『「首の後ろを押す」と病気が治る』
(神経のつまりを取ると奇跡が起こる!)
松久正 マキノ出版 2010/7/15
<第一頸椎>
・脳からのすべての臓器への指令は第一頸椎を必ず通って下へと降りていきます。したがって、神経のつまりが背骨のどこにあるかをいちいち探さなくても、第一頸椎の神経の流れをよくすれば、その下にあるすべての神経によい影響を与えられるのです。
<希望を生み出す医師>
・私はアメリカで、希望を生み出す医師{Dr.HOPE(ドクター・ホープ)}として、長い間、活躍してきました。
なぜ、そんなふうに思われていたのでしょうか。それは、私がれっきとした医師でありながら、薬を使わず、手術もせずに、手を使うだけで、肩こり、腰痛、耳鳴り、めまいといった日常的な不快症状から、関節リウマチ、ガン、心臓病、脳梗塞、アトピー性皮膚炎、膠原病といった難病まで治療することができる「特別な能力」を持っているからです。
・しかし、私はこれが21世紀の新しい医療の代表的な形だと思っているのです。私は慶応義塾大学医学部を卒業後、整形外科医として10年ほど、日本の大学病院をはじめ、いくつかの総合病院に勤務していました。その後、アメリカへ渡って、この「特別な能力」を磨いたのです。
私が診療していたのは、アリゾナ州フェニックスのクリニック。
・前述したように、私の治療では薬はいっさい使いません。手術もしません。私が主に行うのは、首から腰にかけての背骨をさわることだけです。
正確にいうと、なでるわけでも強く押すわけでもありません。生まれたての赤ちゃんから百歳近くのお年寄りにいたるまで、そうした手技を行います。それもたった4~5分。しかし、それだけで、難病に悩まされている人たちが回復していくのです。
・T教授はなんとか歩くことはできますが、足の筋力低下としびれのためにすぐにつまずいてしまいます。また、手の指のしびれのため物を持てないような状態でした。
これは、頚椎症性脊髄症と呼ばれる首の病気の症状です。頸椎(背骨の首の部分)には脊髄という神経の束と神経根という神経が通っています。整形外科学では、これらの神経が頸椎の変化によって圧迫され、さまざまな症状が出てくるとされています。T教授の場合、症状が重く、放置すると、脊髄に重大な事態が生じるおそれがあるため、ただちに手術をすすめられたわけです。
しかし、整形外科医として本音をいわせてもらえば、頚椎症性脊髄症の手術の成功率は決して高いものではありません。
・私は即座に「手術は反対です」とT教授に申し上げました。わざわざそんな危ないことをしなくても、そうした症状を取ることができるからです。
私はT教授の首の後ろをさわらせていただき、第一頸椎(頸椎のいちばん上にある椎骨)を絶妙な力加減で押して、治療を行いました。これはほんの一瞬の出来事です。
「あれ、普通に歩けるよ! 不思議だ、手のしびれもこんなに軽くなっちゃった」
治療が終わると、T教授は診察室をサッサッと力強く歩きながら、驚きの声をあげました。さっきまでフラフラと弱々しく歩いていたのがウソのようです。
「まだ治ったわけではありません。よくなるのはこれからです」
私はすかさずそういいました。
のちにT教授の症状はもっとよくなり、もちろん手術も受けていません。
これが超能力ではないとしたら、私の治療とはいったいなんなのでしょうか。
そろそろ種明かしをしましょう。その治療とは、「神経のつまり」を取って、その流れを開放すること。正確には神経の流れの狂いを正すこと。実は、これが私の行っている「ガンステッド・カイロプラクティック」なのです。
・私は2009年に、ガンステッド・カイロプラクティックの実力を示す最高位である「ガンステッド・カイロプラクティック・アンバサダー」という称号を授与されました。アメリカ・ガンステッド・セミナーでは、それを行うドクターの能力を数段階のレベルに認定しています。そのなかで、最上位の称号がガンステッド・カイロプラクティック・アンバサダーであり、いまのところ、この称号を持っているのは、本場のアメリカ以外では私のみであり、私を含めて世界には3人しかいません。
