日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

コンタクティやチャネラーの情報を集めています。森羅万象も!UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象といわれます。

その店の70%は運営に失敗して廃業する。創業費用はそのまま負債となる。「どこを見てもチキン屋だけ」という自営業の現実は、韓国経済、中産層の崩壊の雷管(発火装置)である。(5)

 

岐路に立つ日本

革新のきっかけ

・母国を誇ることができる民は幸せである。日本人は、そのような思いを持てる幸せな民族である。しかしそれは努力なしには続かず、自分たちについての客観的な認識と能動的な革新の姿勢が必要だと思う。そのためのきっかけを何に求めるか。

宜しく歴代の史書を読むべし」佐藤一斎『言志四録』)のとおり歴史からの学びは一つのきっかけとなり得る。そして同時代に生きる他国の文化や民族の生き方を参照するというのもまた、そのきっかけになると思う。もちろん、生きてきた背景や取り巻く環境が違う中から生起してきたものを盲目的に日本に移植するというのは不可能であり、また、すべきことでもない。しかし、批判精神と自律的態度をもって参考にすれば、おのずから得られるものはあろう。

 

イスラエルに関心を持つべき五つの理由

①  高い出生率と家庭中心の社会

イスラエルにいると、子供の姿をよく見かける。街に出てエレベーターに乗る時などに家族連れに出くわすと、だいたい三人は子供がいる。実際、イスラエル出生率世界銀行統計(2017年)によれば3.11であり、「先進国クラブ」と称されるOECDの中で最高である。

 

・1948年に独立した時は約80万人だった人口は現在900万人を超え、2065年には2000万人を超えるとイスラエルでは予測されている。

 

・そして、この社会では家族がその中心にいる。ユダヤ教の伝統にしたがって安息日金曜日日没から土曜日日没まで)の金曜日の夜には祖父母から孫の世代まで、親戚と食事を共にする習慣が現在も生きている。親戚だけでなく恋人や友人なども集う。これは、キリスト教国での日曜日より徹底しており、店やレストランが閉まるだけでなく、鉄道やバスなどの公共交通機関も基本的には動かなくなる。ヘブライ語聖典旧約聖書)あるいはタルムード(口伝的解答を集大成した宗教的典範)などから一節が朗読され、皆でお祈りをしてから食事をする。

なお、ユダヤ教は「新約」あるいは「新約聖書」を認めず、自分たちのヘブライ語聖典を「旧約聖書」とは言わないが、右聖典のうち、特にトーラーあるいは律法と言われる創世記、出エジプト記などのいわゆる「モーセ五書」が重要であり、その中には613の遵守されるべき戒律がある。一方、「タルムード」は、トーラーの法規的解釈や物語伝承が口頭で伝えられてきたものを集大成したミシュナ、およびミシュナについての議論を集大成したゲバラの二つの部分により成り立ち、6世紀までに編集されている。

これに対し、日本の社会は少子高齢化の真っ最中である。厚生労働省の統計によれば、2018年の日本の出生率は1.42で、人口が2007年に減少に転じて以来この方、その継続的減少は日本社会にボディブローのように「効いて」きている。小学校は統廃合を繰り返し、企業は海外市場に重点を移さざるを得ない。

 

・「日本の安全保障の最大の脅威は中国ではなく人口減少だ。これは移民では解決できない問題で、少子化問題を乗り越えるための国民運動を起こすべきなのに、社会に危機感が見られない」

 

・「日本はパチンコに金を使っている場合ではなく子供につぎ込むべきであり、国家戦略として「若返り」を目指すべきである」

 

ちなみにイスラエルでは不妊治療は無料である。日本に帰ってくると、日本社会は子供中心に回っていないと感じる。

 

経済的利益が最優先であって、コンビニの営業時間短縮の議論ももっぱら経済的理由からのものであり、家庭や社会が弱体化していくのは良いことなのだろうという観点からの議論はあまりないように思う。それでいて一人当たりGDPはイスラエルに抜かれている。

