日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

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私たちの体の中にはおよそ9万6000キロメートルもの血管が張り巡らされ、これは地球を2周以上する距離に当たります(1)

 

『塩分が日本人を滅ぼす』

本多京子  幻冬舎新書 2016/1/29

 

 

 

健康寿命

・健康上の問題がない状態で日常生活を送ることのできる「健康寿命」こそ、幸せな長生きの基本です。病気を抱えて長生きするのではなく、健康で元気に年をとりたいもの。それには減塩が必須です

――そんなことはもう知っている、と言う人が多いかもしれません。でも、本当の塩の怖さを、日本人はまだまだわかっていません。「塩は万病のもと」なのです。

 

脳梗塞心筋梗塞、がんなどの深刻な病気も、その原因をたどると、「塩分の過剰摂取」が一因と言ってもおかしくありません。また、塩分の過剰摂取が原因とされる腎臓疾患もあります。腎臓は一度機能が壊れると修復はできない臓器なので、しっかり予防しないと大変なことになります。

 

<減塩>

・減塩が叫ばれるようになってずいぶん経ちました。たしかに減塩に対する意識が高まり、減塩レシピの本もたくさん売れています。にもかかわらず、まだまだ日本人は塩を摂りすぎています。2015年4月、厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」が5年ぶりに改訂され、塩分摂取量の目標値が男女とも下がりました(男性は1日9グラム未満から8グラム未満に、女性は7.5グラム未満から7グラム未満に)。それでも、世界的に見るとWHO(世界保健機関)の定める基準値(1日5グラム未満)より多いのです。塩分が必ずしも高血圧の原因になるとは限らないから気にしなくてもよいという学説もありますが、これを見る限り、日本の基準がまだまだ甘いことはたしかです。

 

・すべて自分で料理するしかなかった昔は、塩は「見えて」いましたから、どれくらいの分量をいつどこで使っているかわかっていました。ところが、現代の食生活において、塩は「見えなく」なってしまっています。これで、現代人に知らず知らずのうちに塩分過多に陥りがちなのです。

「見えない塩」を意識することが、減塩の第1段階として、最も大切なことです。

 

<ピザには塩分も脂肪分もたっぷり含まれています>

・父もそうでしたが、高齢者になれば食事に気をつかって塩分や油を控えるようになります。病人ならば、なおさらさまざまな食事制限を受けています。そういう人たちが、最期に欲求を爆発させるとピザに行き着くのかもしれません。

 私の母は血圧が高めだった父の健康のために、さまざまな減塩の工夫をしていました。だから、私は幼い頃から薄味に慣れていますが、父は塩味が強いものを食べて育ってきたようです。そのためか、若い頃から腎臓に持病を抱えていました。

「漬け物にも醤油をかけたい」と言う父に、母は、しょっぱい漬け物の代わりに大根の甘酢漬けなどを常備して食べさせていました。

 

健康寿命を延ばすためには、「食べすぎない」と「塩分を控える」>

・元気で長生きして、あるとき苦しまずに逝く「ぴんぴんころり」は、いつの時代も私たちの理想です。

 しかし、このぴんぴんころりは、そう簡単にできることではありません。

 勘違いしてはならないのは、「好き放題のめちゃくちゃをやっていた人がある日、突然亡くなる」ことをぴんぴんころりと言うのではないということです。

 それに、好き放題に暮らしていた人は、ある日、突然倒れることはあっても、要支援や要介護になり、そのまま亡くなるとは限りません。

 こうした好きなものを好きなだけ食べていた人は、たいていメタボで血管系疾患を抱えています。ある日、突然、心筋梗塞脳卒中の発作を起こし、そのまま亡くなる人もいます。しかし、それはどちらかといえば少数派で、緊急医療の発達した今は多くが助かります。助かるけれど後遺症を抱え、介護が必要になります。

 だから、ぴんぴんころりでなく「ねんねんころり」、つまり長く寝たきりでいてから亡くなることが多いのです。

 

・寝たきりにならずに自立して生活を送れる健康寿命を延ばすために、なにが必要かについては、もはやあなたは言われなくてもわかっているでしょう。

メタボややせからの脱出。

タバコを吸わないこと。

適度な運動習慣。

質のいい睡眠。

ストレス解消。

そして、なによりも大事なのが、1日3度の食事です。

 

・食事について、普段からうるさく言われるのが「食べすぎるな」ということです。

 

