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効かない景気対策、積み上がる不良債権、人民元国際化の矛盾……その先にあるのは長期停滞か、ハードランディングか、それとも体制崩壊か。(1)

 

 

中国経済はどこまで崩壊するのか』

安達誠司  PHP   2016/3/16

 

 

 

<効かない景気対策、積み上がる不良債権人民元国際化の矛盾……>

・その先にあるのは長期停滞か、ハードランディングか、それとも体制崩壊か。

 

中国経済はすでに「バブル崩壊」を終えた状態?>

・この指標から中国の状況をみてみると、何がわかるだろうか。先に述べたように、中国一人当たりのGDPはようやく8000ドルに乗りつつある状況だと推測される。これは先ほどのアルゼンチン、ブラジルの事例から考えると、まさにいまから「中所得国の罠」にはまるかはまらないかの分岐点を迎えるということを意味している。

 

・だとすれば、幾分控えめに考えると、現在60%弱の「バフェット指標」が45%まで低下する余地はありそうだ。名目GDPが7%程度成長するのであれば、株価は年間で10%程度の下落というのが楽観的なシナリオとなろう。つまり「バフェット指標」でいえば、60%-45%=15%分が、バブルの残りと考えられる。その意味では、「バブルフリー」のバトンはすでに中国に渡されていて、現在の中国はそれをずっと握りしめながら走っている最中であり、そろそろ最終コーナーを回ったところではないかということになる。

 

・一方、アルゼンチン並みの「バフェット指標」(7%程度)にまで低下するとすれば、経済状況もかなりひどい状況になっているだろう。一部の「ハードランディング」論者が指摘するマイナス成長が実現した場合、たとえば中国の名目成長率がマイナス3%程度であるとすれば、中国の株価はここから半値近くまで低下してもおかしくない試算になる。これが実現するシナリオについては、のちの章で言及したい。この場合、事態は、もはや「バブル崩壊」ではなく、「体制崩壊」かもしれない。

 

<場合によってはマイナス成長に陥る可能性も>

・つまり、中長期的な経済の発展段階の議論を踏まえると、現在の中国経済の減速は、1970年代半ばから80年代前半にかけて日本経済が歩んできた道でもあり、中長期的にみれば、必ずしも悲観すべき事態ではないとも解釈できるのだ。

 だが、1970~80年の日本との比較で、現在の中国経済で懸念すべき事態が一つ存在する。それは「資本ストック調整」がいまだに十分に進捗していない点だ。

 

・これは明らかに奇妙な現象である。このまま中国の固定投資が累積されていくと、生産設備の余剰はますます拡大していく。そして、決して利益の出ない製品を大量につくりつづけざるをえなくなるので、さまざまな資源を無駄遣いしてしまうことになる。

 すなわち、中国の固定投資の成長率が構造調整局面にしては高すぎるとすれば、それは「資本ストック調整」がまったく進展せずに、無駄なものを大量に生産しつづけている、ということになる。それが在庫として積み上がり、見かけ上、在庫がGDPを押し上げている可能性もある。

 

・現在、中国の設備投資の実質GDPに占める割合は50%近いといわれており、これは70年代半ばの日本をはるかに上回る。そのため今後、中国で資本ストック調整が起きれば、中国の実質GDP成長率は大きく低下し、場合によってはマイナス成長に陥る可能性も否定はできない。これは厳密にいえば「ハードランディング論」とは異なるが、「成長率」という数字自体は似たようなものになることを意味している。

 

財政出動は機能しないどころか、無駄に終わる>

・以上から、筆者は、中国経済金融危機に見舞われ、破綻するという、いわゆる「ハードランディング」のリスクはそれほど大きくないのではないかと考える。むしろ問題は、中長期的な潜在成長率の低下が不可避の状況において、政策対応の誤りから、スタグフレーションが発生することかもしれない。今後、財政拡大が実施される可能性が高いとすれば、なおさらである。

 スタグフレーションは、インフレやデフレ以上に国民生活を痛みつける懸念がある。なにしろ生産量・流通量が大きく減少するなかで物価が上昇するのだから、国民生活が困窮するのは当然だ。深刻なスタグフレーションが現在の中国の共産党一党支配体制を揺るがすことになれば、東アジアの地政学的リスクが大きく増すことにもなるので、注意が必要であろう。

 