 

②  伝統を中心として回る社会

イスラエルで生活すると、宗教(ユダヤ教)に基づいた祝祭日がカレンダーを支配しているところを目の当たりにする。毎週、金曜日日没から土曜日日没の安息日には、公共交通機関は基本的にストップするので、鉄道駅やバス停は金曜日の夕方には、便がなくなる前に家にたどりつこうとする人たちでごった返す。

それに加え、一年の暦の中で節々の祭りの際には親戚家族が集まって盛大に祝い、食事を共に過ごす回数が多い。中でも過越祭、シャブオット、仮庵祭の三大祭りはいずれも、モーセに率いられたユダヤ民族のエジプト脱出という「歴史的事件」にちなんだものであり、食事の際には「出エジプト」の関連部分が聖書から読誦される。

過越祭は、神がエジプトに対して「初子をすべて殺す」という災いをもたらした際に、ユダヤの民の家の戸口に印をつけたことで神の怒りが「過ぎ越し」、その後集団でエジプトを脱出することができたことを祝う祭りである。エジプト王の追跡を受けた民はパンに酵母を混ぜて膨らませる時間がなかったということに因み、この時期、店頭からはパンを含む酵母を用いた製品(ビールも含む)が一斉に消える。

 

③  「常識」を打破する精神

・「フツバ」というヘブライ語を持ち出せば、その場にいるイスラエルから失笑とも苦笑ともいわれぬ笑いが起きる。イスラエル人(ユダヤ人)の気質をよく示す単語だという。だいたいにおいて「傲慢不遜な態度」という意味だが、その言葉には日本語のようなネガティブなイメージはない。常識をものともせず、人を人と思わず、権威に食ってかかるこの態度がイスラエルイノベーションの背景にある。

一方日本は、イノベーションの時代に遅れをとっていると言わないが先頭走者ではない。

 

④  市民社会と軍隊の関係

イスラエルは、アラブ系市民と超正統派を除き国民皆兵であり、兵役は男性で3年弱、女性で2年弱である。街中にはカーキ色の軍服に身を包んだ若者がいつも歩いている。

 

古代ローマにおいて、男性市民は兵役を担い、時には戦争に従事し、市民社会を守っていた。古代ローマ帝国落日の最大の原因の一つは、ローマ人自身が犠牲を払わなくなり、傭兵に国の防衛を依存したからである。帝国末期にかけては傭兵出身の皇帝さえ出現する。市民社会は誰かが守る必要があり、イスラエルは、その置かれた地域状況から、男女皆兵によりその市民社会を守っているわけである西部邁は、「今の日本人は、シチズンが「国家から保護してもらうことの引き換えで国家への義務を引き受ける人々」を意味することをすら忘れてしまっている」と批判する。

 

⑤  徹底した安全保障意識と自存自衛の精神

ムハンマドアラビア半島に出現してこの方、十字軍の時代のキリスト教勢力が散発的に勢力を盛り返した時期をのぞき、ユーラシアとアフリカの結節点にあるこの地はだいたいにおいて、アラビア語イスラム教が圧倒する土地になった。その中で、2000年間存在しなかったユダヤ人主導の国家として誕生したイスラエルは、四方を敵に囲まれていたために、徹底した安全保障意識を持たざるを得なかった。

 

・しかしむしろ、反ユダヤ主義震源地は歴史的には欧州キリスト教世界であり、ユダヤ教徒たちはキリスト教徒から、主イエスを殺した原罪を背負う民族として、常に懐疑と嫌悪の対象とされてきたのである。

かたや中東は民族が複雑に入り組んで存在しており、なおかつイスラエルにおけるイスラムドゥルーズ派のように、イスラエル国家に参画して軍役にも服する集団もいて、単純明快な図はない。また、イスラム教自体がユダヤ教徒を、キリスト教徒やゾロアスター教徒とともに「啓展の民」として社会的存在として認めており、反ユダヤ主義の根はそれほど深くないといえよう。

 

