運動は散歩するだけで十分。老化予防のために歩くのは最低、1日30分ぐらいで十分。1度に30分歩いてもいいし、朝・昼・夕に10分ずつ、合計30分でもかまいません。
(2025/4/30)
『老害の壁』
長生きよりも「元気」「好きなこと」を優先させる生き方。
<はじめに>
・日本人の平均寿命は、女性87.57歳、男性81.47歳となっています。
一方で、介護なしで生きられる健康寿命のほうは、女性75.38歳、男性が72.68歳。女性は約12年、男性は約9年、誰かに介護してもらいながら晩年を過ごすことになります。
そうならないために、これまで私は、60代、70代、80代の過ごし方について、たくさん本を書いてきました。それらの内容は、身体的なことだけではありません。私の専門は老年精神医学ですから、心の問題も大きく扱っています。
・でも地方に住んでいる人はご存じだと思いますが、日本には車がないと買い物にも病院にも行けない地域がたくさんあります。
・また、コロナ禍の外出自粛を強く要請されたのもリタイアした高齢者です。高齢者は重症化率や死亡率が高いというのが根拠になっていますが、要請を真面目に守った高齢者の中には筋力が低下し、歩けなくなる人が続出しています。
<高齢者が免許返納しないのは老害なのか?>
・高齢者に免許返納を促す理由の1つが、認知機能の低下。すでに75歳以上のドライバーには、免許更新時に認知機能検査を行うことが義務づけられています。
<高齢者の免許返納は死活問題>
・今の地方は車社会。車がなければ、買い物もできません。日本には、近くに鉄道もバス路線も通っていない地域がたくさんあります。
・車しか移動手段を持たない地方の高齢者が免許返納すれば、外出の機会が減りますから、運動しなくなります。その結果、筋肉量が減るなどして、自立歩行ができなくなる可能性があります。
<コロナ自粛でフレイルに>
・若い人なら自粛して筋力が落ちてもすぐに回復しますが、高齢者はそうはいきません。1カ月も家に引きこもっていたら、歩けなくなってしまうのです。
<高齢者が運転事故を起こす確率は低い>
・「令和3年の交通事故状況」によると、原付以上の免許をもっている人口10万人当たりの年齢別事故件数では、もっとも事故を起こしているのが16~19歳の1043.6件、次いで20~24歳が605.7件となっています。 これに対し、高齢者でもっとも事故を起こしているのは85歳以上で524.4件。次いで、80~84歳が429.8人、75~79歳が390.7人となっています。続く70~74歳は336.0人で、30~34歳の329.1人と同じくらいです。
<75歳を超えると個人タクシーの運転はできなくなる>
・ところが、個人タクシーのドライバーにも定年があって、75歳になったら営業できなくなるのです。
<高齢者マークをつけた車は安全運転>
・私も運転するのでわかりますが、高齢者マークをつけている車は基本的に安全運転しているように思えます。
<誰にでも交通事故を起こす可能性はある>
・確かに、高齢になれば動体視力や判断力が若い頃より低下するので、より慎重に運転する必要があります。でもそれは高齢者もわかっていることです。
<交通事故の原因は薬の副作用>
・長年、高齢者医療に携わってきた医者の立場から言うと、高齢ドライバーが交通事故を起こす事例の1つとして、常用している薬の影響が考えられます。
・このように、薬の副作用で事故を起こした疑いがあるのに、ほとんど検証されていません。逆に、このような事故も、高齢者の免許返納の口実に使われているのが現状です。
<「老害恐怖症」の怯える高齢者>
・私は高齢者の免許返納の問題について、いろんな本で書いてきましたが、結論は一貫しています。それは、まだ十分運転できるうちは返納すべきではないということです。
・老害という名の同調圧力にしろ、老害恐怖症にしろ、現代を生きる高齢者の前には「老害の壁」が立ちはだかっています。この壁をぶち破るのは、かなり勇気がいることです。
<今さらタバコを吸っても寿命は変わらない>
・そもそも、高齢者がタバコを吸っても、寿命はそれほど変わりません。これも浴風会病院に併設された老人ホームでの追跡調査のデータにありますが、高齢者の場合は、タバコを吸っても吸わなくても生存曲線が変わらないという結果が出ています。
<快を犠牲にしてまで長生きしたいですか?>
・私自身は現在63歳で、高齢者に近い年齢ですから、もういつ死んでも悔いはないと思っています。
<お酒は暗くなってから飲む>
・依存症が心配な人は、お酒は暗くなってからと決めてはいかがでしょうか。
<高齢者がお金を使わないと経済は回らない>
・そうでなくても、何歳まで生きられるかわからないからと、高齢者はお金をあまり使いたがりません。
<「ぜいたくするな」という圧力に負けない>
・「年寄りのくせにぜいたくするな」といった世間の圧力に負けてはいけません。高齢者こそ、もっともっとお金を使って、快を求めて生きるほうが国のためなのです。
<老害の壁は壊すべき>
・現代ほど高齢者が生きにくい時代はないでしょう。
<老害を恐れていたら要介護に>
<シルバー民主主義なんてウソばかり>
・シルバー民主主義とは、有権者の中で高い割合を占める高齢者に向けた施策を優先する政治といった意味。
・例えば、保育園の待機児童が5634人(2021年)なのに対し、特別養護老人ホームの入居待機者数は約29.2万人(2019年)もいます。これを見ても、みなさん政治がシルバー民主主義を反映させていると思いますか。
<日本の道路は歩道橋だらけ>
・高齢者にとって歩道橋の階段を上るのは大変なことです。日本で歩道橋の整備が進んだのは、交通事故の死者数が1万6000人を超えていた1970年前後からです。
<駅にエスカレーターがない>
・今のような高齢化の時代に、JRは公益企業であることを意識していないから、バリアフリーを進める気がないのだなと思われても仕方がありません。
<運転免許も公共交通もなくなったら>
・赤字ローカル線が廃止されたら、これらの沿線に住む高齢者はいったいどうなってしまうのでしょうか。免許返納したら、移動手段は公共交通に頼るしかありません。運転免許もなく、鉄道もバスもないとしたら、まともに生活することができなくなるのです。
<高齢者にやさしい政策がない>
・現在、日本の人口の約3割が高齢者で、有権者ベースでいうと約4割、投票率で考えると高齢者の票だけで過半数を占めることができます。
シルバー民主主義というなら、もっと高齢者に寄り添った政策をどんどん実現すればいいのに、実際は行われていません。高齢者もそれに対して、あまり文句を言いません。いったい何を期待して投票しているのでしょうか。
<日本の街には休憩するイスがない>
・ところが、日本の都市はイスがほとんどないので、歩き疲れた高齢者が、座って休むことができません。
<出先でトイレを見つけるのは一苦労>
・高齢者が外出をためらう理由の1つに、トイレの問題があります。高齢者になるとおしっこが近い、いわゆる頻尿の症状を訴える人が増えてきます。膀胱が過敏になる過活動膀胱とかいくつかの原因があるのですが、利尿剤を飲んでいる人も頻尿になります。かくいう私もその1人です。
<コロナで死にたくないから外に出ない>
・確かに、コロナの死者数は年齢が上がるにつれて高まります。
<ワクチン以外でも免疫力は高められる>
・しかし、免疫力を高めるにはワクチンしかないと思い込んでいる人は、自然免疫の存在を忘れています。
<コロナ自粛は免疫力も落とす>
・もう1つ、自然免疫を高めるのに大事なのが運動です。適度な運動をしている人は免疫力が高く、かぜやインフルエンザなどの感染症にもかかりにくくなります。逆に、マラソンのような激しい運動は免疫力を低下させます。
・少なくとも、自分の足で歩ける元気な高齢者は、コロナといえどもそんなに心配する必要はないと思います。
<コレステロールを下げるとがんになる>
・ところが、コレステロールを薬で下げると、免疫力が低下するので、がん細胞という異物に対する反応が鈍ります。つまり、がんになりやすくなってしまうのです。
・コレステロールは血管の細胞の材料でもあるので、少なくなると血管が破れて、脳出血を起こしやすくなります。
・肉にはコレステロールが多く含まれているので、日本人のコレステロール摂取量は飛躍的に増加しました。その結果、血管が丈夫になり、脳出血による死亡者が減ってきたと言われています。
・今もそれを信じて、コレステロールの多い食品を控えている人がいるかもしれません。そうであれば、すぐにやめてください。
<肉や卵を食べないと筋肉がつかない>
・少し太っているほうが長生きできる、というデータは世界中にあるのですから、無理にやせようとするべきではありません。
<高齢者の塩分制限はむしろ危険>
・ところが高齢者はナトリウムの貯留能力が低下するので、どんどんナトリウムを排出してしまいます。その結果、低ナトリウム血症という病態に陥りやすくなります。これを防ぐため、体が塩分を欲しがっているのかもしれません。
<「迷惑をかけたくない」の本音は?>
・老害の「害」というのは「人に迷惑をかけること」ですから、奥ゆかしい日本の高齢者は、それだけはしたくないと思っています。
<長距離ドライブにもチャレンジ>
・意欲的にファン・トゥ・ドライブ(運転そのもを楽しむこと)をしてみましょう。
<自動運転になっても免許は返納?>
・ただ安心できないのは、自動運転の車が普及したとしても、免許返納の同調圧力は続くのではないかということです。
<引きこもりをやめて街に出よう>
・前述したように、運動をしないと免疫力が下がり、コロナばかりか、インフルエンザやかぜにも感染しやすくなります。
<老害と言われても気にしない>
<性格の尖鋭化でがんこな人はよりがんこに>
・傍若無人な言動などで老害と呼ばれるような人は、若いときからそういう性格で、年をとってから急に暴言を吐くようになったわけではありません。ただし、年をとってから、言い方がより激しくなるという人はいます。
<怒りが抑えられなくなるのは?>
・もう一つ、老害に結びつきやすいのは、日本人に特有の「かくあるべし思考」です。多くの日本人は、「前例踏襲」からなかなか抜け出すことができません。そのため、時代に合わなくなったルールでも、いつまでも守ろうとします。
・ところが、前頭葉が委縮してくると、このブレーキが利かなくなるのです。その意味では高齢者のほうが腹を立てやすい傾向にあるとは言えます。
<かくあるべし思考が差別に>
・かくあるべし思考は、気をつけないと「差別」に行きつくことがあるので、注意しなければなりません。
<高齢者が仕事に就けないのは年齢差別>
・日本は先進国の1つだと信じている人が多いと思いますけど、年齢差別を禁止する法律がありません。
<よりレベルの高い笑いを求める>
・お笑いが好きな人であれば、演芸場や寄席に行くべきです。笑いは免疫力を上げることがわかっているので、笑う機会が増えるのはとてもよいことです。
<変化のある生活にチャレンジ>
・前頭葉の老化を防ぐには、変化のある生活をするのが一番です。
<「毎日が実験」の精神で生きる>
・前頭葉の老化を防ぐには、「毎日が実験」と思って暮らすことです。
<高齢者が「情弱」なんて誰が言った?>
・パソコンが普及して20数年、スマホが発売されてから10年以上たっているのですから、幸齢者への普及も今ではだいぶ進んでいるのです。
<時間がかかってもスマホに挑戦>
・そういう人も、これを機会にガラケーをスマホに替えてみてはいかがでしょうか。決して遅いということはないはずです。
<パソコンがあれば「自分史」もスラスラ>
・パソコンのワープロソフトは、長い文章を書くのに最適です。
<プロ並みの写真もデジタルなら簡単>
・みんながこんなに写真を撮るのが上手になったのは、写真がフィルムからデジタルに変わったからでしょう。
<杖を使って街に出よう>
・そうなりたくなかったら、杖を使って街に出ましょう。
<ためらわずに補聴器を使おう>
・まずは最新式の補聴器を試してみてはいかがでしょう。
<元気に歩ける高齢者こそ紙おむつを!>
・高齢者の三種の神器の3つめは、紙おむつです。
<仲間をつくって対抗する>
・でも、そんな勇気はないという人も多いのではないかと思います。そんなときのためにも、仲間がいると安心です。
<孤独でもSNSで発信できる>
・それでも、どこかで他者とつながっていたいと思うなら、それこそパソコンやスマホを活用してみてはいかがでしょうか。
<老害になるのは脳の衰え?>
<仕事は引退せず続けたほうがよい>
・第1章でデータを示したように、高齢者の免許返納に関しては、統計的な裏付けはまったくありません。むしろ、高齢者の多くは安全運転を心がけています。
<若い人がタメ口を聞いても気にしない>
・若い人のタメ口に腹を立てるのは、逆に若い人を差別していることにもなるのです。
<できることを無理に増やす必要はない>
・いずれにしても、高齢者はやりたくもないことにチャレンジしなくてよいし、したとしても結果を求めなくてもよいのです。
<昨日できたことが今日もできるように>
・むしろ高齢者の場合は、今できることをいかに維持していくかを基本に考えるべきでしょう。
<気にしたほうがよい老害もある>
・このような、正論とは違った、ユニークな意見を言ったほうが、若い人にもウケると思います。そもそも正論しか話せないのは、自分の意見を持っていないからでしょう。
<知識の量は何の役にも立たない>
・また、SNSで自分の考えを発信する方法もあります。脳の老化防止、特に前頭葉の老化防止になりますから、自分の頭で考える習慣をつけることをおすすめします。
<急に怒り出す老人にならないためには>
・前頭葉が多少老化しても、自分の性格がわかっていれば、感情のコントロールはできるということです。
<脳の神経細胞は高齢でも増える>
・認知症の患者数は60代だと約2.5%ぐらいですが、70代から急カーブを描くように増加し、80代では約30%まで増えてきます。認知症の発症は60代から70代にかけての生き方が大きく関わっているということです。その生き方というのは、脳を積極的に使う生き方です。
<若者も高齢者も記憶力に差はない>
・もう一つ、75歳ぐらいまでは記憶力はそれほど衰えないことも、最近の脳研究でわかっています。
<初めての店に入ると前頭葉が活性化>
・逆にいえば、生活に変化を持たせることで、前頭葉を活性化することができるのです。
<早くやることを目標にしない>
・年をとってもできることを続けるのが、老化の進行をゆるやかにする基本です。
<認知症は人に迷惑をかける病気ではない>
・脳の老化を防ぐことは大事ですが、それでも認知症になる人はいます。
今、日本には認知症患者が約600万人いるといわれています。日本の人口が約1億2000万人ですから、20人に1人は認知症ということになります。
・老人医療に30年以上携わってきた私に言わせれば、認知症はそんなに人に迷惑をかける病気ではありません。
<迷子にならないなら徘徊ではなく散歩>
・ゴミにして出すこともないので、家の外まで臭ってくるのです。それを、近所の人が保健所などに相談することがあります。これを「近隣苦情」と言うのですが、近隣苦情が来ている家に行政が医者を派遣することがあるのです。
<認知症でもできることはいっぱいある>
・認知症になると、何もできなくなると思っている人が多いのですが、できることはまだまだありますし、新たな能力が発見されることもあるのです。
<AIの進化で認知症の生活も楽になる>
・それに、これを読まれている60代、70代の人が認知症になる頃は、AI技術がグッと進化している可能性があるので、認知症でも楽に過ごせるようになるかもしれません。
・精神科医として数多くの高齢者を診てきた私からすると、高齢者は認知症よりもうつ病のほうがつらいと思います。
・うつ病の約4割は60歳以上というデータがあります。高齢者がうつ病になりやすい理由の1つに、セロトニンの減少が考えられます。
<朝日を浴びるとセロトニンが増加>
・朝日を浴びてセロトニンが増えれば、うつ症状も改善され、夜もぐっすり眠れるようになるでしょう。
<老害を気にせず老後を楽しむ>
<子どもが親の再婚に反対するのは?>
・子どもにお金を残さないというと、それこそ子どもたちから老害と言われそうですが、気にしてはいけません。それに、子どもにお金を残すと、ろくなことがありません。
<これが最後の海外旅行かも>
・何度もいいますが、子どもたちから、老害と言われることを恐れてはいけません。
<遺産を残したいなら寄付する>
・何度も言うように、老後資金は自分のためにお金を使うべきです。
・最近、「終活」といって、死ぬ前にいろんなことを整理することが流行っていますが、これはあまり意味のある行動とは思えません。
<日本の遺言は効力が弱い>
・この平等相続というやり方は、早く廃止すべきだと私は思っています。
<子どもにはお金を残さない>
・でも今はそうなっていないわけですから、やっぱり子どもに財産は残さないほうがよいと思います。
<ランチ通いはいいことずくめ>
・でもランチなら。そんなにお金はかかりません。
<高齢者向けの商品やサービスが皆無>
・そうなっている理由の1つに、高齢者がお金を使いたくなるような、わくわく感のあるサービスが少ないからだと私は思っています。
<消費する高齢者こそ現役市民>
・日本の経済が悪くなり、高齢者向けの産業がろくに生まれないのは、お金を持っている高齢者に消費してもらうという発想がないからです。
<生活保護は堂々ともらいなさい>
・だったら、生活保護のように、もらう権利のあるお金はもらいましょう。
<AIの進化で仕事がなくなる>
・消費不況になるのは、生産が余っているからですが、これからの時代はそれがもっとひどくなります。
<よいものなら高くても買う>
・それに対して、今の日本は90年代のアメリカとそっくりな状態になっています。安くないと買わないのはもちろん、壊れるまで買い換えようとしません。
・消費者は「こんな商品が欲しい」と要求することが大事です。先ほどAIの進化について述べましたが、テクノロジーの進歩もどんどん要求すべきです。
・残念ながら、今の若い人はあんまり本を買って読みません。
<青春時代のサブカルと再会>
・好きなことをやりなさいと言うと、自分には趣味もなければ楽しめるものもないと答える人がいます。実際、そういう人が多いのですが、本当にそうでしょうか。
<勉強するならグループ学習がよい>
・そこでおすすめしたいのがグループ学習。同じことを学ぶ人たちが集まって、議論することがアウトプットになるからです。
<昔の友人に気軽に会ってみる>
・その1つとして提案したいのが、昔の友人に会うことです。
<老害の壁を打ち破るための養生術>
<肉を食べてたんぱく質不足を防ぐ>
・しかし、多くの高齢者はたんぱく質が不足しています。
<太めのほうが長生き、カロリーを気にしない>
・宮城県で5万人を対象にして行われた大規模調査によると、やせ形のほうが、やや太めの人よりも6~8年早く亡くなることが明らかにされています。
<運動は散歩するだけで十分>
・老化予防のために歩くのは最低、1日30分ぐらいで十分。1度に30分歩いてもいいし、朝・昼・夕に10分ずつ、合計30分でもかまいません。
<薬の影響で骨折し、寝たきりになることも>
・高齢者の健康で、もっとも大事なことは「自分の身は自分で守る」ということです。
・高齢者が免許返納をすると、6年後には要介護率が2.2倍に上がります。そういうことも考えて、運転を続けるのか、それとも免許返納すべきか考えるということです。
<骨粗しょう症の薬に重大な副作用が>
・高齢者がちょっと転んだだけでも骨折してしまうのは、高齢になると骨粗しょう症という病気になる人が増えてくるからです。骨粗しょう症は骨が脆くなって折れやすくなる病気です。実は骨粗しょう症の薬の中には、強い副作用が出るものがあります。ところが、そのことはほぼ問題とされていません。
<大学の教授は薬の研究ばかりしている>
・そもそも、医学部の教授というのは、人間をほとんど診ないで、動物実験ばかりやって薬の研究だけをしている医者が圧倒的に多いのです。
<高齢になるほど薬は危ない>
・特に、高齢者にとっては薬はハイリスクです。その理由の1つが、高齢による肝臓と腎臓の働きの衰えです。つまり、高齢者は薬を分解するのも、排泄するのも時間がかかるので、副作用が起こるリスクも長くなるということです。
<薬は自分の意思でやめてよい>
・高齢者の多剤併用は、本当に大きな問題です。気がついたら15種類もの薬を飲んでいたという話をよく聞きます。もちろん、中には飲まなければならない薬もあります。
<自分と相性のよい医者を見つける>
・多剤併用の問題が起こるのは、日本の医療が臓器別診療のスタイルをとっているからです。
・ところが、ここにも問題があります。今通っているかかりつけ医に満足していないという人が多いのです。
<健康診断は受けなくてよい>
・私は70歳を過ぎたら、健康診断は受けるべきではないと言っています。健康診断では50~60項目くらいの検査をしますが、病気との因果関係がある程度はっきりしているのは、血圧や血糖値、赤血球数などの5~6項目くらいです。
・そもそも、海外のデータですが、血圧や血糖値、コレステロールなどの数値が高くても、心筋梗塞や脳梗塞になる人の確率が少し高くなるだけで、ならない人の確率のほうが大きいのです。
<突然死を防ぐ検査を受ける>
・よく「死ぬならがんがいい」という人がいます。がんは亡くなるまでに時間の余裕があるので、残された時間を大事に使えるというのがその理由です。私も突然死を防ぐために、心臓ドックと脳ドックだけは定期的に受けています。
<がんがあっても切らない>
・しかし、経験的にいうと、がんの手術をすると、高齢者の場合、ほとんどの患者の生活の質は低下します。なぜなら、がんと一緒に臓器の一部も取ってしまうからです。外科医にとっては、切ることが仕事だからです。
・浴風会病院の剖検でも、85歳以上でがんが1つもなかった患者さんはほとんどいませんでした。
<高齢者のがんは治療しない選択も>
・高齢者ががんの積極的な治療をしても、体が衰弱して、かえって寿命を縮めてしまう可能性のほうが高いのです。
40~50代のがんなら、がんの進行も速いので、手術などの積極的治療をするのは意味があるかもしれません。体力があるので回復も早く、仕事に復帰することも可能でしょう。
<認知症と診断されても絶望しなくていい>
・でもいくら予防を心がけても、認知症になる人はなります。なぜなら、認知症の原因の1つは、加齢による脳の機能低下だからです。80代後半になるとおよそ半分、90代になると、7割近い人が認知症になることがわかっています。
・確かに、最終的には人にお世話をしてもらわないといけなくなる病気ではありますが、そうなるまでにはかなりの時間があります。
<認知症でも車の運転は続けてよい>
・それに、何もやらせてもらえなければ、頭も体も使わないので認知症が進みます。
・認知症になっても、できることの1つに車の運転があります。いずれできなくなるとしても、できるうちは続けてよいと思います。
・つまり、長年運転してきた車の操作は時間が経ってもずっと覚えているもの。
<若造が年寄りに説教するべきではない>
・答えは単純で、「快」を原則として生きるのです。
・私はこれまで6000人くらいの高齢者を診てきました。
<できないことが増えても楽しい時間を持つ>
・ただ、80代を過ぎると、さすがに「できること」よりも「できないこと」が増えてきます。
(2025/4/11)
『106歳のスキップ』
私は96歳までひとのために生きてきた
曻地三郎 亜紀書房 2012/12/5
<つねに新しい自分を――はじめに>
・私は「人を驚かす」ことが好きである。人を驚かすには、そのための材料がなくてはならない。自分自身で材料を仕込まなければならない。
99歳で世界一周を始めたのも、何か新しいことをと思ったからで、行った先々で講演をする旅である。
・二人の知的障がい児と、妻、娘を失って、私は96歳で天涯孤独の身となった。これからは自分のために生きよう、と思い直し、先の世界行脚を始めたり、海外の大学などで記念講演を頼まれれば、その挨拶を現地語で覚えるなど、やはり新しい試みを続けている。
<充実して生きる>
<97歳からは自分のために生きる>
・私は教育者と学者の道を歩み、しかも障がい児のための施設を運営してきた。順番からいえば、まず教育者になり、広島の山奥の小さな小学校の子どもたちを教えたのが最初である。
<人に支えられるだけの老後ではいけない>
・先に97歳からは自分のために生きることにした、と書いたが、誤解がないように申し添えれば、今までのウェイトが家族や他人にかかっていたのを、自分を出発点にしよう、ということなのである。
<ただ長生きすればいいというものではない>
・長く生きただけで褒められるなんておかしくはないだろうか。
<老感を持つのはやめよ>
・106歳になって身体が弱ったとはいえ、まだまだ人と当意即妙の話ができる。饒舌は相変わらずである。
今回の世界一周旅行でも、9ヵ国12都市を回り、カナダはバンクーバーで講演を行い、その後、南アフリカ・ケープタウンで開かれた国際心理学会で被虐待児童の治療教育の研究論文を発表した。
昨年は、年に70回を超える講演を行い、年に2回も世界一周講演旅行をした。
<別のNPO>
・元気に生きて、すっと死ぬことを「ぴんぴんころり」でPPKという。これが高齢者の理想だという。
私もそれを真似て、NPOということをいっている。非営利事業団体のことかと思うかもしれないが、「長生きでぽっくり往生」のことである。
いずれにしろ、健康に生きて、それほど人の世話にならないうちに死んでいくのが、たいがいの人の理想である。しかし、誰しもがそういう生き方ができるわけではないから、理想なのである。たいていは子どもや施設のお世話になって生きることになる。
<世代の標語>
・自分の来し方を参考にしながら、50代以降の生き方の標語を作ったことがある。
50代……男の花道である。 60代……自分が持っているものを押し広げよう。 70代……これくらいで屈してはならない。 80代……ダメだと思ったらダメになる。 90代……今からでも遅くない。
私の場合は、これに「100代……中国で陣頭指揮を執る」というのが続く。これは、中国で障がい児教育普及のお助けをしたい、ということである。
<「おい」と呼ばない>
・私が健康なのは、昔から歩くのが苦にならず、機会があればすぐに歩くようにしていたからだと思う。
・いまは妻はいないが、生存中も「おい」などと呼んで、用を頼んだことはない。全部、自分のことは自分でやる主義である。こうして日頃から身体を動かす癖をつけておくと、特別な運動などしなくても、健康でいることができる。
・自分の健康のためにも、そして夫婦仲改善のためにも、「自分で動く」を主義にしたい。
<異なる人との交わりが大切>
・私は若いころからもの怖じしない性格だった。たとえ相手が外国人でも平気で声を掛ける。船上で、機上で、外国人に話しかけて英語の練習をした。同種との交わりも大事だが、異種との交わりこそ、自分で求めないかぎり、機会が限られているので大事だと思っている。
<努力に期限なし>
・エジソンは、天才とは1パーセントのひらめきお99パーセントの努力である、といったという。あの発明王にして努力がものをいうのか、とびっくりさせられる言葉である。
・天才とは並外れた努力をする人のことをいうのではないか、とも思う。どこまで努力できるかも才能である。
・私はつねに現状を脱却することを念頭に置いてきた。おかげで「努力は第二の天才なり」と思うようになった。
<「そのうちいいこともござっしょ」>
・長男ばかりか次男までも障がいを負っていると分かって、私は打ちのめされたような気持になった。できれば、苦しみのままに死んでいければ、とも思ったものだ。
しかし、一方で、心の中に葛藤があっても、それを乗り越えて生きよう、と考える自分がいる。いつもそっちの人格のほうが優勢になる。
・そのときに老婆がいった言葉が忘れられない。「先生、そのうちいいこともござっしょ」そうなのである。悪いことばかりではなくて、そのうち何かいいこともあるのである。
<流れに負けない>
