日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

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山に入ると山男に遭遇するという話はアイヌのキムナイヌ、ウィルタのヌムリアンバニなど北方民族に広く伝わるほか、道南に移住した近世の和人も山に大人(おおひと)が出るという話を伝えている。(1)

 

『日本怪異妖怪事典  北海道』

朝里樹  笠間書院  2021/6/18

 

 

 

アイヌの怪異・妖怪

アイヌの妖怪で特徴的なのは、まず異様に強大なものたちだ。例えばフリーと呼ばれる鳥の妖怪は、空を飛ぶだけで幾日も太陽の光を遮るほどに巨大で、地域によっては片翼だけで七里(約27.5キロメートル)もの大きさがあったなどと言われている。海の妖怪であるショキナは、口を開けば上顎が天に届き、下顎は海底に届くほどの巨体を持っていたとされ、海に出てきた人間を船ごと飲み込んだという。

 また、北海道という土地柄か、熊の妖怪も豊富に語られているアイヌではヒグマのことをキムンカムイ、ヌブリコロカムイなど様々に呼び、神聖視してきた。一方、人間に害をなすヒグマはウェンカムイと呼ばれ、断罪の対象となった。他にも人間がヒグマになったウレポロクルカムイエカシ、毛のない熊の化け物だというアラサルシ、人食い熊の姿で現れて人を殺害するヌプリケスウングルなど、数多く語られている。

 

アフンルパロ

アイヌに伝わる怪異。地獄に繋がる穴とされ、全道に存在する。生きた人間が誤ってこの穴に入ってしまうと中には死者の霊がうようよといるとされ、逆に穴から死人が現れる話も多い。「地獄穴」と訳される。

 

・同書では死んだ妻が地獄穴から出てきた話や、アフンルパロに入ったためにそれから1週間ほどで死んでしまった話などが掲載されている。

 また、地獄穴の特徴としては次のようなものが挙げられている。あの世から来た幽霊の姿が生きた人間の目には見えぬように、この世から生きながらあの世に行った人の姿はあの世の人々の目には見えない。しかし犬だけは、この世の犬があの世から来た幽霊の姿を見ることができるように、あの世の犬もこの世から生きながら行った人の姿を見ることができる。

 

・加えてこの世とあの世とでは昼夜も逆転する上、時間の経過の尺度が違い、あの世で数時間過ごしたばかりだと思ったのが、この世へ帰って来てみると十数日も経過している。またあの世の物を食べると、この世へ帰れなくなる。これは日本神話における黄泉戸喫(よもつへぐい)の思想と似る。あの世から帰って来た者はそれから短期間で死ぬ。長くて一年。ただし誰かを身代わりにやれば、その人は逆に長く生き栄える。

 

あの世は地下にあり、ポクナモシカムイコタンなどと呼ばれる。分かりやすく言えばポクナモシは地獄で、カムイコタンは天国や極楽に当たる。そこは善人の魂の安住する楽しい世界である。そのためアフンルパロは地獄穴と呼ばれるものの、善人の住む世界へ繋がることもあるという。

 

アイヌ神話』によれば、アフンルパロは地獄の入口であるとされている。かつては夜になるとアフンルパロから魔神たちが現れ、人間を攫って逃げて行った。そのためオイナカムイという神がアフンルパロから地獄に入り、魔神たちを散々に痛めつけた上で魔神たちが人間の世界に来ることができないよう、石をもってその入口を塞いだとある。

 

・『アイヌ伝説集』には虻田郡(あぶたぐん)で語られた話として、地獄穴と呼ばれる穴に死んだ母親が入っていくのを見た、という話が載せられている。この話では、前述したアフンルパロの特徴と同じく幽霊と生きた人間は互いに姿を見ることができないが、犬だけは幽霊を見ることができる、とも語られている。

 

