日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

コンタクティやチャネラーの情報を集めています。森羅万象も!UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象といわれます。

野党が政権構想を持たず、弱いのも問題だが、何よりも自民党議員たちのほとんどが安倍総理のイエスマンになっている、これが問題なのである。(1)

 

『令和の日本革命』

2030年の日本はこうなる

田原総一朗    講談社  2019/6/24

 

 

 

日本国の理想を世界が注目する時代

人生100年時代

・平成という時代には、グローバリズムが隆盛を極めた。アメリカのロナルド・レーガン大統領やイギリスのマーガレット・サッチャー首相が、あらゆる規制を撤廃するとして、膨大な商品や多額のカネが国境を越えて世界市場に溢れかえった時代だ。ところが、平成の終わり近くになって、グローバリズムの矛盾が各国で噴出した。

 まずアメリカだ。人件費が高いので、アメリカ企業の工場は、メキシコ、あるいはアジアの国々、そして中国などに移設された。そのため、デトロイトなど重厚長大産業が隆盛を誇ったアメリカ中西部から北東部の工業地帯は廃れ、いわゆる「ラスト・ベルト(錆び付いた工業地帯)」と呼ばれるようになった。

 当然、失業が増えた。黒人たちはこうした工業地帯からニューヨークやカリフォルニアなどに移ったが、白人の労働者たちは移らなかった。そうして白人の労働者の失業は激増した。

 

・さまざまな騒動を起こしながら、トランプ大統領の支持率は、約50パーセントを保っている。共和党支持者に限っていえば、支持率は90パーセントを超える。これは、グローバリズムの終焉、そして自国第一主義への回帰を示しているのであろう。

 

・ところが冷戦が終わり、ソ連の影響下にあった東ヨーロッパの国々が、どんどんEUに参加するようになった。彼らは低賃金で仕事をする。すると豊かな国に移民し、現地の労働者の賃金は安くなる。移民のための福利厚生にもカネがかかる。「こんなことはやっていられない」となり、イギリスはEU離脱を決めた。

 

世界に示す日本国の理想のかたち   田原総一朗

野党議員よりも実は自民党議員が問題

まず、一番の問題だと思っているのは、自民党の議員たちがみんな安倍晋三総理のイエスマンになっていることだ。

 

・たとえば、外国人労働者を拡大するために、出入国管理法を改正する。この問題について、2019年の国会では、なんと衆議院ではわずか17時間、参議院でも20時間しか審議が行われなかった。なぜなのか。

 長時間にわたり審議を行うと、どうしてもこの問題の本質にタッチせざるを得なくなる。そこには、外国人労働者を受け入れる際、どういう待遇で受け入れるのか、という問題がある。

 通常は数年、場合によってはもっと長期間受け入れる外国人労働者とは、事実上の移民だ。ところが、安倍総理は「移民ではない」といっている。これは、日本会議はじめ、安倍総理を応援している保守の団体や議員たちが、みな移民に反対しているからだ

 

・本来ならば、外国人の受け入れを拡大する、あるいは出入国管理法を改正するのであれば、当然、担当省庁は厚生労働省である。ところが厚生労働省を担当にすれば、どうしても移民の問題を論議せざるを得なくなる。そこで、なんの現場も持っていない法務省を、あえて担当官庁にしたのだ。

 法務省の幹部たちに取材した。どの幹部も、たいへん困惑していた。そして、私がこの出入国管理法の改正の具体的な骨子についてアドバイスをしようとすると、彼らはそれを拒んだ。

 

野党が政権構想を持たず、弱いのも問題だが、何よりも自民党議員たちのほとんどが安倍総理イエスマンになっている、これが問題なのである。

 二つ目は、小泉進次郎氏が強調しているように、日本人のほとんどが政治に関心を持たなくなったことだ

 

冷戦後の日米関係を決める二つの道

・三番目。そして大きな問題は、対米関係をどうするかという問題である。

 

・この片務条約を双務条約にするということは、つまり集団的自衛権を認めるということである。彼らは、第一次安倍内閣のときから、このことを安倍総理に強く求めた。そして2015年、第三次安倍内閣において、集団的自衛権の行使、ただし限定的行使を認める安全保障関連法案が可決された。

 

安倍総理の「憲法改正の必要なし」

・すると安倍総理は、ちょっと間を置いて、こう答えたのだ。

………大きな声ではいえませんが、実は、憲法を改正する必要は、まったくなくなったのです

 どういうことなのか?

