(2021/2/16)
『略奪者のロジック 超集編』
ディストピア化する日本を究明する201の言葉たち
秋嶋亮 白馬社 2020/4/3
<滅びの時代である>
・原発事故は未だ収束の目途すら立っておらず、その渦中でグローバリズムが亢進し、我々の社会は今まさに存亡の危機に瀕しているのだ。すなわち未曽有の原子力災害と三重の植民地主義が同時進行するというカタストロフィが生じているのだが、国民は全く理解が覚束ないのである。
・すでに特定秘密保護法と共謀罪が施行されているのだが、これらの法意が情報の開示や権利の請求を封じ、抵抗運動を取り締まることにあることは語るまでもない。つまり暗黒法は征服地住民である我々を弾圧するための外国の資本によって制定されたのである。
<大勝利だ!これはアメリカの農家と牧場主に莫大な利益をもたらす勝利なのだ!>
・農林水産省によると、自由貿易で関税が撤廃された場合、国産の米が90%、小麦が99%、乳酸品が56%、牛肉が75%、豚肉が70%減少するという。市場総額では実に4.1兆円が消失する試算である。
<アメリカの穀物は兵器である。食糧はアメリカの強力な外交手段なのである>
・そしてすでに彼らの要請により「遺伝子組み換えではない」という表示を実質禁止することが決まっているのだ。このように自由貿易の恐怖とは、シェーレ(内外の価格差の拡大)によって国内の生産者が駆逐されるだけでなく、国民の健康や生命が脅かされることなのである。
・現代でも自由貿易に加盟したほとんどの国で市民生活は悪化しているのだ。それにもかかわらず、日本はTPP・EPA・FTAという三重の自由貿易協定を結んでしまったのである。
<私が見るところ世界中のどの国も国際裁判で勝った試しがない。勝つのはいつも多国籍企業なのだ。>
・筆者は日米自由貿易協定に「間接収用の禁止」が盛り込まれると予測している。そうなれば、民営化されたインフラを再公営化しようとしても、それが投資家の利益を損ねるとして撤回されるのだ。
<巨大な多国籍企業が世界を上から鷲づかみにする。>
・換言するならば、武力を用いずに相手国を植民地化する「非公式の帝国主義」なのである。これによって儲かるのは多国籍企業とそのステークホルダーだけであり、この国は大没落を余儀なくされるのだ。
<私たちは印象操作された翻訳を前提にTPPを審議しているのです。>
・FTAやTPPには日本語の正文(誤訳や齟齬が生じないよう約款を明瞭に示したもの)が存在しないという。他の加盟国に対しては各国の言語で正文が用意されていることからすれば、国際社会における日本の地位がどの程度か察しが付くだろう。
<外資支配とは日本的システムとは異質の論理に立つ“倫理なき資本主義”であり、非持続的な経済社会をもたらす。>
・アメリカの最大の狙いが医療・薬品・保険の分野であることは間違いない。日本は毎年42兆円の医療費を投じる巨大マーケットであり、これらの企業にとって最後の征服地なのだ。
<問題は世界政府が合意によって形成されるか、制服によって形成されるかだけである。>
・立憲民主党は「FTAが発効されても公的な保険と医療は守る」などと主張しているが、これは口約束に過ぎない。繰り返すが通商条約は憲法より上位に置かれることから、この図式においては多国籍資本が国民の代表議会よりも権力を持つのだ。すなわち国会は形骸化し単なる飾りになるのだ。グローバル化とは支配力の越境作用なのである。
<私たちの暮らしは「ならず者経済」によって作り変えられてしまう。「ならず者経済」は私たちの生き方だけでなく死に方までも支配している。>
