日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

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0.32%の中国人インバウンドを「惜しみ」、日本国内に新型コロナを蔓延させ、インバウンド消費全体が壊滅的打撃を受けることになった。日本国民の消費も激減し、損失額は最低でも「数十兆円単位」であろう。(1)

 

 

高橋洋一  安倍政権を叱る!』

高橋洋一   悟空出版   2020/3/26

 

 

 

デフレ時の緊縮財政は日本を滅ぼす

・マイナス金利とは、例えばマイナス0.2%なら、国債を1兆円発行すれば1兆200億円は入る。国は労せずして200億円儲かるのだ。その100倍なら2兆円だ。こんなことはバカでもできる。ところが財務省は、やろうとしない。筆者から見ればバカ以下だ。

 

新型肺炎

・すでに、新型肺炎中国経済に深刻な打撃を与えている。中国依存度の高い韓国経済も深刻な状況に陥っている。当然、日本経済にも影響がある。

 中国人観光客が減少することによる国内消費への影響は、ある程度の予測がつく。観光客の減少による影響は、おそらくGDPの0.2%程度であろう。ただし、中国とのサプライチェーンが切れることによる日本企業への影響、日本経済への影響は小さくはない。これが、どの程度の大きさになるのかを予測することは非常に難しい。

 

・一言で言えば、国債を発行し、将来投資を行うことである。大きな財政出動をしなければならない。と同時に、消費増税の失敗を元に戻すことも必要だ。

 もちろん、筆者のかねてよりの主張は、「増税すべきではない」というものであり、法律上、増税せざるを得ないのであれば、「全品目軽減税率にせよ」というものだった。全品目軽減税率にすれば、形式的には増税したことになるが、実際には増税しなかったのと同じである。

 経済悪化の深刻化を防ぐ処方箋としては、「全品目軽減税率+大型補正」をすべきである。仮に、全品目軽減税率が難しいのであれば、大型補正を超大型補正にする必要がある。

 

・日本国のバランスシートを分析すれば、財政破綻のリスクは非常に小さいことが計算できる。確率計算すると、5年以内に破綻する確率は1%未満である。

 国債を発行し、その資金を使って、災害対策、インフラ整備、技術開発、研究開発、教育投資などの将来投資をして、国の「資産」を増やすべきだ。「借金」が増えても、それ以上に「資産」が増えれば何の問題もない。

 

すでに中国の経済は落ち込んでいた

中国経済は、米中貿易戦争でGDPの伸びが低下している。そこに新型肺炎が加わった。武漢は事実上封鎖され、工場の稼働も止まったので、経済活動は落ち込んでいる。移動制限もあり消費も落ち込んだ状態だ。

 中国のGDPのうち消費は約4割を占める。なかでも新型肺炎騒動で影響を受けやすいのが食品、交通、教育・文化・娯楽など5割程度だ。これらが1割減になると、GDPは2%低下する。

 

全人代というのは、GDPを決めるためにやるようなものだ。地方のGDPを決めないと、中国全体のGDOを決められない。したがって、地方の人民代表大会が延期されていたから、全人代が延期されたのは当然だろう。

 発表は延期されたが、中国の2020年のGDP成長率目標は、2019年の目標6~6.5%を3%台に大幅に引き下げても不思議ではない。

 新型肺炎拡大を受けて、中国人民銀行中央銀行)は2月3日に、金融市場に1兆2000億人民元(約18兆7000億円)を供給している。

 

世界経済への影響は?

