日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

コンタクティやチャネラーの情報を集めています。森羅万象も!UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象といわれます。

この「身体検査」という言葉は、安倍内閣のときに一気に有名になった、一種の隠語である。要するに、登用しようとする政治家に金銭や異性の問題はないか、事前に行う調査のことだ。(4)

 

 

遠野物語拾遺   retold』

柳田國男 × 京極夏彦  角川学芸出版   2014/6/10

 

 

 

(171)

この鍛冶屋の権蔵は川狩り巧者であった。夏になると本職の鍛冶仕事にはまるで身が入らなくなる。魚釣りに夢中になってしまうのである。

ある時。

権蔵は山の方の川に岩魚釣りに行った。編籠に一杯釣ったので切り上げ、権蔵は村に向かって山路を戻って来た。

 村の入り口を示す塚のある辺りまで来ると、草叢の中に小坊主が立っている。はて誰だろうと思って見ると、小坊主はするすると大きくなって、雲を突く程に背の高い入道になった。権蔵は腰を抜かして家に逃げ帰ったという。

 

(87)

綾織村砂子沢の多左衛門どんの家には座敷童衆がいる。この座敷童衆は元お姫様である。これがいなくなったら家が貧乏になった。

 

(136)

遠野の豪家である村兵家の先祖は、貧しい人であった。ある時。その人が愛宕山下の鍋ヶ坂という処を通り掛かると、藪の中から、「背負って行け、背負って行け」と、叫ぶ声がする。

 

いったい何があるのかと立ち寄って見てみると、仏像が一体あるのであった。その人は言われる通りそれを背負って持ち帰り、愛宕山の上に祀った。それからその人は富貴を手に入れ、家はめきめきと栄えて、後裔は豪家となったのである。

 

(88)

その遠野町の村兵の家には、御蔵ボッコというものがいた。籾殻などを散らしておくと、翌朝。そちこちに小さな児の足跡が残されているのを見ることが出来たという。後に、それはいなくなった。それから家運が少しずつ傾くようになったそうである。

 

(89)

砂子沢の沢田という家にも、御蔵ボッコがいたという。人の目に見えるものではなかったようだが、ある時姿を見ることがあった。赤塗りの手桶などを提げていたという。見えるようになったら、竈が左前になったそうである。

 

(90)

同じ綾織村の、字大久保にある沢某の家にも蔵ボッコがいた。時々、糸車を回す音などがしたという。

 

(91)

附馬牛村のいずれかの集落にある某の家のこととして伝わる話である。先代の当主の頃、その家に一人の六十六部がやって来て泊まった。

しかし、来たところは見ているが、出て行く姿を見た者がいない。

そういう噂である。それ以来その家が栄えたとかいう話は聞いていない。ただ、貧しかったということもないようである。

 近頃になって、この家に幼い女児が顕れた。十になるかならぬかくらいの齢で、紅い振袖を着て、紅い扇子を持っていたという。女児は踊りを踊り乍らその家から出て来て、下窪という家に入った。

 

これも噂である。しかしそれ以降、このニ家はケェッチャになったと村の者は謂う。ケェッチャとはあべこべ、裏表というような意味であるから、貧富の差が逆転したというような意味なのだろう。

 その下窪の家に近所の娘が急な用で行った折、神棚の下に座敷童衆が蹲っているのを見て吃驚し、逃げ戻って来たという話もある。

 そういう話があるのだから、下窪の家は裕福になったということなのだろう。

 

(93)

遠野一日市にある作平という家は裕福である。しかし、元々暮らし向きが豊かだった訳ではない。この家には栄え始めた契機があると謂う。

 ある時、土蔵に仕舞ってあった大釜が突然鳴り出した。家の者は勿論、近所の者も皆驚いて見に行ったそうである。音は止むどころか段々に強くなり、小一時間も鳴り続けたと謂う。

 その日から家運が上昇した。作平の家では山名という面工を頼み、釜が鳴っているところの絵を描いて貰い、これを釜鳴神と称して祀ることにしたそうである。今から二十年くらい前のことである。

 

(94)

土淵村山口にある内川口某という家は、今から十年程前に瓦解した。家屋も一時空き家になっていた。寄り付く者もいないから、当然人気も全くない。しかし誰も住んでいない筈のその家の奥座敷に、夜になると幽かな火が燈る。そして、誰の声かはわからないが、低い声で経を誦むのが聞こえる。往来のすぐ近くの家であったので、耳にする者も多かった。近所の若い者などが聞き付け、またかと思って立ち寄ってみると、読経も止み、燈火も消えている。同じようなことは栃内和野の菊池家でも起こった。

菊池家も絶え、その後に空き家から経が聞こえたりしたそうである。

 

(92)

遠野新町にある大久保某の家の二階の床の間の前で、夜な夜な女が現れ髪を梳いているという評判が立った。

 近所の両川某という人がそれを疑い、そんなことがあるものかと言って大久保家に乗り込み、夜を待った。

 

 夜になると、噂通りに見知らぬ女が髪を梳いている。女はじろりと両川氏を見た。その顔が何とも言えず物凄かったのだと両川氏は語った。

明治になってからの話である。

 

(162)

佐々木喜善君の友人に田尻正一郎という人がいる。その田尻氏が、7,8歳くらいの頃。村の薬師神社の夜籠りの日だったそうである。

夜遅くに田尻少年は父親と一緒に畑中の細い道を通り、家路を急いでいた。すると、向こうから一人の男が歩いて来るのに出会した。シゲ草がすっかり取れていて、骨ばかりになった向笠を被った男であった。

 一本道である。擦れ違うために田尻少年は足を止め、道を開けようとした。すると男は、少年が道を避けるより先に畑の中に片脚を踏み入れ、体を斜めにして道を譲ってくれた。

 通り過ぎてから田尻少年は父に、今の人は誰だろうと尋いた。父は妙な顔をして誰も通った者はないと答えた。そして、「俺はお前が急に立ち止まるから、どうしたのかと思っていたところだが」と言ったという。

 

(163)

先年、土淵村の村内で葬式があった。その夜。権蔵という男が、村の者4,5人と連れ立って歩いていた。不幸のあった家まで念仏を唱えに行く途中のことである。突然、権蔵があっと叫んで道端を流れていた小川を飛び越えた。他の者は驚いて、いったいどうしたんだと尋ねた。

権蔵は、「今、俺は黒いものに突き飛ばされたんだ。俺を突き飛ばしたアレは、いったい誰なんだ」と答えた。他の者の眼には何も見えていなかったのである。

 

(137)

つい、近頃の話だと謂う。ある夜。遠野町の某という男が、寺ばかりが連なっている町を歩いていた。墓地を通り抜けようとすると、向こうから不思議な女が歩いて来るのに出逢った。男が何故不思議と感じたのかはわからない。しかし近付いて能く見ると、それはつい先日死んだ、同じ町の者であった。

 男は驚いて立ち止まった。死んだ女はつかつかと男に近づき、「これを持って行け」と言って汚い小袋を一つ、男に手渡した。恐る恐る受け取って見ると、何か小重たいものである。しかし、怖さは増すばかりであったから、男は袋を持ったまま一目散に家に逃げ帰った。

 家に戻り、人心地付いてから袋を開けてみると、中には銀貨銅貨取り混ぜた多量の銭が入っていた。その金は幾ら使っても減らない。

貧乏人だった男が急に裕福になったのはそのお蔭だと噂されている。

これは、俗に幽霊金と謂い、昔からままあるものである。

一文でもいいから袋の中に銭を残しておくと、一夜のうちに元通りいっぱいになっているのである。

 

 

 

『遠野のザシキワラシとオシラサマ』

佐々木喜善) (宝文館出版) 1988/4

 

 

 

<奥州のザシキワラシの話>

<子供の時の記憶>

・私達は、幼少の時分、よく祖父母から炉辺話に、ザシキワラシの事を聞かせられたものである。そのザシキワラシとはどんなものかと言えば、赤顔垂髪(さげがみ)の、およそ5、6歳の子供で、土地の豪家や由緒のある旧家の奥座敷などに出るものだということであった。そのものがおるうちは家の富貴繁昌が続き、もしおらなくなると家運の傾く前兆だとも言われていたという。私達は、初めはその話を只の恐怖を持って聞いていたものであるけれども、齢がやや長けてくると、一般にこの種のものに対していだくような、いわゆる妖怪変化という心持ではなく、何かしらそのものの本来が私達の一生の運不運と関係があるので、畏敬の念さえ払うようになったのである。世間でもまたこの通りとか、何処の何某の家にそのものがおるといえば、他では羨望に表した、多少の畏服を感じ、また本元でも吉端として、ひそかに保護待遇に意を用い、決して他の妖異におけるがごとく、駆除の祈祷や退散の禁呪などは求めぬのである。

 

 

<●●インターネット情報から●●>

 

ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)から>

夜這い(よばい)とは、夜中に性交を目的に他人の寝ている場所を訪れる日本の風習。

 

語源は、男性が女性に呼びかけ、求婚すること(呼ばう)であると言われる。

 

古くは、759年に成立した『万葉集』巻12に「他国に よばひに行きて 大刀が緒も いまだ解かねば さ夜そ明けにける」と歌われており、大正時代まで農漁村中心に各地で行われていた習俗。戦後、高度成長期直前まで、各地の農漁村に残っているところがあった。明治維新の近代化や農漁村への電灯の普及などにより明治以降は衰退する傾向にあった。このため、明治、大正の頃まで盛んだったのは、山深い山間部の村落中心であった。

多くの場合男性が女性のもとへ通うものだが、女性が通う風習を持つ地域もあった。

 

婚、嫁、結婚などの字を古くは「よばふ」「よばひ」と呼んだ。これは「呼ぶ」の再活用形で「つまどい」「つままぎ」などの語と共に求婚のために男が女のもとに通うことを意味した。昔の婚姻は結婚後も男が女のもとに通うのが普通であり、このことも「よばい」と言われた[要出典]。

 

古代日本の夫婦関係は妻問い婚であり、男女はそれぞれに住んでいて妻の元へ夫が通ってゆく形態であった。結婚というのは、家族に隠れてこっそりと夜這いを行うのではなく、堂々と通えるようになることを意味した。そもそも各地の共同体(ムラ)においては一夫一婦制と言う概念も希薄で、重婚、夜這いは当たり前であった。

 

かつての農村では、「村の娘と後家は若衆のもの」という村落内の娘の共有意識を示す言葉が聞かれることがあった。近代化以前の農村には若者組があり、村落内における婚姻の規制や承認を行い、夜這いに関しても一定のルールを設けていた。ルールには未通女や人妻の取り扱いなどがあり、この辺りの細かい点は地域によって差がみられた。下川耿史によれば、夜這いが盛んになったのは南北朝時代から鎌倉時代にかけての中世であり、村落共同体の若者組は、風流と呼ばれる華やかな祭りのリーダーだったという。

 

江戸など都市部では、村落と違う形に発達していった。これが、夜這いの衰退に繋がったと考えられるとする見方がある。1876年(明治9年)、現在の新潟県(相川県)で、夜這いを禁止する法律ができた。1938年(昭和13年)に起きた津山事件について、大阪毎日新聞が「山奥にいまなお残されている非常にルーズな男女関係の因習」と報じ、サンデー毎日が「娯楽に恵まれない山村特有の『男女関係』」と報じるなど、夜這いは否定的に見られるようになっていった。

 

津山事件(つやまじけん)または津山三十人殺し(つやまさんじゅうにんごろし)は、1938年(昭和13年)5月21日未明に岡山県苫田郡西加茂村大字行重(現・津山市加茂町行重)の貝尾・坂元両集落で発生した大量殺人事件。犯人の姓名を取って都井睦雄事件ともいう。津山市など近隣地域では「加茂の三十人殺し」と呼ばれている(または死者の数に尾ひれがつき水増しされ「三十二人殺し」「三十三人殺し」また「三十六人殺し」とも呼ばれる事がある)

 

2時間足らずで28名が即死し、5名が重軽傷を負う(そのうち12時間後までに2名が死亡)という、犠牲者数がオウム真理教事件(27名)をも上回る日本の犯罪史上前代未聞の殺戮事件である。 事件は犯人の逮捕にはいたらず、現場から逃走した犯人の自殺で幕を閉じた。

 

津山事件は、そのセンセーショナルな事件の内容から、小説・ドラマ・ゲームなど多くの作品で扱われたり、題材・モデルとされている。

 

<『八つ墓村横溝正史、角川文庫、1971年 >

・冒頭部で語られる村人32人殺し事件は、本事件がモデルとなっている(小説は事件の後日談の形を取っており、本事件そのものが全体のモデルになっているわけではない。また、犯人の境遇はまったく違う設定である)。

 

<『丑三つの村西村望毎日新聞社、1981年(徳間文庫、1984年 ISBN 4195675936)> 本事件を題材にしたノンフィクション小説。

 

1983年に監督・田中登、主演・古尾谷雅人で映画化された。封切り前に映倫が「全編が残虐で非道的」と判断、18歳未満の観覧を禁止する成人映画に指定された。

 

<「負の暗示」『神かくし』所収山岸凉子、秋田文庫、1998年 ISBN 4253172466 >本事件を漫画化した作品。

 

八つ墓村』(やつはかむら)は、横溝正史の長編推理小説。「金田一耕助シリーズ」の一つ。

 

本作を原作とした映画が3本、テレビドラマが6作品、漫画が5作品、舞台が1作品ある(2014年3月現在)。9度の映像化は横溝作品の中で最多である(次いで『犬神家の一族』が映画3本、ドラマ5本)。

 

1977年の映画化の際、キャッチコピーとしてテレビCMなどで頻繁に流された「祟りじゃ〜っ! 八つ墓の祟りじゃ〜っ!」という登場人物のセリフは流行語にもなった。

 

花街(花町とも書く)(かがい、はなまち)とは、芸妓屋、遊女屋が集まっている区域を指す名称である。花柳(かりゅう)という別称もある。売春防止法(1957年施行)までは多くの花街に芸妓と娼妓の両方がいたが、今日花街と呼ばれている地域は芸妓遊びのできる店を中心に形成される区域である。なお、料理屋・待合茶屋・芸者屋(置屋)がまとめて「三業」と称されるため、花街のことを「三業地」ともいい、地域により茶屋と置屋で「二業地」と呼ぶ。

 

 

 

文藝春秋』 平成27年3月特別号

『戦後70年の疲労 今こそ「第4の矢」が必要だ』

牛尾治朗 茂木友三郎 佐々木毅

 

 

 

<財界、官界、学界、労働界の有志が緊急提言>

・「日本アカデメイア」の92人が3年間討議を重ねた日本の未来。その議論が3人の提言となって結実した。

 

・この国は、戦後の日本社会に対する必要以上の幻想、つまり「余剰幻想」から抜け出せずにいるように思えるのです。

 少子化による人口減少、膨大な財政赤字、持続可能性が憂慮される社会保障制度――いずれも、ここまで事態が深刻化したのは、新しい時代にふさわしい思考に切り替えられなかった日本人の「余剰幻想」の産物にほかなりません。

 

少子高齢化によって、高度成長時代にデザインされた社会を大幅に見直さなければ、社会保障全体の維持が覚束ないことは、ずいぶん昔から明らかでした。すでに、社会保障給付額は14年には115兆円にまで膨らみ、25年には149兆円になるとされています。

 

<「人を説得する政治」へ>

・この政治不信の根底には、「大事なことを本音で語る政治家は少ない」という有権者の悲痛な叫びがある。

 

・このままでは日本は壊れてしまう。そのことに国民は気付いています。従って一刻も早く民主制を作り変えなければなりません。「人を説得する政治」を実現して、シルバーデモクラシーからヤングデモクラシーへというように日本の新しい長期ビジョンを打ち立てなくてはならないのです。

 

<制度疲労を乗り越える「三つの提言」>

<この難局を乗り切るため、2030年の日本の自画像を描く>

<提言1 戦後の生き方・働き方はもう古い>

・日本の会社員は戦後70年もの間、一斉採用、終身雇用、そして定年制という、いわば20世紀型の仕組みのなかにあり続けて来ました。この画一的な働き方が制度疲労を起こし、日本人の幸福を奪っていると考え、これまで当たり前だと思ってきた「定年」という固定観念の見直しを提言します。

 

年金生活という言葉を死語にし、若い時代から最低70歳、75歳くらいまでは健康でいきいきと働く。そして、社会に対して死ぬまで価値を生み出し続けていく。私たちの提案は、働き方にとどまらず、日本人の生き方の幅を広げる提案でもあります。

 

<若者、女性が社会の主役に>

・人口減少の抜本的な対策は、直ちに各界が始めねばなりませんが、簡単に解決できる問題ではありません。

 

<提言2 情報革命で本気の歳出削減を>

・税と社会保障、そしてその先にある財政再建をどうやって成し遂げるかは喫緊の課題です。毎年、社会保障給付額が2兆円から3兆円増えるといわれる現状では、今のシステムは早晩、行き詰まることが目に見えています。今の水準を維持し続けることはもはやできません。

 

・私たちは、その点を改善する前提として、税と社会保障の透明性を高めること、そのためにIT技術をフル活用することを提言します。日本の徴税システムはまだ抜け穴だらけといわれています。

 

・実は、そのために有効な制度が動き出そうとしています。国民全員に税と社会保障の共通番号を割り当てるマイナンバー制度が16年1月から本格導入されるのです。

 

ビッグデータ活用で生活者本位の医療を>

・さまざまなデータを電子化して蓄積すれば、ビッグデータの活用によって、さらなる歳出削減の可能性が広がります。

 

<提言3 政治の時間軸を立て直す>

・政党のガバナンスも根本から見直すべき時期に来ています。例えば、バラバラに規定された今の政党の姿を統一的な政党法制に置き換えることや、現在の政党助成制度の見直しも検討すべきです。

 

霞ヶ関の整理を>

・その結果、総理大臣、官房長官とその周辺が内閣官房内閣府の仕事に忙殺される事態となっています。内閣官房内閣府には、ありとあらゆる業務が乱立しています。

 

内閣官房内閣府の肥大化の問題に限らず、省庁の制度疲労は多くの官僚の指摘するところでもありました。機能不全に陥っている省庁については再々編も検討されてしかるべきです。

 

<「見えないもの」の価値を見直す>

・いま日本社会の「品位ある」存続可能性が問われています。国民の中に眠っている潜在力を最大限引き出す時期にきているのです。その意味で、国民の本当の意識の転換なしには、成し遂げられるものではありません。「パンとサーカス」にたとえられる民主政の根源的問題と向き合い、1人ひとりが受け身的な統治客体意識と決別しなければなりません。

 

<日本アカデメイア「長期ビジョン研究会 報告書」主な提言>

<日本力>

・(目標)次世代の生き抜く力を高め、選択の自由を最大にする社会を。文化の特質を軸に総合力としての「日本力」を構想。

 

① 70、75歳までいきいきと働ける多様な労働の場を拡大。年金受給開始年齢引き上げ。

 

社会保障・税の抜本改革を行う。負担と給付のバランスを見直し、持続性を高める。

 

③ 基礎科学分野の人材育成を強化。産官学で科学技術力を結集して生産性を高める。

 

④ 農業を6次産業化・知識集約化し、食文化、食産業をグローバル展開。

 

⑤ 伝統的観光資源と先端的文化表現などの革新的観光資源を開拓し、海外に発信。

 

<国際問題>

・(目標)東アジア地域に「安定を提供する日本」。米国と協力、豪・印・アセアンと連携し、中国に呼びかけ、普遍的価値を共有する開かれた「多次元的国際秩序」をめざす。

 

① 日本独自の柔軟な価値観外交を展開。価値観を押し付けるのではなく、民主主義や人権、法の支配等の普遍的価値を辛抱強く説く「ファシリテイター」を担う。

 

② 国内外の歴史的資料のアーカイブを創設。中高等教育で近現代史歴史教育を充実。

 

③ 課題先進国として医療・福祉・介護問題を解決したモデル国として貢献。

 

④ 対外発信を強化。政府に知的情報発信戦略の中心となる機関を設置。

 

⑤ IT技術を活用し日本語遠隔教育を無料提供。日本の放送コンテンツを世界に発信。

 

<価値創造経済モデルの構築>

・(目標)日本の経済社会に日常的なイノベーションを喚起・誘発する価値創造経済をつくる。その中核は個別企業の価値創造。

 

① 資源や労働力などの制約、高齢化など社会的課題のある分野のイノベーションに挑む。

 

② ロボット産業の国際競争力強化。サービス産業等広範な分野で活用し生産性向上。

 

③ 国際競争に打ち勝つ産官学の体制を整備。国際的に整合した知的財産権制度を確立。

 

④ 過当競争防止のため、競争に敗れた企業は退場し、経営資源を解放。

 

⑤ 誰でもイノベーションを起こす「ユビキタスイノベーション社会」に企業風土を転換。

 

<社会構造>

・(目標)重層的な信頼社会の構築をめざす。各分野で担い手となる中核人材を育成。戦後の生き方・働き方を見直し、人口減少に立ち向かう。

 

① 小中高の各段階で過疎地等で合宿型の長期共同生活学習を実現。

 

② 大学は理系、文系などの2分法から脱却。意欲あるすべての大学生が外国に留学。

 

③ 生涯にわたって複数の学位取得が可能な社会人向け大学・大学院教育を充実。

 

④ 年間有給休暇100%取得、50%時間外割増賃金率など労働条件をグローバル化

 

⑤ 地方で「準市民」を創設。一定の施策で「ふるさと投票制度」を検討。

 

<統治構造>

・(目標)政党政治の危機克服に向けて、合理的決定と主権者意識の確立を両立させるデモクラシーの構築をめざす。

 

① 各庁設置法を廃止。閣外大臣制の導入。国会審議を計画化し党首討論を定期開催。

 

衆議院選挙における惜敗率を廃止。定数是正自動化制を導入。

 

参議院憲法改正を視野に半数改選制廃止や法案採決儀要件の緩和等を検討。

 

④ 政党法制を検討。政党交付金の配分を得票比率中心に改め、政権交代基盤を安定化。

 

⑤ 18歳選挙権を早期実現。主権者としての政治教育を促進。立候補支援制充実。

 

 

 

『江戸の怪奇譚』

氏家幹人    講談社 2005/12

 

 

 

<神隠し>

<美少年はさらわれやすい>

・もちろん江戸時代に子どもが拉致誘拐されたのは、飫肥藩のようなケースだけではありません。上野寛永寺で楽人を務める東儀右兵衛の六歳になる倅(せがれ)が突然姿を消したのは、文化11年(1814)の初午の日でした。とても賢い子で寵愛していただけに両親の心配はひとかたならず、鉦や太鼓を叩いて方々を捜し回りましたが、見つかりません。そんな折、八王子の「呼出し山」で祈願すれば神隠しになった者はきっと帰ってくると教えてくれる人があり、藁をもつかむ気持ちで右兵衛は「呼出し山」へ出かけ、わが子の名を呼びました。

 

・倅は直ちにあらわれなかったものの、夜の夢に老翁があらわれ、何月何日に汝の家の近くで老僧か山伏に出会うだろうから、その者に尋ねてみよと告げられたとか、指定の日に老僧に会った右兵衛は、「ずいぶん別条なし」(心配ご無用)数日後の何日に戻ってくると言われ、はたしてその日、倅は無事に帰宅したということです。右は根岸鎮衛『耳嚢』(みみぶくろ)収録の一話。

 

・大正15年(1926)に刊行された柳田國男『山の人生』に「八王子の近くにも呼ばはり山といふ山があって、時々迷子の親などが、登って呼び叫ぶ声を聴くといふ話もあった」と見える「呼ばはり山」と同じでしょうか。「呼出し」にしろ「呼ばはり」にしろ、注目すべきは、神隠しや迷い子を捜す”聖地”が成立していたという事実です。行方不明者捜索の聖地を必要するほど、神隠しの犠牲者が多かったのでしょう。

 

・日常的な出来事だった子どもの神隠し。それは江戸時代にかぎらず明治以降も続きました。再び柳田國男の著述を引用すると。大正四年(1915)に『郷土研究』に掲載された「山男の家庭」という文章で、柳田は「加賀の金沢の按摩」が次のように話したと記しています。

 

「この土地も大きに開けました。十年ほど前迄は冬の夜更に町を歩いて、迷子の 〈 誰それと呼ぶ声と、これに伴なふ寂しい鉦の声を聞かぬ晩はありませなんだ」

 明治の末、20世紀に入っても、金沢では冬の晩には必ずと言っていいほど迷子捜しの悲しげな声が聞こえたというのです。眼が不自由なぶん、聴覚が研ぎ澄まされた「按摩」の話だけに、なおさら信憑性に富んでいるではありませんか。

 

・『山の人生』にはまた、「関東では一般に、まひ子の く 何松やいと繰返すのが普通であったが上方辺では「かやせ、もどせ」と、稍(やや)ゆるりとした悲しい声で唱へてあるいた」とか、鉦太古の叩き方はどこもほぼ同じで「コンコンチキチコンチキチの囃子」だったとも書かれています。迷子捜しは、関東と上方で呼び声が異なり、鉦や太鼓の囃子は全国ほぼ共通という意味でしょうか。迷子捜しの作法が固定化するほど、神隠しは日本人の生活に深く根ざしていました。そして「神隠しの被害は普通に人一代の記憶のうちに、3回か5回かは必ず聴く所」とも。それは民俗慣行のひとつと言えるほど身近な出来事でした。