・保険や医療のプレミアム化は「全てを市場に委ねよ」というフリードマン理論の実践なのである。この思想の危険性とは市場原理を持ち込んではならない分野に市場原理を持ち込むことであり、それによって社会権が抹消されることなのだ。つまるところネオリベラリズム(新自由主義)とは有産階級による生存権の解体なのである。
<国家財産の売却価格をほんの数十億ドル差し引くだけで、スイス銀行の口座に10%のコミッションが振り込まれる>
・2000年から僅か15年の間に、37の国が民営化した水道を公営に戻している。水道料金の異常な高騰や水質の悪化がその主な理由だが、再公営化には莫大なペナルティが科され、市民がその負担を強いられているのだ。
<中高年転職者、若年層のフリーター、外国人という三つの階層で膨大な低賃金労働者を、あっという間に日本の中に作り上げることが可能となる。>
・これから外国人労働者が毎年20万人ベースで流入し、その内約30%が製造業に配置される見込みだ。つまり国民の雇用の受け皿であった分野が移民の受け皿となる格好であり、こうなると失業率が高止まりするだけでなく、国民の賃金も移民の安い賃金に準じて引き下げられるのだ。これはつまり移民社会がもたらすノーマル・アクシデント(必然の結果として起きる事件)なのである。
<シカゴ学派の改革が勝利を収めた国では、人口の25%から60%の固定的な底辺層が生まれ、社会は一種の戦争状態の様相を呈している。>
・年金の先送りによって高齢者を働かせ、入管法の改正によって何百万人もの移民を受け入れ、大企業のリストラによって失業者を増大させ、家計の圧迫により主婦をパートに駆り出し、学費に苦しむ学生にアルバイトを強いるとなれば、仕事の争奪戦となり賃金は上がらないだろう。結局安い人件費によって投資家がボロ儲けするカラクリであり、理不尽な雇用競争は配当政策のために行われるのだ。
<市場原理主義主義とは法律を変えてでも儲ける機会を作ることです。それを貫く思想をグローバリズムと言います。>
・多国籍のガバナンス(統治行為)が国家会計にまで及ぶことからすれば、おそらく教育や福祉などの予算をさらに削減し、企業減税などの穴埋めにすることが求められるだろう。ちなみに過去3年の間に約1兆2000億円の社会保障費が削減されたのだが、これとほぼ同額のカネがアメリカ製戦闘機の購入に充てられており、今後TPP・EPA・FTAという三重の貿易協定の枠組みが、このような搾取的な構造を強化することは間違いないのだ。つまるところグローバリズムとは国家の無権力化なのである。
<ネオリベラリズム(新自由主義)とは、一握りの個人の利益を追求するために、民衆を隷属させ、民主主義の原理を歪めて悪用することである。>
・過去20年で先進国の賃金が概ね倍増しながら日本だけが全く上がっておらず、もはや最低賃金の低さは「生存権を脅かすレベル」だと国連からも非難されている。それにもかかわらず、移民の解禁や派遣の強化などにより、今後も日本の賃金は全く上がる見込みがないのだ。そもそもネオリベラリズム(新自由主義)とは、国民の貧困化により特権層の利益を図る営みであることから、これは決して政策の失敗ではなく、真逆に政策の成功なのである。
<金融資本や独占資本にとって、政治家はただの駒なのである。>
・四半世紀も消費不況が続いているのだから、本来であれば正規雇用を義務付け(派遣を原則禁止し)、中間層の所得を引き上げ、減税を実施し、社会保障を整え、その原資を確保するため法人税を強化しなくてはならない。しかし政府はこのような施策を一切採らないのだ。なぜなら基本財(労働や社会保障などの権利)の破壊がグローバリスト(世界覇権者)の目標であり、国会に命令する彼らの構想だからである。