・一方、塩分摂取量については、塩分の摂りすぎがすぐに高血圧を招く人と、そうでない人がいたり、「見えない塩」を摂っている自覚がない人が多く、指導する側もされる側も、どうしても曖昧になってしまいがちです。

 

<塩分過剰は細胞をダメにする>

・では、塩は私たちの体にどういう作用をするのでしょう。

 もともと私たちの体の中には、塩分(塩化ナトリウム)が含まれています。体重60キログラムくらいの成人で約200グラムくらいとされています。食塩は、命をつなぐために必須のミネラルだからです。

 私たちの体の部位や臓器は、すべて細胞からなっています。その数、およそ60兆個と言われています。

 そして、体内組成の60%は水分で、そのうち3分の2が細胞内にあり、「細胞内液」と呼ばれます。

 

・そして常に、細胞外液と細胞内液は浸透圧によって濃度が一定に保たれるようになっています。

 細胞外液のナトリウムが多くなりすぎると、ナトリウムは骨に吸収され、細胞内液に多くなりすぎると、外へナトリウムを排出してカリウムを取り込んで、浸透圧を一定に保ちます。

 

・必要以上の塩分を摂ってしまうと、血液や細胞外液のナトリウム濃度が上がります。すると、浸透圧を調整するために、喉が渇いて水を飲みたくなり、水分が取り込まれ、むくんでしまいます。

 もちろん、健康なら、私たちに備わっている腎臓のろ過装置によって、そんな状態は長くは続きませんが、塩分の過剰摂取が細胞にダメージを与えることはわかるでしょう。

 

<むくみはなぜ起きるかがわかると、むくみの怖さがわかる>

・さて、塩分過剰の危機的状況において、私たちの体にどんな変化が起きるでしょう。「水が欲しい」と感じます。しょっぱいものを多く食べると喉が渇くのは当然なのです。

 ここで水をたくさん飲むと、たしかに喉の渇きは癒されます。しかし、細胞外液や細胞内液にその水分が引き込まれるために、むくみが起こります。さらに血管壁がむくみ、血流が多くなることが高血圧を招きます。

 

・そもそも、一時的にであっても「むくむ」というのは、水分が停滞しているという根本的な体の不調サインなのです。

 

<腎臓病と塩分—―腎臓の機能は一度失われると、回復は不可能>

・腎臓は、空豆のような形をした臓器で、130~150グラムほどのこぶし大のものが背中側の腰よりやや上に左右ひとつずつあります。

 なんとなく地味な印象を持たれますが、実は「肝腎要」と言われるように、命に直結した大切な臓器です。体内の水分量の調節のほか、血液のろ過という重要な役割を担っています。

 心臓と腎臓は密接にリンクしていて、どちらか片方が悪くなると一方も弱る傾向にあります。実際に、慢性の腎臓病の患者さんは、健康な人に比べて約2倍の確率で心筋梗塞にかかると言われています。

 腎臓病を引き起こす原因はさまざまあり、糖尿病や高血圧はその関与が明らかです。また、ある種の感染症などによって引き起こされることがわかっています。

 さらに、日常生活における腎臓への負担が挙げられます。なかでも食生活は深く関与しており腎臓に負担をかけるのは塩分とタンパク質です。

 

・腎臓では1日におよそドラム缶1本分の150~200リットルもの血液がろ過されていますが、実際に体外へ出される尿は約1.5リットルほど、ほとんどは再吸収されて血液中に戻ります。この作業によって、血液の状態が良好に保たれます。

 このとき、血液中のナトリウムが過剰であれば、それをせっせと体外に排出させ、ミネラルをベストバランスに整えます。

 とはいえ、それは腎臓にとってはラクなことではありません。

 

・やっかいなのは、自覚症状がないままゆっくりと悪化することの多い慢性腎不全の場合、腎臓の機能が一度失われると、たいていの場合回復は不可能だということです。もともと腎臓は、とても働き者で、その機能の8割方が失われるまで自覚症状はありません。そして、だるさやしつこいむくみ、食欲不振といった症状が現れたときには、相当、進行しています。

 腎臓の働きが弱ってきた当初は、尿を約200リットルから約1.5リットルに濃縮できなくなって、体外に排出される量が多くなります。

しかし、もっと症状が進むと尿をつくる能力自体が落ちるため排出される尿量は減り、やがてまったくゼロになります。

 腎臓の働きがすっかり落ちて老廃物(尿素)の処理ができなくなれば、体内で代謝の結果つくられた老廃物(毒素)が体中に回って尿毒症となり、それを放置すれば命を落とします。

