日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

コンタクティやチャネラーの情報を集めています。森羅万象も!

Qアノンの主張によると、この世界は悪魔崇拝者による国際的な秘密結社によって支配されている。国際的な秘密結社はディープ・ステイトやカバール(陰謀団)の強い影響下にある。(1)

 

 

(2021/11/30)

 

 

『誰もが知りたいQアノンの正体』

みんな大好き陰謀論

内藤陽介  ビジネス社  2021/5/25

 

 

 

Qアノンとは?

ネット上でトランプが悪の組織のディープ・ステイト(闇の政府)と戦っていると情報を流している大本。そもそも日本の2チャンネルの影響を受けて米国でスタートした4チャンネルから別れた8チャンネルで登場したQであった。ハンドルネームQの投稿が拡散されて大きなQアノン現象を生み出したのだ。

 Qアノンの主張によると、この世界は悪魔崇拝者による国際的な秘密結社によって支配されている。国際的な秘密結社はディープ・ステイトやカバール(陰謀団)の強い影響下にある。彼らは合衆国を含め、基本的にすべての有力政治家、メディア、ハリウッドをコントロールしているが、その存在は隠蔽されている。ディープ・ステイトについて従来は多くのことが秘匿されていたのだが、トランプが2016年の大統領選挙で勝利したことで、闇の組織ディープ・ステイトの存在が広く世間に知られるようになったトランプは、まさしくディープ・ステイトと戦うために大統領になったのだ、という。

 

決め手は集計ソフト・ドミニオン

・米国の大統領選挙後まもない2020年末から2021年初めにかけて、こんな感じのツイートが一部のネット界隈を賑わせました。

 

 加藤清隆(文化人放送局MC) 2020年11月17日

 今回もし米大統領選で“大逆転”が起きるとしたら、決め手は集計ソフト・ドミニオンのフランクフルト下にあるサーバーを米軍が急襲し、押収したこと。これで不正の全容が判明する。12年前から計画されていたとされ、オバマ氏らが事情聴取を受ける可能性も。また中国絡みではバイデン候補の聴取があるかも。

 

 ツイート主は、大手通信社で米国特派員や政治部長、解説委員などを歴任したジャーナリストで、他にも、作家の百田尚樹氏ら「保守系」とされる言論人が似たような内容のツイートを盛んに行っていました。

 

もちろん、このジャーナリストがツイートしたような内容の事件は、実際には起きていません少なくとも、実際にそうした事件が起きた確たる証拠は現在まで報告されていません)。

 端的に言ってしまえば、単なるガセネタだったわけで、彼らが拡散しようとした「フランクフルト奇襲作戦」は、ごく一部の人々を除き、日本社会の大半からはほとんど相手にされずに終わりました。そもそも、そうした話が一部のネット界隈で話題になっていたことさえ知らないという人の方が多数派でしょう。

 

さて、前作『みんな大好き陰謀論』がおかげさまで好評をいただいたことを踏まえ、今回、その続編を刊行することになりました。当初の企画は、前作で取り上げたユダヤ陰謀論以外のさまざまな陰謀論を俎上に載せるつもりでいたのですが、昨年秋以降の情勢を鑑み、今回は、昨年の大統領選挙をめぐって流布したガセネタの元になっている陰謀論、なかでも、Qアノンと「ディープ・ステイト」の問題点に、歴史的・宗教的な背景も踏まえて、じっくりと考えてみることにしました。

 

ドイツ・フランクフルトのサーバーを米軍が急襲 ⁉

・すでに知られているように、国防総省は、CIAがフランクフルトで運営しているサーバ・ファーム(サーバが設置された施設)に奇襲作戦を仕掛けた。CIAが2020年の選挙に介入したこと(つまりドミニオン投票機械を使って選挙結果を不正操作するバック・ドア)を示す確たる証拠が保管されたサーバを保護するためだった。

 

・「陰謀論」;集計マシーン製造企業ドミニオン社が票を不正操作したためにトランプが負けた!