<「新自由主義」とは名ばかりで、実態は東インド会社がやっていたような植民地支配を合法的にやっているに過ぎない。>
・自公民が推進する新自由主義とは福祉国家の解体を意味するのだ。つまり、公的な医療と保険を切り捨て、教育予算を限界まで削り、年金制度を破壊し、そうやって奪ったカネを(減税や還付などの形で)グローバル資本に付け替えることが命題なのである。
<電撃作戦を仕掛けること。国民が権利を守ろうとして団結する前にやる方法はそれしかない。>
・構造改革以降の日本は「これをやったら国が終わる」という全てをやり尽くしたのではないだろうか。労働者の非正規化、森林・水道の民営化、自由貿易の加盟、移民の解禁、種子法の廃止、遺伝子編集食品の認可、主要都市の経済特区化などはグローバル資本に莫大な富をもたらす反面、国民に損害しかもたらさないのだ。
<私の仕事は各国の指導者たちをアメリカの商業利益を促進する巨大なネットワークに取り込むことだった。>
・結局のところ自公政権が取り組んだことは、国民が戦後から連綿と築いてきた「生きて行ける制度」の破壊だったのだ。要は多国籍資本にとって労働権と福祉権が最大の障壁であることから、彼らが活動しやすいように、これらの制度資本を悉く取り払ったというわけだ。
<私は生まれ変わった!(自民党と共に)憲法改正議論を進めていく!>
・立憲民主党と国民民主党は、自民党の要請に応え、日米自由貿易協定(FTA)の審議に合意したのだ。またこれに際し、共産党や社民党も、何が問題かを国民にほとんど周知しなかったのだ。つまり野党は主権が事実上消える条約の加盟にあたり与党と共謀したのだ。すでにこの国は実質的な翼賛体制(一国一党制)であり、グローバル資本を戴く委任独裁の営みなのである。
<政党制は真実と虚構を識別する能力を失わせる。>
・これまでも野党は共謀罪法や特定秘密保護法の成立や、TPPやEPAなど侵略的な条約の締結をまんまと見過ごしてきたのだ。また原発事故の実態を周知する取り組みも、憲法改正の危険性を訴える目立った活動もない。
<財界人たちの手先となって実動部隊の役回りを演じ続けなければ、支配構造の底辺にさえ留まることができない。>
・やはり日本の国会は与野党が対立せず、大資本の調整の下で協調し法案を成立せしめる「非競合的政党制」であり、そのような談合の営みが、この国の政治の本質なのである。
<日本の政治家がどんな公約を掲げ選挙に勝利しようと、「どこか別の場所」ですでに決まっている方針から外れるような政策は一切行えない。>
・やはり日本の議会とは、経済植民地における談合の機構であり、支配国の通達を政党の発案であるかのように偽装し成立させるためのテアトル(劇場的な場所)なのである。
<大衆は真実を求めているのではない。大衆が求めているのは幻想なのだ。>
・このように与野党が癒着する事実を突き付けられても、立憲や、社民や、共産などの支持者たちは「野党は国民のために戦っている」と盲信する態度を改められないのだ。
<簡単に言えば人の認知は楽をしたがるようにできている。>
・新聞やテレビが扱う問題が重要なことで、新聞テレビが扱わない問題は重要ではないと錯覚させることを「議題設定機能」と言うが、実は野党にも同じ機能があるのだ。立憲、共産、れいわ、国民、社民の支持者は、彼らが扱わない問題は重要ではないと勘違いしていないだろうか?