 そこで人工透析によって、血液をろ過する必要が出てきます。

 

・1回の透析に4~5時間を要し、それを週に2~3回行います。それを一生続けることになるので生活の質はかなり落ちてしまいます。

 今はまだ音を上げずに働いてくれている腎臓ですが、塩分過剰生活を放置していれば、どうなるかわかりません。

 

<血圧と塩分—―腎臓病と高血圧は深くリンクしている>

・日本人が治療を受けている疾患の中で、最も多いのが「高血圧」です。2010年の高血圧有病者数は約4300万人で、国民健康・栄養調査(2010年)によると、30歳以上の日本人男性の60%、女性の45%が高血圧と判定されています。

 治療を受けていない、そもそも気づいていない人も含めたら、相当な数の高血圧患者がいると思われます。

 

・高血圧には、大きく2つの種類があります。患者数は少ないですが、「2次性高血圧」または「続発性高血圧」と呼ばれるものは原因がはっきりしています。腎臓病や糖尿病といった、背景になる病気があるために、血圧が高くなるものです。そして、その原因となる病気は、腎臓にあることがほとんどです。

 もともと腎臓には、塩分と水分の排出量を調節する働きが備わっています。腎臓が弱ると、その調節が利かなくなり血圧が上がってしまうのです。

 一方、患者数が多いのが「本能性高血圧」です。こちらはもっぱら生活習慣によって引き起こされます。

 

・私たちの体の中にはおよそ9万6000キロメートルもの血管が張り巡らされ、これは地球を2周以上する距離に当たります。体の隅々にまで毛細血管が張り巡らされていて、そこに送られる血液によって酸素や栄養が全身に行き渡るようになっています。

 糖尿病患者の手先や足先などに痛みや痺れが起きたり、やがて壊疽を起こすのは、高血糖によって毛細血管の血流が悪くなり、酸素や栄養が届かなくなるからです。

 

・また、侮れないのが腎臓に対するダメージです。腎臓には毛細血管がびっしりと張り巡らされています。その毛細血管をぼろぼろにしてしまう一番の原因は糖尿病ですが、高血圧もまた、悪い影響を及ぼします。

 

<腎臓病と高血圧は強くリンクしている>

<血管と塩分—―塩分の過剰摂取で動脈硬化に>

・高血圧が怖いのは、それを繰り返しているうちに血管がダメになるからです。

 

・「人は血管から老いる」と言いますが、年齢を重ねると誰でも血管が老化していきます。

 

 

 

『人は血管から老化する』

池谷敏郎  青春新書  2015/12/2

何歳からでもすぐに効果が表れる!食・運動・暮らしの習慣

 

 

<人は血管から老いる>

<コブができた自分の血管>

・どんな頑固な患者さんでも、目の色が変わるのが、コブができた自分の血管の画像をお見せしたときです。

 

・さて、あなたは、ちょっと階段を上っただけで息切れする。いつもどおり寝たはずなのに疲れが取れない。鏡に映った自分の顔を見て、軽いショックをうける。なぜだか分からないけど、妙に体が冷える。

………こんなふうに、ふとしたとき、「年のせいかな」と思うことがありませんか?じつは、不調や病気は、年のせいというより「血管のせい」であるケースが多いのです。

 

<出張、移動の多い人は「選べる食事」でひと工夫を>

・そして、もう一つは、食事。出張や移動が多い人は、外食が多くなり、食事のバランスが乱れがちです。

 手っ取り早い一皿・一杯メニュー(パスタ、うどん、そば、ラーメン、丼ものなど)でついすませがちかもしれませんが、なるべく「自分で選べる食事」を選択してください。たとえば、小さなおかずを選べる定食屋さんを探すとか、コンビニでお弁当だけではなく、サラダとおかずを買うとか、あるいはビュッフェレストランもおすすめです。

 

<どういうものを選ぶべきか>

・「なんちゃって糖質制限」で、ごはんやパンなどの主食は今までの3分の2くらいに

・野菜をしっかり食べる。目標は1日400グラム以上

・減塩を意識する。1日8グラムに

・オメガ6系脂肪酸を控えて、オメガ3系脂肪酸をとる。ローストアマニを持ち歩こう!