「実は、集団的自衛権の行使を認めるまでは、リチャード・アーミテージ(元アメリカ国務副長官)やジョセフ・ナイ(元アメリカ国防次官補)など、アメリカの高官がヤイノヤイノと煩かった。このままでは日米同盟が維持できなくなる、ともいわれた。ところが、集団的自衛権の行使を認めた途端、アメリカは、何もいわなくなった。満足しているようなのです。だから憲法改正をする必要はなくなったのです

 

・ところが2017年5月3日、安倍総理は「読売新聞」で「憲法改正をする」と表明した。しかし安倍総理憲法改正案とは、憲法9条の1項と2項には手を付けず、「自衛隊を明記する」だけということだった。そして、自衛隊は何も変えないのだという。

 しかし、これでは憲法自衛隊の矛盾は解消できない。憲法9条2項では、「陸海空軍はその他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と明記しているからだ。

 だが、いまや自衛隊は世界7位の軍隊だ。当然ながら日本は戦力を有し、結果、交戦権を有すると見られている。安倍総理憲法改正案では、この矛盾は解消できない。加えて、自衛隊の位置づけを変えないのならば、なぜ憲法を改正するのか。

 

「いずも」空母化を田中角栄は何というか

・「日本には自衛隊という組織があるが、自衛隊はポジティブ・リスト(行使できる活動)に縛られており、実は戦えない軍隊だ。こんな戦えない軍隊でいいのか」

 すると竹下総理はいった。

だからいいのだ。戦えないからこそ、日本は平和なのだ

 どういうことか?

 竹下氏は、「軍隊というのは戦える状態にあるときは戦ってしまう、だから危険なのだ」と答えたのだ。

 

実は1941年夏、アメリカとの戦争が迫ったとき、日本の政治家や軍人のなかに戦って勝てると捉えていた人間は一人もいなかった。そこで昭和天皇が、陸軍の杉山元参謀総長、海軍の永野修身・軍令総長に、「こんな戦争をしていいのか」と問うた。

 このとき杉山は絶句した。これに対して水野は、「このあと1~2年経過したら日本には資源がなくなります」と、まず主張した。具体的には、石油がなくなって戦えない。しかし、いまなら戦える。だから「戦うなら早く戦いましょう」、そう答えたのだ。

 こうして、結局、勝つ見込みのない戦争に突入してしまった。

 田中角栄氏、竹下登氏、宮澤喜一氏ら、戦争を知っている世代の政治家は、このことを熟知していた。「軍隊というのは戦える状態にあるときは戦ってしまう。だから危険なのだ」と。だからこそ竹下総理は、「戦えないから平和なのだ」といったのだ。

 

山崎拓の「小泉に逃げられた」

・実は田中角栄氏は、「戦争を知っている世代が政治家でいるうちは、日本は戦争をしない、大丈夫だ」と、私に繰り返しいった。

 ところが冷戦が終わった。そして現在の憲法には矛盾があり過ぎる。だから新しい憲法を作るべきだという声が高まり、たとえば2005年、小泉純一郎内閣のとき、新憲法の草案が作られた。ここでは明らかに、「戦える軍隊」を想定していた。

 

落合陽一の「ワーク・アズ・ライフ」とは何か

四番目は、ちょっと抽象的なのだが、人工知能の問題だ。

 私は落合陽一氏や堀江隆文氏たちと頻繁に議論するが、2030年代になると、汎用性人工知能が普及するという。現在の人工知能は、特化型人工知能といって、囲碁では名人に勝てても、実は将棋もチェスもできない。

 汎用性人工知能が普及すると、いろいろな仕事ができるようになる。人間の仕事も人工知能に奪われることになる。たとえば2015年、オックスフォード大学と野村総合研究所が共同研究して、「10~20年後、日本人の仕事の49パーセントが人工知能(AI)に奪われる可能性がある」と発表した。これが大問題となった。