 

<血を抜き、油を取る>

・日本全国ですくなくとも明治の末まで頻繁に起きていた神隠し、犯人は誰だ。再び『山の人生』をひもとくと、次のようなくだりに眼が止まりました。

 

「東京のやうな繁華の町中でも、夜分だけは隠れんぼはせぬことにして居る。夜かくれんぼをすると鬼に連れて行かれる。又は隠し婆さんに連れて行かれると謂って、小児を戒める親がまだ多い。村をあるいて居て夏の夕方などに、児を喚ぶ女の金切声をよく聴くのは、夕飯以外に一つには此畏怖もあったのだ」

 

・繁華な東京でも、子どもたちは常に神隠しの危険にさらされていて、犯人は「鬼」や「隠し婆さん」と言われているというのです。もちろん狐や狸の仕業ではないかと疑われ、地方によっては「隠し神さん」「隠れ座頭」等の名も挙がっていたとか。

 

「隠し婆さん」は古くは「子取尼」と呼ばれ、「小児を盗んで殺すのを職業にして居た」女性だと柳田は言う。 

 

<空飛ぶ天狗>

・神隠しの犯人はほかにもいました。『視聴草』には、天明元年(1781)の夏ごろから翌年にかけて、奥州会津から象潟(現・秋田県)までの広い地域で、15歳以下の少年少女を多数連れ去った「怪獣」の肖像が載っています。会津の塔の沢温泉で小児病の湯治に来ていた大勢の子どもが失踪したのも」この怪獣の仕業。会津磐梯山に潜んでいたところを松前三平という猟師に大筒で撃ちとめられたそうですが、その姿はご覧の通り。さて、一体何者だったのでしょう。

 

(当ブログ注;「長髪長尾のミニ怪獣(はたして児童集団拉致の犯人か)」の図絵とは、グレイの異類混血のようなイメージです)。

 狐狸、隠し婆さん、鬼、怪獣・・・。でも神隠しと言えば、主役はなんといっても天狗でした。

 

・文化三年(1806)には、美濃国郡上郡のある村で、14、5歳の重五郎という少年が風呂に入っている最中に天狗にさらわれましたし、平戸藩老公(前藩主)松浦静山の本所の屋敷に奉公していた下男にも、天狗に拉致された経験者がいました。文政八年(1825)に53歳になっていた源左衛門という名のこの下男、7歳の祝いに故郷上総国氏神に詣でた際に山伏(天狗)に連れ去られたというのです。8年後に家に帰ってきましたが、不思議や、7歳のときの着物に微塵も損傷がなかったとか。

 

・18歳になると、再び以前の山伏があらわれて、「迎に来れり。伴ひ行べし」(迎えに来た。さあ一緒に行こう)。帯のようなもので山伏の背に結いつけられ、風のような音を聞くうちに越中立山へ。その後、貴船、鞍馬ほか諸国の霊山を廻って天狗たちに剣術や兵法を学ぶなど不思議な体験を積んだ源左衛門は、19歳の年すなわち寛政三年(1791)に、天狗の世界を去る証状(証明書)と兵法の巻物や脇差を授けられて、人界に戻されたのでした。

 

・嘘のような話。さすがに静山公も当初は半信半疑でしたが、やがて信じる気持ちに傾き、結局のところ、「何かにも天地間、この傾き妖魔の一界あると覚ゆ」と天狗の世界の存在を認めています。天狗の神隠しの事例は、虚と自信を持って否定するにはあまりに多く、ポピュラーだったからでしょう。

 

・江戸大塚町の石崎平右衛門は、若いころ筑波山の天狗に数年仕えたのち、日光山の天狗に十露盤(そろばん)占いの法を伝授されましたし、池之端の正慶寺に奉公していた14歳の童子は、文化11年(1814)に天狗に伴われ、なんと「万里の長城」を上空から眺めるという稀有な体験をしています。神田鍛冶町の天狗庄五郎が「天狗」の異名を取ったのも、若い頃天狗に誘われて2、3年姿を消していたからにほかなりません。

 

・ほかに天狗甚右衛門の異名で呼ばれていた者もいました。彼もまた数年間の神隠しを経て戻ってきたのだとか。

 

・ところで静山は、讃岐国高松藩の世子が幼いころ矢の倉(現・中央区)の屋敷の庭で凧揚げをしていたとき目撃した不思議な光景についても記していました。はるか上空を頭を下にした女性が泣き叫びながら飛んで行くのを見たというのです。同じ光景は家来たちにも目撃されており、幼児の幻覚や思い込みではなかったようですが・・・・のちに世子は、あれは天狗が女をさらって空を飛んでいたのだと思うと幕府の坊主衆に語っています。

 

・はたして主な犯人は”空飛ぶ天狗”だったのでしょうか。もちろん、柳田も天狗による神隠しの例をいくつも挙げていますが、天狗説は「冤罪」と退けています。ならば誰が?柳田の推測では、古くから神隠しを頻繁に起こしてきた元区は、大和朝廷に排斥され山中に隠れ住んでいた人々の末裔。「神武東征」以前に日本に住んでいた先住民の子孫が、江戸はもちろん明治以降も山中に住み、「生殖の願」や孤独生活のさびしさから黄昏に人里にやって来て「美しい少年少女」を拉致したというのです。

 

<天狗の情郎>

・天狗か、先住民の末裔か、それとも悪質な修験者の犯行か。犯人の詮索はともかく、注目すべきは、柳田が神隠しの原因のひとつとして性的欲求を挙げた点でしょう。同様の指摘は江戸時代の随筆にも見え、『黒甜瑣語』(1795年序)には、当時神隠しになった少年や男たちが「天狗の情郎」と呼ばれていたと書かれています。「情郎」は通常「陰間」(かげま)と書いて、男色をひさぐ少年の意。江戸時代の人々は、神隠しの犠牲者はすなわち邪な性的欲求の犠牲者であると暗黙のうちに了解していたのです。

 

<はては宇宙から眺めた「国土」(地球)の姿まで、多彩な内容を克明かつ饒舌に披瀝した寅吉少年>

・性犯罪としての天狗の神隠し。とはいえそこには、現代のケースのように天狗=性犯罪者、少年=犠牲者と単純に割り切れない面もありました。

 

・介護や師弟関係が性愛と不可分だった時代、天狗の神隠しにも、われわれの常識では計り知れない面があったに違いありません。

 

この「身体検査」という言葉は、安倍内閣のときに一気に有名になった、一種の隠語である。要するに、登用しようとする政治家に金銭や異性の問題はないか、事前に行う調査のことだ(3)

 

 

『職場のLGBT読本』

柳澤正和、村木直紀、後藤純一   実務教育出版 2015/7/22

 

 

 

<LGBTを知っていますか?>

・LGBTは、Lesbian(レズビアン)、 Gay(ゲイ)、Bisexual (バイセクシュアル)、transgender(トランスジェンダー)の頭文字をとった、性的マイノリティ(少数者)を表す総称です。

 

・欧米ではアーティストからスポーツ選手、企業経営者や政治家に至るまでさまざまな職業の方が、カミングアウト(LGBTであることを公にする行為)をする例が増えています。みなさんもオリンピックで水泳の金メダルをとったイアン・ソープ選手や、アップルCEOのティム・クック、そして2015年にグラミー賞を獲得したサム・スミスなどのカミングアウトのニュースをご覧になられたかもしれません。

 

<日本でのLGBT事情は?>

・調査によると人口の5%~7%強(電通総研2012年、2015年)はLGBTだといわれます。13人~20人に1人です。日本の苗字で多い「佐藤」「鈴木」「高橋」「田中」さんは、合計600万人いるといわれますが、LGBTの推定人口はその数に匹敵する規模というわけです。

 

・本書が、おそらく日本で初めての、「ビジネス書・人事」の欄に置かれるLGBTの本になると思います。

 

<LGBT人口はどれくらい?>

性的少数者(性的マイノリティ)と言うぐらいですから、ストレートに比べたら少ないのでしょうが、実際にはどれくらいいるのでしょうか。人口の3%~10%というデータを目にしたことがあるのかもしれませんが、これほどの幅が生まれるのはなぜなのでしょう。それは、LGBT人口の統計というのは、さまざまな意味で正確な数値を出すことが困難になっているからです。

・アメリカではその後、何度も同性愛人口についての調査が行われてきました。最近の2003年の調査があり、性的に活発なアメリカ国民男性の4.9%が18歳以降に同性との性的行為を持ったことがあると回答しました。

 

・イギリスでは、財務省などがシビル・ユニオン制定の影響を調べるため、2005年に行った調査によると、イギリスにいるレズビアン、ゲイの数は360万人で、国民の約6%が同性愛でした。

 

古代ギリシアからルネサンス期>

・自然界にももともとたくさんあるように、人間界にも古来から同性愛はありました。よく知られているのは古代ギリシアです。プラトンは『饗宴』のなかで少年愛を美と結びつけて賛美しています。ポリス(都市)では、年長者が庇護者として少年を愛することが称揚され、それは少年を立派な市民に育て上げるという教育的な意味ももっていました。

 

・しかし、キリスト教が誕生し、同性愛を退廃とみなす中世の暗黒時代へと入っていきます。聖書の「ソドムの市」の記述から同性愛は「ソドミー」と呼ばれ、火あぶりなどの刑が科せられることもありました。

 

・『ホモセクシャルの世界史』を著した海野弘氏は同書で「キリスト教ホモフォビアを作ったのではなく、キリスト教が生んだ抗争がホモフォビアを助長したのかもしれない」と述べています。

 

ルネサンス期はネオプラトニズムの影響で同性愛に寛容なムードが広まる一方で、取り締まりも行われました。レオナルド・ダ・ヴィンチミケランジェロといった芸術家たちの同性愛は広く知られるところです。

 イギリスでは、エリザベス朝時代のクリストファー・マーロウやシェイクスピア、17世紀のフィリップ1世(オルレアン公)、ジェームズ1世ウィリアム3世の同性愛が有名です。18世紀には産業革命を背景に、今日のゲイバーの原型である「モリー・ハウス」が誕生し、庶民も同性愛や異性装を謳歌するようになったことが知られています。

 

<近代から現代>

・近代になると、家父長制と資本主義、ナショナリズムが結びつき、一夫一婦制が定着し、ジャーナリズムの発展とともに国家と大衆が同性愛者を非難・弾圧するようになり、ホモフォビア(同性愛嫌悪)が蔓延します。

 

・19世紀末、オスカー・ワイルドが同性愛のかどで逮捕・投獄され、フランスではヴェルレーヌランボーとの恋の終幕に拳銃を発砲し、逮捕されました。20世紀初頭には、ドイツで皇帝ヴィルヘルム2世の閣僚や側近が同性愛者として糾弾される一大スキャンダル、「オイレンブルク事件」が起こりました。第1次世界大戦の遠因ともなる、国家を揺るがすような事件でした。イギリスでは、経済学者のケインズ、作家のヴァージニア・ウルフやE・M・フォスターらの同性愛者・両性愛者が中心となったブルームズベリー・グループが活動し、パリではディアギレフやニジンスキー(ともに同性愛者)のバレエ団バレエ・リュスがセンセーションを巻き起こしました。

 

・女性に目を向けると、「ロマンチックな友情」と呼ばれて称賛された女性同士の友愛が19世紀に頂点を迎え、経済的自立を果たした中産階級の女性たちは共に暮らしはじめます(アメリカ東海岸では「ボストンマリッジ」と呼ばれます)。1920年代にはニューヨークなどにレズビアンコミュニティが誕生します。

 

・しかし、精神科医による同性愛者や異性装者というカテゴライズは、のちにそうした人々が異常だとか病気であると見なされることにもつながりました。そしてナチスは性科学研究所を破壊し、何万人もの同性愛者を収容所で虐殺……歴史上類を見ない悲劇が起こったのです。

 

・第2次世界大戦が終わり、男女平等や公民権運動が進んでもなお、依然として同性愛は違法であり、第2次世界大戦の英雄であったアラン・チューリングが同性愛のかどで逮捕され、ホルモン治療を強制され、自殺に追い込まれるという悲劇も起こりました

 

<LGBTの日本史>

・日本は欧米に比べ、LGBTに寛容な国だといわれてきましたが、おそらくその理由には、日本人が異性装、ことに女装が大好きだからということもあるでしょう。三橋順子氏は著書『女装と日本人』(講談社刊、2008年)において、ヤマトタケルの女装を端緒に、古代日本の女装した巫人(シャーマン)、王朝時代の稚児、中世の持者、江戸時代の陰間………と現代まで連綿と続く女装の系譜を検証しながら、日本文化の基層に「性を重ねた双性的な特性が、一般の男性や女性とは異なる特異なパワーの源泉になるという考え方=双性原理」があると述べています。

 

<「男色」大国だった日本>

・そのことも深く関係しますが、かつて日本は世界に冠たる「男色」大国でした。有史以来、日本の歩みは男色とともにあり、日本の歴史は男色文化に左右されながら、時にはそれが原動力となって動いてきました。

 古代の豪族からはじまり、空海が唐から男色文化を持ち帰って以来、稚児を愛するライフスタイルが爆発的な広がりを見せ(稚児は「観世音菩薩の生まれかわり」として崇拝され、僧侶の間では男色は神聖な儀式でした)、僧侶から公家、貴族、そして武士にも伝播しました。室町時代には喝食(かつしき)と呼ばれる美少年がもてはやされ(足利義満世阿弥が有名)、戦国時代には武将が小姓を寵愛し(織田信長森蘭丸をはじめ、ほとんどの武将が小姓を抱えていました)、やがて「衆道」へと至ります。「衆道」は念者と若衆の愛と忠節によって成立する崇高な男の契りであり、ちょうど古代ギリシアのように、少年を庇護し、立派な武士に育て上げる(軍の団結を強化する)意味合いももっていました。

 

・日本の男色は、政治をも大きく動かし、独自の文化を花咲かせ、日本的美意識とあいまって「宗道」と呼ばれる武士の人生哲学となり、江戸時代には若衆歌舞伎という一大娯楽産業(そして色子、陰間という売色のシステム)も誕生しました。この時代、色道の極みは男色と女色の二道を知ることだと言われ、陰間茶屋が栄えました。陰間の中には女形を目指して女装した者もいました。稚児などもそうですが、美少年はしばしば女装もしており、男色は現代とは異なり、疑似異性愛的なものでした。日本の男色史は女装史と不可分なものだったのです。

 

<明治以降~現代>

明治維新以後も「衆道」の名残りが薩摩藩などを中心に見られ、大正時代まで続きました。しかし、明治政府は、江戸以前の男色の文化を封建的な江戸の奇習、西南日本の悪習(それに影響された学生の悪習)、「文明」に対する「野蛮」として周縁化しました。富国強兵・殖産興業の国策の下、どんどん同性愛者は生きづらくなり、戦時中は「非国民」と呼ばれ、弾圧されました。

 

・戦後、待ってましたとばかりに同性愛者や女装者が活動をはじめますが、三島由紀夫の「禁色」に描かれているように、まだアンダーグラウンドなものであり続け(歴史の教科書も男色を隠蔽し続け)、ほとんどの同性愛者は偽装結婚を余儀なくされました。それでも、女装したママのゲイバーやブルーボーイのショークラブ、二丁目のゲイバー街ができ、丸山明宏(美輪明宏)のようなタレントが登場し、ニューハーフやミスターレディがメディアを賑わせるようになり、というかたちで次第に世間に浸透していきました。(その後もカルーセル麻紀、おすぎとピーコ、ピーターらをはじめ、現在のマツコ・デラックスに至るまで、数多くのオネエタレントが活躍してきました)。

 

<同性愛の世界地図>

・西欧や北米、中南米オセアニアでは同性婚または同性パートナー法が認められている国もありますが、中東やアフリカ、東欧では、まだ同性愛者を弾圧する国がたくさんあります。近年、この二極化が進みつつある一方で、日本をはじめとする東アジア・東南アジアでは、ひどい差別もないが保護する制度もない、という状況が続いています。

 

・同性愛が違法となっている国(国外追放や終身刑、死刑などの極刑に処せられる可能性がある)

イラン、サウジアラビア、イエメン、スーダン、ナイジェリア、モーリタニアソマリア

 

日本アイ・ビー・エム株式会社>

・1950年代には米国企業としてもいち早く、個人の尊重、機会の均等をコーポレートポリシーとして宣言し、すでに80年代にはLGBTにも注目し、差別禁止規定のなかに「性的指向」「性自認」という文言を入れています。ダイバーシティ施策の一環でLGBTへの特化ではなく、人種の違いや障がい、女性と同様に尊重するものでした。

 

 マイノリティの従業員の定着、意識向上を考え、ロールモデルをいかに輩出していくか、平等な福利厚生、継続性、LGBT市場の開拓やブランディング、賛同してくれる仲間の企業をつくる、といったことに取り組んでいます。客観的な調査機関のサーベイ(調査)にも積極的に応じて、差別のない職場環境の整備と維持を心がけています。

 

<さまざまな企業の取り組みを知ろう>

・そこに風穴を開け、いち早くLGBTへの働きかけを行ったのが、今はなきリーマン・ブラザーズ証券でした。2004年に入社したヘイデン・マヤヤスさんが、社内でLBGLN(リーマン・ブラザーズ・ゲイ・アンド・レズビアン・ネットワーク)という当事者ネットワークを立ち上げ、LGBTの従業員同士で親交を深め、同性カップルの結婚を祝福したり、識者を招いて講演会を催したりしていました。そして「多様な人材を抱えることができれば顧客提案の幅も広がる」との考えから、2006年3月には早稲田大学など7大学のLGBTサークルに声をかけ、社内のLGBT支援システムをアピールし、優秀な人材の確保に乗り出しました(2008年以降、リーマン・ブラザーズ証券の取り組みは、野村證券へと受け継がれていきます)。

 

ゴールドマン・サックス証券株式会社>

ゴールドマン・サックスは、多くのLGBTが活躍している世界有数の金融機関です。イギリスでは「LGBTが働きやすい会社トップ100」の6位に選ばれています。

 

・日本法人では2005年に社内LGBTネットワークが設立されました。

 

野村証券株式会社>

・2008年9月にリーマン・ブラザーズ証券が破綻したあと、野村證券リーマン・ブラザーズの欧州とアジア拠点の部門を継承した際に、ダイバーシティインクルージョンのコンセプトとともにLGBTネットワークが野村證券に引き継がれることになりました。

 

 

 

『妖怪の理 妖怪の檻』

京極夏彦    角川書店  2007/9

 

 

 

柳田國男の妖怪談義を巡って>

・現在、“妖怪”を語る時には必ずといっていい程引き合いに出されてしまう柳田國男も、最初から「妖怪」という言葉を使用していたわけではありません。

 例えば、有名な『妖怪談義』(1956/修道社)に収録されている論文の中で一番古い「天狗の話」が書かれたのは明治42年(1909)のことなのですが(それは井上圓了が活躍していた時代です)、その中に「妖怪」の2文字を見出すことはできません。のみならず初期、中期の論文において柳田は、天狗は天狗と記し、大太法師は大太法師と記すだけです。柳田國男がそうしたモノの総称として「妖怪」という言葉を頻繁に使い始めるのは、大正も半ばを過ぎてからのことなのです。

 

・ただ、柳田國男はその学問の創成期から民俗の諸層に立ち現れる“怪しいモノゴト”に深い興味を示してはいました。

 柳田はまた、それを怪しいと感じる人間の心の在りようを研究することに学問的意義を見出してもいたようです。加えて、柳田が比較的早い時期に「妖怪」という言葉を“述語”として採用しようとしていたこともまた、事実ではあります。

 

・そして柳田以外の民俗学者達が「妖怪」という言葉を術語として頻繁に使い出すのは柳田が昭和11年(1936)雑誌『日本評論』(日本評論社)に論文「妖怪談義」を発表して後のことと思われるのです。

 

・また当時流行し始めていた心霊研究、さらには海外のスピリチュアリズムなども、柳田の視野には収まっていたはずです。

 ならば、日本民俗学を学問として確固たるものにするために、そうしたある意味いかがわしさを含んだ学問と一線を画する必要が、柳田には確実にあったはずなのです。民俗の中の“怪しいモノゴト”を扱うにあたって、さらにはそれを“妖怪”と名づけるにあたって――「妖怪」という言葉を術語として使うために、柳田國男は、井上、江馬、藤澤、そして心霊科学、そのどれとも異なった道を模索せざるを得なかったのでしょう。

 

<『古今妖魅考』は平田篤胤が記した書物で、天狗に関する多くの記述がある>

・柳田が“妖怪”と“幽霊”を明確に区別したがったのは、過去(文献)だけを研究対象とした江馬のスタイルと決別するという主張の現れだったのではないでしょうか。それはまた、民俗学を近代的な学問――科学とするための一種の方便として捉えることも可能です。

 

<黎明期の民俗学を巡って>

・柳田は全国各地の習俗や言語など“民俗”に関わる事象をくまなく調査し(必ずしも自らが全国を巡ったわけではないのですが)、蒐集・蓄積した膨大なデータを様々な形で纏め、世に問うています。しかし、纏められた資料や論考を俯瞰した時、“性”と“差別”に関わる記述が驚く程に少ないということに気づくはずです。まったく触れられていないというわけではないのですが、それにしても扱われている情報は僅かで、扱い方も常に淡泊です。

 これは、それらの情報が蒐集の網から漏れた故に生じた“不備”ではありません。

 それはむしろ、意図的に“取捨選択”がなされた結果であるものと思われます。“性”や“差別”に関わる情報は、なにがしかの基準によって選り分けられ、隠蔽されてしまったようなのです。

 但し、その選別作業がどの段階で行われたのかは定かではありません。

 

・柳田の許に届く前、例えば蒐集の段階で捨てられてしまったという可能性も、もちろんあるでしょう。しかし、たとえそうであったのだとしても、何らかの基準なり指針を示したのが柳田であったことは想像に難くありません。

 柳田は“夜這い”などの性に関する習俗や、取り上げること自体があからさまな差別の誘因となり得る事象などに対しては極力言及しない――という方針を持っていたようです。これは柳田個人の(そうしたものを好まない)性質・信条に因るものだという見方もあるようですが、それを踏まえた上での、一種の“戦略”であったと捉えられることも多いようです。

 立ち上げ間もない民俗学を守るための――学問の一分野として成立させるための――それは学問的“戦略”だというのです。つまり民俗学が卑俗なものとして受け取られることを虞れたあまり、誤解を受けそうなテーマを緊急避難的に遠ざけた――ということになるのでしょうか。

 

・ただ、柳田國男が意図的に「妖怪」なる言葉を民俗学用語として採用し、ある程度積極的に使用したことは明らかな事実ですし、その結果として現在私たちが知る“妖怪”という概念が形成されたことも事実でしょう。

 

・性的習俗・差別的文化の取り扱い方が、柳田の学問的“戦略”であったのだとしても、また、単に柳田の個人的な嗜好の発露であったのだとしても、柳田がなにがしかの基準を以て蒐集した情報を取捨選択していた(あるいはさせていた)という事実に変わりはありません。

 そうした事実がある以上、ここでまず問題にしなければいけないのは、その“基準”そのものでしょう。

 それでは、その基準と果たしてどのようなものだったのかを考えてみましょう。

 

・筆者はその基準を、取り敢えず“通俗性の有無”と要約することができるだろうと考えています。

 通俗とは、“下品”であり“幼稚”であり“下劣”である――学問的でない――と言い換えることもできるでしょう。柳田國男は高名な学者であり、官僚でもあり、インテリゲンチャのホワイトカラーであり、現在でも、およそ通俗とはかけ離れた印象を以て受け入れられている人物です。柳田が通俗を厭うたというもの言いは、いかにももっともらしく聞こえることでしょう。しかし、それはあくまで“印象”に過ぎません。

 

・風俗史学が“下品”で“幼稚”だなどと述べているわけではありません。前述のとおり、風俗史学は(民俗学とは以て非なるものではありますが)きちんとした理念や体系を持つ、れっきとした学問です。

 ただ、明治期から昭和初期にかけて、風俗研究の名を借りた通俗的な言説が一種のブームとなっていたこともまた、紛れもない事実なのです。

 

・もちろん、性であれ差別であれ、研究者は決して下世話な興味本位でそれらを俎上に並べたわけではありません。風俗史学の内部では、それらはいずれも学問的な研究対象として、真面目に取り扱われています。しかし、研究者がどれだけ真摯な姿勢でそれらと向き合っていようとも、そうした対象を扱うという行為自体が、好奇=通俗の視線に晒される要因となるのだとしたら――通俗化を回避することは難しいといわざるを得ません。

 戦後のカストリ誌などで好んで扱われたネタの多く(猟奇趣味、犯罪心理、性愛記事、秘境探検記事など――)は、そうした“風俗研究ネタ”の直接的な焼き直しです。

 

・風俗史学が「過去のモノゴトを現代に紹介する」学問だとするなら、民俗学は「過去を知ることで現代を知る」学問です。風俗史学が「特定の場所や時代を研究する」ことに終始するのに対し、民俗学は「古層を探ることで現在を理解する」ためになされる学問なのです。

 実際、柳田以降もその二つは時に混同され、集合離散を繰り返すこととなります。

 

