日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

コンタクティやチャネラーの情報を集めています。

経済規模という点でいえば、「米中印3Gの時代」はもう十年後に迫っている。GDPの額で現在世界5位にあるインドは、2028年までに日本とドイツを追い抜き、世界3位の経済大国になると予測されている。(4)

 

『AI監視社会・中国の恐怖』

宮崎正弘  PHP   2018/11/17

 

 

 

保護貿易は時代錯誤」論の誤り

・米中貿易戦争が「自由貿易に反する愚かな行為だ」とか「保護貿易主義は時代錯誤だ」とか、市場至上主義者、リベラリスト、グローバリストからのトランプ外交への批判などどこ吹く風、なにしろトランプ政権発足から2年でNYダウ工業株は50%以上も上昇し、失業率は劇的に改善され、アメリカは好景気が続いている。

 トランプは伝統的な、典型的なアメリカ人から強い支持を受けている。半面、リベラルや左翼過激派の多い東海岸やカリフォルニアからは強烈なバッシングがある。

 日本の報道は米国のリベラルなメディアからの翻訳調だから、トランプ人気の実態が正確に伝わっていないようだ。

 

・したがって制裁関税を掛け合う米中貿易戦争などまだホンの序の口であり、次は金融戦争、通貨相場をめぐる為替戦争(「中国版プラザ合意」を強要するシナリオもある)と続き、これからが本番を迎える。米中貿易戦争は米中百年戦争の始まりでしかなく、次は市場を舞台とした金融戦争に移行するだろう。

 グレートゲームで孤立を深める中国の姿が浮き彫りとなった。中国共産党内で米国の出方を読み違えた、と習近平は四面楚歌となった。

 

「パックス・シノ」は認めない

・その中国がAI技術で米国を凌ぐ勢いにある。

 

 米国の連邦議会もメディアも、中国への嫌悪のレベルをはるかに超え、「反中」ムード。アメリカの世論のなかには「中国を叩き潰せ」という極論もネットなどに登場しており、中国同情論、擁護論は皆無に近い。「反中」は企業のコンセンサスと見てよい。

 こんな事件も起きた。極左政治家で親中派の代表格だったファインスタイン上院議員の秘書を長らく勤めてきた中国系アメリカ人が、中国のスパイだったことが暴露された。

 

・結局、アメリカの戦略的目標は「パックス・アメリカーナ」の維持にあり、「パックス・シノ」は認めがたい、ということである。

 

習近平の鼻っ柱が折れた

・中国の状況をつぶさに観察していくと、次のような悲惨な実情が把握できる。大きく4つに分けて、概括を述べる。

 

第1は、中国の社会的矛盾の深化である。共産党幹部とその眷属だけが豊かな暮らしをなし、全体を俯瞰すると富と貧困の激しい拡大がある。「不平等の恒久化」は末端民衆の不満を堆積させる。

 

・国有企業ばかりか軍、警察でも失業は深刻な問題であり、労働争議の過激化は、中国全土で日常の風景となった。

 

・第2に、中国の外交的課題が一向に解決されず、明らかな矛盾が方々に露呈したことである。

 

・このように、相互に高官訪問を認める「台湾旅行法」を制定したトランプ政権は台湾の米大使館警備を海兵隊に担当させ、さらに武器供与を認めて台湾擁護を内外に鮮明にした。中国は慌てふためいたが、強い抗議をしなかった。

 鼻息荒かった習近平の鼻っ柱が折れた。

 

 軍事力と豊穣だった外貨をバックに、台湾との断交を迫るなどの脅迫的外交、その強引すぎた中華圏拡大に軋みが出て、習近平が目玉としてきたシルクロードの壮大なプロジェクト、すなわちBRI(一帯一路)が世界各地で蹉跌しているリアルが世界の指導者に認識されるようになった。

 