イヨルヌカムイ

アイヌに伝わる悪神。「後をついて来る神」の意とされ、人間の後をいつまでもついて来て、病気にさせるのだという。

 これから逃れるためには、病気の神が嫌う古く汚れたふんどしを持って移動しなければならないと考えられていた。

 

アイヌ民族にとって流行病は和人をはじめとした外部からもたらされるものが多く、流行病の神は病気を撒き散らして歩くものとして考えられていた。そのため病が流行った際には病気の神に後をつけさせないようにして別の地域に移り住んだ。そういった風習から生まれた悪神なのだろう。

 

イワポソインカラ

アイヌに伝わる妖怪。「岩から透かして見る」という意味の名前を持つ妖怪で、その名の通り岩の中から何でも見透かしてしまう化け物なのだという。

 

ウェアイヌ

アイヌに伝わる妖怪。人を食う人型の怪物とされる。

 

・『カムイユカラと昔話』においては、ウェアイヌが疫病で全滅した村で一人生き延びた赤子を助け、人間の姿になって子どもを育てた、という物語が載せられている。この物語では子どもを娘として育てたものの、自分の正体を彼女に告げ、人間を食いたくなったと旅人を食らおうとしたことで娘によって家ごと焼き殺される。しかしそれにより、人を殺すことなく死んだため、神の一員として迎え入れられたという

 

ウエグル

アイヌの伝承に現れる妖怪。勇払郡鵡川町(現むかわ町)の山奥で目撃された存在で、ウエ・アイヌとも呼ばれていた。「グル」、「アイヌ」はどちらも「人」を表す言葉で、ウエは元々「悪い」を意味する「ウェン」であったという。ウエグルは黒い皮膚の男の姿をしているが、特に片頬の黒色が濃いとされる。普段遭遇する分には害がなく、タバコをねだられた際に一服吸わせてやれば良いという。しかし稀に「今にわしはお前を食いたくなるに違いないから、今のうちに早く逃げろ」と告げることがあったという。

 

ウスランカ・ウシ

アイヌに伝わる妖怪。支笏湖にいたという大蛇で、体から悪臭を放っていたため、支笏湖周辺では草も木も育つことがなかったとされる。

 湖で舟を漕いでいた神、オキクルミを殺そうとして逆に毒矢で射られ、殺害される。大蛇の体はオキクルミにばらばらにされてなお、互いに寄り集まって復活しようとしたが、オキクルミによって国中にばらまかれたことで完全に死んでしまった。しかしその魂はまだ生きており、オキクルミもまたこの大蛇の姿形を完全に破壊することはできず、ウスランカ・ウシカは小さな蛇の姿となって、地上で暮らすようになったという。

 

エメル

アイヌに伝わる怪異。虻田郡虻田町(現洞爺湖町)の古老が語ったという怪異で、有珠郡の方からやってくる光る物体なのだという。これは変事が起こると神々が村落を守るためにあらゆるところから刀を抜いて応援に駆け付ける際、その刀の光が見えるのだと語られる。

 

大入道

・和人が記録した妖怪。千歳市に現存する風不死岳には、かつて大入道が出現したという。19世紀半ばのこと、この火山の付近には12、3戸のアイヌの集落があった。しかしこの集落には夜になると大入道が現れ、人間を見つけると大目玉で睨みつけるため、これに遭った人間は卒倒したり精神が錯乱したりした。

 

狐の嫁入り

・和人に伝わる怪異。1917、8(大正6、7)年のこと。7月頃の空知郡上砂川町に現れたという青白い怪火で、その火の方からはがやがやと何かが話しているような声がした。人々はこれを狐の嫁入りと呼んだという

 

狐の嫁入りは日本全国で語られる怪異で、無数の怪火が並んでいることや、突然の天気雨などを指して言う。これらが起きる場所では、狐が婚礼のために行列をなしているなどと言われている。

 

ケナシコウナルペ

アイヌに伝わる妖怪。名前は「木原の姥」を意味する。胆振地方及び日高の沙流地方(現在の沙流郡)では、編みかけのこだし編みのような髪の毛をざんばらに振りかぶって現れるという。

