山下文男 河出書房新社 2011/6/17
<繰り返される『大量死』の恐怖 「東日本大津波」を体験して>
・すぐる3月11日(2011年)の東日本大津波は、死者2万人以上という過去の三陸津波史の中でも最大級の巨大津波であったことを示している。
・「三陸海岸は日本一はおろか、世界一の津波常習海岸」とまでいわれた恐怖の津波海岸。
こうした難しい地域事情の中で、実際には観光への否定的影響を考え過ぎて住民への津波防災教育を中途半端、乃至は軽視してきたことが大被害の背景としてまず問題になる。
岩手県の場合、これには誰よりも県当局と行政に責任がある。このことを率直に反省し、腰を据えて防災教育に取り組まなければ、将来、またも同様のことを繰り返すことになりかねないと私は心配している。
・三陸津波史の特徴は、強烈なパワーによる大量死と遺体の海の藻屑化、そして「体験の風化に伴う悲劇の繰り返し」だと言われつづけてきた。
・今回も、互いに助けあおうとしての共倒れ、津波のスピードと引き潮の猛威を無視した逃げ遅れ、一度逃げたのに物欲のため家に戻って折角の命を失ったケース(私の親戚などそのため二人も溺死している)等々、明治の津波や昭和の津波の後で数え切れないほど体験した悲劇がまるで新しいことでもあったかのように住民たちによって語られ、連日紙面を埋めている。
今回こそ、こうした風化現象にはっきりとした歯止めをかけなければならない。
<「津浪常習海岸」の「宿命」>
・三陸沿岸一帯を襲った明治以降の初めの大津波は、三陸沖を波源とする明治29年(1896)6月15日の大津波であった。被害数は文献によって異なるが、比較的実数に近いと思われるものによると、死者は岩手県1万8158人、宮城県3387人、青森県343人、合計2万1888人。流出、倒壊、半壊戸数も三県で8200余戸に及んだ。
・次のものは、それから37年後の昭和8年(1933)3月3日の大津波で、前と同様、波源は三陸沖、この時も岩手県で2658人、宮城県で307人、青森県30人、合計2995人が死亡し、三県で約6000戸が流出・倒壊した。
・この間、明治30年(1897)8月をはじめ数度にわたる小津波があったと記録されているし、昭和8年の大津波後27年を経過した戦後、昭和35年(1960)5月24日には、今度は遠く太平洋を隔てた地球の裏側の南米チリ沖を波源とする、いわゆる「チリ津波」に襲われている。この時も岩手県で61人、宮城県で54人、青森県で3人、福島県で4人、合計122人が死亡し、4000余戸が流出あるいは全・半壊した。
・「三陸沿岸地方は古来大津波に襲われることが頻繁」で、貞観11年(869)以来17回も津波に襲われている。これによると平均して60年余に一回襲われている計算になる。
・1600年から1970年までの370年間の津波を専門的な方法で分析すると「三陸沖では35年周期」が顕著であると指摘している。
・実に三陸の太平洋沿岸は津浪襲来の常習地として日本一はおろか、世界一なのである。
<狂瀾怒濤一瀉千里の勢い>
・しかも、津波の波高は、低いところでも2~3メートル、8~10メートルは普通の方で、なかには20メートル~30メートルと、まるで今日の7階建てー10階建てビルのような高さの波であった。「山のような波」だった、と表現されているのも、あながち誇張とはいえない。
江口克彦 WAVE出版 2010/6/20
<個性・持ち味を生かす>
・結論を申せば、松下幸之助は職種を増やすことを考慮した政治をおこなうことであり、「お互いの欲望が適正に満たされる社会」が政治の目指す姿だと考えていたようだ。
<赤字国債の発行に危機感>
・それでなくとも国費が膨大に膨れあがっている。戦前と比べるとそれは一目瞭然であり、物価は約1000倍、賃金は1300倍であるのに対し、国費だけが13000倍になっており、一桁違っている。「おかしい」というのが松下幸之助の直感である。
<なぜ政府に政治研究所がないのか>
・今政治は何といっても一番大事です。しかし、それだけ大事なのに政府に政治を研究している機関がないのです。
・しかし、政府直轄の政治研究所はないのです。これが元々間違っています。自民党にしても与党として30年近く政権を担当し、あれだけの活動をしているのですから、専属の研究所があってもいいと思うのです。各議員の方々の体験からくるところの感覚で政治をやっておられるわけです。そういうところに一つの弱さがあると思います。
