日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

コンタクティやチャネラーの情報を集めています。森羅万象も!UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象といわれます。

飛騨美濃の深山、今の中央アルプスから穂高連峰あたりには、玃(かく)という大男が棲息しており、それを山人は覚(さとり)と呼んでいた。(1)

 

『江戸諸国百物語  東日本編』  ――諸国怪談奇談集成

人文社編集部  人文社 2005/10/1

 

 

 

陸奥国 陸奥  青森県

大人(おおひと)

八甲田山には大人伝説がある。他の地域でいわれるダイダラボッチと同様の巨人で、とてつもなく大きく、ひげ面の姿をしている。

 ある正月に八甲田山麓の横内部落の家の主人の枕元に大人が立ち、「おれが姿を見せるのは里中ではおまえだけだ。おまえの日頃の心がけがよいので感心してやってきたのだ」と告げた。主人はごちそうを用意して大人をもてなした。それ以来、毎年正月に大人がやってくるようになって、1年を無事に過ごせるようになったという。

 

陸中  奥羽 陸奥国  岩手県 秋田県

・日本列島に棲息する妖術使いの動物としてもっともよく知られているのは狐と狸だろう。狐が人をだまして提灯を取るのは蝋燭が好物だからだといわれる。

 

<海座頭>

・琵琶法師といえば、杖に高下駄という独特の僧侶姿で弾き語りを行う盲目の放浪芸人だが、海座頭と呼ばれるこの妖怪も、姿形は琵琶法師そのものである。

 海の沖合に棲んでいる海座頭は、月の終わりになると姿を現し、杖をつきながら海の上をさまよい歩く。

 

ザシキワラシ

おかっぱ頭に着物姿、旧家の座敷に棲み、その家に繁栄をもたらすとされるザシキワラシは、東北を代表する妖怪の一つである。岩手を中心に東北全域に言い伝えがあり、地域によってザシキボッコ、カラコワラシ、ウスツキコなどの名前で親しまれている。

 ザシキワラシは家の盛衰に影響を及ぼすと考えられ、棲みつかれた家は大いに繁栄する一方、ザシキワラシが出て行くことは不幸の予兆とされる。

 

・ザシキワラシと遭遇したと語る宿泊客から、「事業がうまくいくようになった」「子供を授かった」など、お礼の電話を受けることもあるとのこと。ちなみに、この部屋の予約は4年先まで埋まっている。幸福をもたらす家の守り神、ザシキワラシとの遭遇を願う人々は、いまだに後を絶たない。

 

<マヨヒガ>

・漢字表記は「迷い家」。山奥にある無人の豪邸で、迷い込んだ人はそこから食器など何か一品でも持ち出せば、富を築くことができるという。意外な場所に極楽がある、いわゆる「隠れ里伝説」は日本の昔話に多く、見られ、マヨヒガについても隠れ里の一種と考える説もある。

 

・『遠野物語』には、以下のような記述がある。「遠野にては山中の不思議なる家をマヨヒガという。マヨヒガに行き当りたる者は、必ずその家の内の什器家畜、何にてもあれ、持ち出て来るべきものなり」。また、「マヨヒガに行ったが何も取らなかった女性が、後日川で洗濯をしていると茶碗が流れ着き、それを使うようになったところ、穀物が一切減らなくなった」とか、「金持ちになろうと、以前訪れたマヨヒガを探し歩くが、二度と見つからなかった」といった話も記されている。

 

幅広いファン層を持つ『遠野物語

・日本民俗学研究の父、柳田國男(1875~1962)が「遠野物語」を出版したのが明治43年(1910)。当初はわずか350部の自費出版であった

 三島由紀夫が「全文自由な文語体」と評し絶賛した著者の文章は、時代を経てもなお色あせず、鮮烈な印象で読者の心を魅了する。

 

