日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

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多くの感染症専門家が、今後も似たような感染爆発が発生する可能性が高いと指摘しており、感染症の問題は今回だけにとどまるものではありません。(1)

 

『日本は小国になるが、それは絶望ではない』

加也珪一    KADOKAWA   2020/10/9

 

 

 

豊かな社会

少子高齢化がもたらす経済縮小の結果、ほぼ確実に日本は「小国」になります。しかし、小国になるということは、豊かな社会を構築するチャンスでもあるのです。

 

新型コロナウイルス

2019年の年末以降、全世界で猛威を振るっている新型コロナウイルスは、現代社会の常識を大きく変えようとしています

 これまでの経済は、大量のモノや人が社会を行き交うことで成り立っていました。

 企業は1円でも安く製品を調達するため、全世界にサプライチェーンを張り巡らし、たとえ地球の裏側からであってもモノを運んでいました。

 

・大量の人やモノを遠くに、そして短時間で運ぶために、石油を中心に多くの資源が使われてきましたが、コロナウイルスの感染拡大によって、各国はこうした従来型価値観からの転換を迫られています。

 

・大量生産、大量消費、大量移動の時代から、コンパクトでスマートな時代へのシフトが始まっており、コロナ危機はひとつのきっかけに過ぎません。一連の時代の変化は、安い製品を大量生産し、ひたすら規模の拡大を目指してきた日本経済にとって、極めて大きなインパクトをもたらすことでしょう。

 

・これまで、日本が経済大国であることは多くの人にとって当たり前の常識でした。

 実際、日本のGDPは、中国にこそ抜かされましたが、2019年時点でも世界第3位ですから、数字上は依然として経済大国のままです。当然のことながら、政府が立案する政策も、日本が経済大国であることを前提としたものがほとんどでした。

 

GDPというのは人口だけで決まるものではなく、資本投入量やイノベーションの度合いなどによって変わってきますが、人口が大きなファクターであるのは紛れもない事実です。GDPが大きい国というのは、ほぼ例外なく人口が多いという現実を考えると、日本は近い将来、確実に大国の地位から転落することになります。

 

・GDPの規模が小さくなった場合、基本的に高い買い物を強いられますから、そのような環境でも豊かな暮らしを実現するためには、所得を向上させ、高い購買力を確保しなければなりません。端的に言ってしまうと、小国として生きていく場合、1人あたりのGDPを大きくしなければ、豊かな生活は実現できないのです。

 

一方で小国には大国にないメリットがあります。

・これらの豊かな小国・地域をじっくり観察すると、3つのカテゴリーに分類できることがわかります。ひとつは北欧に代表される超高収益製造業に特化する国、もうひとつは香港やスイス、ルクセンブルクに代表される金融立国、そして最後はオーストラリアやニュージーランドといった消費立国です。

 日本が小国としてうまく生きていくには、小国として成功しているこれらの国々を参考に、独自の国家戦略を立案していく必要があるでしょう。

 筆者は、これからの日本は、個人消費を中心に経済を回していく消費主導型経済にシフトすべきだと考えていますが、そのためには従来型の産業構造から脱却し、新しい形態にシフトしなければなりません。

 

先ほど説明したように、コロナショックは日本経済に大きな変化をもたらそうとしており、その方向性は、多くが「小国」を向いています

 

・世間一般では、40歳以下の人たちは、豊かで元気な日本を体験することはできないとされていますが、筆者はそうは思いません。輸出依存からの脱却や消費主導型経済など、筆者が本書で主張している内容は目新しいものではなく、1980年代からずっと指摘され続けていたことです。つまり消費主導型経済へのシフトは歴史の必然であり、本当の豊かな社会はこれからやってくるべきものだからです。失われた30年は、何かを失ったのではなく、さらに豊かになる機会を逃し続けた30年だったと考えるべきでしょう。

 

100万都市が毎年1つずつ消えていく時代

・2025年における人口は1億2254万人、2030年は1億1912万人、2040年には1億1091万人と急激に人口が減少し、2053年にはとうとう1億人を割り込みます。これは人口70~80万人程度の大都市が毎年1つずつ消滅していくペースですが、2100年にはなんと6000万人を下回る見通しです。つまり日本の人口が半分になってしまうわけです。

 

・このまま出生数の低下が続いた場合、人口減少のスピードはさらに上がることになります。先ほど紹介した人口推計には出生率が低く推移した場合のデータもあるのですが、これは少々戦慄を覚える結果となっています。