・アルコールは適量を守る

 

<妊娠中は血圧ケアを、産後は“ながらエクササイズ”を>

・妊娠中は、普段以上に血圧の管理が大切です。妊婦健診で必ず血圧を測定するのは、それだけ大事だということです。なぜなら、妊娠中に血圧が高いと、赤ちゃんの発育が悪くなることがあるのです。

 妊娠中は、胎児のために血流量がおよそ1.5倍に増えます。流れる血液の量は増えるのに、血管は同じだったらパンパンになってしまいますよね。そのため、通常は血管がしなやかに広がり、血圧が上がらないようになっています。ところが、なかには血管がしなやかに広がらず、血圧が上がってしまう人がいます。

 

<熟睡できないと動脈硬化が起こりやすくなる>

・なぜなら、人は、体温が下がったときに眠くなります。よく「寝る前にぬるめのお風呂に入るといい」と言いますよね。それは、入浴によって一旦上がった体温が下がっていくと、熟睡しやすいからです。

 

・こうしたしなやかに開く血管が、熟睡するには必要。逆に言えば、熟睡できないという人は、血管がしなやかさを失っている危険性大です。

 ところで、「冷え性で寝つきが悪いから」と、電気毛布をかぶったり、靴下を重ねばきして布団に入っていませんか?

 そうすると、熱を逃がせず、深部体温が下がらないので、かえって眠りが浅くなってしまいます。

 

<高血圧、動脈硬化、がん、認知症………>

・ここで、老けやすい人のタイプをいろいろと紹介してきました。最後に、なかでも直接あなたの血管を老けさせるものを紹介しましょう。

 それは、「喫煙」「高血圧」「脂質代謝異常」「高血糖」の4つです。

 これら4つのなかでも、自らがまねく最大のリスクファクター、かつ絶対的悪のエースが「喫煙」です。タバコが健康に悪いのは、もはや言うまでもありませんよね。

 なぜ、良くないのかと言うと、タバコの煙に含まれるニコチンは、体内に入ると血管を収縮させます。そうすると、血圧と心拍数が上昇し、高血圧や動脈硬化を引き起こすのです。

 

・それだけではありません。タバコを吸うと、快感や多幸感を呼び起こす「ドーパミン」というホルモンが脳内で分泌されるのですが、これは見せかけのリラックス状態で、実際には交感神経が緊張し、体は強いストレスを受けることになります。その強いストレスが、血管を狭め、硬くし、さらに高血圧や動脈硬化を助長してしまうのです。

 その結果、引き起こされる事態はかなり深刻。タバコを吸う人は、吸わない人に比べて、狭心症心筋梗塞を起こすリスクが約3倍高まることがわかっています。1日に20本以上吸う人は、心筋梗塞を起こすリスクが約3倍高まることがわかっていますし、1日に20本以上吸う人は、心筋梗塞による死亡率が1.7倍も上がるのです。

 

・喫煙が老化させるのは、血管だけではありません。タバコの煙に含まれるタールは発がん性が高く、タバコを吸う人は肺がんや咽頭がん胃がんにもなりやすい。認知症のリスクも高まります。さらに、喫煙は全身の細胞を急速に酸化させて、老化を進めるので、シミやシワが増えたり、歯が抜けたり、見た目の老化も進んでしまいます。

 

<「年齢+90mmHgまではOK」は昔の話>

・2つめの悪の要因は、「高血圧」です。

 高血圧の悪影響については、これまでの話のなかにもたびたび登場しています。ストレスが多いと血圧が上がって血管や心臓に負担をかけるとか、睡眠の質が悪いと高血圧を招いて、動脈硬化を進める………とか。

 改めて、血圧とは何かと言うと、心臓から送り出された血液が、血管の壁を押し広げる力のことです。高血圧が続くということは、血管の壁が強く押され続けているということ。

 

・「血圧がやや高いな」と気づいたときに対処すれば、こうした負のスパイラルに入る前に抜け出すことができます。

 ところで、血圧に関して、間違った説を信じている人も結構います。

 たとえば、「上の血圧と下の血圧は離れているほうがよい」。これ、まったくの誤解です。誤解どころか、真実は逆です。

 高血圧の場合、上の血圧と下の血圧が離れているほど、幹の部分である大動脈が硬くなったことを意味しています。「上の血圧・下の血圧」(脈圧と言います)が60mmHg以上の人は要注意です。