イスラエルの強さの秘密

国防軍――イスラエルそのもの

イスラエル国防軍の四つの機能

イスラエルにおけるイノベーションの開花は、政策支援、産学の近さ、解放的な対内投資政策と多国籍企業の貢献の高さ、豊富なリスクマネー供給などが重なり合ったものであるが、殊に、男女とも皆兵の国防軍の存在が極めて重要である。そして、国防軍は経済や軍事だけでなく、イスラエルの社会及び政治の核でもあり、したがって「イスラエルそのもの」である。その本質は、①社会のるつぼ、②社会人教育施設、③職業訓練学校、④同窓会の集合体、の四つであると私は思う。

 

①  社会のるつぼとしての機能

イスラエルは世界中から離散ユダヤ人が集まってできた社会である。アシュケナジー(東欧出身のユダヤ人を指す)やスファラディ(中東出身のユダヤ人を指す)だけでなく、ロシア、エチオピアやインド(約8万5000人もいるという)からの帰還者もいる。彼らは高校までは地元のコミュニティで育つ。当然、先祖の出身国や社会的界層が同じ似た者のみの世界である。

 そのような人々が18歳となり軍隊に入った途端に、まったく異なるバックグラウンドを持った同年代の若者同士が寝食、訓練を共にし、それまでとはまったく違い世界に足を踏み入れる。

 

・ただし、超正統派ユダヤ教徒の若者及びドゥルーズ派を除くアラブ系には徴兵の義務がない。

 

②  社会人教育施設としての機能

・このような感じなので、若い兵士の命は国民共通の関心事である。たまに若いイスラエル軍兵士の誘拐事件が起こるが、その誘拐された兵士を、国民は我が子の誘拐のように思い関心を寄せる。そのような中で兵士が殺害されると国民世論は激昂する。2006年の第2次レバノン戦争も、兵士の誘拐がきっかけで始まった。

 

イスラエルではいつ大規模な戦争が始まるかわからない緊張感があるし、また「テロ」への対処作戦、あるいは越境攻撃作戦などもしばしば行われているため、任務というのは命がかかった切実なものになる。これらを経験した若者たちは確かに逞しい。徴兵期間が終わってから大学に入学するということもあり、おぼこいところが残る日本の大学生に比べて数段大人びているのは事実である。

 

③  職業訓練学校としての機能

イスラエルでは高校生の段階で、1年かけて行われる全高校生の能力検査を基に、適性に合った部隊に振り分けられ、そこで徴兵期間を過ごす。

 このテストは心理検査や語学適性なども含むかなり綿密なもので、建国以来の国防の需要を反映した厳しいもののようである。振り分けにあたっては、若者の方からも希望を出すことができ、人気ベスト三は、空軍パイロット、サイバー部隊、インテリジェンスであるという。

 

・若者にとってサイバー部隊は憧れの部隊である。そこに行けば除隊後、軍のバラックの門の外にはリクルーターが詰めかけ、初任給から月給100万円はオファーされる。

 

そして若者の両親にとっては、徴兵される若者のうち最も優秀な者がサイバー部隊に採用されるだけにサイバー部隊入りは誉れが高い。戦闘に従事して死傷するリスクも低く、子供の将来も「保障」されるなど、言うことなしの「職場」であるから、子供のサイバー教育にも身が入るというものである。

 

・そして、イスラエルにはスーパー・エリート教育がある。高校の時のスクリーニングの結果で上位1%に入った優秀者には、大学での3年間(医学部の場合は7年間)の教育が無償でオファーされる。軍役については徴兵期間プラス2年の勤務が求められる。

 

④  同窓会の機能

・このような予備役としての練度の維持のため、1年間に数週間、自分の部隊に戻り訓練を受けることが40代半ばまで求められる。その結果として、同じ釜の飯を食べた同士と毎年再会する機会があるわけであり、一生ものの濃密な人間関係が形成される。

 イスラエルでの相手への質問の決まり文句は、「それでお前はイスラエル軍の中でどの部隊にいた?」というもので、これが決定的に重要である。大学名を聞かれることはほとんどない。