・投薬は対症療法(症状の改善のみを目的とした療法)にすぎません。それどころか、ステロイド薬は免疫力を乱して、かえって体に不調和な状態を引き起こすことになります。
私がそのあかちゃんに行った治療は、神経のつまりを取って、自然治癒力を引き出すことでした。臓器の働きを最高の状態に持っていくようにすれば、病気は自然に消えていきます。
この赤ちゃんへの治療は、合計3回。3日間連続で行いました。すると、赤ちゃんの肌は薬をいっさい使うことなく、よくなっていきました。3ヵ月後にはお母様が「スベスベ」と表現するほど、きれいな肌になっています。
・熱が出ても、下痢をしても、湿疹が出ても、赤ちゃんに薬を使ってはなりません。それらは、もともと体が必要としている症状です。無理に止める必要はありません。また、神経のつまりがなければ、そのような症状が出ても、体はすぐに元気になります。
むしろ、赤ちゃんのときに薬を使ってそうした症状を無理に止めると、体の弱い子供になってしまいます。
<「神経の流れ」が「元気の源」であることは医学の基本原理>
・全身にはりめぐらされている神経は、脳からの指令を体の各部分に伝える器官で、その中心となるのは背骨の中を走っている神経です。この神経の流れがスムーズであるからこそ、心臓や肺、胃、腸、それに血管、筋肉といった臓器や組織が毎日順調に働くことができるのです。
<薬で病気が治るわけではない>
・医師の診療を受け、病気を診断されて最後に薬を処方されると、たいていの人は安心します。しかし、それで病気が治るわけではありません。たいていの薬は対症療法薬です。
極端にいえば、症状という表面をごまかしているだけです。これは、手術であっても同じことです。要するに、とりあえず薬で症状をやわらげ、薬や手術で弱まった患者さんの自然治癒力で病気が治るのを待っているだけのことです。
<神経のつまりを取って体にすべてをゆだねる>
・血圧の高い患者さんに、現代の医学では、たいていは降圧剤を用います。この治療法は多くの患者さんにあたりまえのように受け入れられていますが、これは体にとってすごく不自然なことです。
薬が効いている間は確かに血圧が下がりますが、そのことで高血圧のそもそもの原因を解決できるわけではないのです。
・実際、高血圧の患者さんの神経のつまりを取って、その流れを開放すると、血管の働きが正常になって血圧が下がるだけでなく、降圧剤が不要になることがよくあります。
本来、病気を治すのに薬も手術もいらないのです。なぜなら、前述したように、体にはもともと病気を自然に治す力が備わっているからです。
<医師の関心が薄い症状や病気>
・ほとんどの医師は肩こりの症状をやわらげるだけで、根本的な原因を解決することができない、あるいはしないのです。
このように“医師に相手にされない”症状や病気は世の中に多数あります。だとしたら、医師という職業はなんのためにあるのでしょうか。
最近、「線維筋痛症(せんいきんつうしょう)」という病気が問題になっています。これは、全身の筋肉に痛みを感じる病気ですが、関節リウマチのような関節の変形は伴いません。それにもかかわらず、その痛みは激しく、日常生活にも支障をきたすほどです。
線維筋痛症が問題なのは、二つの理由があります。一つは治療法がないこと。そして、もう一つは、医師にこの病気についての理解がないことです。病名すら知らない医師が世の中にはおおぜいいます。
・もちろん、これは難病に限ったことではありません。前述した肩こりをはじめ、腰痛、関節痛、耳鳴り、めまい、頭痛といった、日常的な不快症状のすべてにいえることです。
<新しい医学との遭遇>
・その結論の中でも整形外科医として私の最大の関心事は、脳から背骨の中を流れ、さらに体のすべての臓器に指令を与える神経のラインでした。この神経の流れがスムーズであれば、各臓器が正常に働き、体は健康な状態を保てると考えるようになっていきました。
医師になって7年めのときのことです。
「兄さん、アメリカにはカイロプラクティックという、すばらしい医学があるよ」弟がそんなことを教えてくれました。
・カイロプラクティックの理論とその技術は、カナダ生まれのアメリカ人であるD・Dパーマーによって、1895年に確立されました。この医学の特徴は、薬を使わずに手技のみで「神経のつまり」を取って、その流れをスムーズにすることにより、自然治癒力を最高の状態で発動させる点にあります。