新型肺炎による世界経済へのダメージは避けられない。 

SARSの際、中国経済の落ち込みは短期的で、世界経済への影響は0.1%にとどまった。2003年の名目GDPの中国のシェアは4.3%だったが、2018年には15.7%と、影響力は4倍程度だ。

中国人の世界での往来も、SARSのときとは比べものにならないくらい増えたが、感染拡大に対処するため、中国から入国制限を実施する国は60カ国を超えている。また、中国はすでに世界の中での重要なサプライチェーンに組み込まれており、サプライチェーンの1つが切れるという問題にもつながる。世界経済は確実に影響を受けるので、その対策も抜かりなく必要だ。

 

国際通貨基金IMF)は2020年の世界経済成長見通しを3.3%としているが、少なくとも0.4%以上引き下げて、2019年の2.9%よりも低い水準まで見直すかもしれない。

 

中国依存の韓国、北朝鮮は深刻な状況に

北朝鮮では「感染者ゼロ」とされている。北朝鮮のことはよくわからないとはいえ、この数字はかなり怪しい。

 

中国武漢での感染者数は20万人以上いるはず

・テレビの視聴率を測定するときには、600世帯または800世帯を調査して、全体の視聴率を推定している。統計学上、ランダム・サンプリングをすると、600~800くらいのサンプル数があれば、全体の数字を推定できる。それ以上にサンプル数が増えて、1万人、10万人になっても、600~800人のときと結果はほとんど変わらない。だから調査をするときには、600~800人くらいをランダム・サンプリングして調べるわけである。

 

・現時点で公表されている武漢の感染者数は7万9000人程度(2月29日時点)だから、もっと増えていくと思われる。実際に把握できる数とは関係なく、統計上は増えていくということだ。

 筆者は、武漢市の感染者数は20万人強程度くらいではないかと予測している。

 

日本経済への影響は?

・では、肝心の日本への影響はどうか。

 2月17日に発表された、2019年10-12月期GDP速報(1次速報)は、マイナス6.3%(実質、年率)という惨憺たる結果だった。ここには、新型肺炎の影響は含まれておらず、10月からの消費増税による経済の悪化である。

 2020年1-3月期のGDP速報は、5月中旬に発表されるが、消費増税で落ち込んだところに追い打ちをかけるように、新型肺炎の悪影響が出てくる。

 

新型肺炎によって経済的打撃を被る産業に対して、緊急融資や厚めの資金供給を行い、資金繰りの手助けが最低限度必要だ。消費増税による景気の落ち込みの後なので、業界によっては厳しい展開になるかもしれない

 新型肺炎によって世界経済が大恐慌に向かうとは思わないが、日本はすでに消費増税で経済が弱体化していることを考慮し、5月中には2020年度補正予算を出して万全の対応をしなければいけない。

 

政変が多い子年と五輪開催年、安倍政権はどうなる?

・2020年2月に発表された各新聞社の世論調査で、内閣支持率は軒並み下落した。これについて一部マスコミは、「桜を見る会」などに対する安倍総理の国会対応を原因だとしている。

 しかし、筆者の見立てはそうではない。消費増税がもたらした景気への悪影響や、新型肺炎への対応が後手後手に回ったことが原因だ

 一部マスコミや野党支持者はもともと安倍政権を支持していないので、彼らがこれまでと同様の批判を繰り返しても、支持率には大きな影響を与えない。

 支持率の低下は、これまで支持していた人が不支持に回ったときに起きるもので、多くの人が関心を持つ消費増税の悪影響や新型肺炎への対応は、支持から不支持への転換のきっかけになりやすい。

 

・この試算で計算すると、オリンピック前はインフラ整備で1年当たり2.6兆円、オリンピック後は関連イベントなどで1.1兆円となり、オリンピック前と後で1.5兆円減少するので、五輪後の景気は落ち込むと考えてもいい。しかし、オリンピック中止になると、さらに落ち込みが大きくなる、つまり関連イベント分1.1兆円がなくなり、オリンピック前と比べてマイナス2.6兆円になる。これは、4月以降のGDPもマイナスになるかもしれない。

 消費増税新型肺炎、そのうえオリンピック中止となったら、強烈トリプルパンチによる日本への大打撃で、安倍政権ももつまい。今年は安倍政権に何かが起こるかもしれない。

 

いま国債を発行してもまったく問題ない

・筆者は、財務省にいるときに国のバランスシートをつくったので、あとどのくらいまで借金ができるか、金額を推定できる。

 バランスシートというのは、つくるのがけっこう大変である。国のあらゆる資産を漏れなく、金銭価値に換算して計上しなければならない。

 