・それよりも、ゆっくりと、大河の勢いで老いが身に及んでいる感じに近い。私が日々、心を砕いていることは、その流れに逆向きで棹差すことである。
・というのは、しいのみ学園で預かる子の80パーセントは脳性麻痺の子で、彼らは脳の一番中心がやられている。多くの子は小学校6年のころから、歩行が難しくなり、手も使えなくなっている。言葉にも障がいが出始める。そこを境に寝たきりになる子も多い。いわば集団で下流に流されていくイメージである。
・脳性小児麻痺の子が、逆境に立ち向かう姿勢を植え付けてくれたように思える。たとえ敵が圧倒的に優勢と分かっていても。
<人生は自分との戦いである>
・私は、頭も身体も全部、自分自身との戦いで鍛えてきた感が強い。もちろん障がいを持った子の親としても、結局は、自分との戦いだったのである。
<子どもで若返る>
・私は、高齢者がそばにいることで子どもにもいい影響があると思うが、逆に小さい子がいることで高齢者も元気づけられる。
<教養のある人は自由な人である>
・私には、教養というのは自由な状況のなかで獲得するものだ、という考えがある。
・教養とは自前で作り上げるもの、ともいえるだろうか。それだけに、効率や能率とは無縁なものである。
<人生に余りはない>
・「人生に余りはない」。100歳を超えてから、これは私の確信のようなものになった。
・人生に余りあり、とは絶対にいえない。後悔や諦念も含めて、人は精一杯生きているのである。
<いるだけでいい>
・子どものそばにいてこそ安心感のある先生でいることができる――と私などは思う。先生がいつもそばにいれば、いじめはもっと少なくなるだろうし、校内暴力だって起きにくくなるだろう。それが、いるだけでいい、の意味である。
<工夫して生きる>
<趣味は人をびっくりさせること>
・趣味はなんですか、と聞かれると、「人をびっくりさせること」と答えている。そう答える人は少ないだろうから、まずこの答えに人を「びっくりさせる」効果がある。
・みなさん、私に会うとなれば、関心は「どれだけ元気なのだろう」に尽きるだろう。
<韓国語は65歳から>
・他国の言葉を覚えるには、ある種の才能が必要だというが、私は“熱意”が最初になければダメだと思う。
・ほぼ毎日のように福岡市の大湊公園の周りにいる進駐軍のアメリカ兵に声を掛けて、英語の練習にいそしんだものである。
<人と自然を見つめる――短歌のすすめ>
・私は若いころから短歌づくりにいそしんできた。
・私は「真樹(しんじゅ)」という短歌会の同人で、それは中国新聞の記者だった山本康夫さんが始めた者で、会員は毎月10日の締め切りに10首を提出する決まりになっている。
<人生に欠かせないS(刺激)とR(反応)>
・私の研究課題のなかで、特に脳性麻痺の子にどういう刺激を与え、どういう反応が返ってくるか、というのは大事なテーマであった。
<自分を揺さぶる>
・子どもにものを教えるには、「揺さぶり」が大事である。停滞や緩みがあってもいいが、それをもう一度、元に戻したり、もう一段高いところに上げるのに「揺さぶり」が必要である。
しいのみ学園はほかの学校と違って、運動場で教えて教室で休憩する、というやり方である。
・だから、「揺さぶり」の技こそ、定年後に最も必要なものなのである。
<一日パジャマで過ごす人間にはなるな>
・私が元気なのは、ものをよく噛むなどの生活習慣に気を付けていることもあるが、一番は社会性を失っていないからだと思う。
・私が情けないと思うのは、やってくる人もいない、というので1日、パジャマで過ごす人がいることである。
・目的もなしに集まって、あれこれと雑談するのも楽しいが、同じ趣味の人間が集って切磋琢磨するほうが、もっといい。何歳になっても成長している感じが大事なのである。
<変化を喜ぶ人になる>
・私は教育に携わり、子どもたちを観察することで、障がい児教育の在り方を模索したが、ものごとを考える土台にその経験がきっちり組み込まれている。
・その観察からいえば、子どもは変化が大好きである。
<長生きなのは「工夫する人」>
・しいのみ学園は、教員や運転手までみんな子どものための道具作りを続けた。いろいろ開発して、それを子どもに使ってもらって、五感ばかりか脳の発達にも役立てたい一心だった。
・私が100歳を超えてぼけずにいるのは、普段からさまざまな工夫をする癖がついていたからではないかと思う。もちろん、物をよく噛む、というのも、脳の活性化に深く結びついた習慣だろうと思うが。
<ユーモアは身を助く>
・アメリカあたりだとパーティに出かける前にジョーク集などを開いて、一つ二つ仕込んでから出かけるのだそうだ。
・立派なジョークを言おうとする必要はない。
<格好から入る>
・師範学校に進んで、私は級長で、相変わらずの模範生だったが、急に心境の変化がやってきた。これじゃいけない、男らしいことをやらねば、と。
・なぜ小学校から大学まで長い期間が用意されているかといえば、変われるチャンスが都合16年あるということなのである。
<機を見るに敏なれ(1)>
・別項で、終戦後はきっと英語が必要になると思い、米兵のたむろする公園に出かけて声を掛けたことは触れた。私にはそういう機を見るに敏なところがある。
心理学を修めたことも、統計学を学んだことも、これから必要になる学問との読みがあって始めたことである。
<機を見るに敏なれ(2)>
・娘の邦子がアメリカの大学へ留学するときには、私は三つのものだけは忘れず持って行きなさい、とアドバイスをした。
・アメリカに行く――それでは向こうにない珍しいものを持って行こう、というふうに思うことが大事なのである。
<なぜ人の輪に入れないのか>
・見知らぬ人や、それほど馴染みのないグループに近づくときは、まずは笑顔。英語で講演するときは、Smile at first.と言っている。次は褒める。「誉めるものがない」といわずに、必ず何か見逃しているものがあるはずだから、それを見つけて褒める。
脳性麻痺の子どもに一体褒めるところがあるだろうか、それが、いくらでもあるのである。ごはんが昨日に比べてこぼさなければ、「偉いね」と褒める。すると、その子の情緒が安定して、余計にこぼさなくなる。
<許容度を上げる>
・しいのみ学園は、基本、子どもは何をしてもいい、ということになっている。
・子どもにレールの上を歩かせようとしない。かえってレールの幅を広くすると、蛇行しながら自分で学習を始める。
<遊びこそが大事>
・これは新聞で読んだことだが、落語家の三遊亭竜楽さんは7ヵ国語で落語をやるそうである。
・しいのみ学園をやっていて、勉強より遊びが先だ、などというと、白い目で見られたものである。
<すべてはタイミングである>
・子どもを観察していて分かったのは、3歳ごろに大きく伸びるということである。そこで伸びる子は、あとで普通学校にまで行ける可能性があるが、そうでない子は難しい。
<やりたいときはとことんやる>
・しいのみ学園の教育法で一番の特色は、興に乗ったらとことんやるところである。
子どもが電車ごっこに興味を持ちだしたら、それをずっと追いかけるのである。
<達成感を味わう>
・ものごとを成し遂げるというのは、なんと気持ちのいいことだろうか。それが、いつも中途半端で、いつまでも終わらない不全感があると、自分に自信をなくす原因になる。
<休憩は次の仕事なり>
・次の仕事に向かうために休むのが休憩で、次の仕事に影響が出るのが、“ぼんやり”である。いや、ぼんやりだって、ときに必要である。
<情があってこそ頭も働く>
・カール・ヤスパースという哲学者は、「智は情意をコントロールする力を持つ」と述べている。
・「知能は情意の力がなければ発達しない」私はこっちのほうが、実は大事ではないか、と思っている。
<反撃してもいい>
・昔はいじめはなかったという説もあるが、私自身がいじめに遭った経験者なので、それは嘘ということができる。
<「忍」は愛の別称なり>
・子どもたちは、教師がじっと耐えた分だけ、成長する。彼らの自発を待つのが教育であるから、どうしても「忍」が必要になる。
<鍛えて生きる>
<日記を書く>
・人間には二種類あって、日記を書く人間とそうでない人間である。私は明らかに前者で、それも韓国語で書き留めている。
・1日1行でもいいから必ず書く。それが長続きの秘訣である。
<口と手と足を鍛える>
・私は16歳で師範学校に入り、家を離れて寮生活を送った。学校は先輩後輩の上下関係が厳しく、2組の級長になっても、虚弱児で育った私は、ひ弱に見えたのか、先輩に生意気だと睨まれて、しまいに吃音になってしまった。休日に家に帰ったときはその癖が出ないので、完全に精神的なものだった。
・よく才のある人を「口八丁手八丁」というが、私はそこに「足」も加えて全部で24丁こそが必要だという説である。
<手や足は外にある大脳である>
・私は、「手や足は外にある大脳である」と唱えてきた。
・博士は「脳は筋肉に近い存在」だという。脳は刺激を与え続けることで鍛えられる、ということである。
・歳をとるほどに、手を使い、足を使わないと、せっかくの脳味噌が活発に動かなくなる。脳に刺激を与え続けること――これが大事なようである。
<人前で発表する>
・私は学者という仕事柄、人前でものを発表する機会が多かった。
・論文の発表にも似たところがあって、人の評価があって初めてその論文の価値が定まっていく。しかし、世間に出せるレベルかどうかは、まず本人が判断しなくてはならない。
<新聞に二つの顕著な効用あり>
・新聞を隅から隅まで読むと、1時間では足りないぐらいである。それを読書と考えれば、本でいえば結構なページ数を読んだことになる。
私は1紙を熟読し、あと4紙を見出しだけ拾うような読み方をしている。
<ポストに歩いていく>
・私はふと思いついた人にすぐ手紙を出す。長く書こうとすると億劫になるから、かなり重要な便りでも便箋1枚と決めている。
・私は来た手紙には、必ずその日に返事をだすようにしている。
<手間ひまをかける>
・手間ひまのかかったものこそ、もらって嬉しい。便箋を選び、それに文字をしたため、封筒に収めて、表書きを書き、切手を貼る。
<言葉を大事にする(1)>
・外国語をいくつかマスターしようとしている私は、かえって日本語の豊かさ、美しさに気づくことが多い。
<言葉を大事にする(2)>
・若い人たちのあいだでふるさとの言葉、つまり、“方言”が密かなブームだそうだ。あえて地元の言葉を使うことで親近感が深まる効果がある。
・あと、古典を読むことをお勧めする。
<前向きな優しい言葉を使う>
・「100歳になったら、世界一周をする」。こうやって言葉で宣言すれば、それが圧力となって、実現を目指すようになる。言葉にはそういう働きがある。
・アフリカで靴を売ったり、エスキモーに冷蔵庫を売る話があるが、私がしいのみ学園を作ったのも、それと同じこと。「誰もやっていないから止めよう」ではなく、「誰もやっていないからやる」と言葉にしたほうが勝ちである。ポジティブな姿勢はポジティブな言葉から、とつくづく思う。
<いくつかの通過点>
・私はとうとう106歳を超えて、いま「茶寿」に向かっている。
・次が先に触れた「茶寿」で108歳。私が当面目指す数字だが、「皇寿」が先に待っている。
<握手のすすめ>
・子どもが母親の愛情を一番感じるのは、抱っこされて、頬ずりなどのスキンシップをしてもらうときである。
ところが、成長するにつれ、体感経験はぐっと少なくなる。日本は、欧米人のようにハグしたり、軽くキスをしたりという文化がまったくない国である。としたら、せめて握手の文化ぐらいは欲しいところである。
<医者、行かず>
・私は基本的に「医者、行かず」でやってきた(この2年ほどは、ご厄介になることもある。なにせ106歳である)。
・焼き魚などの骨や皮などに湯を差して、塩や醤油で軽く味付けたものを“医者殺し”というところがある。それは地元の物で、おいしくて、かつ身体にいいので、そういわれるわけである。
<シンプル健康法(1)――30回噛みのすすめ>
・何がよかったのかと考えると、母から小さいころに躾られた“30回噛み”ではないかと思う。
・口にものを入れたら、必ず30回噛むようにする、すると、食べたものが確実に消化され、しかも自然と食べる量が少なくなってくる。
<シンプル健康法(2)――冷水摩擦>
・昔から冷水摩擦は身体にいいとされ、幼稚園などで実施しているところもある。
・30回噛みでも、この冷水摩擦、そして次の棒体操にしろ、ポイントは無理なく、毎日、日課としてやるということである。
<シンプル健康法(3)――全身を動かす>
・私は1日5分の「棒体操」を日課にしている。長さ30センチぐらいの棒を背に回したり、股の間をくぐらせたり、剣道のように振りかぶって前に振り下ろしたりする。
・棒体操で寝たきりの94歳の女性が、立って歩けるようになったという話もある。
<シンプル健康法(4)――寝具を選ぶ>
・ホテルに泊まるとき、枕を気にする人はいるが、ベッドの固さまでこだわる人は少ないかもしれない。
・ふだん家にいるときは愛用の固いマットに敷布を敷いて寝ている。
・上を向いて寝ることには、もう一つ大きな利点がある。それは、仰臥位で寝ると、たちまち肝臓を流れる血液が30パーセントも増加する。肝臓が働けば老廃物を分解し、栄養源が補給される。おのずと疲れが取れ、元気になるのである。
<総入れ歯の恩恵>
・私が総入れ歯になったのは75歳のときである。歯だけは自分のものだけでまかなうことはできなかったが、総義歯になってもすこぶる快調である。
<教え教えられて生きる>
<金を恐れない>
・しいのみ学園が認可取り消しとなり、国から措置費が下りなくなって、経済的に大変厳しくなったことがあった。そこで何をしたかというと、せっせと原稿書きにいそしんだのである。
<前例がないからやる(1)――25歳のベストセラー>
・私は、若くしてベストセラーを出したり、無許可で23年も障がい児のための学園を運営したり、99歳から世界一周講演行脚を始めたり、いろいろと果敢なことをやっている。常識破りこそ、人生の気概である、とも思っている。
・今までになかったものを作る――原点はそれである。
<前例がないからやる(2)――常識破りの教育>
・しいのみ学園を作ったのは、長男有道(ゆうどう)をどうにか中学までやったものの、2年のときに2階から突き落とされる事件があって、これはもうダメだと観念したのがきっかけである。
・しいのみは前例破りばかりでやってきた学校である。日本で初めての障がい児のための施設だから前例がないのは当然だが、教育を進めていくうちに、障がい児には独特なプロセスが必要だと分かって、どんどん常識破りの道に突き進んだわけである。
<前例がないからやる(3)――99歳からの世界講演行脚>
・99歳からほぼ毎年、世界一周の旅に出て、ひと月からふた月で15~20の都市で講演をして帰ってくる。
講演のテーマは障がい児教育や健康長寿の法、手作りおもちゃ親子愛情教室などが中心である。私は「趣味は講演」というぐらい、年間、多数の講演を行っている。
・話をして、棒体操を披露し、黒田節を踊って90分。
・私の棒体操の実践を見て、アメリカ人の男性が寝たきりの母親に棒体操をさせたところ元気になった、と報告してくれたことがある。
<親は子のことで迷うもの>
・長男の有道を学校にやろうと思い、訓練一点張りだったことがある。6歳になっても就学猶予で2年が過ぎる。来年こそはと川の土手を手を引いて歩き、途中で手を離し、自分で歩く訓練をさせる。
・転居前の広島ではカイロプラクティックを習った。子どもを治す何かの足しになればいいと思ったのである。催眠術を習ったこともある。
・山中の巫女さんに見てもらうために、何回も通ったりした。賽銭を上げて、祈禱をしてもらうのだが、一向によくならない。
・小児科の先生は、自分の子は診ないという。誤診の可能性が高いからである。
<運命の分かれ道>
・今度の東日本大震災で多くの方が亡くなったが、ちょっとしたことの違いで生死が分かれることを私も経験している。
<ものは言いようである>
・「ゆとり時間」が小学校に導入されて、ついでに教科書も薄くなって、非難ごうごうだった。親からすれば、学力が下がるのが一番の心配であった。
・やがて世界各国で比べる学力テストで、日本の順位が大幅に下がったこともあって、「ゆとり教育反対」の声はピークに達し、元に転換されつつある。
・工場などで用語の意味の統一を図って、仕事がスムーズにいく下地づくりをするところがあるが、それと同じことが教育にも必要なのである。
古くから「ものは言いよう」という言葉がある。まさにその通りで、せっかく高尚な中身も理解されないのであれば、絵に描いた餅、画餅である。
<サービス嫌い>
・福祉にもサービスの考え方が必要である、という意見がある。というか、それが優勢になってきているのではないだろうか。
・この論理を突き詰めると、重症な子は割に合わないから受け入れない、というところも出てくるだろう思う。経営側からすれば、なるべく手をかけないで成果を出したい、と考えるのは自然なことである。
しかし、知的障がいのある子どもと長く接してきた経験からいえば、そういう経済のプラス、マイナスの論理で教育はできない、というのは自明の理である。
・かつて流行性感冒が大流行したときに、徹夜で子どもたちを看病した妻がいった言葉が忘れられない。
「うちの子が死んでも、ほかの子は死なすわけにはいかない」
人さまの子を預かるということは、こういうことなのである。私自身、はっとさせられた言葉なので、事あるごとにそれを思い出す。
<雲待ちの教育>
・講演の依頼が来ると、いい演題はないものかと腐心する。どういう題が付くかで、聴衆の集まり具合が違うからである。
・しいのみ学園の草創期を記した本はベストセラーになり、それを元に映画も作られた。
・これと同じことが教育でできているだろうか。子どもにその気がないのに教育を押し付けても、勉強嫌いの子を増やすだけだ。いかに雲待ちをして、子どものやる気を見届けるか。
しばらく待ってダメなら、自分で工夫をして雲を起こさせる。映画と違って、教育でそれができる。そんな話をPTAを相手にしたのである。
<母の「言葉」が私を育てる>
・母との会話のいろいろな場面を思い出すが、いつもいわれた言葉が鮮明に思い出される。きっと母は、言葉が持つ力のようなものを、かなり意識していたのではなかったろうか。
<親の愛情の複雑さ>
・時経て、自分がその身にならないと分からないことがある。子が生まれれば、両親の苦労が分かるようになる。
<六つの外国語、四つの方言>
・私はちょっとかじったものを含めて外国語が6つ、それに方言4つを加えて10の言葉を使うことができる。
・外国に行って、日本のよさを再認識するというのがあるが、私は外国で方言の大切さを知った、という貴重な経験をしたことになる。
<予見の大事さ>
・教育の場面でも予見というのは大事な要素である。何でそんなものが、と思うかもしれないが、天気予報よりよほど切迫度が高い。
・高齢者は不測の事態に弱いが、その分、予見の力があるように思う。それを最大限使えば、ある程度のリスクは自分で回避できるのではないか。
<ちょっと先を見通す>
・心理学を専攻したおかげで、いろいろ食い扶持に困らなかった話を別項で少し触れた。
・アメリカ映画を見ると、ちょっと悩みがあるとすぐに心理カウンセラーにかかりに行くシーンが出てくるが、日本も徐々にああいうスタイルに移行していくかもしれない。
・心理学を専攻したおかげで、あちこちの学校から引く手あまたという感じだった。
<かつての校長のように>
・日本の企業が東南アジアに進出したり、アメリカやイギリスに工場を造ったときなどに、管理職が社員食堂で一緒になって食事をすることに、現地の人はみな驚いたという。
・私は教育においても、この分け隔てのなさは必要だと思っている。
<海外旅行、四つの心得>
・まず、「強心臓で行け」である。英語で記した名刺をすぐ差し出し、誰とでも話をしろ、と私はアドバイスしたい。次は、「茶目っ気を出せ」。ジョークがいえたら一番だが、別に難しいことではない。
・さらに「言葉は適当に」も大事なアドバイスである。もし文法が間違っていたら、先方が直してくれるくらいの気持ちでいたほうがいい。
最後が、「お金に気を付けろ」。これは盗まれないよう用心をしろ、という意味だが、散財に気を付けろという意味もある。
・旅はアクシデントの連続である。知らないこと、分からないことが突然、襲ってくる。それに対処して、失敗したり、成功したりするのが面白い。
(2025/3/3)
『長生きにこだわらない』
最後の日まで幸福に生きたいあなたへ
矢作直樹 文響社 2019/2/1
<はじめに――変わっていく自分を楽しむ>
◆「今こそすべて」
・この「中今(なかいま)」精神、つまり「今こそすべて、今を楽しむ」精神があれば、些細なことが気にならなくなります。
◆「できなくなる自分」を受け入れる
・人は加齢に伴って体力が落ちてきて、それまで普通にやれた多くのことが次第にできなくなります。体は有限ですから、しかたありません。
・今後、さらにこういうことが増えますが、そんな「できなくなる自分」を、私はこれから受け入れたいと思っています。
・山の散歩だろうと普段の生活だろうと、徐々に衰えるという前提で行動する。無理をせず、今のコンディションで工夫する。過去と比べず、現在を楽しむ。
<食のバランスを見直そう>
<私の普段の食事を紹介します>
・私自身は、まず白米ではなく玄米を食べます。野菜、果物、発酵食品もバランス良くとるようにしています。大豆製品、卵、パンも、ほどほどに食べます。肉類は食べません。お酒も飲みません。とくに糖質制限などもしません。なるべく旬のもので、加工されたものではなく自然の食材を楽しみます。
<毎日少しずつ動こう>
<私の普段の体操を紹介します>
・ですが私がおすすめするのは、毎日家にいながらすき間時間でできる、簡単な運動です。息切れするほどの激しい運動をたまに頑張るよりも、毎日少しずつ、無理のない範囲で体を動かす習慣を作るほうが大切です。
<人生に定年はない。本当の定年は命日。>
<私たちの本当の定年は「命日」である>
・しかし、会社の一員としては定年しても、心や体に定年はありません。心や体が定年するのは、この世をおさらばするとき。私たちにとっての本当の定年は、命日です。つまりこの世を去る日まで、定年は一生涯ありません。
・定年退職して居場所がないと嘆く中高年が大勢いるそうですが、そもそも人生に定年はないのだし、体力が落ちることが人生の定年でもありません。
【会社の辞めどきは、自分で決める。人生の定年は、寿命が決める。】
<役割を自分で考えるステージに立つ>
・会社などの団体に所属していると、組織という仕組みの中で役割を「求められ」ますが、年齢や経験とともに、役割は自ら「求めるもの」へと変わります。
・女性が男性から離れるケースが多いと言われますが、長年パートナーに仕え、子どもが巣立った状況で、夫婦間で役割を見いだせなくなった結果が熟年離婚です。離婚するほどの感情の断絶がない場合は「卒婚」を選ぶかもしれません。
・役に立つとか立たないとか、そんな話ではないし、そもそもお役目や役割は一つではありません。好きでやるならいくつあってもいい。
【役割は、与えられるものではない。自分で求めて見つけるもの。】
<ひとつのことにこだわると、人は弱くなる>
・柔軟性の高い人は切り替えが上手かもしれません。
【柔軟な人ほど強い。】
<暇だと思ったら、近所の掃除をする>
・何かやること、取り組むことがあり、忙しいなら難しいかもしれませんが、暇でしかたないのであれば掃除は絶好の暇つぶし。体も鍛えられます。
【「これがダメならあれ」とたくさんの答えを出せる人の方が強い。】
<「肩書き症候群」には「忙しさ」が効く>
・自己の視点ではなく、他人の視点で行動するようになり、やたらと評価を気にします。
・この病気の特効薬があります。それは、忙しく過ごすこと。たったこれだけ、あっという間に完治します。夢中になると、自己が解放されます。
【肩書き=自分ではない。本当の自分は、自分が好きなことの中にある。】
<昔、夢中になったことを思い出す>
・何でもいいのですが、その昔、夢中になったことをやってみるのも手です。体力的に無理だとか、興味が失せたらやめればいい、そうでなければ「興味の基礎」があるので意外と早く楽しめるかもしれません。
・芥川賞を受賞した若竹千佐子さんは、55歳のときにご主人を亡くし、息子さんの勧めで小説講座に通った結果、63歳のときのデビュー作で芥川賞を獲り、大きなニュースになりました。
【前からしてみたかったことをやってみる】
<役に立つか考える必要はない>
・何が難しいのかと言うと、役に立っていると思って当たり前のようにやっていることでも、実は役に立っていないことが山のようにあるからです。
【相手からの感謝を求めない。「自分がやりたいからやる」、それでいい。】
<気になるなら、やってみればいい>
・個人的に受ける相談の中でも、とくに多いのが「できないと思うんですけど」という一言のついた内容です。じゃあやめておけばと、喉元まで出かかりますが、それを言ってしまうと身も蓋もないので「とりあえず、やってみては」と話します。
・我が身にふりかかるすべての出来事は、そこに至るまでの間に起きた大小にわたる膨大な要素が緻密にからみ合った結果、生じます。
・最初からうまくできなくたっていいじゃないですか。できるようになる過程こそ私たちにとって最大の学びです。
【「できないかも」は言い訳。自分で作った制限は自分で外せる。】
<定年は会社が決めても、引退は自分で決めればいい>
・ただし、会社を定年で辞めても、社内で役職が外れても、それまでこなしてきた業務の専門家としての自分は、しっかりと残ります。
・主婦業には定年も引退もありません。ある意味、サラリーマン以上に過酷です。専業主婦も大変ですが、働きながら主婦業もこなす人には本当に頭が下がります。そんなロングランだからこそ、主婦の方には「ほどほど感」を持って欲しい。
【細く長く「ゆるゆる」続ける、そんな気楽さも良い。】
<「あと何年」と逆算的に生きるのは厚かましい>
・私は明日のことさえ考えません。明日はひょっとしたら「人生を定年している(=死んでいる)」かもしれません。肉体の動向は本当に予想がつきませんから。
・五体がちゃんと動いている事実に、まずは感謝。10年後、20年後に、自分がどうなっているかと考えること自体、厚かましいこと。まず生きているかどうかわかりません。
【人生もマラソンも、ゴールを気にしたらしんどい。今の景色を味わえば楽しい。】
<自分の暮らしに手を抜かない>
<「加齢」しても「老化」はしない>
・英語の「アンチエイジング」は、文字通り、抗加齢、抗老化を含み込んでいるので実際に日本語で表すと“老化防止”になるかと思います。
・最近、この加齢や老化と正面から向き合う“スマートエイジング”という考え方があります。「加齢によって物事の見方が深まり、視野が広がることで人生が豊かになっていく」と前向きに認識することは大切です。歳を重ねるのが楽しくなる、というのはとても良い考え方です。
・次に、心まで老化しないためにはどうすればいいか。それは、「老化する・老化しない」という意識を自分の中からなくすことです。感謝の念で中今を生きていればそのような意識も生まれません。何の心配も恐れもありません。
【感謝の念で中今を生きる。】
<ちょっと不便な生活を楽しむ>
・体をほどほどに動かす習慣があれば、自然と転びにくくなります。筋力の維持や可動域を維持できるからです。すると血液の循環も適度に保たれます。内臓の働きを後押しし、脳内環境を好転させることで記憶力や空間認知力も向上します。
つまり結論から言うと、体をほどほどに動かすことで内臓や脳の健康を維持し、日常を快適化できるということです。
・まずは「歩く」ことを見直しましょう。いつでもウォーキングです。
・歩くことはすべての基本です。走る、登る、すべての歩きの延長です。丹田(臍の下あたり)を意識し「歩いているぞ」と実感しながら、歩行そのものを楽しむこと。
【ほどほどに体を動かし、自律して生きる。】
<「勝手にやってもらう」に慣れない>
・機械がやってくれたらいい、便利だと、もし考え始めたら、自身の筋肉や反射神経が確実に低下していると思ってください。脳機能も低下します。
【任せ過ぎると体も脳も弱くなる】
<歩きながら「今ここ」を感じる>
・歩き瞑想、というのをご存じでしょうか?