陸前 奥羽 陸奥国(むつのくに)  岩手県 宮城県

<手長明神>

・ここ鹿狼山には昔、手の長い巨大神が棲んでいたとの言い伝えがある。現在、手長明神として祀られているその神は、いつも山の頂に座っており、空腹になると海まで手を伸ばしては、貝を採り食べていたのだとか。

 

羽前(うぜん) 奥羽 出羽国(でわのくに)  山形県

雪女

・雪女は、ほかに雪女郎、雪姉サ、雪バンバ、雪姫、雪女房などさまざまな呼び名を持ち、多くの地方で語り継がれている。いわゆる豪雪地帯以外の四国、九州といった地域にも伝説が広まっているのは、江戸時代半ばから後期にかけては、日本列島全体が今よりも寒冷な気候であったためと考えられている。

 

相模国さがみのくに) 坂東 神奈川県>

山姥   平安・鎌倉時代の人物とかかわる妖怪たち

・山奥に棲み、里の者から人を食うと恐れられている山姥。山姥のもととなるのは、山の神または山の神に仕える巫女であったと考えられ、恐ろしい存在である反面、不思議な霊力を使い子供を慈しみ育てたり、福をもたらしてくれるという善としての面も伝えられている。

 恐ろしい山姥ではなく、子供を育てる山姥として語られるものに、「金太郎」の昔話がある。

 

遠江国(とおとうみのくに)  静岡県

<木の葉天狗>

秋葉山三尺坊大権現のお膝元

・火防の神・秋葉山は秋葉信仰の聖山で、浜松市の北にある。江戸時代、各地で講が組織され、多くの参詣者が訪れた。

 

秋葉山には天狗がたくさん住む山としても有名で、大権現として祀られる秋葉山三尺坊自体が、神とも大天狗とも考えられていた。

 大天狗ともなると子分たちがいる。「木の葉天狗」と呼ばれる天狗たちである「木っ端天狗」「烏天狗」とも呼ばれることもある。

 木の葉天狗はくちばしの突き出た、カラスのような姿をしており、翼を広げると6尺もあるという。

 

<山男>

背の高さが二丈、約6メートル、低くても2メートル弱もあるという巨人。家族もなく一人で秋葉の深山に住んでいる。

『絵本百物語』の図では足の指が二本、手の指が三本あり鬼のように見えるが、性格はいたって温厚である。木の皮を剥ぐのを手伝ったり、木こりが重い荷物を運んで欲しいと依頼すると、麓近くまで軽々と担いで来てくれる。しかし、里へ出ることは嫌がる。

 

三河国(みかわのくに)  愛知県

<ひょうすべ>

・水の怪。河童の一種ともいわれるが、河童よりも早くに各地で人間と接触していたらしい。

 

信濃国(しなののくに)   長野県>

<紅葉狩>

室町時代の能作者・観世小次郎信光が作った謡曲「紅葉狩」として広く知られるのが、戸隠山での鬼女退治の話である。浄瑠璃や能でたびたび演じられる題目で、明治20年(1887)には歌舞伎として東京新富座で初めて上演された。

 

美濃国(みののくに)  岐阜県

狒狒

・各地の山間部で見られる妖怪で、一見するとゴリラのようである。獰猛な顔付きで怪力を持ち、人を捕まえて、食べてしまうという。また、人間とも交流できる狒狒もいて、性質は山男に似ており、人の心を読み取ることができるらしい。

 

・中国での狒狒は人間のような姿をしていると伝えられている。『和漢三才図会』では、次のように書かれている。背丈は3メートル以上もあり、体は黒く、毛で覆われている。顔は人に似ていて、人を見ると大笑いし、上唇が目を覆ってしまう。走るのがとても速くて、人を見つけると捕まえて、まず笑ってから、食べてしまうという。

 

美濃国では、きこりと交流するようになった狒狒の話がある。

 

飛騨国(ひだのくに)  岐阜県  >

数多くの遺跡が残る飛騨で現れる怪  覚(さとり)