 人口が1億人を割る時期は2049年と4年早くなり、2054年には9500万人を、2077年には7000万人を割り込み、2100年にはなんと4906万人まで人口が減ってしまいます。先ほど70万都市が毎年1つずつ消滅するペースと書きましたが、この場合には100万都市が毎年1つずつ消滅してしまいます。

 

・人口と経済成長には密接な関係があり、日本の経済成長は人口増加によってもたらされてきた面が大きいというのは紛れもない事実です。

 

今、子どもの数を増やすのは物理的にほぼ不可能

・この話を聞いて、多くの人が少子化対策を充実させるべきだと考えたのではないかと思います。実際、人口減少を食い止めるのは少子化対策しかないのですが、これを実現するのは簡単なことではありません。

 なぜなら、人口動態というのは50年、100年という長い単位で動くものであり、今からではすでにタイミングが遅すぎるからです

 

・このところ想定以上に出生率が低下しているのは、若年層が子どもを作ることを望まなくなったからではありません。日本人の経済力の低下が著しく、平均的な所得の人にとって、もはや子どもを育てることは容易ではなくなったことが原因です。

 

・非常に残念なことですが、マクロ的な状況を考えると、今後、出生率が高まり、人口が増加に転じる可能性はほぼゼロに近いと考えた方がよいでしょう。つまり人口の急激な減少は、ほぼ100%の確率で起こる現実なのです。

 

人口の多い国は総じて大国

・全世界には200近くの国家が存在しますが、5000万人以上の人口を持つ国は28ヵ国しかありません。人口という点に限っていえば、5000万人以上の人口を有しているのかが大国かそうでないかを分ける一つの境目といってよいでしょう。

 もちろん国によって技術水準が異なりますから、人口が多ければ豊かとは限りませんが、人口の多い国はGDPも大きくなる傾向が見られます。

 

もはや輸出立国ではない

・日本が製造業の国ではなく、消費で経済を動かす国にシフトしているという現実は、世界の輸出シェアに顕著にあらわれています。

 全世界の輸出における日本のシェアは、1980年代にドイツに肉薄したこともありましたが、その後は一貫して低下が続いており、2018年にはわずか3.7%にまで低下しています。

 

・つまり今の日本は、製造業による輸出主導型経済から、個人消費や政府支出を軸にしたコンパクトな消費主導型経済にシフトしていることがGDPの項目の変化からもおわかりいただけると思います。

 

アベノミクスで輸出は増えていない

・もしアベノミクスによる効果で本当に日本メーカーの競争力が高まったのであれば、金額に加えて数量も増えているはずです。数量が伸びていないということは、日本メーカーが製造する製品の売れ行きは依然と変わらないということですから、輸出が強化されたとは言えないわけです。

 

日本はすでに投資でメシを食う不労所得の国

・2019年におけるサービスを含んだ貿易収支の黒字はわずか5000億円しかなく、これに対して所得収支の黒字額は21兆円にもなります。日本は名実ともに、そして望むと望まざるとにかかわらず、「投資でメシを食う国」になっており、もはや輸出によって外貨を稼ぐという状況ではないのです。

 

・成長性や持続性がある企業に投資し、必要に応じてそのポートフォリオを入れ換えていけば、半永久的に投資収益を得ることができます。このようにして一定の投資収益を確保しつつ、国内の消費が活発になる政策にシフトすることが求められます。

 

世界は3つのブロックに分断されつつある

・一方、欧州は英国のEU離脱など多少の行き違いはありましたが、基本的にはEUとしてまとまる方向性は明白です。

 そうなってくると、世界経済は近い将来、米国圏、中華圏、欧州圏の3つに集約されていく可能性が高まってきます。

 

OECDの長期予測によると、2060年時点における北米のGDPは約43兆ドル、欧州は33兆ドル、中国は63兆ドル、日本は7.9兆ドルとなっています。

 

・こうしたタイミングで発生したのが、新型コロナウイルスによる感染拡大です。感染症の専門家は今後も、似たような感染爆発が何度も発生すると予想しており、企業は全世界に拡大したサプライチェーンの見直しを迫られています。

 

日本は消費立国になるしかない

・もし、日本が経済大国として各国に工業製品を輸出するという従来モデルを継続した場合、一連の環境変化は日本にとって極めて大きな逆風になると考えられます。しかし、それはあくまで日本経済の仕組みを変えられなかった場合の話です。

 

・消費主導で経済を回すためには、国内サービス業の付加価値を上げ、サービス業の労働者の賃金が上がるよう誘導していかなければなりません。

 

戦後日本の本当の姿

日本が高度成長できたのは偶然?