・歩き瞑想のポイントも通常の瞑想と同じく「中今=今ここ」を感じること。風景を楽しみ、好奇心を持ち、自然と自分のつながり、自分と他者のつながりを、心のまま、ありのままに感じる。今この瞬間を、歩きながら楽しむ。
【歩きながらこの世界を味わうだけで、瞑想になる。】
<食べ過ぎない、偏らない>
・誤解を恐れずに言えば、「万人に適用される食の黄金ルールはない」
・絶対的な黄金ルールはありませんが、食べ過ぎない、極端に偏らない、この二点は守ったほうが良いでしょう。要はバランスです。あと、食べたいものは適度に食べましょう。
・食についても楽しみながらという姿勢が、最も負荷がかかりません。膨大な情報がありますから、振り回されないように気をつけること。また、サプリメントや薬に頼る前に、まず食事内容を見直し、生活習慣の改善から始めること。
【食事はバランスが大切。好きなものも適度に食べる。】
.
<サプリや薬に頼る前にできること>
・私自身は、サプリメントを使っていません。
・私がサプリメントを使わない理由は、次の三点です。
- プラセボ(偽薬)的な位置づけにある点
- 体質によって効果・効能が異なる点
- 人工的な摂取が肉体の潜在力を弱めてしまう点
・サプリメントに頼るなら、まずはしっかり食事をとりたいものです。食のリバランス(バランスの見直し)を行なってください。私自身は、まず白米ではなく玄米を食べます。野菜、果物、発酵食品もバランス良くとるようにしています。大豆製品、卵、パンも、ほどほどに食べます。
・肉類は食べません。お酒も飲みません。とくに糖質制限などもしません。なるべく旬の食材をいただくようにしています。塩も大事です。精製されていない自然塩の持つミネラル要素は人体を活性化してくれます。
なるべく加工されたものではなく、自然の食材を楽しむ。量を追わず、質を追う。その点に留意しています。
・サプリメントと同様に、薬も服用しないに越したことはありません。
そこで難しくなるのが、減薬(薬の摂取量を徐々に減らす)のタイミング。かかりつけ医との相談ですが、お互いの十分な疎通による信頼関係の構築が大切です。
・心の持ちよう、食と体を適度に動かすこと。この三つが健康を決めるということを、心にとめておきましょう。
【旬の食材を、ほどよい量で楽しむ。当たり前のことが、健康の鍵。】
<寝るときの環境を見直す>
・体温は睡眠に関係します。活動中は体温が高く保たれ、眠るときに体温が下がることで体を休めます。手足から放熱して深部体温が少し下がると眠くなります。
・私は寝間着を持っていませんが、出かけるとき以外は、屋内でも屋外でも着の身着のままです。
・お風呂は夜、20分くらい入ります。少しぬるめ(夏38~40℃、冬41℃)にしています。寝る前には何もしません。テレビもパソコンも見ません。今日一日、生かされたことに感謝するだけです。
【眠る直前は何もしない。】
・出すことも健康には不可欠です。発汗と排泄、この二つは代謝のコントロールという点で重要です。発汗では体内残留を避けたい重金属などの毒素を出します(デトックス)。
・排便、とくに排便では、便秘にせよ下痢にせよ、長い間、悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
便秘は次の状況が大きく影響します。
- 食事内容(偏重、不規則)、②体質、③習慣、④腸内環境
・下痢の方は野菜スープやおかゆなど消化の良いものをとり、アルコールやコーヒーなど刺激物は控えること。
便秘の方は海藻類やキノコ類など繊維質の多い食べ物をとること。さらに便秘でスムーズな排便を促すために次のことを試してはいかがでしょう。
- ウォーキング、階段の昇降、②体操、ストレッチ、ヨガ、瞑想、太極拳、気功、バランスボールなど、③和式便器
・和式便器は意外に思われるかもしれませんが、洋式と違ってしゃがむ姿勢だと、直腸と肛門がまっすぐになり、排便を促しやすいのです。
【体から出すことも大切。】
<「笑い」と「ワクワク」を日常にちりばめる>
・できるだけ頭を刺激してみましょう。間違いなく脳が活性化されます。では、どんなことが脳を活性化するのか? いくつか挙げてみます。
- 読書、②知らない土地を歩いてみる、③絵画や彫刻など芸術鑑賞、④落語を聞いてみる、⑤パズル、問題を解いてみる
・ポイントは「想像する」ということ。脳は急速に働きます。
・笑うことも脳を活性化します。実は笑いで免疫力が向上し、血糖値上昇を抑制することもわかっています。
【日常に変化を作り、心を刺激する。】
<機械任せ、他人任せではなく自分の体で生きる。>
<息切れする運動を頑張らなくてもいい>
・私がことあるごとにウォーキング、階段の昇降、自転車、山登りやハイキングなどをお勧めするのには理由があります。
まず、一人でも可能だという点。そして腸腰(ちょうよう)筋が鍛えられるという点。とくに自転車や階段の昇降は、腸腰筋がかなり鍛えられます。
・腸腰筋というのは腰椎と大腿骨を結ぶ筋肉で、背骨、骨盤、股関節という、私たちが転ばないために働く主要な部位に影響する筋肉です。加齢や運動不足でこの筋肉が弱くなると歩行に障害が出ます。
したがって、毎日ある程度の距離を歩き、そこに階段の昇降も入れながら、たまに自転車にも乗っているような人は、着実に腸腰筋が鍛えられます。無意識のうちに体が活性化されます。よって転びにくくなるでしょう。
・ちなみにどんな運動でも、ひどく息切れするような、強く、激しい運動は、できれば控えたいものです。
・むしろ息切れせず、ゆっくり体を動かし、筋肉や関節に過度の負荷をかえずに行なうことができる、例えばバランスボールや太極拳のような運動は、見た目のおっとり感とは逆に、身体内部の燃焼効率や細胞活性に役立ちます。気功も同じです。ゆっくり呼吸し、ゆっくり動く。
【自分の体力に合わせて、ゆっくり体を動かす。】
<家事は体を動かす絶好のチャンス>
・体を動かすと聞くと、スポーツジムとかフィットネスクラブを連想される方が多いと思います。自治体主催の体操教室も豊富です。
(例えばキッチンにいるときに、簡単にできること。)
・かかと上げ(つま先立ち)、かかと伸ばし(交互にゆっくりと)
・エアフラフープ(腰を右回し、左回し、交互にゆっくりと)
・肩甲骨の開閉(両肩を後ろにそらし、次に両腕を胸の前で交叉する)
・屈伸(急がずゆっくりと、慣れたらつま先立ちでゆっくりと)
・股関節ストレッチ(四股踏みスタイルで手を膝に置き左右の肩を入れる)
・すぐにできます。キッチンにいる時間が長い方は、これらを習慣づけると良いでしょう。体は習慣づけを好みます。
・普通に家事をこなすだけで、実は結構な運動量になります。
【家事の「ついで」に、体を動かす習慣をつける。】
<「ながらストレッチ」を楽しむ>
・デスクワークが中心で、座っている時間が長いという方には「座ったままストレッチ」を推奨します。立たなくてもできます。
・右手を左膝に乗せグッと左を向く、左手を右膝に乗せグッと右を向く
・かかとを上げてゆっくり下ろす(繰り返し)
・つま先を上げてゆっくり下ろす(繰り返し)
・ゆっくりと足を広げ、ゆっくりと閉じる(股関節を意識する)
・上半身をゆっくりと、前後左右に倒す(背骨と腰を意識する)
・ふくらはぎを膝に押し当て上下に動かす(ふくらはぎマッサージ)
・肩回し、手首回し、首回し(ゆっくり行なう)
先ほどの家事同様、無理のない範囲でやってください。ちなみにですが、私がここに列記した運動やストレッチをすべてやる必要はありません。
(移動中にできるものも、たくさんあります。)
・交互にかかとを伸ばすストレッチ(ゆっくりと、ふくらはぎを意識する)
・腿(もも)上げ歩き(歩きながら、たまに行なう)
・つま先だけ歩き(かかとを接地させない、たまに行なう)
・ゆっくり大股歩き(歩きながら、たまに行なう)
・階段で一段飛ばし(上り怪談のみ)
・階段で両足裏の前半分を乗せ、軽く上下させる(必ず手摺を握る)
・状況によっては迷惑になる恐れがあります。ご注意ください。
人はなぜ転ぶのかという問いに対しては、運動不足や加齢、老化など、さまざまな答えがありますが、加齢を止めることはできません。それでもなるべく転ばないように生活するコツはあります。最も大切なのは習慣づけです。
【動くことが怖くなる前に、自ら動くことを楽しむ。】
<自分に合う運動を少しずつ続ける>
・フレイル・サルコペニアという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
・今、わが国の高齢者3千万人のうち6百万人が介護を受けています。
日本老年医学会は、要介護の前段階としての脆弱性を「フレイル」と命名しています。私たちはフレイルにならないようにしたいものです。
さて、フレイルは「加齢に伴い身体の予備能力が低下して健康障害を起こしやすくなった状態」、サルコペニアは「加齢に伴って生じる骨格筋力の低下」、と定義されています。
・加齢に伴い食欲不振や偏食により低栄養の状態になり、それがやがてサルコペニアをきたし、さらにフレイルを憎悪する「フレイル・サイクル」状態に陥らないよう心得る必要があります。
フレイルの能力低下をきたさないためには、運動が有効です。この場合自分に合ったものがお勧めです(椅子に座ったり立ったりの繰り返し、スクワット、歩行、水泳、ジョギングなど)。
また、バランスの良い食事をとることで筋肉がつき、感染症にかかりにくい身体ができていきます。
そして、適度の運動をすることで、姿勢が良くなり、血液循環が良くなり、内臓の働きが良くなり、脳の働きも良くなり、気分も良くなります。
・可能なら5分でも良いので日々体を動かしたいものです。運動内容もあくまで目標です。やりたくなければ無理せず、しないこと。しなければならないという義務感は要りません。
【ハードに鍛えなくても、気持ちに任せて少しずつ動くことを楽しむ。】
<片足立ちでバランスを整える>
・自分のバランスをチェックする意味で、次のテストをしてみてください。
- 直立姿勢で両足のかかとの上げ下げ(つま先立ち)
- 片足立ちで屈伸(とりあえず初期目標は、10秒間の静止です)
- 片足立ちでかかとの上げ下げ(交互に)
・片足立ちをする時間の長さが疾患と関係しているのでは、という報告です。
【いつでも片足立ちできるバランス感覚を目指す。】
<目と体の血液を促す>
・血流の状態が、健康かそうではないかのバランスを決めていると言っても過言ではありません。
起きているときに正常な血流を促すには、注意点があります。
・長い時間、同じ姿勢をとらないこと
・関節に適度な刺激を与えること
大きく言えば、この二つです。首凝りや肩凝りに悩む方は多いと思いますが、平均すると約5キログラムの頭を乗せているわけですから、首も肩も疲れて当然です。
眼球も、血流が悪くなることで機能が低下します。ストレスや睡眠不足で目が疲れることがありますが、テレビ、パソコン、スマホ、ゲームなど、情報端末が普及したことで目の疲れは急増しました。
・眼精疲労は、視力低下、老眼の促進、ドライアイなど、さまざまな機能低下へとつながります。眼精疲労で生じる頭痛も多く、その頭痛が交感神経や副交感神経のバランスを司る自律神経の乱れを招きます。
・ちなみに簡単な「眼球ほぐし体操」があります。
【体も目も硬直させない。】
<毎日の運動は少しでいい>
・私が実際に、毎日やっている運動をいくつかご紹介します。
*全身の血流促進に役立つ適度なスクワット
*首回りの筋肉と肩甲骨の凝りをほぐす肩回し体操
*腰痛改善のためのキャット&ドッグ
【無理はせず、できる運動を習慣にする。】
<健やかに歩く>
・重要なのは「早過ぎると炎症を起こす」という事実。さらに、歩くときの姿勢で歩行が健康に寄与するかどうかが決まります。
歩みの強さ、体の各部位の可動性、歩くスピ―ド。三つのバランスがとれたとき、健康的な歩行が生まれます。
・健やかに楽に歩くための「基本条件」があります。体の声を聴きながら次のことに気をつけてみてください。
- 肩の力を抜き、腕は楽に振る。②自分に合った歩幅。③背筋を無理なく伸ばす。④膝を無理なく上げる。⑤つま先で軽く蹴り上げる感じ。
・いずれも「骨盤」を意識してください。腰を立てて歩きます(立腰(りつよう))。
・そのためにも、次の行為を今すぐやめましょう。
- 荷物はいつも決まった手で持つ。②荷物はいつも決まった肩にかける。③座っているときに足を組む。④食事のときに決まった側で噛む。
これらは骨格の歪み、とくに骨盤の歪みにつながります。骨盤が歪むと内臓の不調が始まります。
・体はすべての部位がつながっています。だから部分ではなく、全体が調和しているかどうかでチェックしてください。
【体の「左右対称」を意識して、歩き方を変える。】
<声を出すという運動もある>
・体を動かすという意味で言えば「喉を鍛える」ことも重要です。つまり、声を出すこと。声を出す、喉を動かすというのも、運動なのです。
・誤嚥(ごえん)性肺炎は、嚙む力、流し込む力が、総合的に弱くなると起こりやすくなります。高齢者で目立つのは、そういう理由です。
食事は運動です。しかも、結構な運動エネルギーを消費します。
・誤嚥を防止するには、よく噛み、ごくりと飲み込む。この二つの力を鍛えるしかありません。唾を飲み込むといった行為でも、喉を動かすことになります。
声を出すことの効能としては、喉を鍛える以外にストレスの発散があります。中高年に適度なカラオケが推奨されるのは、このためです。
・口の機能が落ちると健康に影響が出ます。
【カラオケ、おしゃべり、しっかり飲み込む。運動にもストレス解消にもなる。】
<病は闘うものではなく、暮らしを変えるきっかけ。>
<薬に頼り過ぎると免疫力が弱くなる>
・したがって発病は、それまでの生活を見直す絶好のチャンスです。
・まず、体から出ている声を聴いてください。
・薬は人体の免疫システムがウィルスを殺菌、排出するまでの時間稼ぎです(例えばがん疼痛の投薬などに関してはここには含みません)。
・言うまでもありませんが、病の大半は心身のストレスで生じます(遺伝性のものや感染症を除く)。発病が生活を見直すチャンスというのは、そういうことです。
・自分を知るということは「閾値(いきち)を知る」ということ。閾値は、限界値、境界値、と解釈してください。自分の限界、できる、できない、そんな境界を、普段から知っておく、すると無理しなくなるのでストレスも溜まりません。
【調子が悪いと感じたら、まずは体の声を聴く。】
<頭や体幹の奥から来る痛みに気をつける>
・痛みは、私たちの体に異常が起きていることを知らせる重要な兆候です。この傷みは、急性痛と慢性痛に大別されます。
急性痛は、さまざまな原因で起こりますが、早急に対応が必要な痛みについて知っておいてください。
頭や体幹の痛みで、深奥部からの痛み、突発的な痛み、強い痛み、この三つのうち、どれかに該当していたらすぐに病院へ行くこと。このような痛みが頭にある場合脳卒中の疑いがあります。
体幹であれば、心臓、肺の血管、大動脈、このうちのどれかが異常をきたしていると想像できます。
これまで体験したことのないような頭部の痛みを感じた場合は、クモ膜下出血、脳出血、脳梗塞、などの状況が想定されます。
こうした急性期と呼ばれる症状は、薬や外科手術を中心とする西洋医学による初期対応が望まれます。だからすぐに病院へ行ってください。
・逆に、慢性的な痛みは薬や手術では限界があります。なぜなら長い時間をかけて積み重なった原因があるからです。その原因を、時間をかけて取り除く必要があります。運動器の老化による痛みが代表的です。
・進行したがんの痛みに対する緩和もあります。
【痛みによって適切な対処法は変わる。】
<体のあら探しはしない>
・医師は「ここからここまでが正常、これを外れると異常」という基準を作り、国民の健康を管理してきました。
・健診(健康診断)での基準値が個人を判断するすべてになってしまったのです。正常値から少し外れたからと言って、すぐに影響が出るわけではありません。
・善玉と呼ばれるHDLコレステロールを増やすには、ジョギングやウォーキングなど、適度な有酸素運動がお勧めです。
【「正常という病」に取り憑かれない。】
<「良い数値」は人によって違う>
・健康診断などで、いわゆる“正常値”から外れているからダメだと落ち込む必要はまったくありません。
・ほんの少しの環境変化で、人体の数値はコロコロと変化します。日常で変化するものを、ある一時点だけで評価することに無理があります。
この血圧ですが、実は正常値の解釈がバラバラです。
・しかし個人の体質によって血圧の意義は異なります。
・だからこそ、ある一定の数値に固執して重箱の隅をつつくような議論はしなくて良いのではと思います。妥当性の判断は単純ではありません。
【自分にとって適切な状態がわかればいい。】
<がんは「気づきを与える病」と言う人もいる>
・がんについて、むやみに怖がらなくて良いと思います。
今や国民病などと揶揄されるがんですが、毎年86万人の日本人が何らかのがんになり、亡くなる人の3分の1は、がんが原因です。医療名は、悪性新生物、上皮内新生物、などと呼ばれます。
がんは、どこか外からやって来て体内に住み着く微生物のような存在ではなく、私たちの体の細胞が変異したもの。さまざまな要因で生じます。
この変異(つまりがん化)ですが、実は毎日のように私たちの体内で大量に発生し、毎日のように大量に消滅しています。
【がんは「この世の残り時間」を教えてくれるものと考える。】
<自律神経のバランスが良いと免疫力が上がる>
・自律神経が働くことで、私たちは生きていられます。
(自律神経をコントロールするにはこうした違いを把握しながら、)
・食事(食べ過ぎ、早食い、偏食などをやめる)
・生活習慣(リラックス時間を増やす、睡眠をちゃんととる、体を適度に動かす)
・五感(視覚、臭覚、聴覚、味覚、触覚を研ぎ澄ます)
・人体は複雑です。偏ると健康的な生活はできません。自律神経のバランスが良いと免疫力が上がります。そのためにも、この三点にくれぐれもご留意ください。
【食事、運動、休息、自分を大切にする暮らしが健康を作る。】
<医学に対して、否定も依存もしない>
・東洋医学は最近、慢性期医療で注目され始めています。
・闘病という言葉にも違和感があります。なぜ自分の体と闘うのでしょうか?気遣う、生活習慣を見直すことで「体を労(いたわ)る」のならわかります。こうした西洋医学による善悪論を軸とした思想に違和感があります。
・一番良いのは、西洋医学と東洋医学の両方をとり入れること。現実的なプロセスとしては、西洋医学で診断(初期治療)してもらい、東洋医学でサポートしてもらう、という方法です。
【西洋医学は急性期の治療に、東洋医学は長期的な体質改善に役立つ。】
<安心してひとりで死ぬための努力と準備を始める。>
<死を心配する人へ>
・私は「あの世」の存在を認知しています。私たちのいる世界とは別の世界(次元)です。簡潔に言えば、私たちはそこから意図(魂の計画)を持ってやって来て、肉体の限界(肉体死)を迎えたら、故郷、つまりその世界に帰還します。これを何度も繰り返すことを、一般に輪廻とか輪廻転生と呼んでいます。
・あの世が存在する事実を理解できれば、実は「死ぬことに対する恐怖」を含めたこの世の問題、人生の多大なストレスが、ほぼ解決できます。
【肉体の死に執着しない。魂が本体では肉体は乗り物。】
<孤独死は悲しい最後ではない>
・つまり、自由意思を持って、世間や周囲が何と言おうと自分で心地良いほうを選択していけばいいのです。
【一人で死ぬことの何が悲しいのか。孤独は悪いと決めつけない。】
<独居を心から楽しむ>
・人口は減っていますが、65歳以上の単独世帯数(いわゆる独居数)は急増しており、この状況は今後も長く続くと言われています。
だからと言って独居の高齢者が惨めで悲しい思いをしていると考える必要はありません。一人暮らしを満喫する人が私の周囲に数え切れないほどいます。
出生数も結婚する人も減るので、むしろ今から独居を楽しむ準備に入るほうが賢明ではないでしょうか。私も独居を心から楽しんでいる一人です。
・ロボットやAIなど多様なテクノロジーが開発されているので、今後はそれらを活かした「見守り」や「看取り」の仕組みが役立ちます。
【独居で死ぬ準備は元気なうちにしておく。】
<安心して一人で死ぬための支援はたくさんある>
・何かあったら診てくれる医師(かかりつけ医)も、いないよりいたほうが良いでしょう。
・かかりつけ医者の良い点は、たとえ臨終に立ち会っていなくても死亡診断書を書いてくれる点です。
(自治体も終活を支援しています)
・神奈川県の横須賀市は、「わたしの終活登録(正式名称、終活情報登録伝達事業)」という制度を、同市民向けに2018年5月からスタートしました。
・無縁仏を減らす効果が見込めますが、独居が増える今後を見据えると、まずは安心して独居できる環境への行政支援と言えそうです。同県大和市も終活支援に乗り出しています。
こうした一部の自治体だけでなく、この仕組みが全国の自治体に採用されれば孤独死のイメージが変わること請け合いです。
【準備さえすれば、誰だって安心して死を迎えられる。】
<「平穏死」を目指す>
・安楽死という言葉も、最近たまにメディアに登場していますが、批判を承知で言わせていただくと、私の見解は次の通りです。
「死を他人に頼むな」
安楽死したいと公言する人もいますが、心得違いしないようにしたいものです。
・私たちは魂の計画を持ってこの世に降りました。なぜ生まれてきたかと言えば、この世界で多様な経験をするためであり、その経験を持って魂を向上させるためです。この世で活動するために乗り物として肉体をお借りしているのでなるべき傷つけることなく、魂があちらの世界に戻るときにお返しする。これがルールです。
・余計な医療を受けず、自然に任せて死ぬことを「平穏死」と呼びます。延命治療はとくにしません。代わりに緩和ケアが行なわれます。
【平穏に、静かにこの世を去る。肉体は傷つけずにお返しする。】
<お墓を手放すという提案>
・それでもやはり自分の死が、家族や親族、友人、パートナーに、つまり身近な誰かに迷惑をかけてしまうのではと悩む人は多いでしょう。その最もたるものは、お葬式ではなく、「お墓」です。
・墓終(じま)い(お墓を閉じて別の場所に引っ越すこと)も一つの方法です。そこでの引っ越し先は、共同霊園、樹木葬、散骨など、さまざまです。
・献体希望者も増えています。私もある大学に同意書を提出、登録済みです。
【献体という、死んだあとにお役に立つ方法もある。】
<ピンピンコロリには努力が必要>
・死に方に理想を言ってもしょうがないかもしれません。
あえて言えば、快適なのはピンピンコロリです。昨日まで元気だったのに今日の朝には死んでいた。これが個人的には理想です。
そのためにも残った人が困らないよう、先ほどから述べているように、普段のコミュニケーションとか、事後に必要な手続きを、ぬかりなくやる。
・強い嗜好性のある、薬物摂取、喫煙、あるいは程度を超えた飲酒などは自分の心身を蝕み、周りへも悪影響を及ぼすのは今さら言うまでもありません。
・ピンピンコロリするには、適度な食事、適度な運動、適度な休息、です。それに加えて重要なのは、心身一如、身土不二、という考え方。
いずれも「切り離せないもの」という意味が含まれています。心と体は切り離せない、体と土(大地)も切り離せない、ということです。
・ちょっと大きなことを言いますが、理想は「介護ゼロ社会」です。介護される人が減ると情勢も変わります。ピンピンコロリも増えます。まさに安心して死ねる社会です。
【適度な食事、運動、休息。ピンピンコロリを目指して、体と心を大切にする。】
<未来のお金の心配は取り越し苦労>
・この「いくら必要」という喧伝に、くれぐれも気を取られないように。
・わざわざ運用や貯蓄などをしなくても、入ってきたお金の中から最低限を使えば、当然それ以外は余るのですから、ちょっと入り用のときも事足ります。今を余力で生き、今を大切にする。未来はお釣り程度に考える。現在が主で、未来はおまけ。そんなイメージです。
あと、普段から月ペースと年ペースで「自分の収支」を把握しておくと良いと思います。
・私は資産運用や貯蓄に励まないと述べましたが、物もあまり買いません。
・お金は天下の回りもの、そして天下で回すもの。その原則は忘れておりません。
【必要以上に貯めず、天下で回す。】
<10年後も、明日も、生きている保証はない>
・「人生に定年はないと知り、好きなことをしながらも、ある程度の準備をしておけば、一人で暮らすことも一人で死ぬことも、心配いらない」
勝手ながらそう展開してきましたが、ご理解のほどはいかがでしょうか?