・国全体のバランスシートを把握していれば、どこにどんな財産があるかもわかるし、あとどのくらい国債を発行しても大丈夫かということが、定量的に計算できる。

 筆者は、漫然と「国債を発行すればいい」と言っているわけではなく、定量的な計算を前提に、「今は国債をガンガン発行できる」と言っているのである。

 

いま国債を発行すれば将来世代の負担が減る

国債発行が将来世代の負担になる場合もあるが、それはごく一面にすぎない。国債を発行して借金しても、バランスシート上の資産が増えるのであれば、将来世代の負担にはならない。

 もし、借金がすべて将来世代の負担であるなら、企業は借金をできなくなってしまう。企業が借金をするのは、調達した資金を投資することによって、企業がいっそう成長できるからである。

 同じように、国も借金をしてさらに発展できるのなら、借金は悪いことではない。むしろ、有益なことである。

 

金利が高いときの国債を、金利が低い国債に借り換えればいいのだが、積極的にはやっていない。満期が来たら返さなければいけないから、借換債を出してひっそりとやっているくらいだ。

 自動的な借り換えをやっているので、10年国債金利はマイナスからゼロ近くに戻してきたが、それでも7年国債、6年国債はまだマイナスだ。日銀がイールドカーブ・コントロールをしている間は、金利がプラスにはならないので、国債を出しても政府は損をしない。無為無策でも儲かる。

 

「日本1人負け」「失われた20年」という現象はなぜ起きたか

・平成における日本の低成長期は、いわゆる「失われた10年(20年、30年)」だ。原因には諸説あり、構造問題としての企業投資の不振、不良債権処理の先送りなどが、多くの経済学者によって主張されてきた。

 しかし、筆者は、どれも根本原因ではないと見ている。根本原因は「マネー不足」である。

 日本の経済学者は、自国のことだけを見て論じていて、他国との比較ということをしない傾向がある。これでは本当の原因はわからない。

 過去40年くらいのさまざまなデータを他国と比較してみると、成長率の推移と同じ傾向を示しているデータは、マネーしかない。

 

世界銀行の統計で、日本を含めた各国のGDPの動きを最もよく説明できるのは、マネーの動きだ。1980年代に日本のマネーの伸び率は10%程度であり、先進国の中では標準的だった。80年代の日本のGDPは他の先進国と同じように伸びていた。

 ところが、1990年代になると、バブルへの反省と懸念からマネーの伸び率は急落した。ここから、日本と他の先進国の差が出始めた。

 アメリカはGDPがどんどん伸びていき、他の先進国もGDPが伸びていったのに対して、日本だけが伸びなくなってしまった。そして、中国が急成長を見せて日本を抜き去っていった。

 

こうしたデータを見れば、マネーが最大の原因だということがわかる。マネー不足がデフレの原因でもあり、成長率が低迷している原因である。

 

・なぜ同じ結論になるかと言えば、経済理論通りの現象だからである。別に新しい発見でも何でもなく、理論通りの現象が起こっただけだ。マネー不足になると為替が高くなり、国内の名目成長率は落ちるのである。

しかし「マネー不足が原因です」などと言うと、日本の経済学者はショックを受ける。あまりにもシンプルすぎるからだ。あれこれと理屈をつけて否定したがる。

 また、日本銀行も、自分たちの失敗を認めたくないので、マネー不足が原因ということを否定してきた。

 

「生産性が低いのも「マネー不足」が根本原因

・マスコミの人たちも、「マネー不足」ということを理解できない。マスコミには文系の人が多いから、定量的な理解は苦手なようだ。

 マスコミは、経済が成長しなかった原因を「企業の活気がなくなった」とか「成長の源がなくなった」と言いたがる。筆者から見れば、精神論のようなものである。

 「日本は生産性が低いからGDPが低い」などと言う人もいるが、マクロで見ればマネー不足が原因だということがわかる。

 生産性というのは、投下している労働に対しての付加価値だ。日本全体の付加価値はGDPと見ればいい。分子はGDPである。分母は、総労働時間とか、生産人口とかいろいろ考えられる。つまり、生産性というのは、先述した「1人当たりGDP」に近いものである