 また、「上の血圧は『年齢+90mmHg』までは問題ない」という説をいまだに信じている人もいますが、これは一昔前に言われていたこと。現在の医学では、すでに否定されています。

 

<「コレステロールが高いほど長生き」は大間違い>

・血管を老けさせる、3つ目の要因は「脂質代謝異常」です。以前は、高脂血症と呼ばれていました。一般の方には、高脂血症という名前のほうがわかりやすいかもしれません。

 脂質代謝異常とは、脂質のなかでも“悪玉”と呼ばれる「LDLコレステロール」、「中性脂肪」が多すぎる。または“善玉”と呼ばれる「HDLコレステロール」が少なすぎる状態のことです。

 

・悪玉のLDLコレステロールは、肝臓から全身へコレステロールを運ぶ役割を担っていますが、増えすぎると余分なコレステロールを血液中に置いてきぼりにしてしまいます。善玉のHDLコレステロールが、この置き去りにされたコレステロールをせっせと回収して肝臓に戻してくれるのですが、量が多すぎると回収しきれません。

 

・一方、中性脂肪のほうはどうかと言えば、中性脂肪が血液中に増えると、善玉のHDLコレステロールが減ってしまいます。どうじに、悪玉のLDLコレステロールが小型化して、血管の壁に入りやすくなってしまう。そうすると、ますます動脈硬化が進みやすくなります。さらに、余った中性脂肪自体も変質して、血管の壁に入り込み、血管にできるコブの材料になります。

 最近では、「コレステロール値が高いのは問題ない」「コレステロールが高いほど長生きする」などと発信する医師もいて、「そうなの?」と疑問に思った方もいるでしょう。

 

・確かに、悪玉と呼ばれるLDLコレステロール中性脂肪も、それぞれに役割を持っていて、必要な成分であることは間違いありません。コレステロールは細胞膜や胆汁酸(脂肪の消化吸収を助けるもの)、ホルモンの材料になりますし、中性脂肪には脂肪として体内に留まり、貯蔵用のエネルギーになったり、体温を一定に保つ、外部からの衝撃を和らげるといった働きがあります。

 

<食後高血糖で、すでに血管にはダメージが………!>

・最初のうちは、食後だけ血糖値が高い「食後高血糖」という状態で、さらに進むと空腹時まで血糖値が高くなり、りっぱな糖尿病に。

 ただし、血管への悪影響は、糖尿病になる前の食後高血糖の段階からすでに始まっていますから。注意が必要です。

 

・そもそも、なぜ高血糖が体に悪いのでしょうか?

 血液中に余った糖質は、タンパク質と結びついて、「終末糖化産物」と呼ばれる物質に変わります。これが、体にとってもとてもよくない。

 

<血管力セルフチェック>

<チェック項目>

・腹囲が男性で85cm、女性で90cm以上        リスク度1

・日頃歩くことが少ない                リスク度1

・満腹になるまで食べないと気がすまない        リスク度1

・生活のリズムが不規則                リスク度1

・完ぺき主義でイライラすることが多く、人には負けたくない

リスク度1

・階段や坂を歩くのがつらい              リスク度1

・下肢の冷えやしびれを感じる             リスク度1

・親兄弟に心臓病や脳卒中になった人がいる       リスク度1

・現在タバコを吸っている               リスク度3

脂質異常症と診断、またはその傾向ありと指摘されている

                           リスク度3

・高血圧と診断、またはその傾向ありと指摘されている  リスク度3

・糖尿病と診断、またはその傾向ありとしてきされている

                           リスク度3

<判定  >

リスク度合計0~2  (めやす)血管力は正常と考えられる

リスク度合計3~5  (めやす)血管力は低下している可能性がある

リスク度合計6以上 (めやす)血管力は低下している可能性が高い

 

 

 

『歩く人。』 長生きするには理由がある

土井龍雄、佐藤真治、大西一平  創英社/三省堂書店   2013/6/20

 

 

 

<健康に長生きする人>

・正しく歩きつづけることで、いつまでも健やかに暮らせます。歩くことは、健康増進や生活習慣病予防に役だちます。

 

<歩くことの大切さを科学的に検証する>

<データが示した「よく歩く人は長生きする」>

・私が積極的にみなさんに、歩くことをすすめるようになったのは、ある論文との出会いがきっかけでした。

 それは、私の恩師(矢野勝彦先生)が関わった論文で、ハワイに移住した日系人707人を対象に12年間、彼らの健康状態を調査したものでした。驚くことに、日ごろからよく歩いている人と、あまり歩いていない人の死亡率に、なんと倍以上の差が出ていたのがわかったのです。