「サイバー・パールハーバー」に警戒せよ

・第3は、中国の内政でも矛盾が露呈し始めていることだ。

 デジタル機材を駆使しての国民監視システムはほぼ完成した。と同時にAI全体主義システムの弱点が露呈した。

 日本の産業界の認識では、AIの開発は平和目的であり、経済の効率化、暮らしの向上をめざした発明であるにもかかわらず、中国は最初から軍事転用だけを狙った。

 

・しかし中国は、AI開発を別目的で遂行している。

「AIを駆使した顔識別技術で1万人の犯罪者逮捕に貢献したわよ」と女性幹部が自慢した。

経団連が北京の中関村を訪問し、「北京曠視科技」を視察した折に、AIテクノロジーでの犯人逮捕の効率の良さをいわれた。

 同社は創業時には精華大学理工系卒の3名だった。7年間で1600人の大企業に急成長。それもこれも、中国政府のAI活用による人民管理の政策にぴったり寄り添ったからだ。

 

 政府の全体主義的な管理体制を先手で補う企業ゆえに、その中国独特のシステムといえる犯罪者逮捕に格段の進展をもたらしたわけだが、当該技術は同時に中国共産党の独裁体制の恒久化を助長している、という意識は希薄なのである。

 

・第4に、中国の経済的破綻が近いという不安の増大がある。

 中国が抱える債務は最大で3700兆円に達する、とウォール街やザ・シティの専門家は推定している。これは間違いなく驚異的な時限爆弾である。2008年のリーマン・ショック直後からの財政出動は、資金の供給に裏付けがなかった。

 

・強気、強気で新幹線網建設、ハイウェイを全土に張り巡らし、各地の高層ビル、マンションはゴーストシティ(幽霊都市)となった。50の地方都市での地下鉄工事も借金で行なわれた。赤字国債、鉄道債、地方政府債、そして企業の借金は社債で調達され、いずれも償還が不可能となった。たとえば新幹線は2008年開業から2018年10月までに2万5000㎞。日本は半世紀かかってやっとこさ3000㎞という差!

 

・この資金不足を補うためシャドー・バンキング、理財商品、ヤミ金融、そしてP2Pというネット上の貸し金業者も生んだが、これらの多くが詐欺かインチキ商法だった。被害者は「金融難民」といわれ、各地で暴動を起こす前に弾圧されたが、その取り締まり方の退役軍人と警察OBの抗議行動が燃え広がる。そこまで中国共産党の悪政に対する不満の蓄積が爆発を始めたのである。

 

・中国のバブルを支えてきた無謀な不動産投機も、いずれ資金が枯渇すれば、必ず不動産バブルははじける。不動産価格が暴落する。連動して株安、人民元暴落となる。これを「ミンスキー・モメント」(投機による債務スパイラルが投げ売りに転化すると、価格の暴落が起こり、市場が崩壊する)という。そのときは富裕層ばかりか、中間層にも被害が出るから全国的規模の反乱が起こるだろう。

 

・ただし、こういう危機にこそ警戒を強めるべきは、中国が矛盾をする替えるために始める戦争である。

「サイバー・パールハーバー」に警戒せよ、という声が米国で強まった。

 もともとはレオン・パネッタ国防長官時代のペンタゴンからの警告だった。

 

・念願だった人民元の国際化も、2016年10月にIMFのSDR(特別引出権)入りした直後からむしろ人民元の信用度は落ち続け、貿易決済のシェアが減少した、

 国連という檜舞台でも中国の影は薄くなった。

 

WTO規則を守らず、世界でも最も保護貿易主義の国が自由貿易を訴えるのはポンチ絵、中国の立場がいかに弱まったかを象徴した演説だった。

 あれほど喧伝されたAIIB(アジアインフラ投資銀行)とBRICS銀行(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)はどこに行ったのか、最近は話題にもならない。

 

優先順位があべこべの日本

・次いで苫小牧付近を震源地とする激しい地震の発生で、北海道全土に停電が起きた。これら関空水没、北海道地震による大停電は日本の危機管理が試されたことになる。

 