・人生100年時代などと言われています。
・私が「今を楽しみましょう」と何度も口にするのは、先がどうなるかわからないからです。今まで元気だったのに救急外来に担ぎ込まれ、あっという間に亡くなる人を大勢見ました。未来は不確実性に満ちているのです。
・でも、活力になるのは夢や心配ではありません。
・人間は想定外のタイミングで死んだりします。だからこそ今を楽しむこと。
【将来の不安は、今の活力にはならない。今を楽しむ。】
<自分の寿命を受け入れ、人生に感謝する>
・寿命や余命は人それぞれであり、比較してもしかたないのです。
最も大切なのは、生きた年月ではなく、いかに生きたかということ。その人が、何を体験し、何を学んだのか。そこに尽きます。
・地位、名誉・名声、資産、学歴、それらは私たちの故郷に持って帰れません。すべてこの世の夢、浮世の露。故郷に持参できるのは自らが得た学びだけです。だから、できるだけ執着を持たないようにしたいものです。
・たまに「生への執着」という言葉でも表現されます。医学の進歩・発達で、多くの人が助かっているのは事実ですが、その反面、人が寿命を受け入れる気持ち(覚悟)がうすれました。
・医学、医療が進歩しても人はいつか必ず死ぬという事実を知って欲しいのです。突然死ぬ人、死因はさまざまですが結局のところその人のもって生まれた寿命なのだと思います。
・心配要りません。人は全員、いつかちゃんと死ねます。死なない人は一人もいません。
【人は事故や病気で死ぬのではなく寿命で死ぬのです。】
<最期の日まで、いい顔で生きるために……>
□自分の役割は、自分から求める
役割は他人や社会が決めてくれるものではない。
□「あと何年」と逆算的に考えて生きない
明日生きているかもわからない。逆算してもその通りになる保証はない。
□自分の暮らしの面倒は自分で見る
機械や他人に任せることに慣れない。自律する。
□体を動かす習慣を日常生活にとり入れる
家事のついでに運動する、なるべく歩くなど、できる限り体を動かす。
□体の声を聴き、無理はしない
病気になったら体が「休みたい」と言っている。
□死ぬときは寿命に任せる。生きている限り今を楽しむ
寿命にあらがわず、生きることに執着しない。余計な心配をせずに、今を楽しむ。
2016/9/22
『100歳まで元気でぽっくり逝ける眠り方』
大谷憲 片平健一郎 あさ出版 2013/11/11
<いい生き方・いい死に方を決める鍵は「眠り方」にある」
・あなたが、いかに健康で楽しい人生を送り、苦しまない最期を迎えられるかは、「眠り方」にかかっています。
・ご長寿国家日本では、「平均8年間寝たきり」の現実が
・100歳まで健康か病気がちかを分けるのは、「眠り方」だけ
・人生の3分の1を費やす睡眠が「一生の質」を決定づける
・なぜ、私は、数ある健康法のなかでも「眠り方」にたどり着いたのか。これにはいくつか理由がありますが、いちばん大きな理由として挙げたいのが、「どんな人でも寝ることはできる」ということ。
人間は生きていれば必ず睡眠をとります。たとえ病人であっても、寝たきりになったとしても、「寝ること」だけはできるはずです。
<ぽっくり死ぬためのキーワードは「血流」と「睡眠」>
<郷ひろみさんの血管年齢は20代>
・たしかに、郷さんは日々ジムなどに通って、肉体のトレーニングを欠かさないからこそ、激しいダンスやパフォーマンスでファンを魅了できるのでしょう。
・なんと、「血管年齢が20代よりも良好」と判定されていたのです。番組によると、中性脂肪、血糖値、コレステロールなどが、すべて20代平均よりもよい数値でした。
私たちは、仕事柄たくさんの人の血管を見てきていますが、郷さんの結果は奇跡的といっても過言ではありません。過度のストレスや不規則な生活をしている現代人の多くは、実年齢よりも血管年齢のほうが上であることが多いからです。
・その番組の中では、郷さんの1日の生活習慣を紹介したうえで、若さの秘訣は、「自律神経のバランスをうまくとっていることにある」と結論づけていました。
<交感神経と副交感神経のバランスが健康の秘訣>
・自律神経とは、簡単に言えば、呼吸や血液の循環、消化、代謝など生きるために大切な機能をつかさどる神経のこと。
その名の通り、人の意思とは関係なく自律的に働いている神経で、たとえば、人が眠っているときでも呼吸を続けられるのは、自律神経のおかげです。
自律神経はさらに「交感神経」と「副交感神経」の2つに大きく分けられます。
交感神経はストレスがかかっているときに優位に立つ神経で、たとえば、スポーツなど活動しているときや興奮時に優位になります。副交感神経はリラックスしているときに働く神経で、夕食後など休憩時やリラックスしているときに優位になります。この2つがうまくバランスをとることで、体が正常に機能しています。
<あなたの快眠度セルフチェック>
Q・あてはまるものをチェックしてください。
1、 寝つくまで1時間以上かかる。
2、 ひと晩に2回以上目が覚めて、その後なかなか寝つけない。
3、 朝の目覚めが普段より2時間以上早く、目覚めたあと眠れない。
4、 日中に過度な眠気があったり、居眠りしてしまったりする。
5、 寝言、いびきが多い。
6、 ぐっすり眠ったという実感がなく、寝足りなさが常に残る。
7、 トイレに二度以上起きる。
8、 夢ばかり見る。
9、 朝目覚めが悪く、気だるい。
10、 「睡眠中に無呼吸になることがある」と言われたことがある。
11、 朝、顔がむくんでいる。
12、 物忘れがひどい。
13、 吹き出物ができやすい。
14、 寒がり、冷え性だ。
15、 風邪をひきやすく、治りにくい。
16、 首、肩が凝る。
・チェックが5個以上 慢性不眠、あなたの睡眠は危険水域!すぐに改善を!!
3~4個 不眠気味かも!?気をつけましょう。
2個以下 比較的よい睡眠がとれています。できるだけ維持を。
<ポイントは「毛細血管」の血流>
・血流とひと口で言っても、特に大事なのは「毛細血管の血流循環」ということ。毛細血管は、動脈と静脈をつなぐ細い血管のこと、血管はなんと、髪の毛の直径の10分の1ほどの細さです。
心臓から送り出された血液は、動脈から毛細血管に流れ、静脈を通って心臓に戻ります。
人間1人の血管をすべてつなぎ合わせると、約10万キロに達すると言われていますが、これは地球を2周半するほどの距離です。
そしてその血管のうちの実に95%以上は、毛細血管と言われています。こうした毛細血管が、体中に張りめぐらされています。
人間の体は、60兆個の細胞で構成されていますが、毛細血管はこれらの細胞に栄養や酸素を運搬するという大切な役割を担っています。
・末梢の毛細血管まで血液が十分にまわらないと、細胞はその役割を果たすことができませんが、十分な血液によって活性化した細胞は再生能力が高まり、免疫機能も上がります。
・郷ひろみさんが若々しく健康的なのは、血管年齢が若く、血流がよいことが大きく影響していることが想像できますよね。
ぽっくり逝きたければ、昼は活発に活動し、その中でストレスを感じたら、副交感神経を優位にできる時間を確保する。そして夜は副交感神経を優位にすることです。それが毛細血管の血流循環をよくする秘訣です。
・しかし、忙しい現代人は夜になっても緊張から解放されず、交感神経が高ぶったままなかなか寝つけない人が増えています。夜に副交感神経を優位なコンディションにすることができる生活スタイル、テクニックが求められます。
睡眠前に、毛細血管まで血液がスムーズに流れていると、体温が高くなり、リラックスした心地よい睡眠をとれるようになります。
血液と睡眠は、実は、健康を保つうえで密接に関係しているのです。
<ぽっくり逝きたいならいい睡眠をとりなさい>
<睡眠中は体の温度は低くなる>
・子どもを育てたことがある方ならご存じでしょうが、子どもは眠くなると、手のひらから足先まで熱くなってきます。人間は眠りに入り始めると、毛細血管がゆるんで、心臓から遠い手足の毛細血管まで血液が流れ込むからです。
しかし、眠っているとき、人の体温は下がっています。
矛盾したことを言うようですが、皮膚の表面温度が上昇する代わりに、深部体温(脳や内臓などの温度)は、放熱して1~1.5℃下がっていきます。
睡眠中は血液を手足の毛細血管に移動させることにより、体温を下げ、基礎代謝能力を下げて、脳と体を休ませようとしているわけです。
反対に、頭や心臓が活発に働く日中は体の中心温度が高く、手足の体温が低くなります。
ここ最近、「手足が冷えて眠れない」と悩んでいる人が増えています。こういった悩みのほとんどは、低体温で血流が悪いことが原因です。
・もともと体温の低い人は、体の中心部の温度を冷やさないように血液が極力皮膚を通らないようにするため、毛細血管の血流が悪くなり、手足が冷えてしまいます。いざ眠ろうとしても、手足に血液が流れないので、深部体温が下がらず、体がなかなか眠る状態にならないのです。
問題は寝つけない事だけではありません。毛細血管まで十分な血が回らず、皮膚の表面温度が下がったままだと、「体が覚醒している」と勘違いしてしまいます。そのため、脳と体を十分に休ませることができないのです。
<質の悪い睡眠は万病のもと>
・質の高い睡眠がとれないと、心身ともに悪影響が出てきます。
・十分な睡眠をとらないと、脳細胞が死んでしまい、学校の成績や作業効率に影響します。
また、風邪などの病気にかかりやすくなるだけでなく、がんなどの病気も誘発します。肥満の原因にもなったり、自律神経のバランスが崩れてうつ病になる人もいます。認知症の原因になるとも言われています。
さらに、最近の研究では「6時間以下の睡眠で1週間を過ごした人は、炎症や免疫系、ストレス反応に関連する711の遺伝子の発現に影響が出た」という結果が出ました。また、睡眠不足の人たちの遺伝子は、概日リズム(睡眠・覚醒などの1日周期のリズム)が不規則になることも報告されています。つまり、質の悪い睡眠は、遺伝子レベルでも人間の健康を阻害することになるのです。
・一方で、質の高い睡眠をとれば、自律神経のバランスを保つことができます。それは、毛細血管への血流循環に好影響をもたらし、ますます健康になっていきます。
つまり、「血流をよくすること」と「いい睡眠をとること」は、互いに相乗効果をもたらし、ぽっくり死の実現に大きく貢献してくれるのです。
<「あたため睡眠」が日本を救う>
・「長生きの秘訣」の1つ目は 「いつまでも夢を持つこと」。
・2つ目は「自分でできることは自分ですること」。
・日本人1人ひとりがこの2つを実践できれば、100歳まで元気でぽっくりと逝くことができ、よりよい社会を構築できる。
・私の祖父は83歳のときに脳梗塞で倒れたあと、肺炎、心不全、白内障、糖尿病で足先の切断、閉塞性動脈硬化症、腎不全、胸水を経て10年後にうっ血性心不全で永眠しました。
その後、祖母が脳梗塞となり、介護生活6年目を送っているところです。祖母と同居している私の両親の介護生活は壮絶なものです。病気になるとか誰かのお世話にならなくてはなりません。自分自身だけの問題ではないのです。
国や市町村の財政が、医療費や介護費に圧迫され財政難に陥っています。だからといって、どの行政も削減するわけにはいきません。
一人ひとりが健康になり、生産人口を増やすことです。それが誰とも対立しない建設的な提案です。日本の最重要課題はここにあります。
・本書で提案した「あたため睡眠」を実践していただくことで健康問題以外への波及効果も生まれます。睡眠障害による交通事故や消失の件数を減らすことができるのでしょう。子宝にも貢献し、子どもは学力が向上します。脳が明晰になり、能力も向上します。「睡眠の質を高める」「自律神経が整う」ということはそういうことです。
・人によって寿命が違う理由は、「寿命=実年齢」ではないのです。日本人の死亡原因を分析した結果、血管年齢の老い具合によって寿命が決まるのがわかっています。寿命は血管年齢と関係しています。私たちの健康法を実践している人は、みなさん血管から若返ります。
本書に書かれている内容は、今日からすぐに実践できます。本書を読まれた皆さまは、ぜひ死亡原因4.2%の中に入ってください。そして、4.2%の割合を増やすことができれば、日本には明るい未来が待っています。
『歩く人。』 長生きするには理由がある
土井龍雄、佐藤真治、大西一平 創英社/三省堂書店 2013/6/20
<健康に長生きする人>
・正しく歩きつづけることで、いつまでも健やかに暮らせます。歩くことは、健康増進や生活習慣病予防に役だちます。
<歩くことの大切さを科学的に検証する>
<データが示した「よく歩く人は長生きする」>
・私が積極的にみなさんに、歩くことをすすめるようになったのは、ある論文との出会いがきっかけでした。
それは、私の恩師(矢野勝彦先生)が関わった論文で、ハワイに移住した日系人707人を対象に12年間、彼らの健康状態を調査したものでした。驚くことに、日ごろからよく歩いている人と、あまり歩いていない人の死亡率に、なんと倍以上の差が出ていたのがわかったのです。
1日に歩く距離が、1マイル(約1.6キロ)未満とほとんど歩かない人と、1~2マイル歩く人、2~8マイルと比較的よく歩く人の3タイプに分けて、12年間追い続けて調査した結果が表1です。
2年目を過ぎるあたりから、ほとんど歩かない人の死亡率は高くなり、4年目を過ぎると、よく歩いている人の死亡率が明らかに低くなっていることがわかります。
・1マイルを歩くのに20分かかると考えると、1日に20分以下しか歩いていない人の死亡率は、6年目で約18%、12年目で約43%でした。一方、1日に40分以上歩いている人は、6年目で約9%、12年目で約21%と、あまり歩いていない人とは2倍以上の差があることがわかったのです。この結果は、歩くこと以外の因子を加味しても同じだったと述べられています。
・論文では、死亡率に大きな差が出た要因として、よく歩いている人は動脈硬化の進行が抑制されていたことを指摘しています。動脈硬化の進行が抑えられると、心筋梗塞や脳卒中などの慢性疾患である生活習慣病が予防できます。その結果、死亡率が低く抑えられたのです。
<動脈を鍛えて動脈硬化の進行を抑制する>
・私は、心臓病や糖尿病の運動療法に長くたずさわっています。この経験から確証を得たことは、“運動は動脈硬化の進行を抑制し、生活習慣病を予防できる”ということです。
そしてそこには、3つのメカニズムが働いています。
ひとつは、「動脈そのものに対する効果」、それから「筋肉に対する効果」、そして「自律神経に対する効果」です。
ひとつずつ説明しましょう。まず、「動脈そのものに対する効果」です。
もともと運動が動脈硬化の危険因子(糖尿病、高血圧、肥満等)を改善することは知られていました。最近になって、これらに加え、血管内皮細胞に対する効果が注目されています。
・動脈硬化の進み方にはいくつかのパターンがありますが、いずれの場合もファーストステップは血管内皮細胞の機能の障害です。すなわち、血管内皮細胞の障害を抑え、その機能を保持することができれば、動脈を動脈硬化から守ることができるのです。
血管内皮細胞の機能を鍛え、保持するのに効果的だといわれているのが、歩くこと、運動することです。
その理由を、具体的に説明しましょう。
運動をすると血流が盛んになります。この血流の変化により、血液が血管をこする物理的な力が働きます。この力を「ズリ応力」というのですが、この「ズリ応力」が血管内皮細胞を刺激し、その機能を鍛えるのです。
・若いうちは、血管内皮細胞の機能は運動をしなくても保たれています。歳をとるごとにどんどん機能は低下していきますが、定期的に運動をすることにより、血管内皮細胞の機能は若者と同等に保たれます。歩くことで、血管内皮機能が若者並みに保たれるというのは、とても魅力的ですよね。
・この「ズリ応力」、血管内皮細胞を鍛える以外にも、別のメカニズムを介して動脈硬化を改善します。
血管内皮細胞の機能が弱まると、血管内に脂の侵出を許してしまいます。血管内に入った脂はプラークという炎症を伴う固まりになり、これが破たんすると血栓が生じます。心筋梗塞や脳梗塞は、この血栓によって動脈が詰まることが原因です。
・実は、運動によって生じる「ズリ応力」は、この血管内のプラークを小さくすることも期待されています。ある糖尿病患者さんは、ほぼ毎日4キロメートル歩くことで、プラークを小さくすることができました。同様の効果は、心筋梗塞後の患者さんでも観察されています。
「ズリ応力」は、血管内皮細胞を鍛えるだけでなく、血管内の脂の掃除もしてくれる頼もしい味方です。
<ミトコンドリアを活性化させ糖尿病を予防する>
・次は「筋肉に対する効果」です。
ご存知のように、運動は筋肉の形態や機能にさまざまな作用を及ぼしますが、ここでは筋肉細胞内に存在するミトコンドリアに対する効果について解説します。
ミトコンドリアというのは、われわれの身体の60兆の細胞一つひとつすべてに存在している小器官で、発電工場のような働きをしています。そして特に、筋肉細胞内には多く存在します。
われわれは酸素を取り入れて、脂肪や糖質からエネルギーを得るのですが、そのエネルギーを生みだす役割を果たしているのがミトコンドリアです。生命活動を維持するのに、なくてはならない存在です。
このエネルギーを生みだす発電機能がしっかり働けば、充分な活力が生み出されますが、機能の働きが悪くなると、さまざまな弊害が生じます。
・例えば、ミトコンドリアの機能が低下すると、エネルギーの素となる脂肪が消費されにくくなります。
消費されない脂肪は行き場を失い、筋肉の中に留まりはじめます。脂肪が蓄積されてくると、筋肉は本来の機能である、糖質を蓄えるという機能が鈍くなってきます。
すると、筋肉に取り込まれなかった糖質が血液中に長くとどまることになり、それが高血糖、ひいては糖尿病の原因となります。
・このようなエネルギーの流れの停滞が起こらないように、ミトコンドリアの機能を高めるにはどうしたらいいのでしょう。実はこれも、歩くことや運動することが有効なのです。
より効果的にミトコンドリア機能を高める運動の方法(歩き方)についても研究が進んでいます。
なかでも、強い運動と弱い運動を交互に繰り返す、インターバルトレーニングは、有力な候補です。研究成果がまとまるのは、しばらく先ですが、ブラブラ歩くのではなく、ゆっくり歩いたり早足で歩いたり、高低差のあるところを歩いたりすることは、試してみる価値があると思います。
<歩くことで自律神経のバランスも整う>
・そして3つ目は「自律神経に対する効果」です。
自律神経は、交感神経と副交感神経から成り立っています。自律神経はこのバランスをとることが大切だといわれていますが、歩くこと、運動することによってバランスが整えられます。
イライラが続いたり、ストレスを強く感じたりすると、交感神経が優位な状態になります。適度に運動をしてリラックスした状態になると、副交感神経が優位にシフトします。副交感神経が優位になると、心拍はゆっくりとなり、心拍数が減ると、心臓にかかる負担も減ります。
哺乳類は、どの動物も一生涯に打てる心拍数は20億回という説があります。副交感神経が高くなり、心拍数が下がると、長寿に繋がるかもしれませんね。
・また、われわれの心拍というのは一定の秩序をもってゆらいでいます。心臓は、安静時「ドキン・ドキン・ドキン」と一定に打っているようですが、厳密には早くなったり遅くなったり、規則性をもってゆらいでいるのです。
この心拍のゆらぎは、副交感神経が優位な人ほど大きくなっており、交感神経が優位な人では小さくなっています。
・心拍のゆらぎは、よく運動している人は大きく、あまり運動していない人は小さいのですが、ゆらぎが大きいほうが長生きできることもわかっています。
自律神経は免疫にも関わっています。副交感神経が高ければ、免疫力が増すことはよく知られていることです。
太っている人は、自律神経のバランスが悪いことが指摘されています。メタボ傾向にある人は、エネルギー消費のためだけでなく、自律神経のバランスを整えるために歩くこと、運動することも意識してほしいですね。
<認知症の予防にも期待>
・冒頭で紹介した、ハワイに移住した日系人を調査し続けた同じグループが、同じ対象で認知症を追跡したデータが、近年報告されました。これをみると、よく歩くことが、認知症の予防にもなることがわかります。
脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症をあわせた認知症全体では、0.25マイルとあまり歩いていないお年寄りよりも、2マイル歩いている人のほうが、約2倍リスクが低いことが示されています。興味深いことに、その傾向はアルツハイマー型認知症において顕著でした。データからわかるのは、よく歩いている人は、歩いていない人よりも、2.24倍アルツハイマー型認知症のリスクが少ないということです。
