日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

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コロナとは別の細菌やウイルスが再び襲ってくる可能性も十分にあります。近年でもSARSやMERSが流行したように、平均すれば4~5年おきに未知の伝染病が世界を襲っている。(1)

 

 

『変質する世界』

ウィズコロナの経済と社会

「これから」を本気で考える

Voice編集部 編    PHP新書  2020/7/15

 

 

 

「開疎化」、「ウイルスの心配より、健康で長生きしてもやることがないことのほうが問題」

・新型コロナ禍という未曽有の危機に出合ったのちの世の中は、これまで以上の速度で変質し続けている。未来を見通すことはきわめて難しい。だからといって、思索を止めることが許されるだろうか。世界が劇的に変質していくのならば、日本と日本人ははたして、どのような経済や政治、そして社会の新しいかたちをめざすべきなのか。一人ひとりが決して借り物ではない「自分の言葉」で考えなくてはならないはずだ――。

 

・昨今、「書店に人が戻っている」という声を聞く頻度が増えた。SNSの爆発的な普及により情報が氾濫し、また世界がより複雑化する時代だからこそ、諸問題に対して時間をかけて向き合える「遅いメディア」、すなわち書籍・雑誌が逆説的に求められているのかもしれない。

 

 

<『アジャイル(迅速かつ柔軟)な仕組みが国を救う   安宅和人』>

「withコロナ」は当面続く

・(安宅)新型コロナを終息させるための方法は、大きく二つ。一つは、ウイルスを制圧できる治療薬を開発すること。もう一つは、自然感染がワクチンによって抗体保持者を増やして集団免疫を確立することです。ところが現実問題として、いずれも容易ではない。

 

・そこで、カタストロフィック(破滅的)なストーリーとして「フリーフォール(自由落下)」を起こす。すなわち自然感染に委ねて集団免疫を形成する考え方もあります。しかし、もし実行に移せば、その過程で人口の0.5~1%が死に至ると推定されます。日本でいえば100万人規模の命を犠牲にするわけで、大戦争クラスの死者数です。成熟した民主主義国家として採ることができない施策であることは明白です。

 

つまり、われわれはどの戦略を採るにしても、少なくとも2年は「withコロナ」に向き合わざるをえない。これはさほど難しくない数式で推定できることであり、大学で1・2年生が主として履修する講義で課題として出したほどです。

 

・そもそも人類は有史以来、つねに感染症と闘ってきました。コロナとは別の細菌やウイルスが再び襲ってくる可能性も十分にあります。近年でもSARSやMERSが流行したように、平均すれば4~5年おきに未知の伝染病が世界を襲っている。そう考えれば、かつてコレラ赤痢に悩まされた時代のように、感染症と共存しながら社会を回す仕組みを早急に確立しなければなりません。

 

三つ目が、今回のウイルスは、肺を集中して攻撃してこれまでにないスピードで破壊すること。酸素マスクでは対応できず、入院して1日で気管挿管が必要になる割合が多いというのは尋常ではない病気です。

 四つ目は、世界がグローバルにつながっていながら、人の流れが止まり、飲食・小売・交通・リゾートに代表されるオフライン側の経済の多くが止まってしまったことです。結果、公的な経済処置を通じた莫大な未来への負の遺産も生まれました。これほど世界的に大きな経済的打撃を与えた疫病は近現代では初めてでしょう。

 

・近代において感染症がいかにグローバルに蔓延していたかがわかります。16世紀にアステカ帝国を滅亡させたのも、スペインから到来した天然痘だった。まさしく、世界の歴史そのものが感染症と共にあったのです

 

危機対応の柔軟な仕組みを構築せよ

・(安宅) まずは、政策の意思決定システムを、国会で行なわれている揚げ足取り的なものから、タスクフォース型の仕組みにアップデートする。新型コロナへの対応では、たとえば他の先進国で抗体検査の審査が通ったら、日本でも迅速に行なえるようなフレキシブルな仕組みをつくる。政策判断としては、現在は「有事」であることを前提とし、止血的な有効性と過剰なコストの回避を軸とする、これらのガイドラインの構築が急務です

 