・自然災害は日本が台風の通り道であり、火山列島である以上、避けることができないが、日ごろの危機管理が杜撰な実態がさらけ出された。もし、これらの災害(関空水没、北海道大停電)を「戦争」と仮定して考えてみると、本当の危機に遭遇したときに、何をいちばん優先してなさねばならないか、日本の対応はあべこべのケースが多いことを示した。

 

・デジタル文明の下で、重要課題は光ファイバー・ケーブルの拠点の安全である。日本の海底ケーブルは1本の基幹ルートに依存し、保管ルートがない。ここを攻撃されると、ほぼすべての日本の通信網が破壊される。

 

デジタル文明の優位はどこへ

・また9月6日に、米司法省はFBIの長期の捜査に基づきパク・ジンヒョクと名乗る朝鮮人と北企業「朝鮮エキスポ、中国に拠点」をハッキングの容疑で起訴した。これは2014年に起きたソニー・ピクチャーズの通信システム破壊事件、同2016年に起きたバングラデシュ中央銀行からの巨額詐取、17年に世界各地で発生した「ワナクライ」(身代金をビットコインで要求した)に絡む犯罪ハッカーである。

 かようにして、デジタル文明にあって次世代通信機器や半導体開発で、もはや日本の優位は跡形もない、という実態が露呈したのである。

 

世界に広がる「終身皇帝」への批判

・孫元教授は7月20日に「公開書簡」を発表し、「習政権は166カ国に対して、4000億元(6兆8000億円)もの巨額を投下し、60万人もの中国人労働者を派遣しているのは何事か!」と非難していた。

 

・BRI(一帯一路)の無駄使い、不適切な背伸び、国内に貧困な人々が山のようにいて日夜、どん底の生活苦と闘っているときに、いったい何のために金持ちのアラブ諸国に支援をなし、遠きアフリカにカネをばらまくのか、と批判の矢を放ったのだ。多くの中国の知識人が許章潤の支援に回った。

 

・そして2018年9月からは、中国にとって不都合な真実を使えない情報規制の対象を広げ、「経済ニュース」にも6つの報道規制を導入した。

 つまり、不況や不景気を煽るような不都合な経済ニュースは報道してはいけないという上からのお達しである。これまでも中国は「政治」「社会不安」そして「歴史解釈」に関して、がんじがらめの報道規制を掛けてきた。

 

・2018年9月28日に通達された「不都合な経済ニュースは報道してはならない」という規則の内容は、次の6項目であるという。

1.予想より悪いデータが出た場合

 

2.地方政府の負債

 

3.為替、とくに外貨準備高の激減など

 

4.消費動向、消費の激減ぶり、物価の上昇やインフレ

 

5.構造不況を示唆するようなデータや怪説

 

6.生活苦、貧困など

 

・とはいえ、これまでも中国の公式の経済データはことごとくが信用できないフェイク情報であり、国家統計局がGDPの数字を誤魔化してきたうえ、地方政府は3割前後の「水増し」を報告してきた事実は誰もが知っており、規制を強化するとすれば、庶民の不信感はもっと確定的に広がるのではないか。

 

世界中にゴーストタウンを建設する

・(スリランカの)工事の現状といえば、埋め立て工事の20%がようやく終わった程度で、この先の懸念は資金が続くか、どうか。人工島の埋め立てと整備だけで総工費14億ドルである。60階建ての高層ビルは別予算である。

 

 つまり世界中に中国はゴーストタウンを建設し、人類の歴史は始まって以来の、未曽有の、あるいは壮大な「事業」によって倒産の危機を迎えたのである。

 

中国版「戦争の犬たち」

・中国のBRI(一帯一路)には、もう一つのダークサイドがある。

 戦争請負企業=「戦争の犬たち」ビジネスが急膨張していることだ。

 米国の「ブラックウォーター」は、あまりにも悪名高い。ノースカロライナ州に7000エーカーの社有地をもち、射撃訓練から戦闘・武闘・対ゲリラ訓練などを行なって、世界各地の戦場に派遣される。幹部はほとんどが米海軍特殊訓練部隊(シールズ)出身者で、退役軍人や武器の専門家が業務に携わっている。ロケット・ランチャーから独自の武装ヘリも保有する。いってみればプライベート・アーミー、傭兵。要するに、兵員不足を彼ら軍事のプロが補っているわけだ。イラク戦争でもおびただしいブラックウォーターの「社員」が派遣され、戦場で大活躍したほか、日本でもミサイル防衛網の警備に100名が配置されているという。