 

トランプ敗北の裏にドミニオン社の陰謀 ⁉

・日本では、選挙用機材を独占的に提供しているムサシの陰謀がささやかれます。これについては拙著『みんな大好き陰謀論』の冒頭で触れましたが、その北米版がドミニオン社です。

 

・「陰謀論」;ドミニオン社製品で使用される票読み取りソフトは、スマートマティック社の提供による。スマートマティック社の会長、ピーター・ネッフェンジャーはバイデン陣営のボランティアをしており、政権移行チームのメンバーにもなった。ドミニオン社自体は無実だが、同社の関知しないところで、製品のソフトを通じてバイデンとつながりの深い人物が票を操ったのだ。

 

投票数が合わない ⁉ デマは世界を駆け巡る

デマ1;ミシガン州の19の選挙区では投票率が100パーセントを超えた。

デマ2;ウイスコンシン州の登録有権者は312万9000人なのに、投票数が323万9920人あった。

デマ3;デトロイトの開票所では、早朝、大量の票が運び込まれていた。

デマ4;ミシガン州の郵便投票の中には死者1万人が含まれている。

デマ5;有権者名簿は改竄されている。

 

連邦議事堂侵入事件は米国の国体をゆるがす大事件

君にもなれるQアノン

Qアノンとは何か?

・ブレナンが厳しい8chan批判を展開している最大の理由は、この掲示板でのハンドルネーム“Q”の投稿がQアノン現象を引き起こしてきたことにあります。

 

Qアノン以前のアノニマス

・ところで、匿名掲示板を積極的に利用している人たちの間では、“情報の自由”は絶対に侵害してはならないとする価値観が多数派です。

 

Qアノンの主張

・Qアノンに話を戻します。「Qクリアランスの匿名投稿者」としてのQアノンは、政府高官からのリーク情報であることを匂わせるネーミングです。

 

Qアノンの主張(まとめ)

世界は悪魔崇拝者による国際的な秘密結社によって支配されている。この国際的な秘密結社はディープ・ステイト(闇の政府)やカバール(陰謀団)の強い影響下にある。彼らは合衆国政府を含め、基本的にすべての有力政治家、メディア、ハリウッドをコントロールしているが、その存在は隠蔽されている。

 彼らはグローバリストであって、“グローバリスト”は中国を新たな世界覇権国とした“ニュー・ワールド・オーダー(新世界秩序)”の構築を目標としており、その中核は、世界の金融資本と原子力産業を支配しているロスチャイルド家で、石油産業を支配するロックフェラー家と対立したが、ロックフェラー家は戦いに負けた。

 ロスチャイルド家サウード家、ソロス家が結び付いており、彼らはクリントン一味と米国のディープ・ステイトを動かして、米国を支配している。また、ロスチャイルド家、ソロス家、クリントン一味は悪魔崇拝のサタニストで小児性愛者だ。小児性愛者たちのネットワークには米国のエリート層も組み込まれている。

 ディープ・ステイトについて、従来は多くのことが秘匿されていたのだが、ドナルド・トランプは、この悪行を熟知しており、彼が2016年の大統領選挙で勝利したことで、闇の組織ディープ・ステイトの存在が広く世間に知られるようになった。

 トランプは、まさしくディープ・ステイトと戦うために大統領になったのだ。

 ディープ・ステイトはトランプが計画している報復の日「嵐」を警戒している。「嵐」によって隠された真相が明らかになり、秘密結社のメンバーが大量に逮捕されるだろう。

 ディープ・ステイト側はそれを阻止するため、死に物狂いでトランプの再選を阻止し、あらゆる不正を駆使してバイデン政権を誕生させた。

 

・心ある愛国者Qアノンは、米国と世界の現状に危機感と正義感を持ち、機密情報にアクセスすることできる立場を活用して、世界の秘密を暴露し、人々の覚醒を促している………Qアノン信奉者はそう信じています。

Qアノンが悪を暴いてくれた。もう騙されない。倒すべき敵はディープ・ステイト。自分たちはトランプ親分と一緒にクリントン一味と戦うのだ。さあ立ち上がろう

 そして、負けるはずのないトランプが大統領選に負け、「不正」に憤った人々が実際に立ち上がってしまったというのが、連邦議事堂に侵入するなどの問題を引き起こしているQアノン現象の基本的な構造です。