・柳田が“性”や“差別”を禁じ手としたのは、そうした手本があったからなのでしょう。それが柳田の個人的な嗜好であったのだとしても、学問の卑俗化を防ぐための戦略であったのだとしても――柳田の視野に風俗研究が収められていたことは疑いのないことのように思えます。

 

柳田國男は、どういうわけか「妖怪」という言葉だけは捨て去ることをしませんでした。それどころか、柳田は晩年に至って「妖怪」という言葉に拘泥し始めるのです。先に挙げた基準が正しいものであるならば、「妖怪」は真っ先に捨てられていて然るべき言葉であったのでしょう。

 

<明治の雑誌をなどを巡って>

・明治30年代に入ると、圓了の著作以外の場でも「妖怪」という言葉が使用されるようになります。

 

・明治政府は圓了以上に迷信や旧弊を弾圧しました。明治期には、まじないや因習を禁止した政府令がいくつも出されています。反体制という場所に立って眺めるならば、圓了も明治政府も同じことをしているように見えたはずです。

 

・合理を前面に打ち出した圓了の場合、現象の背後には何もありません。「起こり得るか/起こり得ないか」の二者択一で、非合理なものは「起こらない」「ない」というのが圓了の立場です。

 平井の場合は多少違っています。神霊(心霊とは微妙に違う概念です)の有効性を信じる者にとっては、すべての事象はなにがしかの「意志の結果」なのです。「起こり得ないこと」であっても「起こるべきこと」は「起こる」ということになるでしょう。

 

・二人の違いとは、現象の背後にある“モノ”を想定しているかいないか、ということです。

 平井の文中にそうした“超越者”に対する記述はいっさいありません。しかし、先に述べたように、平井が後に心霊研究の方面に手を伸ばす人物であることは事実です。平井金三にとって大切だったのは、「何が起きているか」「それは起こり得ることなのか」ではなく、「何故起きたのか」、あるいは「何が起こしたのか」だったのではないでしょうか。

 健全な“妖怪”=“神仏”が「在る」のであれば、不健全な“妖怪”もまた「在る」ということになります。

 

・天狗の話も河童の話も、フォークロアや寓話としてではなく「本当にあったこと」として語られているわけです。

 現代に置き換えるなら「私は宇宙人に遭った」「自殺者の霊がトンネルに現れた」というのと同じ文脈で天狗や河童が語られているわけです。天狗も河童も実在するモノゴトとして、要するに“オカルト全般”として扱われているということ――即ち井上圓了の引いた枠組みの中で語られているということ――になるでしょう。

 

・圓了の仕事によって、“妖怪”の名の下にそれまで乖離していたいくつかの事象が統合・整理されたことは間違いないでしょう。それは、後にオカルトなる便利な言葉が一般化したために、超能力やUFO、心霊現象やUMAなど、本来無関係であるはずのものごとがひと括りにされ、新たな体系が編まれた事情と酷似してもいます。

 

<郷土研究の社告を巡って>

・その当時「妖怪」という言葉は、通俗の場においてこそ“化け物”というニュアンスを帯びつつあったものの、学問の場において、また枠組みとしては(結果的に)圓了の独壇場だったといえるでしょう。しかし柳田は(たぶん敢えて)この枠組みから外れた使い方をしてみせます。

 

民俗学は(というよりも柳田國男は)もちろん近代的学問を目指しはしたのでしょうが、決して前近代を否定する立場をとっていたわけではありません。民俗学にとって前近代は否定するものでも肯定するものでもなく、近代を知るための“研究材料”だったのです。

 

・たしかに圓了といえば迷信否定――今でいうならオカルト否定派の急先鋒です。心霊研究とはおよそ馴染まないように思えます。しかし、繰り返し述べている通り、圓了が厳しく糾弾したのは“前近代”なのです。

 心霊科学という言葉からも判る通り、心霊研究は、“科学的”な発想をその根底に持っています。

 

<再び柳田と民俗学を巡って>

・明治末から柳田が抱えていた「山人」という大きな研究テーマ――『後狩詞記』(1909/自費出版)や『遠野物語』(1910/聚精堂)などを生み出す原動力ともなり、南方熊楠との、いわゆる「山人問答」を通じて明確化したテーマ――に、柳田はここで終止符を打ちます。そして研究対象を平地人=常民へと移して行くのです。

 そうした様々な変遷の中、柳田は「妖怪」という言葉とは距離を置き続けます。と――いうよりも、柳田は、「妖怪」という言葉をまったくといっていい程使っていないのです。

 

・昭和9年(1934)、柳田は現在もなお“妖怪”研究の基本文献のひとつとされる『一目小僧その他』(小山書店)を上梓します。

 一つ目小僧、目一つ五郎、隠れ里、橋姫、ダイダラボッチと――論文中で扱われているのはいずれも(現在の感覚では)紛う方なき“妖怪”ばかりですが、やはり「妖怪」という言葉は一切使用されません。

 

・金城は、最初に挙げた「マジムン」を「妖怪変化の総称」としています。続く「ユーリー」は、マジムンと同義であるとしながらも(那覇では)「人間の死霊」に限定する呼称であると述べています。

 

<様々なコトバを巡った後に>

・柳田は、“妖怪”に対する自らの指針を正当化するために、まず“幽霊”を“お化け”のカテゴリから切り離さなければならなかったのではないか――。

 そのような観点から柳田の仕事を見直した時、“妖怪”と“幽霊”に関する柳田の定義も、かなり脆弱な論拠の上に成立している限定的な言説として捉え直されてしまいます。

 柳田の定義は概ね次のように要約されて、広く人口に膾炙されてしま

います。

 

① 幽霊は人に憑くが妖怪は場所に出る。

 

② 幽霊は深夜に出るが妖怪は薄暮に現れる。

この二点は“妖怪”と“幽霊”の決定的な差異として様々な場面で引用されています。

 

・人に取り憑くモノは“幽霊”ばかりではありません。狸も狐も、鬼も天狗も河童も、わけの判らないモノだって人に憑きます。“憑き物”を外しても、個人につきまとう“幽霊”以外のモノはいます。一方で同じ場所に出続ける“幽霊”もたくさんいます。そうした“幽霊”は不特定多数に祟ることもあります。昨今の言葉でいうなら“地縛霊”ということになるでしょうか。柳田の定義を押し通すなら、“地縛霊”は“幽霊”ではなくなってしまいます。

 また、出現時間に関しても同じことがいえるでしょう。深夜に訪れる恐ろしいモノが、すべて“幽霊”かといえば、そんなことはありません。夕暮れに目撃される“幽霊”も多くあるでしょう。それは今にかぎらず、過去にも多くあったのです。

 定義から漏れるものは認めない、という態度もあるのでしょうが、そうするとかなり無理をして分類し直さなければならなくなります。

 

・ただ、生涯を「妖怪学」に捧げた井上圓了と違い、柳田國男の“妖怪”研究は、その膨大な仕事のうちの、ほんの一部にしか過ぎません。しかし、割合としては少ないまでも、柳田にとって“妖怪”が一種「特別な」研究対象であったことは疑いようがありません。

 

この「身体検査」という言葉は、安倍内閣のときに一気に有名になった、一種の隠語である。要するに、登用しようとする政治家に金銭や異性の問題はないか、事前に行う調査のことだ(2)

 

 

『晋三よ!国滅ぼしたもうことなかれ』

~傘張り浪人人生決起する~

亀井静香    メディア・パル  2014/11/29

 

 

 

<小学校3年生のときに迎えた敗戦のショック>

吉田茂岸信介は小さな抵抗はしたかもしれないが、大きな流れでいえば従米路線を進め、それが自民党、つまり日本の政治の主流となっていったんだ。

 

<交渉は相手の力を利用して制す合気道の極意で>

・ただ、集団的自衛権はまずかった。

 世論の大方の反対を押し切って、閣議決定で変更することをやってしまったことも。開けてはならないパンドラの箱をいじってしまったんだな。

「実際問題、集団的自衛権が使えるか」って晋三に問い質したが、

彼はただ黙って聞いていた。

使えるわけがないのだ。ダメだと話をしたが、本人も今になって「しまった」と思っているんじゃないかな。

TPPは、大企業含めてそれで得する連中もいるが、集団的自衛権の問題は、カネではなく命の問題であり、日本の平和と秩序の問題だ。

 

<純ちゃんの改革を総括する>

<「政治の従米化」「マスコミの洗脳」「国民の劣化」>

・この章の目的は、俺のほんとうの意味での敵が外来種新自由主義であることと、その新自由主義の出鱈目な正体を明らかにすることだ。そのためには、どうしても純ちゃんの改革について語らないわけにはいかんだろ。

 あれから10年、郵政民営化とは結局なんだったのかって考えると、「政治の従米化」「マスコミの洗脳」「国民の劣化」を痛感するね。

 政治家は国民のための政治をするのではなく、それを権力におもねったマスコミが情報操作、アレンジして伝え、一方、国民も痛みを痛みとも感じず生体反応を起こさないほど劣化した。それが今も続き、ますます悪くなっている感じだ。

 あのとき純ちゃんは「官から民へ」とか、「改革なくして成長なし」ともっともらしいことを言っていたね。「痛みなくして改革なし」とも言ったが、結局、ほとんどの人に「痛みだけあって改革なし」だったってことだ。

 

・聖域なき改革とか三位一体の改革とか、改革が素晴らしいもののように思わせ、マスコミもそう誘導した。彼らのバックには、郵政民営化で得する大スポンサーがいたから当然だろう。

 郵政民営化だけを争点に、衆議院解散して選挙に臨んだのは狂気の沙汰だった。法案が参議院で否決されたからといって、衆議院解散するというのは憲法違反の暴挙だな。民主主義を冒涜する以外の何物でもなかった。自民党内でも多くの人が反対していたが、党執行部は彼らを脅したりあやしたりして鞍替えさせていた。

 俺は郵政民営化が明らかにアメリカからの年次改革要望書(日本の弱体化を狙う勢力や、郵政の財産を狙ったアメリカの保険や金融資本の意図した)に沿ったものであると承知していたので、徹底的に反対した。

 

・郵便にしても、簡保にしても、郵貯にしても、あるいは、それ以外のサービスを含め、郵便局は地域に密着したコミュニティーの拠点だから潰すわけにはいかないんだ。日本の重要な社会基盤の一つなんだが、やつらはそれを壊そうとした。

要は「官から民へ」ということを、十把一絡げでやるのはあまりにも単純過ぎるということ。

「改革」にしたって中身が問題ってことだよ。

 

<結果は「働けど働けど我が暮らしよくならず」>

・この10年、改革によって日本がよくなったと思っている人はほとんどいないだろう。いるとしても1パーセントのカネを握っている連中だけだろうな。あとの99パーセントの人々の生活はますます苦しくなって、全然いいことないと感じているのではないか。

 つまり、その改革が国民のためではなく、自分たちに都合のいい、つまりバックにいる新自由主義のグローバリストたちに都合がいいものだったってことだ。日本の財産が掠め取られ、「働けど働けど我が暮らしよくならず」という風になってしまった。その、日本人の富を吸い上げる仕組みが、この10年でつくられてしまったんだ。

 

<我が反骨と抵抗の半世紀>

・カネがないからアパートにも住めない。それで、東大・本郷のキャンパス内にある合気道部の道場『七徳堂』の隅に布団とミカン箱を持ち込んだ。俺は合気道のヌシだったからできたんだ。

 全日本学生合気道連盟を俺はつくって委員長だった。東大の合気道部を同好会から部にしたのも俺だ。副委員長が大平(正芳元首相)さんの息子だった。彼は慶応の合気道部のキャプテンで金持ちだから、飲んだら全部払ってくれた。

 家から仕送りをしてもらうわけにもいかない。飯が食えない。仕方がないからアルバイトを見付けるしかなかった。石油モーターの消費実験をするアルバイトを見付けてきた。夜間のアルバイトもやって、朝方に帰ってきて、勉強を始めたんだ。

 

<嵐を呼ぶ警察官時代>

自治省のおごりでピンサロ三昧>

・あまりにやることが派手だったから亀井対策として、後に新党さきがけの代表となる武村正義自治省から地方課長として埼玉に送られてきたくらいだ。

 で、夕方5時くらいになると、「亀ちゃん、行こう、行こう」とハイヤーを待たせて誘いにくる。俺も嫌いじゃないから、ピンクサロンなんかへ1軒、2軒と付き合ってやった。

 ところがあいつは、「亀ちゃん、もう一軒行こう」って誘うんだ。仕方がないから付いて行ってやったけどね。

 あいつが村山政権で大蔵大臣をしているとき、大蔵官僚のノーパンしゃぶしゃぶ接待疑惑が持ち上がったんだよな。あいつが彼らを、「首にする」と言い出したから、「何言っているんだ。おまえだって、遊びまくったじゃないか」と脅すと、「昔のことは言わないでくれ、言わないでくれ」って懇願してきた。

 結局、懲戒処分にするのを諦めて処分保留にしてたな。

 

<社会のゴミをなくすために国会を目指す>

<誰にも相談しないで出馬を決意>

・いくら警察で頑張っても所詮、社会のゴミ掃除だ。社会のゴミを出さないようにするしかない。そんな考えで政治家になろうとした。

 

<晋三の親父さんから「帰ってこい」と言われ>

・代議士となり、自民党では清和会に入った。俺を推挙してくれた永山先生の流れからだ。当時は晋三の父晋太郎さんが派閥の長で安倍派と呼ばれていた。

 実は一度、清和会(安倍派)を除名処分になっている。

 

<政権内でも暴れまくり>

<今でもスチュワーデスに礼を言われる俺>

・村山政権が誕生して、野坂さんが俺に、「組閣では、好きな大臣を選んでくれ」と言ってきた。俺も久し振りに日の当たるところでやれるんだなあ。よかったわいと思って涙が出たよ。そして運輸大臣になったんだ。

 

・「ダメだ。俺は認めない。日航に取り消させろ。スチュワーデスは、お茶汲みじゃない。あれは重要な安全要員なんだ。同じキャビンで同じ仕事をしているのに待遇が全然違う。更に、安く使おうというのか。そんなことでコスト削減を図ろうなんてとんでもない話だ。ただちにやめさせろ」と指示した。

 

・どの会社でも試用期間っていうのはあるから、3年間は試用期間。アルバイトじゃない。3年経ったら無条件で正社員にする。事故のときは正社員並みに扱うという文言を、自ら書いたんだ。給料も2倍以上に引き上げた。

「これは最終案だぞ。文句があるなら辞めろ」と通達したんだ。今でも、国際線や国内線に乗っていて、年配のスチュワーデスから、

「私は、先生のおかげでアルバイトからスチュワーデスになれて、今は責任者の立場で働いています」と何人も礼を言うんだよ。スチュワーデス神社ができたって言われるくらい、俺は救いの神になったんだ。

 

<ハワイでゴルフをしながら2兆8000億円の財源確保>

・俺がハワイでゴルフをしていたわずか10日ほどで、223事業を中止にし、2兆8000億円くらいをカットしたのだ。

 結果、2兆8000億円の財源をつくったわけだ。財源づくりまでこっちはしてやったんだから、大蔵省がガタガタ言うことではない。そして、建設省農林省に必要と思われる新規事業をバーンと付けた。

 

自衛隊全軍をすぐ福島に派遣しろ!>

・「どのくらいだ」

「8000名の陸上自衛隊を派遣しました」

「おまえ、何を言っているんだ。こういうときに頼りになるのは、自衛隊と警察と消防だぞ。特に自衛隊だ。陸海空を全部派遣しろ。全指揮を統幕議長にとらせろ」と命じたのだ。その後、菅に、「副総理をやってくれ」と2時間近く口説かれた。菅は、俺が一応剛腕だというイメージがあるから、それを副総理にすることで格好付けようとしたんだ。

 

<真の敵は外来種新自由主義

<人類は文明から大反逆を受けている>

・自然環境だけじゃない。人間社会でも異常が常態化し、人々の心も文明から反逆を受けている。原発事故や公害、あるいは薬害問題など、人々の命を脅かすことが頻発している。

 

<人々の幸福や生命までも奪われていく>

・彼らは国を超え自由に経済活動をすることで人類の繁栄をもたらすと考えているようだ。「グローバリズム」(世界主義)とも呼ばれているが、要は自分たちが独占したいだけ。自分たちの価値観やルールを「グローバルスタンダード」とか言って世界中に押し付け、自己の止まるところを知らない欲望を、ただ満足させようとしている連中である。

 

<日本人よ、洗脳から目を覚まして立ち上がれ>

・そんな新自由主義的なグローバリズムに対して、「冗談じゃない!」と声を上げる人々が現れた。何が正しくて何が間違っているかを自己判断でき、行動できる人たちだな。

 お膝元のアメリカでもヨーロッパでも。またアジアの国々でも新自由主義的なグローバリズムに対して、デモや言論による抵抗と反発の動きが起こり始めている。

 

外来種の思想ではなく土俗の政治が日本を救う>

<地方再生は農漁業がカギ>

<日本人の根っこは農漁村にあるんだ>

・そこにTPP(環太平洋パートナーシップ協定)でしょ。TPPは新自由主義の典型的な政策。日本の農家が大打撃を受けるのは明らか。関税が撤廃された、安い米やら野菜、果物が大量に入ってきたら、間違いなく壊滅する。アメリカやオーストラリア、ニュージーランドといった農業大国と戦ったら、中小零細の日本の農業なんかあっという間に木端微塵だ。

 今でも食料自給率は40パーセントだが、TPPでは10パーセント台になると言われている。文明の反逆を受ける現在、天候不順などで日本に食料が入ってこないと、餓死者が続出することだってあり得るんだ。俺は、農業は森の番人、漁業は水の番人として大切に守らなければならないと言ってきた。これらの風景は日本人にとって心の原風景だけでなく命の支えでもあるんだよ。

 農業と漁業は食糧安全保障の要。それを価格で勝負が決まる自由競争の場に出すということ自体、そもそも考えが間違っている。

 

<狙われた農協と農業潰しの背景にある意図>

・食べるものがなければ、いくら最新の車や電化製品があっても生きていけない。日本にとって大事なのは、TPPで輸出を促進したり安い農作物を輸入したりするのではなく、日本の農業を立て直すことだ。

 

アベノミクス絵空事

所信表明演説から消えたアベノミクス

・今まで、わかっていても書かなかったが、各週刊誌もいろいろ書き始めている。隠し子騒動の話まで飛び出した。上り調子のときには書けなくても、今なら大丈夫というところだろう。見るに敏というか、マスコミもいい加減なものだ。

 

<晋三に注意した、博打場となった株式市場>

・だから俺は総理に直接電話でも言ってやった。

「なあ晋三、今、兜町はどうなっていると思ってる。近頃の株式市場は産業資金を調達する場ではなく、ただの博打場になっているじゃねえか」

それに対して信三から特に否定する言葉は返ってこなかった。だから心のどこかでそう思っているのかもしれないな。

 

<株価が上がれば景気がよくなるというのは嘘>

アベノミクス実施後、株価は上昇し、兜町界隈の懐は暖かいかもしれないが、それ以外の場所で景気がいいという話はほとんど聞かない。むしろ、寂れて荒廃しているのが今の姿なんだよ。

 

今の日本では円安はマイナス要因だ

現在の日本の産業構造では、円安というのは、日本人が一所懸命つくっているものを外国に安売りしていることに他ならない。

 円高対策で数兆円程度の為替介入をしたところでその効果は一時的だ。逆に投機的な動きがある中、「虚の世界」にもてあそばれるだけ。ここでも、まさにグローバルな資金を使った外資たちが、儲けている。

 もちろん為替を安定的に推移させるためにはいろいろな施策をやらなければならない。だが、実体経済を伴わず、ただ日銀がカネを出しまくって円安に持っていくというのは通貨の価値が下がるだけだ。

 

アベノミクスは日本を叩き売っている>

アベノミクスは円安で日本売りを図る政策だが、バナナの叩き売りみたいもの。日本の財産を投げうっているというもんだ。

 

<黒田の馬鹿たれは欲求不満を爆発させている>

・黒田は財務省では本流から外れていたんだよ。欲求不満が溜まっていたのかもしれないね。いずれにせよ中央銀行の立ち位置を踏み出し、政治的な動きになっている。これは、日銀の独立性を尊重した従来の日銀総裁はやらなかったことだ。前任の白川だって「この石頭!」と言われながらも、一応かたくなに守っていた。

 とにかく日本は、アベノミクスの下、国を挙げてマネーゲームに走っているんだよ。

 

実体経済小泉改革以降、ガタガタになっているから、使い道のないカネが結局、兜町に流れたってことだ。日銀の通貨政策で実体経済が上向くというのは、今の日本では絶対に不可能なこと。そんなの現場を見れば馬鹿でもわかる。

 

<2本目の矢も結局空振っている>

・2本目の矢もひどいんだよ。

 アベノミクスの2本目の矢は、「機動的な財政出動」ということになっているが、空振っているな。これも、晋三とそのブレーンが全く日本の現状を見ないで、外国で聞きかじった経済政策をやった結果だろう。

 

<ドブに向かって跳ぶ矢もある>

・「総理、地方のニーズに合わせた予算を組んで、実際に執行されるような政策をしないと、絵に描いた餅になるぞ」これも晋三に直接言ったことだ。

 何千億、何兆円の予算を組んでも、地域の経済が活性化していく、地場産業が元気になるような具体的な手当てをしないと、スーパーゼネコン向けのムダな公共事業に終わって、カネをドブに捨てるようなものになっちまうよ。

 

<晋三を操る新自由主義者どもの大罪>

<真空地帯にすーっと入ってきた竹中平蔵

・本当は成長戦略こそもっとも重要なものだが、結局1本目と2本目でカネをばら撒き、株価、物価、消費税は上がり、景気は後退したわけだが、一部の連中だけが潤ったということだ。

 実は、総理は経済に関してはあまり得意じゃない。だから取り巻き連中はやりたい放題。人がいいから任せたという感じだろうが、国民にとってはたまったものではないな。

 だから、始末が悪いことに、小泉改革以来、日本をさんざん混乱させた新自由主義的な政策が始まった。「改革」というまやかしだ。

 

<やつらの規制緩和で日本はガタガタ>

・日本人が得られるべき富が吸い取られ、ますます庶民の生活が苦しくなってしまった。給料も物価も売上も上がらないというデフレスパイラルに陥ってしまったんだ。

 

新自由主義政策で産業の空洞化が進む>

新自由主義的経済政策では大企業に有利だが、その大企業だって当時は業績低迷で必死だったから、下請け孫請けのケアどころではなかった。

 

<働く人の懐から掠め取った恥ずべき利益>

そんな外来種新自由主義に牛耳られつつある今の日本。そこで大企業がやっていることは、非正規社員をどんどん増やして安い労働力を確保し、会社の利益を上げていくというものだ。その利益を社員に還元するのではなく、株主の配当に重点を置いている。

 

<弱い者いじめの税制・年金・社会保障

<大儲けの企業からは取らずに庶民から取る>

・現在、日本の企業は全体で300兆円以上の、過去最大の内部留保を貯めている。従業員の懐に入ったり、下請け孫請けに回ったりする分を取って貯めた結果だ。今、そこに法人税減税をやると総理自身が言っている。

 結局、税制においても強者から取らないで一般庶民から取るべく、消費税という形で担税させた。しかも更に10パーセントにするという。

 

<弱い者いじめを批判しないマスコミたち>

社会保障政策だってことごとく弱いものいじめだ。

 介護だって、医療だって、現政府が進めているのは、全部、お年寄りや弱者に対しての負担増だ。大病院に行く場合には、紹介状がなければ初診料を全額自己負担という話も出ている。カネのないやつは病院に行くなという感じだな。

 介護保険にしたって、年金だって受給年齢や受給期間の条件をやたらと厳しくしている。

 

社会保障に明るいはずの晋三だが>

・重要なのは、その年金の基本理念だ、国民の信用を取り戻す努力とともに、個々の意識改革も大切。

 例えば、年金の必要のない金持ちまで、もらえるものはもらわなければ損だというのでは、いくら納付率を上げようが税収を増やそうがムダなんだよ。富裕層への支給は控える制度設計にしなくてはね。

 いずれにしても超少子高齢化社会を迎える以上、今のままでは持続は不可能になるし、世代間での負担の格差が広がるばかりで若い人には希望が持てなくなる。だから年金だけでなく社会保障制度全体の抜本的な改革が必要なんだ。

 晋三も、俺が自民党政調会長のときに社会部会長をやっていたから、そういう社会保障問題でついては詳しいはずなんだが、弱者をいじめて、反対に富裕層への恩恵ばかり助長するようなことをやっている。

 

この調子では日本はどんどん新自由主義的な、強きを助け弱きを挫く政策に染まってしまう。

 

  

 

『世界を見る目が変わる50の事実』

ジェシカ・ウィリアムズ  草思社 2005/4/28

 

 

 

<50の事実>

1.日本女性の平均寿命は84歳、ボツワナ人の平均寿命は39歳

 

2.肥満の人の3人に1人は発展途上国に住んでいる

 

3.先進国で最も妊娠率が高いのは、米国と英国の10代

 

4.中国では4400万人の女性が行方不明

 

5.ブラジルには軍人よりも化粧品の訪問販売員のほうがたくさんいる

 

6.世界の死刑執行の81%はわずか3カ国に集中している。中国、イラン、米国である

 

7.英国のスーパーマーケットは政府よりも多くの個人情報をもっている

 

