日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

コンタクティやチャネラーの情報を集めています。森羅万象も!UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象といわれます。

エイリアンの来訪が何か邪悪な目的のために政府によって隠蔽されていると主張するのであれば、その人は陰謀論に与していることになる。(1)

 

 

 

(2022/12/17)

 

 

陰謀論 入門』

誰が、なぜ信じるのか?

ジョゼフ・ユージンスキ 作品社  2022/4/28

 

 

 

多くの人が、アメリカ人はだれよりも陰謀論を信じやすいと非難する。たしかに、アメリカはいろいろな面で例外的な国であり、それを自認するアメリカ人も多いが、陰謀論を信じることは、その中には含まれない。その点においては、われわれはごく平凡なのだ。

 

陰謀論はなぜ重要か

・2018年以降、アメリカはインタ―ネットに厳しい制限を導入しており、これは巨大な(しかしおおむね架空の)性的人身売買組織に対抗するためだとされている。FBIは数年前、「Backpage.com」という、顧客と安全に連絡を取りたいセックスワーカーが多く利用するサイトを押収している。政府は、児童性的人身売買を助長したとしてバックページを告発した。実際には、(1)そうした証拠はほとんどなく、(2)バックページはFBIによる性的人身売買の調査に積極的に協力していたという事実ににもかかわらずだ。こうした児童性的人身売買にかかわる信念の中には、ピザゲートやQアノン理論のようなより極端な陰謀論と結びついて、大規模な児童性的人身売買組織が政府高官によって運営されていると主張するものもある。性的人身売買集団をめぐるこのような陰謀論は、(1)ただでさえ弱い立場にあるセックスワーカーの状況をさらに悪化させ、(2)人身売買業者が大規模な性奴隷事業や児童誘拐を積極的に行なっているという不正確な認識を世間に植え付け、(3)権力側に大々的な権利侵害を行なわせ、(4)個人の集団が、想定される(ときには架空の)人身売買業者に対して嫌がらせや暴力的な威嚇を行なう動機となってきた。アメリカ国内に性的人身売買が存在することは間違いないが、これは阻止しなければならない)、それに関連する政府の発表には入手可能な証拠以上の内容が含まれており、パニックを引き起こしている。そしてついには、権利の侵害が起こるようになった。

 

・2017年、ジェームズ・ホジキンソンは、練習に励んでいた米議会議員の野球チームを襲撃し、共和党下院議員スティーヴ・スカリら数人に向かって発砲した。ホジキンソンを焚き付けたのはどうやら、反トランプ陰謀論だったようだ。2018年には、凶悪な性的人身売買組織にまつわる陰謀論に刺激された男性の武装集団が、性奴隷となった子供と人身売買業者を探すために、アリゾナ州の砂漠でパトロールを始めた。件の凶悪な性的人身売買組織は今に至るまで捕らえられていないが、この集団によると、決定的な証拠はすでに見つかっているということだ。

 

誤解の多いトピック>

・学者たちの努力により、陰謀論については多くのことが明らかになっており、本書では、現在われわれの知識がどこまで広がっているかを詳細に説明していく。

 

陰謀論は以前よりも広く支持されている/陰謀論は増えている

また、「今」が陰謀論の全盛期だという主張はまるで正確さを欠いている。記者たちはどうやら、陰謀論の数と、そうした説を信じる人の数と、そうした信念が社会の中でどれだけの存在感を持っているかという論点を混同しているように思える。

 

陰謀論とは極端なもの

・ジャーナリストはとかく、陰謀論とは極端な意見であるとか、極端な政治的イデオロギーの信者たちが唱えるものであると説明しがちだ。たとえば、ニュースキャスターの解説者は、Qアノン陰謀論――小児性愛者からなるディープステート(正当な政府の裏で権力を行使する闇の政府)が、トランプ大統領への妨害工作を行なっているという主張――について、よくそのような言い方をする。

 

陰謀論を信じるのは精神的病んでいる人

多くのジャーナリストは、陰謀論は精神的な疾患の一種だとみなしている。偏執的、狂気の、妄想的なといった侮蔑的な表現が使われることもある。しかし、陰謀論を何らかの精神病理と結びつける証拠はほとんどない。

 

本書で取り上げる内容

・ここまでの内容でわたしが伝えたかったのは、陰謀論を学ぶことは重要であるということだ。

 