 

・さらに数年前から、「シンギュラリティ(技術的特異点」という言葉が一般的になった。シンギュラリティとは、人工知能が自分より賢い新しい人工知能を開発しはじめた時点を意味し、その人工知能がさらに新しい人工知能を生み出す、そんな時代だ。すると、人間の仕事の90パーセントがなくなるともいわれている。

 一般的に新聞やテレビは、人工知能の将来に対して、悲観的である。それに対して、落合氏や堀江氏は前向きだ。というのも、人工知能が発達した日本では、仕事の本質が、基本的に変わる。好きなことだけを仕事にできるようになるからだ。

 

・しかし落合氏は、「違う、『ワーク・アズ・ライフ』だ」という。「人生としての仕事を見つける」、つまり「好きなことを仕事にする」ということだ。

 さあ、この問題をどう捉え、どのように産業や社会を変えればいいのか。これも現在の日本人の取り組むべき問題だ。

 

AIと高齢者が作る「機会の島」日本  村井英樹

民間企業にあり中央官庁にないガバナンスの仕組み

(田原) 厚労省では、第一次安倍内閣のときにも、年金記録が5000万件も行方不明になる問題が起きている。あのとき取材した厚労事務次官は「社会保険庁はいわば関東軍のようなもので、われわれは一切、情報が取れないんです」などといっていた。現在、どの省庁も大きくなり過ぎており、それぞれの部門が「関東軍」になっているのではないでしょうか。

 

・(村井) 基本的に民間企業は、経営に当たって多くのステークホルダーに配慮する必要があります。株主から、消費者から、取引先から、そして労働市場から、いろいろなかたちで監視され、規律が及びます。また、市場で生き残るためには、常に変化と改善が求められます。しかし、中央官庁には、こうしたガバナンスの仕組みがありません。

 特に、統計という世界は非常に特殊な「村」なのです。

 

宮沢総理の「自分が賛成しても大蔵省が反対すれば通らない」

・(田原) もう一つ問題があります。省庁は「自分が間違った」と絶対に認めません。いわゆる無謬性を前提としています。例を挙げれば、1990年代の初めにバブル経済がはじけたとき、宮澤喜一総理の苦悩、あるいは、やり場のない悲憤を私は聞いています。

 

・当時バブルがはじけたあと地価がどんどん下がり、銀行から企業などに貸し付けた金が焦げ付いた。下手をすると銀行が倒産せざるを得なくなる。そこで宮澤総理は、公的資金を銀行に投入すると強く打ち出したのです。ところが大蔵省がこれに反対した。公的資金を投入するということは、大蔵省の金融政策が間違っていた、ということになるからです。

 これこそ無謬性。自分の間違いは絶対認めない

 

・宮澤総理のときに公的資金を投入していれば10兆円くらいで済んだものを、橋本内閣の時代になってようやく投入したときには、それが100兆円に膨れあがってしまった………宮澤総理は、「この国では総理の自分が賛成しても、大蔵省が反対すれば通らない」と、絶望感を込めて、私に話してくれました。

 

・(村井)それは本当にご指摘の通りです。この役所の無謬性は、実は役所自身をおおいに苦しめています。

 ただ、現在の社会やメディアの状況では、役所側も簡単に誤りを認めることができません。役所が「この政策は誤りでした」「この行政判断に失敗しました」などといえば、こてんぱんに叩かれてしまう

 

・(田原) 軽々に本当のことをいうと袋叩きに遭う、すると組織が壊滅しかねない、その機微は分かります。しかし、こうした役所の問題は、いずれにしろ解決しなければなりません。

 

国会内に特別調査委員会を設けると

・(村井) 政権交代の可能性はさておき、国会改革を実現し、政治不信を払拭するためには、自民党も変わらなければなりません。だからこそわれわれは、特別調査委員会のような仕組みを作りたい。

 

・(村井) 現状では、国会のなかに特別調査委員会を立ち上げることは、手続き的にかなりハードルが高いのです。たとえばドイツでは、同様の特別調査委員会のような仕組みを、総議員の4分の1の賛成で立ち上げることができます。

 