 

・さて舞台は中国である。人民解放軍は235万人。習近平人民解放軍削減計画の実施によって、およそ30万人が解雇された。現在退役軍人は5700万人。軍人恩給が微々たる額しか支給されず、不満が昂じて各地で抗議集会やデモが起きている。退役警察官も同じ境遇にある。

 その中国人民解放軍ならびに警察のOBらが、中国版「ブラックウォーター」を設立し、米国の指導も仰ぎながら、めきめきと頭角を現してきた。

 なんと軍事請負企業は5000社、雇用は500万人!

 海外の派遣先はシルクロード沿線の、衝突、紛争が絶えないパキスタンイラクスーダンなどである。

 

・もともとの需要は警備会社で、ガードマン業務から出発した。銀行や夜間のビル管理、工場の警備など、日本の警備会社と変わらない業務で急拡大し、習近平シルクロード路線での海外進出に伴って現在、海外進出中の中国企業はおよそ1万6000社。そのうち、危険地帯の現場など中国軍事請負企業から派遣された3200名が担っている、という。

 

デジタル全体主義脆弱性

・結局、誰に責任を取らせるか。

 中国金融界は断末魔の叫び、人民元安、株安、そして金融パニックの不安拡大。投資家の心理が委縮すると弱気の売りが続き、市場の特性は暴落への悪性スパイラルを描く。

 もともと2008年のリーマン・ショック直後には無理矢理の財政出動(57兆円)を行なった時点から、今日の悲劇は予測されていた。

 以後毎年連続して100兆円から120兆円もの裏付けのない資金を供給し続けた。新幹線だけでも投資総額は60兆円に達する。

 赤字国債も発行せずにひたすら輪転機を回す。こうした裏付けのない資金をじゃぶじゃぶと市場に供給し続け、一直線の景気浮揚、投資拡大を煽り、結末は全土に出現したゴーストタウンだった。

 

ドイツ銀行の試算では、地方政府系金融機関の融資残高は520兆円(日本のGDPに匹敵する巨額)に達している。この数字は控え目で、ウォール街の専門家は800兆円以上と見ている。「融資平台」が地方政府の推進したプロジェクトに貸し付け、誰も入居しない商業アーケード、複合ビル、マンションが建った。

 

・P2Pの破産も年初から顕現した。

 P2Pはネット上の貸し付けで、高金利を謳って庶民から投資資金をかき集める。「講のSNS版」と解釈すればいいかもしれない。このピア・トゥ・ピア(P2P)のビジネスモデルはもともと米国の発明だが、規制のなかった中国で急発展し、関連企業が雨後の筍のごとく誕生。ピーク時には3500社にも膨らんでいた。このうち2018年7月までに倒産、事務所閉鎖となったP2Pは243社。被害総額は不明だが、推定24兆円あるとされている。

 

・この章でのとりあえずの結論は、パックス・シノ(パックス・シニカ)は向こう半世紀は達成できないであろう、という未来図である。

 

・たまたま読んだ湯浅博『中国が支配する世界』(飛鳥新社)によれば、「米中逆転」の嚆矢となる未来年表を東京五輪の2020年に位置付けている。

 

・「中国大陸を共産党が支配する限り、経済的な重商主義地政学的な修正主義という野心を撤回するとは思えない。人間の自然の営みに反する共産党支配の独裁体制を、権力者と特権階層が無理に維持しようとするからである」(湯浅前掲書)

 

通貨も兵器なのだ!