<カイロプラクティックだけはやめておけ>
・たとえ妻や家族には理解されたとしても、医師の世界では、私の計画は「狂気の沙汰」に近いものだったでしょう。実際、私がこれからアメリカでカイロプラクティックを学ぶと宣言すると、医局の同僚たちはみな顔をそむけました。
彼らはとんでもない場違いな話を聞いてしまったので、どう反応したらよいのか、とまどったのだと思います。
・私は1999年にハーバード大学医学部の関連病院やボストンのローズメディカルセンターで人工関節手術の研修を終えたばかりでした。そんな最新の医学知識を見につけた私がエビデンス(科学的根拠)に乏しいといわれるカイロプラクティック(断っておきますが、これはまったくの誤解です)を学びたいといい出したのですから、驚天動地の話だったのです。
「おまえがそんなにアメリカへ行きたいのなら、ハーバードでもジョン・ホプキンスでも留学させてやる。カイロプラクティックだけはやめておけ」
私の恩師である整形外科の主任教授からは、そういわれました。いま思い出しても本当にありがたいお言葉です。
・そして、2000年に妻と二人でアメリカへ渡り、その年の9月に南カリフォルニア健康科学大学(ロサンゼルス・カイロプラクティック大学)に入学したのです。
<カイロプラクティックとは>
・なかでも私を悩ませたのは英語の壁でした。ネイティブな英会話による授業がまったく聞き取れなかったのです。いま思うと当然のこととは思うのですが、当時は深刻に悩みました。ジョークをいわれても実につらいものです。何しろ、解剖学や生理学の授業すら、英語が理解できないために、チンプンカンプンでした。34歳から本場の英語を身につけるのは不可能なのか、とさえ思いました。
しかも、やっと耳が英語に慣れてくると、今度はもっと深刻なことに気がつきました。私が求めていた本物のカイロプラクティックが、そこにはなかったのです。
南カリフォルニア健康科学大学では、本物のカイロプラクティックを教えているとは私には思えませんでした。その事実に気がついたときには、すでに入学して1年半以上が経過していました。こうなると悩むどころか、まさに奈落の底に突き落とされたような心境でした。
・カイロプラクティックは、症状や病気の根本的な原因(神経のつまり)を見つけ出し、そこをアジャストメント(調整=カイロプラクティックでいうところの治療に相当するもの)することにより、神経の流れをよくして、患者の心身に完全な健康を回復させ、維持させることを目的としています。
・北米には17ものカイロプラクティックの専門大学があり、どの大学も非常にレベルの高いものです。
<ガンステッド・カイロプラクティックへの道>
・2002年11月、私は思いきってアイオワ州ダベンポートにあるカイロプラクティック発祥の学校「パーマー・カイロプラクティック大学」に転校することにしました。
・しかし、クリニックの発展はさらに続き、1962年には、さらに新たなガンステッド・カイロプラクティック・クリニックが、マウント・ホレブの町はずれに建てられました。それは実に広大な施設で、広さ約5565平方メートルの土地に11のアジャストメントルーム、最新の完全装備の検査室、レントゲン室、104席の待ち合い室、セミナー用の200席を超える会議室、さらに3つの教室などがあり、それらの建物の隣には大きな宿泊施設まで併設されています。
<真なる姿は美しい>
・そのセミナーで、私は数々の奇跡を見ました。アレックスのアジャストメントにより、それまで歩けなかった人が歩けるようになるのはめずらしくありません。何をしても取れなかった痛みがなくなることもよくあります。ありとあらゆる症状が消えるのです。まるでマジックのようでした。
後年、私はガンステッド・カイロプラクティックのセミナーを主催するようになりますが、あるとき、そこに脳性小児マヒの3歳の女の子が連れて来られました。その子が一回のアジャストメントで、みなの見ている前で立ったのです。この子はいまでは小学生になり、走れるまでに回復しています。そして、現在は私が彼女を定期的にアジャストメントしています。