 

軍と市民社会

・この国での驚きの一つに、参謀総長の交代式がテレビで生中継されるということがあった。少なくとも先進民主主義国ではこういう例は聞いたことがない。

 

・実際に、この国では安全保障が一番重要である。選挙の最大の争点は、常に(または多くの場合)景気ではなく安全保障であり、軍隊経験が乏しい人物は首相候補にふさわしくないとされている。

 

イスラエルイスラエルたらしめる文化的特質

英国はなぜ資本主義で先鞭をつけられたか?

・米国の政治学者ウォルター・ラッセル・ミードは、英国がなぜ資本主義に成功して大帝国を築けたかについて、開放経済モデルを採用したオランダの成功例を模倣したこと、大西洋が繁栄した時代に、大西洋に面した最前線の島国として地理的に幸運な位置にあったことなどに触れつつ、アングロ・サクソンの文化的伝統もその理由として挙げている。

 アングロ・サクソンには闘いを好む文化があり、それを一定のルールの中で実現したものとして、(イギリス人が創始した)サッカー、ラグビー、テニス、ゴルフなどのスポーツがあると言う。また、競争の混沌を通じた進歩への信奉として、アダム・スミスが唱えた「神の見えざる手」という考え方、さらに、成文憲法の整然とした法解釈ではなく、慣習・先例の蓄積をもって法体系とする「コモン・ロー」についても言及している。

 一定のルールの中での闘いと言えば、議会制民主主義も、棍棒を投票箱に差し替えた闘いであると言われる

 

起業家とイノベーションを支える四つの文化的特質

イスラエル人が起業やイノベーションに向いている要素として四つの

キーワードを教えてくれた。それが、「高いリスクを許容して取っていく精神」「階層のない社会」「失礼千万」「短気」である。

 

①  高いリスクを許容して取っていく精神(ハイ・リスク・テーカー)

イスラエル人はリスクを取ることを奨励される。失敗は許容され、逆に失敗していない人間は信用されないという。限度はあろうというもので、大失敗して夜逃げした人もいるようだが、それでもイスラエル人の精神といえば、「まずダメもとでやってみよう。ダメならそこで撤退すればいい。精密に考え過ぎて慎重になり何もしないのでは成功も生まれない」というものである。

 

ちなみに、2011~18年に設立されたスタートアップ企業5313社のうち45%がすでに廃業か活動停止していると報じられている。

 

②  階層のない社会(ノー・ヒエラルキー

イスラエルはフラットな社会であり、この国ほど忖度という言葉が似合わない国はない。発言は直截的過ぎるほど直截的。目上だろうが関係なく、オブラートに包まずにガンガン発言するので、最初は面食らうこともある。イスラエルの大学では、日本人やアジア人の留学生はあまり発言しないのだが、我々から見たらよく発言する欧米人留学生もあまり目立たないほど、教授に盾つくのはもっぱらイスラエル人学生だという。

 

議論を尽くす文化

イスラエルイノベーションや強さの背景には、ユダヤ教の、議論をしながら集団で教義を学習していくという伝統がある。そもそも、ヘブライ語聖典旧約聖書)の中でも、人間が神に食ってかかったり、あるいは神と交渉したりする場面が出てくる。しかし、議論の重要性はタルムードにおいて顕著だという。

 

・シュエフタン教授は、イスラエル軍を、「正規の軍隊というよりも、民兵青年団の混ざったもの」と表現する。群雄割拠というわけではないが、各現場では若いリーダーの兵士に大きな権限が与えられており、本部や上層部の意向に必ずしも従わない(あるいは伝わってこない)。

 

③  失礼千万(イムポライト

・先に紹介した「フツバ」というヘブライ語に加え「バラガン」(混沌。イスラエル社会の秩序のない状況を表す)という言葉を覚えておけば、イスラエル人との会話はずいぶん弾むし、「おっ、イスラエルを知っているな」と思われるようになる。