日本人にはこれまで、脳血管性認知症が多かったのですが、今後、アルツハイマー型認知症が増えるとの予想もあります。
アルツハイマー型認知症になってしまうメカニズムも、最近やっと輪郭がつかめはじめていますが、予防することを考えると、歩くことの大切さが注目されることは間違いありません。
<身体に負担のかからない歩き方を身につけよう>
・歩くことの効能がいかに多くあるかを、運動療法の専門の立場から述べてきました。ただ最後にお伝えしたように、人それぞれ体力や状況が異なりますので、くれぐれも無理をしないで、歩いてほしいと思います。ずっと歩き続けることで、みなさんが健康になり、長生きをしてほしいと心から願っています。
『100歳までの健康の知恵』 賢い生活と食
中村雅美 日本経済新聞出版社 2013/5/23
<世界一の長寿国>
<野菜や魚を中心にした低脂肪食>
・日本人の平均寿命は80.9歳(1998年)で世界一の長寿国である。しかし、単に長命というだけでは十分ではない。たとえば、寝たきりでではない、社会活動ができる寿命がどれだけあるかが大切だ。
・日本が健康寿命で世界一である背景としては、衛生教育の普及や生活環境の改善など多くのことが挙げられる。中でも大きいのは食生活だ。野菜や魚を中心にした低脂肪食が健康につながったといってもよい。
・3つのことを頭に置けば健康を増進することは可能だろう。3つとは休養、栄養、美養(美容ではない)である。
休養は、単に「ぐーたら」を決め込むことではない。きちんと運動をすることだ。それも散歩など軽い運動でよい、続けることが大切なのである。栄養は、バランスのよい食事を規則正しく取ることだ。
それに加えて美養を挙げたい。美は美しさと同時に清潔さもあらわす。美しくなることに気を使い、身の回りの清潔さに配慮すれば健康の維持・増進にもつながり、生活も充実する。
<ジャンクフードに要注意>
・『40代から始める100歳までボケない習慣』(朝日新聞)の中で同意できるのは、第2章にある「ジャンクフードは危険」の項だ。ジャンクフードは体を痛めつけると指摘している。それだけでなく、ジャンクフードをやめられない人の脳の中はドラッグ中毒者と同じ状態だとまで言い切っている。
・米国はいろいろな意味でお手本としてよい国のひとつである。ただ、私は「日本として、絶対に米国のまねをしてはいけないものが2つある」と思っている。ひとつは医療保険制度であり、もう1つは食生活(食事)である。公的医療保険制度が近くスタートするとはいえ、医療保健制度は民間主体であり、また料理もバラエティに富んでいない。食生活は健康の基本だが米国は食生活が非常に貧しい。国民はさまざまなジャンクフードに取り囲まれている。そのためか、健康を害している人の割合が高く、平均寿命も先進国の中では短い部類に入る。
<「歩く」が運動の基本>
・食事と並んで気をつけたい健康のキーワードは、「運動」である。といっても、「今さら運動などやる気にならない」という人は多いかもしれない。
かつて、「まなじりを決して運動をする必要性はない」と書いたことがある。生活上のちょっとした工夫が運動になりうるからだ。加齢研究の第一人者である順天堂大学の白澤卓二教授の著書『40代から始める100歳までボケない習慣』(朝日新書)にも、こう書いてある。
「まずは『なるべく歩く』を心がける」
<肥満防止、食事回数より量>
・「医食同源」という言葉がある。日本で生まれたとされるこの言葉は、健康の基本は「食」にあることをうまく言い表している。
・ほとんどの生活習慣病は肥満がきっかけになっており、症状を悪化させる要因にもなっている。肥満を防ぐには、「食事は1日に3回を規則正しく取り腹8分目を目安にする」ことがよいとされる。最近、寝坊のせいなのか、ダイエットのためなのか、朝食を抜いて出勤したり登校したりする人が増えているようだ。
<健康維持、まずは生活習慣>
・健康を維持することは、バランスのよい食生活と適度な運動、十分な睡眠でかなり達成できる。要するに、ごく当たり前の生活習慣の改善で済むことなのだ。特定の健康食品ばかりを取り続ける必要性はほとんど感じない。
「これを実行すれば、病気や痛みなどがみるみるうちになくなる」。こうした奇をてらった健康法とは、そろそろおさらばしたいものだ。
<糖尿病の予防、血糖値に配慮>
・糖尿病は今や「国民病」といわれる。2007年版「国民健康・栄養調査」によると、国内の患者は推定で約890万人、予備軍も1320万人いる。合わせると2210万人で、日本人の5人に1人は糖尿病か、その予備軍となる。
患者が増えているのは日本だけではない。国際糖尿病連合によると、11年に3億6600万人いた世界の糖尿病患者は、30年に約5億人、場合によっては約10億人になると見られている。
・糖尿病には1型と2型がある。いずれも血糖を分解するインスリンが分泌されなかったり、働きが悪くなったりするために起こる。1型糖尿病の人は、インスリンを作る膵臓の細胞が自己免疫疾患などで破壊されることで発症する。若者によく見られる。
2型は生活習慣病といわれ、食生活の乱れや運動不足などが原因とされる。人種による差があるが、日本では圧倒的に2型が多い。
<カフェインで抗ウイルス>
・コーヒーと健康について考えてみよう。コーヒーにはカフェインが多く含まれている。このカフェインに、ある種のウイルス(JCウイルス)の増殖を抑える効果が期待できるという。
<コーヒーに脳卒中予防効果?>
・コーヒーと脳卒中の関係を調べた論文は少なく、はっきりしたエビデンス(科学的証拠)があるわけではない。ただ、コーヒーを飲む習慣のある人は、脳卒中のリスクが下がるという報告がある。
たとえば、スウェーデンでの調査では、コーヒーを毎日1杯飲んでいる女性は飲まない人よりも脳卒中になるリスクが25%低いという結果になった。
・「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」というように、コーヒーや緑茶に脳卒中の予防効果があるらしいというだけで、がぶ飲みするのは避けたい。脳卒中リスクを下げるのはカフェインの働きによるものと見られるが、このカフェインをたくさん取ると、思わぬ「副作用」が出るからだ。
<「カフェイン中毒」要注意>
・1日にコーヒーを100杯以上飲まない限り、何ら問題はないといえる。
・大きな副作用としては、「カフェイン中毒」がある。個人差はあるが、コーヒーから離れられなくなったら要注意だろう。顔面紅潮になりやすく、落ち着かなくなり、集中力の低下やけいれんを起こしやすくなる。悪くすると動悸や不整脈につながる。
やはり、コーヒーは「体によいから」といって一度に大量に取るのは避けたい。カフェインを含んでいるとはいえ、コーヒーは医師や薬剤師が扱う医薬品ではなく、素人が誰でも簡単に口にすることができる食品なのだから……薬は「もろ刃の剣」で、作用があれば副作用もある。ほどほどにというわけだ。
<ポリフェノールの合理性>
・「フレンチパラドクス」という言葉がある。フランスの逆説という意味だ。1990年代の初めごろから世界中で広まった。
フランス料理は肉料理が主体だが、それにクリームやバターがたっぷり入ったソースをかける。食べ物に動物性の脂肪が多いから、当然フランスの人たちは動脈硬化になり、心筋梗塞など心臓・血管系の病気が多いと予想される。
ところがフランス人が心臓病で死亡する割合はほかの西欧諸国に比べて少ないといわれている。脂肪分が多い食事を取っているにもかかわらず、心臓病の死亡率が低いというのが、フレンチパラドックスの由来である。
・パラドックスの理由としていわれるのが、赤ワインに多く含まれるポリフェノールだ。実際、フランスの人たちは赤ワインを多く摂取する。これで日本でも赤ワインブームが起きた。ただ、赤ワインを多く飲むことによる肝臓病の増加といったマイナス面もある。
・ポリフェノールには抗酸化作用がある。植物(食物)に含まれる抗酸化物質としてはビタミンCやビタミンEなどが有名だがポリフェノールもその1つ。フラボノイド、クマリン、ヒドロキシケイ皮酸の代表的なものとしては、コーヒーポリフェノールがある。
・体の中では活性酸素ができる。活性酸素は細胞にダメージを与え、シミやしわを作るなど皮への悪影響のほか、老化や動脈硬化、糖尿病、がんなどの引き金になるといわれる。活性酸素は常にできているが、普通はカタラーゼやスーパーオキシドディスムターゼといった酵素や、植物由来の抗酸化物質が生成した活性酸素を消している。
・酵素がよく作られ、食事などから植物由来の抗酸化物質を摂取できる若いうちはいい。それが高齢者になると・・・。ポリフェノールを取ることは、ある意味では合理的なのかもしれない。
・日本人が飲料から取るポリフェノールとしてはコーヒーの47%が最も多かった(緑茶は16%で第2位)
<睡眠時間足りない日本人>
・ひとりでパソコンに向かって黙々と仕事をするのが日本のビジネスパーソンの姿なのだろう。このワーキングスタイルが日本人の睡眠の質の低下や、慢性的な睡眠不足状態を招いているのだろうか。
<たばこを「断つ年」に>
<禁煙で脳も長生き>
『逆転の発想で悪の罠を見抜き人生の悩みを裁つ』
弁護士50年の法力
松枝迪夫 アドスリー 2010/7
<私の健康長寿法十則>
・私の健康長寿法を十ヶ条にまとめてみた。便宜的に私の健康長寿法十則と名づける。古来多くの実践者、研究者が唱えていたものをいわば現代の着想法をもって然るべき順序をつけてわかり易くまとめたものである。重要点はすべて網羅した。
またこの何々が少なく、何々が多くという表現は、貝原益軒の用語やたまたま愛用している湯呑茶碗に健康長寿法として書かれていた用語を借用した。
どうかこの十則は、東西の大家の養生法をいい塩梅に整理したものです。まず箇条書きにし、その後で解説する。
一則 食を少なく 噛むことを多く
二則 肉を少なく 野菜を多く
三則 塩・甘糖を少なく 酢・果実を多く
四則 欲を少なく 施しを多く
五則 憂い悩みを少なく 眠りを多く
六則 怒りを少なく 笑いを多く
七則 言葉を少なく 行いを多く
八則 乗物を少なく 歩みを多く
九則 衣を少なく 入浴を多く
十則 エアコンを少なく 風と太陽を多く
<十則の解説>
<一則 食を少なく 噛むことを多く>
・これは腹八分目にすること、食生活の最も重要な原則を宣言。かむことは消化にもいいし、八分目でも満腹感をもたらす。噛まないでいい柔らかい食品が増えたので噛むことが減ってきた。そのため頬がふっくらせず、やせた顔付の人間が多くなってきた。
<二則 肉を少なく 野菜を多く>
・最近の洋風化の食事の欠陥は、肉が多いことにあるから、もともと日本人が好んできた魚を中心として野菜、大豆を原料とする豆腐を多用するのがよい。
<三則 塩・甘糖を少なく 酢・果実を多く>
・塩の多用は色々の病気を引き起こすとされているので注意すべきであるが、大変神経質になって塩分を少なくし過ぎる傾向がある。これも過ぎたるは及ばざるが如しで、子どもがそのため元気を失ったり、労働者が力をなくしたりするので、ほどほどにする。病気だと思って医者に見せたら、その先生はベテランの名医で一目で病気でない、塩分不足と見破って塩を与えて間もなく快癒したという。未熟な医者だったら、すぐ注射とわけのわからない投薬をしただろう。
糖分はこれまたとり過ぎは病気のもとであるが、運動をしたり、頭を使って疲れた感じのときは速効性があり大切な栄養である。
<四則 欲を少なく 施しを多く>
・精神の平静が一番大切なことである。そのためには欲望を少なくし、欲を抑えることである。食と色の欲望は本能であるから、これを抑えるのは難しいことであるが、それをすることが修養である。本能のままに振り回される人生を送っては身の破滅、仕事でも成功は覚束ない。反社会的な欲望はもちろん抑えなければならない。むしろ他者に対する愛、慈悲の心をもって行為することが大切である。その善行は、本人にも気持ちのよいもので、まして他人から感謝されたりすれば嬉しいし、後に満足感が残る。
<五則 憂い悩みを少なく 眠りを多く>
・人は色々なことを憂い悩み、夜も眠れないということが多い。現代人はあまりにも多くのストレスに悩まされ、心の苦しみを抱えている。これをできるだけ少なくし、明日のことは思いわずらわないでいること、過去のことをくよくよ後悔しないことである。杉田玄白も、明日を思い悩むな、後悔するなと言っている。
すべての精神の健康法を説く説はこの項を最重要な手段と見なしている。心を平静に保つ最も大切な心持ちである。
<六則 怒りを少なく 笑いを多く>
・これもすべての精神の修養を説く人が一致してあげている実践上最も大切な処世術である。怒りのために人は他人を傷つけ、ついには己の身の破滅に至った例は枚挙にいとまがない。この修養こそ不断に若い頃から積まなければならない。
・笑いを多くとは、人生を楽天的に、前向きに生きることでこれは人間の生き方として成功に導く鍵である。前途を暗く、悲観的に考えるのはよくない。外国でも「プラス思考をせよ」というのはこのことである。笑う門には福来るともいうし、夫婦円満、家庭円満、その人の職場も明るく円満という、すべてに喜びと福の感情をもたらす。
<七則 言葉を少なく 行いを多く>
・これは寡言の徳をいうもので、不言実行の系譜にある。昔から「沈黙は金」という諺がある。もっとも欧米流の自己主張の風潮が入り、どんどん発言し、何でもしゃべるのがいいのだといわんばかりの時代になりつつある。程度問題である。
無言では処世ができないから、要は冗舌をやめ、行動で示すということである。言葉遣いは社交では大切な武器で、軽々しい発言はせず、言行一致が望ましい。
・行いを多くとは、日常の暮らしで、身軽に身体を動かすことをいやがらないで、こまめに動くことである。これは大切なことで、相手にもいい印象を与え、尊大な人間だと思われないし、不精な人間と思われない利点がある。
またこまめに身体を動かすのは健康にもいい。老人になってゴロンとしていると健康に悪く老化してぼけも早くくるという。
女性が家事をやるのはこまめに動く典型だから、男性に比べて長生きである。いい報酬が与えられていて帳尻が合っている。
<八則 乗物を少なく 歩みを多く>
・身体の運動で歩くことは一番健康によいとされている。それと散歩をすることは特別の場所も相手も器具もいらない。しかも散歩先の町や風景をみて楽しむことができるから一石二鳥だ。
・必然的に車の利用者は歩くことが少なくなり、運動不足となる。色々な健康障害がでてくるなかで、ほとんど歩くことで直った例が多いし、その副作用で悪くなったという例はまずない。
<九則 衣を少なく 入浴を多く>
・皮膚の鍛錬には薄着がいい。
・私は一年中下着は木綿のシャツにステテコ一枚で通している。ニューヨークの冬もそれで、通し、その上にはワイシャツと薄手の背広だけである。慣れれば何でもなかった。
・身体を清潔にすること、皮膚をきれいにすることは新陳代謝によい。入浴はバスタブでもシャワーでもよい。
<十則 エアコンを少なく 風と太陽を多く>
・自然の大気と気温で暮らすのがその住民には一番健康的である。最近は暖房、冷房をする人が普通になった。
・お蔭で昔の日本人は、皆風もひかず元気だったのではないかと思う。
・北欧やドイツなど北部欧州の人は寒い冬が過ぎるのを待って公園で裸になって日光浴をしている。くる病になるのを防ぐには日光が必要なのである。日本人はあまりにも太陽に恵まれているので、その有り難さを知らない。
『病気にならない人の「考え方」』
「治す」から「守る」へー“予防医療”という選択
折茂肇 池森賢二 ダイヤモンド社 2013/2/16
<「100歳までの健康長寿」の人々の知恵に学ぶ>
・最近の日本では100歳を超えて長生きする人の数が急速に増えていて1963年には、その数がわずか153人にしかすぎなかったのが、2012年には5万人に増加しています。健康長寿の皆さんに日常生活の知恵を学ぶというのも予防医療の一つでしょう。
<老化は「未病」の一つである!>
・西洋医学の世界には「健康」か「病気」かという区分、つまり白か黒かの区分しかなく、通常は病気になって初めて医師の世話になります。
しかし、高齢者を診断していますと、健康か病気かをはっきり分けるのが難しいことがしばしばあります。白(健康)ともいえず、黒(病気)ともいえぬ、その中間のグレーゾーンがあるのです。
このグレーゾーンのことを、東洋医学では「未病」と呼んでいます。つまり、東洋医学の世界では健康と病気の間には連続性があると考え、両者を結ぶ境界線のことを「未病」と呼んでいるのです。
・いわば、侵入者や反乱者を押し返したり、そのいたずらを封じ込めたりしてくれる人体防衛軍が、いつも体内でスタンバイしているということ。これが、人体に備わっている「免疫機能」です。
防衛軍は好中球やマクロファージ、リンパ球といったさまざまな能力を備えた「白血球」で構成されています。
若い頃はこの白血球の働きがとても活発なので、少々の無理はきくのですが、年を取ると全身の細胞が老化して人体防衛軍の力が衰えてくる。つまり、免疫機能が低下してきます。
・また、ガン細胞という体内の反乱者の脅威にもさらされます。こうした免疫力をはじめとして、人体に備わっている各種の「生体防御力」の総称をホメオスタシスと呼んでいます。
前述したとおり、食事を取ると誰でも血糖値が上がります。しかし、上がった血糖値を下げるために脾臓からインスリンというホルモンが分泌され、血糖は正常値に戻ります。これがホメオスタシスの働きです。
<老化というのはこのホメオスタシスの機能を低下させる最大の危険因子>
・加齢とともに人体の機能には次のような変化が現れます。
心臓→血液を送り出すポンプの機能が低下する
血管→動脈硬化を引き起こしやすくなる
骨→骨密度が減少し、骨折を起こしやすくなる
関節→変形して痛みを伴い、可動域が少なくなる
筋肉→筋肉量が減り、筋力が低下する
脳・神経→脳細胞が減少するため、動作が緩慢になり、バランスも悪くなる
目→40歳を過ぎた頃から老眼が始まる
耳→聴力が低下し、老人性難聴という修復不能な病気になる人もいる
呼吸器→酸素と二酸化炭素を入れ換える換気能力が低下する
・病気とはいえないけれど、いつ病気になっても不思議ではない状態!
つまり、「老化」というのは、「未病」の状態にあるという言い方もできるのです。
<予防医療は、40代で意識しよう!>
<死の寸前まで働き、ボケる人がいない。まさにPPK(ピンピンコロリ)の大往生を遂げる>
・40代は、人間ドックやサプリメントを含めた予防医療を意識すべき年代だといえます。
<長野県が日本有数の長寿県になったわけ>
・長野県というのはもともと内陸部の寒い土地柄で、県民の多くは典型的な塩分過多の生活をしていました。そのため、脳血管系の病気が多かったところです。
・ところが、県ぐるみで「予防医療」を実践したことにより、2007年には沖縄を抜いて、「男性長寿全国第一位」の県になったのです。しかも老人医療費が全国最低の47位。つまり、長野県には健康長寿の老人が多いということです。その秘密は、「健康補導員」という聞き慣れない肩書きを持つ人々の活躍にあります。
<80歳を過ぎても元気な人が多く、「ピンピンコロリの里」として全国的に注目されている長野県佐久市>
・保険補導委員会は、市内の各地区を担当する保健補導員を任命、的確な予防医療の研修を受けてもらったうえで、住民の先頭に立って、次のような予防医療を普及させたのでした。
・減塩運動
・一部屋暖房運動
・食生活改善運動(ピンピンコロリ食)
・体を動かす(ピンピンコロリ体操)
キーワードは「食」「運動」「癒やし」。
<健康長寿とPPK(ピンピンコロリ)は決して不可能ではない>
<元気な老人は肉を食べる!>
・1963年には、全国でその数がわずか153人に過ぎなかった「100歳超え」の長寿者が、2012年には5万人を超えました。まさに1世紀を生き抜いてきた超エリート!
<「長寿の秘訣は何か?」というアンケート調査>
1位→物事にこだわらず、くよくよしない
2位→暴飲暴食をしない
3位→幸せな家庭に恵まれている
<長寿者の食習慣>
・腹八分目で、食べすぎないようにする
・完全に米にかたよるのではなく、魚介類などタンパク質も充分に取り、肉類も積極的に摂取する
・野菜や海草を好んで取る
・薄味の料理を好む
・規則的に食事を取る
<今、フィトケミカルが注目されているわけ>
・一般的に、摂取すべき食品の種類は1日30種類が目安だとされています。朝昼晩に少量でもいいから、できるだけ多種類の食品の摂取を心がけることです。なかでも最近注目されているのが「フィトケミカル」という成分です。フィトは植物。ケミカルは化学の意味。つまり植物が含有している化学物質のことです。付帯的には野菜や果物などの植物が紫外線や害虫から身を守るためにつくり出す物質のことで、「色」「香り」「苦味」などの基になっています。
・わたしたちが心がけるべきは、なるべく多くの色の野菜をいただくこと!