・このかってない非常時をかってない絶好のチャンスとするには、一にかかってお互いが「国難こそ絶好のチャンスだ」とはっきりと認識するかどうかである。
<政治が日本の繁栄をつぶす>
<政治の要諦とは何か>
・農業にたずさわる多くの人たちが食べることだけが精一杯の貧しい生活状態にあると仄聞している。農民自身も生産方法の改善に努めねばならないが、それ以上になぜ蓄積できないのか、また貧困に甘んじなければならないのかを追及し、その原因を糾していくのが、政治家の責任ではなかろうか。こうした政治の点に政治の貧困を感じていた。
<政経塾設立への5つの理念>
1、「百花繚乱の社会」を実現する政治をおこなうべきであるというものである。
2、「人間重視の社会」を実現する政治をすべきだということである。
3、「政治の生産性の高い社会」の実現を考え求めていた。
4、「道義道徳の高い社会」を実現する政治である。
5、最後に一つだけ加えれば「志の社会」の実現ということになるだろう。
<採用基準は運と愛嬌>
<研修の基本方針>
1、「自修自得」
2、「切磋琢磨」
3、「万差億別」
4、「徳知体の三位一体研修」
・政治がしっかりしなければ、国民は路頭に迷いかねない。国民の生活を支え、国民の幸不幸を左右する政治が今の姿ではとても安心しておれない。
<当面の実現10目標>
・新党の組織、党則を構築する一方、活動方針として「当面の実現10目標」を掲げた。
1、所得税一律5割減税の実施
2、建設国債の発行
3、無税国家、収益分配国家の実現
4、新国土創成事業
5、政治の生産性の向上
6、日本的民主主義の確立
7、多様な人間教育の実施
8、政治家及び官吏の優遇
9、生きがいを高める社会の実現
10、国際社会への真の寄与貢献
『未来を透視する』 FBI超能力捜査官
(ソフトバンク・クリエイティブ) 2006/12/21
<気象変動>
・来るべき気象変動により、2008年からこの台風の発生回数は増えていくと私は、予想している。とくに2011年は過去に例を見ない台風ラッシュとなり、大規模な暴風雨が吹き荒れる深刻な年になるとの透視結果が出ている。この台風ラッシュは、2012年にずれこむかもしれないが、可能性は低い。嵐の増加を促す地球の温暖化は、現在も急速に進行中だからである。
・2010年から2014年にかけて、また、2026年から2035年にかけて、平均降雨量は年々560~710ミリメートルずつ増加する。現在から2010年にかけて、また、2015年から2025年にかけては、380~530ミリメートルずつ減少する。現在から2010年にかけて、また、2015年から2025年にかけて、平均降雪量は300~550ミリメートルずつ増加する。
ソフトバンク・クリエイティブ 2006/12/26
<日本の自然災害>
<2010年、長野で大きな地震が起きる>
・透視結果を見てもうろたえず、注意程度にとらえてほしい。ただし、最悪の事態に備えておいて、何も起こらないことを願おう。こと天災に関しては、透視は間違っているほうがありがたい。
<今後、日本で発生する大地震>
2008年 伊勢崎市 震度6弱
2018年 東京都 震度6弱
・噴火や地震にともなって海底では地盤の隆起や沈降が起きる。そして、膨大な量の海水が突然動きだし、衝撃波となって陸地の海外線へと進行する。
・遠洋ではあまり目立つ動きではないが、浅瀬に入ると、衝撃波は巨大な津波となって陸地を襲い、都市部などを徹底的に破壊してしまう(波の高さはときには30メートル以上になることもある)。
・内陸へと押し寄せる力がピークに達すると、今度は海に戻り始め、残された街の残骸を一切合財引きずりこんでいく。警告もなしに、突然襲ってくれば被害はとりわけ甚大となる。
・幸い日本には、優良な早期警戒システムがあるのだが、海底地震が発生して警報が発令されてから、津波が押し寄せる時間は、残念ながらどんどん短くなっている。
<日本を襲う津波>
2008年夏 11メートル
2010年晩夏 13メートル
2018年秋 11メートル
2025年夏 17メートル