中部地方の山中で多く見られ、山男、天狗、山鬼、山叔父などと同様の妖怪で、富士の山麓などにも出没した。

 飛騨美濃の深山、今の中央アルプスから穂高連峰あたりには、玃(かく)という大男が棲息しており、それを山人は覚(さとり)と呼んでいた。色が黒く長毛で、人の心を察する能力を持っていたので、覚という名が付いたのだという。恐ろしい見た目と異なり、人に害を与えることはないが、まれに人を食おうとする覚もいる。人間がこれを捕まえて殺そうなどと思ったら、その意を先にさとって逃げ去っていくという。

 

玃(かく)は『和漢三才図会』にも出てくる、中国渡来の大型類人猿で、黒ん坊ともいう。猿より大きく、色は青黒く、人のように歩き、人や物をさらっていく。玃(かく)は人の心を読む力がないが、姿形は覚と同じようである。飛騨国根尾には黒ん坊の伝説が残る。『今昔画図続百鬼』では覚と玃が同じ妖怪であると書かれている。

 

魍魎(もうりょう)

魍魎とは水の神や山や川、木、石に宿る精霊であるとされ、子供の姿をしていることも多い。

 元は中国からきた妖怪で『和漢三才図会』では、魑魅魍魎の魑魅を山の神、魍魎を水の神としていて、本来は固有のものだった。それが四字熟語となり、自然界から発生したすべての妖怪という意味で使われるようになった。描かれている姿は、人間の子供のようで、違う点は耳が長いところである。名前とは違い、かわいらしい姿をしている。

 鳥山石燕『今昔画図続百鬼』でも似たような姿の魍魎が描かれており、『和漢三才図会』と異なるのは墓から死体を引きずり出している点である。図中には「形3歳の小児の如し。色は赤黒し。目赤く、耳長く、髪うるはし。このんで亡者の肝を食らふと云」と書いてあり、死者の肉が好物であるらしい。墓場に埋葬された死者を掘り出して、その脳みそや身体を食べたりするが、棺桶に入っている死体を盗み出し、食べてしまう場合もある。

 

両面宿儺(りょうめんすくな)の伝説

奈良時代の歴史書日本書紀』にある両面宿儺伝説。顔が二つある化け物の話である。昔、飛騨国に宿儺という者がいた。この者は、体は一つだが、顔を二つ持っていてその顔は違う方を向いていて頭はあるが、首は一つだった。それぞれに手足もついており、膝はあったが、踵はなかった。怪力で俊足だった。左右に剣を持ち、4本の手で弓矢を放つ。そして、天皇の命令に従わず、人民を侵略して楽しんでいた。それを武振熊(たけふるくま)が退治するという話。

 飛騨では多くの古寺が両面宿儺を開基として「両面さま」「両面僧都」などと尊称している。

  

能登国(のとのくに)    石川県

猿鬼

猿鬼は、頭に一本の角を持った、猿に似た妖怪で、人間や動物に害を与えていた。石川県七尾湾に浮かぶ能登島の向田にある伊夜比咩(いやひめ)神社に残された社伝によると、猿鬼が周辺住民をしょっちゅう脅かしては悩ませていたそうだ。

 神社の神様のお告げに従って、天皇にお願いし、腕のたつ左大将義直に猿神を退治してもらったという。その際の角は、現在も神社に大切に保管されているそうである。

 

・同じく能登の当目にある岩井戸神社でも猿鬼を退治したと伝えられており、「猿鬼の宮」には、その猿鬼の霊が祀られている。

 岩窟には猿鬼が住んでいた。周辺の村々に現れては略奪を繰り返す猿鬼を討つため、能登の一ノ宮・気多大明神が大将となり、退治に出た。

 猿鬼の目を射た上、逃げていくところを名刀「鬼切丸」で退治したと伝わっている。当目の地名はこれに由来しているらしい。

 

志摩国(しまのくに)    三重県

大太法師(だんだんだらぼっち)