第三世代の政治家が野党とともに憲法改正

・(田原) すると安倍総理は、「田原さん、実は大きな声ではいえませんが、憲法を改正する必要がなくなったのです」といった………私は驚いて、「えっ、憲法改正をする必要がない………なぜですか?」と問うと、安倍総理はこう答えました。

集団的自衛権の行使を認めるまでは、アメリカがヤイノヤイノといってきました。『このままでは日米同盟を維持できない』とまでいわれていたのです。ところが集団的自衛権の行使を認めた瞬間、何もいわなくなりました。アメリカは満足しているのです。ということは、無理して憲法を改正する必要などないのです」

 

個人としても国家としても主体的な日本に

・(田原) まさに、自分たちに合う服を作らねばならない時代になった。そこで、さあ憲法改正をどうするのか?

 はっきりいえば、私は安倍総理の世代では難しいのではないかと思っています。それをやるのが村井さんたち第三世代だと捉えています。

 

人工知能が普及する将来の働き方

・(田原) もう一つ大きな問題が、出入国管理法改正です。この問題は、衆議院で17時間だけ、参議院では20時間だけ………ほとんど審議されず通過してしまった。なぜ、この問題を国会で十分審議しなかったのか?

 実は審議すればするほど、たくさん問題が出てきて、収捨がつかなくなるからです。そのことを政府はよく分かっていて、だからこそ極端に短い審議時間に嵌め込んだ。いってみれば、誤魔化すかたちで法律を作ろうとしたのではないかと考えています

 現在の日本では、労働人口が60万人ほど不足しています。全国的に人出不足で、そのために経営が悪化しているという企業、特に中小企業が少なからずあります。2023年には、さらに145万人が不足するといわれています。

 

・その研究によれば、10年後、20年後には、日本人の仕事の約半分がAIに取って代わられている可能性があるというのです。つまり労働力が余る可能性もある。そのような未来が想定されているのに、外国人労働者をどんどん受け入れていいのか。人工知能の普及による仕事の減少とともに、大問題です。

 私は出入国管理法改正を担当している法務省の幹部たちに、この問題について問いました。すると実は、法務省の幹部たちは、この事実にまったく気付いていませんでした。

 

・(村井) しかし私は、この人口減少は、むしろチャンスに変えられると思います。田原さんがおっしゃったように、これから第4次産業革命が全世界で進み、人工知能やロボットによって、これまで人間が行ってきた仕事の多くが代替されるようになります。まさに、20~30年のスパンで見れば、世界的に労働力が余るかもしれません。

 実は、こうした変化は、人口が増える国には深刻な影響を及ぼします。

 

兼業や副業を勧め「勤労者皆社会保険制度」を

・(村井) ベーシック・インカムに一歩近づくための仕組み、それがわれわれの目指す「勤労者皆社会保険制度」です

 

新・金の卵構想で一極集中を止める

・(田原) 次は地方の問題です。現在の人口減少や少子高齢化のなか、最もダメージを受けているのは地方自治体です。ほとんどの地方自治体が税収不足に苦しみ、その活性化こそが日本の最大の問題だと捉えています。

 

・(田原) 人口減少や高齢化……私はこうした問題が表面化することは、むしろチャンスだと捉えています。たとえば人口減少に直面するからこそ、人工知能が発達した社会が生まれるのです。

 

これから10年くらいで、あらゆる病気の治療法が見つかる。そうすると、人間は死ねなくなる。平均寿命が100歳以上になり、定年が60歳だとすると、その後に40年も生きることになる。このことが大問題になるでしょう。

 

人工知能を友に日本を「希望の島」に

・(田原) 人工知能になくて人間にあるもの、それはモチベーションなのだそうです。この人間だけにあるモチベーションをどう生かすか――ここに、人工知能を使える人間になるか、使われる人間になるのか分かれ道があると思います。そのため、世の中には人工知能社会に対する悲観的な見方が溢れていますが、私はむしろチャンス到来だと捉えています。

 

テクノロジーで仕事は「人の自由を作る装置」に 小林史明

情報システムの一括発注で浮く1500億円

・(小林) 平成に入った日本では、中央集権を改め、なるべく地方分権を進めるべきとされてきました。そのなかで、本来は分権すべきではないものまで、地方に任せてしまったのです。再度、地方分権改革については見直し、地方に任せるものと国で標準化するものを整理することが必要です。