<三代にわたる本流のエネルギー>
・ビデオの映像に残されたガンステッドのアジャストメントは「スーパーアート」そのもの、まるで「神技」です。それ以外、私には表現のしようがないのです。
彼の立った位置、患者さんにふれているときの手の角度、腰の曲げ方、そしてその視線。どれをとっても完璧で美しく、まねをしようと思っても、できるものではありません。
・パーマー・カイロプラクティック大学には、ガンステッド・カイロプラクティック・クラブのエグゼクティブという、上級の試験があります。2003年に私はその試験にアジア人として初めて合格し、学生時代から学生たちにガンステッド・カイロプラクティックを教えることになりました。
当時、アメリカには何千人も学生がいたと思いますが、私には理解と技術では誰にも負けないという自信がありました。それほど私の勉強量は圧倒的だったのです。そのためには、夜も眠らないほど勉強しましたが、お金もたくさん使いました。
普通、留学といえば、大学の研究室から補助が出ます。しかし、私の場合、それはありません。しかも、たくさんのセミナーに通ったので、いくらお金があっても足りませんでした。貯金も使い果たし、借金の連続でした。
・アメリカでは、成績を上位で卒業する者には、ラテン語で特別な言葉が記されます。それには三段階があって、最上位が「スマ・クム・ラデ」です。私はこの賞を取ることができました。
また、学業だけではなく、課外活動や社会活動に顕著な功績があった人だけに贈られる「学長賞」も授与されました。
しかし、私のアメリカでの最高の財産は、なんといってもドクター・アレックスに出会えたことです。
・ガンステッドが銀行ビルの最上階で開業していたときのこと、朝の7時にはビルの外には患者さんたちの長い列ができて、彼の到着を待ちわびていたといいます。
間もなく、アメリカ中から彼の治療を求めて、たくさんの患者さんがマウント・ホレブにやって来るようになりました。
<病気の原因は「神経のつまり」にあった>
<斜頸(しゃけい)の痛みがその場で取れて傾きも3日で治った>
・このフェニックスに移ってきたのは、ドクター・ホゼ・ララが院長を務めるガンステッド・カイロプラクティックのクリニックで働くためでした。ララは全米で三本の指に入るほどの屈指のガンステッド・ドクターです。
<ドクター・ララに受け入れられる>
・そもそも本物のガンステッド・カイロプラクティックを使えるドクターが、アメリカにもわずかしかいません。ガンステッド・ドクターと名乗っても、ほとんどがその亜流でしょう。また、たとえガンステッド・ドクターと名乗ることを許されたとしても、その頂点に立つスーパードクターと一介のドクターとの間には、雲泥の差があります。
<セドナでの体験>
・一方、フェニックスに来てから私がよく通うようになったのは、スピリチュアルな聖地セドナでした。もともとネイティブアメリカンの聖地であるセドナには、「ヴォルテックス」と呼ばれる地球のエネルギーがわき出すスポットが多数あるといわれています。私がガンステッド・カイロプラクティックの神髄であるエナジーメディスン(エネルギー医学)に目覚めたのは、ここに通って、ヴォルテックスにふれたおかげではないかと、いまでは思っています。
<最も重要なのは「治ること」>
・西洋医学に対して、東洋医学に代表される自然医学は、人間の体を単に物理的にとらえるのではなく、目に見える体と、もう一つの目に見えない体(エネルギーの場)がいっしょになったものと考えてきました。これがエナジーメディスンと呼ばれるものです。アジアに古くから伝わる鍼灸やヨーガなどは、こうした哲学を持った伝統的な医学の代表です。
・現代医療の最大の弱点は、あまりにもエビデンス(科学的根拠)にとらわれすぎていることです。患者さんにしてみれば、自分の抱えている病気が治るのか治らないのか、それがいちばん大事なことのはずです。ところが、医師にとって重要なのは、あくまでもエビデンスなのです。
<生命エネルギーの通り道をきれいにする>