背が10メートル以上もある一つ目で片足の大男。全国に分布するダイダラボッチと同様の妖怪である。志摩郡大王町(現志摩市)には、伝説が残る。大王町波切の大王崎からずっと離れた沖にある大王島には大太法師が棲んでいた。そして、しばしば村に来ては、田畑を荒らしたり、村の娘をさらっていった。困った村人はなんとか退治しようと相談し、ある僧が名案を思いついた。畳一枚ほどの巨大なワラジを大太法師に見せ、これは千人力の村主様が履くワラジだと教え、村には大太法師よりもっと大男がいると威嚇することにしたのだ。大太法師はこれを見るとたいそう驚いて、「この村にはこんなに大きなワラジを履く巨人がいるのか。これはかなわん」と震え上がった。そして、大太法師は海の彼方に逃げていき、二度と村には来なくなった。

 それ以来、波切では毎年大きなワラジを作り、9月にそのワラジを海に流すようになった。

 

蝦夷地(えぞち)  北海道

コシンプ  山や湖に存在し、人に取り憑く畏怖の怪

・コシュンプ、コシンプウ、コシンプイともいう。山に棲む「イワコシンプ」と海岸や川辺に棲む「ルルコシンプ」とがある。いずれも美しい女の姿をしており、人間の男に恋をし、その相手に取り憑くといわれている。コシンプに魅入られた男は数年のうちに必ず死んでしまう。しかし、ときには男に大きな幸運をもたらすこともあるという。

 

蝦夷に伝わる小人伝説

・有名な「コロポックル」伝説。地域によって若干の違いもあるが、大筋は次のような物語である。ある村では厳しい寒さが続き、飢えと寒さで困っていた。姿は見せないが毎日のように山の幸を運んでくれる者がいたので村人たちは生き延びることができた。後に蕗の下に住む小人だとわかり、村人は小人を救いの神として祭るようになった。「コロポックル」は、「蕗の下の人」の意味。なお、興味深いことにコロポックルは実在したという説があり、明治から大正にかけて、多くの研究家の間で議論が繰り広げられた。結局「実在説」は衰えてしまったが、札幌周辺などには「コロポックルの居住跡」と伝えられるものが残っているという。

 

 

 

『江戸諸国百物語  西日本編』  ――諸国怪談奇談集成

人文社編集部  人文社 2005/10/1

 

 

 

和泉国(いずみのくに)   上方(幾内)  大阪府

葛の葉(くずのは)>

和泉市にある信太森葛葉稲荷神社には「葛乃葉伝説」がある。平安時代に偉業をなして、名を馳せた陰陽師安倍晴明の父といわれる安倍保名の話だ。

 

・安倍童子はすくすくと育ち、7歳の時の秋、保名の留守中に母が狐の姿に変身するのを目撃してしまった。葛の葉の正体は、信太の森で保名に命を救われた白狐だったのだ。

 

狐の怪

狐はあらゆる地域で人を化かしていると伝わる。和泉にも同類の狐が現われた。滝沢馬琴の『兎園小説』に出てくる狐の怪。和泉郡布野では、浦太夫という義太夫語りを陥れ、食べ物と酒をふるまい、大勢の前で数曲語らせた。浦太夫がふと気づくと、草が生い茂った荒れた墓地だったという。食べ物と酒は本物であった。

 

俊足の男

・和泉の堺に住んでいる人に、なぜか紀州の家からお米が届けられた。その理由を聞いてみると、何もしていないのだが、すごく足が速くて、堺から江戸まで三日で着いたお礼だという。近江の彦根へは145キロほどあるが、一昼夜にして往復してしまうらしい。

 

彦根へ次の日の朝には着き、暮れ前には堺へ戻ってきた。清八は文化元年(1804)、52歳でまだ生きているという。

 