 

短期(イムペイシャント)

イスラエル人はものすごく短気である。それが端的に出るのが車の運転だ。これはひどいの一言である。信号が変わる前から、後ろのイスラエル人が運転する車がクラクションを鳴らしてくる。車をぶつけるように横入りしてくるし、道は絶対に譲らない。

 

・ビジネスでも、彼らのやり方は単刀直入である。日本企業関係者がイスラエル企業を訪問すると、「お前はいくらお金を持っているか?」「お前は意思決定者か?」と矢継ぎ早に聞かれるという。しかし、このいつもイライラして不満を囲って我慢できない性格が、イノベーションには向いているのだろう。

 

「非適応」という態度の決定的重要性

・しかし、それにしてもイスラエル人が自慢する、「規格外の考え方」という創造性への自信はどこからきているのだろうか。ちなみに、ノーベル賞受賞者の国別比較は、2019年までで日本人は27名、に比べて、イスラエルは11名である。また、2017年までの全ノーベル賞受賞者902名のうち約200名はユダヤ系によるものとも言われている。

 

・世界の社会主義共産主義運動に甚大な影響を与えたカール・マルクスがラビの家系であることは偶然ではない。

 

「理論的な議論」を培った宗教的伝統

ユダヤ教徒のあいだでは、神聖な文書を読み、それを学ぶことが極めて重要視され、それを若者に伝えることが宗教上の義務とされた。

 

「2000年の比較優位」の消失

・約2000年前にエルサレム第二神殿が破壊され離散(ディアスポラ)が始まったとき、全てのユダヤ人の(男性)子弟は、ユダヤ教の諸書を読み信仰を守るように預言者によって指示された。

 

・また、世界中で識字率が向上し、特にアジア地域のそれは世界でトップレベルになった。土地勘がなく、今や識字率という優位性もないユダヤ民族にとって、比較優位が失われつつある新たな時代が始まっている。

 

イスラエルは日本の変革の触媒となり得る

大きな変革のとき

・「平成維新」という言葉が流行ったことがあった。政党まで作って活動した大前研一氏の最大の眼目は道州制の導入と地方自治権の強化によって、各道州のイニシアティブ発揮と競争を促進することで、経済・社会を活性化することだったと推察する。

 

・30年後の現在の状況は、それに比べて全てにおいて悪化している。北朝鮮が核を持ち、中国は大きな生産力・資金を持ち、軍備を大拡張している。かたや日本では高齢化と人口減が進み、財政赤字は甚だ悪化した。社会の貯蓄を切り崩す現象の一つと言われた「パラサイトシングル」という言葉も、子供が寄生する先の親世代が老いてきて、もう限界である。

 日本のお家芸であった家電産業は衰微し、日本経済の屋台骨たる自動車産業も、電子化・無人化・シェア化によって未来が非情に不透明である。そして世界では、電子コマースとデータ・サイエンスが物流及び情報の流通を支配している。10年前には企業価値ランキングの上位を占めていたエネルギー会社が消え去り、GAFAや中国企業が独占しているが、そこに日本企業の姿はなく、サイバーやAIの分野では、日本は他の国の後塵を拝している。

 

イスラエルは違和感だらけの国である

イスラエルという変革のための触媒

これまで述べてきたことを踏まえれば、イスラエルは日本の変革の触媒になれるのではないか

 まず、イスラエルは、気づきの鑑として有用である。家庭中心で出生率の高い社会のオプティミズム、歴史と伝統の価値、不屈で独創的な思考の重要性、イノベーション市民社会を自分たちで守ることの健全性、安全保障のリアリズムなどの諸点について、イスラエルは、現代日本に有益な視座を与えてくれる。

 

 

 

知立国家  イスラエル

米山伸郎   文春新書   2017/10/20

 

 

 