 

ゲーム感覚で信者を誘導

ネット時代ならではのカルト

・20年前、30年前のネットやウェブ端末が今ほど普及していなかった時代であれば、Qアノンもごくごく限られた少数のマイナーなカルトで終わったかもしれません。

 しかし、今や誰もがスマホやパソコンを持つ時代、そしてネット環境の整備によって、情報の発信・拡散が容易になりました。

 

混ぜるなキケン! 陰謀の元はひとつじゃない

・しかし、この人の他の発言が異様です。

「この世界を支配しているネットワークの背後にあるグループのうちの一つはイエズス会であり、他にもいくつかのグループがあるのです。それらの中の一つのグループは、ヒト科ではあるが、人類ではない者たちのグループです。………彼らは氷河期の初期に地球で強い力を有してしました。………彼らは人類の女性との交配で子孫を作ることができますが、繁殖力は強くありません私たちは秘密にされている世界、秘密結社による世界に住んでいます。しかし、それは公になっていません

 

世界銀行法務部の弁護士」という肩書に騙されてはいけません。私物化したエリートの腐敗を暴くという話、大いに期待できるかと思ったら、「ヒト科ではあるが、人類ではない者たち云々」ですから、この人は精神に異常をきたしてクビになったのが真相ではないでしょうか。

 Qアノンは「地球は、実はレプティリアン爬虫類人)に支配されている」などの従来のオカルト思想とも融合しつつあるようです。

 

ダメダメのサウード家に世界を支配する力はない

・Qアノン界隈の言う「ロスチャイルド家サウード家・ソロス家が世界を支配している」も怪しいフレーズです。

ロスチャイルドの陰謀」については前著『みんな大好き陰謀論』で詳述しましたので、そちらを参照していただきたく思いますが、Qアノンは新しいだけであって古典的陰謀論ではあまり聞かなかったサウジアラビアサウード家が登場しています。

 

ソロス家=ジョージ・ソロス一代

・ソロスはたしかに莫大な富を持つ資産家ですが、ソロスの一族が政治の世界で大きな勢力となっている事実は、今のところありません。

 

Qアノン前史――保守系ネットメディアの曙

オルタナ・ライト」の誕生

レッド・ピラー論:少数の覚醒した者のみが“真実”を知り、“嘘の世界”と戦う

・いずれにせよ、ごく少数の覚醒した者のみが“真実”を知り、“嘘の世界”と戦うのだというレッド・ピラー論が、Qアノンに限らずアノニマス/アノン系の陰謀論が拡散していくうえでの土壌を醸成する一端を担ったということには留意しておくべきです。

 

ピザ店はつらいよ――陰謀論のとばっちり

・「陰謀論;ワシントンDCのピザ店、〇〇(註;当ブログ修正)の地下室で、悪魔崇拝の儀式が行われたり、幼児売春の拠点になっている。

 

・ちなみに、全米行方不明・非搾取児童センターが行った児童が行方不明になる原因についての調査によると、自発的な「家出」が最も多く、二番目は「家族による誘拐」、つまり離婚後、親権が認められなかった方の親が連れ去ってしまうケースで、家族以外による児童売買春強要や身代金目的など、明確に誘拐と確認された事例は少数派です。

 

・たとえば、テネシー州では、2020年秋から「ボランティア・ストロング」と銘打って行方不明となった子供(18歳未満)たちの捜索・救出キャンペーンを展開し、州全域で240人の行方不明の子供を特定しました。そして、2021年1月から救出を開始した結果、同年3月5日までの2ヵ月間で150人を発見しています。

 当局の話では、救出に至るまでの状況は子供によってさまざまで、自分の意思で家出した子、別の家族と生活していた子、虐待や搾取を受けていた子などがいましたが、人身売買の被害者と見られる子は5人でした。

 150人中5人という数字をどう考えるかは人それぞれでしょうが、少なくとも、行方不明になった子供のうち、人身売買の被害者が多数派でないことだけは事実です。

 

政府の陰謀を言い出した元祖、インフォウォーズ

・ピザゲート事件を広めたのはインフォウォーズです。インフォウォーズは、1999年にアレックス・ジョーンズが設立しました。ジョーンズは1974年、テキサス州ダラス生まれ、彼が司会を務めるラジオトーク番組アレックス・ジョーンズ・ショーは全国に中継されています。

 

ジョーンズ、9.11米国同時多発テロを予言?