阿波国(あわのくに)   四国 徳島県

犬神  山に隠れ集う動物たちが憑依する

・犬神とは、犬の霊が憑依した状態のことをいう。中国、四国、九州地方に広く伝わる伝承だが、四国、中でも阿波は本拠地といえる。

 その正体はネズミのような小動物とも、白黒のブチのあるイタチのような動物とも、手のひらにのるほどの小さな犬で赤と黒の斑点があるもの、ともいわれ、定かではない。

 犬神に取り憑かれると様々な病気になり、発作を起こして犬のまねをするようになる。

 

牛鬼

・海部郡の白木山(海部郡牟岐町)には、頭は鬼、体は牛という恐ろしい姿をした妖怪が潜んでいた。いつもは奥深い山中にいるが、ときに里へ下りてくると、人間でも家畜でも取り殺して食った。鉄砲の名手平四郎という狩人が退治しようと白木山に入り「たな石」というところで、牛鬼と遭遇した。すかさず、鉄砲で撃つと、牛鬼は水辺で死んでいたという。いつしかそこは「牛鬼淵」と呼ばれるようになった。

 

阿波と言えば狸妖怪伝説も盛りだくさん

・各地で今も「狸祭り」が行われ、狸の伝承が数多く残る徳島県徳島市新浜本町、千代ヶ丸山では、正義の阿波狸と悪玉狸の「阿波狸合戦」の民話も残る。当然ながら狸にまつわる妖怪話も多い。

 

天狗

・「河童」と並んで最も世間に知られている、日本における妖怪の代表的な存在である。日本各地で様々な伝説が残されている。

 山に住んでいるとされていることが多く、天狗最大の武器である、強力な神通力を持って、様々な怪異現象を引き起こした。また、怨霊が天狗となって、世の中に災いをもたらすとも伝えられており、崇徳院が死後、天狗となった話が有名。

 

崇徳院の家臣であった源為朝は、保元の乱の後、八丈島へ流される。その後家来と共に九州に渡ったが、途中台風に遭い、妻も家来も失う。絶望して自害をしようとしたが、讃岐院(崇徳院の御霊)が派遣した天狗たちに助けられたという。

 

伊予国(いよのくに)   四国 愛媛県

山や海中から出没する怪奇  牛鬼

・西日本を中心に各地に伝説が残る妖怪で、古くは『枕草子』にも「名おそろしき物、牛鬼」と記されている。鬼の顔を持った巨大な牛で、海に住むとも山に住むともいわれ、人畜や船を襲う妖怪である。伊予の地にもたびたび出没したという。

 

 丹後国(たんごのくに)    京都府

有名な伝説や物語が集まる国  酒呑童子

・その姿かたちについては『御伽草子』などによると顔が赤黒く、髪は短く乱れ、背丈が6メートル以上で角が5本、目が15個あったとされる。

その出生にも諸説ある。

 

・その他にも、酒呑童子は大蛇と人間の娘との間に生まれたという説もある。

 

浦島太郎

・釣好きの若者に成長した嶋子はある日、たいへん美しい娘に出会った。それが乙姫である。ふたりは夫婦の約束をし、小舟で竜宮城へ向かった。そして手厚いもてなしを受け3年の月日が経つと、嶋子は故郷が恋しくなり帰ることになった。

 乙姫は「お別れに手箱を差し上げます。再びお出でくださるお気持ちがあるのなら、決して中をお開けなさいますな」と美しい玉手箱を差し出した。嶋子はそれを携えて帰って来た。ところが、屋敷に着いてみると雑草が生い茂り一面荒れ野原になっていた。

 竜宮城での1年は、人間界の何十年にも相当するのだ。

 

・そのとき玉手箱のことを思い出し、昔に戻れるのではと箱の蓋を開けてみた。すると中から白い煙が立ち上り、嶋子はしわだらけのお爺さんに。

 

羽衣天女伝説

・昔八人の天女が池で水浴びを楽しんでいた。そこを通りかかった若い猟師・三右衛門は木にかけられていた羽衣の一枚を持ち帰ってしまう。

 