<崩壊サイクルに入った人民元の固定相場制>

<これから10年、中国経済・三つのシナリオ>

<最も楽観的なシナリオは名目5%成長の実現>

・そこで本題だが、筆者は、今後の中国経済の「ベースラインシナリオ」として、以下の三つを挙げたいと思う。

  • 変動相場制採用により、対外開放路線へ(安定成長シナリオで、平均で名目5%程度の経済成長が実現する)
  • 「中所得国の罠」による長期停滞(低成長シナリオで、平均で名目1~2%程度の経済成長率となる)
  • 統制経済の強化と対外強硬路線(経済成長率を語ることに意味がなくなる)

 

 

・①のシナリオだが、これは経済成長の発展段階から考えると、ちょうど1980年代の日本に相当する。筆者にとっては、中国経済に対する最も楽観的なシナリオであり、名目経済成長率で5%前後、実質経済成長率で4%程度といったところが妥当な線であろうか。もっとも、過去における「一人っ子政策」の影響で、1980年代の日本よりも成長率が減速する可能性もあり、この場合、成長率は名目で3%、実質で2%程度になるだろう。

 

<「対外開放」のあとにもう一度バブルが来る可能性>

・以上のように1980年代後半のケースを考えると、中国経済が思い切って「対外開放」路線に舵を切ったとしても、それで中国経済に新たな繁栄の道が開けるというわけでは必ずしもない。かように経済政策は難しい。

 

<「中所得国の罠」による長期停滞のプロセス>

 

<インフレの定着からスタグフレーションへ?>

・さらに、国内景気の過熱は結局のところ、インフレ率を引き上げることになる。また前述のように、金利引き上げによるコスト増分を国家財政が負担するとなると、財政赤字も拡大する。この状況が長期化すると、わずかな人民元売りにも対応できなくなるので、結局、人民元レートは大きく低下するリスクが出てくる。つまり時間軸の問題があるものの、最初の人民元レートの防衛とは矛盾する結果となるということだ。そして、このような状況ではインフレが定着し、中国経済をいわゆるスタグフレーションの状態に陥れる懸念が出てくる。

 これは、ブラジルやアルゼンチンといったラテンアメリカ諸国がまさに「中所得国の罠」に陥ったパターンと似ているといえなくもない。

 

中国経済にとっての「ブラックスワン」とは>

・そして、最後の③のシナリオである。このシナリオは実現する可能性は低いが「最悪のシナリオ」だ。中国経済の「ブラックスワン」「テールリスク」といってよいだろう。

 筆者が確率は極めて低いと考えながらも、あえてこのシナリオを提示したのには理由がある。現在の中国の政治状況を経済の側面からみた場合、戦前の日本との類似性を否定できないからだ。

 

<中国の対外強硬路線が世界経済を脅かす日>

・最後に、この三つの「ベースラインシナリオ」のうち、どれが実現する確率が最も高いだろうか。筆者の主観的な確率では、①が40%、②が55%、③が5%程度ではないかと思う。

 世界経済にとって最も都合がいいのは①のシナリオであり、中国も最終的には「普通の先進国」になる道が開けることになるだろう。だが、どちらかといえば資本主義国の方向に舵を切る①のシナリオが実現する可能性は、現在の中国共産党政権のスタンスをみると難しいと思われる。

 むしろ今後、徐々に成長率が減速しながら②の道を進んでいくと考えるほうが、過去の新興国の「中所得国の罠」の状況を振り返ると妥当ではないか。①と②の分岐点は、5年後くらいに来ると考えている。

 ③は究極のリスクシナリオであるが、可能性は決してゼロではない。しかも、これはどちらかといえば、「政治リスク」であり、筆者の完全な専門外であるので、ここでは5%程度の低い確率にした。政治の専門家であれば、もっと高い確率にするかもしれない。

 

 

 

呉善花(韓国)が黄文雄(台湾)、石平(中国)に真意を問う

『最後の痛言』

黄文雄/呉善花/石平  徳間書店  2015/4/17

 

 

 

<ネット世代への期待と不安>

・(黄)たとえば、日本の活字による書籍・雑誌の市場規模はわずか約1.7兆円でしかありません。台湾のそれは日本円に換算すると400億円という微小なものです。ネットの方へどんどん移りつつあります。情報ということでいえば、活字・ペーパーはすでにネットに追い越されています。もちろんこれは日本だけのことではなく世界的な現象です。