・また、遺伝子には、体の設計図だけでなく、体が故障したときに修復をするアフターケアの仕組みまで記録されています。その仕組みこそ、私たちが自然治癒力といっているものです。
・では、この遺伝子という巻物を書いたのは誰なのでしょうか。それは「ゴッド」(神)といってもよいし、「ユニバース」(宇宙)といってもよいでしょう。遺伝子解明の世界的権威である筑波大学名誉教授の村上和雄先生は、それを「サムシング・グレート」(偉大なる何者か)といっています。
・私は、生命エネルギーはいったん、脳の松果体という部分に入ると考えています。
・この松果体に入った生命エネルギーが背骨の中を通って、治癒力として体の下のほうに降りていくのではないか、と私は考えています。
<ガンステッド・カイロプラクティックに関する二つの誤解>
<骨のゆがみやずれを直す必要はない>
・まず、誤解の第一です。
カイロプラクティックにおける治療とは、「背骨のサブラクセーションをアジャストメントすること」にあります。サブラクセーションとは、整形外科では「亜脱臼(あだっきゅう)」を意味しますが、カイロプラクティックでは「神経の流れに狂いを生じさせる異常な状態」をさします。アジャストメントは「調整する」という意味です。したがって、「神経の流れを乱す背骨の異常な状態を調整する」ことがカイロプラクティックの本来の目的になります。
ところが、日本ではサブラクセーションという言葉の意味が、なぜか「ゆがみ」とか「ずれ」などと解釈されてしまいました。そのために、「背骨のゆがみやずれを直すのがカイロプラクティックだ」と誤解されているのです。
<アジャストメントは脳の再教育>
・つまり、神経の流れのつまりが一時的に解消し、神経がスムーズに流れるようになるのです。この神経の流れがスムーズな状態こそが、体にとっては本来必要な状態であるため、脳にその状態を学習させれば、あとは脳が自然にその方向に体を調整していき、神経の流れがスムーズになっていきます。アジャストメントとは、いわば脳の再教育なのです。
<ガンステッド・カイロプラクティックは病気を選ばない>
・ガンステッド・カイロプラクティックは、エナジーメディスンの代表的な療法であり、筋骨格系の疾病に限らず、さまざまな病気・症状に効果があるのです。
<神経のつまりが取れたとたんに妊娠した妻>
・しかも、治療をすると病気や症状がよくなるだけではありません。心まで明るくなって、やる気が出てくるのです。アメリカには、日本と同じようにうつ病を訴える人がたくさんいますが、こうした心の病気にも神経の流れをよくすることが抜群によく効くことがわかりました。
<自分の体は自分で守るべき>
・そして、最終的に私が得た結論は、「背骨の中を通る神経の流れ、すなわち、生命の根源の力を妨害しているものを取り去れば、人は健康になるだけでなく、毎日ワクワクと楽しく生きていくことができる」というきわめて単純なことでした。
・それは、「自分の体は自分で守る」という、このきわめてあたりまえの真理をみなさんにお伝えすることです。
・偉大なことはすべてシンプルです。実に簡単なテクニックで、人は驚くほど健康になれるし、幸福になれるのです。あまり簡単なので、ビックリされるかもしれません。しかし、何度もいうように、簡単なもの、単純な事実こそ、本物なのです。私は20年以上かけて、そのことを証明してきました。
<首の後ろを押して病気を治すピンポイント療法>
<健康を手に入れることほど簡単なことはない>
・すべての病気、すべての不快症状の根本的な原因は、自然治癒力(人間の体に本来備わっている病気を治す力)の低下にあります。健康になりたいのなら、まずこの事実から出発しなければ、健康を手に入れることはできません。
たとえば、いくらガン病巣を手術で取り除いても、抗ガン剤でたたいても、放射線で焼き殺しても、その副作用で自然治癒力が低下すれば、残されたわずかなガン細胞は再び勢力を取り戻します。これは、どのような病気でも同じことです。
つまり、自然治癒力を高めることを目的としていない現代の医療では、本当の健康を得ることはきわめてむずかしいのです。私は整形外科医の道を10年歩み、このことをいやというほど教えられました。
・事実は、その逆です。お金のかかる治療法を受けても、高度な科学技術で造られた器械や薬を使っても、健康は手に入りません。