8.EUの牛は一頭につき1日2.5ドルの助成金を受け取る。年額にすると世界旅行が可能だ

 

9.70カ国以上で同性愛は違法、9カ国で死刑になる

 

10.世界の5人に1人は1日1ドル未満で暮らしている

 

11.ロシアで家庭内暴力のために殺される女性は、毎年1万2000人を超える

 

12.2001年、何らかの形成外科手術を受けたアメリカ人は1320万人

 

13.地雷によって、毎時間1人は死傷している

 

14.インドでは4400万人の児童が働かされている

 

15.先進国の国民は年間に7キロの食品添加物を食べている

 

16.タイガー・ウッズが帽子をかぶって得るスポンサー料は、1日当たり5万5000ドル。その帽子を作る工場労働者の年収分の38年分

 

17.米国で摂食障害を患っている女性は700万人、男性は100万人

 

18.英国の15歳の半数はドラッグ体験済み。4分の1は喫煙常習者

 

19.ワシントンDCで働くロビイストは6万7000人。連邦議員1人に対し125人

 

20.自動車は毎分、2人を殺している

 

21.1977年以降、北米の中絶病院では8万件近い暴力事件や騒乱が起きている

 

22.マグナルドの黄色いアーチがわかる人は88%。キリスト教の十字架はたった54%

 

23.ケニアでは家計の3分の1が賄賂に使われる

 

24.世界の違法ドラッグの市場規模は4000億円ドル。製薬市場とほぼ同じ

 

25.アメリカ人の3人に1人は、エイリアンがすでに地球に来たと信じている

 

26.拷問は150カ国以上で行われている

 

27.世界では7人に1人が日々飢えている

 

28.今日の米国に生まれる黒人新生児の3人の1人は刑務所に送られる

 

29.世界で3人に1人は戦時下に暮らしている

 

30.2040年に原油は枯渇するかもしれない

 

31.世界の喫煙者の82%は発展途上国の国民

 

32.世界の人口の70%以上は電話を使ったことがない

 

33.近年の武力紛争の4分の1は天然資源がらみ

 

34.アフリカのHIV陽性患者は約3000万人

 

35.毎年、10の言語が消滅している

 

36.武力紛争による死者よりも自殺者のほうが多い

 

37.米国で、銃を持って登校し退学になる生徒の数は、平均して週に88人

 

38.世界には「良心の囚人」が少なくとも30万人いる

 

39.毎年、200万人の女性が性器切除される

 

40.世界中の紛争地帯で戦う子供兵は30万人

 

41.英国では総選挙の投票者数よりも、テレビ番組でアイドル選びに投票した人のほうが多い

 

42.米国のポルノ産業の規模は年間100億円ドル。海外援助額と同じである

 

43.2003年、米国の防衛費は約3960億ドル。「ならず者国家」7カ国の防衛費総計の33倍

 

44.世界にはいまも2700万人の奴隷がいる

 

45.アメリカ人が捨てるプラスチック・ボトルは1時間に250万本。並べると、3週間分で月に達する

 

46.ロンドンの住民は、監視カメラで1日300回撮影される

 

47.毎年、西欧向けに人身売買される女性は12万人

 

48.英国で売られるニュージーランド産キウイは、その重量の5倍の温室効果ガスを排出している

 

49.米国は国連に10億ドル以上の未払い金がある

 

50.貧困家庭の子供たちは、富裕家庭の子供たちに比べて、3倍も精神病にかかりやすい

 

<「50の事実」に何ができるか>

・読み進めていくうちに、いくつかのことが明らかになるだろう。何より、世界を取り巻く問題の多くは、富める先進国と貧しい途上国との、醜い不平等に起因していることだ。

 

<私は、これら50の事実が世界を変えると確信している。>

・「思いやりがあり、行動力のある人々は、たとえ少人数でも世界を変えられる――それを決して疑ってはなりません。実際、それだけがこれまで世界を変えてきたのですから」

 

<中国では4400万人の女性が行方不明>

・2002年10月、中国の新華通信社は最新の国勢調査を発表した。それによると、2000年には女児100人に対し、男児は116.8人生まれていた。そこには、かすかだがはっきりと警告の響きが感じられた。過去2回の国勢調査と比べても、この男女比は拡大している。『上海スター』 紙は、こうした傾向が続けば、約500万人の中国人男性が結婚相手を見つけられなくなると伝えた。そうなれば、家庭、経済、社会的サービスにも問題が生じるだろう。ある専門家は、自暴自棄になった男性による女性の誘拐が増えるとさえ警告している。

 

・この不均衡は、中国やインドをはじめ、東アジアや南アジアにおいて男の子を望む傾向が強いために生じた。女の子を望まない親たちは、性別診断で胎児が女児とわかると、中絶に走る。実際に生まれても、女児の多くは生後数日から数週間で殺されてしまう。親たちはそれを自然死に見せかけるために、手を尽くして警察や衛生当局の目を欺く。幸いにも生き延びた女児も、出生届は出されない。その結果、教育や福祉ばかりか、充分な食事さえ与えられない日陰の生涯を歩む。

 

・インド、中国、台湾の出生率は着実に下がりつづけて西欧並みになりつつあるが、それでも女児への偏見は根強い。

 

・出生登録をされない子供たちには、どんな運命が待ち受けているのか?法律的には、彼らは存在を認められていない。だから学校に行くこともできず、公的機関の診療も受けられない。彼らの生活条件は、ひどく限られている。

 

<アメリカ人の3人に1人は、エイリアンがすでに地球に来たと信じている>

・30%の人々が「これまでに報告されている未確認飛行物体の一部は、他の文明からやってきた本物の宇宙船」だと答えており、45%のアメリカ人が地球外知的生命体はすでに地球に訪れていると回答している。

 

・実際、軍の発表と目撃者の言い分には食い違いがあった。エイリアンの死体が、いまやすっかり有名になったロズウェル空軍基地の「エリア51」に運びこまれるのを見たという人々もいる。1994年には、「エイリアン検死」の様子であるとのふれこみの怪しげなビデオも出回った。

 

 

 

『世界を見る目が変わる50の事実』

ジェシカ・ウィリアムズ  草思社 2005/4/28

 

 

 

<70カ国以上で同性愛は違法、9カ国で死刑になる>

・同性愛が死刑の対象になる国が9カ国ある。モーリタニアスーダンアフガニスタンパキスタンチェチェン共和国、イラン、サウジアラビアアラブ首長国連邦(UAE),そしてイエメンである。

 

・1979年のイランにおけるイスラム革命以来、4000人以上の同性愛者が処刑されたと推計されている。

 

・世界で70カ国以上がレズビアン、ゲイ、同性愛者、あるいは性倒錯者を差別する法律を有している。

 

・社会においては同性愛は「病気」として扱われ、ゲイやレズビアンは精神医療による「治療」を強いられてきた。

 

・しかし、多くの国々で事態は変わりつつある。2003年6月、米最高裁判所は、同性カップルの性的行為を禁じるテキサス州法に違憲判決を下した。この判決は、テキサスだけでなく、他の13州における類似の法律を一挙に無効にすることになった。

 

・さらに同性愛のカップルも異性愛のカップルと同じように子供を育て、家族の絆を持ち、結婚に関する判断を下すことができるとした。これらは米国憲法に保障された権利と確認したのである。

 

・米国市民自由連合はこの判決を「LGBT(レズビアン、ゲイ、両性愛者、性倒錯者)にとって、これまでで最も有意義な判例」と呼んだ。

 

・国際人権団体も同性愛を公言する人々の保護を求める働きかけで注目を集めており、おそらくはそれがまた保護手段になっているだろう。

 

 

 

『国家の実力』   危機管理能力のない国は滅びる

佐々淳行渡部昇一   致知出版社     H23/6/30

 

 

 

<中国に対抗するための「核シェアリング」という発想>

(佐々)アメリカは日本のために核戦争はやりません。ただ、ちょっと心配なのはアングロサクソンというのは撤退するときに、焼土作戦をやって引き揚げていくのです。物を残さないで破壊してしまう。だから、日中を軍事的に破壊することはあり得ないけれど、経済的、政治的に破壊していくケースは考えられなくないんです。中国の一部になられたら困るわけですからね。

 

(渡部)日本には「核シェアリング」という発想が重要だと思うんです。そうすると中国と戦争は起きない。にらみ合っているうちに向こうはひっくり返りますよ。中国が総選挙のできるような国になれば、戦争の危険はあまりなくなるわけだから、それまで日本は核シェアリングをしたいというようなことをアメリカに対して表明すればいい。

 

(佐々)ただ、今は運の悪いことに原発事故が起き、国内で反核ムードが高まっていますからね。まず国内を説得しなければなりません。核シェアリング論にとって、これはとても困った状況ですね。

 

<警察官不足で危機に瀕している国内の治安>

(佐々)「ポリティコ・ミリタリー」や「ポリティコ・エコノミー」や「ポリティコ・ファイナンス」を唱えて研究する人は、いるのですが、「ポリティコ・ミリタリー」をやる人はいません。ましてや治安、防衛、外交の三点セットをすべて学んだ人はほとんどいない。私は、たまたまそれを学ぶことになったわけですね。だから、次の総理には治安、防衛、外交をやってくれる人になってほしい。今の内閣は、正反対です。「治安、防衛、外交だけはやらない」という人たちの集まりですから。

 

(佐々)私が、警察に入ったころから警察庁が言っているのは、人口5百人あたり警察官一人が必要である、と。人口が1億なら20万人の警察官が必要だと言っているのですが、なかなか実現しない。

 

・この間の1万人の増員が完成して5百5人に1人。

 

・しかし、諸外国と比較してみると、イタリアはカラビニエリという警察騎兵隊を入れると272人に1人の割合で日本の倍以上になっています。それから、アメリカは353人に1人。イギリスが366人に1人、ドイツとフランスがそれぞれ314人と286人です。ところが埼玉県などは現在でも639人に1人です。

 

・だから被害者が警察に助けを求めていたのに、警察は忙しいものだから「恋愛沙汰には民事不介入の原則で手を出せない」なんて言って放っておいたら、それで被害者が殺されてしまいました。あの時は、ごうごうたる非難を浴びたけれど、本当に人がいなかったんです。

 しかも、定員を増やさないまま、どんどん仕事が増えました。また、コンピュータ犯罪が出たり、愉快犯が出たり、犯罪の種類もどんどん広がっています。

 

小泉純一郎元総理の知られざる功績>

(佐々)小泉さんは2回目の自民党総裁選の立会演説会で「空き交番をゼロにする」と言いました。そして、実際に1万人の警察官増員をして平成19(2007)年までに空き交番はなくなったのです。これはすごいと思いました。

 

この「身体検査」という言葉は、安倍内閣のときに一気に有名になった、一種の隠語である。要するに、登用しようとする政治家に金銭や異性の問題はないか、事前に行う調査のことだ(1)

 

『堂々たる政治』

与謝野馨   新潮社   2008/4

 

 

 

官房長官として30日>

・「与謝野さんは事務所費の件、大丈夫ですか」

「うちは事務所費に関しては税理士を入れ、ちゃんと過去の分も監査しているし、いまは1ヶ月に1回、税理士の人が来て、全部点検していますよ」

 

・こうして私は、安倍改造内閣官房長官に就任した。

 官房長官として第1に考えたことは、私自身が記者会見や何かの発言で、絶対に間違わないようにしようということである。記者会見での言葉遣いには、とくに神経をつかった。

 

・通常の閣僚は、記者会見前に官僚から説明を受けるのだが、私は、とくに必要な時以外はこうしたブリーフィングをあまり受けなかった。

 

・内閣の基本的な方針は総理大臣が決めるものだが、個人的には、永田町を含めた巷にはびこる「市場原理主義」的な考えと戦うということを密かに心に決めていた。

 

<率直さが魅力だった安倍総理

・このとき信三氏は、ミサイル防衛など専門的な事について、アーミテージ氏とも対等に話していた。アーミテージ氏が「アベさんは、非常によく物を知っている」と驚いていたことは今でもよく憶えている。最新の知識のみならず、戦前も含めた外交史、中国、韓国などの権力構造にまで詳しかったことに、私も驚いた。

 

官房長官は番頭役>

官房長官を重要ポストに変えたもう一つの要因として、財務省の力が落ちたことも挙げられる。

 

<梶山氏から学んだ役人操縦術>

官房長官としての梶山氏は、「良い奴」と「悪い奴」の区別、識別がとにかく早い。そして「悪い奴」と判断した相手は、徹底的にどなりまくって対決していく。官僚の言うことなんか聞かない。ブルドーザーみたいにとにかく推し進める。後藤田氏とは対極のタイプだったという。

 

・梶山氏ならではの手腕で官僚をコントロールする場面は、何度も目の当たりにした。

 

・「与謝野たちの世代は、戦争の本当の悲惨さを知らねえだろう」とよく言われたものである。この言葉は今でも耳に残っている。

 

・梶山氏が亡くなった後、追悼文に思い出話を書けと言われて書いたら、原稿用紙で30枚にもなってしまった。それを届けたら1人3枚だと言われて書き直したが、私の書いた元の原稿は、聞くところによると、茨城にある梶山氏の家の仏壇に飾ってあるらしい。

 

<天才的なカンとひらめき>

郵政民営化構造改革を掲げた小泉純一郎元総理は、5年5ヶ月という戦後3番目の長期政権を担った。小泉氏の長所というものは、訓練によって得られたものではない。生まれつきもっている天性のカンとひらめきが、経験の中で磨かれていったというところだろう。自分が目指す改革が実現できなければ「自民党をぶっ壊す」。とまで宣言した小泉のやり方を、普通の政治家が真似しようとしても無理である。生まれつきのカンとひらめきが備わっていないから、多分、真似はできない。

 

・後で小泉氏の秘書官だった飯島勲氏に聞くと、小泉政権での登用にあたっては、徹底的に「身体検査」をしたという。この「身体検査」という言葉は、安倍内閣のときに一気に有名になった、一種の隠語である。要するに、登用しようとする政治家に金銭や異性の問題はないか、事前に行う調査のことだ。小泉内閣のそれは非常に徹底していたので大きなスキャンダルがなかったのに対して、安倍内閣は甘かったから様々な問題が続出した、とはよく指摘されるところである。

 しかし、小泉内閣の身体検査は、通常イメージされる金銭や異性絡みのスキャンダル調査だけではなかったようだ。その政治家の主義主張も、国会での過去の質問をはじめ何から何まで全部調べあげたらしい。それが私の登用につながっていた。

 

<肝心な時は人に相談しない>

・要するに、人に相談すると平均的な答えしか返ってこないということが、よくわかっていたのだ。このときに、参院で否決されて衆院解散などということまで想定していたかどうかはわからない。ただし、小泉氏ほど「自分で決める」という信念を強く持っている人はいないのは確かである。

 この点で思い出すのが、安倍内閣の組閣だ。安倍氏が他人に相談せずもっと好きなようにやっていたら、ああはならなかったのではないか。いろんな人の意見を聞いて話を広げると、往々にして結論は平凡になってしまう。組閣という「肝心なとき」に人と相談しなかった点でも、小泉氏は天才だったのだろう。

 

<ワンフレーズ・ポリティクスの恐ろしさ>

・しかし、郵政という問題にまず熱狂したのは実は、政治家ではないだろうか。それも対抗勢力である郵政民営化反対派が、大した問題ではないのにもかかわらず、これに命を懸けてしまった。それでこの問題が実際よりも大きくなってしまったのだ。

 当時はこんなことを言ったらおかしいと思われただろうが、現実的には、郵便局が民営であろうと公営であろうと、国民の生活を決定的に変えるような話にはならない。少なくとも短期的にみて、国民が不自由するようなものではない。ところがこれを天下の一大事だと、まず政治家が思ってしまった。ここには事実認識、時代認識のずれが相当あったと思う。

 

・しかし、小泉氏に常識は通用しない。ただ、これはほとんど本質的な問題ではないし、今後もああいうタイプの天才がそうそう出てくるわけではないだろうから、あまり考えても仕方がない。

 

・むしろ、このとき改めて感じ、今でも忘れてはならないと思うことは、小選挙区制度の恐ろしさである。以前、カナダの与党が169あった議席を2議席まで落としてしまったことがあった。これも小選挙区制ゆえに起きたドラマである。

 日本の場合は、小選挙区とはいえ比例代表もあるので、そこまで極端なことは起きないだろう。それでもほとんどそれに近い地すべりというか、表層雪崩のような現象が起きたからこそ、自民党が圧勝することになった。

 

・今思えば、解散した瞬間に、国民は勧善懲悪の精神から小泉氏に軍配を上げていたのではないかと思う。

 

自民党はぶっ壊れたか>

・土木建築業者は、バブルがはじけた時には53万~54万社あった。そのときに補正予算バンバン使ったものだから、不況下でも土木建築業者だけは増えて58万~59万社になった。約60万社として300の選挙区で割ると、1選挙区に2000社の土木建築業者があることになる。つまり2000人社長がいる。

 ところが、小泉政権以降、その人たちが「公共事業を何とかくれ」と文句を言っても、中央はやらない。地方自治体もロクにできない。仕事も作れない自民党なんか応援できない、という話になる。

 

・こうなったいま、政治家に出来ることは、個人レベルでの努力しかない。当たり前すぎてつまらないと思われるかもしれない。しかし、最終的に問われるのは、政治家としてきちんとしているかどうか、そのことに尽きる。ちゃんと地元を回って、地元の声をよく聞いているかどうか。人格的にも物の考え方も、高い志に支えられているかどうか。

そういうことによって政治家が選ばれる時代になった。

 

<新聞の社説にとらわれない>

・以来、日本の政治は、支持率など世論の動向を見ながら運営される傾向が強まる一方である。世論主導型政治となってしまった。

 

<小泉構造内閣の評価>

・私は今でも、小泉構造改革路線は、あの時点では政策として正しかったと思っている。問題は、この小泉改革の成功によって、「市場原理は常に正しい。小さな政府路線はいつも正しい」ということが「永遠の真理」として証明されたと信じている人々、「市場原理主義」と呼ぶべき輸入品の考えを振り回す人々がいることだ。

 効果的な経済政策の中身は、その時々の世界経済の動きや、国内状況の変化に応じて変わるものだ。いつでもどこの国でも有効な「永遠の真理」のごとき経済政策は、残念ながら人類は発見できていないし、これから先も発見できないであろう。なぜなら、経済の世界を構成する変動要因はあまりに多すぎるのである。

 

<米国は「市場現実主義」>

・少し話がそれたが、アメリカですら、経済を絶対的な市場原理主義に基づいて運営しているわけではないということを再度強調しておきたい。むしろ市場の限界を冷徹に見極め、時々の状況に応じて柔軟に対応している。いわば、「市場現実主義」とでもいうべき立場だと私は理解している。 

 

<落選3回、当選9回>

<結婚と出馬>

・中曽根氏の勧めで、選挙に立候補する決意をしたのは、1971年のことだった。

 

・今考えれば、若気の至りの稚拙な思いつきだったと思う。現に、選挙は得票数4万963票の次々点。後になれば、そういうパフォーマンス的な運動だけでは通用しないことがよくわかる。

 それから4年間、私は黙々と選挙区を歩いた。落選とはいえ、次々点になったという実績は大きく、地元の方がようやくまともに私を相手にしてくださるようになってきたのを感じた。四谷の小さな事務所を拠点に秘書何人かと黙々と地元を歩き、地元のあらゆる会合に必ず顔を出した。

 こうして2回目の選挙を迎えることになった。もっとも、4年間も待つことになるのは予想外であった。人気が4年とはいえ、普通は平均すると3年目には選挙が行われていたからである。過ぎ去ってみれば短かったのだが、ひたすら選挙区を歩いて準備をしている身には、途方もなく長く感じられた。

 

<当選、そしてまた落選>

・当時、東京1区自民党現職は強固な地盤を持っていた。それ以外には共産党社会党がそれぞれ当選しているという現状の中で、新人の私が議席を得るのは非常に難しいというのは誰しもが認めるところだった。

 

・このときの経験から言うと、いまの小選挙区制は新人が出にくいという欠点があると思っている。あらゆる選挙区であとに続く者が出やすい中選挙区制の方が、自民党としての活力が維持できるのではないか。私はいまでもそう考えている。

 

・大平内閣が一番重点をおいたのは、財政の再建だった。それが1979年に迎えた2期目の選挙では仇となったかもしれない。それでもこの選挙、当初の世論調査の結果は非常に良く、私としてはトップ当選を目指していた。それも驕りにつながったのだろう。結果は、大雨で投票率が下がったこともあり、千数百票の差で次点となってしまった。2度目の落選である。

 この開票日のことは、いまでもよく覚えている。落選を報告しにきた秘書に、私が「ところで島村氏と鳩山氏はどうなっている?」と聞いたところ、2人とも落選した、とのことだった。

 

<身にしみた温かさ>

・落選後3週間くらいは力が出てこなかったが、1ヶ月もするともう一度挑戦しようという意欲が湧いてきて、再び選挙区を歩くことにした。

 

・落選したにもかかわらず、支持者の皆さんは温かかった。70歳を過ぎたあるご婦人は、私を連れていろんな知り合いのところを歩いてくださった。本当にありがたく、そのような方々に連れられて、毎日毎日100~150軒も選挙区を歩き続けた。そんな励ましを受けながらも、「これから3年間これを続けていくのは辛いな」とも思っていた。

 ところが、前回は4年間も待たされたのに、今度はたった7ヶ月で次の選挙が行われることになった。

 

 

<野党に転落>

・選挙の後でも自民党は第一党であったが、「政権を作る数にはとても足りない」と思案しているうちに、小沢氏が日本新党細川護熙代表を担いで、8つの党派による連立政権を樹立し、自民党は野党に転落した。

 その時点で10年以上国会議員をやってきたとはいえ、野党なんてやったことがなかったので、何をしていいのかわからなかった。あるとき、困り果てて中曽根氏のところへ出向き、「先生、野党の仕事って何ですか」と尋ねた。その答えは、

「何が何でもそのときの政権を倒す。政策も何もない。とにかく政権を倒すことが野党の仕事だ」

 という単刀直入なものだった。今の民主党は、ある意味でこの言葉通り、野党の仕事をしていると言える。

 

・帰国しても四谷の事務所で、午後になるといつも本を読んでいた。ふっと見たらウィスキーの瓶がある。昼間の3時ごろ、氷もないので水道水でウィスキーの水割りを作って飲んだ。実にうまい。野党になったときのお酒の味は格別においしいと実感した。以降しばらくは、夕方になると酒を飲んでうさを晴らしていた。

 事務所でひたすら読みふけっていたのは物理学の本だった。マックス・ブランクが創始した量子力学を勉強しようと思って、20冊ぐらい本を買って全部読んだ。

 

<入閣と落選、そしてガン>

・振り返れば、七転び八起きの人生である。最初の挫折が駿台予備校の試験で不合格、次に三菱商事の入社試験に失敗、3回目は最初の衆議院で落選、4回目は2期目を目指す選挙で落選、5回目が2000年の選挙で落選、それから6回目はやはりガンになったことだ。6回転んだが、官房長官としてまた起き上がった。

 安倍改造内閣の顛末を7回目と見る人がいるのだろうが、私はそれを挫折に入れていない。あれは自分の挫折ではない。 

 

<政治家の王道>

<中曽根氏の言葉>

・私に就職先を世話してくれたのも、政治家としてのイロハを教えてくれたのも、すべて中曽根氏である。様々な局面で言われたことは今でもよく憶えている。

 

・秘書になってからも、いろいろ面白い話を伺った。

「派閥の親分というのは、どういう素質が必要なんですか」

と聞いたら、しばらくして返ってきた答えが、「母性愛だな」続けて、

「いろんな性格の議員が大勢いる。それをみんな抱えていかなければいけないんだから、母性愛がないとやっていけないだろう」

 また、「政治家は、人を突き放すようなことができない。そういう職業なんだ」とも話していた。これは母性愛に通じる言葉だ。

 

・私見だが、田中角栄元首相の派閥のあり方は「父性愛かな」と思うことがある。

 

<熟成ゆえの重み>

・常に我々以上に勉強しており、我々以上に人と会って、我々以上に人の話を聞き、外国の人とも会って話をしている。それは「いつか総理に復帰しよう」というような思いからではないだろう。リタイアしても生活に困るはずもない。誰に文句を言われるわけでもない。それでも、自分なりに日本や世界の将来のことを考えるということが、人生に与えられた使命だと思っている。それが中曽根氏の生きがいなのだ。

 だから、中曽根氏はマージャンをやる人間をものすごく嫌う。「あんな無駄なことはない」と言う。私はマージャンが大好きなので、この点では少々肩身が狭い。

 

・そして、熟成にはやはりある程度の年月が必要だと思う。

 地位が人を作る、ということもあるのだから、安倍氏ももう少したてば地位によって熟成できたかもしれない。その点は惜しかった。一方で、周囲の熟成度も足りなかったとも思う。

 

<小沢・与謝野、囲碁対決の真相>

・小沢氏がまだ自由党党首だったころ、「もう僕の楽しみは、日曜日の12チャンネルの朝の碁とNHKの碁の番組しかないんだよ」なんて言っていたことがある。「囲碁・将棋チャンネルというのがあって、囲碁か将棋を朝から晩までやっていますよ」と教えたら、「本当?」と興味津々である。そこで自由党の本部に私がその囲碁・将棋チャンネルの申込書を届けてあげた。