電子マネー決済が中国では主流となり、世界の造幣局に尋常ならざる異変が起きた。

 デジタルマネー(スマホ決済、ビットコイン、銀連カード)が中国では完全に主流となった。いまや現金決済は小売りで10%程度しかない。あとはすべてがデジタルマネーで支払いを済ませる。

 

 第一に、中国では偽札が多い。流通している貨幣の2割が偽札である。

 第二に、クレジットカードはスキミングされ、不正利用される犯罪が多いことだ。ちなみに、筆者は中国取材で年に10回以上も現地に滞在した時期がある。一度もクレジットカードを使ったことがない。危なくて仕方がないからだ。

 

・偽札偽造団は広東のマフィアが印刷工場をもつという「一大産業」だった。

 

・デジタル通過で、従来の貨幣印刷は激減の運命となるのか。

 

 貨幣が買い物に使われないとなると、従来、通貨を印刷してきた、いわゆる「造幣局」の運命はどうなるのか。

 

マッキンゼー報告の衝撃

 

・いまや国有企業従業員の強迫観念は「シルクロードで失業するのでは?」というものだ。

 ゾンビ企業の名前のとおり、生き残りは難しいが、死んでもお化けとなる。OECD報告に従うと、中国における国有企業は5万1000社、29兆2000億ドルの売り上げを誇り、従業員は2000万人以上と見積もられている。

 マッキンゼー報告はもっと衝撃的だった。

 2007年から2014年までの間に、中国の国有企業の負債は3.4兆ドルから12兆5000億ドルに急膨張していた。

「中国の負債のうち60%が国有企業のものである」

 

中国当局がいま打ち出している対策と手口は、債務を株式化することだ。

 

人民元安が止まらない

トランプ大統領は8月22日にもツイッターに「中国は為替操作をしている。人民元を不正に安く操作して輸出競争力を維持させている」と批判した。

 ところが市場は逆であり、中国の人民元安が止まらない。2018年の年初から8月までに為替レートは10%下がった。

 香港の為替ディーラーの一部には「あと7%程度下落するだろうとの予測が出始めた。

 

・ラガルド専務理事は2016年10月に、人民元IMFのSDR通貨として認めた張本人である。しかし爾来、人民元は表面的に世界のハードカレンシー入りしたにもかかわらず、貿易決済のシェアは増えたのではなく、減ってしまった。

 

・経済成長は横ばいか、ややマイナス(統計上)、各地で在庫が積み上げられ、工事中断。失業の群れ、凄惨なばかりの経済失速の現場を見れば、中国の悲惨な状況を把握できる。加えて、米中貿易戦争の開始により、対米輸出激減が予測されている。

 

・これまでの金融引き締めは、社債のデフォルト、インフラ建設の激減、地方債務膨張により、地方政府公務員給与の遅配、地元産業の倒産と続いた。

 

そしてパンダハガーは誰もいなくなった

トランプの側近は対中タカ派ばかり

パンダハガーとは、チベットの動物を「中国の動物だ」と詐って友好の材料に使っている中国共産党と、目先の利益のために平然と抱き合うニセ知識人や売国政治家、財界人のことを意味する。

 ところが米中貿易戦争に前後して、パンダハガーはいまや絶滅種となって米国から消えかけている。

 ワシントンを覆い尽くす「反中国」の空気は「ロシア恐怖症」と同質な感じもあるのだが、「マッカーシー旋風」のときとは異質な趣が漂っている。米国史に間歇的に現れる孤立主義が、この反中国ムードと微妙に絡み合っている。

 ガル・ルフツ(地球安全保障分析研究所・共同代表)は、「この『反中ヒステリー症状』は過剰であり、米中交流の機会も激減し、ビジネスマンでも『中国人と聞けば、スパイだ』という短絡的な同一規反応現象がある。中国に友好的なシンクタンクがワシントンにはなくなった」という。

 

国務省高官を眺めると、次官クラスの政治任命がまだなされておらず(2018年9月現在)、ポンペオ国務長官はトランプの意を体して積極的に動く。国務省内のチャイナスクールもほとんどが消えた。