確かに、私が見につけたガンステッド・カイロプラクティックの技術は、非常に高度です。誰でも習得できるというものでもありません。
・何もしなくても健康な人々がたくさんいるということは、無意識のうちに自然治癒力を引き出すテクニック、要するに神経のつまりを取って、その流れをきれいにするテクニックを実行している人々が世の中にはおおぜいいるということなのです。
<間違った生活習慣と心のあり方が神経の流れをつまらせる>
・ここで、健康な人たちの特徴をあげてみましょう。
・過食や偏食のない、バランスのとれた食事をしている
・適度な運動をしている
・適量の飲酒と禁煙を守っている
・適度な睡眠をとっている
・楽観的でストレスの少ない生活をしている
・よい姿勢をしている
・生きがいを持って暮らしている
これらは、養生の方法として古くから多くの人々に実行されてきたものばかりです。また、百歳長寿者の生活習慣を調べると、共通するのがこれらの項目です。
<魔法の杖は「首」に隠されている>
・実は、神経のつまりを取るのに、もっと簡単にできて、もっと即効性のある奥の手もあります。1分間ほど首の後ろをごく軽く押すだけで、神経の流れがよくなり、そのつまりも取れるのです。信じられないかもしれませんが、そんな「魔法」のようなテクニックが実際にあります。
このテクニックは、私が行う治療のように、全身すべての神経の流れを正すものではありませんが、体でも最も重要な首の神経の流れをよくすることができます。
この方法は、どのような不快症状にも応用でき、どんな病気にも使えます。たとえば、肩こりや腰痛、ひざ痛といった各部の痛みにもよく効きます。また、高血圧、糖尿病、心臓病などの生活習慣病にも効果的です。さらに、ガン、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、ぜんそく、パーキンソン病といった難病にも効果があります。原因不明の病気からうつ病などの心の病気にも用いることができます。
・この方法は、カイロプラクティックの創始者であるD・Dパーマーの息子、B・Jパーマーによって考案された「上部頸椎(けいつい)テクニック」、または「ホールインワンテクニック」と呼ばれる究極のテクニックを応用し、ガンステッドの理論を重ね合わせたものです。
・パーマー・カイロプラクティック大学の第2代学長であるB・Jパーマーは、1940年代から50年代にかけて、第一頸椎(背骨の首の部分のいちばん上にある椎骨(ついこつ))に着目し、「この一ヵ所のみをアジャストメント(調整)するだけで、全身の神経のつまりを取ることができる」と教えました。そのため、ホールインワンテクニックと呼ばれるのです。
私はガンステッド・ドクターの立場から、このB・Jパーマーの考え方にすべて賛同しているわけではありません。しかし、その重要性は認めないわけにはいきません。実際、第一頸椎をアジャストメントすることは、ときには奇跡的とも思われるような効果を生み出すからです。
・首はもともと人間の弱点であるため、ちょっとでもアジャストメントの方法を間違うと、とんでもない結果を引き起こす可能性があります。そのため、ホールインワンテクニックはプロのなかのプロの技として伝えられているもので、素人がまねてはいけない、禁断のテクニックとされてきました。
<頸椎の構造と仕組み>
・ピンポイント療法の具体的なやり方を紹介する前に、まず、頸椎の仕組みから説明しましょう。
背骨(脊椎)は24個の椎骨(ついこつ)が積み上げられた、可動式の体の柱です。その柱の首の部分の、7個の椎骨を頸椎(けいつい)といいます。頸椎は上から順番に第一頸椎(頸椎の一番)、第二頸椎(頸椎の二番)と並び、いちばん下が第七頸椎(頸椎の七番)になります。この頸椎の数は哺乳類にほぼ共通していて、クジラでもキリンでも7個です。
人間の第一頸椎が背骨のなかでとりわけ重要な部位であることは、その形を見てもわかります。
<第一頸椎は「神経の元締め」>
・第一頸椎のもう一つの大きな特徴は、そこが「神経の元締め」のような役割をになっていることです。