 GDPが高くなれば、1人当たりのGDPが高くなり、生産性も高い数字が出る。そのGDPというのは、マネーに左右される。

 

・筆者の場合は、生産性というような個別要素を見ることはない。全体の根源的な要素を見る。生産性を高めるのであれば、1人ひとりが頑張るというより、まず、マネーを増やす。マネーが増えれば、GDPが高まり、1人当たりのGDPが高くなり、生産性の数字が高くなる。

 マネーの動きは基本的に金融政策の分野である。日銀の政策に問題があるが、緊縮財政もその動きに輪をかけた。

 

バブル時代も実は物価は高騰していなかった

・バブル時代については、かなり誤解されている面がある。バブルのときには物価が高騰したかのように思われているが、現実には違う。

 バブル期に異常に高騰したのは、土地と株式など一部の資産価格だけである。一般物価は高騰どころか、健全な物価上昇率の範囲内だった。

 バブル期各年の物価上昇率は次のようだ。

 1987年 0.1%

 1988年 0.7%

 1989年 2.3%

 1990年 3.1%

 

 オイルショック時の1974年の狂乱物価の際は、年平均23.2%の物価上昇率であったから、それと比べても非常に落ち着いている。

 一方で、土地に関しては、都心部では土地転がしや地上げなどで、異様な高値で取引されたところもある。土地の価格は1991年ごろがピークだった。

 また、株価はどんどん上昇し続け、1989年12月末の大納会の日に日経平均株価が3万8957円の史上最高値をつけている。

 バブル時代の真相は、土地と株が異様に上がり、一般的な物価はかなり落ち着いていたということだ。

 問題は、この状態を当時の日銀が正しく分析できていなかったことだ。資産価値の高騰を一般物価の高騰と混同してしまい、一般物価が上がっていないのに引き締め政策をとってしまった。

 

・日銀は、1989年5月、10月、12月、1990年3月、8月と利上げをした。

 資産価格が高騰していたのは、法律や規制の不備という理由があり、それを解消することで資産価値は下落し始めた。

 株価は1989年末をピークに、1990年に入ると一気に下落したが、それでも日銀は利上げをした。

 バブル崩壊後は、マネーを増やさなければいけないのに、マネーを減らしてしまったのである。その間違いを日銀はずっと認めようとせず、正当化し続けたことが深刻なデフレを生み、「失われた10年(20年、30年)」につながってしまった。

 平成の後期になって、安倍政権が金融緩和策を行って、ようやく少し持ち直した。

 

よく言われた「構造改革」って何?

・出した政策はすべて、普通の国が普通にやっているものだった。マスコミが勝手に「構造改革」と呼んでいたので、「まあ、それでもいいや」という感じで、普通の政策を並べて政策の一覧表を出した。

 マスコミというのは、何でも大げさに書きたがるし、「新規の」とか「新しい」という表現が大好きだ

 だが、政策をするときに新しい政策などあり得ない。なぜかといえば、世界のどの国もやったことのない新しいことをすると、トラブルが起こったときに対処法がわからず、手を打てなくなってしまうことがあるからだ。

 他国で前例があれば、トラブルが起こったときの対処法もわかっている。だから、新しいことをせずに、世界の標準的なことを政策とするわけである。国民生活のかかっている経済政策において、リスキーな実験をするわけにはいかない。新しいことなどできないのである。

 他国に前例があるか、経済の標準理論に則ったものを、政策として取り入れる。「「新しい」という要素はそこにはない。

 

日本経済低迷の根本的原因を分析すると、「マネー不足」に行き着く。これは、経済の標準理論で説明がつくことである。

 他国で標準的に行われていた政策が「インフレ目標」であり、「金融緩和」である。それを小泉政権のときに出した政策メニューの中に入れたわけである。小泉政権当時はあまり注目されなかったが、第二次安倍政権がインフレ目標を取り入れたときには、マスコミは、いかにも「新しいこと」をやるかのように書き立てた。実際にはどの国もやっていたことを、遅ればせながら日本もやったというだけである。