 通常ならこうした高官経験者は「回転ドア」で、シンクタンクに移籍するが、いまや「孔子学院はスパイ養成機関」などとする主張がまかり通るように、中国を擁護する学者、研究者、ジャーナリスト、彼らが集うシンクタンクも稀となった。中国擁護派の多い日本の外務省や財界とはまったく異なる雰囲気がワシントンの政治ムードである。

 連邦議会は「ロシアが軍事大国」であり、西側の脅威だという「ロシア恐怖症」と同質な「中国脅威論」に濃霧のように蔽われ、中国制裁を声高に叫ぶのは共和党よりも民主党の議員が多くなった。この動きを反映して、リベラルなメディアもトランプの対中強硬論よりも強硬な主張をしている。つまり米国は中国制裁論を当然とする一種、パラノイアに取り憑かれているようである。

 象徴的な事件は、米国における中国スパイの暗躍が暴露されたことだ。

 

<中国専門家も変節>

・こうした情勢を背景に、「中国専門家」の学者レベルでの空気が激変した。

「中国封じ込め」をいう学者はほとんどいないが、デイビッド・シャンボー、マイケル・ピルズベリーら、かつての「パンダハガー」たちが明確に反中国のスタンスに変身しており、この列にやはり中国を高く評価してきた学者らが加わる。

 

・投資家が主に読む『ウォールストリート・ジャーナル』は共和党支持の穏健保守を代表するメディアだが、おそらくこのメディアだけが中国との自由貿易を辛うじて主張している。

 

 日本のメディアは、このウォール街発の意見を紹介することに忙しく、対照的にワシントンを蔽う反中ムードに触れたがらない。

 

何がナヴァロを反中国派にしたのか

藤井厳喜『国境ある経済の復活』(徳間書店)は、グローバリズムを陰で操る「タックスヘイブン擁護派」がウォール街を根城に推進してきた経済政策は「現在の国家秩序や国際関係を破壊する悪の根源」と位置付けている。

 

・「チャイナこそ、世界一の保護貿易の実践者」であり、その「独裁体制が、あらゆる側面で、市場経済を歪め、チャイナの経済覇権獲得を促進している」とナヴァロは指摘する。

 

米中貿易戦争の第二幕開演

・つまりトランプのアメリカ・ファーストは「中国進出の米国企業よ、帰ってこい」という強いナショナリズムの呼びかけであり、長期戦になることは必定である。日本はこの期に及んでもトヨタと日産は2、3割増の設備投資に踏み切る。勇気をもって中国から撤退を決めたのはスズキだけだ。

 

・トランプの狙いはサプライチェーンを改編し、中国中心の構造を壊す、新しいサプライチェーンの構築にある。

 

日米同盟は地殻変動に晒されているゾ

グローバリズム拒否というのは「イデオロギー」を拒否するという意味であり、国境の壁を撤廃し、規制をなくし、つまりは国家を解体する面妖なグローバリズムという思想では、自由主義本来の市場まで破壊されかねない。

 

・翌日、FRBは利上げを発表した。0.25%上げて、2.00~2.25%となった。これで世界市場にだぶついてきた資金の米国への還流が始まり、猛烈な勢いでウォール街へドル資金が流れ込んだ。連鎖で、新興国通貨は暴落する。アルゼンチン、南ア、ブラジル、トルコなどの通貨がどかんと下落したが、最も悪影響の出る中国人民元は下落が目立たない。なぜなら中国当局人民元の買い支えをしているからだ。これまでとはまったく逆で、中国は為替に介入し、人民元を下落誘導してきたが、いまは下落防止の買い支え、このためにドルを使うから、ますます外貨準備は減少し、そのうえで対米貿易黒字が激減しているから、人民元を買い支えるドルが払底する。次? 人民元の大暴落が起こるだろう。すでに上海株は年初来21%の下落を示し(2018年10月10日現在)、人民元は4月から9月にかけて9%の下落を演じてきた。いかに中国が買い支えても株価下落は歯止めが掛からず、また人民元は防衛ラインのレートを間もなく割り込んでいくだろう。