背骨の中には、神経の長い棒状の束である脊髄が通っています。脊髄は全部で31個の節に分かれていて、それぞれの節から体の左右に向かって脊椎神経が出ています。この脊椎神経が、内臓や筋肉や血管といった60兆の細胞からなるすべての組織に脳からの指令を伝えています。
したがって、ガンステッド・カイロプラクティックでは、それぞれの神経が出ている背骨の神経のつまりを取ることによって、それに関連のある臓器の働きを高めます。
・たとえば、胸椎(きょうつい)(背骨の胸の部分)の3~5番の神経のつまりが取れると、そこから出ている脊椎神経の流れがスムーズになり、肝臓や心臓の働きが高まって、肝機能障害や不整脈などに効果的です。また、肝臓のコレステロールを代謝(体内での物質の変化や入れ替わり)する能力を活性化して、動脈硬化の予防にも働きます。
また、胸椎の7・8番の神経のつまりが取れると、膵臓が活発に働いて、インスリンの働きが高まり、糖尿病に効果を現します。
・さらに、胸椎の11番、12番、そして腰椎(ようつい)(背骨の腰の部分)の一番の神経のつまりが取れると、これらから出ている神経が腎臓の働きと関係しているので、腎臓が活性化されて、排泄が活発になって、体を若返らせます。もちろん、腎機能障害にも効果的です。また、腎・尿管結石は自然に排出されるようになります。
このように、それぞれの神経のつまりが取れると、さまざまな病気や症状が改善したり、カゼを引きにくくなったりします。また、ホルモンのバランスがよくなって、生理痛や更年期障害(更年期に現れるさまざまな不快症状)も軽快します。
したがって、背骨のそれぞれの神経のつまりを見つけて、それを取ることが私たちガンステッド・ドクターの仕事となっているわけです。前述したように、こうした技術は非常に精妙で、一般の人にはできることではありません。
・ところが、ピンポイント療法を行えば、神経の最も上の部分で流れを改善させることにより、全身の神経を活性化することができるのです。脳からのすべての臓器への指令はどこにあるかをいちいち探さなくても、第一頸椎の神経の流れをよくすれば、その下にあるすべての神経によい影響を与えられるのです。
脊髄の出発点となる第一頸椎は神経の元締めです。ここの流れをよくすることは、すべての神経の流れをよくすることにつながります。
それは、第2章で説明したように、もともとアジャストメントの目的が脳の再教育にあるからです。ピンポイント療法においても、アジャストメントの原理と同様に、脳が神経の流れのよい状態を学習し、その状態が全身に行き渡るのです。
・第一頸椎が重要な部位であるのは、そこが脳に近く、脊髄だけでなく脳幹も入っていることからもわかります。脳幹は基本的な生命現象の中枢となっている部分で、間脳、中脳、橋(きょう)、延髄からなり、延髄は脊髄につながっていきます。
・上の図を見てください。第一頸椎が左にずれ、左の横突起(おうとっき)(骨の出っぱり)に行く脊椎神経が引っぱられています。そこで、左の横突起を軽く押すと、引っぱられていた脊椎神経にゆとりができ、その結果、脊髄神経の流れがスムーズになります。
第2章でもふれたように、私は、生命エネルギーは脳の中心部にある松果体に入り、そこから治癒力として体の下に降りていくと考えています。そして、その治癒力は脳幹を通り、脊髄に下って、体のすべての細胞へと伝えられていくのです。第一頸椎が神経の元締めという意味もこれでよくわかるでしょう。
・第一頸椎はリング状をしていて、回転する機能を与えられているために、椎間板がないのです。それは長所であると同時に、欠点でもあります。自由に回転させるのには向いているのですが、首を動かすさいに、その影響が神経に及びやすいからです。
私の師であるドクター・アレックスも、この第一頸椎に異常が見つかる人は比較的多いと指摘していました。患者さんのすべてとはいいませんが、その割合はかなり高くなります。
ただし、第一頸椎における神経の異常は、整形外科では問題にされません。その異常はX線写真で見ると、多くは背骨から出ている左右の横突起の高さのわずかな差となって現れるか、見た目の異常としてまったく現れないかのどちらかです。そして、残念なことに、そうしたX線上のわずかな変化などは、整形外科では問題として考慮されないのです。