 第二次安倍政権初期の金融政策によって、日本経済は長い低迷期から抜け出して、上向き始めた。

 しかし、その後の消費増税などによって不要な急ブレーキを踏んでしまい、再び日本経済は沈み込むことになってしまった。

 もう一度、この状態から抜け出さなければならない。

 

 

 

『リベラルタイム 2020.6』

『「中国依存」脱却で日本経済は復活する!   三橋貴明

 

 

 

・本来日本は、国内の資本、労働、技術で十分に経済成長ができるはずだったがデフレ環境下で、人件費の安い中国依存が始まった。今回のコロナ禍で、「インバウンド依存」の危険性も露呈した。

 

日本は「輸出依存国」ではない

・筆者は、いわゆる「言論人」としてデビューした頃から、「中国依存の日本経済」といったレトリックを否定し続けてきた。理由は大きく三つある。

 一つ目、そもそも日本は「貿易立国」でも「輸出依存国」でもないのだ。無論、貿易や輸出をしていないという話ではない。とはいえ、「立国」「依存国」といった言葉を使う際には、統計数字に基づいていなければならないはずだ。

 

・二つ目。国民経済は供給面(生産)の三要素「資本」「労働」「技術」と、「需要」及び「資源」の五つの要素から成り立っている。どれか一つでも欠けてしまうと、国民経済は成立しない。

 

・日本の場合、自前の資源は十分とはいえないが、少なくともバブル崩壊までは「日本資本」「日本の労働者」「日本の技術」で生産し、「国内需要」を満たすことで経済成長を遂げた。日本は中国に限らず、外国に資本や労働、需要を求めなければ成長できない国ではない。れっきとした内需大国なのだ。

 

・それにもかかわらず、日本はデフレで国内需要が伸び悩む中、外国に工場を移転し(資本の移動)、グローバル市場への供給へとシフトした。グローバル競争に巻き込まれると、価格競争に勝つために国内の人件費を抑制せざるを得ない。結果、国内の需要が伸び悩む(当然だ)。

 

・実際に、1997年のデフレ化以降、日本の労働者の実質賃金はひたすら下がり続けたが、挙句の果てに移民政策で「労働」を、技術投資抑制により「技術」までをも「中国」に依存しつつあった。これは、日本の経済安全保障を徹底的に破壊する愚策であった。だからこそ、反対した。

 

「中国依存」の経緯

・三つ目。そもそも、中国は中国共産党が主権を持つ一党独裁国なのである。民主制を採用していない独裁国に、自国の経済を依存させることがいかに危険か。少しでも頭を使えば、誰にでも理解できるはずだ。

 

安価な「メイドインチャイナ」の製品を日本に輸入するという、最悪の戦略を採用。要するに「デフレ」を輸入していたようなもので、日本が人類史上まれにみる「長期デフレーション」に苦しめられたのは、至極当然なのである(デフレの直接的な原因は、97年以降の日本政府の緊縮財政であるが)。

 

・日本政府は何と「外国人観光客のインバウンド」を成長戦略の中心に据えた。特に問題だったのは、日本の領空領海への侵犯を続けている、仮想敵国中国の人民の増加に、国内観光業を「依存」させてしまったことだ。

 

・12年には140万人程度だった訪日中国人は、19年には約960万人に達した。

 

GDPの0.32%

・そのタイミングで、中国武漢発祥の新型コロナウイルス感染症パンデミックが発生。安倍政権は、最初の感染者が報じられた時点で、中国全土からの外国人の入国を規制するべきであった。とはいえ、実際に入国規制策が始まったのは、1カ月以上が経過した3月9日。しかも、総理は武漢市封鎖の直後、1月24日から30日まで、「更に多くの中国の皆様が訪日されることを楽しみにしています」というメッセージを北京の日本大使館のHPに掲載した。何しろ、総理自ら中国人の訪日を歓迎する状況が続いたのだ。結果は、読者がご存じの通りである。

 