・いずれにせよ政治家の俗人的な能力ではなく、その根底にあるシステムに注目して刷新しなければ、不連続な変化に対応しうる新しい日本をつくることは叶わないのではないかと思います。

 

「開疎化」のトレンドを押さえよ

・ところが今回のコロナ危機によって「密閉・密接×密」から「開放×疎」な価値観へと向かう強いベクトルが働き始めている。私はこのことを「開疎化」と呼んでいます。

 ただし、だからといって都市化の流れが完全に止まるわけではありません。

 

・また、接触から非接触への転換も需要なポイントです。近年、中国で急速にキャッシュレス化が広まりましたが、それは偽札問題以上に、現金が汚かったことが大きい。中国では、銀行員など日常的に現金に触れる人は肺炎にかかるリスクが数倍に高まることが知られています。「withコロナ」時代に入り、これは中国固有の問題ではなくなりました。

 

持続可能な「風の谷」を創る

コンパクトシティは経済効率の良い「都市」を地方空間に持ち込むもので、コロナ前の時代では、たしかに間違った手法ではありませんでした。しかし、多くの密をつくり出す施策であり、「withコロナ」以降の世界で行き詰るのは目に見えてきています。ここでも大都市同様の個別空間の開疎化が必要だと考えられます。

 

すべての学生にデジタル端末を無料貸与すべき

僕としては、小学生から大学生まですべての学生のいる家庭で通信帯域をすぐに整備し、高速デジタル端末を無料で貸与すべきだと、声を大にして言いたい。

 

 

<『野放図な資本主義への警告だ  長谷川眞理子』>

人類はウイルスを撲滅できるか

・(長谷川) 人類がウイルスを完全に撲滅し、勝利することはありえません。人間の抵抗力の進化よりもウイルスが変異する速度のほうが速いため、際限がないからです。今回の新型コロナウイルスが終息したとしても、また別のウイルスがいずれ出てきます。これは人間とウイルスの「終わりなき闘い」といえます。

 

・一方のウイルスは自分で細胞をもたず、大きさや仕組みが細菌と異なるため、抗生物質は効きません。インフルエンザやノロウイルスが定期的に流行するように、今回の新型コロナのようなウイルスを撲滅するのは容易ではありません。

 

ウイルスが変質した可能性

・変異の可能性については、遺伝子解析をすれば、かなりの精度で明らかになります。新型コロナは三種類の変異パターンに大別されるようです。中国・武漢のコウモリやセンザンコウから見つかったのがAタイプで、中国や日本でも確認され、米国やオーストラリアで感染者が多かった。韓国などの東アジアで広まったのが、Aが変異したBタイプ。そしてイギリスやイタリアなど欧州を襲ったのが、さらに変異したCタイプです。

 ウイルスは変異するほど毒性が強まる傾向にあるので、Cタイプと推定される欧州で致死率が高かったのは不思議ではありません。

 

進化生物学は優生主義とは別物

・ウイルスは人間だけではなく、あらゆる生き物に感染していきます。そのとき、ウイルスが自分のゲノム(遺伝情報)を宿主である生物のゲノムに入れ込む場合がある。すると罹った宿主は、自分の遺伝子を複製するときにウイルスの遺伝子も複製してしまいます。そのゲノムが次世代に継承されていくわけです。

 

現代は複雑化した囚人のジレンマ

・それに現実の国際社会ではさまざまな事柄がからみあっているので、何をコストとし、何をベネフィットと捉えるのかが非常に複雑化している。米中のように価値観の異なる国同士だと、その判断はより困難になるでしょう。また、米国のトランプ大統領は「アメリカ・ファースト」を標榜していますが、コスト・ベネフィットはどのスパンで見るのか、という問題もあります。「アメリカ・ファースト」は短期的な見方ですね。われわれはいま、高度に複雑化した社会的ジレンマに直面しているのです。

 

政治判断と根拠とロジックを示せ

・誰も命令していないのに自主規制が働くと、負のスパイラルに陥る場合があります。政府が「自粛」と言うと、個人は確かな理由をもっていないのに、周りに同調して行動する。政府は命令しているわけではないから、責任をとらない。そういった曖昧な動きが連鎖して、ずるずるとわけのわからない相互監視状況が生まれ、悪循環に向かう危険性を孕んでいます。戦前の村社会と同じだと思います。