 今はまだなんとか我々活字世代、ペーパー世代が主役ですが、あと5年もすると主役ではなくなります。ネット世代が主役になっていきます。あっという間に、そうした近未来が確実なものとして見えて来るようになりました。

 

・2014年の東京都知事選で、元航空幕僚長田母神俊雄さんをネット世代のかなりの部分が支持しました。彼らの支持の仕方を見ると、新聞やテレビから情報をとっていた世代とはまったく違うんですね。もしネット世代がみな投票場へ行ったとしたら、田母神さんは確実に当選していたのでしょう。

 また、台湾の学生の動きと香港の雨傘革命の学生の動きが共通するのは、何といってもネット世代ならではのものだということです。

 そういった点では私は楽観的なんです。あと5年か10年するとネット世代が主流になり、それほど心配もいらずに世の中が変わっていくのではないかと思います。

 

<「無国の民」と「国を捨てた民」にとっての国家>

・(石)黄さんが無国の民なら、私は国を捨てた民なんですね。ただ、私が捨てたのは中華人民共和国です。あんな国はろくなものじゃないですよ。国ができたのは1949年、たった65年の歴史しかなくて、その間誇れるものは何も生み出していません。

 

<韓国社会では人間性が見失われている>

(呉)日本で最初の本を出した直後から、神経がおかしくなるほどの非難攻撃や悪質な嫌がらせや恫喝が、韓国マスコミや政府機関などからはじまりました。それも私だけのことではなく、韓国の家族や友人にまでたびたび被害が及びました。このままではとても韓国に入国できない。入国すれば即座に身柄を拘束されてどうなるかわからない、そうした状況が生じていって、日本国籍を取ることにしたのです。

 

<死ぬまでが修業という日本の職人・武道家>

・(呉)私は死ぬまでが勉強だと自分に言い聞かせています。これまで日本の伝統技術の職人さんや武道家の方々に多数取材しましたが、みなさん「死ぬまでが修業です」とおっしゃっていました。この言葉、私はすごく好きなんです。何とか見習って生きたいと思っています。

 

<中国・韓国の民族主義は似非民族主義

・(石)そうですね。中国人の本質は何度もいいますように、飯をたらふく食いたいということなんです。ですから中国人は韓国人よりも取り扱いやすいんです。中国人の場合は、自分の家族に物質的な豊かさがあれば何の文句もありません。

 

<解明半ばの日中韓の謎>

・(黄)中国の漢字・経史に接してから、少なくとも半世紀以上も経っている。それでも中国人のビヘイビアには違和感が多いだけでなく、その言説については、頭をかしげざるをえないものである。

「台湾は古より中国の絶対不可分の神聖なる固有領土」だと叫び続けるのもその一つである。古典の記述から見ても、現実から見ても、そんなことはありえないはずなのに………。

 

・20世紀の初頭に至るまで、半島は貨幣経済も商品経済も未発達で、市場も人流も物流もゼロに近い。荒涼とした自然の摂理と社会の仕組みから見て、李朝の五百余年は、物々交換に近い先祖返りが昂進中だったのである。「もし日帝36年がなかったら、今の韓国は世界の最先進国のはずだ」とまで、経済学者などが高論卓説を唱える。

 

<食べることで精いっぱいで民衆文化が生じなかった中国>

・(石)しかし、中国の民衆は数千年間どういう生き方をしてきたかというと、よく使われる言葉ですが「民は食をもって天となす」そのものなんですね。ようするに大多数の中国人は食べることがすべてだった、食べることで精いっぱいだったということです。

 中国で有名な映画監督の張芸謀による農村生活を描いた作品のなかのひとこまですが、ある農家に嫁いできた娘が3年で嫁ぎ先を出てしまった、そこで外部の者が「お前の家の嫁はなぜ出て行ったのか」と聞くと、その家の主は「食べ物がないから」というんです。「それなら以前はどうしてやっていたのか」と聞くと、「あの頃には食べ物があったんだ」というんですね。この場面が強く印象に残っています。中国農村では食べ物があるかないか、それが人生のすべてです。

 中国では数千年間、大多数の民衆がそうした過酷な状態に置かれ続けてきました。ですから、食しか中国人のアイデンティティになるものがないんです。世界的に広がった中国文化は何かといったら中華料理、つまり食以外に何もありません。食しかないというのは、中国の民衆のレベルが低いということではなく、食べることが命がけだったという、そういう生き方を数千年間強いられてきたことにあります。