 その後すれ違ったとき、「ご覧になっていますか」と聞いたら「紹介してくれたのはいいけど、あれを見すぎて腰悪くしちゃった」と言う。そのくらい好きなだけあって、囲碁についてものすごく勉強している。

 

<政治家の王道>

・それでは、政治家にとって一番大切なのは何か。

 それは、肝心なときにものを言い、肝心なときに行動をすることである。清潔であることでもないし、演説がうまいことでもない。そういう些末なことではなく、良い世の中を後の世代に残そうという理想の下で、肝心なときにものを言い、行動すること。

 

<役人は使いこなすべき>

・役人は少し褒め、少しおだてて方向性を与え、あとは政治家が責任を取る。そうすれば役人はいくらでも知恵を出すし、いくらでも働く。

 優秀な人たちの能力を活用しなければ、日本国全体として損だ。ずるい言い方をすれば、我々凡人は少々働いて少々遊んでいればよく、優秀な役人たちは遊ばないで働き詰めに働いてもらって、その成果を国民みんなで分かち合う。これがバッシングするよりも利口なやり方だ。

 

・役人の中には立場を利用して悪いことをする者も出てくるが、この種の汚職は何千年も昔からある。なくすように努力しないといけないけれども、とにかく役人を叩けば解決するという話ではない。

 

<国は巨大な割り勘組織>

・国家とは、国民が割り勘で運営している組織に過ぎない。国家の成立は人類史上、何万年もさかのぼれるわけではない。せいぜい5千年ぐらい。人類の歴史のなかでは割合、新しい組織だ。以来、幾多の国家が樹立され、世界中で形を変えつつも続いているのは、国家というものを作っておいたほうが何かと便利だからということに尽きる。

 第一に、かかるコストを割り勘にする上で便利というわけだ。さらに、外交や安全保障上も便利だということがわかってきて、国家が成立していった。あくまでも割り勘でやっている組織なので、国民と遊離したところに国という別の組織があるわけではない。そこのところを、国民の皆様にわかってもらわなければいけない。

 

 

 

『「中国の終わり」にいよいよ備え始めた世界』

宮崎正弘   徳間書店   2015/10/29

 

 

 

<半値8掛け2割引>

・暴落の終着点は「半値8掛け2割引」と昔から言われるように、大雑把に見てもピークから68%下がる計算になる(じっさいに2008年から09年にかけて上海株は71%下げた)。

 

<株式大暴落が次にもたらす災禍とは?>

・次の大暴落は必至の情勢となっているが、中国に残された手段はあるだろうか?可能性は2つあるように見える。

 第1は市場の閉鎖である。1カ月ほど思い切って株式市場を閉鎖すれば、この間に様々な処理ができるだろう。なにしろ一党独裁の国ならばこの緊急事態を乗り切る強引な手段も出動が可能である。

 第2は通貨の大幅な切り下げである。

いまの人民元は完全な変動相場制への移行が難しいうえ、ドルペッグ体制となっているため、対ドル相場を30%程度切り下げるのである。「そんな乱暴な」と思われる向きもあるかも知れないが、実際に中国は1993年にいきなり33%も通貨人民元の切り下げを行った「実績」がある。

 これにより輸出競争力が回復でき、若干の海外企業の直接投資も復活する可能性がある。

 

・デメリットは石油、ガス、鉄鉱石など輸入代金が跳ね上がること、もうひとつは日本に観光旅行へ来る中国人の「爆買い」ツアーが激減することだろう。というより現在の爆買いツアーはもう終わりに近く、中国人の発狂的海外ツアーも沙汰止みになるだろう。

 かくして中国の爆発的投機の時代は終わりを告げ、中国経済全体の崩落が始まる。それは連動して中国共産党王朝の崩壊の始まりとなる可能性が高いのである。

 

米国の親中派学者も「中国崩壊論」へ>

旧ソ連は国防費の増大に耐えられなくなって潰えた>

米国や日本が衰退する危険性はその原因と考えられる少子高齢化の人口動態よりも、もっと見えない変化、すなわち国防費増加ではなく「エンタイトルメント」費用、すなわち「社会保障、メディケア、保険医療(メディケイド)、所得保険」の急拡大にある。日本はこれに失業保険料が差し引かれ、しかも保険料を支払わなかった人々が月100万円ほどもかかる高額の介護を受けているケースもある。

 かくして日米欧先進国や台湾、韓国などは防衛費拡大に予算を回せない隘路に陥没した。インドも貧困層の食料援助予算があり、タイ、インドネシアも然りだ。しかし中国には国民皆保険制度はなく、介護保険もなければ生活保護もない。義務教育も有料である。だからこそ狂気の軍拡が続けられたのだ。

 欧米先進国が共通して陥没した財政危機とは民主制度のパラドックスかも知れない。

 中国の次なる問題は宮廷の内部争い、権力闘争の陰湿性である。

 

・そして、「宦官と官吏による内戦に近い状況は何十年と続いた。朝貢貿易は崩壊し、比類無き明の艦隊は港で朽ち果てた。一方、海岸地域の町の住民はその後の数十年にわたって対外貿易から利益を得たが、明の宮廷はその繁栄ぶりを不快で脅威をもたらすものとみなした。官吏は近視眼的で経済的知識のない官僚の常套手段をとり、潜在的なライバルの力をそぐことにした。もはや仁の政治どころではなくなった」。

 これまで国家の興亡論については、軍事力や海の支配、地政学的観点が主流だったから右のような別の視座からの切り込みは異色である。

 それにしても明がなぜ衰退したのか。

「宮廷ではライバル関係にある各集団が皇帝の関心を引こうと争いあっていた」

 漢の場合、「皇帝への影響力をめぐって、名門一族、軍当局者、官吏である学者・官僚集団、宮廷の宦官という4つの主要な対立勢力が争っていた」

 なるほどまったくと言ってよいほどに現代中国の様相と似ている。

 

・2014年7月に北京大学中国社会科学研究センターが発表した中国のジニ係数は0.73(0.4以上は暴動が多発するレベル)。まさに天文学的所得格差の破壊力によって、史上空前の不均衡状態にある現在、中国は国家の財政が一握りの特権階級によって蝕まれつつあり、王朝の崩壊が近いことを物語っている。

 

<鮮明に表れた中国共産党瓦解の兆候>

・このように、米国における対中穏健派が雪崩を打って中国への失望を表明しはじめたのである。

前述したシャンボーは、共産党体制崩壊は次の5つの兆候からうかがわれるとした。

 第1に富裕層の海外逃亡、第2に国内での言論弾圧、第3に誰もが政権のプロパガンダを信じていないこと、第4に共産党人民解放軍にはびこる腐敗、第5に経済縮小と利害集団による改革阻止である。

 シャンボーはこう結論している。

一度、この体制が崩れ始めると中国は長期的かつ複雑に停滞し、より暴力的な社会となるだろう

 

・――危機管理とは考えられないこと、あるいは考えたくないことを考えることである。

 日本人が嫌がる防衛論議、日本の核武装、戦争、これら考えたくないことを、じつは真に近未来のシナリオとして考えなければならない。それは指導者の役目だ。

 

<迫り来る米中戦争の行方>

<米中戦争は不可避だとするロシア>

・こうなると、米中の関係悪化はどこまでいくか、ロシア紙『プラウダ』(英語版、2015年6月24日付)は米中戦争の蓋然性を検証し、11の根拠を描いていた。

 その行間には米中戦争への「期待」(なぜなら「最大の漁夫の利」を獲得できるのはロシアだから)が滲み出ている。

 

<米国が想定する米中軍事衝突3つのシナリオ>

南シナ海問題で一歩も譲らす、重大なチャンスを逃がしたのである。

偶発戦争は起こり得ない可能性が高いものの、危機を危機と認識できない指導者が、党内権力闘争の生き残りをかけて軍事衝突に出てくる場合、俄に起こり得る危険性に繋がるのである。

 たしかに国内矛盾を対外矛盾にすりかえることは歴代独裁者の常套手段とはいえ、中国の軍事外交の突出が続けば、いずれ本格的な米中衝突を招来し、結末は中国の敗北が明らかであり、中国共産党指導力の信用が撃滅され、共産党一党独裁は激しく揺さぶられることになるだろう。

 

<そして中国に大破局が訪れる>

<機密文書まで海外に持ち逃げし始めた「赤い貴族」たち>

・「これ以上、反腐敗キャンペーンを続行すると、指導部の安全に問題が出てくるだろう。いまですら執行部の安全は深刻な状況であり、反対派は絶滅されていない。もし、キャンペーンを続行するとなると党そのものが深刻な危機に瀕することになり、このあたりで手打ちにしないと、状況は危うくなる」

 

中国共産党の命運は尽きようとしている>

黄文雄氏や福島香織氏が口を揃えて言う。反日の中国人と韓国人は本当は日本が好きで、できれば日本人になりたいと願望している、と。

「来生は中国人に生まれたくない」とする若者が3分の1もいて、これは韓国でも同じ比率という。「来世はブタでも良いから中国人には生まれたくない」と回答する者もいる。いや、その数は夥しい。

 

・世代交代が著しくなり、軍人でも朝鮮戦争体験組は誰もいない。

 公式の発表より、民衆は裏の情報を選別して入手している。若者はネット世論の行間を読み、暗号で通信しあう。

 過去の話より現実の腐敗、権貴階級への不満と憎しみが噴出しはじめ、いずれ巨大なうねりとなって、より暴力的になり、社会は乱れきって無法状態に陥るかもしれないという明日への恐怖が中国の統治者の間で認識できるようになった。状況はそれほど悪化している。

 

・国家の基盤が安定を欠いて根本から揺らぎはじめ、特権階級も安穏としてはいられなくなったとき、共産党幹部自らが、「そろそろ俺たちの時代は終わりだな」と自覚しはじめる。だからあれほど夥しい中国共産党幹部が賄賂で得た資金ごと海外へ逃亡を始めたのである。

 余命いくばくもなくなったのが中国共産党である。

 

 

経済学者でさえも、なぜTPPが重要なのかということについて、きちんと説明できないからです。疑問なのは、なぜ政治的資本をTPPのようなものに費やさないといけないのかということです。(3)

 

 

『選挙の裏側ってこんなに面白いんだ!スぺシャル』

三浦博史 前田和男     ビジネス社   2007/6

 

 

 

<大手広告代理店が選挙を仕切る?><去勢された日本の大手広告代理店>

・ちょっと選挙をかじったことがある人は「実は、選挙は大手広告代理店の電通が仕切っている」と訳知り顔にいう。しかし、「選挙の常識」からすると、実情はいささか違う。

 

<アメリカの選挙PRノウハウ>

・そのとき、アメリカの選挙と日本の選挙のもっとも大きな違いは、戦後日本が失ったPRのノウハウにあることを知ったのである。

 

・アメリカには多くのPRコンサルタントがターゲットを決めて、その関心事を引き出し、それに対して選挙CMをつくる。そのうえで、そのCMを打つのにもっとも効果的な媒体(メディア)はなにかという戦術のもとで、テレビやCMや雑誌、新聞のスペースなどの枠をとる。そして、その効果の検証を行い、次の製作にフィードバックする。

 

・少なくとも広告代理店は政党に常駐させ、PRのノウハウをもったスタッフをきちんと揃えてのぞむべきなのである。

 

<政党CMよもやま話><崩れつつある大手代理店の寡占状態>

・ところが今は、そうした大手代理店の寡占状態が崩れつつある。自民党も今ではコンペで、これなら選挙に勝てると思ったところを採用する。ダメだと思ったら、たとえ電通でも使わないようになった。自民党も、電通一社に頼るのではなく、PR会社を採用した。それがブラップジャパンという独立系の代理店である。

 

<選挙の日米格差>

<大統領選の雌雄を決した伝説のCM>

・秀逸な候補者には、黙っていても人は集まるし、金も集まる。人も、金も、票も集まらない人は、自然とコースから外れていく。アメリカでは、そうした選挙が当たり前で、スポーツ選手にしろ、ジャーナリストにしろ、大物スターにしろ、そうした例がいくらでもある。ネット上の呼びかけだけで、何十万人のサポーター、何十億ドルという資金が集まる。そうした能力を備えている人が政治家になり得る風土があると考えていい。個人の献金額は十ドル、二十ドルほどだ。

 

・日本では選挙で借金を背負うケースもある。自分の退職金なり、貯金なり、資産を使い、政党の公認料ももらって、さらに寄付を集め、借金をする。アメリカにくらべるとクリーンな選挙である。

 負けた場合の本人や家族が背負うリスクが大きすぎるので、選挙に出る顔ぶれがいつも同じになってしまうという問題点もある。

 

・日米で何が一番違うかといえば、米国はメディア、とくに映像の影響力が大きい。アメリカでは選挙の結果を左右するのはテレビコマーシャルとテレビ討論。

 

<国政選挙と外資系PR会社>

・それではアメリカの選挙のプロが日本に来て、そのまま通用するのかどうか?アメリカのプロは、なんといっても「キャッチコピー」づくりがすばらしい。有権者の心をグサッとつかむ。これがプロとアマの分かれ目、成功と失敗の別れ道となる。

 

民主党は説明不足?>

民主党を引き合いに出すが、岡田党首のときにアメリカのPRカンパニー「フライシュマン・ヒラード」を使ったが、あれは失敗だったろう。フライシュマン・ヒラードは、PRカンパニーとしては米国でも著名な会社だが、ワシントンDCでは民主党共和党も「フライシュマン・ヒラード」など使わない。米国の選挙コンサルタントは、「なんで?」と不思議な顔をしていた。

 

・事実、自民党は「ブラップジャパン」というエージェントを使ったが、世耕弘成広報委員長は、なぜこの会社を使うのか、社長の見識やキャリア、手法、実績などを議員が納得するように説明していた。選挙資金をカンパしてくれた支持者、政党助成金として税金を拠出した国民に対しても、これからは政党も説明責任が問われることだろう。

 

・それと、国政選挙や、国政そのものの広報に外資系を呼び入れることは、私は賛成できない。「広報」とは有り体に言うと、裸の姿をすべて見せることである。外資系の会社に国家の裸を見せていいわけがない、と私は思う。

 

・話がそれたが、外国の選挙プロに学ぶことは、まだまだ無尽蔵にある。しかし、だからといって、彼らが日本の選挙を担当して、すぐに勝てるほど日本の選挙は甘くない。

 

野田聖子に学ぶ選挙に強い政治家>

<6万軒歩いて、かかとを疲労骨折>

・彼女の言によると、「そのころは志もないし、政策もなければ抱負もない。ただ選挙好きのおじさんたちの言うなりに運動をはじめました」ということになる。

 でもそのとき、彼女がなにをやったかというと、1日百軒、選挙までに1万人と会うというすさまじい「ドブ板」。集まった名簿を地図に落して、女の子の案内で1軒1軒回って歩く。

 

・目からウロコが落ちる思いだった。次の選挙では原点にもどって、また歩き作戦。6万軒ぐらい歩いたころ足のかかとを疲労骨折。が、1ヶ月で治し、また歩き始めた。結局彼女自身が7万軒、両親が1万軒ずつ歩いてくれた。結果は、両親と娘が歩いた総軒数とほぼ同じ得票数、9万5734の得票。衆議院初当選だった。

 

 

■■■ 私が思うこと、聞いたこと、考えること ■■■

 

・TPPは、アメリカのトランプ大統領によって、突然の離脱という結果になりました。他の国は、突然梯子を外されたかのようでした。実に政府は面食らったようです。クリントン候補も、最初は賛成でしたが、最後にはTPPを精査して再交渉するような公約に変わったと報道されていました。クルーグマン博士の文章を見ても、民主党でもあまり積極的に賛成する人が少なくなったようです。「経済学者も説明できないTPP」と語っています。それにもかかわらず、日本ではTPPを何とかしようとして動いていると指摘されています。恥の上塗りといわれます。TPPをトランプ大統領が脱退したのも自由貿易主義が行き過ぎればアメリカの労働者が地獄を見るからなのでしょうか。クルーグマン氏からの報告では、学者や政治家もTPPにネガティブであったようです。そこを目ざといトランプ大統領の共和党スタッフが切り込んだと指摘されています。「オバマ大統領の政策の否定」「民主党の政策の否定」が、トランプ大統領の選挙戦の作戦だったといわれます。オバマ大統領やクリントン候補のネガティブ・キャンペーンは派手に展開したともいわれます。アメリカの独特の選挙戦の手法のようです。最後には、法律家同士の合戦に終わるといわれます。FBI長官の解任劇もありましたが、今後、さまざまな人事の動きがでてくると指摘されています。アメリカでも政権交代とは大きな事件のようです。共和党民主党では政策が大きく違ってくるそうです。ちなみに安倍総理自身もアベノミクスの失敗を認めたといわれます。今後アベノミクスの政策の修正が行われていくようです。

 

・アメリカの学者も中国崩壊を懸念する者が増加しているようです。米中間のサイバー戦争が懸念されています。人口大国なので「サイバー犯罪も激増する」ともいわれます。ハニートラップのスパイが巧妙に背後に存在するのかもしれません。サイバー戦争でも人民解放軍将官の名前が新聞で報道されたりしました。私たち一般人には、理解不能なことが多いようです。「制御不可能な国という中国固有の歴史的条件がある」と指摘されています。「誰も13億人を食わせられないので戦争をする」といわれます。「来世はブタでも良いから中国人には生まれたくない」と回答する者もいるほど、事態は深刻だと指摘されています。「15年と16年ともに経済成長率はマイナスではないだろうか。そうであれば、これは、日本にとって明らかにリーマンショック以上の衝撃が襲う」という説もあります。

 

ノーベル経済学賞の受賞者は、ほとんど欧米の学者でしめられています。特に米国の学者が非常に多いといわれます。インターネット情報によると「「日本で研究している限り、経済学賞は今世紀も無理だろう」。いよいよそんな言葉まで囁かれ始めた日本人にとっての鬼門・ノーベル経済学賞。日本人候補者として長年候補に挙がっていた宇沢弘文氏と青木昌彦氏が昨年の2015年に死去され、現在有力視されているのは、米プリンストン大の清滝信宏教授のみ」とのこと。日本の経済学者には英語の壁があるといわれます。

 

・「でも、本命で言えば清滝さん。この人はリーマンショックの後の2011年、2012年あたりに注目されて以降、経済学賞における村上春樹的な存在になった感があります。毎年取るんじゃなかろうか、というね。あと、浜田宏一さんも……ただ浜田先生が取るとなるとFRB議長だったベン・バーナンキも取りかねない」とのこと。

 

・「受賞に関して調べてみたところ、アメリカ国籍を持っている……今話題の二重国籍もカウントするとアメリカは56名、全受賞者の約68%、イギリス国籍が9名、その他の国は3名から1名と分散しています。旧英領含めて世界の13ヵ国が受賞している。男女比が76名中、女性はエリノア・オストロム1人。女性には厳しい賞だと言えますね」とのこと。

 

・実際の経済の問題に対する対策は、最先端の学者たちにも難しいといわれます。米国の経済学者でも日本経済の問題を解決することは難しいようです。安倍総理自身もアベノミクスの失敗を認めたといわれます。年金問題に対しても「自衛」するという案も、一般の人々にウォールストリートのファンドマネジャー並みの能力を求めるのも無理といわれます。ファンドマネジャーにも怪しいのがいる時代だといわれます。なかなか「本物の投資の専門家」を探すことは難しいようです。世界的にも「投資の詐欺事件」が横行しています。タックスヘイブンに世界中の金持ちの資産が逃避していると語られています。今の時代、国民の血税のタックス・イーターが増殖しているのかもしれません。当然ながら、「経済問題が一番重要」で企業と同じように政府には「中期計画」「長期計画」という計画があると思います。年金問題では、官僚や政治家の劣化が顕著だともいわれます。

 

・「そもそも年金についてマジメに考えている政治家や役人は過去にも、そして今現在も、いないと思ったほうがいい」という話も逆説的な寂しい話のようです。

 

・「移民問題」もTPPのように国論を2分する大きな問題になるのでしょうか。賛成派と反対派の論理がきわめて対照的です。世界中の移民問題は人種的な問題を含んでいる微妙な問題ともいわれます。移民の国アメリカでも1400万人の不法移民問題が大きな政治課題となっています。移民を認めなくても、日本に「職」を求めて、近未来には1000万人ほどの外国人労働者が日本に棲みつくともいわれます。現在でも多くの外国人労働者が住んでいます。外国人労働者数は約91万人といわれます。移民を認めなくても、非常に多くの外国人が「職」を求めて日本に行きたい、と語るといわれます。世界中の「失業」の問題は深刻です。アメリカの1400万人の不法移民も、そもそもメキシコ等に「職がない」ことが原因だといわれます。また「日本には移民に与える土地がない」と指摘されています。「移民の問題も移民に土地を与えることができないので受け入れられない」といわれます。昔は「移民を出す」貧しい国でしたが、根本的には「土地がなかった」ということが原因でした。昔の日本人移民は官僚の失政もあって、大変苦労をしたといわれます。欧米の例でも分かるように、難民や移民の問題は複雑な問題を国内に持ち込むといわれます。しかし、単純に「移民を入れろ」という有識者は、少なくないともいわれます。各政党でもさまざまな移民の政策が検討されているともいわれます。「年金問題」も解決できないのに「移民問題」だとなおさら解決不能といわれます。

 

・「財源の裏付けのない政策は実現できない」が、ベーシックインカムを提唱する学者も増えているそうです。ベーシック・インカムの背景には、近未来には「職」が少なくなってくるという背景があるそうです。つまり、働きたくても「人工知能化やロボット化」で、単純労働の職も少なくなるというのです。専門的な職業も「人工知能化やロボット化」の影響を強く受けるといわれます。人口減少で、「労働革命」の動きもでてきております。「労働革命」もプラスとマイナスの面を持っています。「女性の登用も先進国とはいえない」そうです。女性の登用で、人手不足を補う動きも広まっています。「パート化」も労働革命の一現象だといわれます。つまり人手不足による「労働革命」は、「賃金の高騰化」と「パート化」という両極端の現象を生んでいくというのです。あらゆる現象にはプラスとマイナスの面の両面があります。

 

amazonに「大前研一」といれますと477件の書籍が分かります。『日本の論点2017~18』、『「0から1」の発想術』、『ニュースで学べない日本経済』、『プロフェッショナル・リーダーシップ』等があります。多作の経営コンサルタントとして知られているようです。「各論はいくらでもある。しかし論点を整理して一つに絞るならば、約1000兆円(14年6月時点で1039兆円)を超える巨大な国家債務をどうするか、という問題に尽きると私は考える」と語っていました。1000兆円の国家債務が気になる経営コンサルタントのようでした。金融資産を見逃していると指摘されています。経営コンサルタントですが、企業ばかりでなく、国家のコンサルタントや政治のコンサルタントもしている多能な人のようです。政治家を志して1995年の東京都知事選挙に立候補しましたが、落選しています。また第17回参議院議員通常選挙に出馬しましたが、それも落選しています。政治家に転身したかったようですが、苦労人で残念な結果でした。ちなみに、オリンピックの話題が豊富ですが、ブラジルといえば路上犯罪が物凄いと報道されていました。路上での青少年の強盗のテレビ映像を見ていると誰もブラジルに行きたいと思いませんでした。オリンピック・パラリンピックは、なんとか終了しましたが、ブラジルの路上は今も非常に危険のようです。ブラジルは、失業率も高く犯罪と麻薬が蔓延している危険な国だといわれます。

 

・「1000兆円の国家債務」については、さまざまなエコノミストや経済学者の見解があるそうです。本当に懸念している学者も多いようです。やはり財務省の指導に政治家も従うのでしょう。増税のスタンスは変わらないようです。「国民一人当たり1000万円の借金」ということも民主党野田佳彦元総理もかつては強調していた理論でした。確かに、そのように言われると私たち一般人は、不安になるものです。私たち一般人は、各政党の「政策」を詳しく分析する時間はありませんが、斬新な「政策」を実施することは大変な作業のようです。国家政策については、国家経営の実務に精通したベスト&ブライテストのテクノクラートのドリームチームの英知を結集した「国家改造計画」が求められているといわれます。「1000兆円の国家債務」については、心配する必要はないという経済学者も多いようです。「あと900兆円の国債を発行しても問題はない」という学者もいます。このような基本的な問題で見解が分かれるのですから、エコノミストや学者の資質が窺われます。

 

・「道州制」の議論も「夢の様な万能の素晴らしい」解決策のように言われています。そして多くの有識者が賛同しているようです。はたしてそうなのでしょうか。道州制が実現すると、混乱して一番不便になるのは一般大衆ではないのでしょうか。行政サービスが物凄く劣化する可能性もあるといわれます。道州制は中央集権の欠陥の反省から出てきているそうですが、道州制になると、またまた「道州制の官僚に牛耳られる」のではないのでしょうか。「反官僚の思想」が根底にあるともいわれます。言うは易く行うは難しの「道州制」だそうです。ユートピアを目指して地獄になるのでしょうか?!