・わたしはきっと、この集団やあの集団の陰謀論を正当化している、ほんとうの陰謀を陰謀論と呼んでいる陰謀論者を侮辱している、有力者の広報係になっているといったそしりを受けるに違いない。そうした非難は陰謀論の研究においては日常茶飯事だ。

 

陰謀論

・これと同じように、ドナルド・トランプがロシアと共謀して2016年に大統領選挙を不正に操作したと主張する説は、ムラー報告書の公表以前には陰謀論であり、またムラーによる調査結果を考慮したうえでも、今後適切な認識論的権威によって報告書の内容が覆されない限りは、陰謀論であり続ける。

 

・「地球平面説」を支持する人たちは、知識を生み出す世界中の機関はほぼ例外なく全人類をだます大規模な詐欺に加担していると訴えている。

 

陰謀論を信じるとき、人はそれをひとつの説ではなく、事実として受け止めてしまいがちだ。陰謀論者はよく、自分たちの信念には証拠があるのだから、これは正当なものであると主張する。しかし、その証拠はあるいは、熱心な信者以外には説得力を持たず、とうてい関連分野の専門家を納得させられるようなものではないかもしれない。ディヴィッド・アイクは、数十年という時を費やして、古代から続く人間と爬虫類の支配種の血統が地球を支配しているとの陰謀論の研究に勤しんできた。アイクはこのテーマを取り上げた分厚い本を何冊も出版しており、そのすべてに具体的な証拠がここに示されていると書かれている。アイクの信者たちはこれに納得しているようだが、大半の人たちは、彼の言う証拠に何の感慨も抱かない。なぜなら、人はだれもが証拠を判断する基準を自ら定めるからであり、その基準はまた、対象となる陰謀論によって大きく変わりうる。

 

陰謀論やそれに類する言葉には偏見が付きものであり、陰謀論者たちはそれをよく知っている。たとえ自分の唱える見解が明らかに陰謀論とみなされるものである場合でも、“陰謀論者”と呼ばれたい人はそうはいない。だからこそ陰謀論者たちは、陰謀論という言葉は、JFK暗殺にまつわる陰謀論の信憑性を貶めるためのCIAによる陰謀の一環として作り出されたものだと主張してきたしかしながら、CIAがそうした計画に関与したことを示す証拠はほとんどないし陰謀論という言葉はケネディ暗殺のずっと前から使われていた。また、ケネディ暗殺陰謀論アメリカにおいてももっとも広く知られているもののひとつであり、もしCIAが造語によってそうした主張を抑え込もうとしたのであれば、それはまったくお粗末なやり方だったと言えるだろう。

 

反証可能性

・このように、陰謀論は、その誤りを証明することができないものだ。

 

・オバがマ大統領に就任すると、バーサー(バラク・オバマアメリカ生まれではないため大統領になる資格がないと考える人々)たちは、彼には出生証明書がないと主張した。オバマが簡易版の出生証明書を公表すると、彼らは原本でなければ意味がないと主張した。出生証明書の原本が公表されると、それはオバマが捏造したものだと主張した。どのような証拠も、頑固なバーサーたちの心を変えることはできなかった。なぜなら、不都合な証拠は理由をつけて排除され、反論は彼らの信念に何の影響も及ぼさないからだ。

 

ポスト真実の世界?

フェイクニュース、誤情報、偽情報は、とくに2016年のアメリカ大統領選およびブレグジット国民投票以降、重要なトピックとなってきた。

 

誤情報

・誤情報とは、見るからに誤りとわかる情報、あるいは人を誤った信念を受け入れるよう導くような情報のことであり、意図的にも非意図的にも広められる。

 

偽情報

・人を欺くという意図を持って、多くはプロパガンダという形態で広められる情報が偽情報だ。政府はときに、何らかの政治的目的のため、人をミスリードする運動を秘密裏に行なうことがある。たとえば合衆国政府の記録によると、ロシア政府は、2016年の大統領選に至るまでの数カ月間、偽情報を拡散するために動いていた。ロシアの活動の中には「2018年というごく最近に至るまで、合衆国内の不安や、さらには暴力まで煽る野心的な計画」も含まれていた。当然ながら、そうした活動に手を染めた国はロシアが初めてでも、唯一でもない。

 

フェイクニュース

フェイクニュースは2016年の選挙後に重要なトピックとなり、もっとも正確な定義としては「ニュースメディアのコンテンツの形式を提供した、捏造された情報」ということになる。フェイクニュースは、従来の報道機関に備わっていたファクトチェックや編集者による管理といった「情報の正確さと信頼性を確保する」ための規範をもって作られたものではない。