 

カムイ

アイヌに伝わる悪神。アイヌの村に飢饉をもたらす神とされ、鳥の姿をしているという。人間の老人に化けることができ、この悪神の元には食べ物がひとりでに集まってくるとされる。

 

シカトロケカムイ

アイヌに伝わる悪神。疱瘡の神とされ、これが歩くと疱瘡が広まると伝えられる。

 

疱瘡神が鳥の姿をしている例は他にもパコロチカプポがある。また疱瘡神として名が知られているアイヌの神にパコロカムイがいる。

 

高島おばけ

・和人に伝わる怪異。高島町(現小樽市)で見られた蜃気楼のことで、遠くの島が突然大きく見えたり、青、黄、赤、白、黄金などの光を放ったりと、幻のような光景が見える。この現象を地元では高島おばけと呼んだという。

 

チウエトナシクル・チウエトナシマ

アイヌに伝わる悪神。染退川(しべちゃりがわ)(現静内川)にいたという淵の下手に住む神で、男神がチウエトナシクル、女神がチウエトナシマという。

 この神たちは、十勝川の川上から追い出され、この川の川上にやってきたミントチを、他の染退川の悪神たちとともに自分の川に棲まわせ、

ミントチが人間への賦役として、川に入った人間を溺死させているのを助けたという。

 

チウサンケクル・チウサンケマ
アイヌに伝わる悪神。染退川(しべちゃりがわ)(現静内川)に住む淵の神で、男神をチウサンケクル、チウサンケマ
という。

 ある時、十勝川の川上の村で人間に化けて暮らしていたミントチが人々に追い出され、染退川の川上にやってきたが、チウサンケクルとチウサンケマはこのミントチと意気投合し、ミントチが人間から取る税として川に入った人間を溺死させるようになったという

 

チチケ

アイヌに伝わる妖怪。石狩では、この化け物が天の国から降りてきて、人間を皆殺しにしてから獲物が豊富なこの地で暮らそうとしていると蜘蛛の神(ヤオシケカムイ)が警告し、それを聞いた人々によって呼び出された英雄ポンヤウンペによって倒され、白骨化させられたという。

 

ニタッテウナルベ

アイヌに伝わる妖怪。「湿地の小母(おば)」を意味する妖怪で、沙流郡平取町では以下のように語られる。

 破りかけの木炭籠のようなぼさぼさの髪をかぶり、気味の悪い姿をしている。しかし、髪を分けて顔を出すと輝くばかりに美しい顔が見え、木の枝に腰掛け、歌声を発すると、辺りに灯がともったように明るくなる。

 ニタッテウナルベの美しさに迷って近付き、彼女と関係を持った人間は運が悪くなり、時には死んでしまったりするという。実際にニタッテウナルベと遭遇し、その話に乗ったことでそれ以降獲物が獲れなくなったという話もある。

 

ニッネプリ

アイヌに伝わる怪異。「魔神の山」を意味する名前で、石狩方面に存在したという。この山には魔神たちが隠れ住んでおり、常に人間の世界を邪魔していた。そこでオタシトンクルというアイヌの英雄がそれを退治するため、六日六晩にわたり戦った。この戦いで多くの魔神が倒されたが、その頭領とは容易に決着がつかず、なおも激しい戦いが続いた。

 

ヌプリコルカムイ

アイヌに伝わる神。「山を支配する神」という意味で、かつて日高の幌尻岳にいた熊だという。この熊は時を経て足から人間に変わっていき、人間の女と恋をして子どもが生まれた。その子孫は千歳に住み、今でも幌尻岳に酒を捧げる人がいるという。

 

・昔、平取(現沙流郡平取町)の奥にきれいな娘がいたが、どういうわけか腹が膨れてきたので理由を聞くと、毎晩若い男がやってくるのだという。

 そこで集落の者たちが見張っていると、嶺上から大きな熊が下ってきて、足から順に男の姿に変化し、娘の家に入って行った。

 それから娘は子どもを産み、その子孫が増えたため、この集落の人は熊の子孫だから毛が多いのだ、と言われるようになった。

 