・とはいえ、19年の中国人観光客の日本国内における旅行消費額は、1兆7718億円。19年の日本の名目GDP(554.5兆円)の、わずかに0.32%に過ぎないのだ。

 0.32%の中国人インバウンドを「惜しみ」、日本国内に新型コロナを蔓延させ、インバウンド消費全体が壊滅的打撃を受けることになった。日本国民の消費も激減し、損失額は最低でも「数十兆円単位」であろう。

 

・さらには、中国の工場とサプライチェーンで結ばれていたため、製造業までもが操業停止に追い込まれている。

 今回のコロナ禍を切っ掛けに、外国、特に中国に経済を依存することがいかに危険か、国民や政治家が徹底的に理解しない限り、我国に繁栄の未来は訪れない。

 

 

 

『ニッポン 2021-2050』

落合陽一  猪瀬直樹  KADOKAWA   2018/10/31

 

 

 

「成長せず社会課題が取り残された平成の30年」

アメリカが順調に成長するなかで、日本は横ばい。相対的に右肩下がり。就職率は悪化し、会社に入っても不景気が続きます。日本経済全体に停滞感がある一方で、数年前に生まれた世代は「良い時代」を知っていてジャパンアズバンバーワンの幻想を持っていて断絶が生まれます。ただしこの頃まではまだ日本はアジアの盟主でした。

 次に出てくるのが、思春期には多くの人がパソコンを触っているデジタルネイティブと呼ばれる世代であり、僕もここに含まれます。すでに会社に入れば安泰という幻想は薄れつつあるなかで、IT産業だけが華々しい成長をして、そこの弱肉強食の世界に飛び込んでいく人たちが出てくる。2000年代後半になると中国は著しい成長をしています。僕が学生の頃は「これからは中国の時代だ」と盛んに叫ばれていました。アジアの工場としての中国ではなく、新たな市場としてのビジネスチャンスを期待して起業する人も出てきました。

 そしてスマホネイティブが登場します。スマホというあらゆる人たちをエンパワーメントするツールが普及するなかで、中高生であっても自分で稼いでいるような人たち、SNSで支援をもらいながら社会活動をする人たちが少なからずいる。

 

・こういった変化の中で、それぞれの世代ごとに経済成長についてさまざまな見方があること、そして国家全体としてジリ貧になっているという事実を認識することが重要です。

 成長を目指す国家でもあるいは成熟社会でもかまいませんが、まずビジョンを描き、そこを起点にどう社会のリソースを配分するかということが問われています。

 なぜ平成は失われた30年になったか。それはビジョンがなかったことに一因があります

 人口減少ほか日本が直面する諸問題、技術革新による時代の変化を理解し、社会を構想しアップデートすることが未来に向けた僕たちの責務です。

 これまでの日本の歴史を振り返ると、鎌倉時代でも江戸時代でも、だいたい30年ぐらいかけてその時代の礎がつくられてきました。僕は近未来、2040年ぐらいを見据えて研究をしているということをよくメディアで発言してします。次世代のプラットホームとして役立つものをつくるということを意識して研究なり教育なりを行っているのです。直近の社会課題に取り組むのは当然として、僕たちはもっと長期的な視点で物事を考えなければならないということが、僕がいま訴えたいことの一つです。

 

「日本はなぜ変わらなければならないのか」

・現実問題として「この自治体を閉鎖して移住しましょう」という公約を首長が掲げて当選することなんて絶対にできないでしょう。その力学の延長線にあるのが高齢者優位の政策立案であり、いまの日本社会の苦境です。いま暮している人たちを尊重するのは当然のことですが、同時に全体のリソースを考えて行動する。そしてそれを戦略として決める人がこれからの地方には求められます。

 ある外国人の研究者の友人に、日本の人口ピラミッドを指して「よく日本人はあんな棺桶みたいなグラフで危機感を抱かないね」と言われたことがあります。棺桶というのはほんとうに言い得て妙です。僕たちは日本がいま棺桶に入りつつあるという状況を直視しなければならないのです

 