それに対し、私たちガンステッド・ドクターは、この神経の異常をナーボスコープという機器と触診によって調べます。
<ピンポイント療法のやり方>
・ガンステッド・カイロプラクティックのアジャストメントがむずかしいのは、要するに他人に行うからです。もちろん、アジャストメントの技術そのものも非常に高度ですが、なんといっても困難なのは、他人に行うことです。けっきょくは他人の感覚は他人しかわからないために、危険な事態が生じることがあるのです。
プロにとっても、強さの加減を認識することほどむずかしいことはありません。
【ポイントの見つけ方】
- 首の力を抜いて顔をまっすぐ前に向ける
- 耳たぶのつけ根のすぐ裏側をさぐると、硬い大きな骨の出っぱり(乳様(にゅうよう)突起)があるのがわかる。その骨の出っぱりのすぐ下(骨がつきたところ)がポイントになる
- 左右の手の中指の先端で左右のポイントを同時に軽く押す
- 左右のポイントをそれぞれ押してみて、痛みや不快な感覚のある側がコンタクトするポイントになる
・厳密にいうと、ポイントは②で示した位置よりも1~2ミリ前方になります。ただし、指で押すときにはその周辺全体をカバーすることになるので、そこまで神経質になる必要はありません。
押し方のコツとしては、まず軽く押してみてわからなければ、もう少し強く押してみるという感じです。多くの場合、これで左右のどちらかのポイントに痛みや不快感を覚えるはずです。
・もし、左右の差がわからない場合には、まず、左右どちらかのポイントを30秒ほど軽く押し続けてください。そして、もう一方の側のポイントも同じように30秒ほど軽く押し続けましょう。すると、なんらかの症状が改善してきたり、なんとなく体がらくに感じられたりするはずです。そうしたよい反応が出たほうの側がコンタクトするポイントになります。この場合、決して強く押さないのがコツです。
・ポイントが見つかったら、実際のテクニックに入ります。コツは、ポイントを「押す」というよりは、「当てる」もしくは「さわる」という感じで行います。
次の方法で感覚的に理解してください。
まず、一方の手を握って「グー」をつくります。すると、親指と人さし指のつけ根の交わるところが少し盛り上がります。その盛り上がったところに、もう一方の手の中指を当てて押したときに、その盛り上がりが少しへこみます。そのへこんだときの強さで押すのです。
コツをつかんだら、さっそく実践してみましょう。
【コンタクトのやり方】
- 首の力を抜いて顔をまっすぐ前に向ける
- ポイントのある側の手の中指の先端でポイントを押す
- 60秒間、押し続けながら腹式呼吸を行う
腹式呼吸は、次のように行います。まずヘソの下あたりに風船があると想像します。そして、息を吸うときにその風船を大きくふくらませるようなつもりでおなかをふくらませます。息は鼻からゆっくりと吸ってください。
<よくなった状態をイメージしながら行う>
・最後に、ピンポイント療法の効果をより高める方法を紹介しましょう。それは、現在、自分が悩まされている病気や症状がよくなった状態をイメージしながら、ピンポイント療法を行うことです。
現代物理学の父と謳われるアインシュタインは、量子力学理論によって物質とエネルギーは同じものであることを説いています。
・さらに、現代の量子力学では、物質だけではなく、思考や精神までもがエネルギーであると考えるようになっています。つまり、「何か」を考えたり、イメージしたりすると、そこにエネルギーが生じ、その「何か」が実際に生じてくるのです。「思考は現実化する」のです。
<首の後ろを押して病気を治した体験者の手記>
・膠原病が原因の肝硬変が改善し、肝機能値もリウマチ因子も好転した
・脊柱管狭窄症によるふくらはぎの激痛と間欠性跛行が解消して手術を回避できた
・耳鼻科で見放されためまいが半年で起こらなくなり、高かった血圧も基準値内に降下
・15年来の変形性膝関節症によるひざ痛が翌日には半減し杖なしで歩けるようになった
・脳出血の後遺症である節々の痛みが1ヵ月で軽くなり歩行がスムーズになって血圧も安定