 現在、いろいろな面で、地方分権の行き過ぎによる弊害が出ていると思います。

 

・(小林) たとえば、日本は圧倒的な量の医薬系、社会保障系のデータを持っているのに、地方分権がネックとなって、生かせていないのです。

 

福山市で地方議員の候補者が増えているわけ

・(田原) そう考えたときに、イノベーションやインターネットの普及はとても大きい。東京や大阪、あるいは名古屋にいなくても、地方の会社に勤め、あるいは起業できるわけですから。

・(小林) 移住を考える際の主な要素としては、仕事以外に、医療や教育の質が挙げられます。こうした分野は、5Gなどの技術を活用すれば、遠隔地からサービスを受けることが可能です。テクノロジーを前向きに活用すれば、移住の不安要素を取り除くことがでできるのです

 加えて標準化が実現すれば、どこにいても行政に関する電子的な手続きは行えます。

 

・(田原) ただ、私が懸念しているのは、当事者である地方自治体の住民に危機感がないのではないか、諦めてしまっているのではないか、ということです。

 2019年の統一地方選挙投票率が約46パーセントにとどまりました。1947年の第一回統一地方選挙では80パーセント以上でしたから、約半分になってしまったことになる。また、自治体の首長選挙や議員選挙で、無投票が約30パーセントにもなった。

 

(小林)そして、地方議員に兼業や副業を認めてほしいと思います。現状では、その自治体で公共事業を請け負う建設業に関わっている人は、地方議会の議員になれません。雑貨屋さんを営んでいる人も駄目です。公共事業に参画していたり、役所に商品を納めているから、ということなのですが、これは行き過ぎだと思います。

 入札の経緯などをオープンにすればいいのですから、こうした点を緩和して、やる気のある人がなるべく多く参入できるようにすればいい。

 

橋本行革で省庁が巨大化した弊害

・(小林) たしかに、省庁自体のサイズが大きくなり過ぎたという問題点は、その通りです。行政のあり方をもう一度見直すタイミングが来ているのではないかと思います。そして、国会は本来、行政を監視する機能を持っているはずなのですが、それが十分に発揮されていないという問題があります。

 

省庁と民間企業を自由に行き来できると

・(田原) 新卒一括採用、終身雇用、年功序列、これが問題です。欧米は違います。日本の雇用のあり方から考え直す。具体的にはどうすればいいでしょう?

(小林)公務員制度については、公募制を取り入れればいいと思います。もう一つは省庁と民間企業とを行き来することを可能にするのです。

 

小選挙区制だからサラリーマン候補として当選できた

・(小林)小選挙区制自体を、私は否定していません。成果は出ていると思います。まず、選挙費用がかかりません。だからこそ、私のようなサラリーマン候補が出馬できたのです。「小選挙区だから政治家になれた」とすら、私は思っています。加えて、規制改革も進むようになりました。

 

公認を選挙区の党員投票で決めると

・(田原) ただし、やはり小選挙区制の悪い点もあるのではないですか。

 「いまの政治は緩み過ぎている、自民党はたるんでいる」という話をしました。小選挙区制になり、自民党のなかで議論が起きなくなった。小選挙区制では、執行部の許可が得られないと公認されないし、公認されなければ立候補できない。当選しても、できるかぎり早く党の役員や大臣になりたいから、みんなが安倍さんのイエスマンになってしまう。そう話したのです。

 一方、中選挙区制の時代には、主流派と反主流派があり、自民党の総理が辞めるときは、野党に負けてではなく、反主流派との論争に負けて辞めたのです。

 

「おっしゃる通りですが、中選挙区制では一度の選挙で1億数千万円もかかる。小選挙区制はおカネがかからない。中選挙区制には戻せません」………とはいえ、小選挙区制の下では論争が起きなくなっているのも事実です。みんな安倍さんのイエスマン。では、どうすればいいのでしょうか?