 

・「昔から政治が一番遅れている。票の請負業のようなもの」といわれます。政治家は選挙民の対応に追われて、勉強ができないそうです。政治家が法律を作ろうとすると10人以上の政策秘書が必要だともいわれます。「日本の政治家はアメリカのロビイストのような役割を果たしている」という説もあります。大統領選挙後のアメリカ政界ですが、アメリカと日本の政治システムは大きく違っているともいわれています。トランプ大統領の動きが注目されています。

 

大前研一氏は、中曽根元首相の選挙コンサルタントもしたようです。現代では選挙コンサルタントの職業もあるようです。インターネット情報によると、アメリカ大統領選挙で、トランプ陣営に辣腕の選挙コンサルタント、ポール・マナフォート氏が参加したと報道されていました。米国の選挙コンサルタントには学ぶべきことが多いともいわれます。豊富な経験の経営コンサルタントとして、今日の日本社会に「多くの提言」がなされています。米国の派手で長い選挙戦も特異なものだといわれます。

 

・「ベーシック・インカム」とか「政府の貨幣発行権の発動」とかエコノミストや経済学者等が様々な提案を行っているといわれます。ヘリコプター・ベンの話もありました。エコノミスト間ではへリコプター・マネーが話題になっていました。超金融緩和などで、紙幣を大衆にいき渡せるという手法です。そのほうが経済原理に則しているというのです。それには賃金を上げてもらわないといけないようです。「分け前の分配」がうまくいかなくなります。「働かざる者食うべからず」という時代錯誤的な考えに対するものにベーシックインカムの概念があるそうです。また「女性が働く必要のない社会」というベーシックインカムユートピア世界の発想もあるといわれます。新約聖書の『テサロニケの手紙二』3章10節には「働きたくないものは食べてはならない」という一節があるそうです。「財源の裏付けのない政策は実現できない」という固定観念も変えていく必要があるようです。そして、世界では、さまざまな新税を考え実施したり、アンダーグラウンド経済の現金をあぶり出し徴税しようとする動きもあります。そして先進的な経済政策の話については、日本的な対応が限界のようです。世界に先例がないとできないようです。ベーシック・インカムもスイスでは国民投票で否決されたといわれます。

 

・50年前の経済学理論と今のそれを比較しても人類の格段の進化がわかります。「職業を研究している天使」もいるといわれますが、「経済を研究している天使(高等知性体)」もいることでしょうか。エイリアンの超テクノロジーだけが注目されているようですが、エイリアンの「超経済学」もあることでしょうか。「その彼らは地球から68光年離れた惑星クイントニアに住む宇宙人で母星から“エリア51”まで45分で移動できる」といわれます。グレイタイプの異星人のようです。異星にも日帰り旅行ができるようです。「エイリアン・テクノロジー・リバース・エンジニアリング(宇宙人科学技術工学)」ばかりでなく、さまざまな文明の蓄えられた文明情報・知識が手に入るようです。エリア51白鳥座61番星の異星人とコンタクトしていた日本人科学者もいたといわれます。「恒星間飛行技術」ばかりではなさそうです。現代の科学者には想像を絶するようなものばかりでしょうか。それにしてもYou Tubeには「説明のできない(ニセモノ)動画」が豊富に取り上げてあるようです。

 

・遥かに進化した異星人(大天使)が大きな組織や国家を統括しているともいわれます。どうだったのでしょうか。イルミナティの空飛ぶ円盤はタイム・トラベルができ、「米軍の将軍が同乗していた」ともいわれます。「竜座人(ドラコ)が遥かに進化しており、このレプティリアン型生物の交雑種がイルミナティである。交配人種であるイルミナティが地球を管理している」ともいわれます。「イルミナティは宇宙人の集団なので強力なのだ」そうです。

 

・リラ星人は人類に3万年進化しているそうです。リラ星人も人類の源流ともいわれ謎の多い宇宙人種族のようです。リラ星人のエロヒムが「人間を実験室で創った」といわれます。リラ星人エロヒムのコンタクティであるフランスのクロード・ボリロン・ラエルによると遺伝子操作による「不死の惑星」に行ってきたといわれます。地球の人類と進化段階が同じ程度の異星も非常に多くあるそうで、「宇宙連合」とのコンタクトによる膨大な情報が必要となりましょう。「現代的な解釈ですと堕天使ルシファーとかリラ星人のサタン(悪魔)という言葉は、遺伝子科学者の研究集団の名前だ」といわれます。おぞましい堕天使のイメージではなく、「科学者」だというのです。地球製の「空飛ぶ円盤」も具体化しているという情報もあるようです。米国が秘密協定を結んだのはラージノーズグレイというオリオン星人といわれています。オリオン星人は人類に5万年進化しているといわれ、「人間の魂の交換」ができるようです。

 

アブダクション(誘拐)事件も、空飛ぶ円盤に乗った宇宙人の科学者とバイオロボットのグレイがインプラントなどの「生体実験」をしているそうです。グレイと人間の交雑種が「エササニ人」といわれます。エササニはオリオンの方向にあります。「時空間を超えてこの地球にやってきて、人類をアブダクション(誘拐)し、受精して、子孫を作りました」と語られています。それがエササニ人のバシャールだというのです。

 

・政府の貨幣発行権の発動は、「禁じ手」、「最後の手段」だそうです。が、「政府の貨幣発行権が常識化」することがいつかは断定できませんが世界で常識化するときがきましょう。もちろん「弱い経済の国」では、貨幣を異常に多く発行するとアフリカの某国のように凄まじいハイパーインフレになるそうですが。ヨーロッパのユーロの通貨危機とかの話がありましたが、ユーロ通貨を以前の状態に戻す動きも出てくるでしょうか。以前には「イタリアのリラは比較的弱い通貨だったがユーロはドルに匹敵する強い通貨であるためユーロ高傾向にあり、輸出や観光に依存しているイタリア経済界からはリラに戻そうと言う声も出た」そうです。「政府の貨幣発行権の発動」の話は経済学と無縁な私たち一般人にも分かりやすい話のように思われます。昔から独立戦争をするのも「貨幣発行権」を手に入れるためだともいわれます。

 

・「米国のドルの発行高と円の発行高を数量比較すると、1ドル=50円が相当」という説・議論もあったようです。現在の世界経済の混乱に対して、学者や実務家・金融家の議論が、かまびすしいそうです。

 

・「政府紙幣の発行」を主張するエコノミストは増えているようです。日本は従来から「二番手戦略」をとり、他国を先に走らせて、その結果を評価して、次の手をうとうとする戦略を常套手段としてきたといわれます。欧州ではベーシックインカムも様々な実験が行われるようになったようです。

 

・日本中のエコノミストの説は汗牛充棟のようです。「政府紙幣の発行」という見解は私たち一般人にも分かりやすい説のようです。政府系のエコノミストの説が主流の構造では、官庁エコノミストは、なかなか革新的なことは主張できないといわれます。日本では増税問題が政治問題化していました。日本の「失われた20年」の経済は容易に改善できないようです。消費税増税の問題は、どのようになるのでしょうか。

 

・「古典的な経済手法では、増税やむなしという話になる」といわれます。しかし、ベーシック・インカムとか新しい経済学が提唱されているようですが、革新的なことを実行に移すことは難しいようです。ノーベル経済学受賞者でも実際の経済の運営は難しいそうですので、「日本の失われた20年」の経済運営も容易ではないようです。

 

・「来年のことを言うと鬼が笑う」といいますが、来年の予測でさえ難しく、まして未来の予測は、普通の人ではできないようです。2011年は大震災でひどい年でした。また日本経済や企業も大震災や2011年のタイの洪水なので大きく影響をうけました。2011年のタイの洪水は予測できた日本企業はあったのでしょうか。災害の予測も海外や国内の企業立地を考える上で、企業経営上、絶対に必要となりました。断層地帯と原発の立地が問題とされていましたが、国民としては早くクリアにしてもらいたいものです。企業経営には、天変地異のリスク予想も必須なものになりました。

 

ジュセリーノ・ノーブレガ・ダ・ルースというブラジルの夢見の預言者で、神か神に近い者とコンタクトしているという人物が、「2011年が日本経済の破綻」、「2012年、阪神大震災が起こる」と預言していたので気味が悪い思いでした。「天災は忘れたころにやって来る」ようです。

 

・欧米の支配階層を統括するフリーメーソン。米国のWASPはマネジメント万能至上主義の精神的資本主義をすすめているのでしょうか。フリーメーソンイルミナティの関係もよくわからないようです。「メイソン結社員でないと商売がうまくいかない」ともいわれています。「日本の知識人が欧米人を理解できないのはフリーメーソンを知らないからだ」ともいわれます。

 

・国のシステムのリストラが必要となりましたが、病気になれば医者が必要になるように、国政や国の施策に通じた日本戦法を駆使できる策士が必要といわれます。国家経営の実務に精通したベスト&ブライテストのテクノクラートのドリームチームの英知を結集した「国家改造計画」が求められているそうです。当然ながら、政府にはベスト&ブライテストが集結しているはずですが、

 

・現在の日本経済の惨状や「失われた20年の日本経済」は、政治家や公務員に人を得なかった、経済官僚の弊害か、能吏が活用されなかった結果なのでしょうか。どの政党、政治家にしろ今まさに政治の季節、あらゆる政策に常に改革が必要だといわれます。そして『平成維新の断行』が望まれていました。言うは易く行うは難しで、なかなかうまくいっていません。アベノミクスの限界が言及されています。日経平均株価も勢いがなくなりました。安倍総理自身もアベノミクスの失敗を認めたといわれます。

 

・政策を批判したり新政策を提案したりすることは、私たち一般人には無理なことでしょう。政府紙幣の発行と日銀券の発行に関しても闇の権力が関与しているのでしょうか。荒唐無稽な話も少なくないようです。

 

・闇の勢力やサタンと呼ばれるリラ星人が、人類の営みに関与しているとは、誰も分からないことでしょうか。マネーのメカニズムに「モロクの神」が関与していたという話も私たち一般人には、理解不能なことが多いようです。

 

・今は百家争鳴(多くの知識人・文化人が、その思想・学術上の意見を自由に発表し論争すること)の時でしょうか。

ウィキペディアでみると百花斉放百家争鳴は1956年から1957年に中華人民共和国で行われた政治運動。『中国共産党に対する批判を歓迎する』という主旨の内容であり、これを受けて中国国民はさまざまな意見を発表したが、百花運動の方針はまもなく撤回され、共産党を批判した者はその後の反右派闘争で激しく弾圧された」とのこと。「中国人は国を捨てた人でないと信用ができない」という中国社会特有の国内事情があるそうです。

 

・経済官僚に比較すると外務官僚の評判は、昔から悪いようです。やはり時代の流れに対応してこなかったからでしょうか。官僚制度も制度疲労が指摘され、行政改革などで「天下り」等の規制が行われました。昔は高度成長を指導した優秀な官僚といわれましたが、時代の流れに、劣化した組織になったようです。

 

・「殺伐としてきます。自ら命を絶ち切る人が年間3万人を超える事態が約10年も続いていますからね」ということですが、有効な対策をひねり出す力が政治家や官僚には無理なのでしょうか。いろいろと対策がうたれ、総数では減ってきたようですが、「日本における自殺は主要な死因の一つであり、10万人あたりの自殺率は20.9人であり、OECD平均の12.4人と比べて未だに大きい値である(2014年)」といわれます。

介護の悲惨な事件も後を絶ちませんが、何とか対策はないものでしょうか。子供の貧困も問題になっています。ソ連製なのかどうか不明の「自殺企画の発狂薬」については数十年前の新聞に載っていたといわれます。

 

・「人が二人あつまると政治の話になる」という世相ではなく、政治の話には限界がないのでしょうか。限られた予算、限られた処遇、増えない税収、十分でない福祉予算を削る財政赤字ということで、補助金カットがすすみます。

 

・「3百万人の寝たきり老人」のほかに要介護の高齢者、その他数百万人の障害者や難病や奇病に悩む人々など、十分な福祉とはいえず、この面からも福祉が崩壊しているようです。自殺数もなかなか減りません。これらの状況は事前に予測できたことのようです。私たち一般人は、厚労省のように正確な数字と実態は知りませんが、年金問題にしても様々な社会福祉政策の改革が急務のようです。年金問題でも厚生省の官僚は劣化したといわれました。

 

・気になるのは医者でも原因が分からない奇病や難病が増えてきていることです。子供の難病や奇病も増えているそうです。現代医学では対応できないようです。財政赤字ということで、待機児童の問題等、国民へのサービスが低下しています。行政コストや立法コスト、司法コストを削減する大胆なリストラが必要だそうですが、「身を切る改革」は難しいようです。

 

・当然、厚労省も中・長期計画を持っているものと思われますが、どのようなものでしょうか。この本(『チェンジ!』)は15年前に書かれていますが、高齢化もすすみ、国民の状況は悪化していることでしょう。著者(舛添要一氏)も国会議員になってから、様々な問題に直面したようです。その後は都知事でしたが、2020年の東京オリンピックパラリンピックで多忙のようでした。しかし都知事の旅行費の経費が問題になり、公私混同が批判され、退任しました。期待された人でしたので、反発は大きかったと指摘されています。

 

・「日本は先進国だ」そうですが、「日本は先進国なのだろうか」という声も街中では大きくなってきているようです。財政赤字の問題で、福祉予算が削られています。どこの省庁も「より以上の予算を」ということで、税金の無駄遣い対策や行政改革による行政効率化もうまくいっていないそうです。予想以上に遅れた面や近代化の進んでいない面が増えてきているようです。「女性の登用も先進国とはいえない」そうです。女性の眼から見ると「政治や経済の後進性」を痛切に感じることでしょうか。いつまでも「政治が遅れている」ということでは複雑化する社会問題に対応できないでしょう。「昔から政治が一番遅れている。票の請負業のようなもの」といわれます。困っている人も増えており、単に政治の貧困としては片づけられないといわれます。「失政」が増えている時代に、私たち一般人は、政治意識を高めていく必要があるそうです。「失政」を詳しく調べていくと恐るべきことが分かるのかもしれません。「失政」が予想以上に多いともいわれます。補償も十分とはいえません。「あまり知られていないことだが、日本の社会保障というのは、先進国とは言えないくらいお粗末なモノなのである」といわれます。為政者の認識も自覚もないといわれます。

 

・「道州制」などの政策の理論闘争よりも現実的に具体的に国民への行政サービスを改善すべき時でしょう。道州制はより一層の国民へのサービス低下になるのではないかという懸念があるそうです。行政や政治も大幅なリストラが必要です。税金による税収が伸びないので消費税、福祉活動にNPOなどの民間資金と民間活力の導入など、様々な対策が打ち出されておりますが、政府紙幣の発行なども一案でしょうか。しかし、現実的な政策とは言えないそうです。「それこそ税金の無駄遣いを止めて、国民の血税を費用対効果を考えて政策財源にあてるべきだ」そうです。

 

・社会問題に対する解決策もいろいろと提唱されておりますが、現実的に具体的にすぐに実現できる対策が望まれています。私たち一般人も政治意識を高めて政治に要求していかなければならないでしょう。議員の近未来の姿は欧米のようにボランティア議員の流れだといわれます。

 

・選挙で洗礼を受けて、選挙で苦労する人が多いようです。官僚と国会議員の役割と選抜方法は全く違いますが、日本のシステムでは、選挙に資金も含めてものすごいエネルギーが必要なようです。よくいわれるように「地盤、看板、カバン」が選挙には必要であるそうです。公職が特定の人々に固定しないようにするには、「負けた場合の本人や家族が背負うリスクが大きすぎるので、選挙に出る顔ぶれがいつも同じになってしまうという問題点もある」というところを変えていく必要があるそうです。政治家のスキャンダルがネットで世界に発信されている時代です。

 

・政治の“世襲”の問題も各政党でいろいろと規制ができておりますが、選挙は世襲でも大変だそうです。選挙に落ちて捲土重来を期している人も多いことでしょう。選挙コストを大幅に下げていく必要があるようです。国民の目も厳しくなっており、説明責任が求められるようです。政治資金の相続の面で“世襲”は有利だそうです

 

・政治の改革には、公募制とか選挙資金の問題とかさまざまな改正がなされているようです。インターネットを選挙の投票機械にする案は、まだアメリカでも実現されていません。やはり、投票率が上がり、直接民主制の道を開くという事で、技術的な問題もあり、大きな抵抗勢力があるようです。選挙結果が大きく違ってくると指摘されています。ですが、インターネットというメディアは米国並みに利用されるようになることでしょう。まだインターネット利用の規制が多くありますので、規制緩和に進むものと思われます。

 

・私たち一般人は、「選挙のプロ」でもないので、選挙のどこの部分を変えていくことが「政治の近代化」に繋がるのか分かりません。「政治が一番遅れている」ともいわれます。議員定数の問題でも改革が遅れておりますが、政治の近代化をすすめてもらいたいものです。より合理的な選挙システムが望まれているようです。政治の古い悪いイメージを直していきたいものです。それにしても「外国の選挙プロに学ぶことは、まだまだ無尽蔵にある」といわれます。

 

 

 

 

 

******************************** ・ブログ名称: UFOアガルタのシャンバラ

日本は津波による大きな被害をうけるだろう

・第2のブログ名称:UFOパラレル・ワールド 神の国か?」「人類の原郷か?」 「天上のエルサレムか?」・・・・・・・・・

「パラレル・ワールドに住む宇宙人、天国に出入りし転生と憑依を自由に操るシリウス星人の殖民星が、地球か?」、「ネガティブのシリウス星人の地球支配があまりにも巧妙なので、しょっちゅう戦争が起こるのだろうか?」

「金髪碧眼のノルディックが住んでいたアガルタのシャンバラ情報の集大成を目指す・・・・・・・・・・」「金星蛇人と火星霊人の戦争はその後どのように展開したのだろうか」 日本民族の神話の原郷『高天原(たかまがはら)』は、『都市型の超巨大宇宙船』なのか!?」「平家がプレアデス星人の末裔で、源氏がオリオン星人の末裔なのか」 「小人族のグレイの母船に同乗する金髪碧眼のノルディックは、”悪魔の王””ルシファー”なのか?!」

「円盤は神人や異人、悪魔の乗り物なのか!?」「天使は神の秘密諜報員なのか」「神は最初のフリーメーソンなのか」

「UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象なのか。UFO問題とは、人間にとっての死の問題を解くことなのだろうか。UFOはフリーメーソンの創作なのか」

「全宇宙を創ったという“虹の神々”も地球に来ているのだろうか」

イルミナティなどのフリーメーソン組織に入ると神に会えるのだろうか」「金星の神々は地球に到着するやいなや、イニシエーションのためのフリーメーソン本部を設けたのだろうか」

国際連合の設立に動いたキリストの星、アプ星人とは」

「人は皆、記憶喪失の異星人だろうか」

「はるかに進化した天使のような宇宙人は、人間の守護霊や背後霊なのだろうか」

セドナ上空に見えないエーテルのシティが滞空するのだろうか」

 

グーグルのブロガーにも書いています→UFOパラレル・ワールド

 

 

 

 

 

経済学者でさえも、なぜTPPが重要なのかということについて、きちんと説明できないからです。疑問なのは、なぜ政治的資本をTPPのようなものに費やさないといけないのかということです。(2)

 

日本の論点  2015~16』

大前研一  プレジデント社   2014/11/14

 

 

 

<さて、今の日本にとって最大の論点は何だろうか。>

・種切れのアベノミクス、冷え込んだ中国や韓国との関係、集団的自衛権と日本の安全保障、歯止めのかからない少子高齢化、グローバルな人材を生み出せない学校教育……各論はいくらでもある。しかし論点を整理して一つに絞るならば、約1000兆円(14年6月時点で1039兆円)を超える巨大な国家債務をどうするか、という問題に尽きると私は考える。

 

・国家債務の問題はこの土砂災害の構造とよく似ている。市場が返済不能と判断したとき、土砂降りのように売り浴びせられて、薄皮のような信用の上に成り立っていた日本国債はズルリと滑って暴落し、日本は財政破綻する。ところが累積債務が危険水域に入っていることを認識していながら、政府はいまだに大型予算を組み、国債を発行し続けている。

 

・大体、世界的に見ても、都市化が進行する中でバラマキをやって地方が“創生”した試しはない。砂地に水を撒くようなものだ。人気取りの無駄なバラマキ政策がまたもや繰り返されて、国の財政基盤はさらにぬかるむ。国債暴落→債務危機という土砂崩れがいつ起きても不思議ではないのだ。

 

・40兆円の税収しかないのに、100兆円の予算を組んでいれば綻びが出るのは当たり前である。そうした赤字を埋め合わせるために発行してきた国債や地方債などの債務残高は1000兆円を超えて、世界最大の国家債務を刻々更新し続けている。

 

・1000兆円を超える国の借金ということは、国民一人当たり1000万円の借金があるということだ。生まれてきたばかりの赤ん坊もマイナス1000万円の十字架を背負っているわけで、その子たちに返せるわけがない。

 

・一方、少子高齢化で借金を返す立場の就業者は年毎に減っている。就業人口は毎年80万人ずつ減っていく計算になるが、それでは現場が回らなくなるということでリタイアを引き延ばして、かろうじて毎年30万~40万人のマイナスに押しとどめている。国の負債は増え続けているのに、就業人口は毎年30万人以上減っているのだから、“地滑り”のエネルギーはますます蓄積されていく。

 

・国家債務問題を日本が自力で解決しようとすれば、アプローチの筋道は二つしかない。一つは歳出を抑えること。税収40兆円に対して国債の利払いだけで25兆円もあるのだから、実質的に使える税収は15兆円ほどしかない。その範囲の歳出に抑えれば、とりあえず流血は止まる。財政破綻したギリシャ以上の超緊縮財政に移行せざるをえないから、国家公務員の3分の1を削るくらいの抜本的な行政改革が必要になる。

 もう一つは歳入を増やすことだ。要するに増税、それとも超増税である。税収が見込めるのは消費税ぐらいしかない。単純計算で消費税を20%ぐらいに引き上げなければならないだろう。

 超倹約か、超増税か、あるいは両方か――。国家債務の解決策はこれしかない。ところが、そうした正論を真正面から訴える政治家はほとんど選ばれないし、マスコミも報道しない。従って、この超難題を解決しようという国民的議論が立ち上がってこない。

 

<その手のリーダーによって導かれる「戦争」もまた、国家債務問題を解決する一手段なのである。>

・繰り返すが、今の日本にとって最大の論点は国家債務問題であり、この明らかな物理現象を見て見ぬふりをしてやり過ごしていることである。

 もしアメリカで日本と同じような状況が生まれたら、「20年先には破綻する」という前提で議論が始まって、歳出を抑えようという方向に進むだろう。しかし、日本では散発的な議論が始まって、歳出を抑えようと方向に進むだろう。しかし、日本では散発的な議論しか出てこないし、今なお史上最大の予算を組んでいる。

 

自民党民主党自民党というここ数年の政権交代の流れを見てきてわかったことは、政権党が変わっても、政治主導でも官僚任せでも、永田町と霞が関が主体になっている限りは、国家債務問題は動かないということだ。

 

・では、動かすにはどうすればいいか。解決策の一つは道州制にあるというのが私の考え方だ。

 中央政府が一つの答えを追い求めてもなかなかうまくいかない。それならば10の道州に行政単位を分けて、10個のエンジンでそれぞれにバラバラな答えを出してアイデアを競う。たとえば国家債務の半分を冷蔵庫に入れて、残り半分を人口比やGDP比で割って各道州に負担させるのだ。

 

<大前流「超参謀メソッド」大公開>

<マハティールの参謀として日本を見る>

<中曽根さんの打てば響くような理解力>

・日本の政治家でいえば、中曽根康弘元首相が遜色ない資質を持っていたと思う。中曽根さんの場合、「日本をこうしたい」という自分なりのシナリオを持っていた。こだわっていたのは日米関係をイコールパートナーにすることで、「イコールパートナーはこうあるべきだ」というビジョンが中曽根さんの頭の中に明確にあった。

 

・中曽根さんとの関係は参謀というよりブレーンのようなもので、最初のきっかけは86年の総選挙で自民党の戦い方を提案したことだった。

 前回選挙では、ロッキード事件で逮捕された田中角栄元首相が一審で有罪判決を受けたことで政治倫理が大きな争点になり、自民党単独過半数を割る敗北を喫した。自身三期目、しかも自民党単独政権を目指す中曽根さんとしては、次の総選挙での必勝を期していたが、事前の票読みでは形勢不利で惨敗の可能性すらあった。

 そこで中曽根さんに授けたアイデアが「衆参ダブル選挙」だった。

 

<課題はいつの時代もある参謀のタネは尽きない>

・30年来の付き合いがある会社の仕事をしていると、課題がますます難しくなっていて、戦略を考え抜いて先方に提示するまで今でも緊張する。

 

 課題はいつの時代もある。だから参謀のタネは尽きない。『企業参謀』では、「参謀五戒」という形で参謀の心得を説いている。

 

一 参謀たるもの、「イフ」という言葉に対する本能的怖れを捨てよ

二 参謀たるもの、完全主義を捨てよ

三 KFS(key Factors Success 戦略の成功の鍵)に徹底的に挑戦せよ

四 制約条件に制約されるな

五 記憶に頼らず分析を

 

・今の時代にあえて付け加えるなら、「自分のインタレスト(利益、利害)を捨てよ」ということだろう。

 

・自分のインタレスト、自社のインタレストは捨てて、「この人を輝かせるためにどうしたらいいか」だけを考える。ただし、それは自分の理想や要望であってもいけない。無理な戦略を提言して「それはいいけど、俺には無理だ」と言われたら仕方がないし、無理強いして失敗させたら元も子もない。