海獣

・和人が残したアイヌの記録に登場する妖怪。昔、室蘭に漁を家業としているシャウチクという男がいたが、ある時から急に痩せ疲れ、いつも独りで家の中にいて、誰か客を相手にしているように話したり笑ったりするようになった。

 そんなある日、シャウチクの友人が彼の家に集まり、酒盛りをしたが、そこでシャウチクは自分のところに毎晩のように神様のような美しい女が来るが、最近疲れたので誰かに譲ろうと思う、などと言う。そこでその美女がどこにいるのかと友人が問うと、そこにいると言う。しかし友人たちの目にシャウチクの言う美女の姿は見えなかった。

 シャウチクの話を聞き、整理してみると、船で漁をしていた彼の元にどこからともなく一人の美しい女が現れ、船に乗ってきた。それからその女は毎晩のように彼の元を訪れるようになったが、あの酒盛りの晩以来、姿を見せなくなったという。これは海獣たちのいたずらではないかと地元の老人が語ったようだ。

 

パケママッ

アイヌに伝わる神。「頭の焼けた女」という意味で、疱瘡神パヨカカムイ)の妻と伝えられる。静内(現日高郡新ひだか町)における話では、昔、染退川(しべちゃりがわ)(現静内川)の付近の農村にノルヤルケマッという髪の毛のない女がいたが、通りかかった疱瘡神がこの女をすっかり気に入り、疱瘡神の仲間として、新たにパケママッという名前を与えたという。

 その後、パケママッは故郷の人々の夢に現れ、「これからは昔の仲間の目印として笹を束ねて家の屋根に立てなさい」と伝えた。こうすると、パケママッが病気の神に話をし、その目印のあるところには寄らないように頼んでくれると伝えられる。

 

ポンモユ
アイヌに伝わる不思議な動物。ポンモユ
は子狸を指す言葉だが、アイヌには子狸が空飛ぶ籠に乗って人間を津波から救った話がある

 天の中でも低い位置にあるランケカントという世界を領有する神の召使いであったポンモユは、神々が人の世界は夢のように素晴らしい場所だと語っているのを聞いて、人の世界を見てみたいと思った。特にシシリムカ(沙流川)は素晴らしいと聞いたため、カネシンタ(鉄の揺り籠)に乗って人間界に降りた。そこで人間界の美しさに感動したポンモユだったが、帰りに漁をしている人々が津波に襲われそうになっているのを見つけ、波を鉄の扇で仰ぎ、鎮めて人々を救った。これにより人間たちが崇拝する神、カムイフチに感謝され、人々からはたくさんの酒が捧げられたという。

 

大女の化け物

・和人に伝わる妖怪。檜山郡上ノ国町の石崎という場所には昔、地獄穴と呼ばれる奇怪な穴があり、その中に天をつくほどの巨大な女の怪物が棲んでいて、「大女の化け物」と呼ばれ、恐れられていた。今でもこの町では子どもが言うことを聞かないと「大女に食べさせるぞ」と脅すのだという。

 しかし地元に伝わる話では、大女は身長2メートル、むき出しになった大きな目に、腰に布を巻いているという容貌であったものの、人に危害を加えることはなかったという。もしかしたら妖怪などではなく、少し他の人と容貌の異なる、普通の人間の女性だったのかもしれない。

 

大人(おおひと)
・和人が記録した妖怪。平田内(現久遠郡せたな町)の山に出現すると語られていた妖怪で、非常に大きく、口が耳元まで裂けた人間のような姿をしているという。普段は人間に化けているが、人間の背骨を抜いて殺したり、大石を落としたりすると語られていたようだ。

 