「地方を膚感覚で知らなければ日本のビジョンは描けない」  猪瀬

・落合君が問題提起をしてくれたように、いま日本には課題が山積しています。僕がなぜ東京都副知事を引き受け、石原慎太郎さんのあとに東京都知事をやったのか。最大の理由は、東京からならば、日本を変えられると思ったからです。

 東京が先んじてビジョンを示せば、他の自治体も国もついてくる中央政府、つまり霞が関は縦割りで意思決定が遅いし、東京以外の自治体は総務省から地方交付税交付金を仕送りしてもらうので勝手なことができない。そのほか霞が関の各省からも、自治体の事業に合わせて補助金が付く。昨日の世界、過去を基準とした世界からの補助金漬けになっているから新しいことがしにくい。

 霞が関と地方行政の関係はそういう事情だから、東京を一つの国に見立てて動かし、国が抱える課題を先に解決してしまう。これが仕事だと思っていました。

 

それが財政破綻した北海道夕張市への都職員派遣です。2008年のことでした。東京23区より広い土地がありながら、当時で人口は約1万2000人、高齢化率が40%を超え、人口流出は加速している。そんな自治体ですので、およそ税収増なんて望むことができません。市民税や水道料金を引き上げたところでまかなえず、職員の給与は4割カットされることになりました。270人いた夕張市職員は一気に140人ほどに減ってしまった。そんな街で353億円の債権を18年かけて返済するという前例のない財政再建計画が始まっていたのです。これでは行政が機能するわけもなく、麻痺寸前でなんとか助けないといけない、と思って東京から職員を派遣したのです。

 

・東京は他の自治体に比べて裕福と言われますが、財政の実態を子細に検討すれば決して楽観はできません。景気の波に左右され、税金が減る時は1兆円単位で減ってしまう。実際1999年には財政再建団体に指定される寸前までいってしまっていました。これもほとんどの人が忘れている経験です財政破綻への危機感を持てといっても、持つことはできない。

 夕張に職員を派遣したのには、東京だけが日本だと思ってほしくない、財政再建に取り組む地方の現場を若い職員にみてほしいという思いもありました。派遣した職員が働いていたのは真冬にもかかわらず経費削減のため庁舎の暖房が17時で切れてしまう役場です。

 

・視点を変える、という経験がなければ本質は見えてこない。結果として、日本全体や世界の中から自分自身の存在も見えてこないんだということをわかってほしいのです。

 自分の立ち位置を知らない人材にできることは限られます。自分の周囲だけが当たり前なのではなく、日本国内も多種多様であり、まず東京と地方ではまったく違う。これを世界に置き換えてみましょう。日本の当たり前を他の国でも当たり前だと思い、適当に振る舞ってしまえば「この人は日本のこと以外は知らない視野が狭い人」だと見なされ、うまくいくはずの交渉もうまくいかなくなります。

 

「テクノロジーが東京と地方の共通項に」

・さて、日本は都市と地方、それぞれに課題を抱えていますが、課題先進度でいえば地方のほうが高いという現実は認識する必要があります。東京の課題と地方の課題はもちろんつながるものもありますが、必ずしもイコールで結ばれるものばかりではありません。

 

・現実は逆でテクノロジーによって分断されるようなことはない、というより分断されようがない。それはプラットホームに乗った共通部分を探すことで見えてきます。

 

・プラットホーム化したテクノロジーは分断を促すというより、都市と地方を結んでいる最大の共通項になっています。

 

僕は人口減少そのものは危機でもなんでもないと考えています。過疎化によって土地が余るというのも考えによっては大きなチャンスです人口減少、すなわち労働力の減少や人的コストの拡大はテクノロジーの進化によって防ぐことができます。余った土地の活用法は権利問題さえクリアすれば、一気に解決が見えてくる。例えばブロックチェーン技術を使って、財産権をクリアにして民間に開放することで、僕たちが思いも寄らない有効な活用法が見つかる可能性が広がるのです。むしろ、それこそが地方を再興させる鍵だと言っていい。

 僕が考える地方再興を実現するための最大の条件はテクノロジーフォビアにならないこと。ロボットフレンドリー、テクノロジーフレンドリーであること。これに尽きます

 