 大将の能力、力量を正しく見極められなければ、参謀は務まらない。

 

<オリンピックバブルに騙されてはいけない>

<日本を活性化できるのは東京の「西高東低」を是正する大規模開発だ>

<長距離通勤は人生を消耗させる>

・日本の大都市の特徴として、都市の西側のほうが東側よりも地価が高くなるという傾向がある。東京・大手町からJRや地下鉄で15分、30分、1時間というふうに同心円を描くと、同じ時間・距離でも西側と東側では土地の値段が4倍くらい違うことがわかる。

 

・こうした「西高東低」の傾向は、今後大規模開発によって十分に変更可能だと私は考える。

 

例えば、これから東京都内に家を買おうというビジネスマンが、一切のバイアスを取り除いて通勤の利便性だけで物件選びをするとすれば、絶対に“西側”は選ばないだろう。

 

<職住近接の24時間タウン>

・私は千葉県木更津市から神奈川県横浜市金沢八景辺りまでの東京湾岸一帯を再開発して、ウォーターフロント100万人都市を誕生させようという「湾岸100万都市構想」をかねてから提唱している。東京都下で中核になるのは、先述の築地、勝鬨、晴海エリアである。

 

・オリンピックのような国家的イベントが成長のきっかけになるのは、途上国においてだろう。本当に日本を活性化できるのは、東京の「西高東低」を是正するような大規模開発だ。

 

バブル崩壊前夜の中国とどう付き合うか>

<1億円以上持つ中国人の50%は国を出る準備をしている>

・「習近平国家主席は日本との関係改善に前向きな気持ちを持っているが、中国の軍事利権とエネルギー利権の関係者は、日本との関係が悪化するほど、予算が取れるから、日中関係を煽っている」

 

<巨大市場としての魅力は薄れリスクがクローズアップ>

・しかし10年のワンサイクルを経た今日、中国の巨大市場としての魅力は減退し、逆にカントリーリスクが顕在化し、中国経済はいつバブルが弾けてもおかしくない状況だ。

 

・労働コストの上昇で、中国の生産拠点としてのメリットは失われつつある。逆に政治家や役人の腐敗、先進国から大きく遅れた法整備、当局の不条理な規制や指導など、爆発的な成長の陰に覆い隠されてきた中国経済の暗部が露わになり、チャイナリスクがクローズアップされるようになった。

 

・特に邦人企業の場合は、戦後の歴史問題のために、反日運動や嫌がらせの標的になりやすい。日本政府が尖閣国有化を言い出したときに、さまざまな対日報復措置の指揮を執ったのが習近平国家主席(当時は国家副主席)だった。習近平体制は今後10年続く可能性もあり、当面、日本の企業に中国で浮かぶ瀬はなさそうだ。そのような視点に立って、企業経営はアジア戦略を見直す、リバランスする作業が必要ではないか、と思う。

 カントリーリスクの高い中国のウエートを落として、今後、10年、20年、中国で何が起きても耐えられるくらいまで中国依存を減らし、ほかのアジア諸国の配分を高めていくべきだろう。

 

<カリスマ的指導者は中国では出ない>

・最近の調査で「修復しがたい敵意」を相手に対して持っている人が日本・中国とも90%という信じられない悪循環に陥っている原因は、尖閣国有化だけではなく、中国共産党の事実を歪曲した広宣活動がその根底にあると知るべきだ。ソ連と比べるとその点がかなりクリアになる。ペレストロイカ(改革)とグラスノスチ(情報公開)で旧ソ連を否定し、解体に導いたゴルバチョフ、その後のエリツィンプーチンのようなカリスマ的指導者は中国では出てこない。

 

チャイナリスクと向き合う覚悟を>

共産主義は貴族や資本家から収奪した冨の分配については説明していても、富をどうやって生み出すのか、皆でつくった富をどうやって分けるか、という論理がきわめて弱い。ここが一番の問題で、共産主義とは「皆が貧しい時代の教義」なのである。

 

・当然、中国社会には不満が充満している。これまでにも年間20万件くらいのデモやストライキがあったが、主役は土地を取り上げられた農民など貧しい人たちだった。しかし、成長が止まり、土地バブルが崩壊するとなると先に豊かになった“はず”のインテリ層、小金持ち、中金持ちが不満分子の中核となってくる。

 

・倹約令と腐敗の摘発で民衆の不満をなだめようとしているが、それで改革開放で決定的となった貧富の格差の拡大が埋まるわけではない。結果として、中国の政治と経済の矛盾はますます拡大し、人民の目を外に向けるために周辺諸国との関係が緊張する。

 今の中国指導層にそれ以外の知恵も歴史を見直す勇気もない、と理解すれば、日本企業は中国の次の10年は、チャイナリスクと向き合う覚悟と準備をするべきだろう。同時にアジアの他の諸国との「リバランス」を検討することも必要となる。

 

・(結論!)企業経営はアジア戦略を見直し、リバランスする作業が必要。カントリーリスクの高い中国のウエートを落とし、今後、10年、20年、中国で何が起きても耐えられるくらいまで中国依存を減らして、ほかのアジア諸国の配分を高めていくべき。

 

 

<●●インターネット情報から●●>

 

ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)より抜粋

 

大前研一

<主張>

・移民政策を行うべきだと主張し、1990年代前半より「グリーンカード制」導入を提案している。

 

道州制の導入を主張している。

 

・18才成人制の導入に肯定的な立場である。

 

・2008年、日本経済新聞上にて『これからは韓流。日本は韓国を見習え』と韓国経済を評価する主張をしていたが、6年後の2014年には『サムスン電子と心中か? 韓国経済の暗雲』という表題でPRESIDENT紙上にて「サムスン電子がコケたら皆コケた」という韓国経済の脆弱性を批判している。

 

北方領土旧ソ連の“正式な戦利品”であり、「北方領土は日本固有の領土」という日本側の主張は史実を曲げていると主張している。

 

・医療費抑制策として、救急車の有料化を主張している。

 

・地方議員はすべて無給のボランティアにすべきだと主張している。

 

・航空機が東京都心上空を通過するルートをとる、都心の飛行拡大案については、騒音などの問題をきちんと議論するという条件付きで、基本的賛成の立場をとっている。

 

アベノミクスに対しては20世紀型の経済政策だとし、批判的な立場をとっている。2014年時点で、日本経済の根本的な問題は「低欲望社会」にあり、個人が1600兆円の金融資産、企業が320兆円の内部留保を持っているのに、それを全く使おうとせず、貸出金利が1%を下回っても借りる人がおらず、史上最低の1.56%の35年固定金利でも住宅ローンを申請する人が増えていないことが解決すべき問題だと主張している。

 

・トマ・ピケティの2015年現在「日本は格差が拡大している」という主張に対し、たしかに、「相対的貧困率」や「ジニ係数」など日本で格差が拡大しているかのように見えるデータもあるが、日本で格差が拡大していることを示す現象はどこにもないとし、ピケティは日本に対し勉強不足だと批判している。ピケティは日本に対し、「資産家の高所得層に高税を課し、資産を持たない若者や中低所得層の所得税を引き下げる累進課税にすべきだ」と指摘したが、大前は「日本は世界で“最も社会主義化した資本主義国”だと思う。だから資産家に対して累進課税で高税を課すべきだというピケティ教授の主張は、全く当てはまらないと考えている」としている。

 

アジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加は愚の骨頂であり検討する価値すらないと主張している。

 

地熱発電に関して、日本に最も適した再生可能エネルギーであり、注力すべきと主張している。

 

カネボウ東芝オリンパス事件などの粉飾決算事件を指摘し、監査法人は最長でも5年で代えるというルールにすべきと主張している。

 

・首都高の地下化を提言している。

 

・韓国に対しては、いくら日本を批判しても自国の改善にはつながらないことに思い至り、自分たちが真の先進国になるためにはどうすればよいか、冷静に考えられるようになるまで待つほうが良く、それまでは、韓国が何を言おうが無視して、韓国パッシングするスタンスが賢明であると主張している。

 

 

『 COURRiER  April 2016』

 

 

『「無条件に月13万円をお渡しします」人生を変える社会実験が始まった』(ベーシックインカム 貧困対策の“切り札”をめぐる欧州各国の議論沸騰)

 

何もしなくても最低限の生活費が保障されるとしたら、あなたは働くだとうか?究極のバラマキともいわれるベーシックインカムの影響を調べる実験の結果は、はたして。

 

・すべての国民が無条件で政府発行の小切手を月1000ユーロ(約13万円)をもらえるとしたら、その国はより良い国になるのだろうか?1000ユーロといえば、ドイツ人の月平均所得の半分以下だが、生活保護受給者の給付金の2倍以上の額だ。ベーシックインカム基本所得)としてその金額が支給されるとしても、人は毎日ベッドから出て仕事に出かけたり、何かの生産的なことをしたりするのだろうか?

 

・ドイツで実際に行われている「メイン・グルンデインコメン(わたしのベーシックインカム)」というささやかな実験は、こうした疑問を検証するものだ。クラウドファンディング型の寄付を財源として民間人が行っており、現在までに26人が、自由に使えるお金として月1000ユーロを受け取っている。

 この実験は、ドイツで続いてきたユートピア論争に新たな展開をもたらしている。欧州各国で貧困が拡大し、ワーキングプアが増加するなか、昨年ドイツが最低賃金制度の導入に踏み切ったことも、議論に油を注いでいる。

 

フィンランドでは、昨年誕生した中道右派政権が、ベーシックインカム導入に向けて予備調査を開始すると発表した。

 

フィンランド以外でも、スイスが今年、ベーシックインカム導入の可否を問う国民投票が行われる予定だし、オランダでもこの制度を支持する声が高まっている。

 

<月にたった13万円でも、人間は健康を取り戻せるのです>

<13万円で自由になれる>

 

・一方ドイツでは、この議論はいまに始まったことではない。ベーシックインカムに対する国民の支持は以前から強い。

 

・“ミニ・ベーシックインカム”とでもいうべき児童手当がすでに機能している。18歳未満の子(学生は25歳未満)が対象で、最低でも月額184ユーロ(約2万4000円)が給付される。

 だが、日常の生活費を給付する試みは、ベルリンの企業家ミヒャエル・ボーマイヤー(31)が2014年に立ち上げた「わたしのベーシックインカム」プロジェクトが初めてだ。

 

<13万円でよく眠れる>

・ボーマイヤーによれば、当選者のほとんどは、その後も仕事を辞めない。だが、当選したことをきっかけに、人生に対する見かたが大きく変わるのだという。

 

<タダ働きにも報いを>

ベーシックインカム制度には4つのポイントがある。全国民に与えられること、個人に与えられること、無条件であること、そして、つつましい生活を送るには充分な金額であること。

 

・現在のドイツ社会では、家族の世話や家事、社会貢献活動、学校の部活のコーチといった目立たない仕事を、無報酬で引き受けている人が少なくない。もしドイツで全国民を対象とするベーシックインカムが導入されれば、きっと良い結果をもたらすだろうとキッピングは考える。

「世の中には、オフィスや工場で発生する仕事よりも、給料が出ない仕事のほうが多いのです」

 

・だが、経済学者の意見は真っ二つに分かれている。なかには「ばかげた制度」だと切り捨てる学者もいる。

 

・「各政党ともまったく意見がまとまらないのです。ベーシックインカムである程度の収入が保証されたら、働く意欲がなくなるのではないか?財源はどうやって確保するのか?こうした点を不安視する声が、どの政党でもあまりにも強いのです」

 

 

 

原発大震災の超ヤバイ話』

知らない方が幸せかもしれない

阿部芳裕  ヒカルランド      2011/7/12

 

 

 

<私が勧めるベスト・シナリオー政府は貨幣を自らの手で発行せよ!>

・最後に、まったく検討されていませんが、ベストのシナリオとして私がお勧めするのが、政府の貨幣発行権を発動することです。

 

・日銀券は、日本銀行が持っている国債などの資産の分だけ発行できることになっています。ですから、国債日本国政府の借用証書ということになります。当たり前ですが。

 

日本銀行は「銀行の銀行」という役割を持ち、日銀の発行する銀行券を市中銀行が借り受け、融資を通して世の中に流通させます。

 

・銀行は融資において“無”からお金をつくり出しているのです。この融資によってつくり出された預金通貨はすべて借金が元になっています。さて、政府には貨幣発行権があります。何も銀行からお金を借りる必要はありません。

 政府が必要なら、必要なだけお金を作れば良いのです。実際、硬貨は政府が作っています。硬貨は作れば作っただけ経費を差し引いて政府の一般会計の歳入の部に入ります。借金にはなりません。そして、何も10円、50円、100円、500円だけしか作ってはいけないわけではありません。

 

・いくらでも必要な額のお金を作れば良いのです。たとえば、100兆円必要があったら、100兆円札を一枚作って、それを日銀の政府口座に入金します。そうすれば、政府の口座に100兆円のお金が記載されます。政府は必要なときに必要なだけ現金を引き出しても良いし、振込先を指定して送金することもできます。

 

<貨幣発行権を持つ政府がわざわざ銀行からお金を借りることは馬鹿げています>

・これは単に歴史的な経緯で、銀行家にとって都合の良い通貨制度ができあがってしまっているだけで、本当に馬鹿げたことを全世界で習慣的に行っているのです。

 政府が貨幣発行権を発動したときの経済効果は、日銀の直接引き受けとほぼ同じです。一つ違うのは財政赤字になりませんから、健全と言われる3%程度のインフレになるまではいくら発行しても大丈夫です。むしろ発行すればするほど景気が良くなり財政赤字は解消されます。ですから、復興費用だけではなく、被災者への補償や再生可能エネルギーや新エネルギーへの転換、送電網の整備などに、どんどんお金を発行するべきです。

 

 

 

『2012年 大恐慌に沈む世界 甦る日本』

三橋貴明   徳間書店    2011/10/3

 

 

 

<日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない>

・まことにごもっとも、日本やアメリカなどの先進国の自国通貨建て国債のデフォルトなど、考えられないというより、あり得ない。何しろ、国債を発行する中央政府は、「徴税権」および「通貨発行権」を持ち合わせているのである。

 

・自国通貨を発行できる中央政府が、自国通貨建ての国債のデフォルトなど起こすはずがない。国債価格が下落し、長期金利が低迷した場合、中央政府中央銀行に命じ、国債を買い取らせてしまえば済むのである。

 

・無論、中央銀行による国債買い取りが続くと、その国のインフレ率は上昇していく。とはいえ、ここで問題にしているのは「自国通貨建て国債のデフォルト」である。

 

・問題にしているのは「日米の政府がデフォルトするか否か」であり、インフレ率上昇ではない。「政府のデフォルト」と「インフレ率上昇」は全く別の現象であり、解決策も異なる。

 

 

 

『優良惑星への超ジャンプ』  2012年から始まります!

中丸薫  徳間書店  2010/2/28

 

 

 

<マネー信仰と悪魔崇拝は同じ・債務と利子で人間を縛るのは宇宙の禁じ手・無利子の政府紙幣を発行せよ>

・超ハイテクで実現「自立自営農業国家日本」・黄金文明の秘宝日本の発動

 

ベーシック・インカムがたとえば、日本人一人当たり月額15万円ずつ支給するという考え方はどうでしょう。>

<優良惑星への超ジャンプは日本がモデルとなって、一番最初に実現しなければなりません>

 

通貨発行権を握られていては、いつも好不況の波にさらされて、心の問題に向き合うことができなくなります。日本は率先して、インチキ金融システムから脱却していきましょう。民主党の皆さんは、英断を下してほしいと思います。

 

・政府は無利子のマネーを発行することに踏み切ってください。

地方の隅々にまでお金を行き渡らせてください。

中小企業にもお金を行き渡らせて活力をよみがえらせてください。

国民の皆さんも声を上げてください。

国民の大きな支持がないとこれはできません。

 

・そして日本は持てるテクノロジーのすべてを食糧生産と新鮮な水の供給とフリーエネルギーの開発に振り向けてください。

 

民主党の政策は、もうこれ以上経済成長はないから、政府の権限を地方に渡して、地方は国を頼ることなく地方ごとにやっていきなさいという方向です。それはよいでしょう。しかし、そのためのマネーサプライを無利子でやってください。そこをこれまでどおりにやってしまいますと借金の無限ループにますます日本中がはまってしまうのですよ。そこがわかっていますか。

 

・それと鳩山さんは、いずれ日本の主権を世界的な機関・政府に譲り渡す構想のようですが、それが闇の権力の計画そのものなのがわかっていますか?

 

<主権の委譲>

鳩山由紀夫首相のホームページには「憲法試案」が掲載されています。

 

・御覧の通り、「通貨の発行権その他の国家主権の一部を国際機構に委譲」と明確に書いています。つまり、日本の国家主権を世界政府に譲渡すると明言しているのです。この重大事を日本国民がどれだけ認識しているのでしょうか?

 

 

 

<●●インターネット情報から●●>

 

ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)より

 

 

 

『働かざる者食うべからず』

 

<歴史>

近年の日本では、本来の意味から離れ、経営者にとって都合の良いプロパガンダに変わり、「失業者は食わずに我慢しろ」「営業成績の悪い営業マンは給料を与えない」という意味で使われることがある。日本は社会主義国のように労働の機会のすべてを握っていないので、すべての失業者に適当な職業を紹介できない。よって、職業安定法などで失業対策をする義務を負っている。なお、職業安定法による失業対策自体は、雇用を生み出しているのではないため、不景気の際には雇用を生み出す施策を講じることも求められる。

 

現実的に働いていない者の中から「(病気、障害などで)働きたくても働けない」者を選別するのは簡単なものではないために、ベーシックインカムの議論も生まれている。

 

「勤労の義務」は日本国憲法第27条第1項に規定されている教育・納税と並ぶ日本国民の3大義務であるが、そもそも、日本のような資本主義社会において、労働は倫理的性格の活動でなく、労働者の生存を維持するためにやむをえなく行われる苦痛に満ちたものである。人類の最終目的が、全てを機械化・自動化するによることにより、生きる為に必要な労働から解放されることであるならば、「働かざる者食うべからず」は時代錯誤といえるのかもしれない。

 

 

 

『国家機能を立て直す』

若手政治家が目指す、新しい日本のかたち

衆議院議員 野田佳彦ほか フォースプレス  2009/4/30  

 

 

 

<意見の言える外交戦略が重要>

・年金、医療、介護などで高齢化社会の問題は、どうしても公がサポートしなければいけません。しかし、社会保障費を約2200億円も削るなどの無理を強いてきたので、そのツケが回ってきました。で医療崩壊や年金は崩壊を招いている。

 

・殺伐としてきます。自ら命を絶ち切る人が年間3万人を超える事態が約10年も続いていますからね。

 

・「日本はアメリカの51番目の州」という極端な意見もありますが、それぐらい外交で日本が主張するという場面はなかったですね。安全保障もそうですし、経済もそうです。アメリカの過剰消費によって日本の輸出はなりたっているので、意見も言わない。外交も経済も依存型になっているのです。

 

<互いに主張し合うのが本当の外交>

・どちらかといえば、外務省にはアメリカにものを言えないタイプの人ばかりが集まっていますよね。

 

・損をさせられる、収奪される。そういう事態になったら文句を言うべきですよね。そのときですら文句をいえない。それは問題ですね。

 

・日本に外務省はあるが、外交はないのです。

 

<チャンスがあるから地方へ旅立つ>

・特に地方の疲弊は深刻ですね。私も選挙の応援などで地方へ出向きますが、ほとんどの店のシャッターが閉まっている商店街をときどき見かけます。限界集落などは見るに忍びない風景ですね。日本の原風景のような場所が壊れています。

 

・特に農業をどうやって立て直すかという課題がありますね。地方に、もっとさまざまなビジネス・チャンスが広がるべきですが、基本は農業です。いま農業者が約312万人、漁業者が約21万人。極端にいえば、この333万人が1億2000万人の胃袋を賄っている。しかし、後継者がどんどんいなくなっています。

 

民主党の政策は「農家の戸別所得補償」です。簡単に言えば、所得を補償する案ですね。

 

・農業土木の予算を削り、従来の農業予算のなかに直接農業者へ届くように行いますので、決してばらまきではないのです。

 

・地方で頑張りたいと思う方は、増えてくると思います。悲惨なかたちで地方へ逃げるというよりも、むしろチャンスがあるから旅立つイメージです。家賃も安いし、健康にもいいし、仕事もある。そんな国づくりをしていくといいと思います。

 

 

 

『チェンジ!』   日本が変わるべき50のこと

参議院議員・国際政治学者 舛添要一   ダイヤモンド社   2002/1/31

 

 

 

<「福祉」は元が取れる公共事業だ>

・いま実行すべき政策の第一は福祉の充実である。こんなことを言うと、舛添はマタマがおかしくなったと思われるかもしれないが、福祉は金食い虫であるという。その先入観を根本から変えなければいけない。

 

<一人が寝たきりになると年5百万円の税金が使われる>

・福祉こそが財政と人心安定の二つの面において、最も効果的な政策だと言える。

 

<「寝たきり」問題は国民的課題だ>

・いま日本には3百万人の寝たきり老人がいる。一人の老人に身寄りがだいたい5人いるとして、千五百万~2千万人くらいの人間が関わっていることになる。要するに5人に1人くらいは、身内で要介護の人を抱えているのだ。これは国民の一大関心事である。国民的課題である。

 

・一人の高齢者が寝たきりになると、いったい年間いくらぐらいの税金が使われるのか、みなさんはご存じだろうか。じつは、5百万円という大金が一人の高齢者だけのために使われていくのである。

 

・既にご存じの方もおられると思うが、私の母も家の廊下での転倒と言う小さな事故がきっかけとなって、それまで軽症だった老人性痴呆を一気に悪化させ、やがて5年間にもわたる車椅子と寝たきりの生活を余儀なくされるに至った。

 

・しかも、その負担は国や自治体だけでなく、その家族にもかかっていく。私は、5年間、母の介護のためにほぼ毎週、母の住む福岡県と東京の間を行き来した。妻と2人で行くと、交通費だけで1回の往復は十万円、年間5百万円でそれを計5年やったわけだから、ざっと2500万円をJRや航空会社に支払った計算になる。

 

・私は、当時まだ普通に自由業をやっていたから、その金も何とか工面できたが、これが一般のサラリーマンだったらまず不可能だったろう。

 

<福祉が充実すれば社会的コストは下がる>

・あるいは老人施設を作るのも一つの方法である。たとえば、老人ホームを作って、そこに百人のお年寄りを入れれば、家で介護に携わっていた主婦などが共働きを再開できる。つまり百人の働き手が増えるし、ヘルパーさんの雇用も増える。福祉への公共投資は十分に元が取れるのである。

 

<ITの機器を買うのでなく、ITで時間を買うのだ>

<ITは時間を作り出す道具>

・家事と仕事を持っていると、人の2倍働かないといけない。どこかで時間を削るしかない。ITはまさにその時間を作り出す道具ではないかと思う。

 

<21世紀の廃藩置県をやってみよう>

・私が提唱するのは道州制である。47都道府県をやめて道と州に分けるのである。

 

・3250ある市町村を千から八百ぐらいに減らしてもよい。市町村合併は非常にメリットがある。まず規模のメリット、小さな村だと財政の8割が交付税などという馬鹿げたことが起きるが、大きくなれば自前の税金でやっていける。

 

<本を読め、考えを書け!>

・インターネットで得られる情報がすべてを網羅しているわけではないからだ。だから、私は、基本的には本を読むことだと思う。が、問題なのは、読書の時間がコンピュータとテレビによって失われていることである。努めて読書をする。やはり人の上に立とうと思うなら書を読むしかない。

 

・「読むこと」と「書くこと」。これが一番思考力を鍛える。人の考えを知り自分の考えをまとめることで、自分が変わってくる。物事を良いほうに変えるためには、まず自分自身が変わる必要がある。

 

・今こそ、私たちの英知を結集して、経済を回復し、夢と希望にあふれた新しい日本を構築しなければならない。

 

 

経済学者でさえも、なぜTPPが重要なのかということについて、きちんと説明できないからです。疑問なのは、なぜ政治的資本をTPPのようなものに費やさないといけないのかということです。(1)

 

『2020年  世界経済の勝者と敗者』

ポール・クルーグマン浜田宏一 講談社 2016/1/25

 

 

 

<TPPは日本の問題かアメリカの問題か—―浜田>

・かつて、私はTPP(環太平洋経済連携協定)は日本の問題だと思っていました。しかし実際のところ、TPPをもたつかせていたのは、アメリカの政治のように思えるのです。

 私はいままで民主党の政治上のバイアスがどれほど強いかを把握する機会が多くなかった。ですが、共和党のほうがより市場志向型のものを信じている傾向があることは、何回も確認することができました。富裕層に有利な政治を志向しているということでもあります。

 

<TPPに半信半疑なアメリカ人――クルーグマン

・TPPについては、私は「どっちつかずの反対者」です。これは「どっちつかずの賛成者」ということではありません。そういう人は、決して少なくない。

 TPPは、それを支持しているだろうと思われる人の間でも、それほど支持を得ていません。NAFTA(北米自由貿易協定)の強力な支持者でも、TPPについては半信半疑なのです。