・日本が戦後、驚異的な経済成長を実現し、高い産業競争力を獲得できたのは、日本人が勤勉であったことに加え、政府の産業政策が大きな成果を上げたというのが通説となっています。日本人が必死の努力をしたのは事実であり、これを否定するつもりは毛頭ありませんが、それだけを奇跡的な高度成長の理由とするのはやはり無理があります。日本人の優秀さについても同様です。

 

筆者は、戦後、日本経済が特に高い成長を実現できたことの背景には、2つの偶然が重なったと考えています。ひとつは朝鮮戦争特需であり、もうひとつは全世界的な産業構造の転換です

 

輸出は国内事情とは無関係に決まる

・もうひとつの偶然は全世界的な産業構造の転換です。

 戦前の時代までは、軽工業の比率も高く、全面的に重工業へのシフトが進んでいるとはいえない状況でした。ところが戦後になって欧州の経済復興が進み、工業生産が全世界的に拡大し、消費者の生活が急激に豊かになってきました。

 

・経常収支の黒字・赤字は経済成長とは直接関係しませんが、経常収支と産業構造は相互に関連しており、輸出産業中心の産業構造を維持したまま経常収支が赤字になると、多くの業界にさまざまな悪影響が及びます。日本は経常収支の変化を前提に、新しい産業構造を構築する必要があるでしょう。

 

日本は投資で儲ける国に変貌している

・2019年における日本の経常収支は約20兆円の黒字でした。

 ここ数年、日本の経常収支は20兆円前後の黒字をキープしていますが、黒字の多くは海外への投資などから得られる所得収支(投資から得られる利子や配当)です。

 経常収支は主に貿易収支と所得収支で構成されますが、2019年における貿易黒字はわずか3800億円に過ぎず、サービス収支を加えても5000億円しかありません。一方、所得収支は21兆円もあり、経常収支のほとんどを所得収支で稼いでいる状況です。

 

日本の所得収支の多くは証券投資から得られる利子や配当でしたが、近年は状況が大きく様変わりしており、直接投資から得られる収入の割合が高まっています。これは、海外への投資が証券投資から直接投資へとシフトしたことが原因ですが、その大半はメーカーの現地生産と考えられます。

 

経常赤字は必ずしも悪いことではない

・筆者は、これまで、「経常収支が赤字に『転落する』」など、経常赤字は悪いことであるというニュアンスで文章を書いてきました。経済学的に厳密な話をすると、経済成長と経常収支は直接、関係しませんから、経常収支が赤字なのか黒字なのかは、あくまで状態を示しているだけであり、良いことでも悪いことでもありません。

 

・日本経済は、日本人自身の消費で経済を回す消費主導型経済に徐々にシフトしており、国内の産業構造もそれに合わせた形に変革していく必要があると筆者は考えます。具体的には、日本の主要産業に躍り出た国内サービス業の生産性を向上させ、賃金を引き上げることです。

 

小国が豊かになる方法

IMFが2020年2月に公表した対日報告書によると、日本は少子高齢化という長期的リスクを抱えており、今の政策を続けた場合、40年間でGDPが25%も下振れすると指摘しています。

 

成長率を決めるのは、資本、労働、そして生産性

・マクロ経済の供給面において、経済成長を実現する要素というのは基本的に3つしかありません。資本、労働、生産性(イノベーション)です。単純に言ってしまうと、より多くの責任と労働力を投入し、生産性が高いほど経済は成長するという仕組みです。

 しかしながら、むやみに資本や労働力を投入すればよいというものではありません。

 

企業の生産性を上げれば成長は可能

・この結果は、このまま何もせず人口減少を放置した場合、日本のGDPは大幅な減少が避けられないことを意味しています。もし日本のGDPが大幅に減少すれば、十分な税収を確保できず、年金や医療などの社会保障費もカバーできなくなるでしょう。

 

・そうなってくると、人口が減っても高い成長を維持するためには、全要素生産性(経済全体の生産性の高さを示す)を引き上げることが何よりも重要となります。逆に考えれば、生産性を上げることさえできれば、人口減少が進んでも経済成長が可能となります。

 