<大衆社会とは、非エリートがエリートに操縦される社会である。>
・「メラビアンの法則」どおり、有権者は説話の内容よりも、容姿や、動作や、表情や、声の調子で説得され、知らず知らずの内に認知的節約(必要以上に認知資源を用いない傾向)に陥るのだ。
<「お前たちに見せかけの権力を持たせてやるしカネもくれてやるが、本当の統治は我々が別の処で行う」ということ。>
・要するに在日米軍と上級公務員が法律の8割以上を作ることから、「誰がどの政治ポストに就こうがどうでもいい」という論理なのだ。この国では無思考で支配層に従順であることが政治家の第一要件なのである。
<カネで政治に影響を与えたい経団連の思惑と、献金が減って困っている自民党の思惑が一致した。>
・日本経団連の政党評価システムを禁止しなければ日本は滅ぶだろう。繰り返すが消費税増税も、TPPやFTAの加盟も、移民の解禁も、派遣労働の強化も、原発の再稼働も、憲法改正すら「主要政党の政策評価」に示されたノルマなのだ。政治家はこれを達成することで献金が貰えるのだから、民意をそっちのけで私益に走るのも当然である。この国はコーポレートクラシー(企業利益優先主義)によって破滅しようとしているのだ。
<外資企業による政治献金を解禁する政治資金規正法改悪案が可決されました。>
・例えば日本経団連の要請によって4兆円の社会保障費が削減されているが、浮いたカネは国庫に入るのではなく、彼らの減税の原資となり、それが外国人投資家の配当に化けるというカラクリなのだ。経済権力は政治権力より常に上位なのである。
<上に行くほどバカが出てくる日本社会の構造は植民地特有の構造である>
・安倍晋三の在任期間が憲政史上最長となったのは、これほど外資に都合のよい政治家はかつて存在しなかったからだ。つまり関税の廃止、水道・森林の民営化、主要都市の経済特区化、種子法の廃止など、到底受け入れられない要求を実行したことから地位が確保されるというわけだ。
<日本が家産官僚体制たるゆえんは、官吏が税金と自分のカネを同一視していることだ。>
・特別会計とは官僚利権の核心であり、日本国最大のタブーなのだ。しかし200兆円規模の特別会計が国会の審議を受けず、被選挙権のない官僚によって秘匿的に編成される構造を変えなければ、国民は過剰発行される国債によって(役人が作る借金の肩代わりによって)永久に搾取され続けるだろう。
<官僚が天下り先を確保するために、特殊法人の下に3000社も子会社を作っている。>
・公務員の給与、退職金、福利厚生、天下りの補助金、財政投融資の返済などを合算すると、国税62兆円を上回るだろう。つまりこれにより国家予算を編成するカネが消えていることから、毎年100兆円規模の借換債が発行され、その償還のため社会保障や教育などの予算がゴッソリ削られているのだ。国民は公務員という特権階級の養分なのである。
<官僚が描いた青写真を現実化するために努力することが政治家の役割であり、その意味で政治家は世の中を変える力など持っていない。>
・「みなし公務員」の給与はさらに高額なのだ。官制経済とはこのような生産性のない団体を4600社も設立し、そこに2万5000人の官僚OBが天下り、国税と地方税の全てを食い潰す営みなのである。これがつまり「国家の内部にある国家(国の機構でありながら国の規制を受けない利権の集合体)」なのだ。
<この国の財政はあまりにも複雑怪奇で、もはや財務大臣ですら実態が分からない。>
・よくよく考えなくてはならないことは、流行りの「国債をドンドン発行せよ論」によって誰が利益を得るのかということだ。それは語るまでもなく、100兆円もの国税・地方税を特権的に私物化している公務員や、独立行政法人に連なる官制グループ企業群なのだ。
<市場原理主義は福祉国家の解体にあたり、その障害物となる民主的獲得物の一切を取り崩し、制度基盤を弱体化させる。>
・消費税率のアップは社会保障のためだと説明されている。しかし増税直後から生活保護費が削減され、後期高齢者医療保険の負担額が増し、医療費の初診料も再診料も値上げとなり、今後は国保料なども大幅に引き上げられる見込みなのだ。これは要するに増税によって確保された新たな財源が、社会保障に充てられないことの証明なのである。もはやこの国に配分的正義など微塵もないのだ。