 

社会構造そのものが問われている

・海外の事例に学び、備えのノウハウを蓄える必要があるでしょう。危機管理は感染症だけではなく、たとえば災害時にも必須です。日本は東日本大震災を経験していますから、それを自国で伝承していくのみならず、国際的にも重大な教訓として活かす余地があると思います。

 

 

<『コロナと大震災の二重苦に備えよ  デービッド・アトキンソン』>

企業支援の対象が間違っている

・経済対策のうち真水(付加価値を直接増やす効果のある対策)の規模が小さいのは仕方がないと思います。国債と借入金などの残高を合計した日本の「借金」は、2019年末時点で約1110兆円であり、世界で突出して厳しい財政状況にあります。今回の給付は将来世代が返済する必要があるわけで、はたして最善の方策だったのか。国民は冷静にみなければなりません。コロナ危機が長引けば給付は一度では済まされず、ますます国の財政を圧迫するでしょう。

 さらに最大の問題は、政府による企業支援策の対象が、生産性の低い小規模事業者に偏っていることです。

 

日本企業のうち大企業はほんの一握りで、99.7%は中小企業です。また、報道ではよく大雑把に「中小企業」といわれますが、そのなかでも小規模事業者が85%、中堅企業が15%です。各々の定義は業態によって異なりますが、製造業であれば、従業員数300人以下が中堅企業、20人以下が小規模事業者になります。

 

・ところが、小規模事業者の雇用者数は全体の2割ほどにすぎず、46%の日本人は中堅企業で働いています。小規模事業者は法人の数こそ多いものの、1社に働く従業員数が少ないため、雇用の総数は多いとはいえない。また、小規模事業者の創出付加価値は全体の14%にすぎない。日本の雇用者全体を考えれば、小規模事業者ではなく、中堅企業が最も核になります。

 今回の雇用調整助成金は企業の規模を無視した一律のもので、そのメリットを受けるのはほとんどが小規模事業者です。しかも助成の基準を最低賃金にしているので、その雇用比率が高い小規模事業者の恩恵が大きい。本来であれば中堅企業を守る政策を優先するべきにもかかわらず、小規模事業者を優遇している。いま本当に求められるのは、「多くの法人」に対してではなく、「多くの就業者」に対して支援を届けることなのです

 

・日本の厳しい財政状況は、人口減少によって今後ますます加速します。GDPが増えていない状況で際限なく財源を使うことは、将来世代への負担を徒に増やすばかりです

 

財政出動だけでは特効薬になりません。産業構造の改善策がないままでは逆効果です。繰り返し強調しますが、次世代への負担を考えれば野放図な措置はとるべきではありません。現実問題として、財務省もその考えは採用しないでしょう。

 忘れてはいけないのは、危機はコロナだけではないということ。もしも近い将来に大災害が起これば、その経済的打撃は計りしれない。経済被害と資産被害を合わせた額は首都直下型地震で778兆円、南海トラフ巨大地震で1410兆円に及ぶといいます。日本がコロナと震災の二重苦に直面したとき、放埓な財政政策のしわ寄せが未曽有の危機をもたらす事態は避けられません。

 

コロナ危機でも断行すべき最低賃金の引き上げ

・そもそも最低賃金を引き上げるべき理由は、日本の生産性を向上させるためです。日本がこの先、人口増加による経済成長を見込めない以上、国民1人ひとりが生み出す価値を高める必要がある。最低賃金で労働者を雇用する企業の多くは生産性の低い企業ですから、賃上げをすれば、生産性の確実な底上げが期待できる。さらに、最低賃金で働いている人は消費性向が高いため、経済効果に直結しやすいことがわかっています。今後デフレが懸念されるため、需要喚起はますます大事になってきます。

 

・たとえば英国では、1998年に最低賃金制度を導入し、その後20年間、段階的に2.2倍にまで引き上げました。その結果、生産性が1.7倍も改善しました。また失業率の上昇は見られず、実質賃金は向上した。最低賃金で労働者を雇っていた企業における雇用の悪影響はみられず、むしろ人件費の増加の対応策として生産性向上を試みたことが確認されています。失業率は大幅に低下しています。