野菜や果物の色は「赤」「黄」「橙」「緑」「紫」「黒」「白」の七色に分類されますので、サラダをつくる場合には、できることなら「七色サラダ」を心がけるといいのではないかと思います。つまり、見かけが派手で、華やかなサラダを意識するといいということです。
<早歩きの人ほど死亡率が低い!>
・ここでいうスポーツとは本格的なスポーツではなく、ウォーキングやジョギング程度の軽い運動を習慣的にしているかどうかを質問しているのですが、おわかりのように特に男性では、スポーツを習慣にしていない人は早々と自立機能が低下してしまうことが明らかにされています。改めていうまでもなく、運動習慣は健康に直結しています。
・具体的には、各種の調査によって、運動が虚血性心疾患の死亡率を減少させ、血圧を低下させ、血清脂質を改善させて動脈硬化性疾患の予防に役立つことが明らかにされているのです。特に注目されているのがウォーキング。
・最近、年齢に関係なく早朝ウォーカーが増えていて、「ちょっと早起きして、出勤前に一歩き」というOLの姿も目につくようになりました。
<ウォーキングは、散歩とは違い、普段歩く速度よりもやや速めに歩くのがコツ>
・調査結果によると、速く歩く人ほど死亡率が低く、遅くなるに従って死亡率が高くなるというものです。「遅い→やや遅い→やや早い→速い」と、速くなるに従って明確に死亡率は低くなっています。
<早朝ウォーキングのススメ>
<朝日を浴びながら歩く!>
・サーカディアン・リズム(概日リズム)の法則とは、人体にはいわゆる「体内時計」が備わっていて、それが24時間のリズムで変動しているというもの。
・晴耕雨読。朝日とともに起きて、暗くなれば寝る。大自然の中で、そもそもそんな生き方ができたなら、健康長寿が約束されるのではないでしょうか?ところが、現実がそれを許しません。
<西から東に、東から西に向かって歩く>
・西から東、東から西。これは、太陽の軌道に沿った歩き方です。つまり、サーカディアン・リズム(概日リズム)の法則に従った理想的なウォーキング・コースだといえるでしょう。
<最低でも20分間は歩く>
・理想をいえば最低でも20分。トータルで40分程度は歩いていただきたいと思います。
<胸を張り、手を前後に振って、やや大股で、いつもより速足で歩く>
・あくまでもマイペースで歩く。無理をすると、三日坊主で終わってしまいます。
『100歳』
<99歳の健康診断>
・2011年1月19日、ライフ・プラニング・クリニックにて、99歳の日野原先生の健康診断が行われた。
・日野原先生は、通常の健康診断に加え、体力測定や認知症の検査、生活状況についてのアンケートなども含めたさまざまな検査を受けた。
・医師というのは聴診器を使う仕事だから、やはり聴力も大切です。聴力検査では計ってくれた担当者が、その場で「30代と変わりませんね」とほめてくれました。
・今日行った検査は、加齢とともに体力が低下する勾配を診るためのものです。一般的には、身長が縮む、肺の機能が落ちる、肝臓の働きが落ちる、大脳の働きが落ちるなど、すべてにおいて下降カーブをたどることがわかっています。
・まず、先生は大きな病気をお持ちでありませんし、血液検査でも特別な問題は見つかりませんでした。気になるところは、血圧が少し高いというところでしょうか。ただ、今回は降圧剤を飲まれていますので、上が107、下が56ということでしたし、よくコントロールされていて脈波速度も正常ですので、健康状態は極めて良好だと判断できます。
・脆弱化の5つの指標では、体重の減少、握力の低下、歩行速度の低下、日常生活の活動低下、そして気力の低下を評価します。これらがすべてなければ脆弱化なし、3つ以上あれば脆弱化、1~2であれば中間と判定します。
・しかし、細かい点では下肢の蹴る力と歩行速度がやや落ちてきていること、そして眼をつぶった際のバランスが不安定であるという変化が見られますので、つまずいて転ぶなどの危険性もあります。くれぐれも足下に気をつけていただきたいと思います。よく歩くことはもちろん重要ですが、足首に軽いおもりをつけて、仰臥位(あおむけの姿勢)で下肢を持ち上げるなどの簡単なトレーニングも試みる価値はあると思います。脆弱化が進行しますと元へ戻すことは難しくなりますので、予防的にトレーニングされておられることは大変よいことだと思います。
<ヘルス・リサーチ・ボランティア>
・とにかく今、高齢者の医学的なデータが不足しています。75歳以上の食事のカロリーはどれくらいが適切かさえエビデンス(検証結果)となるデータはありません。現在のところ、85歳でも90歳でも、75歳のデータを使うしかないのです。長生きをする人が増えていますから、ぜひ調査していかなければなりません。
・私が解明したいのは、「老い」の本当の姿です。認知症にならず、社会生活を送る限界がどこにあるのかを調べたい。現在、遺伝子の働きが大きいということはわかっていますが、認知症の遺伝子を持っていても認知症にならない人もいるのです。例えば、認知症の発症因子の遺伝子を持っているにもかかわらず、認知症を発症していない方がいれば、発症を抑える外的な環境因子があるのではないかと仮定することができま
す。聞き取り調査から、それが食事か、運動か、社会活動か、趣味かを分析し、特定していきます。
・一人一人がどういう環境で過ごしているかということはこれまで調査されたことがありません。ボランティアの仕事をする、勉強をする、今までやったことがないことをする、新しい人と出会う。日々の暮らし方や活動も含めて環境因子といいますが、それらによって老化を遅らせることができるという結果が実証されれば、みなさんが目標を持って生きることができるようになるでしょう。
<99歳からのトレーニング>
・2011年3月以来、月に4回くらいのペースで自宅に経験豊富なトレーナを呼び、ストレッチや簡単なトレーニングを行うようになった。次男の妻、眞紀さんの勧めだった。トレーナーの吉沢剛さんは、「日野原先生は、99歳の体としては、本当にスペシャルな体だと思います」と驚く。
・日野原さんは我々が持っている百歳のイメージを吹っ飛ばしてくれた人物である。今も現役の医師であり、本を次々と執筆し、講演も年間、100回を超える。海外にも頻繁に出張するし、記憶力は抜群にいいし、ステーキも食べるし、好奇心は若者以上。いちいち驚いていたらきりがない。百歳にしてなぜ、このように生きることが可能なのか?この疑問に迫るべく取材を始めたのが2010年10月、日野原さんの99歳の誕生日パーティだった。そこでの驚きの言葉、「不思議と、老いるという感覚がない」。
・そして、以来1年間にわたり密着取材を行い、さまざまな場面で比野原さんやご親族、関係者などに話をお聞きしてきた。そのインタビューをもとに構成したのがこの本である。
60歳からはじめる
『認知症にならない脳にいいこと』
周東 寛 コスモ21 2012/12/5
<これが脳を元気にする食生活の基本>
<糖・塩・油・酒の摂りすぎは認知症リスクを高める>
・アルツハイマー型認知症の原因物質として、近年「アミロイドβタンパク」が注目されています。アミロイドβタンパクは、加齢とともに脳にたまってくる「ゴミタンパク」の一種です。
・ところが、このアミロイドβタンパクを掃除する能力が加齢とともに衰えてきて、掃除しきれなかったものがしだいに脳内にたまっていきます。それがあるところまでくると脳の機能に障害がでてきて、認知症になるといわれます。
・私の考えでは、糖・塩・油・酒の摂りすぎると、体の細胞がしだいに糖化・塩化・油化・酒化されていきます。この状態になると細胞からは水分が抜けていき、細胞の代謝機能にも障害が起こります。その結果起こる現象の一つがさまざまなゴミタンパクが体内にたまることです。
・ゴミタンパクは「ラクナ梗塞」という小さい脳梗塞の原因にもなります。
心筋の血管にゴミタンパクがたまって血栓になると、心筋梗塞が発症するリスクが高くなります。
脳内の血管にゴミタンパクがたまって血栓になると、脳梗塞や脳内出血のリスクが高まり、脳血管性認知症になる可能性も出てきます。
・ですから、糖・塩・油・酒の摂りすぎに気をつけることは、生活習慣病はもちろん、認知症の予防のためにもぜひ実行してほしいのです。
<認知症予防には青魚がいい>
・認知症予防に有効な食事の基本は、一言でいうと「魚と緑黄野菜を多く摂る」ことです。なかでも魚に含まれているDHAとEPAは動脈硬化を予防し、血栓を防ぐ働きのある脂肪酸で、とくに脳によい効果をもたらします。
<血液サラサラ食品を摂る>
・豆乳、豆腐、おから、納豆、味噌などの大豆製品には、抗酸化作用がある大豆サポニンが多く含まれています。大豆サポニンには、コレステロールを低下させ、高血圧、動脈硬化、ガンを予防する作用があります。
さらに大豆製品には多くの大豆レシチンも含まれています。大豆レシチンには、脂質代謝を高める働きがあり、肥満を改善させる効果があります。もちろん、こうした働きは認知症予防にもつながります。
・さらに脳の血液をサラサラにするものを加えた食事を摂れば、もっと効果的です。それが期待できる食物としては、キャベツ、タマネギ、らっきょう、にんにく、長ネギ、ニラなどがあります。キャベツ、長ネギ、ニラは便秘解消にもよいので、毎日食べるようにすすめています。
<緑黄野菜は認知症予防になる>
・ビタミン類は、ヒトが体内でつくることはできませんから、総合ビタミン剤を飲むか、緑黄野菜をしっかりと食べるしかありません。
<とくにビタミンB、C、E群が認知症予防に有効>
・緑黄野菜にはビタミン類が多く含まれていますが、とくにビタミンB群、ビタミンC群、ビタミンE群には脳の老化を防ぐ作用があります。もちろん認知症の予防にも有効です。
<カルシウムをしっかり摂る>
・なかでもとくに大切なミネラルが、カルシウムとマグネシウムです。体内にあるカルシウムの99%くらいは骨と歯に含まれますが、残り1%がとても重要なのです。
もし、その1%のカルシウムが不足すると、骨のカルシウムが血液や筋肉に放出されます。その分カルシウムが減って、骨がスカスカになり、もろくなります。この状態が進んだのが骨粗鬆症です。
<認知症予防には肥満も気をつけよう>
・高血圧、動脈硬化、脂質異常性、糖尿病などの生活習慣病は認知症を呼び寄せます。それらは肥満とも関係しているので、認知症予防には肥満対策も必要です。
<認知症予防には一切飲まないにかぎる>
・アルコール依存症の人に高い割合で脳萎縮がみられることは、よく知られています。大量にお酒を飲む人に認知症患者さんが多いことも、地域や集団を調査した疫学調査によって明らかになっています。
<タバコにより認知症の発症率は2倍以上に>
・タバコに含まれる有害物質は数百種類といわれます。
・タバコを吸うほど脳の委縮進む。アルツハイマー型認知症に共通しているのは脳の委縮。
<認知症で失われるのは記憶だけではない>
<日本社会全体で10人に1人が認知症に>
<脳は「怠け者」>
・筋肉は、まったく使わないでいると、1日に3%から5%ずつ低下していくといわれています。
お年寄りが1カ月も寝たきりの生活を送ると、ほとんどの方が歩けなくなるのも、それだけ筋肉が痩せて減ってしまうからです。寝たきりになると、筋肉のほかにも、骨や関節、皮膚、さらには心臓や肺臓などの内臓機能も低下します。
・しかし、いわゆる元気なままで「ピンピンコロリ」と亡くなる人は、おそらく10人に1人もいないでしょう。
ほとんどの人がどこかで必ず寝たきり状態になるとか、認知症になって死を迎えているのです。とくに認知症は、今後日本社会全体で10人に1人の割合で発症するともいわれています。
『超高齢社会の未来 IT立国 日本の挑戦』
小尾敏夫・岩崎尚子 毎日新聞社 2014/12/27
<人類が経験したことのない少子・超高齢・人口減少社会>
・少子・超高齢・人口減少社会である日本は、いまだかつて世界が経験したことのない未知の世界が広がっている。日本では65歳以上の高齢者人口は過去最高の25%を超え、4人に1人が高齢者になった。増え続ける高齢者の質は大きく変わっている。8割は元気な高齢者と言われるアクティブ・シニアだ。
・2030年には約8割の高齢者が介護不要で自律的に暮らせるようだ。
・高齢社会が進む一方、今後日本の総人口は長期にわたって減少し、2060年には約8600万人にまで減少すると推測される。
・未曽有の人口構造の変化は、2025年がターニングポイントとなる。戦後の象徴とされる1947年~49年生まれの“団塊の世代”が75歳以上になる年だ。
・世界に目を転じれば、高齢化率は世界規模で上昇しつつある。2060年意は世界人口の約5人に1人が高齢者になる。
<日本は2007年に国連で定められた世界初の“超高齢社会”に突入>
<国家財政破綻危機の2025年問題>
・高齢者の約8割は就業意欲があるのに、そのうちの2割しか仕事に就けない厳しい現状である。
・介護の面を考えると、厚生労働省の試算で、2025年に50万人の看護師、4~6万人の医師、100万人の介護職員が必要といわれている。
<高齢化と情報化が同時進行する新複合社会時代の幕開け>
・1980年代のICT革命以降、ICTは人々の生活に密接に浸透してきた。近年ICTは、財政悪化や労働人口の減少、地方の疲弊、企業統治などの成長の制約条件の社会課題を解決するためのツールとしてその地位を確立している。
・世界で唯一の超高齢社会に突入した日本の情報社会の将来は、ユーザー(消費者)がいかにICTを駆使し、供給側はいかにICTでネットワーク化された社会を構築し、ユーザーに優しいより豊かな情報社会を形成することができるかが課題となる。
・65歳以上のインターネット利用状況は、平成20年末から23年末で約1.6倍と年々増加傾向にある。
・また高齢者にとってオンライン・ショッピングも当たり前のものになり、行政手続きも役所に行っていたものが一部、自宅でオンライン申請ができるようになった。電子政府サービスの普及である。今後は、ICTサービスや商品が無用の長物とならないよう、高齢者はICTリテラシー(習得度)を身に付けなければならないということだろう。
・さらに医療や年金などの社会保障の負担が、現役世代に重くのしかかり、個人格差が広がり地域社会やコミュニティ意識が希薄化するおそれもある。こうした社会背景において、ICTはパラダイムシフトをもたらす原動力の一つとして期待されている。時間や距離といった制約を越えて積極的な利活用を促すことにより、将来的に高齢者の生活を変革し、活力を引き出すエンジンになるとも期待されている。いよいよ、情報化と高齢化が融合する人類史上初めての新複合時代の幕開けである。
<解消するか、デジタル・デバイド(情報利活用格差)>
・既に60歳代の団塊の世代は8割がインターネットを使える調査結果もあり、シニア世代の本格的デジタル経済が間もなく始まる。
<政府が超高齢社会対策に乗り出す>
・今後、特に2025年問題の解決策として、下記の諸点を重点分野にした対応が急がれる、と報告された。
1、 在宅医療・介護を徹底して追及する
2、 住まいの新たな展開を図る
3、 地域づくりの観点から介護予防を推進する
<高齢者雇用が地方創生の鍵>
・2020年には約8割の高齢者が介護不要で自立できるといわれている。つまり元気なアクティブ・シニア層が増えるということだ。このアクティブ・シニア対策が喫緊の課題となっている。少子高齢社会の中でますます生産労働人口が縮小する。経済成長の制約となっていた生産労働人口の減少を解消するのはどうしたらよいのか。
・最近多くの企業が導入し始めている取り組みは、
高齢者の退職年齢を上げる、
フレキシブルな働き方を提供し、働きやすい環境を作る、
クラウドソーシングなどを利用して、インターネットを使い、適材適所の仕事を依頼する、
テレワーク(在宅勤務)を推進する、などがある。
・高齢化に加え、少子化も深刻な日本では、今後の労働力が懸念される。地域の過疎化や就労機会が減少すれば、少子高齢化が進む地方では地域経済そのものが疲弊する。こうした問題を解決するのが、“テレワーク”だ。在宅勤務で日本を変えるというスローガンのもとで、さまざまな取り組みがスタートしている。
・テレワークのメリットは、満員電車に揺られて通勤する必要のない、働く時間や場所の制約がない点にある。もちろん会社に勤める他の社員や職員と同様の成果を挙げなければならないし、同等の拘束時間や仕事のクオリティも追及されるだろう。しかし、時間や場所に縛られないテレワークの働き方は、働く意欲があっても、体力的な理由から通勤が困難な高齢者や、出産、育児、介護に時間が必要な就業者が仕事をすることができることから、今後成長が期待される分野である。
・また、多くの人材を確保することが難しい中堅・中小企業にとっては、全国各地から人を募集できるので、有能で多様な人材を幅広い範囲で確保することができ、さらには生産性向上につながるともいわれている。この他、テレワークによって、家族と過ごす時間や自己啓発や趣味の時間が増える等、生活にゆとりが生まれ、ワークライフバランスの向上にも効果があるだろう。
・実際にはまだ大企業を中心に1割の導入に留まっているテレワーク制度であるが、高齢者の社会参加や社会貢献に加え、ワークライフバランスの観点から有効な施策となる。資本金50憶円以上の企業では25%の普及である。働き方だけではなく、新しい高齢社会モデルを構築するための地域振興や規則改革を同時に進めることも検討しなければならない。
・また高齢者の起業も盛んだが、数少ない成功事例の一つが福島県上勝町で行われている“いろどり“事業だ。高齢者の自立支援策、日本料理を飾り付ける草花を、地域の植物をよく知る高齢者が収穫し、全国の料亭に、タブレット端末を利用して販売する”葉っぱビジネス“が注目を集めている。
<総務省「ICT超高齢社会構想会議」>
・高齢者が自ら会社を興し、地域に還元し経済を潤す。高齢者は生きがいを見つけ社会貢献ができる。こうしたモデルが日本全国で展開できれば、地方創生は現実のものとなる。筆者の小尾が委員長を務めた総務省の研究会で視察した東京都三鷹市では自治体が高齢者の起業を応援しているケースだ。NPO「シニアSOHO普及サロン・三鷹」が中心となって活動している。この他、地域支援マッチングのアブセックや孫育て工房で地域ケアのBABAラボをはじめとする高齢者の自立支援地域プロジェクト事例は急増中である。
問題は日本全国で展開される数多くのプロジェクトが政府の支援や特区モデルを離れた時、プロジェクトが自立し、独り立ちできるかが勝負である。
<人類は“シルバー・ツナミ(津波)”で滅亡するリスクがある>
・“シルバー・ツナミ”とはピーク時に24億人に膨れ上がる高齢者集団が津波のように押し寄せてくる、との比喩的な表現である。スピーチの続きだが、「世界で最初に“シルバー・ツナミ”に襲われるのは日本であり、我が国の対応次第で世界の歴史が変わるかもしれない」と述べた。
・全てを書き終え、次の四つの分野にわたる優先的課題解決の必要性を理解することができる。
第1に、雇用問題である。深刻な労働力不足が将来起きるが、高齢者、そして女性の活躍こそ日本再生の王道である。特に、アベノミクスが目指す“女性が輝く社会”の推進は超高齢社会において必要不可欠であり、一歩でも前進することを望みたい。残念なことに、日本の女性の社会進出は、先進国中、韓国に次いでランクが低いのが実情である。
・第2に、シルバービジネス3000兆円市場(2050年)への企業努力である。
・第3に、日本の経験や教訓を後に続く世界各国に紹介していく国際貢献の責務を忘れてはならない。
・最後に、電子政府など行政の役割である。今後の研究課題だが、高齢者に優しい電子政府の推進が経済活性化の鍵を握ることを証明する必要がある。
・電子政府がフルに活動すれば、日本政府は経費の3割をカット可能との試算がある。
『治すヨガ!』 沖正弘がのこしてくれた
船瀬俊介 三五館 2015/9/22
<丈夫になるのに重要なことは、いかに少なく食べるかの工夫である。>
<あらゆる健康法はみなヨガの中にある。あらゆる自然療法がある。>
<運命のつくり主は自分です。自分を励ますものは自分以外にありません。>
<呼吸こそ、心身コントロールのカギである。呼吸法はヨガ行法の中心である。>
<ヨガでは「生命が神である」と考える。すべての中に神が存在する。>
<食べないほど幸せである。食べる工夫ではなく、食べない工夫をしろ。>
<腹が減るほど調子が出るのが本当の健康体>
・沖先生の第一声は、忘れがたい。若い私にとって、まさに目からウロコでした。
だれでも、人並みに食べたい。そうすれば幸せ。そう信じて、額に汗して働いているのですから。それを、ヨガでは「食べるな!」というのです。天と地がひっくり返るとはこのことです。
しかし――。今、私は確信します。人は、食べないほど、幸せなのです。
「空腹を楽しめ!」
この沖先生の言葉も、ヨガの神髄を表しています。
「腹が減るほど調子が出るのが本当の健康体だ!」
私は断食や一日一食を実践して、まさにそのとおりと確信します。
ファスティング(断食・少食・一日一食)は、万病を治す妙法であるーー。
これは、ヨガの奥義です。5000年以上の歴史を誇る実践科学、それがヨガです。その到達した結論が、ファスティングなのです。
人生の幸福も治病も“食べない”ことで、達成されるのです。
現代医学も、現代栄養学も、声を揃えてこう叫びます。
「餓死しますヨッ!」
医師たちは誤った西洋医学を学び、栄養士たちは誤った栄養学を学んできたのです。
<命が喜ぶ“至上の幸福”>
・ヨガの究極の目的は「生命が喜ぶ」ことです。ヨガが「食べない工夫」を説くのは、それが「生命が喜ぶ」ことに通じるからです。
具体的に「食べない智慧」の恩恵をあげてみます。
(1) 万病が治る:これは、万病の原因が“体毒”だからです。それは代謝能力を超えるほど食べたことで、身体に留まります。断食すれば、“体毒”はすみやかに排泄され、身体はクリーンに自己浄化されます。病気の原因の毒素が排出されれば、病気が治るのは当たり前です。
(2) 生命力が高まる:“体毒”が排泄され、自己浄化されれば、身体は宇宙からいただいた理想状態に戻ります。すると、自然治癒力、免疫力、身体能力、精神力、直感力、生殖力……あらゆる生命力が最高レベルに高まるのも当然です。
(3) 精神が安定する:断食や一日一食の人たちに共通するのは、“怒らなくなった”“落ち込まなくなった”“許せるようになった”という心の変化です。
(4) 仕事がはかどる:「たべなきゃ仕事にならんだろう」と思うかもしれません。しかし、逆なのです。心身能力が高まり、身体も頭も冴えて驚くほど仕事が進むのです。
(5) 睡眠時間が短くなる:一日三食なら9時間、二食なら6時間、一食なら3時間の睡眠ですむようになります。食事、睡眠は3分の1、仕事、人生は3倍楽しめるのです。
(6) 食費がかからない:これは、いうまでもないことです。
(7) 子宝に恵まれる:ファスティングは男女ともSEX能力を高めます。
(8) 若返る:長寿遺伝子(サーチュイン)の発見で証明されました。「食べないから若い」、「食べるから老ける」のです。
(9) 感性が豊かに:直感力、創造力が高まるため、学問、芸術、創作活動などの能力が花開きます。
(10) 社会が平和に:「食べない」と心が平和になります。
<身体が教えてくれる食べ間違い>
<丈夫になるのに重要なことは、いかに少なく食べるかの工夫である>
<症状からわかる適した食べ方、栄養素>
▼異常な食欲:やたら食べたい、甘いものが欲しいなどは、運動不足や心の乱れの現れ。
・栄養素は、多すぎても少なすぎても体調に影響します。
沖先生はこれらの対処法として断食を勧めています。身体がクリ-ンアップし、真に必要な食物が直感的にわかるようになります。
<ファスティング(少食・断食・一日一食)は、万病を治す妙法である――。 >
・沖正弘導師――沖ヨガの開祖であり、ヨガの指導者として、国際的に有名です。沖先生との出会いが、私のその後の人生を決定づけました。
・ヨガは約5000年以上前にインド地方で生まれたと伝えられます。
それは、心身の調和を理想とする哲学であり科学です。その目的は「自分で自分の肉体や精神をコントロールする」ことです。言い換えれば「どんな過酷な環境に置かれたときでも、それに耐えられる肉体と精神をつくる」ことです。つまり「人間という生物の持つ能力を最大限に発揮する方法」なのです。
・ヨガという言葉は、古代サンスクリット語で「つなぐ」という意味です。いったい何と何をつなぐのでしょう?