 ラリー・サマーズもTPPを支持すると自分ではいっていますが、その道理は非常に弱い。『フィナンシャル・タイムズ』紙に出た彼の論説には「TPPは可決すべきだ」と説明している部分がありますが、残りの部分では、TPPがあまりいいアイディアではない理由も説明しています。

 

自由貿易の利点というものは、すでにほとんど実現されているものばかりです。過去の一連の協定によって、関税その他の貿易障害は、既に非常に低いものとなっているではありませんか。

 仮に貿易摩擦がアメリカの貿易に影響を及ぼすことがあったとしても、それは貨幣価値の変動といった別の要因によって意味がなくなるくらいに低い水準です。

 つまりTPPは、実際には貿易に関するものではないのです。

 TPPによって、既に低い関税がさらに低くなるかもしれない。しかし提案されている協定の主眼は、薬品の特許や映画の著作権などの知的所有権を強化すること。そして企業や国がそれに関する紛争を解決する方法を変えることにあります。いずれの変更も、それがアメリカにとって望ましいことかどうかは自明ではありません。

 

<TPPの実態たる2つの協定とは――クルーグマン

・TPPの実態が何かといえば、主に2つのことについての協定だといえるでしょう。一つは紛争解決。もう一つが知的所有権に関する協定です。そして、このどちらにも問題があります。

 

民主党議員のなかには「なぜ、これが我々のプロジェクトなのか」という人もいました。何のためのプロジェクトなのかという十分な説明もないのに、そのことで選挙区から非難を浴びることが不本意だというわけです。

 

<金融はTPPで弱体化するのか――クルーグマン

・他の問題については率直だったオバマ政権ですが、TPPに関してはそうではありません。これは、現政権が率直な態度で懸念に向き合っても、TPPを正当化できないということでしょう。それ自体、TPPを支持しない理由になります。

 

クリントンのアドバイザーの仰天コメント――クルーグマン

・とはいえ、進展を見るのは興味深いものがありますが、私も含め、サマーズやジャレド・バーンスタインなど、リベラルなエコノミストの文章を読んでみると、誰もがこのTPP交渉が起きていなければいいと思っているような書き方をしています。

 サマーズは可決すべきだといっていますが、あまり自信がなさそうなのです。私はといえば、「TPPには反対だ」と、しぶしぶいっている状況です。どうしてもTPPについては熱が入らないのです。

 TPPについて、私が聞いたベストなコメントは、ヒラリー・クリントンのトップ・アドバイザーのものです。オフレコかどうか分からないのですが、ある会合でその人は、「TPPを消滅させることはできないのか?」といったのです。これには笑ってしまいました。

 

<TPPのプラス点とマイナス点――浜田>

・したがって、TPPが紛争解決に働くようになるとすると、国際法もオブラードに包まれた力の対決だけではなく、ルールによる解決のために使われるようになる。その点では大きな進歩です。ただ、ポール(クルーグマン)やバグワティが心配しているように、解決のルールが、ウォール街の金融マンや弁護士だけに都合の良いものにならないよう留意しなければなりません。

 知的所有権を教化すること自体は問題ではありません。少なくとも、アメリカの弁護士やビジネスマンのプラスにはなるでしょう。

 ただ、エイズと闘う知識が存在しても、知的所有権が強化されると、開発途上国の人々は新しい治療法で治療を受ける権利を奪われるかもしれません。

 

<経済学者も説明できないのがTPP———クルーグマン

・リベラルな経済学者でTPPに熱心な人は誰もいません。民主党下院リーダーである院内総務のナンシー・ペロンも、なぜTPPが政治的に重要なのかという問いを発していますし、私の支持する民主党、その幹部もTPPをよく思っていません。経済学者でさえも、なぜTPPが重要なのかということについて、きちんと説明できないからです。

 疑問なのは、なぜ政治的資本をTPPのようなものに費やさないといけないのかということです。

 

<石油価格とシェールガスの開発――クルーグマン

・さて、原油価格について、原油価格が底値を打ったかどうかについては、誰にも分かりません。供給カーブについて、原油価格が底値を打ったかどうかについては、誰にも分かりません。供給カーブは弾性曲線になっており、多くのシェールオイル採掘のフラッキング(水圧破砕)計画がキャンセルされています。

 

・つまり、以前起こったことを参考にしてもあまり意味がないわけです。

 言い方を換えれば、いま起きていることは過去に例がないということシェールオイルのフラッキングは過去の例とはかなり異なります。アメリカにシェールオイルという非在来型のオイル部門があるという事実は、以前よりも事を複雑にしています。

 

<格差最大の原因はテクノロジーか――クルーグマン

・次にアメリカにおける格差問題に関して、オバマ大統領は、富裕層への課税を強化しようとしてきました。それは、かつて投資収益に対して行った減税を逆転しようというものです。つまり、ビル・クリントンが大統領だったときに普及した税率に部分的に戻るというわけです。そしてその税収で、低収入層の労働者に福祉を提供しようとしています。

 この政策で劇的に状況が変わるということはないでしょう。

 

・しかし、なぜCEOの給料が、従業員の給料と比べてそこまで増えたのか。なぜ特定の職業、特にエリート職の収入が多いのか。なぜヘッジファンド・マネジャーには莫大な収入があるのか。国民所得における資本のシェアがなぜ増加しているのか。こういう疑問に対しては、きちんとした説明がなされていません。

 かつては、多くの人が格差拡大の原因はテクノロジーであると主張していました。しかしいまは、多くの点でその議論がフィットするようには思えません。

 

<消費税10%は絶対不可――クルーグマン

・ただ、アベノミクスに対して懐疑心を持たざるをえない時期があったのは確かです。その原因は、2014年4月に消費税を5%から8%に引き上げたこと。さらにその翌年に10%に増税することも示唆されていました。

 消費税を上げることは、日本経済にとって自己破壊的な政策といわざるをえません。増税以降、日本経済は勢いを失い始めたように見えます。

 

・ましてや、消費税を10%に上げるようなことは、絶対にやるべきではありません。

 

<日本のバブル以上に大きな中国バブル――クルーグマン

中国経済では、日本でのバブル崩壊よりはるかにひどい状況になる可能性が高い。そうなれば、日本経済への影響もあるでしょう。

 

<中国との戦争はゼロではない――クルーグマン

・さらに大きなリスクは、中国が戦争に踏み出すことです。そのことも考えておく必要があるでしょう。そうなったら、隣国である日本にとっても他人事ではなくなります。それどころか、日本と中国がことを構えるということになれば、まさに悪夢となります。

 ただ、現在の世界情勢を考えると、その可能性も決してゼロとはいえません。

 

<中国は「次のロシア」か――クルーグマン

・中国では、経済発展の犠牲になった地方出身の労働者によるデモが頻繁に発生しています。デモが暴力を伴う騒乱になることも少なくありません。こうした民衆の鬱憤が共産党政権を揺るがす可能性が高いのです。

 そのため共産党が民衆からの支持を得ようとするなら、太平洋のどこかにちょっかいを出す可能性もあるのではないでしょうか。敵を設定し、それと戦うことによって、国民をまとめ上げようというわけです。

 これまでにも、中国は小規模な紛争を演出して、アピールの手段にしています。しかし、紛争が小さなもののままで終わらない可能性も出てくるかもしれません。

 

アベノミクスが世界の規範に――クルーグマン

・再びアベノミクスに関して述べれば、世界中がそれに注目していますし、みんなが成功するように声援を送っています。

 

<「天動説」を変えない学者たち――浜田>

・東大や京大や阪大のほとんどの学者は、金融政策のことを話すときに、金融政策は効かないという「天動説」を変えませんでした。つまり太陽が地球の周りを回っていると思いこんでいたのです。

 大げさにいえば、私はガリレオ・ガリレイの心境でした。

 

アベノミクスの成功確率は――クルーグマン

・とはいえ、これは成功させるのが非常に難しいやり方であります。おカネを刷って国債を買うだけでは限界があるのも確かでしょう。私はアベノミクスが奏功する確率は半々だと思います。

 

<ワインと国債の格下げの関係――浜田>

・このように国債の格付けは、ワインのものと同じように、客観的な基準によるものではなく、政治的な思惑にも影響されます。ですから、それほど気にする必要はありません。

 

<日本国債を格付けするならAAA――クルーグマン

・しかし実際には、日本の債務危機に賭けて大損した人も多いのです。まず、日本は純負債がそこまで多いわけではありません。借金を抱えていると同時に、政府には莫大な資産、特に金融資産がありますから。

 日本がデフォルトしないのは、自国の通貨が不足することがないからです。借金は円なのですから、円を刷ればいいだけの話なのです。

 

・もし、私が日本国債を格付けするなら、AAAです。アメリカと同じように、自国の紙幣を刷ることができる国には、デフォルトリスクがありませんから。

 

<日本政府が持つ莫大な金融資産――浜田>

<日本の対外純資産は世界1――浜田>

・加えて日本は、官民を合わせて見ると、世界で最も多くの対外資産を持つ純債権国です。日本の対外純資産は2014年末時点で366兆円。24年連続で世界一となっています。ですから、ギリシャ問題のような経済危機が起きると、世界の投資資金が円に集まり、円高が発生するのです。

 それが示しているのは、円がユーロよりもアメリカ国債よりも信用があるということ。

 

格付け会社と違って、投資家や市場参加者は、自分たちのおカネを懸けて勝負しています。どちらが信用できるかは自明のことでしょう。

 

<フランスよりもずっと低い国債の利払い――浜田>

・また国債の利払いも、2015年度予算で10.1兆円ですから、歳出全体の10%強……これは、アメリカ、イギリス、ドイツの7~9%とほぼ同じで、フランスの15%よりもずっと低い数字です。

 

・もし増税をするのであれば、同時に金融緩和という援軍も必要になってきます。

 消費税が上がって最も苦しむのは誰か。低賃金、低所得、低年金生活者です。生活必需品は税を免除する、あるいはマイナンバー制を活用して生活困窮者に戻し税を支払うなど、所得分配上の配慮も必須でしょう。

 

<海外で撒き散らされる嘘の正体――浜田>

・にもかかわらず、「日本は消費税の増税をしなければ財政破綻してしまう」といってはばからない人たちがいるのは問題です。

 それを日本国民にだけでなく、世界中でいいふらしている。そのために、海外にも日本の財務状況が非常に悪い状態だと信じてしまっている人がいるのです。自国のことを自ら悪くいうのは、日本だけではないでしょうか。

 

日銀総裁が持つ財務省主税局のDNA——浜田>

・黒田氏は、金融政策については素晴らしい総裁です。ですから批判はしたくないのですが、こと税の話になると、財務省主税局のDNAが垣間見えるような気がします。

 

<中小企業にもプラスとなるTPP——浜田>

・TPPによって、輸出産業が活発化する可能性は大いにあります。一方で、懸念があるのも事実です。

 たとえば、ほぼすべての関税が撤廃されることによって、中小企業の製品や農作物は安価な輸入品に押されてしまうのではないかという懸念………確かに、こうしたマイナス面が考えられるのも確かですが、同時にプラス面も考えることができます。

 

<TPPと「新三本の矢」は起爆剤――浜田>

アベノミクスの根本を形成するものは金融政策にありますから、金融緩和は続けなければなりません。そうして実現するのが、「GDP600兆円計画」です。

 また、人口減を最小限にとどめたうえで、「1億総活躍社会」を作ることも必要です。

 さらに最初の「三本の矢」では注意が欠けていた、低所得者層への労りも非常に重要となりますが、「新三本の矢」では、「夢を紡ぐ子育て支援」や「介護離職ゼロ」も謳っています。

「新三本の矢」とは、最初の「三本の矢」がうまく機能したとき射る矢なのですが、TPPと相まって、日本経済を活性化させる起爆剤となるでしょう。

 

<インフレ・ターゲットは4%で――クルーグマン

・しかし、インフレ・ターゲットは2%ではなく、4%がいいと考えています。この主張が誤解されて、2015年秋、私がアベノミクスに悲観的な立場をとるようになったと報道されてしまいましたが、私の真意は「実際に2%というインフレ率を達成しようとするなら目標は4%に設定するべきだ」ということなのです。

 というのは、そこには私が「臆病の罠」と呼んでいるリスクがあるからです。

 

<円安の効果には時間がかかる—―クルーグマン

アベノミクスによる大きな成果の一つは、大幅な円安である。アベノミクスは以前、日本のメーカーは、円高すなわち円の過大評価に苦しめられてきました。しかし円安になったことで、かなり競争力が付いたのではないでしょうか。

 

<日銀主流派が呼ぶ「黒い日銀」「白い日銀」とは――浜田>

・そもそもアベノミクスが登場する前、日銀は「経済には金融政策は効かない」「デフレのままでいい」という、世界の経済学の常識からかけ離れた考え、すなわち「日銀流理論」に支配されていた。そうしたかつての日銀主流派は、アベノミクスの登場によって旧主流派となった。いまは雌伏の時を過ごしているが、いざとなったらまた表舞台に出てこようとしているのだろう。

 そして、再び「日銀流理論」で日本を動かす、そういう願望を持つ人たちにとっては、「アベノミクスを後押しする浜田のパーティーに出席した」ということがマイナスの実績になってしまう。そういう憶測をする人もいた。

 

中国経済の決定的な欠陥――浜田>

・私は中国経済についての専門家ではないのですが、現状の中国は、人々を有効に働かせるインセンティブがある社会ではないので、その行く末には危ういものを感じています。

 

<経済成長の「芸術的な値」とは――浜田>

・「かつてのソ連がそうであったように、社会主義国では、メンツが重視される。そのため、統計数字の割り増しは日常茶判事。経済学における数多くの研究も、社会主義国の統計があてにできないことをとっくに明らかにしている。当然、中国のGDP統計も到底信じられない」

 

<中国は実際にはマイナス成長か――浜田>

バブル崩壊の真っ只中にある中国――クルーグマン

・しかし日本を見てみると、2012年から約50%も円安が進んでいます。つまり、中国が行ったようなレベルでの切り下げでは効果が薄いと考えられるのです。

 中国が本当にやるべきなのは、完全変動相場制への移行です。ただ、そうなると中国の人民元はドルに対して現在よりも大幅安になってしまいます。そうなると、アメリカとの経済摩擦も激化することになる。中国の指導者は、それに対応できるかどうか分からず、勇気がないのかもしれません。

 

<待っているのはバブルの完全崩壊――クルーグマン

<北京の高級ホテルで電話が通じない理由――浜田>

・まず驚いたのは、高級ホテルでも電話が通じないことがある、という事実です。アメリカの友人は、「もしかしたら電話が盗聴されているのではないか」と心配してくれました。私はそれほど「危険人物」ではないと思うのですが、安倍首相の参与を引き受けているので、盗聴に値するのでしょうか。

 また、私が北京の高級デパートで使ったクレジットカード番号が、何と翌週には、ニューヨークのブルックリンの中国系スーパーで、別人によって使われそうになったという驚くべき事実もあります。おそらくスキミングでカード情報を抜き取られたのでしょう。

 知的所有権も含め、商業モラルは地に落ちているというしかありません。

 

<中国はいまだ「かなり貧しい国」―—クルーグマン

・つまり中国は、いまだに「貧しい国」なのです。それも、かなり貧しいといえるでしょう。経済規模で日本を上回ったとされるのも、人口が日本の10倍だからです。

 PPP、すなわち購買力平価も重要な指標でしょう。これは、ある国である価格で買える商品が、他国ならいくらで買えるかを示す交換レートのこと。このPPPを見ると、その国がどれくらい貧しいかが分かります。

 逆にいえば、PPPを見なければ、中国が実際にはどれだけ貧しいかが分かりません。

 

 

 

日本の論点 2016~2017』

大前研一   プレジデント社 2015/11/13

 

 

 

<「事実」と「論理」の積み重ねから結論を導き出せ!>

<「言わぬが花」の美徳は世界では通用しない>

・これからも欧米との付き合いは続くし、中国やインドなどの新興大国も西洋思想に馴化してくる。それらの国々と対等に渡り合うためには、数学や英語、理科、社会などの科目と同等以上の、最重要科目と位置付けて論理思考の教育に取り組んでいくべきだと私は考える。

 

<前提となる事実を間違えては三段論法が成り立たない>

アベノミクスが景気浮揚効果を発揮しないのは、安倍首相と取り巻きの経済アドバイザーたちが100年前のケインズ経済学を前提に戦略を立てているからだ。

 お金をバラまいて金利を安くすれば借り手が山のように現れて、消費や設備投資に回されて景気が良くなるというのは大昔の話で、今はどれだけお金をバラまいても日本経済に浸み込んでいかない。年利1.5%の住宅ローンさえ借り手がいない。

 マネーサプライや金利政策が有効に機能するケインズ経済学は、一国でほとんど完結する閉鎖経済を前提にしている。今は開かれたボーダレス経済の時代であって、金利の安い国から金利の高い国へお金が流れていく円キャリー、ドルキャリーのようなことが平気で起きる。

 ケインズ経済学では金利を高くするとインフレを抑制する効果があるはずだが、今や金利を高くすると世界中からお金が集まってくる。ボーダレス経済ではケインズ経済学とは真逆の現象が起きるのだ。

 

<積極的平和主義は新しい世界観ではない>

・私は憲法をゼロベースで書き直すべきとする「創憲」派で、自分でも憲法を書いている(詳しくは拙著『平成維新』の「日本の国家運営の新理念」というチャプターを読んでほしい)。70年前につくられた現行憲法は不備が多く、体系的にもいびつで、フレームワークがない。先進国になった日本の実情に噛み合っていない箇所も多い。

 安倍首相が目指しているような「改憲」、もしくは公明党的な「加憲」(現行憲法に環境など新たな理念を加える)では、アメリカをはじめ世界の理解を得るのは難しい。

 

・日本は世界貢献のアピールがうまくできていない。同じお金を出すにしても、日本国民が納める税金の何%かを日本以外のために使う「世界タックス」としてアピールすれば、世界から好感される。過去を振り返るのは程々にして、日本の世界観を発信すべきだ。

 

アベノミクスのまやかしは見透かされている>

・人気取りの経済政策で行き詰まり、憲法改正が封じられては打つ手なし。

 

・「憲法改正が封じられると、安倍政権に次のアジェンダは見当たらない。次のアジェンダが打ち出せない政権は、詰んでいるに等しい生きる屍、ゾンビのようなもの」

 

ウィキペディア化してしまった首相談話>

<安倍政権のアジェンダは多すぎる>

・政治の世界には「一内閣一仕事」という言葉がある。一つの内閣がやり遂げられる仕事はせいぜい一つ、という意味だ。佐藤内閣の「沖縄返還」、田中内閣の「日中国交正常化」、中曽根内閣なら「国鉄分割民営化」、竹下内閣は「消費税創設」、小泉内閣でいえば「郵政民営化」といった具合。

 

 その伝で言えば、安倍政権のアジェンダは一つの内閣としては多すぎる。20年続いたデフレを反転させただけでも拍手喝采なのに、消費税増税集団的自衛権行使容認と安保法制、大詰めを迎えているTPP交渉、拉致問題の解決、ロシアとの領土交渉、いずれも大仕事である。

 

・第1次政権、第2次政権、第3次政権を通じて国民投票法を制定して憲法改正の道を開き、さらには選挙権年齢も18歳に引き下げる道筋も示したのだから、それだけでも一内閣の功績としては十分評価できる。

 

<人の消費意欲が極端に低下する「低欲望社会」>

・私が以前から指摘しているように、安倍政権の経済政策では日本経済は上向かない。なぜならアベノミクスは20世紀型の経済政策だからだ。

 日本は「低欲望社会」という未曽有の状況にあって、消費意欲が極端に低下している。家もクルマも家電も欲しいという高欲望社会を前提にしたケインズ経済的な金融緩和を行っても、個人消費も企業の設備投資も刺激されない。政府が市中に投じたGDPの約半分の巨額な資金はほとんど日本経済には吸収されてないのだ。その金がどこへ行ったかといえば、貸出資金があり余った金融機関がアメリカの会社を次々と買っている。

 要するに円が暴落したときのリスクヘッジとして、すでに300兆円ぐらいをドルベースの資産に切り替えているのだ。三本目の矢の成長戦略にしても、お目こぼし特区をつくったり、地方創生で1000億円程度のしみったれた金を地方にバラ撒いているようでは、効果はまったく期待できない。

 こうしたアベノミクスのまやかしが国民に見透かされつつある。ちなみに当初、アベノミクスがうまくいっているように見えた理由は、新政権の誕生でデフレに終止符が打たれるかもしれないという期待感で、1600兆円の個人資産の一部が市場に出てきたからにすぎない。つまり、私が提言している「心理経済学」の典型的な事例である。

 

<日本経済を立て直す政策はこの3つだ>

憲法改正が封じられると、安倍政権に次のアジェンダは見当たらない。今さら魔法が解けたアベノミクスでもなかろう。次のアジェンダが打ち出せない政権は、ももはや詰んでいるに等しい。与野党に有力な対抗馬がいない状況でありながら詰んでしまったということは、安倍政権は生きる屍、ゾンビのようなものだ。

 本気で日本経済を立て直そうとするなら、低欲望社会の問題解決に取り組むしかないのだが、その場合、三つぐらいの非常に際立った政策が必要になる。一つは移民政策であり、二つ目は少子化対策。安心して子供を産み、育てられるような社会をつくること。そして三つ目は教育改革。もう一度、世界で戦えるような気概とアンビション(大志)を持った人間を育てることだ。

 この三つの政策が回らない限り、日本の再活性化はありえない。しかし、今のところ安倍首相のアジェンダには入っていない。本来ならポスト安倍を狙う人たちがそうしたアジェンダを明確に打ち出して対抗すべきなのだが、どこからも聞こえてこない。三年の新たな延命を達成した安倍総理ではあるが、これ以上アジェンダを増やさないで少なくとも一つ、何か成果につなげてもらいたいものだ。

 

・本気で日本経済を立て直すなら、「移民政策」「少子化対策」「教育改革」の三つの政策を回し、低欲望社会の問題解決に取り組むしかない。安倍政権は一つの政権としてはアジェンダが多すぎる割には、アベノミクスのまやかしが国民に見透かされつつあるうえ、本丸の憲法改正も封じられかねない。せめて日本経済立て直しの前提となる三つの政策のうち、少なくとも一つは成果につなげてもらいたい。

 

<目を覚ませ!年金制度はもう破綻している>

<年金や貯金があるから安心―という発想では生き残れない>

・「日本の経済成長率、サラリーマンの昇給率、子供の出生率、そして運用利回り―これらの前提が全部間違っているのだから、制度が成り立つわけがない」

 

<あまりに甘すぎる年金の制度設計>

・勘違いしてはいけないのは、国民のために少しでも年金の運用効率を高めようという発想から運用比率が見直されるわけではない、ということだ。そもそも年金についてマジメに考えている政治家や役人は過去にも、そして今現在も、いないと思ったほうがいい。

 

・今から15年ほど前、2000年くらいに、国の年金政策に関わっている御用学者と議論をしたことがあるが、当時からとんでもないことを言っていた。4%の経済成長が持続して、サラリーマンの定期昇給も年4%、少子化に歯止めがかかって出生率が2.0まで回復する―—。そういう前提のうえで5%の運用利回りが確保できれば年金が回るように制度設計している、と胸を張るのだ。

 1990年代の経済状況の推移や少子化の進展具合から考えて、あまりに想定が甘すぎる。これでは国民を欺くようなもので、本気で年金制度を維持するなら支給年齢を引き上げて、支給額を減らし、保険料を高くするしかない。私がこう指摘すると、そこはいじりたくないというのだ。

 結局、失われた20年を経た今も日本経済は低成長、もしくはマイナス成長に喘ぎ、定期昇給は昔話になった。出生率は子供二人など夢のまた夢の1.41。年金資産の実質的な運用利回りは1.7%程度だ。

 前提が全部間違っているのだから、制度が成り立つわけがない。一昔前に5000万件の年金記録の記載漏れが発覚して「消えた年金記録」と大騒ぎになったが、年金制度の破綻を問われたくない役人からすれば、年金記録はもっと消えてほしいところだろう。公務員には恵まれた共済年金があるし、政治家にも手厚い議員年金がある。こちらは株式や外債の運用比率を増やすとは言っていない。下々の年金問題なんて他人事なのだ。

 

・一方、勤労者の代表たる組合は年金問題をもっと突き上げていいはずだ。しかし、総評系などは大企業の組合ばかりで、大企業は企業年金が充実している。要するに国民年金をもらう人たちを代表する組合がないのである。

 

<「大前流」老後のお金サバイバル術>

・結論を言えば、「老後の資金は自分で準備するしかない」。政治家や役人が牛耳って、政策の失敗を誤魔化すために株を買い込ませたり、外債を抱え込ませる年金ファンドに虎の子を預けるのはやめたほうがいい。地雷を踏んで一発で即死する危険性がある。

 国任せにしないで、年金は自衛すべきというのが私からのアドバイスだ。「年金は社会保障」と決めつけて公的年金制度に依存するリスクは、日本の債務状況と人口減時代の進行を考えれば、今後、確実に高まってくる。

 

・老後資金自分で準備するものと心得よ。たとえば、土地や生活必需品

 

関連の株なら国債が暴落してもそれほど価値は下がらない。外貨はなる

べく資源国で財政規律のいい国の通貨を選ぶ。ゼロから始めるなら、給料半分を外貨預金に充てるくらいの気持ちで。