 第二次安倍政権以降、最低賃金が引き上げられている事実は評価すべきですが、いまだにその基準は都道府県ごとに設定されています。雇用調整助成金は全国一律なのに、最低賃金がそうなっていないのは矛盾している。早急に全国一律の賃上げへと舵を切るべきです。

 

「中小企業が宝」との価値観から脱却を

・それを踏まえて日本企業の趨勢を中長期的にみると、「倒産・休廃業する企業が増える=失業者が増える」という論理は成り立っていない点が重要です。きわめて短期的な数字は別として、じつは企業数と雇用者数には相関関係も因果関係もありません。日本では1999年以降、倒産や休廃業により約124万社の企業が減っています。一方、その間に全体の就業者数は増えている。倒産・休廃業した企業のほとんどは社員数が一桁の小規模事業者であり、中堅以上の企業がなくなるよりは、全体の雇用者への影響がきわめて少ないからです。その労働者は中堅企業と大企業に移転しています。

 

・「中小企業が宝」という日本特有の価値観からいますぐにでも脱却すべきです。

 

高価格・高付加価値の観光戦略に転換せよ

――新型コロナによる経済的影響は業種によって異なります。とりわけ宿泊業、飲食業、小売り業等は大打撃を受けています。

アトキンソン) 自然災害の専門家はよく「災害はその国の弱点を攻める」といいます。今回の新型コロナも「天災」と捉えるならば、日本の産業構造の急所を突いているのかもしれない。この危機を契機に、日本経済を支える大本を強くする必要があります。政府は国の財政状況を見極めながら、産業構造の円滑な移行を進めるべきです

 

大きな転換点であると同時に、むしろチャンスだと捉えています。私はかねてより、日本は観光にもっと「稼ぐ」思考を取り入れ、高付加価値を生み出すべきだ、と主張してきました。先ほど述べたように、観光収入の半分を占める宿泊・飲食業は、ほとんどが小規模事業者です。これらの企業の生産性を上げなければ、インバウンド戦略の成功はありえない。

 生産性向上のためには設備投資が欠かせません。それができずに長年衰退している観光業は、コロナ禍を機に変わる必要があります。

 

・高価格・高付加価値の事業を展開するべきでしょう。アジアのような近接した国から短期間の滞在で来る人だけではなく、欧米など遠方から来る人や、世界の富裕層に長期間滞在してもらう戦略です。現在の価格から段階的に単価を上げていくことも求められます。渡航については相手国との交渉次第ですが、まずはプライベートジェットで来るような富裕層、次にFIT(団体旅行やパッケージツアーを利用しない個人での海外旅行)の人たち、最後に団体旅行客、このような順に制限を緩和していく。観光業は薄利多売ではなく、もっと単価と付加価値が高い戦略に転換すべきです。

 

日本のコロナ対応は奇蹟だったのか?

・日本のコロナ対応の評価は高いと思いますが、死亡の認定方法や情報開示の基準が各国で異なり、現時点では十分なエビデンスが揃っていないため、客観的な評価は難しい。たとえば、ジョンズ・ホプキンズ大学がまとめた統計によると、人口10万人当たりの死者数は5月25日時点で、ベルギーが81.53人と、主要国のなかで最多です。その数は、スペインの57.43人、イタリアの54.4人、英国の55.64人、米国30.02人よりも多い。一方、日本は0.66人で、驚異的な低さにみえます。ただし、ベルギーは他の多くの国と違い、感染未確認の老人ホームでの死者も当初から集計している。死者の認定基準やその精度が異なる以上、単純に比較することはできない、といわざるをえないでしょう。

 

・「日本はPCR検査の数が少ない」と指摘されますが、私もこの批判に首肯します。検査の目的は医療崩壊を防ぐ以前に、分析に必要な数字を得るためです。日本でPCR検査が重視されてこなかったのは、社会全体のデータへの意識の低さを物語っているように思います。次なる危機がいつなんどき訪れるかわかりません。その際の備えとしても、データからできる限りの教訓を得る必要がありますし、日本はこの点でもコロナ禍を機に意識を変えなくてはいけません。

 