<巨大企業と1%の富裕層の税負担を減らすために消費税増税が強行された。>
・これから毎年徴収される24兆円の消費税のほとんどが、大企業の還付金や富裕層の減税に充てられるのだ。
<客観的な事実そのものまでが、党の哲学によって暗黙のうちに否定されるのである。>
・政府は消費税増税により大不況になることを予測しているのだ。そしてそうなれば官庁に統計を改竄させ、日銀に「景気は緩やかな回復基調」などと短観させ、御用マスコミに高支持率を捏造させれば、いくらでも誤魔化せるという目論見なのである。日本という国はかくも仮作的な営みなのだ。
<世界は二つのブロックに分かれつつあります。プルトノミー(富裕層)とそれ以外に。>
・日本経団連も消費税増税により景気が大悪化することを予測しているのだが、自分たちは輸出消費税還付によって利益を確保できるという目論見なのだ。結局のところ彼らの関心は、内部留保を積み上げ、配当を倍増させることだけであり、長期的な構想の下で経済を発展させる意思など皆無なのである。国民経済は外資化した経団連のガバニング(統治行為)によって殺されているのだ。
<庶民の富を消費税で吸い上げ、法人税を下げて、グローバル企業の内部留保を拡大し、グローバル資本が株主として吸い上げる。そういう構図。>
・グローバル企業が受け取る7兆円の輸出消費税還付について「払った消費税分が相殺されるだけだ」、「プラマイゼロで利益はない」などと反論されるかもしれない。しかし彼らは下請けに消費税分を値下げさせ、そうやって申告することにより差額を受け取るカラクリなのである。だから輸出企業を中心とする経団連グループは消費税増税を求め、執拗なロビーを繰り返していたのだ。諸悪の根源は法案をカネで買う政策市場の存在なのである。
<僕はいわゆる欧米の植民地主義というものが、どれほど人間を根こそぎにするのかを見せつけられたのです。>
・外資化した経団連の提言通り消費税率が19%にまで引き上げられるならば、輸出消費税還付は15兆円近くになるだろう。これは実に国防予算3倍相当の額であり、かくも莫大な社会資本が彼らに付け替えられるのだ。結局全ては配当政策であり、グローバル企業の利益を最大化するための措置なのである。早い話、消費税とは植民地税なのだ。
<ネオリベラル体制では国民の政治参加の機会が失われ、意思決定は多国籍企業に委ねられる。>
・消費不足による不況が20年以上も続き、実質賃金も貯蓄率も下がり続け、生活保護世帯が過去最多となり、この最中に大震災と大津波と原発事故が起き、止めを刺すように大洪水が発生したのだ。経済学の定理からして、この局面では絶対に減税しなくてはならなかったのだが、日本は真逆に消費税増税を強行したのだ。為政者の関心は企業の要請に応え献金を得ることだけであり、国民の暮らしや経済など全くその埒外なのである。
<はっきりしていることが一つある。大企業のための法人税減税をした分、消費税が増税されていることである。かくして大企業は空前絶後の内部留保を貯め込んだ。>
・大企業の内部留保は500兆円を突破する見込みだ。しかし、これらの70%近くが法人税を払っておらず、払っていても実効税率を大幅に下回っているのだ。ちなみにトヨタは09年から5年にわたり法人税を払っていなかったのだが、この間には輸出還付金を受け取るばかりか、それに利息相当の1.6%が加算されるという至れり尽くせりだったのだ。消費税とはこのような大企業の特権による税収の欠損を埋める制度であり、コーポレートクラシー(泥棒企業主義)の中心手段なのである。
<これは一国政府の陰謀といった小さいものじゃない。>
・多国籍企業の節税方法は80パターン以上もあるのだ。また外国での租税回避も黙認されており、それによって持ち出されたカネは累計で800兆円を超えるという。要するに最も税金を負担すべき大企業を最も軽減し、それを補うため最も税金を軽くすべき層に重税を課すことが日本の租税政策なのである。国民はグローバル企業の税金逃れのために苦しみ喘いでいるのだ。