 1日に歩く距離が、1マイル(約1.6キロ)未満とほとんど歩かない人と、1~2マイル歩く人、2~8マイルと比較的よく歩く人の3タイプに分けて、12年間追い続けて調査した結果が表1です。

 2年目を過ぎるあたりから、ほとんど歩かない人の死亡率は高くなり、4年目を過ぎると、よく歩いている人の死亡率が明らかに低くなっていることがわかります。

 

・1マイルを歩くのに20分かかると考えると、1日に20分以下しか歩いていない人の死亡率は、6年目で約18%、12年目で約43%でした。一方、1日に40分以上歩いている人は、6年目で約9%、12年目で約21%と、あまり歩いていない人とは2倍以上の差があることがわかったのです。この結果は、歩くこと以外の因子を加味しても同じだったと述べられています。

 論文では、死亡率に大きな差が出た要因として、よく歩いている人は動脈硬化の進行が抑制されていたことを指摘しています。動脈硬化の進行が抑えられると、心筋梗塞脳卒中などの慢性疾患である生活習慣病が予防できます。その結果、死亡率が低く抑えられたのです。

 

<動脈を鍛えて動脈硬化の進行を抑制する>

・私は、心臓病や糖尿病の運動療法に長くたずさわっています。この経験から確証を得たことは、“運動は動脈硬化の進行を抑制し、生活習慣病を予防できる”ということです。

そしてそこには、3つのメカニズムが働いています。

 ひとつは、「動脈そのものに対する効果」、それから「筋肉に対する効果」、そして「自律神経に対する効果」です。

 ひとつずつ説明しましょう。まず、「動脈そのものに対する効果」です。

 もともと運動が動脈硬化の危険因子(糖尿病、高血圧、肥満等)を改善することは知られていました。最近になって、これらに加え、血管内皮細胞に対する効果が注目されています。

 

動脈硬化の進み方にはいくつかのパターンがありますが、いずれの場合もファーストステップは血管内皮細胞の機能の障害です。すなわち、血管内皮細胞の障害を抑え、その機能を保持することができれば、動脈を動脈硬化から守ることができるのです。

 血管内皮細胞の機能を鍛え、保持するのに効果的だといわれているのが、歩くこと、運動することです。

 その理由を、具体的に説明しましょう。

 運動をすると血流が盛んになります。この血流の変化により、血液が血管をこする物理的な力が働きます。この力を「ズリ応力」というのですが、この「ズリ応力」が血管内皮細胞を刺激し、その機能を鍛えるのです。

 

・若いうちは、血管内皮細胞の機能は運動をしなくても保たれています。歳をとるごとにどんどん機能は低下していきますが、定期的に運動をすることにより、血管内皮細胞の機能は若者と同等に保たれます。歩くことで、血管内皮機能が若者並みに保たれるというのは、とても魅力的ですよね。

 この「ズリ応力」、血管内皮細胞を鍛える以外にも、別のメカニズムを介して動脈硬化を改善します。

 血管内皮細胞の機能が弱まると、血管内に脂の侵出を許してしまいます。血管内に入った脂はプラークという炎症を伴う固まりになり、これが破たんすると血栓が生じます。心筋梗塞脳梗塞は、この血栓によって動脈が詰まることが原因です。

 

・実は、運動によって生じる「ズリ応力」は、この血管内のプラークを小さくすることも期待されています。ある糖尿病患者さんは、ほぼ毎日4キロメートル歩くことで、プラークを小さくすることができました。同様の効果は、心筋梗塞後の患者さんでも観察されています。

 

「ズリ応力」は、血管内皮細胞を鍛えるだけでなく、血管内の脂の掃除もしてくれる頼もしい味方です。

 

ミトコンドリアを活性化させ糖尿病を予防する>

・次は「筋肉に対する効果」です。

 ご存知のように、運動は筋肉の形態や機能にさまざまな作用を及ぼしますが、ここでは筋肉細胞内に存在するミトコンドリアに対する効果について解説します。

 ミトコンドリアというのは、われわれの身体の60兆の細胞一つひとつすべてに存在している小器官で、発電工場のような働きをしています。そして特に、筋肉細胞内には多く存在します。