2038年初夏 15メートル
2067年夏 21メートル
・日本は津波による大きな被害を受けるだろう(なお、波の高さが10メートル以上に及ぶものだけに限定している)。北海道の北部沿岸の都市部は特に津波に弱い。徳島市、和歌山市、浜松市、鈴鹿市、新潟市、石巻市も同様である。このほかにも津波に無防備な小都市は数多くある。
<土地>
・気象変動とともに、日本の土地問題は悪化しはじめる。沿岸部での海面上昇と、暴風雨の際に発生する大波によって、低地の村落と小都市の生活が脅かされるようになる。堤防や防壁といった手段は効力を発揮しないため、2012年から2015年のあたりまでに多くの人が転居を余儀なくされるだろう。
『口語訳 遠野物語』
柳田國男 河出書房出版社 1992年7月
<『遠野物語』>
・『遠野物語』は、1916(明治43)年に出版された日本民俗学の誕生を告げる記念碑的な本。
<魂の行方>
・土淵村の助役 北川清という人の家は、字火石(あざひいし)にあります。代々山伏で祖父は正福院といい、学者で著作も多く、村のために尽したんです。
・その清の弟で福二という人は、海岸の田の浜へ、聟に行きましたが、先年(明治29年)の大津波にあい、妻と子どもを失いました。その後は、生き残った二人の子供とともに、元の屋敷あとに小屋を作り、一年ばかりそこにおりました。
・それは夏の初め、月夜の晩のことでした。福二は、便所に起きましたが、便所は遠く離れたところにあり、そこまで行く道は、波の打ち寄せるなぎさです。
・霧の一面に広がる夜でしたが、その霧の中から男女の二人連れが近づいて来ました。見ると女は、たしかに亡くなった自分の妻です。福二は思わず、その跡をつけて、はるばる船越村へ行く岬の、洞穴のあたりまで追いました。
・そこで妻の名を呼びますと、女は、ふり返ってにこっと笑いました。男のほうを見ますと、これも同じ里の者で、津波の難にあって死んだ人です。なんでも自分が聟に入る前、互いに深く心を通わせていたと聞いていた男です。
・「いまは、この人と夫婦になっています」と、女が言うものですから、「子どもはかわいくないのか」と言いますと、女は、少し顔色を変え、泣きだしてしまいました。
・死んだ人と話をしているようには思えず、現実のようで悲しく、情なくなりました。うなだれて足元に目を落としているうちに、その男女は再び足早にそこから立ちのき、小浦へ行く道の山陰をめぐって、見えなくなってしまいました。
・少し追いかけてもみましたが(相手は死んだ人なのに)と気づいてやめました。それでも、夜明けまで、道に立っていろいろと考え、朝になってからやっと小屋に帰りました。福二はその後もしばらくの間、悩み苦しんだということです。
・明治29年6月15日(旧暦5月5日)夜8時ごろ、岩手県を中心とする三陸沿岸を襲った大津波のことです。波高は、38.2メートルを記録し、溺死者は2万2千人といわれ、最大級の津波でした。とくに、大槌町では、日清戦争の凱旋記念花火大会が行われていて、一瞬のうちに全滅という惨状だったといいます。
<山田の蜃気楼>
・海岸の山田では、毎年蜃気楼が見えます。いつも外国の景色だということです。それは、見たこともない都会のようです。道路をりっぱな馬車がひっきりなしに通り、人の往来もびっくりするほど多いそうです。家の形など毎年少しも違いがないということです。
堀江湛 一藝社 2007/8/8
<日本人の投票行動>
<政治的態度と投票行動>
・わが国では政党支持態度という概念が政党帰属意識と近似の概念として存在する。日本人の投票行動においても政党支持態度の重要性は認識されており、投票行動に対する政党支持態度の規定力は強い。
・また、三宅一郎は日本人の政党支持がアメリカやイギリスのように一つの政党に対する固定的な支持というよりも、複数の政党について選択の可能性があることに注目し、「政党支持の幅」仮説を提示した。
・およそ5割が無党派層という近年のわが国の状況も投票行動に対する政党支持態度の規定力の減退を意味する。
<社会的属性と投票行動>
・社会的属性と投票行動との関係では、職業、年齢の重要性が指摘できる。職業別の投票行動については、自民党は自営業者に強く、とりわけ農林漁業者に高い支持を得ている。他方、民主党は被用者、とりわけ事務職や専門・技術職に比較的強い。ゆえに、自民党は農村部では圧倒的な強さを誇り、民主党は被用者の多い大都市部で強い。