・9.11同時多発テロ事件は、オサマ・ビン・ラディンを首謀者とするアルカイダの犯行ということが明らかになっており、米国の軍産複合体の関与も否定されていますので、自作自演説というジョーンズの主張は事実と異なるものの、とにもかくにもテロ事件が発生したことでジョーンズはテロを予言したとして、事件後、いちはやく時の人になります

 

ジョーンズの主張――左右を分けるのは時代遅れ

・ところで、オルト・ライト/オルタナ・ライトは“ライト”である限り、既存の政治的な物差しでは“右派”に分類されます。当然、アレックス・ジョーンズとインフォウォーズもそこに分類されるわけですが、ジョーンズ本人は、そもそも右翼対左翼という二分法そのものが、支配者が人民を分断統治するために生み出した虚構であって、すでに時代遅れになっていると主張しています。

 

ジョーンズの批判――リベラルはナチスと同じ

陰謀論の素地にエプスタイン事件

ヘッジファンドの運用で資産を築いた億万長者のジェフリー・エプスタインが2019年8月、自殺体で発見され、他殺ではないかなどと憶測を呼んでいます。しかし、彼がマスコミを騒がせたのはこのときが初めてではありません。2008年に小児性愛で逮捕され、実際に有罪となって収監されたことがありました。以前から小児性愛の疑いを持たれていたのですが、告発で明らかになったのです。

 

ピザ店に地下室はなかった

・何度でも繰り返しますが、陰謀論を信じるか信じないかは各自の勝手です。また、娯楽としての陰謀論は、小説や映画の魅力的なプロットになることもあるでしょう。事実無根の噂が広がれば名誉棄損で訴えられ、裁判で賠償金の支払いを命じられることもありますが、それだけなら所詮は金を払えば済む話です。

 しかし、免疫のない人にいきなり陰謀論を吹き込んでしまうと、それを事実だと信じ込んで、怒りにまかせて行動に移してしまう場合があるので厄介です。

 

陰謀論は止まらない

根拠のないデマ

・ピザゲート事件は一件落着かと思いきや、その後も事件への言及は止まりません。それも、濡れ衣であっとする訂正記事ではなく、ピザ店が人身売買の巣窟であるという陰謀論のほうです。そのため、Qアノン信奉者にはピザゲート事件を本当にあったこととして書き込みをする人がいまだに少なくありません。

 

トランプ政権発足

・さて、前章まで見てきたように2016年の大統領選挙では、反リベラル、反ヒラリー、反民主党の文脈から、オルト・ライト/オルタナ・ライトの支持がトランプに集まりました。

 

Qアノン誕生――「嵐の前の静けさ」

・ここまでの前史があって、いよいよQアノンが登場してきます。2017年10月28日、ハンドルネーム「Qクリアランスの愛国者」のユーザーが画像掲示4chanに現れました。

 第2章で述べたように、Qクリアランスとは最高ランクの機密情報にアクセスできる権限を持った人による内部告発を示唆する名称です。最初は「愛国者」と名乗っていましたが、後に「アノニマス」→「アノン」と名乗るようになります。

 

米国の死刑事情

・米国でも死刑をめぐって議論があり、1972年に連邦最高裁判所が連邦と州の両方において違法と判断しました。しかし1976年、同裁判所は複数の州で死刑の復活を認めます。さらに1988年には、政府が連邦(全国)レベルでの死刑を可能にする法律が成立して現在にいたっています。

 

可視化するQアノン信者

・こうして、2017年中にはQアノンとその発言は急速に拡大し、大手メディアからも注目され始めます。翌年2018年には、いわゆる保守系から右翼系の人々の中にQアノンの主張のすべてではないにしても、一部の主張について「そういうこともあるかもしれない」と支持し始める人が現れます。

 