民衆としての中国人はとても悲惨な民族です。数千年間、先祖代々どうやって食べていくかで頭がいっぱいで、他のことを考えるゆとりなんてなかった。中国人は食べ物さえあれば、それだけで幸せを感じてきた民族です。

 

・(呉)朝鮮半島でも、農村では餓死者が出るような状態が慢性化していました。その点では中国と大きな変わりはなかったと思います。

 

・(石)精神的な辛さを感じて耐えるから、そこに音楽も生まれるし歌謡も生まれます。それが一般的なことだとしても、中国の民衆からそういうものは生まれてこないんです。音楽を奏でても食べ物にはならないし、明日の食べ物を得ることはできない。そうして苦しんでいる民衆の上に立った官僚だけが、ずっといい思いをしてきて、風流の世界のなかで誌を作ったり酒を飲んだりする。中国の文化はずっとそのようにしてあったんです。

 

漢民族の食卓第一主義>

・(石)漢民族というのは基本的に徹底した現実主義者です。漢民族は、およそ高尚な理想とか死後の世界とか、あるいは精神論とかイデオロギーとか、形而上的な倫理道徳とか、そうした目に見えないものには興味をもちません。それよりも、目の前に実質をもって出現しているもの、実際の富とか財産とか自分たちの暮らしとか、そういうものが何よりも関心事となります。

 昔の中国の農村では、道教にいろいろな神さまがあるなかで、一番大事にされてきたのが竈の神さまです。どこの家でも竈の神さまを祀っていました。

 

・(石)ただ、漢民族にとっての幸せというのは、今現在の現実体験としてある幸せなんです。祖父ちゃん、祖母ちゃん、父さん、母さん、子ども、孫、家族みんなで丸いテーブルを囲んで毎日三食を食べているという幸せです。それ以上でもなければそれ以下でもない。それがすべてで、それを守るために生きている。それを守ってくれる神さまがよき神さまだということです。

 

<着る服よりも住む家よりも食べることが大事>

・(石)中国では毛沢東時代、人民公社の時代に、それまでの農村社会を一変させました。まず農民から土地を取り上げ、すべての農家を人民公社に組み入れ、共産党がよいと思う考えに沿って、農民たちの仕事や生活のあり方を変えていったんです。

 こうして中国の農村社会は大変貌を遂げたんですが、一つだけ共産党の思い通りにはいかず失敗したものがあります。それは何かというと、人民公社のなかに食堂をつくり、すべての家族をこの食堂で一緒に食事をさせる、という政策でした。この政策は、半年も経たないうちに完全に失敗しました。毛沢東があれほどの権威と権力をもってしても、中国人の食卓を壊すことはできなかったんです。

 一時は、各農家の竈を潰し、鉄の鍋を没収し、みんな食堂で食べさせるようにしました。しかし人々が激しく抵抗して、この政策は破綻しました。家族の食卓の破壊は、毛沢東でもできなかったことです。

 

・(石)中国ではやはり、明日よりも今日の生活、今の生活への満足が第一です。その満足の中心が食卓の幸せです。昔から中国人の地域社会でのあいさつは「もう食べたか?」です。

 

 

 

 

帰化日本人』   だから解る日本人の美点・弱点

黄文雄 + 呉善花 + 石平  李白社  2008年11月17日

 

 

 

<日本のマスメディアを監督・指導している中国>

・黄;中国には日本のマスメディアに対する管理・監督・現場指導の機構や人員があります。日本のマスメディアに対しては、24時間体制で、専門家がそれぞれのマスメディアを監督しているんです。気に食わない番組が出たらすぐに乗り込んで行って、こういう報道をしてはいけないと現場を指導し、公開謝罪をさせるか、裏のほうで、こういうことはしないと約束させるということをやっています。

 

・日本の政治家に対しても一人ずつチェックしていて、中国政府にとって好ましくない活動があれば、すぐに現場を仕切っていく。

 

<韓国の親日言論、新北言論の現状>

黄;歴史的なことでいいますと、どこの国のジャーナリストにも、自由な言論のために命をかけて闘った時代があるわけです。台湾のジャーナリストもそうでしたが、今は命をとまでいわないにしても、あらゆる権力を使っての訴訟が起こされるわけです。李登輝ですら、ちょっとひとこといっただけでも、訴訟を起こされて、何千万元だかの罰金をとられました。まだまだ大変なんですね。