・では、日本の生産性というのは現在、どの程度の水準であり、今後、どれだけ伸びる余地があるのでしょうか。すでに多くの人が認識していると思いますが、日本の労働生産性は諸外国と比較して著しく低い水準にとどまっています。

 日本生産性本部がまとめた2018年における日本の労働生産性(時間あたり)は46.8ドルとなっており、主要先進国の中では最下位でした。1位の米国は74.7ドル、2位のドイツが72.9ドル、3位のフランスは72.2ドルとなっており、日本の1.5倍から1.6倍も生産性が高くなっています。

 

・つまり企業の生産性が向上すると、余剰の労働力が生まれ、これが新しい生産に従事することで、GDPが拡大するというプラスの循環が発生します。このプラスの循環が人口減少を上回れば、人口減少化においても、持続的な成長を実現できるわけです。

 

もっとも生産性が高いのは金融立国

・では、諸外国の中で、どのような国が高い労働生産性を実現しているのでしょうか。

 次ページの表は、2018年における労働生産性と人口を示したものです(人口については2019年)。1位はアイルランド、2位はルクセンブルク、3位はノルウェー、4位はベルギー、5位はデンマークとなっています。上位15カ国を見ると、人口が少ない小国が多いことがわかります。一般的な傾向としては、小国の方が生産性向上には有利ということになるでしょう。

 もっとも、米国だけは別格で3億3000万人もの人口を抱えながら、欧州の小国と同レベルの生産性を実現しています。

 米国というのは、エネルギーと食料をすべて自給することができ、先進国としては珍しく一貫として人口が増え続けるという極めて特殊な国です。日本をはじめ他国が参考にするのはかなり難しいと考えた方がよさそうです。

 

・金融立国の国民は総じて教育水準が高く、複数の言語を使いこなすのが普通ですが、国民のスキルが高いことや、税率が低いことについて魅力を感じるのは金融機関だけではありません。付加価値の高い製造業にとってもそれは同じことです。

 アイルランドルクセンブルク、スイスという環境がまったく異なる3国が、金融センターであると同時に諸外国から製造業を誘致しているという共通点があることは注目すべきことでしょう

 

超高付加価値製造業の力

アイルランドルクセンブルク、スイス(アジア地域で香港、シンガポール)といった国や地域は、それぞれに特長はあるものの、基本的に、低い税率や緩い規制、高い教育水準などを武器に、金融やIT、製薬など付加価値の高い産業を誘致し、これをベースに経済を発展させていることがわかります。

 

ドイツは、GDPは日本よりやや少ないものの、国際社会に対する影響力は米国に次ぐレベルであり、超大国の部類に入ると考えてよいでしょう。しかしながら、国の産業構造という点では、小国のスウェーデンフィンランドに近いものがありますから、ここではドイツについても取り上げます。

 ドイツは説明するまでもなく、世界屈指の工業国として知られています。

 ドイツのGDPは日本よりも小さいのですが、ドイツの輸出額は190兆円と日本の2倍以上もあり、まさに輸出で経済を成り立たせているといっても過言ではありません。

 ドイツには自動車、医療機器などの各種産業機器、医薬・化学などの分野において、極めて競争力の高い企業がたくさんあります。

 

ドイツは高付加価値製造業での競争力を維持するため、英語教育に力を入れており、英語圏には属さない主要国としては、極めて高い英語通用力を誇っています

 安価な製品を大量生産する時代であれば、あまり語学力は関係しませんが、顧客の問題解決を支援するような付加価値の高い製造業にシフトする場合には、高い語学力が必須となります。

 

バーベキューとワーホリで経済を回すオーストラリア

・先ほどの生産性ランキングを見ると、金融+先端産業で稼ぐグループにも、製造業に特化するグループにも入らない国があります。それがオーストラリアです。15位までに入っていませんが、ニュージーランドやカナダといった国も近い形態と考えてよいでしょう

 日本ではオーストラリアは鉄鉱石などの輸入先であることから資源国というイメージを持つ人が少なくありませんが、それは同国経済の一面を切り取った姿にすぎません。同国はGDPの8割近くをサービス業で生み出す典型的な消費立国となっています。

 

・ワーキングホリデー(通称ワーホリ)というのは、2国間の協定に基づき、休暇を楽しむ外国人を相互に受け入れ、滞在資金を捻出する目的に限って一定の就労を認める制度です。期間は1年から2年で、原則として利用者はひとつの国について1回しか利用できません。

 