大人は通常の人間より大きな人間の姿をした存在全般を指す言葉で、今でいう巨人の意味に近いそのため大きさは様々だが、本州では山に出現する山男や山人を大人と呼ぶ場合もあった。

 またアイヌに伝わる話でも山に現れ、人を殺害するキムナイヌという人型の化け物がいる。

 

立石野の巨人

・和人に伝わる妖怪。現在の松前郡松前町にある松前城の西にあった立石野には、巨人が出現したという。1775年のこと、当時10歳だった蠣崎廣時(かきざきひろとき)という人物が立石野の藤巻石というところへ野菜などを摘みに行った。すると昼を過ぎた頃に石の上に一人の男が立っていることに気が付いた。

 驚いたことにその男は普通の人よりも背丈が二丈(約6メートル)余りも高く、廣山の方へ飛んでいき、そのまま山の麓を伝いながら飛行していったという。

 

手長足長

・和人に伝わる妖怪。その名の通り非常に長い腕と足を持った怪物とされ、爾志郡乙部町の貝子沢という小さな沢に現れたという。18世紀頃のこと、この怪物は夜になると貝子沢にやってきては貝を採って棲み処に持ち帰り、食っては貝殻をその辺に捨てていた。

 それが何十年も続き、漁師たちは自分たちが採る分がないとすっかり困ってしまった。さらに食べる貝がなくなった手長足長が自分たちを襲って食らうのではないかと恐れ、怪物が昼間眠っている隙をついて生け捕りにして、手足を斬り落とそうなどと話し合った。しかし一人の古老があの怪物は神に違いないと言い、それに従って祠を建てたところ、手足足長はすっかり現れなくなったという。

 

・手長足長は日本各地に同名の妖怪が伝わるが、手が長い手長と足が長い足長の兄弟や夫婦とされることもあれば、手足が異常に長い巨人、怪物とされることもあり、その性質は地域や話によって大きく異なる。

 乙部町に現れたのは二人一組の巨人ではなく、手長足長は長い手足を持った怪物であると考えられ、同書では現代で言えば怪獣と書かれていることから、巨人というより獣に近い姿をしていたのかもしれない。

 

天狗

・和人が記録した妖怪。現在の松前郡福島町にはかつて天狗が現れたという話が残されている。白神岬の荒磯山と呼ばれていた場所に天狗が飛んできて休み、檜倉の沢という奥山に入って行った。以来、人々は火が飛ぶような景色を見るようになったが、目撃した人々の中にはその天狗の姿を捉えた者もいたという。

 

オササンケカムイ

アイヌに伝わる不思議な人々。裸族と訳される札内川上流の山の中に住んでいたという存在で、服を纏わず生活するが、冬になると獣の皮を纏ったという。そんなオササンケカムイに纏わるこんな話が残されている。

 明治の中頃のこと。ヤム・ワッカ(現幕別町)に住んでいた一人のアイヌの狩人が札内川の上流に狩りに行ったときのこと、山に詳しい彼はなぜかこの日だけは迷ってしまった。

 湖に辿り着き、水を飲んで一息ついていたところ、彼の背後にはオササンケカムイの女性が現れ、こう告げた。

我々の里に入った者はここを出ることは許されない。ここを出ることは死ぬことである

 しかし狩人には妻子がいたため、女性に3日間の猶予をもらい、最後の別れをしに村へ戻り、一切のことを語って再びオササンケカムイの里へと戻って行った。それ以来、この狩人を見たものはいないという。

 

・『森と大地の言い伝え』によれば、この裸族の人々日は山に住む先住民族だったと記されている。

 

カステン

アイヌに伝わる悪神。カスンデと表記される場合もある。疱瘡神(パコロカムイ)と人との間に生まれた男で、彼が歩くとどんなに暗い夜でも水面に月が浮かぶように光り輝いたという。