あなたの周囲はイスラエルだらけ

意外に思う人が多いかもしれないが、じつはわれわれの日常生活の中には「イスラエル」が溢れている

 毎日自宅やオフィスで使うパソコンの心臓部のプロセッサーインテル製であれば、それはおそらくはイスラエルにあるインテルの研究所で設計され、イスラエルの製造工場で作られたものである可能性が高いインテルプロセッサーの8割以上がイスラエルで設計・製造されているからだ。

 

・そのパソコンを日々、不正アクセスから守ってくれているセキュリティ機能「ファイアウォール」を開発したのもイスラエル企業である。

 現実世界のファイアウォールにも、イスラエルの存在がある。原子力発電所や軍事基地などの重要施設では、テロリストや工作員の侵入を防ぐべく、厳重な警備管理体制が敷かれているが、監視カメラに「人工知能的フィルター」を搭載したのもイスラエル企業である。

 

「個の強さ」にこだわる

・だが、イスラエルで筆者が会ったビジネス関係者や教育関係者は、イスラエルを語る時、ほとんど例外なく「○○で世界一の国」という表現を使っていた。ただし、すべてが「国民一人あたり」あるいは「対GDP比」という条件付きである。

 その「〇〇」に入るのが、次のような項目である。

ノーベル科学3賞受賞者数

博士号保有者数

研究開発費

特許保有

ベンチャー企業

ベンチャーキャピタル投資額

起業数

技術者数

教育費

大学学位数

 

・人口やGDPなどマクロの絶対値でみると、イスラエルは世界でも全く目立たぬ「小国」となってしまう。しかし「国民一人あたり」でみると、とりわけ知的レベルの高さにおいて、イスラエルは傑出した存在感をもつようになる。

 

・電話やインターネットのように加入者・参加者が増えるほどユーザーの便益が増すことを「ネットワーク外部性」と呼ぶが、イスラエルは国家自身がある種の「ネットワーク外部性」を実現している国家といえる。参加者(国民)が増えるほどにネットワークが多重化して便益が高まり、国民一人あたりの価値を高めていくメカニズムを設けているように感じられるのだ。

 

世界最高の投資家が「最良の国」と絶賛

・世界で最も成功した投資家として誰もが知っているのは、アメリカの「オマハの賢人」こと、ウォーレン・バフェットである。

 彼は「外国企業は買収しない」と公言していたが、2006年に自らの方針を破り、50億ドルもの資金を投じてイスラエルの金属切削工具メーカー「ISCAR」の株式80%を買収した。

 

・その理由として、「自分にとってイスラエルは最良の国で、イスラエルよりずっと大きい国や豊かな国と比べても、その遥か先端を行っているから」と語っている。

 さらに、「私はユダヤ人ではないが、イスラエルの建国からの生い立ちはアメリカのそれを思い出させる。人々の固い決意、高い動機づけ、知性、イニシアチブは顕著で突出している。私はイスラエル経済の強い信奉者です」とまで述べ、イスラエルに強い信頼を寄せている。

 イスラエルに注目しているのはバフェットだけではない。インターネット検索エンジンから始まり、自動車制御、ロボット、そして今や人工知能で世界を制御しようとしているグーグルのエリック・シュミット元CEOもその1人である。

 

組織内でも「正面突破」

・今やマクロでもGDPで世界191カ国中34位、人口で188カ国中93位という立派な業績(国力)を実現している。

 

CPUの現界を突破したイスラエル技術者

・組織の中でも「正面突破」の例として有名なのが、インテルのCPU開発の話である。1970年代のインテルは「アメリカで研究開発し、アメリカで生産をする、アメリカの優良企業」であった。だが、研究開発において重大なイノベーションをもたらしたのは、イスラエル人だった。

 

イスラエル中毒」になったインテル

・「Core マイクロアーキテクチャー」の例に限らず、インテルイスラエルから出てきたイノベーションによって多大な恩恵を受けている。

 

クルマの未来を変える

・クルマをスマホのようなネットワークを構成するプラットホームと捉えた場合、高度なIT技術を搭載した自動運転型コミュニケーションネットワークプラットホームとしてのクルマと、さまざまなアプリが登場するであろう。