 

<中・韓・台の密告制度>

石;中国共産党の場合は、共産党政権が始まった49年の翌年に、とくに保守派といいますか、古いタイプの知識人ですね、この人たちを70万人以上殺害したんです。また何百万人かの知識人を強制的に刑務所に収監しました。いわゆる粛清ですね。共産党の思想を人々に強制する以前に、まずエリートを一網打尽にしたわけです。

 

黄;毛沢東の時代に、絶大な役割を果たしたのが密告制度です。この制度のために本当のことを誰もいえなくなりました。密告されると命取りになりますから、家の中ですら発言にはよほど注意しなくてはなりません。息子に密告されて殺された人はたくさんいますしね。

 

黄;密告制度は私の小学生時代からありました。密告がすべての国民に義務づけられたんです。対象は、中国のスパイですが、それについての情報を知っていて報告しなければ、同罪になるんです。そのスパイ行為が死刑に相当するとしたら、報告しなかった人も死刑になります。

 

・この密告制度では、スパイの財産は没収され、没収した財産の40パーセントが密告者のものになります。ですからこれを商売にする密告業者が暗躍していました。

 

 

 

『これから始まる中国の本当の悪夢』

習近平に迫る経済壊滅、政権分裂、国内大乱

黄文雄 × 石平  徳間書店    2015/9/30

 

 

 

<「パンツ経済」しか構築できなかった中国>

・(黄)これまでの中国経済の構造的な歪みとしては、過剰生産、それと同時に国内の過少消費ですね。過剰投資によって、不動産や株がバブル化してしまいました。

 加えて、業績を上げるために無理な過剰生産を行ってきた。

 

・しかも、生産しても質がよくないので、売れない。中国人ですら、できることなら中国製品は買いたくないと思っています。日本での「爆買い」が象徴的ですが、中国人はブランド品のみならず、紙おむつさえ奪い合うように買っていくわけです。しかも、「爆買い」は転売目的です。

 

・商品の品質については、現在の中国では解決不可能です。基礎技術がないから、パクるしかない。地道な基礎研究を重ねるということはせずに、すべて海外の企業からパクったり、盗んだりしてきたというのが、改革開放のいわば「成果」であったわけですから、いまから基礎研究を始めて、製品開発力を磨くなどということができるはずがない。

 

・(石)1980年代、中国の主要輸出品は安物の靴下やパンツでしたが、現在でもわれわれは中国製のパンツを履いています。中国の輸出が数十年間でパンツから自動車に変わったかといえば、変わっていないのです。

 結局、中国製品というのは、安い労働力が唯一の武器だったわけで、農村には労働力が余っているから、いくらでもかき集めて安い賃金で働かせてパンツをつくれば、中国企業は潤ったのです。いわば、「パンツ経済」ですね。

 

・このような労働集約型の産業だから、技術開発をする必要がなかった。逆に言えば、いっこうに「パンツ経済」から抜け出そうとしなかったのです。

 しかし、労働者に安い賃金しか与えず、儲けは経営者に集中するという貧富の格差が拡大することで、長期的には国内消費が落ち込みます。結果的に、中国自身が製品をつくりながらも、国内の慢性的な内需不足に悩まされるようになりました。

 2000年くらいまで、中国のGDPにおいて個人消費が占める割合は46%ありましたが、ここ数年は35%前後にまで落ち込んでいます(日本は60%程度)。経済が成長するに従って、中国経済のなかで国民が消費する割合はむしろ減っているのです。 

 

・それでどうやって経済を成長させてきたかといえば、一つが輸出ですが、輸出を伸ばすためにはさらに賃金を安く抑える必要がある。それがまた、国内の消費不足を招くことになりました。

 もう一つは、黄さんが言ったように、過剰投資です。国民が消費しないなら、政府が投資すればいいということで、公共投資によって道路や橋をつくって、需要を創出したわけです。それに伴い、セメントや鉄鋼など、いろいろな需要が増えます。

 こうして中国は、全土で“投資中毒”になってしまった。中央政府も地方政府も、公共投資土地開発をバンバン行った。その資金を調達するためにお札を刷り、さらに投資を増やして経済成長を加速させていったのです。