・つまりオーストラリアには、知的能力や体力があり、しかも単純労働に従事する意欲のある若者が、期間限定で常に20万~30万人存在する計算になります。彼等はあくまで国際交流のために訪問していますから、1年(もしくは2年)経過すれば、ほぼ100%母国に帰っていきます

 オーストラリアはこのようにして、単純労働者が国内に永住することを回避しつつ、人手不足の問題をうまく解決しているのです

 

高い生産性を実現する3パターン

・これまでの議論をまとめると、小国でも高い生産性を実現している国には、次の3つのパターンがあることがわかります。

  • 金融+先端産業
  • 高付加価値製造業
  • 消費経済

 

  • の金融+先端産業はアイルランド、スイス、ルクセンブルクなどが該当します。アジア地域ではシンガポールや香港などが近い形態といってよいでしょう。
  • の高付加価値製造業は、スウェーデンフィンランド、オランダなどに見られる形態で、極めて競争力の高い製造業の設備投資によって経済を回していくという戦略です。
  • 消費経済は、製造業に頼らず、国内消費を成長のエンジンにするというもので、オーストラリアやニュージーランドがこれに相当します。

 

日本はどれに属するのか?

・日本はこれまで、製造業の設備投資が経済を主導してきましたから、あえて分類すると②に近い存在だったとみなすことができます。ところが近年、日本の国際競争力は著しく低下しており、製造業で世界をリードするというのはほぼ不可能という状況になりつつあります。

 スイスのIMD(国際経営開発研究所)が毎年発表している世界競争力ランキングでは、日本は年々順位を落としており、2019年はなんと30位にとどまっています。

 

消費で経済を回す仕組み

・消費を拡大させるためには賃上げが必須

・生産性が上昇しないと賃金は上がらない

・ビジネスのIT化は必須

・社会人教育の重要性

・年金の正確な見通しを示すことが重要

 

コロナ危機は小国シフトを加速させる

新型コロナウイルスによる感染拡大は、日本経済に深刻な影響を与えています。多くの感染症専門家が、今後も似たような感染爆発が発生する可能性が高いと指摘しており、感染症の問題は今回だけにとどまるものではありません

 多くの人が、今回のコロナショックをきっかけに、社会のあり方が大きく変わると感じ始めているのではないでしょうか。具体的に何がどう変わるか現時点では正確にはわかりませんが、少なくとも、これまでとはまったく異なる新常態(いわゆるニューノーマル)が始まる可能性は高そうです。

 

コロナが変える日本の雇用

・私たちが、今、もっとも気にしているのは、やはり雇用や賃金への影響でしょう。

 これまでの日本は、若年層人口の減少などから人手不足が深刻となっており、失業率は空前の低さで推移してきました。今回のコロナ危機では、営業自粛などによって仕事を失う人が増加し、失業率は上昇に転じています。

 

会社と個人の関係が変わる

・一昔前であれば、こうした危機が発生した時には、政府が企業を支援するという形で十分なコンセンサスが得られていたはずですが、今回のコロナショックで国民が政府に強く求めたのは、家計や個人に対する直接的な支援でした。これは、多くの日本国民にとって、もはや企業というのは、自分を守ってくれる存在ではないと認識し始めたことの裏返しです

 

・企業と労働者がドライな契約関係になれば、個人が無制限にリスクを負うことなく、企業は果敢にリスクに挑むことができるので、企業本来の潜在力を100%発揮することが可能となります。

 

ベーシックインカム

・コロナ危機によって、社会保障に対する価値観にも変化の兆しが見え始めています。英国のジョンソン首相が、コロナ対策の一環としてベーシックインカム(BI)の検討を進める考えを示したことはその典型といってよいでしょう。

 ベーシックインカムは全国民に無条件で最低限の所得を保障する制度です。

 

なんと言っても、BIにおける最大の懸念材料は財源でしょう

 フィンランドのケースでは1人あたり月額560ユーロ(約6万7000円)を配るというものでしたが、仮に日本において全成人(20歳以上)に月額7万円を配るとすると、毎年88兆円もの財源が必要となります

 日本政府の一般会計予算は約100兆円しかありませんから、今のままでは到底、実現は不可能です。一方で、日本政府には、一般会計とは別に、公的年金に約52兆円、医療に43兆円、介護に10兆円、合計105兆円の社会保障関連の支出があります(一部、一般会計と重複)。