・三右衛門たちは幸せな暮らしをおくっていたが、ある日、三右衛門が毎朝柱に向かってお祈りをしているのを不思議に思った天女が調べてみると、柱の穴から三右衛門が隠した羽衣が出てきた。それを見つけた天女は羽衣を身につけ天へ帰って行った。

 

因幡国(いんばのくに)    中国  鳥取県

街道、川に出現する怪異の数々  河童

・千代川流域には、河童の話が多い。特に寛政7年の大洪水の翌夏には、数え切れないほどの河童が棲みつき、川遊びの子供に害をなした。

 

また人に憑くとされ、憑かれた人は魂を抜かれたという。

 

・しかし、河童は恐ろしいばかりでなく、力自慢で相撲好き、意外に騙されやすくお人好しという一面も覗かせる。

 川の猟師の酒をかすめとったり、鳥取市南部の砂見川流域の河童は、ずるがしこい狐に騙されたりと、なんとなくユーモアの漂う話も残っている。八頭町を流れる大江川には、村の大関に相撲をせがみ、見事勝った河童もいるそうだ。

 

牛鬼(蓑火)>

・これが鳥取の牛鬼で、雪混じりの氷雨の降る夜には必ずこの場所に現れたという。

 石見や伊予にも「牛鬼」がいるが、両者が海に出現するのに対し、こちらは夜の畦道。

 

また、関西地方全域で伝わる牛鬼は、頭が牛で体が鬼の姿をしている

 

伯耆国(ほうきのくに) 中国 鳥取県

妖怪研究第一人者 水木しげるを生んだ国

天狗

・別名伯耆富士と呼ばれる中国地方一の高さを誇る大山は、古くから山岳信仰の対象として神聖視され、修験道の修業の地であった。この山には大山伯耆坊とよばれる大天狗がおり、愛宕太郎坊、比良山次郎坊などとともに日本八大天狗に数えられていた。

 カラスのような羽とくちばしを持ち、山伏のような姿で天高く飛び回っていたとされ、人の心を読み取ったという。

 

播磨国(はりまのくに)   中国 兵庫県

姫路城の長壁姫

・姫路城の天守閣に住む城の主。ふだんは十二単に緋色の袴と姫の姿をしているが、身長が3メートルにも伸び、八百匹の化け物を従えているという。人の心などたやすく読み解けるので、なぶり傷めることも力を与えることも自由自在である。

 

猿神

津山郊外の中山神社に祀られているのは猿の神で、毎年祭には16、7歳の未婚の美しい娘を生贄に出さなければならず、これは長らく破られることがなく続いていた。

 ある年、東から二匹の犬を連れた若い猟師がきて、生贄となる娘の家を訪れた。娘の悲しげな様子を見た若者は、「娘さんをくれるなら、自分が身代わりに猿神のもとへ行く」と両親に申し出た。もちろん否のあるはずがない。その日からふたりは一緒に暮らし、若者たちは犬たちに猿を殺す事を教え込んだ。

 

・祭りの当日、若者は犬と一緒に生贄用の長櫃に隠れ、社の中に入りこんだ。蓋をずらして様子をうかがうと、七、八尺はあろうという大猿が正面に座っている。若者は大猿が長櫃の蓋に手をかけた瞬間、飛び出して犬をけしかけた。犬に噛まれ、若者に取り押さえられた大猿は手も足も出ない。すると神懸かりになった神主が「今後は決して生贄を取らないから許してくれ」と訴えた。それでも手を緩めないでいると「神さまも、こう言っているから」と神職らも懇願する。あらためて一同の誓いをとった若者が手を放すと、大猿は社を飛び出して山へ逃げていった。以来生贄の習慣は廃れたという。

 

備前国(びぜんのくに) 中国 岡山県

山姑(やまんば)

