがない。

 こうして国会議事録は、まともなネットメディアならばすぐに削除するような劣悪な言論を、野放図にばらまく媒体になっている

 

国会論戦にもファクトチェックが必要だ。猪瀬氏の「ラストニュース方式」で、国会議事録の最後に、当事者の反論やファクトチェック機関の検証記事を掲載する仕組みを設けるべきだ。