実際の予言の検証

・カルト宗教には予言がつきもので、Qも例外ではありません。さまざまな予言をし、勝手な断言をしたりしていますが、初期の予言はかなり好き勝手なことを言っています。

 

予言は、ことごとく外れました。しかし、外れたら外れたで、「ディープ・ステイトの監視がきついので、わざと虚偽情報も流している」などと、インチキ教祖によくありがちな煙の巻き方をします。予言が外れるだけでなく、事実無根かつ裏付けのない主張も数多く投稿しています。

 

漂白剤が治療薬 ⁉

・彼らの発信の中には、信じてしまうと命に関わるものもあるので注意が必要です。

 

コロナ禍で急成長のQアノン

・ロンドンに拠点を置くシンクタンクISDが、主要なソーシャルメディアプラットフォーム上のQアノン関連の投稿を分析したところ、2020年3月から6月にかけて急激な成長が見られました。

 

ツイッターフェイスブックが規制に乗り出したことをもって、日本では保守層を中心に、「独占的な立場にあるプラットフォーム企業が、正式な法手続きによらず、特定の内容の発信を制限するのは言論統制言論弾圧である」との批判が根強くあります。一般論としては、それは確かにその通りです。

 ただしQアノンのような、明らかにトンデモな陰謀論に左右される人々が大量に湧いてきて、無視できない集団を形成しており、放置しておけばソーシャルメディア側も社会的な責任を追及されかねない事態になったため、彼らも何らかの対応を取らざるをえなかったという面があることは理解しておいてもよいと思います。

 

目覚めよ、さらば救われん――Qアノンのカルト宗教化とその背景

悪役のレッテルはいつも小児性愛

・米国のオルト・ライト/オルタナ・ライトがアンチ民主党で、「民主党員は小児性愛」と叩いていることは、今まで見た通りです。

小児性愛」は、欧米では悪者の属性として、ほとんど必ず出てくるキーワードです。では、いわゆる変態性欲とされるものの中で、なぜ小児性愛のみがこれほどまでに目の敵にされ、他人を攻撃する際のキーワードになるのか、違和感を覚える人も多いのではないでしょうか。

 ユダヤ教キリスト教の戒律の原点ともいうべき『モーセ十戒』には「汝姦淫するなかれ」の一節があります。では、姦淫の定義や範囲は何か。それが問題です。

 

・この考え方があるため、カトリックであれ、プロテスタントであれ、宗教的な価値観が強い影響力を持っていた時代ないし地域では、いわゆる婚前交渉だけでなく同性愛や小児性愛などは子作り以外の性交渉として忌避されるわけです。

 

急進的なフェミニストにとって日本は最悪の国かもしれません

 本題から話がそれましたが、以上のような文化的背景から米国人、特に保守的な米国人にとって「小児性愛」は悪者を罵る決まり文句となっているのです。

 ただ、以前は、共和党に金持ちの党としてのイメージが強かったので、「共和党ロスチャイルドと結んで悪巧みをしている小児性愛者だ」という方向性の陰謀論が強かったのですが、最近は民主党が悪役になっています。小児性愛と政治思想の左右はまったく無関係だと思うのですが、いずれにしても「小児性愛」は相手を罵るときの常套句になっているわけです。

 

<「目覚めよ」――Qアノンのカルト宗教的側面

・「小児性愛」への容赦ない非難に加え、キリスト教文化圏としての米国で広がるカルトには、キリスト教的な色彩、特に終末論を下敷きにする傾向があります。

 Qアノンは「嵐の前の静けさ」で意味深な掲示板デビューを果たしましたが、この一言はたちまちのうちに理解されました。具体的なことを何も言わなくても、その一言で一定のイメージが湧くからです。

 

・ですから、Qアノンのような世界観の持ち主が、“正義の味方”と彼らが考えているトランプの口から「嵐」という単語が出てくると、「嵐が来て悪者が退治され、あなたがた善人は救われる」とのメッセージだと解釈されてしまうのです。

 