・備中成岩(なりわ)城主、三村紀伊守(きいのかみ)は勇将と世に知られていたが、城下で艶やかな美女を見初めて以来、懊悩の日々を過ごしていた。

 そんなある夜、かの美女が紀伊守の寝所に忍んできた。女は一夜も欠かさず訪れたが、日がたつにつれ紀伊守がやつれてくる。家臣たちが心配していたある日、日暮れ時に鞠ほどの光が城めがけて山から飛んでくるのが目撃された。これこそ毎夜現れる女の正体に違いないと、ひそかに女の髪を切り取って見れば針を束ねたような銀色の剛毛だった。

 

・さらに渾身の力で刺したところ、女は紀伊守を取り落とし、天井からはおびただしい量の血が流れ続けた。

 夜明けを待って女の血の後をたどると、山深くの岩穴の入口で途絶えていた。朝比奈清左衛門という力自慢の大男の家来が岩穴に入った。すると、身の丈七尺の姥の骸があった。乱れた白髪は一丈以上、鋭い牙があったという。

 

周防国(すおうのくに) 中国 山口県

兵主部(ひょうすべ)

肥前の国を中心に全国に伝わっている。猿に似た妖怪。全身を体毛で覆われており、民家に侵入しては風呂に入る。

 

兵主部は、兵主神の眷属という意味の呼称で、現在の長崎市本河内町の水神神社の伝来が由来という説がある。

 兵主部の呼称の由来となった兵主神は、相撲の起源と深い関係のある神で、河童の相撲好きの性質に多大な影響をおよぼしていると思われる。また、夏の間は水辺に棲み、冬場は山に戻るという習性から、兵主部は河童の一種ともいわれている。

 

相撲発祥の地といわれる現在の奈良県桜井市にある神社の名は、「兵主部神社」という。兵主部は各地に式神として祀られているのだ。人間が河童と相撲をとった伝説は数々残っているが、これはすべて兵主部と人間との相撲であったともいわれている。

 

・兵主部は、神様として祀られている反面、熱病を流行させるという恐ろしい存在として伝えられている。

 

対馬国(つしまのくに)   長崎県

河太郎

対馬国周辺には河童伝説が数多く残っている。河太郎はその中でも秀逸した特徴を持つ妖怪の一種だ。

 河太郎は集団行動を好み、対馬国の防波堤の上に群れをなしている。身長は60センチくらいで、頭のお皿の周りに髪の毛が生えている。若々しく短髪のものもいれば、頭に垂れ被さっているもの、白髪のものもいる。ただ臆病な性格なので、人の姿を見ると、とたんに海へ飛び込んで隠れてしまう。

 

肥後国(ひごのくに)  西国  熊本県

山童(やまわろ)

・河童の一種だが、河童のように天候にあまり左右されないのが特徴。

 

・山童は山の屋根伝いに山と川を行き来するといわれており、彼岸前後の晩には山童の「ヒョーヒョー」という鳴き声が聞こえるらしい。

 山童には明るい一面があり、人間の山仕事を手伝うことがある。伐採した木を麓の空き地まで運んでくれる。作業が終わった後の礼はもちろん必要だ。山童は何も高級なものを要求してくれるわけでなく、握り飯でも魚でもよくて、手伝うときに人間と約束した物品を正しく与えることができれば、それで満足して帰っていく。

 

大隅国おおすみのくに)  鹿児島県 西国

ワロドン

大隅国では山童のことをワロドンという。山童は元々河童の一種であり、河童の中でも水分をあまり必要としない、ある意味進化した河童が山童ということができる。

 

身体は子供ぐらいで、毛深く、山の神の住むような深山に住む。言葉を話し人との交流もあるから、食物を出すと山仕事も手伝ってくれる。

 ワロドンは体の大きさを自由自在に調整することができ、馬の足跡ほどの大きさに溜まった水の中に、千匹ものワロドンが隠れることができるらしい。また、ワロドンは体を細かく切り裂かれても生き延びる事ができ、2、3日でもとの姿を取り戻す事ができる。