<政治献金によって成り立つ政府は、税金を財界のために使う政府なのだ。独占資本から政治献金を貰う政権は、税金を国民に還元しない政権なのだ。>
・マスコミは外国人観光客が倍増したと浮かれているが、インバウンド消費は5兆円にも満たないのだ。対し国民の個人消費は300兆円規模である。後者が僅かでも縮小すれば不況になるのだから、消費税率は絶対に引き上げてはならなかったのだ。為政者もそれを重々承知しているのだが、経団連企業の輸出戻し税が7兆円規模に増えることから、彼らの要請に応え税率の引き上げに踏み切ったのである。かくして巨大リセッションは利権によって生じるのだ。
<グローバル化された政治は一国の理想など顧みず、ひたすら利益を追い求め節操のないことをする。>
・昭和の東京五輪の直後には、その反動によって証券恐慌(いわゆる昭和40年不況)が生じ、倒産が前年の3倍に増加したのだ。高度成長の真っ只中においてさえそのような惨状だったのだから、消費税増税によって経済が著しく縮小する令和の時代において、一体どれほど醜い事になるかは想像に難くないだろう。もはやこの国は経済観念を全く持たないのだ。
<特に日本の場合、教育と医療という人間の一番大事なものが徹底的に破壊されつつあります。>
・既に日本は世界に名立たる重税国家だ。社会保険料なども実質の税金と見なせば、断トツの重税国家である。ちなみにアイスランドでは所得の40%が税金として徴収されるものの、医療も教育もほぼ無料なのだ。
これに対し日本は納税の対価となるサービスが乏しく、アスピレーション・レベル(社会保障の欲求水準)が著しく引き下げられているのだが、国民はそれが多国間に跨る搾取の所産であることに気付いていないのだ。
<アメリカの繁栄は日本の稼ぎを搾取し横取りすることによって成り立っている。>
・政府の保有するアメリカ国債が僅か1年で25%も積み増しされ、120兆円規模に達している。これは所有権も決済権もない形だけの債権であり、有利なレートで売却し為替益を得ることが許されない空手形なのだ。日本はかくも莫大なマネーを、社会保障や産業振興に充てられないばかりか、償還時に円高となった場合は、数兆円の為替損すら被るのである。アメリカ経済はこのような「帝国の貢納制」によって成り立っているのだ。
<日米合同委員会の決定事項が、憲法も含めた日本の法律よりも優先されるということです。そのことを総理大臣の私は知らなかった。>
・日本を実質支配する日米合同委員会の上に何があるのか一度よく考えてみるべきだろう。この委員会は本国の政権の指令で動いており、本国の政権は多国籍企業のロビーによって動いているのだ。そしてこのようなメタ・ガバナンス(統治の統治)によって日本の制度が決定される仕組みなのである。
<コングロマリット(多国籍企業)の本質は独占資本である。彼らはアメリカの大統領を支配する力すら持っているのだ。>
・アメリカは触媒国家なのだ。つまりアメリカが日本を支配しているのではなく、グローバル資本がアメリカの議会を仲介として日本を支配しているのである。
<安倍総理は日本を破滅させた人物として歴史に名を残すでしょう。自国通貨の価値を下げるなんて狂気の沙汰としか思えません。>
・金融緩和で過剰供給された通貨が株価を押し上げ、東証プレイヤーの7割を占める外資をぼろ儲けさせている。しかしその一方で通貨の希釈(経済ボリュームを超えた紙幣の発行)が円安をもたらし、国民は資産の目減りや原材料の高騰に喘いでいるのだ。一国の通貨破壊はテロリズムに匹敵する行為であり、非公式戦争の一形態なのである。
<「ひたむきさ」や「感動」がオリンピックという欲望機械を動かす燃料として搾取される。>
・オリンピックは単なる商業イベントである。これによって政治家やゼネコンや、組織委員会や、広告代理店や、マスコミは利益を得るが、開催国の国民は費用を押し付けられるだけなのだ。まして日本の場合、原発事故が収束しておらず、国内に難民が生じている状態で開催を決定していたのである。オリンピックとは利権者たちのパノプリ(乱痴気騒ぎ)なのだ。