それは、「宇宙」と「人間」をつなぐのです。自分が大宇宙の一部であると体得する。そこから感謝と愛が沸き起こってきます。
ヨガの基本の教えは2つあります。
「いつでも感謝し、いつでも笑える心を持ちなさい」
この教えを体得できれば、あなたの命もいききとよみがえってくるでしょう。
<慢性病の治し方>
<慢性病とは、人格病、生活病なり。生活を変えれば、体質も気質も変わり治ってしまう。>
・ところが、習慣だとか、癖だとか、一つの条件が固定すると、同一状態を続けます。同じ状態が続くから『慢性』という言葉を使うのです。異常が固定したということは、体質が異常な性質になっているということです。このように、慢性病は病気というより、異様な体質と気質が固定化している状態であると考えるべきです。
・「慢性病から救われる第一の方法は、停止している状態を変化させることです。同じ生活、同じような身体の養い方や使い方をしているから、慢性病になるのです。
だから、救われるには、生活を変えることが、そのカギです。生活を変えれば、体質も変わり、気質も変わります。これにより、慢性病は治ってしまうのです」
<クスリで治らぬなら、「医・食・住」を変えよ>
・「慢性病という言葉の『病』というイメージから、『薬』を連想させますから、治らないのです。薬を飲んで、習慣性が変わるはずがありません。いくら注射をしても、鍼を打っても、癖が治るはずはなく、考え方も変わるはずがありません」
<生活を変えるには、心を変える>
・「今まで、好きなものばかり食べていた人は、嫌いで食べたこともないものも食べてみます。今まで、こういうことばかりしていて、他のことをしなかったという人は、その『しなかった』ことをやってみるのです。生活を変えること、慢性病はなくなってしまうのです。生活を変えるには、心を変えることがそのカギです」
<ガンはこうすれば治る>
<私自身、ガンをわずらい、13年かけて治した。私の指導で筋腫やガンの治った人々が無数いる>
<ガンは血液浄化と延命装置である>
・森下博士は「ガンは血液浄化装置」と言います。ガンも他の病気と同じく、“体毒”から発病します。そして、その毒素が最大限に身体を侵した状態になったとき、発病するのです。そのとき、血液も“毒”で汚れています。放置しておくと敗血症を起こします。敗血症とは血液が腐敗する病気で、発症すると多くの場合1週間以内に死亡します。
・身体は、その最悪の事態を回避するために、自身の弱った部分で、その“毒”を引き受けるのです。早くいえば“ゴミ捨て場”を作るようなものです。すると血液中の“毒”は、そこに留まっていき、血液は浄化されるのです。そして敗血症で急死という最悪のケースを避けられます。「だから、ガンは延命装置でもあるのです」(森下博士)
つまり、ガンが命を救ってくれ、命を長らえさせてくれている。ガンにも存在する理由があるのです。
・私が敬愛するもう一人の医師、新潟大学名誉教授の安保徹博士の理論も明快です。
「ガンは低血流、低体温、低酸素の場所にできる」。だから、まずはこれらを改善することがガンを快方に向かわせる秘訣なのです。
<断食でガンは真っ先に消える>
・森下博士は、ガンを治すベストの方法はファスティングと断言します。
「身体を飢餓状態にすると、体細胞は血球細胞に戻ります。これを異化作用といいます。身体は、害を受けた組織を血球細胞に戻す働きがあります。だから、断食をすると、真っ先にガン細胞が血球細胞に戻り、排泄されていくのです」(森下博士)
私も実際に、わずか4カ月の断食療法によって直系10センチのガンが消滅した事例を知っています。
・断食が病気を治す根本原理は、その排毒作用です。ガンという毒素は、最優先で排毒されていくのです。ただし、ガンが育った背景には、誤った生活習慣があります。それも並行して正すことは、いうまでもありません。沖先生も同じ主張をしています。
「ガンは細胞の弱い所にできるものである。弱っている細胞は萎縮して、血行が悪く、栄養も酸素も不足している。断ち、捨て、離れることで、日常生活の習慣を一度、ブチこわして、違った角度から生活を見直すことが効果的である」
生活改善とは、当然、心の改善もともないます。
「ガンになりようのない血液と細胞と心を持てば、心配することはないのである」
・われわれは「ガンは治らない」と“洗脳”されています。だから、告知の瞬間から恐怖で落ち込む。すると、ガンと戦うナチュラルキラー(NK)細胞が急減します。
自らガンを完治させた沖先生は言い放ちます。
「私は病人面して寝ることをしなかった。かえって、意識的に、人も驚く超人的な生活を続けることを心がけた。これが治るコツである」
さて最後に沖先生が勧めるガンを治す食事をご紹介しておきましょう。
「酵素、カルシウム、ビタミンおよび植物酸を多くし、偏食のない少食にする。脂肪を少なく、玄米、海藻、生野菜をとる。手軽で一番良い方法は、生食、自然食、断食をくり返すことである」
<病はチャンスだ>
・ヨガは病や悩みを、自己改造進化の教師と考える。
・「このガンが、本格的にヨガの修行をやってみる決心をつくってくださった」(沖先生)
<胃弱な人の治療法>
・胃弱の人は、胃に無理をかける。姿勢が悪い。神経が苛立つ。この3つに対応する治し方をすればよい。
<万病を治す第一歩はファスティング>
・「胃に無理をかける」とは、早くいえば“食べ過ぎ”です。
だから、まず「食べなければいい」のです。つまり「胃を休ませる」。このファスティング(断食)で、ほとんどの胃病は治ります。なんとあっけないことでしょう。
その他、腸炎、下痢などの消化器疾患も「食べなきゃ、治る」のです。
・万病を治す第一歩は、ファスティングなのです。それなくして、いかなる病気も治りません。
まずは、朝食を抜く半断食をお勧めします。これでも、相当胃は楽になるはずです。半断食ができるようになったら、一日一食にしてみます。それをクリアしたら、三日断食に挑戦しましょう。
・ちなみに「食欲が出ない」「疲れやすい」「だるい」のは、ビタミンB₁、B₃などの不足です。これらは、玄米や小麦胚芽などに多く含まれます。つまり、精白した米や小麦粉、白パンなどを食べているために起こる一種のカッケ症状です。
日ごろから未精白の穀物、雑穀、胚芽パン、さらにゴマ、木の実などを食べる習慣があれば、このような症状とは無縁に過ごすことができます。
<血圧はコントロールできる>
・断食をし、深呼吸を繰り返す。この2つが、血圧調整の決め手である。
<菜食は血圧を下げ、脳卒中などを防ぐ>
・高血圧の人は、まず食生活に問題があります。例外なく過食、美食、肉食の人が多い。食べることが無二の楽しみなのですね。しかし、楽あれば苦あり。今度は、そのツケの高血圧で苦しむことになります。そういう人は同時に糖尿病、心臓病の気もあります。結論からいえば、まず食生活を改めなければ、高血圧は治りません。
・まず過食、美食、肉食を少食、粗食、菜食に変えることです。
とくに、日本人は戦後、欧米型の食生活に憧れ、さらにアメリカの占領政策で、“餌付け”されたため、肉食過多に陥っています。肉食、動物食は、まさに万病の元です。
・菜食が高血圧を劇的に改善する。これは科学的実験からも証明された事実なのです。菜食主義者と一般人を比較すると、肉食などを行なう人は、年齢とともに血圧が上がっていきます。それは、動脈硬化が進み、血管が硬くなっているからです。逆に、ベジタリアンは年齢とともに血圧は低くなっています。それは、血管壁が柔軟であることの証明です。柔らかい血管の持ち主は、脳卒中や心臓病とも無縁の人生を送ることができます。
・「腹八分に医者いらず」「腹六分で老いを忘れる」「腹四分で仏に近づく」……。
これはファスティングの重要性を明快に説いたものです。
さらに「食べる工夫でなく、食べない工夫をしろ」「空腹を楽しめ」「腹が減るほど調子が出るのが、本当の健康体だ」……。
まさに、目からウロコ。これらの言葉は、その後の私の人生を大きく変えることになりました。
『脳を鍛えるには運動しかない!』
最新科学でわかった脳細胞の増やし方
ジョンJ.レイディ with エリック・ヘイガーマン NHK出版
<結びつける>
・運動すると気分がすっきりすることはだれでも知っている。けれども、なぜそうなるのかわかっている人はほとんどいない。ストレスが解消されるから、筋肉の緊張がやわらぐから、あるいは、脳内物質のエンドルフィンが増えるから――たいていの人はそんなふうに考えている。でも本当は、運動で爽快な気分になるのは、心臓から血液がさかんに送りだされ、脳がベストの状態になるからなのだ。わたしに言わせれば、運動が脳にももたらすような効果は、体への効果よりはるかに重要で、魅力的だ。筋力や心肺機能を高めることは、むしろ運動の副次的効果にすぎない。わたしはよく患者に、運動をするのは、脳を育ててよい状態に保つためだと話している。
・人類の脳の回路には、食物と体の活動と学習とのつながりがもともと組み込まれているのだ。
・しかし、わたしたちはもはや狩りも採集もしていない。そこに問題がある。動くことの少ない現代の生活は人間本来の性質を壊し、人類という種の存続を根底から脅かしている。証拠はあちこちに見られる。アメリカのおとなの65パーセントが太りすぎで、国民の10パーセントがⅡ型糖尿病を患っている。運動不足と栄養の偏りが原因の破滅的な疾病だが、生活習慣によって十分予防できるはずだ。かつては中高年の病気と言われていたこの疾病が、今では若い人たちに広まりつつある。わたしたちは自分で自分の首を絞めているようなもので、しかもそれは生活のすべてが特大サイズのアメリカに限った話ではなく、先進国全体の問題となっている。もっと気がかりで、しかも、ほとんどだれも気づいていないのは、動かない生活は脳も殺してしまうということだ。実際に脳は縮んでいくのである。
・私が、願うのは、運動が脳の働きをどれほど向上させるかを多くの人が知り、それをモチベーションとして積極的に運動を生活に取り入れるようになることだ。もっとも、それを義務だとは思ってほしくない。運動はもちろんするべきなのだが、無理強いするつもりはない(おそらく、そんなことをしても無駄だ。ラットの実験により、強制された運動では自発的な運動ほどの効果が出ないことがわかっている)。運動をしたいと心から思えるようになれば、そのとき、あなたは違う未来へ向かう道を歩み始めている。それは生き残るための道ではなく、成長するための道なのだ。
・わたしが強調したかったこと――運動は脳の機能を最善にする唯一にして最強の手段だということ――は、何百と言う研究論文に基づいており、その論文の大半はこの10年以内に発表されたものだ。脳のはたらきについての理解は、その比較的短い期間にすっかりくつがえされた。この10年は、人間の特性に興味をもつ人すべてにとって、心沸きたつような時代だった。わたし自身、本書のための調査を通じて、運動の効果にますます驚かされ、直観的な洞察は科学に裏打ちされた真実へと変わっていった。
・「だれもが最大の効果を得られる最小の量を知りたがっている」とは、デューク大学の運動生理学者ブライアン・ドゥシャの弁だ。彼は、週にわずか3時間ウォーキングをしただけで心血管系にプラスになることを示す研究を発表したとたん、マスコミからひっぱりだこになった。
<ウォーキング>
・1日1時間、最大心拍数の55から65パーセントでウォーキングを始めれば、その時間で歩ける距離は自然と延び、次第に健康になっていくだろう。このレベル(低強度)では、脂肪が燃料として燃やされ、代謝が盛んになる。体の脂肪が多すぎると、筋肉はインスリン抵抗性をもつようになり、そのせいで脂肪がますます蓄積し、インスリン様成長因子(IGF-1)の生産は減る。
・2007年にミシガン大学で行われた研究によると、1セットの有酸素運動で、翌日にはインスリン抵抗性が改善されていた。筋肉の組織を運動の前後で比較したところ、運動後の筋線維には脂肪の合成に欠かせないタンパク質が生じていた。その効果がどれほど長くつづくのかはわからないが、その発見はほんの少しの運動でもプラスのドミノ効果が起きることを証明した。
<ジョギング>
・脳細胞の内側では、中強度の運動が引き金となって代謝系の掃除屋とも言うべきたんぱく質や酵素が放出され、フリーラジカルやDNAの破片、そのまま放置すると細胞の破壊をもたらす炎症因子を始末する。研究が進むに従って、抗酸化剤を薬の形で服用しても効果はないこと――むしろ有害であるかもしれない――が示唆されているが、有酸素運動によって細胞内に自家製の抗酸化剤を作り出せることはあまり知られていない。しかも、抗酸化剤は話の一部にすぎない。十分な修復期間があれば、運動が導く修復反応によって、ニューロンはより強くなるのだ。
『マイクロトレンド』
世の中を動かす1%の人びと
マーク・J・ペン with E・キニー・ザスレン 日本放送協会出版 2008/4/25
<将来が予想通りになることはめったにない>
・実は未来を左右する小さなグループがその眼にいくつも飛び込んでくるだろう。現代においては、1%の大きな力を見つけることが、ビジネスや投資、未来予測の成功を約束するのだ。ようこそ、マイクロトレンドの世界へ!
・著者はアメリカの政治において最も鋭い洞察力を持つ世論調査員として広く知られ「ワシントンきってのパワフルな人物」と評される。
<働く定年退職者>
・いまやほとんどの人は85歳まで健康を保ち、実際に65歳で定年退職する人はますます減っている。現在アメリカには65歳以上の労働者が1980年代全般の2倍近くにあたる500万人おり、さらに爆発的に増える見込みだ。
・シニアになっても働き続ける最大の理由は、アメリカ人が実は仕事が好きなためだ。寿命が延びたのなら、もっと長く働きたいのである。きっと物足りないのだろう。
・アメリカ人の労働時間は年平均1800時間を超えており、世界のほとんどの国よりずっと長い。西ヨーロッパ諸国と比べて年間の休暇が少ないにもかかわらず、消化されない休暇日数は倍以上になる。
<アメリカ人の多くは仕事が好きなのだ>
・事実、仕事をすることは本能的な欲求であり、第4の戒律(カトリックでは第3)とは「週に1日は安息日を守ること」とある。
・仕事中毒の人々の数はうなぎ上りとなっている。もっと仕事をしたいと思っているうちは死の床につかないと高齢者が話しているのを何度も耳にしたことがあるだろう。そして、多くの人はそれを実行している。
・仕事に対する認識が変化しているのに加えて、ベビーブーム世代が65歳に近づいていることを考えると、金の時計、安楽椅子、ゴルフコースといった従来の「定年退職」のイメージそのものが退職のときを迎えつつあるのだ。
・ベビーブーム世代の4人に3人以上が従来のような定年退職をするつもりはないと考えている。それどころか、彼らは、20年後も仕事を続けているつもりであり、「死ぬまで仕事を続ける」と答えている。
・肉体労働のほうが多かった時代には、病気や痛みを抱えた高齢者が働き続けるのは辛かった。しかし、情報時代にあっては、高齢者ほど情報が豊富な人たちはいない。
<労働人口(毎年)1%増。若い世代は起業する>
・1978年以降、70歳未満の労働者を強制的に退職させることは違法となっており、1986年以降は定年だからと言って強制的に退職させることはなくなっている。
<社会保障制度の危機を救う>
・さまざまな研究によって、健康でいられる期間を延ばすためには、身体と精神を活動させることが重要であることがわかっている。私たちの平均寿命はまだまだ延びるのではないだろうか。
・働く定年退職者がトレンドになると、家族と言う形態が守られることになるかもしれない。
・いまの大学の新入生に関する調査によると、彼らが人生でもっとも優先しているのはお金儲けと、そして家族を養うことだ。「労働年数」が突然これまでより20年長くなれば、いよいよその両方が可能になるのではないだろうか。
・かっては老後と呼ばれていた時期が、いまの高齢者にとっては絶好のチャンスになっている。
■■■ 私が思うこと、聞いたこと、考えること ■■■
(2025/4/30)
・和田先生は、老年医学の専門医です。高齢者の問題については、少数説もあるようですが、6000人くらいの高齢者の患者を診察してきた経験からの知見は貴重です。
著者は、「日本人の平均寿命は、女性87.57歳、男性81.47歳となっています。一方で、介護なしで生きられる健康寿命のほうは、女性75.38歳、男性が72.68歳。女性は約12年、男性は約9年、誰かに介護してもらいながら晩年を過ごすことになります」、「また、コロナ禍の外出自粛を強く要請されたのもリタイアした高齢者です。高齢者は重症化率や死亡率が高いというのが根拠になっていますが、要請を真面目に守った高齢者の中には筋力が低下し、歩けなくなる人が続出しています」、「車しか移動手段を持たない地方の高齢者が免許返納すれば、外出の機会が減りますから、運動しなくなります。その結果、筋肉量が減るなどして、自立歩行ができなくなる可能性があります」、「確かに、高齢になれば動体視力や判断力が若い頃より低下するので、より慎重に運転する必要があります。でもそれは高齢者もわかっていることです」、「長年、高齢者医療に携わってきた医者の立場から言うと、高齢ドライバーが交通事故を起こす事例の1つとして、常用している薬の影響が考えられます」、「そもそも、高齢者がタバコを吸っても、寿命はそれほど変わりません。これも浴風会病院に併設された老人ホームでの追跡調査のデータにありますが、高齢者の場合は、タバコを吸っても吸わなくても生存曲線が変わらないという結果が出ています」、「そうでなくても、何歳まで生きられるかわからないからと、高齢者はお金をあまり使いたがりません」、「例えば、保育園の待機児童が5634人(2021年)なのに対し、特別養護老人ホームの入居待機者数は約29.2万人(2019年)もいます。これを見ても、みなさん政治がシルバー民主主義を反映させていると思いますか」、「赤字ローカル線が廃止されたら、これらの沿線に住む高齢者はいったいどうなってしまうのでしょうか。免許返納したら、移動手段は公共交通に頼るしかありません。運転免許もなく、鉄道もバスもないとしたら、まともに生活することができなくなるのです」、「現在、日本の人口の約3割が高齢者で、有権者ベースでいうと約4割、投票率で考えると高齢者の票だけで過半数を占めることができます」、「高齢者が外出をためらう理由の1つに、トイレの問題があります。高齢者になるとおしっこが近い、いわゆる頻尿の症状を訴える人が増えてきます」、「もう1つ、自然免疫を高めるのに大事なのが運動です。適度な運動をしている人は免疫力が高く、かぜやインフルエンザなどの感染症にもかかりにくくなります。逆に、マラソンのような激しい運動は免疫力を低下させます」、「ところが、コレステロールを薬で下げると、免疫力が低下するので、がん細胞という異物に対する反応が鈍ります。つまり、がんになりやすくなってしまうのです」、「今もそれを信じて、コレステロールの多い食品を控えている人がいるかもしれません。そうであれば、すぐにやめてください」、「ところが高齢者はナトリウムの貯留能力が低下するので、どんどんナトリウムを排出してしまいます。その結果、低ナトリウム血症という病態に陥りやすくなります。これを防ぐため、体が塩分を欲しがっているのかもしれません」、「また、SNSで自分の考えを発信する方法もあります。脳の老化防止、特に前頭葉の老化防止になりますから、自分の頭で考える習慣をつけることをおすすめします」、「認知症の患者数は60代だと約2.5%ぐらいですが、70代から急カーブを描くように増加し、80代では約30%まで増えてきます。認知症の発症は60代から70代にかけての生き方が大きく関わっているということです。その生き方というのは、脳を積極的に使う生き方です」、「脳の老化を防ぐことは大事ですが、それでも認知症になる人はいます」、「今、日本には認知症患者が約600万人いるといわれています。日本の人口が約1億2000万人ですから、20人に1人は認知症ということになります」、「うつ病の約4割は60歳以上というデータがあります。高齢者がうつ病になりやすい理由の1つに、セロトニンの減少が考えられます」、「宮城県で5万人を対象にして行われた大規模調査によると、やせ形のほうが、やや太めの人よりも6~8年早く亡くなることが明らかにされています」、「老化予防のために歩くのは最低、1日30分ぐらいで十分。1度に30分歩いてもいいし、朝・昼・夕に10分ずつ、合計30分でもかまいません」、「高齢者が免許返納をすると、6年後には要介護率が2.2倍に上がります。そういうことも考えて、運転を続けるのか、それとも免許返納すべきか考えるということです」、「浴風会病院の剖検でも、85歳以上でがんが1つもなかった患者さんはほとんどいませんでした」、「ただ、80代を過ぎると、さすがに「できること」よりも「できないこと」が増えてきます」と述べています。
(2025/4/11)
・著者は、2013年11月27日に亡くなりました。享年107歳でした。この本の出版の1年後でした。
障がい児教育に貢献された人だったようです。「日本初の知的障害児通園施設しいのみ学園を設立、運営した」といわれます。運営途中では、当局の認可がおりず大変苦労されたようです。「しいのみ学園」の話は本になり、ベストセラーとなって当時映画化されたようです。
高齢者の本をできるだけ見るようにしています。やはり高齢者の本は、その体験や健康法や生活ノウハウなど注目すべきものが多いようです。今では100歳前後の人の本が増えていますので、興味深いものです。また、戦争体験も、それぞれに個性的なものがあります。
ウィキペディアでみますと、
曻地 三郎(しょうち さぶろう、1906年(明治39年)8月16日 - 2013年(平成25年)11月27日、旧姓:山本)は、日本の教育者、教育学者。教育学・心理学・精神医学が専門。日本初の知的障害児通園施設しいのみ学園を設立、運営した。
福岡教育大学教育学部教授、韓国社会事業大学(現大邱大学校)教授・大学院長、社会福祉法人しいのみ学園理事長兼園長を歴任。関西大学法学士、広島文理科大学文学博士、九州大学医学博士。福岡教育大学名誉教授、韓国・建陽大学校名誉教授、中国・長春大学名誉教授、上海・華東師範大学名誉教授、モスクワ心理教育大学名誉教授。大韓民国国民勲章受章、ペスタロッチー教育賞受賞。吉川英治文化賞受賞。朝日社会福祉賞受賞。正四位。
(2025/3/3)
・著者は医者なので、「医者の見た高齢者」の健康や運動、生き様についてアドバイスしています。
食事はやはり野菜を中心にバランスよく適度に食べるということでしょう。そして、強調しているのは毎日の「適度な運動」です。働いていると自然に「適度な運動」になりますし、社会性もつくようです。定年退職者は、ボランティア活動や趣味や自分のやりたいことを追求して外に出るようにして、家の中に引きこまらないほうが良いようです。歩けなくなった高齢者も多いようですが、なんとか適度な運動を続けてサバイバルしたいものです。
・著者は「私がおすすめするのは、毎日家にいながらすき間時間でできる、簡単な運動です。息切れするほどの激しい運動をたまに頑張るよりも、毎日少しずつ、無理のない範囲で体を動かす習慣を作るほうが大切です」、「私たちにとっての本当の定年は、命日です。つまりこの世を去る日まで、定年は一生涯ありません」、「体をほどほどに動かす習慣があれば、自然と転びにくくなります。筋力の維持や可動域を維持できるからです。すると血液の循環も適度に保たれます」、「毎日ある程度の距離を歩き、そこに階段の昇降も入れながら、たまに自転車にも乗っているような人は、着実に腸腰筋が鍛えられます。無意識のうちに体が活性化されます。よって転びにくくなるでしょう」、「今や国民病などと揶揄されるがんですが、毎年86万人の日本人が何らかのがんになり、亡くなる人の3分の1は、がんが原因です。医療名は、悪性新生物、上皮内新生物、などと呼ばれます」、「人生に定年はないと知り、好きなことをしながらも、ある程度の準備をしておけば、一人で暮らすことも一人で死ぬことも、心配いらない」と述べています。
・「高齢者」の本は1万冊以上もあります。
「少子高齢化など、日本の人口構造は急激に変化しつつある。特に、2025年には、「団塊の世代」と呼ばれる昭和22年~昭和24年生まれの人たち約800万人が75歳以上となることで、国民の5人に1人が後期高齢者になるという「2025年問題」も大きな問題として懸念されている」と指摘されています。
そこで、健康問題や介護問題についても高齢者ビジネスといいますか、さまざまな経済的「需要」が増えてきますし、自分自身の人生を語るエッセイも多く増えています。公的な支援の問題も深刻化するのかもしれません。
若者よりは、やはり経験の豊富な高齢者によるエッセイや本は、興味深いものです。できるだけ高齢者の本は見ていこうと思っています。「亀の甲より年の功」でしょう。
高齢者の人生体験からのサバイバルの「ノウハウ本」が増えてくるのでしょう。高齢者の智恵、ノウハウを集めてみようと思います。やはり理想はピンピンコロリでしょうか。生活に「適度な運動」を入れることが大変重要です。
(2016/9/22)
・はたして「「あたため睡眠」が日本を救う」のでしょうか。「血管の欠陥」で早死にしないように、「あたため睡眠」でピンピンコロリを狙いたいものです。
・やはり血管の健康と言うか、血管が詰まらないようにすることが重要です。血管の強化と言えば、蕎麦のルチンが思い出されます。インターネット情報によると、「そば粉には、「ルチン(別名ビタミンP)」という成分が含まれています。ルチンは、抗酸化作用のあるポリフェノールと似た働きを持っており、脳卒中や高血圧症などの生活習慣病の予防効果が期待され、アメリカやヨーロッパでは薬としても用いられているそうです。毛細血管の弾力を強くし、血液の流れを改善することから、肩こりや冷え性の方にオススメです。また、シミやシワ、そばかすを予防し、肌を生き生きとさせるコラーゲンの生成に関与するビタミンCの働きを助けるため、そばを食べた後にビタミンCを含んだみかんやいちごなどを食べるのもよいでしょう。また、体に悪影響を及ぼし、老化の原因になる活性酸素を取り除く働きもあるので、エイジングケアの観点からも注目を集めています」とのこと。
・また「積極的に蕎麦を食べましょう」ということでは、「実は、ルチンはみかんやアスパラガス、トマトなどにも多く含まれていますが、そば類なら、断然「韃靼(だったん)そば」がオススメです!その量、なんと普通のそばの約100倍以上も含まれているというのですから驚きです!また、ルチンは水溶性で、水に溶けだす性質があるため、茹でた後の茹で汁は「そば湯」として飲むことをオススメします。ちなみに、ルチンの効果には即効性はあるものの、持続性に欠ける部分があるため、一度に大量のそばを食べてもあまり意味がありません。できれば継続的にそばを食べるのがよいでしょう。※そばはアレルゲンとなりやすい食品ですので、特にお子様が初めて食べる時は慎重に進めることをオススメします」といわれます。「ルチン」の効果を考えて、うどんよりもそばを好んで食べるようにしている人も多いようです。