 

フェイクニュースの提供元は数多く、正規のニュースと区別がつきにくい。なぜなら、フェイクニュースの提供者は、権威があるように見せかけるために、従来の報道機関の形態を模倣するからだ。

 

・ここで指摘しておきたいのは、フェイクニュースという言葉は、政治関係者によって、正当なニュースに対して使われることも多いという点だ。

 

未確認動物学

・未確認動物学とは、動物に関する疑似科学的な研究のことであり、未確認動物学者の研究対象となるのは、生物学者によって実在が証明されていない動物である場合が多い。アメリカでもっともよく知られている例といえばビッグフットだろう。『ビッグフットを探して』、『ビッグフットを殺す』、『ビッグフットに賭けられた1000万ドルの賞金』など、この神話上の生物をテーマとして作られたケーブルテレビ番組は数多い。そうした番組ではしかし、実際のビッグフットやその証拠となるものが発見されたことは一度もない。「ビッグフットフィールド研究者協会」のような、目撃情報の追跡や標本の発見を目指して結成された活動歴の長い団体も、いまだにその目的を果たしていない。ビッグフットを見たという人は大勢いても、実物がここにいると示すことができた人は皆無だ。

 

・狩猟家たちからはこれまでにビッグフットの体毛と思われるサンプルがいくつも提供されているが、その大半は検査によってクマのものであることが判明している。また、ビッグフットのものかもしれないと言われた数多くの指紋からも、決定的な証拠は見つかっていない。多くの人が、自分の目でビッグフットを見たと証言しているが、分析結果はそうした目撃例はクマがすんでいる場所で発生していることを示唆しており、おそらくはクマをビッグフットと見間違えたものと思われる。

 

証拠がないにもかかわらず、ビッグフットを見たと主張する人の数が多いことからは、目撃談や個人的な証言はあまり優秀な証拠とはなりえないことがわかる。人は間違いを犯したり、妄想に陥ったりするものだ。記憶がまわりからの影響を受けたり、誤った記憶を作り出したりしてしまうこともある。

 

このほか、未確認動物学の対象となる生物としては、ヤギの血を吸うとされる小型の怪物チュパカブラがいる。目撃例はほぼ世界中に見られるが、おもにメキシコとラテンアメリカに集中している。怪物ネッシーは、スコットランドのハイランド地方にあるネス湖にすんでいると言われる。1933年に最初の目撃情報が公表されて以来、スコットランドの観光業に大きく貢献してきた。その後、ドラゴンや恐竜のような生物が写っているとされる写真は数多く撮影されたが、いずれも本物とは確認されていない。2003年に放映されたBBCのテレビ番組は、ソナービームと衛星追跡を用いた湖の徹底的な捜索を記録しているが、ネッシーの痕跡はいっさい見つからなかった。

 ビッグフット、チュパカブラ、湖の怪物は、それ自体が陰謀論というわけではない。

 

超常的な現象

・超常的な現象は、陰謀論にまつわる議論に含まれることも多いが、それ自体は陰謀論の定義を満たしていない。超常現象は「疑似科学の一部」ではあるが、「ほかの疑似科学との違いは、その現象について、確立された科学の境界を大きく超えているとされる説明に依存していること」だ。そうした現象とはたとえば、超感覚的知覚(ESP)、テレキネシス、ゴースト、ポルターガイスト、死後の世界、生れ変わり、信仰による癒し、人間のオーラなどを指す。これと対照的なのが、超常的ではない現象に対する疑似科学的な説明であり、同じように非科学的であっても、こちらは観測可能な現象に、無理矢理にではあっても何らかの説明をつけようとするものだ。

  

・ゴーストとは、生きている人が感じとることのできる死者の本質のことだ。ゴーストの存在を信じる気持ちは、信者の魂には死後、永遠の命が与えられるとする宗教的な教えにとっては都合がいい。ひとつ目の問題は、そもそも魂が存在するという証拠はなく、死後に魂が人のエッセンスをここではない別の領域、たとえば天国や地獄や、その他のどこかに異動させるという証拠もないということだ。

 