 

(小林)もし解決策を提示するなら、候補者選定の仕組みを変えることでしょう。現状、一度当選すると、当選し続ける限り、公認候補の入れ替えはありません。これを、一定の条件下では、現職も他の候補者とともに公認を競う仕組みに変える。すると、必ず競争が起こりますし、たとえば現職の支部長であっても候補者になれないということもあり得ます。

 

サイバー空間が主流になる防衛では日本にチャンス

先進国のなかで唯一安定している日本が示すべきこと

・(小林) ただし、これだけ社会保障を充実させて再分配をした結果、日本の国債は莫大な額になってしまいました。

 だからこそ、超高齢化社会に真っ先に突入した日本がすべきことは、「人生100年時代」のビジョンを示すことです。人が長く働き、社会保障が安定したモデルを示すこと――これで世界の平和にも寄与できる、そうわれわれは考えていますなぜなら、現在の国際的な問題のほとんどは、内政のさまざまな問題を外交に噴出させているからです。

 日本が内政をうまくまとめ、社会保障を充実させた国家ビジョンを示す。それが世界のモデルになれば、平和につながると思うのです。「人生100年時代」でも、社会保障は保てる、経済も成長できる、そうしたことを世界に見せることです。

 

女性の就業率が男性と同じになれば社会保障は持続可能

・(小林) 75歳だとしても、意欲ある人は働く。その結果として長く働く人が増えると、実は社会保障制度上も、もの凄いインパクトがあるのです。

 もう一点は女性の就業とそれに伴う所得です。いま女性の就業率は上がっているのですが、男性の平均に比べて所得が低いのが現実です。一度、正社員を辞めたら、再び正規社員に戻るのも難しい。子育ての環境や、企業での働き方、あるいは税制などに原因があると思います

 ですから、能力に合ったフェアな環境をきちんと整えば、この課題はクリアできるはずだと考えています。これが実現すればインパクトはかなり大きいでしょう。

 

・年金を受け取り始める年齢が遅ければ何割増しというふうに、長く働いたほうが得をするという仕組みを作ります。誰もがフェアに働ける環境を作り、人材の流動性を上げていけば、私たちはもっと力を発揮できます。そうすれば、「人生100年時代」国家は実現できます

 

仕事や努力が「見える化」される社会に

・(小林) 努力が「見える化」される社会――これは素晴らしいと思いませんか。私は、そんな社会を技術で作ることができると思っているのです。

人生100年時代」の社会保障、「見える化」されたフェアな社会

……これから実現に向けて取り組み、日本全体のビジョンにしたいと考えています。

 

 

 

『未来年表   人口減少危機論のウソ』

高橋洋一   扶桑社 2018/11/2

 

 

 

日本の未来年表

2023年(懸念されている出来事) 労働力人口が5年間で300万人減り、日本経済が大打撃を受ける。

本書の見解) 適切な金融政策で非労働力人口労働力人口に転じるし、効率化を図るための技術革新でむしろ生産性が向上する。

 

2025年(懸念されている出来事) 人口減少は日本経済の中心である東京にも容赦なく襲いかかる。

本書の見解)東京在住者にしてみれば、東京に人が集まってくるのは迷惑でしかないから、ちょうどいい。


2027年(懸念されている出来事) ガンや心臓病、白血病などのために使われる輸血用の血液が不足する。

本書の見解)人口が減ればいずれは輸血対象者も減るわけなのでそれほど影響はない。


2030年(懸念されている出来事) 地方の生産年齢人口が激減し、地方税収が落ち込む。
本書の見解)支出サイドも減る。また、現在は国税となっている消費税を地方に税源移譲すればいい。


2033年懸念されている出来事) 空き家が約2000万戸になり、老朽マンションがスラム化する。

本書の見解)空き家を潰すか他に活用すればいいし、すでに空き家活用のビジネスは生まれている。


2035年懸念されている出来事) 男性の3人に1人、女性の5人に1人が生涯未婚になり、少子化が進む。

本書の見解)婚姻届を出していない男女間の子どもである「婚外子」を制度的に認めれば、出生数も上がる。


2039年懸念されている出来事) 国内死亡者数が年間約168万人に達し、東京を中心に火葬場不足に陥る。

本書の見解)火葬場不足でニーズがあるならそれはビジネスチャンスなので、単純に火葬場を増やせばいい。


2040年(懸念されている出来事) 自治体の半数が消滅の危機に陥り、行政運営に支障が出る。
本書の見解)困るのはポストを失う公務員だけ。むしろ自治体を合併させた方が行政上効率化が図れる。