 このカステンはイクレシェという人物を唆し、イクレシェの一族の首長を殺させ、宝物を得ようとした。しかし首長の死によりその一族がカステンに報復を行い、これを殺した。

 カステンは神の子であったたため、幾度も生まれ変わったが、最後にはその上下の顎をばらばらにし、上顎を木の股枝に立てて縛り、下顎を石に括り付けて海底に沈めたことで蘇らなくなった。

 しかしこの悪神の祟りにより、釧路の厚岸のアイヌたちは疱瘡を患って死に、残った者は津波によって攫われ、このために厚岸のアイヌは全滅してしまったという。

 

屈斜路湖の山の神

・和人に伝わる神。屈斜路湖畔には山で働く男たちを守る女神の伝説が伝えられている。かつてこの湖畔に仲の良い木こりの夫婦がいたが、ある時妻が山で働く夫の姿が見たいと言い出した。夫は山の神が怒ると大変だから、と説得しようとしたが、妻が納得しないので仕方なく連れて行った。そして木を切っていると、いつの間にかとても美しい女が夫の腰に抱き着いていた。

 驚いた妻が「その女は ⁉」と叫ぶと、女の姿が消え、直後伐った木が夫の方に倒れてきて、そのまま押し潰してしまった。

 実は夫の腰に抱き着いていた女こそ、木こりたちを守っていた山の女神だったのだという

 

座敷わらし

・和人に伝わる妖怪。座敷わらしは東北地方、特に岩手県で語られる童子の姿をした妖怪だが、北海道でもいくつか出現した例がある。

 根室市弥生町では、1901(明治34)年12月頃、真夜中の遊郭に13、4歳の坊主頭で色の透き通るように白く美しい少女が現れた。この少女は薄黄色の薄い衣物を着て袖屏風をしており、目撃した男が一度部屋に戻り、もう一度見ると既にいなかったという。

 また函館市では遊郭の三階の座敷でトントンと手を叩く音がすることがあり、これが聞こえると遊郭の主人は羽織袴で料理を持って行ったという。

 

・この他にも江差町には、小坊主の妖怪が出ると繁盛したという座敷わらしのような性質を持つものが出た旅籠の話がある。

 

シトンピーチロンノップ

アイヌに伝わる妖怪。太陽神であるチュプカムイに代わって天に昇り、太陽となって地上の民から尊敬されることを望んだ黒い狐とされ、チュプカムイが位を譲ろうと考えていた彼の息子のポンチュプカムイを誘拐する。シトンピーチロンノップはそのままポンチュプカムイを殺害しようと目論むものの、シトンピーチロンノップの六人の娘のうち、末の娘だけは心が優しく、ポンチュプカムイを助けてしまった

 それでポンチュプカムイを殺すことに失敗したシトンピーチロンノップは自ら天に昇り、子を誘拐されて悲しみのあまり病気になっているチュプカムイに躍りかかった。チュプカムイはそのまま地上へと落ちそうになるが、地上の民が歌を唄ってチュプカムイを勇気づけたことでチュプカムイは再び元の位置まで上昇し、また地上の村人が放った矢のうち1本がシトンピーチロンノップに突き刺さり、その真っ黒な体が大地に落ちた。

 それからというもの、ポンチュプカムイは天に昇って月となり、彼を助けた末の娘が新たな太陽の神となって空を照らすようになった。

 しかしシトンピーチロンノップはいまだ太陽神となることを諦めておらず、隙を狙って太陽や月に近づくため、日食や月食が起こるのだという。

 

樺太

ウンカヨ

樺太アイヌに伝わる妖怪。子どもを背負って攫ってしまう化け物だという。

 

オハチスエ

樺太アイヌに伝わる妖怪。「空き家の番人」を意味する名前で、空き家になっている家に勝手に棲み着く妖怪だという。その姿は魚皮製の粗末な衣服を纏った毛だらけの老人で、凶暴であるとされる。さらにすさまじい切れ味の刀を持ち、多くの人畜を殺傷した話が残されている。また、人の真似をよくするという性質もある。

 