死後の命というのは、魅力的な概念ではある。自らの死を恐れている人、永遠に生きたいと願う人、愛する人を失うことに耐えられない人にとってはとくにそうだろう。人々は毎年大金を支払って、ジョン・エドワードや、テレビ番組『ロング・アイランド・ミディアム』に出演するテレサ・カプートといった霊媒師を通して、亡くなった家族とコンタクトを取ろうとする。しかし、そうしたチャネラーたちが、制御された科学的条件下において自らの能力を証明できたことはなく、彼らが行なう死者との“コンタクト”は、あの世とのつながりというよりは、豊富な経験に基づく推測、あるいは事前に調査による産物であるように思われる。このほかよく耳にする主張としては、リインカーネーション、信仰療法、体外離脱といったものがあるが、これらはいずれも制御された科学的条件下においては実証されえない。

 

・超自然的な信念は必ずしも陰謀論的な性質を持つものではないが、多くの陰謀論には超自然的な要素が含まれている。超自然的という言葉を、わたしは神、天使、悪魔、運命、因果といった自然でない力に関するという意味で使っている。たとえば「セイラムの魔女裁判」は、超自然的な要素を陰謀論に混ぜ合わせて、女性たちが悪魔と共謀していると非難したものだ。

 

・エイリアンを信じる気持ちは、その人がエイリアンをどのような概念だと考えているかによって、超自然的なもの、超常的なもの、そして疑似科学的なものに分けられる。エイリアンが地球を訪れて大勢の人々を拉致したと信じるのは、そうした証言は証明が不可能である以上、疑似科学である。一方で、宇宙のどこかにはおそらく何らかの生命体が存在するだろうと主張するのは、科学的な態度と言える。エイリアンの来訪が何か邪悪な目的のために政府によって隠蔽されていると主張するのであれば、その人は陰謀論に与していることになる。

 

まとめ

・用語の定義は常に重要だが、陰謀論を論じる際にはとくにそうだ。なぜなら、使用する用語によって、われわれがその理論にその程度の正当性を与えるかが示されるからだ。陰謀という言葉の使われ方はさまざまだが、本書においては、有力な個人からなる少人数の集団が、自らの利益のために公共の利益に反して極秘裏に行動していることを指す。そして陰謀論とは、有力な個人からなる少人数の集団が、自らの利益のために、公共の利益に反して秘密裏に行動した/行動している/行動するだろうという、信頼に足る証拠なく対象を非難する認識のことを指す。

 

ケネディ陰謀論への支持>

アメリカでもっとも安定した支持を得ている陰謀論といえば、おそらくケネディにまつわるものだろう50年以上にわたって、アメリカ国民の50パーセント以上が、この陰謀論のいずれかのバージョンを信じてきた。一部の世論調査では、ケネディ暗殺陰謀論を信じる人は80パーセント近くに達している。これはアメリカだけの現象ではない。たとえば2017年にフランスで行われた調査は、同国民の50パーセント以上がケネディ暗殺陰謀論のいずれかのバージョンを信じていることを示している。

 

・大半の調査では回答者に対し、陰謀あるいは隠蔽工作が行なわれたと思うかを尋ねている。このような質問に対しては、暗殺にまつわる何らかの陰謀説を信じてさえいれば、だれでも肯定的な答えを返すことができる。これに続けて、だれがケネディ暗殺の陰謀を企てたのかと尋ねれば、実にさまざまな答えが返ってくる。CIA、フィデル・カストロ、マフィアが関与していると考える人もいれば、わからないという人も少なくない。要するに、ケネディ陰謀論信念の標準的な測定結果とされるものは、いくつもの互いに相容れない陰謀論を信じている人の数を合わせたものだということになる。ふたつ目の理由は、JFK暗殺陰謀論があらゆる文化の中に浸透していたことだ。この陰謀の謎を解くことを目的として、数々の映画、TV番組、書籍が作られてきた。そうしたすべてが合わさって、ケネディ暗殺の陰謀信仰を再生産する文化を作り出している。ケネディにまつわる陰謀論を信じる人があまりに多いせいで若い世代は例外なく大人になる過程でそれらに触れる機会を持ち、陰謀信念が根付いていく。

 

異星人陰謀論への支持

・第ニ次世界大戦以降、アメリカ人は、異星人やどこか別の世界からやってきた存在に魅了されるようになった。そうした思い入れが生まれるきっかけとなったのが、1947年にニューメキシコ州ロズウェルに異星人が乗った宇宙人が不時着したとされる事件だ。数十年がたつうちに、この話は奇妙で、複雑に込み入った、陰謀めいたものになっていった。米軍は、ロズウェルの砂漠ではおかしなものは何も発見されなかったと繰り返してきたが、陰謀論者たちは、軍は異星人の宇宙技術、遺体、武器を回収したと主張している。この事実からは、陰謀論的な物言いは、地面の上に棒とアルミホイルがあるという程度のことで爆発的に広まることがわかる。