・この本では「近代の超克」、すなわち2021年に向けていまの日本を規定しているさまざまなシステムを見直すこと、そして2050年を見据えて、この国の在り方や、生き方をどう描くかをテーマにしています。そのためには将来を悲観せず、理想の社会に向けて一つひとつできることを探していくことが求められます。

 現状を嘆くだけで終わるのか、あるいは解決に向けて動き出すのか。いまこそ後者の決意が必要とされているのです。

 

統治構造を変えるポリテックの力

・なぜか。日本の統治構造の本質は強固な官僚制にあるからだ。日本の近代化の幕開け、明治期から徐々に形成され、戦前にはすでに完成をしていた日本型の官僚システムでは、国家のエリートが集まり、年次ごとの競争でピラミッド型組織の頂点を目指す。重視されるのは、各省の利益=省益

これは戦前から変わらず、戦後も引き継がれたと猪瀬氏はみる。

 これを解決するために落合氏は「ポリテック」という言葉を提唱する。政治(ポリティクス)とテクノロジーを組み合わせた造語だ。

 ポリテックの可能性を落合氏は縦横無尽に語る。介護、経済、そして電力。日本が抱える大きな問題の一つ、原発問題もポリテックで考えることができる。ポリテックは猪瀬氏がときに対峙し、ときに内部まで入り込み思考を深めた官僚制の問題を打破する一手になるのか。「近代の超克」の鍵となる統治構造を議論する。

 

「日本システムの弊害の縦割り行政」

・公文書の大きな役割は、歴史の検証です。文書を残しておくのはなんのためか。役人の保身や、政権のためではない。後世の歴史のためです。重大な意思決定は常に歴史から検証されなければならない。失敗にしても、成功にしても、歴史から学ぶのです。したがってアメリカでは公文書には公開期間が決まっていて、一定の時間を過ぎれば公開されるようになっている。

 

共産党国家と日本の違いは、共産党国家のように圧倒的な権力を持ったトップがいないということでしょう。日本は専制君主がいないただの官僚機構の連合体なので、とにかく官僚が圧倒的な情報量をもって、それをうまく隠しながらコントロールすることで国ができてきた。彼らからみれば、大臣や政治家はちょっとの間やってきてその椅子に座っている人にすぎない。

 落合くんも述べていましたが、いま日本という国が抱えている大きな問題は、どこの省庁が担当するのかわからない、複数の省庁にまたがる問題がぽっかり放置されていることです。

 

「ポリテックで日本政治を変えよう」  落合

・僕は日本の統治機構を「デッドロック」と表現してきました。これはコンピュータ用語ですが、要するに解決すべき問題があるのに、省庁同士で動けるようになるのを待っていて、結果として何も進まないということを喩えて呼んでいるのです。

 猪瀬さんが指摘したように12省庁が強い縦割りで動いています。だからこそ、それを打ち破るためにも、これまでにない政治の概念が必要なのだと思いを強くしています。

 こうした新しい概念として、最近、僕は自民党小泉進次郎さんとともに、政治と技術を融合した「ポリテック」という言葉を広めようとしています。

 

・政治の課題をテクノロジーで解決する。テクノロジーの課題を政治的に解決する。そして視点です。例えば介護の分野では、人間の力をつかって解決していこう、多くのヒューマンリソースを割こうという発想が現在まで中核にあります。あるいは、制度を整備することでなんとかしていこうという発想でした。

 けれども僕が進めているように、テクノロジーの力で人間の身体を拡張することで解決するという提案もできるはずです。

 

・もちろん投票だけでなく、納税や通貨など、既存のあらゆる仕組みをテクノロジーで効率化できる可能性を秘めています。特にそれらへの活用が期待できるものとして、ブロックチェーンには大きな可能性を感じています。

 

・これから日本がテクノロジーを活用した先進的なアプローチで課題を解決しようとしていることを世界に示すことができれば、海外から新しい知見が集まってくる可能性もありますし、実際に解決すれば世界に対してこれ以上ないアピールになります。