カリジヤメ

ウィルタ(オロッコ)に伝わる妖怪。人間よりも巨大な大男で、頭が尖っており、水たまりを渡らないなどの特徴がある。また血を怖がり、人間の子どもを攫い、石の家に住む。

 

・同様にウィルタに伝わる妖怪として巨人で子どもを攫うカリジヤメというものがいるが、名前や性質の類似点から同じものではないかと考えられる。

 

雁皮の籠の化け物

ニヴフ(ギリヤーク)に伝わる妖怪。その名の通り雁皮でできた籠に化けた妖怪で、大木の半分はあるという巨大な人間の姿をしている。古い形の土小屋に住んでおり、化物川と呼ばれる川に現れては舟ごと人を攫い、食い殺していたという。

 

グル

ニヴフ(ギリヤーク)に伝わる悪神。病気の神の中でも大将に当たり、人間に大病を引き起こすという。

 

シカトロチカ

樺太アイヌに伝わる妖怪。樺太の真岡では渡り鳥の一種とされるが、疱瘡を運ぶ疱瘡神の一種とされ、人が死ぬとこの妖怪に生まれ変わることがあると伝えられていた。この鳥は子どものような声で鳴き、これが止まった集落では疱瘡が流行るという。

 

渡り鳥を疱瘡神や流行病の神と見なす考え方はアイヌ全般にあり、シカトロチカに類似した妖怪にシカトロカムイがある。

 

セタホロケウポ

樺太アイヌに伝わる妖怪。「犬男」を意味する。犬の毛皮を纏い、片耳に穴が開いている男の姿をしており、蕗を採っている人間を見つけると、その人間に蕗をねだり、蕗を受け取る際にその人間を引っ張って水中に落として殺す、ということを繰り返していた

 

・ある時セタホロケウポは一人の娘を川に落とすことに失敗し、その娘と一緒に暮らすことになった。しかしセタホロケウポが留守の時、人間の男がやってきて、彼にセタホロケウポの正体について、彼は犬であると教えた。そしてそれが真実かどうかを知りたければ魚を食べさせてから外に出て、「日の光よ、出ていけ」と言えばいい、と告げた。

 そしてセタホロケウポが仲間を連れて家に戻ってきたとき、魚を食べさせてから娘が外に出て「日の光よ、出ていけ」と告げると、男たちは外に飛び出して吠え始めた。

 これにより、セタホロケウポたちは一人を除いて棒で殴られて死んでしまった。その正体はやはり犬だったという。

 

・最後の一人は「私が殺されてしまったら、この辺りの犬は皆いなくなってしまう」と人々を説得し、そのセタホロケウポは娘と夫婦になって幸せに暮らしたという。

 

タースダーダーダル

・サハ(ヤクート)に伝わる妖怪。地獄からやってきたという鬼であったが、空から降りてきた天の男によって懲らしめられ、地獄へ逃げ帰ったという。

 

トンチトンチ

樺太アイヌに伝わる妖怪。樺太アイヌの伝説や伝承に登場する小人で、北海道のアイヌでいうコロポックルと同じものだという。

 

ヌムリアンバニ

ウィルタ(オロッコ)に伝わる妖怪。犬を連れた化け物で、山に入るとよく遭遇したという。この犬は人間を見つけると吠え、人間がいることを知らせるという。

 

バルンニクブン

ニヴフ(ギリヤーク)に伝わる妖怪。山に入ると遭遇するという山男で、人を襲うという。

 

バルンニクブンは「山の人」を意味する言葉山に入ると山男に遭遇するという話はアイヌのキムナイヌ、ウィルタのヌムリアンバニなど北方民族に広く伝わるほか、道南に移住した近世の和人も山に大人(おおひと)が出るという話を伝えている

 

人さらいの化け物

ニヴフ「ギリヤーク」に伝わる妖怪。その名の通り人を攫う化け物で、袋に子どもを入れてどこかへ持ち去るという。その姿は背が高く、目が大きい男性だとされる。

 