<『コロナ時代の米中対決  エドワード・ルトワック』>

中国は「女優が死ぬ映画」を繰り返し観ている

――(奥山) 新型コロナウイルスの感染拡大により感染者の追跡・監視技術に注目が集まった。5Gや監視技術の次に来るテクノロジーの進化はどのようなものと考えているか。

(ルトワック) 「汎用人工知能」であり、これはすでに存在している。すなわち「AIの実際の応用」だ。米海軍であれ保険会社であれ、ほとんどの機関や組織はこのテクノロジーから目を背け、まるで自分がみなければ消えるとでも思っている。しかし、それは間違いだ。AIは印刷技術のような過去のテクノロジーとは異なる代物である。

 

ところが、現時点でAIを利用する欲望をもつ者は限定的だ。たとえば、アメリカの軍事関係者のほとんどはAIを正面からみていない。本来は自分たちの手法を変える必要があるし、現実に変わっていくというのに。

 今日、われわれはあまりに素早いテクノロジーの進化に直面している。そのため、多くの個人や企業、国や制度機関は、技術的に「時代錯誤の立場」に置かれている。弓矢を持って走り回るあいだに、相手はすでに機関銃で狙いを定めている

 

・――アメリカと中国は「新冷戦」ともいえる状況にある。新型コロナ禍はその対立を加速させるともいわれているが、どちらが勝つだろうか。

(ルトワック) じつに答えやすい質問だ。なぜならば北京は、歴史上の出来事を繰り返しているだけなのだから。私にいわせれば、中国人は同じ映画を何度も観返している人びとと同じだ。

 

米中のどちらが勝つかといえば答えはわかりきっている

・過去、いくつものランドパワー(大陸勢力)が海に出ようとしてシーパワー(海洋勢力)に行く手を阻まれた。シーパワーがランドパワーの隣国に働きかけて友人となるケースもある。もしあなたが隣国をもつランドパワーの国のリーダーならば、絶対に海に向かってはならない。

 

マクロなイノベーションを起こせる集団とは

・(ルトワック) いま中国で起きているのは、政府主導の技術開発だ。ところが開発を担当するのはほとんどが漢民族であり、国内の主要な三つか四つの大学を卒業した者ばかり。すなわち、彼らは極めて均質的で似通った思考をもっている。その事実が意味するのは、世界でもっともブレイクスルーを起こしにくい集団だということだ。

 

アメリカの「防御力」は格段に上がった

アメリカはトランプ政権下で防御力を向上させている。もはやサイバー攻撃だけではテクノロジーの窃盗を行なえず、中国系研究者を使うことや共同研究も困難だ。3年前まではアメリカには対中国のハイテク戦略は存在しなかったが、ここ1年で中国との「窓」を次々と効果的に閉めていると評価できる。

 

パンデミック下の競争の行方

・では、パンデミック下において、米中間の競争でどちらが勝つのかといえば、基本的には「どちらが柔軟性をもっているか」という点に左右される。中国側のシステムはトップダウンの中央集権型であり、すべての大事な意志決定は一人の人間によって下される。そしてこれは過去3年ほどでわかったように、極めて「遅い」。

 テクノロジーの競争においても、中国側の遅れは明確だ。

 

・たしかにバイオテクノロジーの分野では、彼らはいくらでもリスクある実験を行なえる。コウモリからネズミにタンパク質を移し替えるようなことを平気でやっている。もちろんこれは、今回の新型コロナウイルスとの関係を語るものではないが、私がいいたいのは、法的、科学的、そして倫理的な面での制約がないために、彼らはやりたい放題の状態にあるということだ。

 

・今回の新型コロナは、もちろんこうした実験の成果といいたいわけではない。しかし、彼らが遺伝子編集を行なっていることは事実である。

 

日本への「警告」

要するにV字回復とU字回復の2パターンがあるわけだが、私がいまどうみているかといえば前者だ。すなわち、経済は急速に回復する。しかし思い出してほしいのは、今回、緊急事態宣言が発令される前の状況は、すべてが最高潮に達していたということだ。

 

・日本に対しては警告的なメッセージを発しておきたい。それは「大戦略」という言葉では物足りない「国家戦略」レベルの最重要課題だ。大戦略とは諸外国とどう「組む」かを考えるレベルだが、国家戦略とはそれ以上の重要性がある課題と認識してほしい。