 

・たとえば、1997年のCNNにによる世論調査の結果は以下の通りだ。

 質問に回答した成人1024人のうち、4分の3近くが、自分はUFOを見たことがなく、見たことがある人も知らないと答えた一方で、54パーセントが、地球外に知的生命体が存在すると信じていた。回答者の64パーセントが、異星人は人類に接触したことがある、半数が、異星人は人類を誘拐したことがある、37パーセントが、異星人は合衆国政府に接触したことがあると答えた。

 

・これらは異常に高い数字であり、おそらくは世論調査にミスがあったか、この時期に人気を博していたTV番組『X-ファイル』の影響によって、異星人への興味が高まっていたものと考えられる。ひとつ重要な点は、調査の質問が一般的なものになるほど、引き出される同意のレベルは高くなるということだ。たとえば、宇宙のどこかに何らかの生命体が存在するかと聞かれた場合、これに同意するアメリカ人は約60パーセントにのぼる。しかし、より具体的な、たとえば、われわれに似た人間が宇宙のどこかに存在するかという質問をした場合、同意するアメリカ人は約40パーセントに過ぎない。異星人に拉致された、あるいは拉致された人を知っていると答えたのは、無視できるほどではないものの、ごく少数であった。

 

異星人の存在を信じる気持ちは、程度の差こそあれ、世界中に浸透している。2005年には、地球外生命体が過去のどこかで地球を訪れたことがあると思うかという質問に対して、アメリカ人の24パーセント、カナダ人の21パーセント、イギリス人の19パーセントが思うと答えている。欧州数カ国とアルゼンチンを対象に2016年に実施された世論調査は、回答者に「人類は異星人と接触したことがあり、この事実は一般市民から意図的に隠されている」という内容に同意するか、しないかと尋ねている。同意すると答えたのは、アルゼンチン人の25パーセント、ポルトガル人およびイタリア人の11パーセント、イギリス人の9パーセント、ポートランド人の8パーセント、スウェーデン人およびドイツ人の6パーセントだった。

 

爬虫類人エリート陰謀論は、政府が人間以外の生命体との接触を隠蔽していると非難するのみならず、次元を移動したり、姿かたちを変えたりすることができるトカゲたちが、ひそかに地球を支配していると主張するものだ。イギリス人のデーヴィッド・アイクが提唱したこの陰謀論は、世界各地での講演のチケットが売り切れるほどの注目を集めているが、熱烈な人気を博す一方で、あまり幅広い支持は受けていない。

 

移民陰謀論

・ここで話題を、宇宙からやってくる生命体から、外国からやってくる人たちに移そう。移民の周囲にはいくつもの陰謀論が引き寄せられてくる(その多くが外国人嫌悪、人種差別、自分たち以外の存在に対する生来的な不安に結びついている)。2018年に行なわれたアメリカ人を対象とした世論調査では、55パーセントが、政府は移民のために納税者や社会が負担する真のコストを隠していると考え、41パーセントが、移民に反対する声を上げる者は「沈黙の申し合わせ」によって罰せられていると認識し、40パーセントが「過去20年間、合衆国政府は移民政策を通じて、意図的にアメリカ社会の民族的多様性を高めようとしてきた」という意見に同意していた。アメリカ人の中には、多様性はコストのかかる強制された計画であるという強い意識がある。

 

経済陰謀論への支持

・経済学にまつわる陰謀論はいくつもある。経済学は素人にはとかくわかりにくいものであり、だからこそ、経済的成果に関しては、教科書的で複雑な説明よりも、陰謀論による説明の方がはるかにとっつきやすいイスラエル、スイス、アメリカの回答者を対象としたある研究において、いくつかの異なる経済現象について質問したところ、陰謀論的な見解を受け入れている人の数は、「教科書的な」経済学の見解を受け入れている人と同程度であることがわかった。

 

まとめ

陰謀論や特異なものへの信念が一般市民の間にどの程度広まっているかを測るうえでは、おそらくは代表的サンプルによる世論調査が最適な方法であると思われる。

 

世論調査には確かに問題もあるが、ここで紹介した数多くの調査結果は、だれもが少なくともひとつの陰謀論を信じていることを示唆している。そして一部には、数多くの陰謀論を信じている人たちもいる。陰謀論の中には多くの支持者を集めるものもあるが、大半はごく少数の興味を引くだけだ。また、陰謀論としてよく知られている一方で、世論調査ではさほど支持を得られていないものもある。