・年齢に関しては、自民党は年齢が高いほど支持率が高い「高年型」のパターンを示す。それに対して民主党は20歳代から50歳代あたりの現役世代で比較的指示が高く、60歳以上の引退世代では弱い。自民党が高年型である原因は、加齢に伴う政治意識の保守化や老後において活動の主体が職場から地域に移行し、地域に根ざした個人後援会を発達させている自民党議員の支持者となるなどがあげられる。
<アナウンスメント効果>
・アナウンスメント効果とは、候補者や政党の現在おかれている状況に関する何らかの情勢報道が、有権者の投票意図や、実際の投票行動に何らかの変化をもたらすことと定義される。「勝ち馬」効果(バンドワゴン)、「負け犬」効果(判官びいき効果・アンダードッグ効果)などのように同情票が有権者の投票行動に影響を与えると考えられてきた。
・旧中選挙制の下では、マスコミの情勢報道が「選挙戦において優勢」と報じられた候補者に予測以上の集票が起こったり(勝ち馬効果)、「選挙戦において劣勢」と報じられた候補者の票が増えたりする(負け犬効果)ことが起こった。
・並立制になってからについては、2003年の衆議院選挙を事例として考えてみる。世論調査の結果にもとづき、マスコミは「自民党単独過半数の勢い」と報じた。その報道に対して自民党は「世論調査で『自民党有利』と報道されると本来は自民党に入れる人も他党に入れる。日本人にはそういうところがある」と懸念を表明し、陣営の引き締めを図った。
<アナウンスメント効果の研究動向>
・このアナウンスメント効果に関する研究ではパネル調査による研究も数多く行われてきたが、いまだ最終的な結論が出ていない。
また90年代に選挙制度が変更されたことによって、ますますマスメディアの流す情報に候補者も有権者も敏感になりつつある。さらに最近の傾向としてはインターネットの登場により旧来の新聞・テレビだけでは予測できない変化が次第に生じているものとおもわれる。
・テレポリティックスが盛んにマスメディアで指摘されつつあるが、このアナウンスメント効果自体についてはマスメディア自体が大きく取り上げられる機会が少ないままである。すべての有権者は、候補者を選択する際に同じような情報をもつべきであると考えるならば、マスメディアのこのような効果について有権者も知っておくべきである。
・世界的にみて、このアナウンスメント効果の影響を問題視し、投票日前の世論調査に規制をかけている国もある(フランス、ルクセンブルク、ポルトガル、スぺイン、ハンガリー、ポーランド、ロシア、ブラジル、アルゼンチン、ペルー、ベネズエラ、メキシコ、チリ、カナダ、南アフリカ、韓国などである)。
日本の選挙では、総務省によるホームページの利用に関する研究会など公職選挙法改正に向けた取り組みが行われてきた。さらなるマスメディアの影響に関する実証的研究が望まれている。
<●●インターネット情報から●●>
<衆院選中盤情勢>与党、3分の2超す勢い…本社総合調査
・毎日新聞は2014年12月の第47回衆院選(定数475=小選挙区295、比例代表180)が14日に投開票されるのを前に、5~7日に特別世論調査を実施し、取材情報を加味して中盤情勢を探った。自民党は小選挙区、比例代表で計300議席を上回る勢いで、公明党と合わせて衆院の3分の2(317議席)を超えるだけでなく、自民単独での3分の2超えも視野に入る。
◇自民堅調続く/第三極振るわず、民主伸び悩み
・民主党は公示前の62議席を上回るが、小選挙区、比例ともに前回の2012年から小幅の伸びにとどまりそうだ。維新の党は計30議席に届かない見通しだ。
『なぜおいしいアイスクリームが売れないの?』
~ダメな会社をよみがえらせる3つのレッスン~
シビル・チョウドリ 講談社 2006/11/29
・利ざやが下降の一途をたどっている。状況が改善しないようなら、本気で手を打たないといけない。管理職のメンバーを総入れ替えするか、ことによると、全米展開する大手メーカーに工場を売却するかもしれない。最悪の場合、アイスクリーム工場を閉鎖して、不動産開発業者に土地を売る可能性もある・・・。