  • 山音文学会著『ギリヤーク民話』にある。この話だと単に人間の誘拐

犯が現れたようにも思われるが、同書では化け物と書かれている。子どもを攫う妖怪は日本全国におり、隠し神と総称される。袋を担いで子どもを攫うものだと青森県津軽地方の叺親父(かますおやじ)、長野県の袋担ぎなどがいる。

 

ロンコロオヤシ
樺太アイヌに伝わる妖怪。山に棲む頭が禿げた人間のような妖怪で、荷物が重いときなどに助けを頼むと手伝ってくれたりするという

 一方、禿げ頭の話だけは禁物で、山中でうっかり禿げた頭の話などしようものならロンコロオヤシが憤慨して山は荒れ、雨が降り出し、どこからか木片が飛んできたり大木が倒れたりするという。

 

ラクントゥカプ

アイヌに伝わる怪異。アイヌ語で悪魔を表すという。

 

・同じような意味の名前にアウェントゥカプがある。

 

イウェンテ

アイヌ語で悪鬼、悪魔を表す言葉

 

イトゥレン

アイヌに伝わる怪異。憑き物が憑くことを指し、動物や物の霊が人間に乗り移ることをいう。その憑き物によって幸運、不運が左右されるという。

 

イワコシンプ

アイヌに伝わる妖怪。山にいる妖精の類だという。海の妖精であるルルコシンプと対になる存在で、男女がいるという

 

これらコシンプの類は人間と同じ姿をしているが、色が白く、大変な美貌を持つとされる。また山に棲むコシンプは狐の姿に化けるとされる。

 

コロポックル

アイヌに伝わる妖怪。小さな人間の姿をした存在で、アイヌの伝説に度々登場する。蕗の葉の下に暮らしており、時にアイヌを助けてくれるという。

 

馬人(うまびと)

・和人に伝わる妖怪。室町時代御伽草子『御曹子島渡』にある。源義経が、蝦夷が島(北海道)に至る途中に訪れた馬人島という島にいたものたちで、腰から上は人間、下は馬という姿をしている。馬と人の間に生まれたためこの島に流されたのだという。同書では複数いることが記されている。

 

<河童>

アイヌ、和人に伝わる妖怪。アイヌにおいてはよく水の妖怪が河童と訳される。『アイヌ伝説集』によれば、新冠町の新冠川の河口にある判官岩の下には昔から河童が出るといわれている。

 

・同書によれば位高の染退川(しべちゃがわ)(現静内川)にも河童がいたといい、この川では不漁となることはないが、必ず1年に一人か二人、川で命を失ったのだという。これは旭川で人間の女の家に婿入りした河童が、川で死人を出すことと引き換えに豊漁になるようにしていたが、それがばれて石狩川を追われ、染退川に移って同じ悪さをしているからなのだという。

 同書ではほかにも石狩川に棲む河童は頭が禿げていて男女がおり、男は人間の女に憑いたり、女は人間の男を籠絡するなどするが、巨鳥フリーから人を守るためのお守りを授けた話もあるという。

 

アイヌの世界観

アイヌの人々は、自分たちの住む世界をアイヌモシリ(人間の世界)と呼び、その下にも上にも世界があると考えていた

 下にあるのは死者の国であるポクナモシリ、英雄などに倒された悪神や化け物が堕とされるテイネポクナモシリと考えられていた。

 一方、天にはカムイモシリ、すなわち神の国があると考えていた。また、天の国はさらに六層に分けられるとされる伝承もあり、その場合、カムイモシリは最も高い位置に存在するという。

 このカムイモシリからアイヌのカムイたちは度々地上に降りてくる。カムイはカムイモシリにおいては人間と変わらぬ姿をしており、家を持っていて、衣服を着て生活する。しかし地上に降りる際には様々な姿になる。

 例えば熊の神は黒い毛皮を纏い、ヒグマの姿になって地上に降りる。