終末における善と悪の戦い、偽預言者の出現

・カルトに限らず、エヴァンジュリカル(福音派)も「世界の終末には善と悪の争いが起こる。今は、まさにその善と悪が戦っている時代だ」と考えています。

 エヴァンジュリカルについて、詳しくは前著『みんな大好き陰謀論』を参照していただきたいのですが、トランプの岩盤支持層のひとつです。あの人たちは米国民である前にクリスチャンであるから、イスラエルと米国の利害が対立したときはイスラエルを支持するという人たちです。

 

・トランプが小児性愛者の巣窟である民主党をやっつける図は「善と悪の戦い」に重なりますし、国民を騙すクリントンオバマという構図も「偽預言者」のイメージです。

 つまり、Qアノンの主張は何ら新しいものではなく、キリスト教信仰の中にあるイメージを使いながら巧みに言葉を変えて信者を誘導しているのです。

 

宗教や伝統を用いたプロパガンダは世俗国家でも有効

米国の大統領はマッチョでなければダメ

・日本では強すぎるリーダーは嫌われますが、粗っぽいトランプの風貌は、米国人が好むザ・アメリカンのある種の定型です。共和党民主党を問わず、大統領候補が自らの軍歴を有権者に対して積極的にアピールする国ですから、兵役逃れのうえ、女癖の悪いビル・クリントンでは軽蔑されます。

 いずれにせよ、単純化された陰謀論カルトを好み、イメージや雰囲気に流されやすいオルト・ライト/オルタナ・ライトの好みにトランプがしっかり嵌ったのは、彼がマッチョなWASPおじさんだったという点があったことも見逃してはならないでしょう。

 そして、そうしたオルト・ライト/オルタナ・ライトをトランプは利用しました。

 

・そのため、「陰謀論を信じていますか?」などと質問されても明言せずに「彼ら(Qアノンおよびその支持者)は愛国的な人々だと思う」などと言ってごまかします。

 トランプによる意味深な発言は陰謀論者の間にトランプ信仰を生み、「自分たちはトランプに認められた」「やっぱりトランプは救世主だ」と解釈されます。すると、トランプはますますQアノン的な終末論の中に位置づけられていく。好循環なのか悪循環なのかは見方によりますが、相互作用のスパイラルで勢いを増してきました。

 そのためトランプがQアノンの教祖を自称したわけではありませんが、結果的に疑似教祖になってしまったという面は否定できません。

 

反ユダヤ主義的な要素

・米国に広まるカルトは、たいていキリスト教終末論を下敷きにしています。そして、キリスト教世界の陰謀論には反ユダヤ的な要素が仮託されます。

 Qアノンが世界の支配者として糾弾する三家「ロスチャイルド家サウード家、ソロス家」のうちロスチャイルド家とソロス家(ジョージ・ソロス)の二つがユダヤ系です。表立って「ユダヤ人だから」と攻撃しているわけではありませんが、矛先をやはりユダヤ人に向けています。

 

ナチス・ドイツホロコースト以来、反ユダヤ的な言動は世界的にタブーとなりました。そもそも時代においてはユダヤ教徒ユダヤ人、ユダヤ系の人たちが、子供を生贄に捧げているなどと信じる人はいません。

 ただ、「子供を生贄にする儀式」のイメージは、キリスト教世界では地下水脈として抜きがたく染みついています。そこで、2020年でも「子供の血液からアドレナリンを抽出し、健康と若さを保つために自ら注入する」などの噂が流れるのです。

 その後日譚というのか、「そんな悪魔的な薬(?)を使うエリートを懲らしめるために、ホワイトハッツが薬をコロナウイルスで汚染した。だからエリートにはコロナ患者が多いのだ」などと尾ひれのついた話もあります。

 

ちなみに、「ホワイトハッツ」とはトランプ支持のネット民グループです。ユダヤ人が………」とは、もはや言わないけれど、古典的な反ユダヤ主義陰謀論のモチーフを投影した“悪者”叩きは延々と続けられます。

 信仰は土壌がないところには絶対に根づきません。日本で一神教が根づかないのは、そういう土壌がないからです。

 

逆に米国社会の土壌においては、「生贄」「善と悪の戦い」「覚醒」などは、キリスト教徒ならパッとイメージできる「いつものアレ」なわけです。

 なお前述のように、ほとんどの米国人はQアノン信奉者であっても反ユダヤ主義はいけないものだと思っているのです。

 