 そんな政策を長くやってきたことで、過剰生産が深刻化してしまった。人が住まないゴーストタウンが大量にできあがり、生産設備も全部が余るようになったのです。

 

<輸出では13億超の国民を養えない>

・(黄)内需も投資も限界となると、中国にとっては外需頼みになるしかない。だから、AIIBにしても、中国国内の過剰生産を海外でのインフラ建設に向ける狙いがあるわけですね。

 とはいえ、通商国家の弱みは、相手国に買う力がなくなると経済危機に陥るということです。

 

<中国政府の経済対策は「やるやる詐欺」>

・(石)中国共産党としては、成長が止まってしまえば政権を維持できないことがわかっている。雇用を確保できなければ、全国で大暴動が起きて政権が吹っ飛ぶ。

 だから、「経済改革をやる」とは宣言しても、本当にやれば中国経済はさらに悪化するから、結局は旧来のやり方を踏襲するわけです。いわば、“やるやる詐欺”みたいなものです。

 とはいえ、経済改革をやるにしてもやらないにしても、経済崩壊が早まるか、少しは先延ばしになるくらいで、どっちみちもう持たないでしょう。

 

・(黄)結局、これまでもよく言われてきたように、8%以上の経済成長率がないと、完全雇用は不可能なのです。

 いま、中国の毎年の大卒者は約700万人ですが、その3分の1が就職できないと言われています。

 

・こうした大卒者を含めて、年間約1500万人の新規雇用を吸収しないと社会が安定しないわけですが、中国政府は先の全人代で経済成長率の目標を7%前後でいいということで決定しています。

 

<次はシャドーバンキングの大爆発が起こる>

・(黄)土地バブルが弾けたことで、もともと高利のシャドーバンキングへの債務が返済不能となり、地方政府の破綻と、不良債権が拡大する可能性が高まったので、地方政府の救済策として、低利の地方債を発行して資金調達することを認めたわけです。

 

 とはいえ、問題は何も解決していません。単に借金のつけ替えをしただけで、債務は解消されていないし、返済の落ち込みを防ぐために土地や不動産に流れ込む可能性も高い。そうして再び、不良債権の火種が拡大していく危険性があるでしょう。

 地方政府のみならず、中央政府も巨額の債務を抱えています。

 

・(黄)中国のシャドーバンキングの規模について、イギリスの銀行大手バークレイズは、2014年時点で38兆8000億元(約621兆円)と推計していますが、誰も正確なことはわからない状態で、一種のブラックボックス化しています。正確な数字がつかめないので、いざ破綻したら、どこまで被害が広がるかまったくわからない。

 

闇金融化した中国経済に打つ手なし>

・(石)しかし、こういうめちゃくちゃな状況は、もう最終局面だと思いますよ。株価の暴落は相変わらず繰り返されていますし、実体経済はさらに落ち込むでしょう。不動産市場の規模はどう考えても半減するだろうし、輸出も回復しない。

これまでの政府主導の投機・賭博経済、パンツ経済などなど、すべて終わらざるをえない。

 

<世界で次々と失敗している中国の対外投資>

<チャイナショックの世界的影響は?>

・(石)中国は経済的にも政治的にも外交的にも、世界から信頼されていないのは確実ですね。

 問題なのは、中国経済の崩壊が進むことで世界経済にどれほど影響を与えるかということです。

 私はおそらく限定的な影響しかないのではないかと思っています。もちろん、株式市場の大暴落や景気減速は、一時的にいろいろな影響を与えるでしょう。

 

・しかし、日本全体にとっては、それほど大した傷にはならない。というのも、中国からの生産設備の移転は進んでいるし、対中輸出も現在ではそれほど大きくないからです。

 日本の対中投資を見ると、2014年で4割減、2015年も1~5月で9.4%減と、毎年減りつづけています。

 一方、韓国などは悲惨な状況になるでしょう。この数年、完全に中国依存型の経済になっていますから。

 

・(黄)台湾の元大宝華総合経済研究所によると、対中輸出への依存度(対GDP比)が世界でもっとも高いのはマレーシアで19.18%。次に韓国が14%、シンガポールが10.73%と続くそうです。これに対して、日本は2.48%しかない。

 

・(石)ヨーロッパでは、おそらくドイツがもっとも影響を受けるでしょうね。ドイツは盛んに中国に投資していますし、メルケル首相は毎年、中国を訪問しています。日本には一度しか来ていませんが。

 