 年金受給者にBIを支給しなければBIの給付金額を58兆円に減らすことができ、BIの給付を月5万円にするとさらに41兆円まで下げることができますから、ここまでくると、あながち不可能な話ではなくなってきます。もちろん、まだ財源は足りませんから、医療制度を自助努力型に変えるなど、さらなる歳出見直しを実施しない限り、現実的に導入するのは困難でしょう。

 

サプライチェーンの見直し

・コロナ後に訪れる新常態は企業のビジネスモデルにも大きな変化をもたらしそうです。もっとも影響が大きいのは、自動車や電機など、グローバルなサプライチェーンに依存してきた業界でしょう。

 

深刻なモノ不足の背景

サプライチェーンの再構築と同時に、海外依存に対する見直しの動きも活発化してくる可能性があります。

 

韓国に依存するアルコール輸入

・政府の戦略にも大きな問題があります。

 消毒用アルコールが不足した原因はやはり輸入依存度の高さが原因なのですが、問題はそれだけではありません。

 調達先を多様化していれば、リスクを分散したり、急激な需要増大にも対処できますが、日本の場合、原料輸入の多くをブラジル一国に依存しており、柔軟性に欠ける体制となっていました。調達の多様化を進めていれば、ここまでの不足は発生しなかったかもしれません。

 

フィンテックの拡大

・企業の生産性を向上させるためには、社会のIT化が不可欠ですが、日本はこの部分でも諸外国に大きく遅れを取ってきました。しかしながら、今回のコロナ危機によって、遅れていた日本のIT環境にもようやく変化の兆しが見えてきました。

 

ニューノーマルを象徴する5つの変化

・このほかにも、コロナ危機が経済や社会の仕組みを大きく変えそうな分野はたくさんあります。ここまで解説してきたことと一部重複しますが、コロナ後にやってくるニューノーマルについていくつか列挙したいと思います。

 

  • リモートワーク
  • ネット通販の置き配
  • キャッシュレス決済
  • 食事のデリバリー
  • 情報システムのクラウド

 

コロナ危機が変化を後押し?

・今回のコロナ危機は、日本が消費経済を主体とした小国にシフトするきっかけになると筆者は考えています。歴史を後から眺めた時、このタイミングが戦後日本の一大転換点だったと認識される可能性はかなり高いのではないでしょうか。

 

小国として生きていくために

小国として生きていくための3原則

・では、消費者のマインドを前向きにし、活発な消費を実現するためには、何が必要でしょうか。筆者は以下の3つがカギを握ると考えています。

  • 全員参加
  • 多様性
  • 平等

 

役割分担は昭和的な思考回路の産物

消費主導型経済では、基本的に全員参加が原則となります。

 老若男女問わず、全員が何らかの経済活動を行い、所得を得ることで消費経済というものはまわっていきます。昭和の時代によく見られた、夫は会社で働いて、妻は家で家事という役割分担は、消費社会にはあまり馴染みません。

 

画一化された思考回路が消費を抑制する

・多くの人が所得を得て、そのお金を自らの価値観に基づいて支出するという主体的な経済活動が行われなければ、消費の拡大は実現しないでしょう。

 

リーダーの概念が変わる

・消費主導型経済を順調に発展させるためには、必要に応じて適切な人材を組織のトップに据える柔軟性が必要不可欠なのです。

 

ホンネとタテマエの区別をやめる

欧米よりも生産性が低いという厳しい現実を受け止め、実質的な部分から改善していかなければ、豊かな消費社会を実現することはできません。

 

消費者意識の改革も必要

日本は諸外国と比較して、人口あたりの企業数が多く、これが生産性を引き下げているという問題も指摘されていますが、社会の仕組みをもっとオープンにし、受けたサービスにはしっかりと対価を支払う仕組みにすれば、必然的に企業の淘汰が進み、会社の数も適正化されていきます。

 

消費主導型経済への移行

結局のところ、すべてのカギを握っているのは、本書において何度も指摘している、企業の生産性です。

 近年、日本ではこうした現実を直視せず、一方的に日本を賛美することが愛国的であるとの風潮が蔓延しています。加えて、本書で指摘しているような地道な改革を忌避し、一発で物事が解決できる(かのように見える)派手なマクロ政策にばかり関心が集まる傾向も顕著です。しかし、こうした態度は本当に国を愛しているとはいえません。不都合な事実としっかり向き合い、その解決に向けて粘り強く努力することこそが、真の意味で愛国的な態度だと筆者は考えます。