ヨーロッパ、特にドイツで広まるQアノン>

・Qアノンはヨーロッパにも拡散しています。特に広がりを見せているのはドイツ。

 約2万人の支持者がいると推定され非英語圏では最大です。ユーチューブやSNSで拡散され、コロナ禍での政府の措置に対する抗議の声を上げるときのもQの旗を掲げるなどしています。

 ドイツでナチスは禁止されていますが、今でも極右集団はあり、これが反応しました。

 

・Qアノンとの結びつきが特に顕著なのはライヒスビュルガー(帝国市民)というグループで、政府の推計では2019年の時点で1万9000人の信奉者がいるとされ、950人が極右とされています。

 

・彼らの信じるところによると、「ドイツの戦後にできた共和国は主権国家ではなく、第2次世界大戦後に連合国によって作られた法人」なのです。

 

・では、Qアノン的な社会の分断が日本でも広がるのか。

 分断は日本でもありますが、本書で述べてきたように欧米とは背景事情が異なりますので、表に出てくる現象はQアノンとは以て非なるものとなるでしょう。

 Qアノンから見た悪役は「小児性愛者」「グローバリスト」「民主党」ですが、日本では「在日朝鮮人の陰謀」や「創価学会の陰謀」といったところでしょうか。いずれにしても、宗教的高揚感は欠けますから、よほど日本人全体が経済的に困窮するなどしなければ、それが暴動やテロに結びつくことはなさそうです。

 

全米を動かせるとの錯覚――Qアノンの魅力とテロ化の危険性

・米国に限らないことですが、あらゆる面で社会が複雑化した先進諸国では、民主主義を標榜していながら一般人が政治を変えることは事実上不可能になっています。

 

外から見るとQアノンの主張は、キリスト教的な価値観を下敷きにした米国ならではの陰謀論なのですが、Qアノンコミュニティ内の人々は、宗教に関わっている自覚がありません

 そのため、福音書や保守的なキリスト教徒などが、Qアノンに興味を持って、「では、一緒に神のために祈りましょう。今度、教会に集まりましょう」などと言うと、反発してしまいます。

 

・その反面、予測が外れても、「意図的にデマ情報を流して、弾圧を逃れているのだ」とのQアノンの言い訳を信じ、それでも残るコアな層もいます。そして、このコアな残留組は、より過激なカルトと化していく危険性が指摘されています。

 

・カルト集団の人たちは自分たちが正しいと信じているので、掲げる主張・理想が通らないと、「何か不正があるに違いない」などと悪事を他者に押しつけます。また、予言は正しいのだから、予言通りにならないと、その予言に合わせて現実化しようと動いてしまうことすらあります。

 2021年の年明け早々の米連邦議事堂侵入事件もまた、Qアノン支持者の鬱憤が爆発したものです。今回は米国の国体を毀損するところまで行ってしまいました。そうなるとFBIもこれを放っておけません。

 FBIは国内テロを監視していますが、対象を主に四つのカテゴリーに分類しています。

・人種差別を動機とする暴力的過激主義

・反政府・反権威に関する過激主義

・動物の権利・環境保全に関する過激主義

・中絶に関する過激主義(プロチョイスや反中絶の過激派が含まれる

 

「動物の権利・環境保全に関する過激主義」だけは左派系ですが、残りの三つはQアノンの方向性と重なります。彼らが暴走する可能性は大いにあるでしょう。

 

ディープ・ステイトの「陰謀」

完全に「あちらの世界」に行ってしまった人には、何を言っても無駄なので、私と本書の読者、そしてその周囲に実害が出ない限りは、どうぞご自由に、というしかありません。

 しかし、現実世界でまっとうに生きている多くの人々や、一時の気の迷いで「あちらの世界」に迷い込みそうになったものの、何とか踏みとどまった人たちであれば、本書を通じて、陰謀論の荒唐無稽さや、そこから生まれた混乱の概要とその背景、さらに現代米国社会への理解を深めていただけるものと確信しております