2050年(懸念されている出来事) 団塊ジュニア世代の高齢化で、社会保障制度が崩壊の危機に直面する。
本書の見解)年金は保険と同じ仕組みである。保険数理さえ知っていれば、年金が崩壊しないことは明らか。

 

2060年(懸念されている出来事) 大量の外国人が押し寄せ、合法的に日本国内に“外国の領土”ができてしまう。

本書の見解)人手不足は外国人労働力ではなくAIで補うべき。


2065年(懸念されている出来事)総人口が約8800万人、 2.5人に1人が高齢者となり、日本は貧しい国になる。
本書の見解)人口が減少しても、GDP成長率への影響は最大0.7%程度だし、生活水準といった家計の話とは別の問題。

 

「人口減少危機論=人口増加幸福論」の罪

人口減少が危機だと叫ぶ人の正体

・日本の行く末を論じる上で、巷で騒がれているのが「少子高齢化で人口減少時代に突入するから何かと大変」という話題だ。

 

・日本の人口は、2065年に約8800万人まで減少する一方で、高齢者の割合は4割近くに上昇すると推計されている。

・その火に油を注いだのが、2017年6月に発刊された河合雅司氏の著書『未来の年表』(講談社)だ。これが45万部を超える大ベストセラーとなり、類似したムック本が複数出版されるなど、世間の耳目を引いている。

 

日本では過去3回、自治体が大合併した

とはいっても、実はこの「人口減少危機論=人口増加幸福論」を支持する“世間”とは、主に地方公共団体の関係者だと筆者は見ている。人口が減り続けたら、最も困るのは彼らだからだ。

 というのも、その地域の人口が減れば当然、いずれは行政規模の適正化のため、市町村を合併しなければならない。

 

・デフレに限らず、何でも人口減少のためと言っておけば、誰も傷がつかないで、これはいい方便になる。人口減少は実際に起こっていることなので、それと因果関係はなくとも、同時進行している社会の諸問題と関係付けて説明されると、一般の人を騙しやすいのだ。人口減少を叫び危機感を煽る人は、こういった人々である。

 

解明できていない出生率低下の要因

・このように、日本は人口減少が避けられないという前提で見ておけば、将来の人口動向を予想し、それに備えた様々な制度設計ができるのだ。本当の危機は、「想定外」の事態であるが、人口問題については今のところ「想定内」にとどまっている。

 だから、『未来の年表』にあるような問題点のほとんどは、「特に問題はない」の一言で片付いてしまう。

 例えば女性の半数が50歳を超えるとか、全国民の3人に1人が65歳以上になり高齢者人口がピークになるとしても特に問題はない

 あるいは、輸血用血液が不足するとしても、人口が減れば輸血対象者も減るわけだからさほど影響もない。3戸に1戸が空き家になったとしても、それを潰すか他に活用すればいいし、すでに空き家活用のビジネスは生まれている。火葬場が不足するとも危惧されているが、もしその時にニーズがあるならばそれはビジネスチャンスなので、単純に火葬場を増やせばいいだけの話だ。

 自治体消滅の話もそうだが、いずれにせよ人口減少によって生じる問題は大したことはない。

 

地方の事例は都市部には役立たず

・財政事情、人口数、地場産業、郷土文化など、その土地特有の事情がある以上、仮に東京のような都会で地方の成功事例と同じようなことを取り組んだとしても、同じ効果を期待できるわけがない。この手の話題はほとんどまやかしだ。

 

・また、出生率が上がれば、その分だけ子育てに割く人手が必要になるから、東京でも専業主婦になる女性がかなりの割合で増えるだろう。そうなると、せっかく政府が掲げる女性活躍社会によって、女性の働き手が増えてきたのに、政策に水を差すことにもなりかねない。

 

・だから、出生率が上がらず人口問題の政策が失敗したとしても、政権にとっては何らダメージがない。それは、政府が「人口減少は大きな問題ではない」と考えているからだ。