 これは過去数年にわたって話していることだが、日本の国家戦略は、日本人の母親が日本人の子供を産むことに尽きる。近代国家は、自らを支える納税者を育てなければならない。そしてそれを実現する唯一の方法は、子供を産むプロセスをできるだけ無料化することだけだ。日本は十分に豊かな国であり、より貧しい国が導入している政策をとれない道理はない。

 

アフターコロナの世界

・今回の新型コロナがもたらした唯一のメリットは、われわれにもっとも根本的なことについて考えさせてくれる機会を与えてくれた点だ。自分にとって何が重要で、何が重要ではないのか。重要なようにみえるが、じつはさほど重要ではないものは何か。

 いま、アメリカではさまざまな結果がもたらされている。

 

 

<『コロナ後のグローバル化を見据えよ  戸堂康之』>

コロナ前に進行していた米中経済の分断

新型コロナウイルス(以下、コロナ)の感染拡大を防止するため、世界各地は出入国を厳しく制限し、世界経済の分断が続いている。WTOの予測によると、2020年の世界の貿易量は最大で32%減少するという。

 感染が止まったあとの「コロナ後」の世界でも、国境を越えた貿易や投資が縮小したままグローバル化が衰退していくことは十分にありうる。

 

・まずコロナ前の世界をおさらいしよう。2008年のリーマン・ショック後、翌年の世界の貿易額は19%、対外直接投資額は46%減少した。しかも、その後も対GDP比ではリーマン以前の水準に戻っていない。

 

・時を同じくして、先進諸国では中国から安いモノが輸入され、競争が激化した製造業に従事する中間層の所得や雇用が減少した。

 

・その結果、アメリカの対中国輸出も中国の対米投資も激減している。コロナ前にも、米中経済の分断(デカップリング)が確実に進行していたのだ。

 

中国依存の見直しが進む

・この動きにコロナ・ショックは拍車をかけている。コロナ後には、次の三つの理由からグローバル化の衰退、とくに米中経済の分断がさらに進行する可能性が高い。

 第一に、グローバル化の進行がパンデミックを引き起こしたことや、コロナの影響によって世界各国で生産が縮小し、海外からの部品の調達に支障が出ていることから、グローバル化の経済的なリスクが再認識されている。

 

・第二に、欧米では発生源の中国に対する不快感が強い。

 

・第三に、安全保障上の問題もある。従来アメリカは医薬品の供給の多くを中国に依存していた。たとえば、抗生物質の90%が中国からの輸入であった。

 

・このことは、医薬品のサプライチェーンにおける中国依存が安全保障上の脅威になっていることを浮き彫りにした。だから、今後ITだけではなく、さまざまな産業分野で安全保障面から中国依存の見直しが進むだろう。

 貿易だけではない。現在、国有企業を含む中国企業が、株式が暴落している海外の先進国の企業を買収しようとする動きが活発化している。

 

グローバル化を縮小させるな

・このようなグローバル化の縮小、米中分断の流れのなか、日本はコロナ後の世界をどのように進んでいくべきだろうか。

 まずはっきりしているのは、グローバル化に背を向けるべきではないことだ。

 

・近い将来の発生が予測される南海トラフ地震では、太平洋沿岸の日本の主要な産業集積地が大きな被害を受けるだろう。

 

だから、コロナの被害に怯えてグローバル化を縮小させるのではなく、むしろグローバル化を拡大していくことが、コロナによる経済縮小からV字回復し、次の経済ショックに対応するために必要なのだ

 

多様なネットワークの構築を

とはいえ、コロナ後の世界ではこれまでどおりのグローバル化では問題があることもはっきりしている。

 そもそも、コロナ前には日本はグローバル・サプライチェーンのなかで中国に依存しすぎていた。だからこそ、コロナ・ショック当初に中国で感染拡大が起きたときに、中国からの部品や素材の供給が途絶して日本国内の生産も大幅に縮小せざるをえなかったのだ。

 

中国は欧米と活発な国際共同研究で海外の知識を吸収し、2019年の国際特許の申請数ではアメリカを抜いて世界一となった。

 中国に比べると、日本は海外と多様なネットワークを構築できていない。それが、長期にわたって経済が停滞している要因なのだ。だから、行きすぎた中国依存を下げるのが必要だとしても、さらに大事なのは国内回帰せずにより多くの国とつながることだ。