 

・一方、インテルはパソコンへのプロセッサー供給で世界のヘゲモニーを握ってきたが、パソコンは伸び悩んでおり、このままではジリ貧だ。インテルはこうした変化を見越して、いち早く自動車業界で勝負に出たのだ。

 

マイクロソフトイスラエルで人材集め

・CPUの巨人、インテルイスラエルに進出したように、オペレーション・システムの巨人、マイクロソフトイスラエルに拠点を設けている。

 

・「人口わずか700万人(当時)なのに、コンピュータサイエンスで有名な世界の大手トップ30の中にイスラエルの大学が4校も入っている。いかに優良な人材が多く輩出されているか、この数字でわかります」

 

豊富な博士号人材

近年ではイスラエルの博士号保持者を、かなりの割合でアメリカやカナダの企業がヘッドハントしているという

 

キブツ」という産業革命

ピンチをチャンスに転化した軍事産業

イスラエルの特異性をあらわすもうひとつの点として、「軍事技術」が挙げられる。これはそのまま国防産業という新産業を生み出している。

 

アメリカを徹底活用する戦略

アメリカの政治や宗教団体がイスラエルの動静に注目し、イスラエルを声高に支援するのは今に始まったことではない。アメリカにはユダや系アメリカ人が約600万人いる。

 

アメリカとの緊張関係

・ワシントンでは、イスラエルとの外交関係の見直し議論が定期的に起こる。通常、これは両国関係が高い緊張状態にある際の兆候である。

 もっとも、米国議会はイスラエル・ロビーの強い影響下にあり、常にイスラエルに対して強い支持を続けている。

 

政令経熱

資源は「人間」しかいない

・大勢の移民によってもたらされたものは、文化・社会の多様性である。

 

・「わが国の重要な資源は人間だけです。したがって、建国の父は、積極的な移民受け入れ政策を通じて、人間という資源の確保を最重要視しました。それと同時に教育も最重要視し、大学の強化に努めてきたのです

 

・ひとつの国家の中に多くの人間が生活し、しかも多様性が存在することは、それだけリスクに強いということになる。多様な人材がいれば、それだけ異なった変革が起きるチャンスがある。つまり、イノベーションベンチャーの起業のチャンスも必然的に増える。

 日本では「人間の数の確保」を気にすることは久しくなかった。それが今、急速に進行する少子高齢化によって危うくなっている。移民受け入れについても、日本社会には根強い拒絶反応がある。

 

女性、LGBTに優しい国

イスラエルの多様性は、言語や文化面だけではない。とりわけ印象深いのは、女性の活躍である。

 

・また、近年では同性愛者が集まる場所として、テルアビブが世界的な注目を集めている。毎年6月におこなわれるゲイ・プライド・パレードには、世界各国から約20万人が参加する。同性愛を禁じるユダヤ教の厳しい戒律とは裏腹に、イスラエルは性的マイノリティ(LGBT)の人権を守ることに熱心な国であり、世界の先端を行っている。1988年にイスラエル政府は同性愛を合法化、92年には性的志向による雇用差別を全面的に禁止、現在では同性婚カップルにも配偶者控除・年金など、通常の異性婚と同じ権利がほぼ認められている。

 一方で、イスラエルにおいてはすべて結婚は「宗教婚」でなければならないという厳然とした規則も存在する。だが、海外で挙式した場合は除外されるなど、抜け穴も多い。

 

ロシア系移民の頭脳

・現在のイスラエルの中枢で活躍しているのは、ロシア・東欧系のユダヤ人(アシュケナージ)にルーツをもつ人が圧倒的に多い。

  

高学歴移民をベンチャー企業に駆り立てる

ソリューションを見つけ出す能力を高める教育

イスラエルの義務教育は幼稚園1年、小中高11年と充実している。古代イスラエルの頃より教育は生活と文明の一部として位置づけられ重視されてきている。ただし、イスラエルにはユダヤ教という特殊要因がある。

 