 われわれは酸素を取り入れて、脂肪や糖質からエネルギーを得るのですが、そのエネルギーを生みだす役割を果たしているのがミトコンドリアです。生命活動を維持するのに、なくてはならない存在です。

 このエネルギーを生みだす発電機能がしっかり働けば、充分な活力が生み出されますが、機能の働きが悪くなると、さまざまな弊害が生じます。

 

・例えば、ミトコンドリアの機能が低下すると、エネルギーの素となる脂肪が消費されにくくなります。

 消費されない脂肪は行き場を失い、筋肉の中に留まりはじめます。脂肪が蓄積されてくると、筋肉は本来の機能である、糖質を蓄えるという機能が鈍くなってきます。

 すると、筋肉に取り込まれなかった糖質が血液中に長くとどまることになり、それが高血糖、ひいては糖尿病の原因となります。

 

・このようなエネルギーの流れの停滞が起こらないように、ミトコンドリアの機能を高めるにはどうしたらいいのでしょう。実はこれも、歩くことや運動することが有効なのです。

 より効果的にミトコンドリア機能を高める運動の方法(歩き方)についても研究が進んでいます。

 なかでも、強い運動と弱い運動を交互に繰り返す、インターバルトレーニングは、有力な候補です。研究成果がまとまるのは、しばらく先ですが、ブラブラ歩くのではなく、ゆっくり歩いたり早足で歩いたり、高低差のあるところを歩いたりすることは、試してみる価値があると思います。

 

<歩くことで自律神経のバランスも整う>

・そして3つ目は「自律神経に対する効果」です。

 自律神経は、交感神経と副交感神経から成り立っています。自律神経はこのバランスをとることが大切だといわれていますが、歩くこと、運動することによってバランスが整えられます。

 イライラが続いたり、ストレスを強く感じたりすると、交感神経が優位な状態になります。適度に運動をしてリラックスした状態になると、副交感神経が優位にシフトします。副交感神経が優位になると、心拍はゆっくりとなり、心拍数が減ると、心臓にかかる負担も減ります。

 哺乳類は、どの動物も一生涯に打てる心拍数は20億回という説があります。副交感神経が高くなり、心拍数が下がると、長寿に繋がるかもしれませんね。

 また、われわれの心拍というのは一定の秩序をもってゆらいでいます。心臓は、安静時「ドキン・ドキン・ドキン」と一定に打っているようですが、厳密には早くなったり遅くなったり、規則性をもってゆらいでいるのです。

 この心拍のゆらぎは、副交感神経が優位な人ほど大きくなっており、交感神経が優位な人では小さくなっています。

 

・心拍のゆらぎは、よく運動している人は大きく、あまり運動していない人は小さいのですが、ゆらぎが大きいほうが長生きできることもわかっています。

 自律神経は免疫にも関わっています。副交感神経が高ければ、免疫力が増すことはよく知られていることです。

 太っている人は、自律神経のバランスが悪いことが指摘されています。メタボ傾向にある人は、エネルギー消費のためだけでなく、自律神経のバランスを整えるために歩くこと、運動することも意識してほしいですね。

 

認知症の予防にも期待>

・冒頭で紹介した、ハワイに移住した日系人を調査し続けた同じグループが、同じ対象で認知症を追跡したデータが、近年報告されました。これをみると、よく歩くことが、認知症の予防にもなることがわかります。

 脳血管性認知症アルツハイマー認知症をあわせた認知症全体では、0.25マイルとあまり歩いていないお年寄りよりも、2マイル歩いている人のほうが、約2倍リスクが低いことが示されています。興味深いことに、その傾向はアルツハイマー認知症において顕著でした。データからわかるのは、よく歩いている人は、歩いていない人よりも、2.24倍アルツハイマー認知症のリスクが少ないということです。

 日本人にはこれまで、脳血管性認知症が多かったのですが、今後、アルツハイマー認知症が増えるとの予想もあります。

 アルツハイマー認知症になってしまうメカニズムも、最近やっと輪郭がつかめはじめていますが、予防することを考えると、歩くことの大切さが注目されることは間違いありません。

 

<身体に負担のかからない歩き方を身につけよう>

・歩くことの効能がいかに多くあるかを、運動療法の専門の立場から述べてきました。ただ最後にお伝えしたように、人それぞれ体力や状況が異なりますので、くれぐれも無理をしないで、歩いてほしいと思います。ずっと歩き続けることで、みなさんが健康になり、長生きをしてほしいと心から願っています。