 米中貿易戦争は終りの始まりでしかなく、次は金融と通貨戦争に移行する。もはや「紛争」レベルの話ではない。熱戦や殺戮兵器を供わないが、これは「戦争」である。

 

フェイクニュース震源

・もう1つ、現代中国において日本製品の根強い人気がある。

 粉ミルク、紙おむつ、そして健康食品と化粧品は圧倒的に日本製が中国人に人気で、現在日本に留学している若者たちのアルバイトは、ネットで注文を取って、日本から送るという新ビジネスだ。この商売に携わる在日中国人はおよそ45万人と推定されている。

 

 

 

『結局勝ち続けるアメリカ経済 一人負けする中国経済

武者陵司  講談社   2017/8/18

 

 

 

日本に吹く地政学的な追い風

・では、いまの世界情勢を解き明かすカギはどこにあるのでしょうか。私はアメリカ経済分析に尽きると考えています。

 

・本書の明確な主張は、アメリカの卓越した経済力が一段と強化されているので、アメリカが決意しさえすれば、アメリカ主導の世界秩序再構築の可能性は高い、というものです。

 

・では、アメリカ経済の何がすごいのか。それは技術革新、イノベーションを次々に生み出す活力です。グーグル、アマゾン・ドット・コムフェイスブック、アップル、マイクロソフトなど新興の大企業が続々登場し、インタ―ネット・サイバー空間(私は「第7大陸」と呼んでいます)を作り上げ、ビジネスと人々の生活を一変させています。

 

・さらにアメリカがすごいのは、この企業が作り出した価値を消費に落とし込む力、人々の生活水準の向上につなげる力です。格差が生まれ、一部白人の肉体労働者にしわ寄せがいっている問題はあるにせよ、アメリカ経済を引っ張っているのは消費です。

 

・この歴史的フロンティアたるインタ―ネット・サイバー空間(第7大陸)をアメリカが支配していることにより、経常収支が大幅に改善し、ドル高が続くことが見えてきました。それがアメリカの帝国的覇権をより強める方向に働くと予想されるのです。

 

・とはいえ、アメリカ・ファーストというスローガンで大統領当選したドナルド・トランプ氏が世界の混迷に背を向けて、孤立主義的、排外主義的な傾向を執り続ければ、世界秩序はますます乱れていくでしょう。

 しかし本書のもう一つの主張は、トランプ政権の政策は大きく進化・成長していかざるを得ない、というものです。

 トランプ氏が戦略目標として明確にしている、①偉大なアメリカの復活、②安全な世界、③国内雇用の確保、を実現するためには、メディアや評論家が説明しているような、孤立主義、排外主義、保護主義、人種差別主義といった傾向を拒絶せざるを得ません。

 アメリカには覇権国を自任するに足る経済力が備わっており、トランプ政権が世界の警察官としての役割を果たそうとするなら、2020年にかけて、アメリカ主導による世界秩序の再構築が進展していくでしょう。

・世界の技術、市場、資本のただ乗り(フリー・ライド)によって成長を遂げた中国は、アメリカによってこのフリー・ライドを禁止され、成長が期待できなくなるでしょう。

 こうして、フリー・ライドを前提とした中国経済とそのビジネスモデルは一気に機能を停止し、経済成長が止まる「中進国の罠」に陥ることは確実です。

 

・そもそも中国に欠けているものは資本主義のDNAです。ビジネス成功のカギがアメリカと中国とでは180度異なっていることをご存じでしょうか?