 

薩摩国(さつまのくに) 西国  鹿児島県

点在する島々にも伝わる怪  野狐(やこ)

薩摩国で見られる狐が変化した妖怪。普通の狐と違い、体毛のその色が真白だったり真黒だったりする。集団で行動する場合が多く、多くの野狐が集まった状態を「野狐の千匹連れ」と呼ぶ。野狐は人にとり憑き、一旦

とり憑いてしまうと後々の子孫にまで憑き続けるといわれる。

 野狐に憑かれると顔面が蒼白になり、病人のようになってしまう。とり憑いた野狐を退治するには、修験を行ったり、山伏や巫女などにお祓いをしてもらうことが効果的とされる。

 野狐と正反対のものに善狐がいるが、お祓いを行うときに、善狐を利用して野狐祓いを行う場合もある。この野狐と善狐は非常に仲が悪く、一緒に行動する事はまずない。

 

琉球国(りゅうきゅうこく)  沖縄県

大陸から渡ってきた妖怪たちが集う  魃(ひでりかみ)>

・山奥に棲む妖怪。猿のような外見だが、手足が一本ずつしかついていない。身長は30センチから60センチ。一本足で風のように素早く走る。

 魃(ひでりがみ)が現われると雨がまったく降らなくなるといわれており、当分の間日照りが続き、農作物に多大な影響を与えてしまうので、人々は魃を神と崇めている。そこから「ひでりがみ」という名がつけられたという。琉球の気候は雨期以外はほとんど熱帯に近いので、雨期に魃が出てくるとその年は必然的に旱魃となり、食物も育たないので餓死する人も多かったといわれる。

 

がじゅまるのキジムナー

・沖縄に生えるがじゅまるの木。高さは20メートルにもなり、昔から樹齢が何千年にもなる古いがじゅまるにはキジムナーという妖怪が住んでいると伝わる。

 与一という子が、がじゅまるの木にいる青空色をしたキジムナーと友達になり、一緒に遊ぶようになった。与一の姉が倒れた時「僕がマブイ(魂)を奪うから、後3日で死んでしまうよ」とキジムナーは言った。3日目の早朝、姉のそばにいた与一は、がじゅまるの木のてっぺんにいるキジムナーを見た。キジムナーはおどけながら、あくびをしていた。与一は両親を起こしてから、がじゅまるの木に登り、キジムナーをまねてあくびをしてみた。

 その後、与一はもうキジムナーを見ることはなかった。

 

 

 

『中国の鬼神』

著 實吉達郎 、画 不二本蒼生  新紀元社 2005/10

 

 

 

玃猿(かくえん)

人間に子を生ませる妖猿

その中で玃猿(かくえん)は、人を、ことに女性をかどわかして行っては犯す、淫なるものとされている。『抱朴子』の著者・葛洪は、み猴が八百年生きると猨(えん)になり、猨が五百年生きると玃(かく)となる、と述べている。人が化して玃(かく)になることもあるというから、普通の山猿が年取って化けただけの妖猿(ばけざる)よりも位格が高いわけである。

 古くは漢の焦延寿の愛妾を盗んでいった玃猿の話がある。洪邁の『夷堅志』には、邵武の谷川の渡しで人間の男に変じて、人を背負って渡す玃猿というのが語られる。

 玃猿が非常に特徴的なのは、人間の女をさらう目的が「子を生ませる」ことにあるらしいこと、生めば母子もろともその家まで返してくれることである。その人、“サルのハーフ”はたいてい楊(よう)という姓になる。今、蜀の西南地方に楊という人が多いのは、みな玃猿の子孫だからである、と『捜神記』に書かれている。もし、さらわれて玃猿の女房にされてしまっても、子供を生まないと人間世界へ返してはもらえない。玃猿は人間世界に自分たちの子孫を残すことを望んでいるらしい。