人種のるつぼ化

・だが、様々なバックグラウンドの移民を受け入れるにつれ、問題も生じてきた。1950年代以降、中東からの移民が増えてきた。シリアやイラクなどのアラブ諸国や、北アフリカで迫害されたユダヤ人たちを吸収していったためだ。

 すると、旧移民(欧州系)と新移民(中東・アフリカ系)との間での軋轢が目立つようになった。

 

アイデンティティは「ヘブライ語」と「国防」

・ナショナル・アイデンティティの根幹は、第一には言語である。現在、イスラエル人は固有の言語としてヘブライ語を用いている。

 

ユダヤ教徒以外の人材も囲い込む必要性

・彼の言う「社会改革」とは、「超正統派」の人々の取り扱いをどうするかという点に突き当たる。超正統派の人々はイスラエルの人口の2割にもおよぶが、経済活動を一切せず、国から支給される生活費で、日々ユダヤ教の研究だけをおこなっている。

 

移民を受け入れない日本

・また、人口減少は安全保障においても懸念材料である。たとえばアメリカは毎年約1%ずつ人口が増え、平均年齢も先進国の中では圧倒的に若い。肥満など生活習慣病以外に、アメリカには人口動態的死角がない。

 

徴兵制が若者を一人前に育て上げる

・そんなイスラエルの若者の人間育成において、徴兵制度は決定的な意味をもっている。周囲を敵国に囲まれたイスラエルにとって、「生存」こそが至上命題である。生存のためには、国防に「頭脳」を結集させなければならない。

 

・計量的心理テストの結果は56段階で表示される。56がトップで、それに基づきオフィサー候補と下士官候補にふるい分けられる。また、体力試験を含めたプロファイルは97段階に分類される。

 

・昔も今もイスラエルの若者は、エリート部隊への配属にあこがれている。以前はパイロットや特殊任務部隊など実戦部隊がエリートであったが、現在ではITを駆使したインテリジェンス系の部隊がエリートとされている。

 

トップ頭脳集団「タルビオット」

・タルビオットは毎年30人程度の理工系最優秀人材を選抜して教育するプログラムで、世界に類のないものだ。

 

<豪華絢爛のエリートたち

・そうやって選抜された約30人の若者は、最新兵器開発のための選りすぐりのスーパーエリート候補として教育と訓練を受ける。

 

・また、タルビオット出身者により起業されたイスラエルベンチャーは枚挙に暇がない。

 

軍が才能と自立心を養う

・タルビオットのようなエリート集団に限らず、軍での体験は、イスラエルの若者たちに大きな果実をもたらしてくれる。

 

・余談だが、シンガポールにも最優秀の学生を集めて英才教育を施す「スカラー」というエリートコースがある。このコースの出身者が40代の若さで政府のトップに抜擢されていく。これはイスラエルから取り入れたシステムである。

 

最強のサイバー諜報組織「8200部隊」

・「8200部隊」はサイバー諜報活動を担うエリート集団であり、かの有名なモサドイスラエル諜報特務庁)と並んで世界にその名を轟かせている。

 

・8200部隊の名を一躍有名にしたのは、10年、イランが極秘裏に進めてきたウラン濃縮装置が破壊された事件だろう。

 イランはイスラエルという国家の存在を認めておらず、政治指導者が「抹殺」を公言している。一方でイランは核拡散防止条約を無視し、核開発を強行してきた

 

・現在、インテリジェンス関連の情報の90%は8200部隊がもたらし、諜報特務庁「モサド」にせよ他の情報機関にせよ、8200部隊なしに大きな作戦を遂行することはないという。

 

ITベンチャーの創業者が続々誕生

・8200部隊もタルビオットと同じく高校卒業時に上位1%の中から選抜される。

 

・さらに驚くのは、13歳の若さでの選抜もあることだ。

 

・そうした経験によって培われた自信と達成感が、企業家精神に相通じるのかもしれない。8200部隊の出身者は、イスラエルのIT業界でさまざまな起業をしている。