「業績回復の為なら何をやろうとかまわんよ、ビート。だがともかく、やり遂げてくれ。工場長のきみにすべてまかせる」
<簡単に引き下がれない><きみの会社は品質を重視しているのか>
<他人のささえになりたいという情熱を持て>
・“品質重視”はアメリカ企業社会のDNAに組み込まれていないが、日本や韓国の企業のDNAには組み込まれている。
<いつも笑顔の郵便配達員>
・儲けとは、結果にすぎない。すぐれたサービスの副産物である。
・毎日の仕事を、「やらなければいけないこと」から、「やりたいこと」「好きでたまらないこと」に変える。
<従業員たちから改善アイデアが>
・上司が部下たちを大切にすればするほど、部下たちは客を大切にする。
・結果ではなく、努力に意識を集中せよ。
・アメリカ企業は、派手な“興奮”を演出するのは得意だが、客のもっとも基本的なニーズに十分こたえていない。
・すぐれた会社は、無数の素晴らしいアイデアのうえに成り立っている。素晴らしいアイデアが欲しければ、従業員みんなにたずねるべきだ。
・(成功の要因)第一に、仕事のやり方を改善しようとする強い意志。何かを見るたび、もっと改善できるはずだと考える。第二に、常識にとらわれない発想。型破りであっても、できるかぎり最良の解決策を考える。第三に、あらゆる面を向上させたいという願望。隅々にまでに気を配る。
<今の製品やサービスをどうすれば向上できるか、日夜、考え続ける必要がある>
・そう。“最善を尽くす”程度では足りない。ナチュラル・フーズでは、“完璧”が現実の目標なんだ。困難を克服し、細部にいたるまで完璧にする。そのためには、五つほど心得がある。
第1に、失敗の代償を認識せよ。もし失敗したら、きみの会社が、あるいは部署が、がたがたになってしまう恐れがある。気の弱い人間には向かない。
第2に、始めから最良のやりかたをとれ。いちばん初めの段階で、完璧をめざして計画を練る必要がある。まあまあの計画を立てて、あとで修正するのではダメだ。つまり、火事が起きてから戦うのではなく、火事を防がなくてはいけない。
第3に、細部まで注意を払え。
第4に、“生産性への極度のこだわり”を養え。わたしは、『極度に心配性の人間だけが生き残る』という名言が好きなんだ。つまり、これでいいのかといつも心配して、ライバル企業に目を光らせ、チャンスを逃していないか用心し、次の新しいものを検討しなければいけない。落ち着き払っている人間や企業は、いずれ脱落する。
第5に、つねに、“完璧”をめざす熱意を部下全員に植えつけよ。仕事を使命に変えて、現状を正直に伝え、トップに立つために何をすればいいかを明確に伝えるんだ。
・Optimize(最適化する)の段階に本気で取り組みたければ、まず、現状をありのままにとらえるべきだ。
・アメリカ企業は、社内外の声に耳を傾けるのはじょうずになったと思う。けれども、製品やサービスを常に充実させ改善していく、そしてなにより最適化していくという点は、使命どころか優先項目にさえ入れていない。
<「最善を尽くす」程度では足りない。「完璧」をめざして努力せよ>
・もし欠陥があると、たちまち、目に見えるかたちで代償をはらわなくてはいけなくなる。売上、顧客数、ひいては会社の命運に悪影響がおよぶ。
・「儲けとは、すぐれたサービスの副産物にすぎない」「質の善し悪しを決めるのは自分たちではなく、客である」「いちばん調子の悪いときが、現時点での実力と心得よ」
<ほんの小さな失敗が命取りに>
・「まずは失敗の代償を最適化することだ。もし完璧さを達成できなかったら、どれだけ悲惨な状態になり、お金が無駄になることを考えれば、失敗なんかできない」。
・「儲けとは、すぐれたサービスの副産物にすぎない」、「質の善し悪しを決めるのは自分たちではなく、客である」、「いちばん調子が悪い時が、現時点での実力と心得よ」
・著者は、品質管理戦略の専門家として広く知られています。
『道州制で日本再生を』
河合恭伸 ブイツーソリューション 2012/12/1
<とにかく、いまの日本は課題が山積みしています>
・いま、日本を覆う政治経済の閉塞感の根本原因は、政治家の能力不足もありますが、より根本的には「現行民主主義政治体制」の制度疲労による、行き詰まりにあると考えています。いまの政治体制の中で、必然的に育てられてきた「官僚国家社会主義体制」がマンモスとなり、日本の財政を悪化させ、硬直化せてきたところに問題があります。