・また「ポリフェノール」という言葉をよく見聞きします。インターネット情報によると、「ポリフェノール摂取から、様々な効果を得られます、期待できます。
【抗菌作用】
殺菌作用には、睡眠不足やストレスからくるニキビ・肌荒れも抑える効果があります。
【抗酸化作用】
抗酸化作用には、活性酸素の働きを抑え細胞の老化防止効果。そしてシミ・シワ・たるみからお肌を守ります。細胞が元気に活動する事で、皮脂のバランスも良くなり乾燥肌の防止効果も持ちます。
【がん予防(消化器系)の効果】
カカオには、リグニンというポリフェノールの一種、食物繊維が含まれています。大腸がんの発がん原因の一つ「便秘」。食物繊維が含まれているということは、便秘予防、解消にも繋がります。このことは、消化機能が低下した患者さんの消化器官にチョコレートを入れることで回復が早まったという実証があるのです。もちろんがん発症の原因と言われる「ピロリ菌」。カカオの持つ抗菌作用がピロリ菌の働きを抑制してくれます。
【血中のコレステロールを抑制する効果(高血圧の予防)】
血糖値を下げる効果を持つ、「カテキン」。お茶などに多く含まれるカテキンもポリフェノールの一種です。カテキンには唾液や、すい液に含まれる消化酵素のアミラーゼの働きを抑える効果があります。ブドウ糖が血液に取り込まれるのに時間がかかることにより、食後の血糖値が急激に上昇するのを防ぎますぐ効果を期待できるのです。紅茶を飲むことで、血圧上昇が抑える可能性に期待できるというわけです。
【抗酸化作用(細胞の老化を防ぐ)】
活性酸素の働きを抑え細胞の老化防止効果。そしてシミ・シワ・たるみからお肌を守ります。細胞が元気に活動する事で、皮脂のバランスも良くなり乾燥肌の防止効果も持ちます」とのこと。
・熊本地震では「エコノミー症候群」が相次いでいると報道されました。やはり、車の中で、一夜を過ごすことは、ストレスにもなり、血液の血栓を作るようです。とにかく体を動かす、歩くことが必要だと言われます。「健康法」にもさまざまな見解があり、奇説と思われるものもあるようです。高齢者になると「ラジオ体操」でも体に悪いという医者もおり、説が分かれているそうです。
・現代人は絶対的な運動不足だそうです。若いうちは「運動不足」でも、なんとかスムーズに日常生活ができますが、高齢になると「適度な運動」が必須になります。働くという事は、通勤を含めて、「適度な運動」になります。高齢者は意識して、日常生活に「適度な運動」を取り入れる必要があるようです。杖をついても歩けなくなる事態は避けたいものです。
ボランティア活動に熱心な高齢者も増えており、何かに打ちこむことが「適度な運動」になるようです。やりがい生きがいを見つけ、体を動かすことが大事だといわれます。
・断食の本もよく読まれているようです。Amazonに「断食」といれますと1060件の本がわかります。たとえば、『週1断食で万病が治る(週1回、2食抜くだけ!)』、『奇跡が起こる半日断食―朝食抜きで、高血圧、糖尿病、肝炎、腎炎、アトピー、リウマチがぞくぞく治っている!』、『3日食べなきゃ、7割治る!』、『「断食」が健康のための最高の方法だ!』、『食べなきゃ治る!糖尿病』、『断食でがんは治る』等、刺激的な題名が続きます。女性のダイエットということも非常に大きな話題・関心事になっています。「断食がこれほど効果があるのなら、実践してみたい」と思うものばかりのようです。
・アメリカ人の自己啓発書を読んでいますと「白いもの、砂糖と塩を控えめに」と書いてありました。肥満や心臓病に大敵だからでしょう。喫茶店にも人工甘味料が置いてあるところが増えたようです。アメリカ人はコーヒーやコーラを良く飲みますし、食事も塩味が基本だからです。砂糖を入れないでコーヒーを飲む人も増えているようです。砂糖と食塩の「白いもの」はタブーのようです。色とりどりの野菜サラダが良いようです。アメリカ人の肥満も日本人のサイズを超えているものが多いようです。
・ドイツ人がビールで、フランス人がワインという具合に歴史的にも日常の食生活に結びついているようです。酒屋や煙草屋には悪いですが、ここは「禁酒・禁煙」でしょう。ノンアルコール・ビールを飲む人も増えているようです。特に年齢を重ねますと酒が体に悪いことが実感されます。また、アメリカのビジネスパーソンは、「タバコを飲んでいると仕事ができない」といって、マイナス評価をするそうです。しかし、若い頃から「禁酒・禁煙」を実行することは難しいことでしょう。日本の場合はビジネスマンと煙草が結びついているイメージです。病に倒れて入院したりする契機があれば、「禁酒・禁煙」の道にすすむようです。
・「禁酒・禁煙」で塩分と砂糖は控えめ、野菜のバランスの食生活、日常生活に組み込まれた適度な運動、「死ぬまでできる仕事やボランティアや生きがい」、「実行が容易な生活習慣」、「介護フリーの人生」が現代人の理想だそうです。確かに働かなくなると、軽い引きこもりになり足腰が弱まるといわれます。とにかく、ありとあらゆる病気が蔓延しているような現代です。医学の発達と病気の数が比例しているかのようです。大人にも子どもにも難病や奇病も増えており、困った人々も増えています。
・「健康」と「運動」はコインの表裏で、「適度な運動」を日常生活に組み込むことが必須のようです。アメリカ人は「死ぬまで仕事をしたい」というモーレツ人間が多いそうですが、「仕事を続けることが適度な運動になる」ようで健康に良いようです。健康ばかりでなく社会性という観点からも「死ぬまで仕事をする」ことが、これからは重要になってくるようです。趣味に生きるのも良いですが、「死ぬまでできる何かを探す。適度な運動になる生きがいを探す」ことが重要になるようです。それでこそ、「ピンピンコロリ」で介護なしの大往生を遂げられることでしょう。「ひきこもり」やうつ病のような精神の健康についても「適度な運動」が効果的でしょうか。
・フランス料理の基本は「塩味」だそうです、ヨーロッパ人は、塩味になじみがあり、昔は、日本の味噌、醤油、生魚、納豆には欧米人はぞっとしたようです。今でも、ぞっとする外国人が多いそうです。しかし、寿司は、世界的なフードになりました。近年の世界中の和食ブームで、寿司なども外国人が好んで食べるようになりました。欧米人も健康志向で、長寿の日本人の原因が、和食、魚を中心とする食事ということからのようです。
・インターネットの世界でも「数百もある健康法や美容法」は大きなビジネス・ジャンルのようです。「料理法」のネット企業もあります。健康法や美容法は商業ベースにのりやすく、「食」が大きなテーマのようです。「世界中の大人は誰でも何かの健康法や美容法を実践している」そうです。健康や運動は毎日のことです。あなたは、いかがでしょうか。
・昔の中国の皇帝は「不老不死」を求めたようです。昔から宇宙人と会っていたからかもしれません。死後の世界が不老不死の世界で、幽界では人生のベストな若い時の姿になるようです。「不死の惑星」というエロヒムのリラ星人の惑星もあるようです。遺伝子操作で「不死」を達成している宇宙人がリラ星人のようです、フランスのコンタクティ、クロード・ボリロン・ラエルによると「3万年進化しているサタン(悪魔)と呼ばれるリラ星人が、実験室で人間を創った」そうです。
・米国政府が秘密協定を結んだといわれているオリオン星人は人類に5万年進化しており「人間の魂の交換」ができるそうです。「不思議なゲイ(LGBT等)の現象は、宇宙人の人格転換である」ともいわれます。「オリオンの邪体霊」ともいわれ、アブダクション(誘拐)や生体実験をしたりして「宇宙の悪玉」のようです。また「平家がプレアデス星人の末裔で、源氏がオリオン星人の末裔」といわれ、「日本の異人や天狗」もオリオン星人系列のようです。
・パラレル・ワールドに住む宇宙人、天国に出入りし転生と憑依を自由に操るシリウス星人の植民星が地球ともいわれ、人間は死後、幽界で天使のような宇宙人、シリウス星人と出会うそうです。しかし、ネガティブ・グループのシリウス星人もおり、「シリウス星人の地球支配があまりにも巧妙なので、しょっちゅう戦争が起こる」ともいわれます。
・著者(松枝迪夫)の「私の健康長寿法十則」には「禁酒・禁煙」については書かれてありませんが、著者は適度に嗜む方なのでしょうか。昔の学生は酒をよく飲んだようです。しかし、酒も過度に飲めば体に悪いようです。何か大病を患い、病院に入院するなどして、そこで「決心」して「禁酒・禁煙」に向かう人も少なくないようです。私たち一般人は、「禁酒・禁煙で健康リスクをかなり減らせる」そうです。
・近年の世界的な「健康志向」で人々の関心も「自分自身や家族の健康の維持」に向けられているようです。現代人は絶対的な運動不足ですので、自分でジョギングやウォーキングをしたり、マラソンなどの練習をしたりする人が増えているようです。家庭でできる運動器具の販売宣伝も非常に多いようです。室内でやる運動器具にはすぐに飽きてしまう人々が多いそうです。またスポーツ・ジムやスイミング・クラブに通う人々も多く「適度な運動」を日常生活に取り入れて健康を維持して楽しい生活をしよう、人生を送ろうということのようです。
・街中では散歩をしている老人も増えており、「家に引きこもり」だと足腰が急に弱くなるようです。日常生活に「体を動かすこと」「歩くこと」を取り入れる必要があるそうです。そしてダイエットは女性の日常的な関心のようです。「肥満は万病の元」ともいわれます。メディアにはガン等で死亡した有名人のニュースが頻繁に出てきますが、ガンで死亡する有名人が意外に多いという印象です。また「塩や砂糖」も控えめにとるのがいいのですが、どの程度がいいのか分からなくなるようです。活動中に砂糖や塩も必要な時があるようです。「人は誰でも自己流の健康法・美容法を実践している」といわれます。健康法を毎日実践して、介護リスクや痴呆リスクなど、誰でも嫌なことを本能的に避けようとしているのでしょう。
・近年、子供や大人の奇病や難病も増えているようで、治療法も分からない病気が増えているようです。医者でも病気の原因が分からないのですから厄介です。また自殺者も依然多いそうで、「心の健康リスク」の悪化が懸念されています。高齢化、少子化の時代に自分自身の肉体や精神の「健康リスク」にどう向き合っていくのかが日常の課題のようです。自殺者数も相変わらず多いそうで、「末法の世」なのかもしれません。
・現代人は「絶対的な運動不足」といわれています。またガンや心臓病などの病気で亡くなる人も増えております。現代人の最大の関心事は「健康」ということでしょうか。そのために適度な運動を無理なく日常生活に取り入れている人が増えています。スポーツクラブやスイミングクラブに通う人も多いでしょう。その他の体を動かすサークルに参加したり、ジョギングやウォーキングが入りやすいようです。自転車で体を動かすことも必要です。長寿のためには「適度な運動」が必須だそうです。部屋に閉じこもって仕事をしていると、能率も落ちてきます。
・働かなくなると老け込むといわれます。働くことが通勤も含めて適度な運動になり、体に良いようです。人間は毎日、体を動かすようにできているようです。散歩よりも早歩きのウォーキングを習慣にしたいものです。また老齢化と共にボランティア活動や仕事などで、「社会との関わり合い」が必要なようです。
・「食べる健康」では、この書のように「七色サラダ」を中心にタンパク質を取り入れるようにすることも必要です。また砂糖は体に悪いともいわれております。「砂糖や塩は控えめに」ということです。ノンアルコールビールに変えたりして「禁酒・禁煙」が最も体にいいようです。歳をとると「断酒」する人も増えてくるようです。お酒の会社には悪いですが、高齢者にとっては「酒は体に悪い」そうです。サプリメントも必要になりましょう。寿命が延びていますので、100歳を超える人々の数はますます、伸びるものと思われます。やはり、あの世に行くのにはPPK(ピンピンコロリ)がいいのでしょうか。あの世には天使のような異星人があなたを待ち受けているそうです。
・インターネット情報(2014/9/12)によると、「全国の100歳以上の高齢者が過去最多の5万8820人に上る」、「100歳以上の高齢者の内訳は女性が5万1234人、男性が7586人。今年度中に100歳になった人と、なる予定の人々では女性が2万5千人、男性が4357人」、「国内最高齢は、女性が116歳、男性は111歳」、「日本人の平均寿命(13年)は男性80.21歳、女性86.61歳」、「100歳以上の人数は調査がはじまった1963年が153人だったが、98年に1万人を超え、2012年に5万人を突破した。近年は1年に3千~4千人台のペースで増えており、今後も増加が見込まれる」とのこと。近未来は、高齢者が増え長寿化しますので、100歳以上の人々は大きく増えるように思われます。
・日野原さんの長寿の原因は詳しくは分かりませんが「現役の医者として活動している」からのようです。「働くこと」が「適度の運動」になり、社会との関係もでき、健康に最も良いようなのです。現代人は絶対的な運動不足ですから、定年退職して家に引きこもりますと、足腰がすぐに弱くなるようです。「通勤」や「働くこと」が「体を適度に動かすこと」になり肉体や精神に刺激を与え、長生きができるようです。
・とにかく体を毎日、動かす必要があるようです。病気で早死にするのも困りますし、病気で寝たきり老人でも家族が困ります。やはり、外に働きに出ることが自然な適度な運動になり、スポーツジムや室内での運動器具を使うことよりも効果的のようです。「働くこと」は、適度な運動になり、ウォーキングやジョギングよりも効果的のようです。
・アメリカ人は「死ぬまで働きたい」という人々が多いそうです。「働くこと」が健康によいことを知っているからでしょう。遊んだり、趣味に生きるのもいいですが、社会でボランティア活動をしたり、死ぬまでできる何か、働くことを見つけて、「生涯現役」ということで、長寿を全うしたいものです。しかし、普通の医者でも70歳以上になると引退する人が多いのでしょうか。血管の病気で倒れないために、食事にも注意をしなければならないようです。「肥満は万病の元」のようです。やはり「ピンピンコロリ」が理想的な死に方のようです。しかし、ピンピンコロリで実際、死ぬ人は少ないようです。
・さまざまな病気のリスクを掛け合わせると高い確率になり、発症リスクを避ける努力が個人に課せられています。「食べ物」のテレビ番組が多いようですが、日常の食と認知症は密接に関係しています。食の西欧化でこれまできましたが、認知症などを考えると「洋食」「中華」よりも「和食」に軍配があがるそうです。一般的に普通でも砂糖と塩分の摂りすぎになるようです。意識的に減塩・減糖をしなければ突然倒れる可能性が高まります。
・「認知症予防には一切飲まないにかぎる」ということですが、「お酒のリスク」は、まだ一般化していないようです。「タバコのリスク」は、昔から広く研究されて報道されていますので、若い人でも「禁煙」をする人も増えているようです。喫煙には規制も多くあります。タバコを喫煙するひとへの風当たりも強くなっています。「お酒のリスク」は病気で倒れないとなかなか一般的に認識されていないようです。
・飲酒の習慣が社会に一般化しており、全く飲めないことは、マイナスのイメージになるようです。毎日の飲酒の習慣を持つ人々も多いようです。サラリーマン社会では「居酒屋文化」がありますが、飲酒習慣のない人が増えると夜の商売の人々が困ります。飲酒習慣のついた人にとっては、「断酒」は難しいようです。
・「言うは易く行うは難し」で、病院に長期入院でもしないと「禁酒禁煙」の決心や実践もできないようです。「食生活の改善」とともに「適度の運動」も必須だそうです。とにかく毎日、体を適度に動かすように工夫することが必要です。「散歩」やウォーキングも日常の習慣として実践しなければならないようです。「介護」のお世話にならないように、しっかりと「適度な運動」をしなければなりません。
・「介護の問題」は、知識人でも自分の家族が倒れたことを契機に、真剣に考えだすようです。遠隔地の親が倒れて困ったという人々も多いようです。介護が原因でサラリーマンを辞めた人もいます。高齢化・少子化の時代ですから誰でも「認知症」や「介護」の問題に直面する時代のようです。
・「少子高齢化の時代」で、当然ながら、各国政府もさまざまなシナリオを描き中期・長期政策を研究・実施しているようです。また「地方創生」ということで各国の地方自治体や企業もいろいろな手法を研究・実践しているといわれます。「近未来の高齢者、女性、若者の働き方」が斬新な発想で組み直しされる必要があるようです。女性の場合は、子育て支援とかさまざまな制度的な担保が必要のようです。「超高齢化」は世界の潮流ですので、各国政府とも対策には余念がないようです。待機児童の保育所の問題が脚光をあびました。政府の「一億総活躍社会」に期待できるでしょうか。
・高齢者の場合の対策は、米国の様に「定年なしの会社」も増えてくるものと思われます。若者の就職状況は、世界的には悪化しているようです。それに比較すると日本の学生は恵まれているようです。日本でも正社員以外の派遣労働者の問題が大きくなっています。日本の将来は人口減少でネガティブな見解が多くありますが、対策は考えれば豊富にあるようです。意外にも「ピンピンコロリ」の高齢者が増えるようです。少子高齢化でも創意工夫によっては、明るいシナリオが描けます。しかし、NPO法人も補助金や寄付が頼りで、採算にのるのは困難なケースが多いといわれます。
・社会の遅れた面、非近代性、後進性、頭の古い面が予想以上に増えてきています。改革の速度も大変遅いようです。本当に優れた官僚や政治家が登用されなかった結果でしょうか。「失われた20年」と言われますが長い期間です。「日本は先進国だろうか」という声も街中で増えてきています。「女性の登用も先進国とはいえない」そうです。女性の眼から見ると「政治や経済の後進性」を痛切に感じることでしょうか。
・「限られた予算、増えない税収、十分でない福祉予算を削る財政赤字」ということで、アベノミクスの成果が問われています。アベノミクスの結果もはっきりした数字も出てきています。「消費税の増税も将来は20%にまでいく必要がある」とのエコノミストの予測もあるようです。「定年を75歳まで延長し、消費税を20%にすれば社会保障制度の維持が可能になる」という議論もあります。今後は特に「高齢者に優しい電子政府の推進が経済活性化の鍵を握る」のかもしれません。国家経営の実務に精通したベスト&ブライテストのテクノクラートのドリームチームの英知を結集した「国家改造計画」が求められているそうです。
・amazonに「ヨガ」といれると3393件、「健康」といれると42914件、「断食」だと、1060件、「食べ物」だと6060件、「美容」だと11653件の本がわかります。現代人にとって、健康・美容は大きな関心事です。それで、それに関するビジネス・マーケットも非常に大きいもののようです。それにつれ、広告宣伝費も多額になっています。毎日の様に「美食」や「食」、「グルメ」のテレビ番組が大きな時間を占めているようです。
・『「医者いらず」の食べ物事典』(PHP文庫)のように、「医者が必要のない」状態にいたいものです。断食やヨガの効果もどの程度なのでしょうか。私たち一般人は、「実践者」ではないので、詳しくはわからないようです。断食でがんが治るのなら、がんで苦しんでいる人は誰でも、試してみたいものでしょうか。敗戦後の食糧不足の時代と違って、飽食の現代では、「美味しいもの」とか、「健康によいもの」が求められています。特に健康を害している人は、健康食や栄養になるものを探します。健康第一の思想が徹底しています。
・私たち一般人は、現代のヨガのことは、よくしりません。インターネット情報によると、「第一生命経済研究所の調査によると、日本のヨガ人口は2004年時点では23万人程度でしたが、2013年にヨガ人口が100万人を突破したとみられています。健康ヨガブームの影響もあり、2015年には350万人を超えるという予測もあります」とのこと。ヨガ教室も約6000個の教室が登録されているらしいようです。「美容・ダイエット」から「スピリチュアルの充実」へと、ブームのようです。知る人ぞ知る世界のようです。薬でも治らないのなら、最後の手段として「断食」に頼る人も多いのでしょうか。
・amazonに「船瀬俊介」といれますと221件の本が分かります。
ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)によると、「船瀬 俊介(ふなせ しゅんすけ、1950年 - )は環境問題を専門とするジャーナリスト、評論家。 2009年6月6日に著書『知ってはいけない!?』が第18回日本トンデモ本大賞を受賞した」とのこと。
・異次元世界のアストラル界やエーテル界には都市が存在するといわれます。ヨガは、異星起源のようで、インドに伝えられたようです。ヨガとシャンバラなどの精神世界は結びついているようです。ヨガは、宇宙人の概念のようです。「瞑想」もあらゆる宗教で実践されているようです。現代では、健康法として発展してきますが、本来は、超能力や精神世界のアイデアと結びついているといわれます。
・現代人の健康志向は、背景に「現代人の絶対的な運動不足」があります。若い時に働いている時には、自然に体を動かしているので、生活に運動を取り入れる必要性を感じません。『脳を鍛えるには運動しかない!』ということで、運動を生活に取り入れることが、健康を保ち、「脳を鍛える」ことになり、健康で長寿命に導くようです。現代人は健康の維持のために、スポーツジムやスイミング・スクールやエアロビクスのような体を動かす運動になるダンス教室に通っています。家に帰る時に停車駅を一つ手前で降りて、家まで歩くとかの工夫をしているサラリーマンもいるようです。
・月一のゴルフを、何とか増やしたいゴルフ・マニアもいることでしょう。しかし、月一のゴルフでは運動とは言えないでしょう。街中や公園で、ウォーキングやジョギングに励む人が増えてきています。昼休みにジョギングをする人もいるようです。どんな学者や書斎人でも、「散歩」や「自転車に乗ること」を習慣にしている人も多いようです。健康法と言えば、数百の方法があり、商業ベースにのっているようです。
・「青汁」やサプリメントを飲むという習慣も老人層には増えてきているようです。女性の最大の関心事である美容やダイエットでも、根底には医学的な知識や理論がある方法を熱心に毎日のように実践しているようです。美容やダイエットは通信販売の大きなジャンルのようです。テレビでは、「食べ物」に関する番組が非常に多いそうですが、背景に健康志向やダイエットがあるのでしょう。テレビ局は「食事」と「健康」に焦点をあてているように思えるそうです。また米国でも「肥満」が大きな社会問題のようです。街中では肥満者がうようよいるようです。アメリカの「肥満者」は「自己管理ができていない」ということで、ビジネス界では嫌われるそうです。
・「働くこと」が「適度な運動」になるようです。アメリカ人は「死ぬまで働きたい」と言う人々が多いと語られています。働くことが通勤を含めて、健康に良く長寿に役立つことを知っているからでしょう。食べることも、運動することも「適度」ということがなかなか難しいようです。アメリカでは一般的なサラリーマンの「定年」もないそうです。
・とにかく「身体をうごかすこと」を日常生活に取り入れると、足腰が弱ってどうしようもないという介護の問題とは距離をおけることでしょうか。この本のように『脳を鍛えるには運動しかない!』ということで、「脳力」という能力も向上できるそうです。ところで、あなたは、どのような健康法を毎日、実践しているのでしょうか。
・現在、アメリカはビジネス文化では、世界の先頭を走っているといわれております。さまざまなビジネス文化、ライフスタイルがアメリカから流れ込んできています。現在、アメリカではやっていることを日本に10年遅れて導入すれば、成功するとも言われてきました。その期間もだんだん短くなってきているようです。私たち一般人は、アメリカ社会やビジネス風俗社会などは詳しく知りません。現在でもやはり、さまざまな面で日本式とアメリカ式では大きく違ってきているようです。その違いの大きさは、体験しないと分からないので驚きです。
・夫が死ぬまで働くということは、妻である女性にとって嬉しいことだそうです。「アメリカには定年制度はない」と聞いても、私たち一般人は、詳しくはアメリカの労働制度・慣習や労働事情を知りませんが、新鮮な驚きを感じたものでした。職業について詳しく研究している人の本を読めば、人生にとって面白いことがわかるようです。働くということは適度な運動にもなり、健康にもよく、結果的に働き続けるということは長寿になるようです。なんとか「天職で天寿をまっとうしたいものです」。しかし、ガンや脳梗塞で寿命が短い人も多く、現代は両極端になっていく傾向があります。
・ネットで見てみると『定年制度、アメリカには定年制度はない。公務員、会社員にかかわらず定年制度はない。したがって定年は本人が決める事であって、何の制約も受けない。定年とは永久退職であるから、退職後の連邦政府や会社から支給される恩典を考慮しなければならない。ちなみに遺族年金制度は存在しない。連邦政府からの恩典は社会保障金 (Social Security Benefit) であるが、満額受給には満 66 才が条件で、しかし申請をしなければならない。然るにアメリカでは 66 才が定年年齢 と言われている。妻(配偶者)は就業暦の如何にかかわらず、夫の受給額面の半額が恩典となる。解釈によっては、これは遺族年金に類似するが、夫の生死に関係なく、妻が 62才になるまでは受給の資格は得られない』ということだそうです。米国の年金制度についてもいろいろあるそうですが、私は詳しくは知りません。
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「神の国か?」「人類の原郷か?」 「天上のエルサレムか?」・・・・・・・・・
「パラレル・ワールドに住む宇宙人、天国に出入りし転生と憑依を自由に操るシリウス星人の殖民星が、地球か?」、「ネガティブのシリウス星人の地球支配があまりにも巧妙なので、しょっちゅう戦争が起こるのだろうか?」
「金髪碧眼のノルディックが住んでいたアガルタのシャンバラ情報の集大成を目指す・・・・・・・・・・」「金星蛇人と火星霊人の戦争はその後どのように展開したのだろうか」
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