 

・たとえば、米中の部品貿易総額は日米の3倍近い。米中の分断によって先細っていくだろうこの関係に割って入るのは不可能ではない。ただし、アメリカの雇用を奪う形では、アメリカの反感を買っている中国の二の舞になる。だから、アメリカでの生産拠点の設立や、生産管理技術や研究開発での連携ともセットで、日米のウィン・ウィンのつながりにしていくことが望ましい。

 

信頼関係に基づく強いつながり

・海外と重層的なネットワークを構築したほうがよいのは、相手とより強くつながれるからだ。

 コロナ・ショックは、多様なつながりだけでは十分ではないことを明らかにした。世界中で生産が縮小しているときには、多様につながっていても不足した供給の代替先を見つけることは容易ではない。自国ファーストの流れのなかで、国内供給を優先して海外への供給をストップするといったケースも多々起きている。

 

・だからこそ、日本経済が今後さらにグローバル化していくときには、サプライチェーンだけではない重層的で強靭なネットワークの構築をめざすべきだ。

 信頼関係に基づく強いつながりの構築には、相手が困っているときに助けることが前提となる。日本でもコロナの感染が拡大しているとはいえ、諸外国に比べるとその影響は比較的軽い。だから、コロナ後の世界を見据えて、いまこそ日本が感染拡大に苦しむ国々に支援をするべきではないだろうか。

 

経済と安保を分けた国際ルールが必要

・このように、日本は中国依存を減らし、より多様に強いつながりを先進諸国と構築していくべきだが、これは基本的には供給途絶のリスクを減らすためであり、日中経済を分断したほうがよいということでは決してない。

隣国であり、市場が大きく、生産力、技術力も高い中国との経済関係を切ってしまうのは、日本の経済的利益から考えてありえない選択だ

 とはいえ、冒頭で述べたように中国との貿易・投資関係には安全保障問題が絡んでおり、それにも対処せねばならない。そのためには、経済と安全保障を切り分けるための新しい国際ルールが必要だ。安全保障を理由として貿易を制限できることはWTOでも規定されているが、必ずしも明確なルールとなっていない。だから、交渉中の日中韓自由貿易協定に、どのような品目・業種については安全保障上の理由で貿易・投資を制限できるかを規定し、安全保障上の問題を緩和するべきだ。

 

なお、これは対中国の問題だけではない。コロナ・ショックでは、医療・衛生物質の輸出禁止や外資の制限などが各国で見られた。これらはWTOなどの既存のルールの枠内とはいえ、濫用するのは避けるべきだ。だから、これらについてより詳細で具体的な国際ルールがより多くの国々の参加の下で規定されることが望まれる。日本はそれを主導すべきだろう。

 また、日本と中国との関係には歴史や領土に関わる感情的な問題があり、経済や安全保障上の利害を超えて対立が激しくなりがちだ。その点については、社会交流を根気よく行なっていくことが肝要であろう。

 

・それは、日本だけではなく欧米諸国も同様だ。コロナ感染拡大初期の欧米でのアジア人に対する差別行為の横行は、残念ながら欧米人の本音を見た気がした。しかし、コロナ後にはそのような感情には蓋をして、あくまでも経済や安全保障上の利害を基にして冷静に中国との関係を考えてもらいたい。

 

・コロナ後の世界では、一部の国でグローバル化が縮小するかもしれない。しかし中国は違う。コロナを世界に先駆けて抑え込んだことで、これを機会にさまざまなグローバル・ネットワークにおいて中国の地位を強化しようとすでに積極的に活動を始めている。たとえば、感染被害の大きいイタリアに対して、感染症を予防するための「健康のシルクロード」を構築しようと呼びかけている。世界各国に大規模な医療支援を展開してもいる。だから、コロナ後の世界でも中国のグローバル化はさらに急速に拡大していくはずだ。

 そのなかで、日本がグローバル化に背を向けてしまえば、経済面でも安全保障面でも日本の未来はない。官民は覚悟をもって世界で多様に強いつながりを拡大していってもらいたい。