<国家方針の確立>
・国の在り方を決めるに際して、国の置かれた地理的、歴史的な状況を考慮して決定する必要があります。
・道州制を導入することで、少なくとも、政治が外交と内政に分けられます。そして国会の守備範囲が減少し、適切な外交活動を政府が行う限り、短期間に政権が揺らぐことが少なくなると期待されます。国内政治は国会で取り決めた基本方針を明示して、各道州に政務を一任していますので、何か問題が発生しても、その道州内において問題が処理され、他の道州に拡大することはありません。いまの都道府県の政治が日本全体の問題に発展しないことと同じことになります。その分国政は安定すると考えられます。
・団塊の世代の大量退職が本格化して、生産年齢層の急減と老年人口の急増が、同時進行で始まります。そうした時代に対処するため、政治経済体制を早急に整えなければなりません。
・いまの政治は官僚社会主義者が支配していますので、社会主義国と同様に、国が面倒を見過ぎています。これからは色々な面で改革をする必要に迫られています。その根本は政治の在り方を変えることから始まります。
・スウェーデンの場合、「行政の決定はできるだけ身近なところで行われるべし」という意識が徹底し、地方分権が徹底しています。素人の政治を大切にし、政治家の給与だけでは生活ができないようにし、別の職業を持つのが普通になっています。選挙は政策本位で行うようにし、比例代表制に重点が置かれています。政党も候補者の選出に福祉、教育、医療の現場代表、高齢者、障害者、女性、学生、移民代表にも配慮して決定しています。国民の政治教育も徹底し、学生の市会議会の傍聴を義務化し、宿題を提出させ、模擬選挙も行う等徹底しています。従って、投票率も常に85%以上と高いのです。
<日本と世界経済の展望>
・こうした状況の中、日銀はグローバル化と円高の結果、後進国から流入する低価格商品によって、商品価格が大幅に下落している状況でも、「消費者物価がプラスに転ずるまで、資金供給を続ける」と言っています。資金供給だけで、何ほどの事態の改善が図れると考えているのでしょうか。いまは国外から押し寄せる「価格破壊」の勢いにのまれ、従来型の高コスト体質を引き継いだ商品生産をしている国内産業が、立ちゆかなくなっているのです。古典的なデフレ、需要が足りないことに起因するデフレが起こっているのではありません。
・根本問題は、現在の経済状況を適確に把握できず、将来に向けた国家目標を掲げ、成長産業の育成する努力が足りないのです。
・日本経済の活性化自体については、道州制の導入ができれば、その道州内の経済問題等殆どのことは自分たちの問題として政治を行うことが可能になります。ただ、対外的な問題は、国会の場で、最適の方法を力を合わせて対処することになります。
・TPP=環太平洋パートナーシップ協定については、最低ISD条項という毒針だけは抜く努力が必要です。
<不動産価格の見直し>
・不動産価格の変動は、その国の経済力を反映していると思いますので、その動静に関心をもっと高める必要があります。
・道州制の導入によって、日本各地に発展の核となる行政庁が新しく設置されれば、日本各地に徳川時代の城下町、宿場町に代わる市街地が、各地に形成されることになります。つまり日本全体が均衡のとれた発展がなされると予測されます。
・しかし、道州制が導入されれば、地方経済に活力が生まれてきます。道州制の採用により、新しく移転してくる官公庁所在地の周辺地価は、当然下げ止まりし、場所により上昇が見られるはずです。
<教育の改善>
・例えば、英語力にしても、一年間は必ず外国で過ごしなさい等と、単位を取るための条件を変えて、帰国後テストにより学習テストに合格すればよいこととすれば、語学問題は解決します。
<資源の活用>
・排他的経済水域内でレアメタル等を多く含む「コバルトリッチクラスト」鉱床が南鳥島付近に広がっています。
・本書では現行政治体制の枠内で「道州制」を導入し、政治制度の疲労と官僚独裁政治を解決する道筋を示しました。そして地方に活力を取り戻し、赤字財政の整理や年金問題を変革して、新しい政治の道筋を見つけられるのではないかと考え、問題提起をしました。