<賄賂をもらえない者は尊敬されない中国>

・(黄)だいたい、中国の場合は、賄賂をもらえないのは下っ端なんですよ。賄賂をもらえる人こそ、地位が高いと考えられている。

 だから、賄賂がもらえない人は、誰も相手にしてくれないんです。

 

<今後問題になるのは日本国内の反日勢力>

・(黄)対中国について常に意識せざるをえない台湾では、こうした反中国の動きが高校生にまで広がっているのです。それに対して、日本では、安保法制に賛成する学生たちの動きというのは、ほとんどないですね。どうも台湾とは方向性が逆なんです。

 

<日本の外交は、まだまだ中国に対して甘すぎます>

・また、彼ら(中国人留学生)のほとんどが中国共産党幹部や軍部の子弟です。だから、もともと反日ですし、中国に帰れば反日的な言動を行うようになる。日本に留学した中国人が、人権活動家となって習近平政権を批判したり、反体制派になったりしたということは、まず聞いたことがありません。

 だから、日本政府は、反日中国人を育てるために多額の国費を投じているわけです。こういうところから修正していく必要がある。

 

 日本では反日日本人が、こうした反日中国人、反日韓国人と呼応して、盛んに日本の非を鳴らしている。むしろ問題は中国側というよりも、日本国内のほうにあると思うのです。

 

・(黄)また、日本国内の韓国人や左翼勢力とも連携して、歴史認識問題だけでなく、安全保障、原発、沖縄問題など、さまざまな点で日本を弱体化させるような方向への世論形成を目論んでいる。そういう点に、日本人はもっと警戒すべきです。

 これまでの中国のやり方を見ても、中国は情報戦で相手を封じこめる事が多かった。口では「絶対不可分の領土」だとか。「沖縄解放、琉球回収」などと過激なことを言いますが、実際に直接的な行動に出ることはあまりない。

 台湾に対しても、この70年近く、「血で台湾を洗う」などと激しい言葉で脅かしてきましたが、威嚇はあっても実際の武力行使はしてこなかった。やはり、それだけの実力がなかったということでしょう。

 そのかわり、国際的なプロパガンダを盛んに仕掛けてきました。ロビー活動などで相手を取り込もうとする。

 

・もちろん、日本の保守派にも反米の人はいます。その理由もわかるのですが、現実問題として、やはり中国の脅威は見過ごせない。いま、アメリカと袂を分かつことに、何のメリットもありません。

 それに、日本がアメリカと離れるならば、独自防衛を覚悟しなくてはなりません。核武装か、核以上の最終兵器の開発をすることも含めて、それだけの覚悟があるのか。対米従属である必要はありませんが、国益のためにアメリカをうまく利用するというしたたかさが必要ですね。

 

・(石)加えて、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の行方も重要です。日本でもアメリカでも、TPPについては賛成から反対までさまざまな意見があり、また、抱えている問題点も多いのは確かです。

 しかし、安保法制で日米同盟が強化されると同時に、TPPが成立することにより日米中心の経済圏ができあがれば、日米の相互依存度はますます高まります。

 

・(黄)TPPについては、とにかく短期的に考えるのではなくて、100年単位くらいの長期で考えるべきでしょう。しかも、石平さんのおっしゃるように、TPPは単に経済の問題だけではありません。

 

<中国は本当に戦争をするか>

・(黄)加えて、中国が今後、本当に戦争に持ち込む可能性があるかどうか、という点についても、日本は検証する必要があるでしょうね。

 ジョージ・ソロスは「中国の経済が崩壊して、第3次世界大戦が起こる」というようなことを言っています。はたして習近平は戦争をしようと思っているのか。あるいは、戦争をしたがる軍部が暴走する可能性もある。その点はどうですか。

 

・(石)習近平はいつでも戦争をやりたいというわけではありません。ただ、自分たちの戦略を達成するために、武力と戦争を、相手を恫喝する手段であると考えているのは確実です。そこが問題です。

 

・そういう意味では、かなり危険な部分がありますね。

 中国の軍人については、いま戦争したいとは思えない。彼らにすれば、戦争で勝っても負けても賄賂を採れない。戦争などどうでもよくて、お金さえ儲かればいいと思っている。ただし、自分たちのところに膨大な予算が入ってくるために、あるいは体制内の自分たちの立場を強化するために、わざと好戦的な姿勢を示すことがあります。