 

国営企業共産党官僚が営む政府機関そのもの。そして中国では、民間企業も政治の支援なしには成り立ちません。そもそも中国の主要企業には、表の組織の他に、裏の組織、つまり共産党企業委員会があり、裏の委員会が経営の決定に深く関与、徹底した監督、監視、検閲を行っており、党との良好な関係なしにはビジネスは成り立たないのです。

 

政治との関係性によって、企業はいつ富を奪われるか分からない、そんな恐怖政治が支配しているのです。>

・この権力との関連性でビジネスも生活も律せられるのは、古代からの中国の伝統です。権力に対する絶対的服従という太古からの行動様式と、最先端技術、そして市場経済との奇妙な融合が、現代中国の強さであると同時にアキレス腱になっています。

 

・しかし習近平政権は、汚職・不正撲滅を口実として対抗勢力を叩き潰し、日本のかつての治安維持法を想起させる国家安全法を制定しました。また学問の自由も否定し、大学を「マルクス主義や中国の偉大な夢、社会主義の革新的価値観の最前線」と位置付け、党思想を宣伝する道具にしてしまいました。

 

・この自立を欠き、権力に服従する中国人の特徴は、現在の中国企業のDNAにも色濃く影響しており、政商的なビジネスモデルの背骨になっています。それがアメリカの起業家精神を涵養するDNAの対極にあることは、論を俟たないでしょう。

 

・すでに日本企業は、バブル崩壊の後遺症から立ち直り、過去最高の利益を上げる力を備えています。この企業の儲けが、デフレ脱却の進展とともに、個人の消費に結びついていくでしょう。

「失われた20年」といわれた苦難を抜け出したとたん、地政学的な追い風が吹くという僥倖が、日本に訪れています。株価も本来の価値から大きく下振れした、いわばマイナスのバブル状態にありましたが、今度は大きく是正されていくでしょう。私は日経平均株価の4万円突破もあると見ています。

 

アメリカが獲得した「第7大陸」

強みはピカピカの価値創造

・現在のアメリカでは、株式市場が時価総額構成の大幅な変化を通して、将来の青写真を作っているのです。

 これは、アメリカが健全な価値創造力を有していることの、何よりの証拠でしょう。そして、新たに生み出された価値が世の中全体に受け入れられ、そこに新しい市場が作られ、より大きな市場価値に育っていくのです。

 この部分がピカピカであれば、実体経済や政治は放っておいてもきちんとワークします。

 

・このような見方をすると、中国経済がなぜ厳しいのか、その理由が分かります。確かに、表向きは共産党一党独裁のもと、強い政治力によって国全体がまとまっているかのように見えますが、中国企業には健全な価値創造力がありません。つまり、国を支える基盤が極めて脆弱なのです。

 

「第7大陸」とは何か

・しかし、いまのアメリカ経済および世界経済においては。リアル経済圏とはまったく異なるバーチャル経済圏がどんどん成長しています。これは、インタ―ネットを介した新たなビジネスや生活の空間のことであり、私はこれを「第7大陸(=サイバー空間)」と称しています。

 

・現在ではインタ―ネットは、水や空気と同じように、私たちの生活活動において、必須ともいうべき経済資源、生活基盤であり、価値創造の最大の源泉になっています。

 

・では第7大陸の発展が、どのように経済に寄与しているのか、それを考えてみましょう。第一は、人々に著しい便益を与えるとともに、劇的なコスト削減を可能にしていること。第二は、まったく新しい商品(=欲求を満たす仕組み)を生み、新産業や新企業を勃興させていることです。それはマクロ経済的には企業収益の著しい向上をもたらし、生産性上昇による物価の下落と、それに伴う購買力の増加を引き起こす。

 

減税策がアメリカを好景気に

 

トランプ大統領が打ち出している減税策がもたらす、成長加速の連鎖効果が注目されています。

 

・これらがすべて実施されれば、10年間で5兆ドル規模の増収となり、それはアメリカの名目GDPの2.8%に相当すると推計されています。

 加えて、1兆ドルといわれるインフラ投資と国防支出増により、アメリカのGDP成長率は、リーマン・ショック後の2011年から2015年までの平均値である2.1%を大きく上回り、容易に1990年以降の長期成長トレンドである3%に戻っていくでしょう。

 もちろん、これほどの大風呂敷ともいえるプランがすべて実現することはあり得ません。

 

・いうまでもなく、ドル高はアメリカ金融の支配力を強め、トランプ大統領が狙っている世界覇権の強化にも結び付くのです。