 

<まとめ>

・心理学者は、陰謀論やその他の特異なものへの信念に関連する多くの要因を特定している。その要因は、認知的要素、性格的特性、心理学的条件の三つのカテゴリーに分類される。そうした要因は、具体的にどのような人が、陰謀論に触れたときにそれを信じる可能性が高いのかを明らかにすることができる一方で、そもそもの段階で人を陰謀論に触れさせる、より広範な社会的・政治的な要因までは考慮されていない。

 

陰謀論政治学

陰謀論はそもそも政治的なものだ。陰謀論においては、権力を持っている人間と、その権力がだれも見ていないところで何に使われているかに焦点が置かれる。たとえば爬虫類人陰謀論でさえ、重要な真実が世間から隠されている/権力が秘密裏に、謎めいた関係者によって行使されている/その関係者はわれわれに危害を加えようとしているといった、政治的な主張を持っている。

 

権力の座

・権力はどこに存在するのだろうか。イルミナティフリーメイソンビルダーバーグ会議スカル・アンド・ボーンズなどの組織が、ひそかに権力を持ち、これを濫用していると非難する陰謀論は数多い。著名な陰謀論者であるイギリスのデーヴィッド・アイクは、数千年前に異次元からやってきた爬虫類のエリートが、人類と交配したと主張している。アイクによると、あらゆる国、政党、王室、企業のリーダーは、爬虫類と人間のハイブリッドであるという。このバカバカしい説は、政治や経済のエリートたちは人間でさえないと示唆しているのだ。これは、反ユダヤ主義者が歴史的に主張してきたユダヤ人観とよく似ている。

 

・アイクがまず提示するのは、「邪悪なファミリーのネットワーク」が人類をひそかに支配しているという、やや平凡な主張だ。

 共和党民主党、またこれに相当する世界中の政党は、ひそかに社会に張り巡らせた網である「多国籍企業」組織を介して、イルミナティの血統によって所有されている。………選挙でだれが「勝つ」にせよ、ロスチャイルドイルミナティのネットワークが………政府を動かしている。

 ただし、アイクがこのネットワークの権力を握る主体として挙げているのは、さほど平凡な存在ではない。それは“人間ではない”爬虫類のエリートだ。

 

イルミナティの血統は、人類と爬虫類のハイブリッドであるということに、わたしは確信を持つようになった。……ロスチャイルド家とその血族ネットワークが執拗に、絶え間なく交配を繰り返すのは、彼らが自身の「特別な」遺伝的特徴を保持しようとしているからだ。これは一般人と交配すればすぐに薄まってしまうだろう。………人間社会をひそかにコントロールしている爬虫類族は、この次元と非常に近い次元から来ているが、そこは可視光線の範囲を超えており、そのためわれわれには見ることができない。一方、彼らは可視光線の範囲に入ったりそこから出たりすることができ、また地球内部には爬虫類族の“都市”や基地が存在する。軍の最高機密の地下基地には、そこにつながっているものもある。ロスチャイルド家のようなハイブリッドの血統は、地上の可視光の範囲内で爬虫類人の計画に奉仕している。

 

アイクが唱える爬虫類エリート論は、世論調査においてはさほど支持されていないものの、文化的には大きな影響力を持っている。小規模なアリーナで行なわれる一日がかりのイベントは、チケットが売り切れることもしょっちゅうで、アイクは聴衆に、ダンスをして陰謀を吹き飛ばそうと呼びかける。

 

党派的陰謀論

人によっては、権力構造全体を非難する陰謀論に熱意を注ぎ、陰謀の主体がどこに所属しているかについてはあまり問題にしない場合もある。ジム・マーズのようなそうした陰謀論者にとっては、党派性も策略のひとつに過ぎない。

外交問題評議会のような秘密結社が、民主党共和党の両方でリーダーシップをとっているため。第ニ次世界大戦以降、アメリカの外交政策に大きな変化はなかった。両党を支配するグローバルエリートは、グローバリストの目標に沿わない人物が大統領にならないよう手を回している。エリートのグローバルアジェンダの基礎である永続的な戦争状態にアメリカを置くために、あらゆる努力が払われている。

 

・「フリーメイソンやその他の友愛団体」は、一般には党派性を持たないと考えられている。共和党支持者も民主党支持者も、同程度の割合でこの選択肢を選んでいた。党派主義的な選択肢に比べて、フリーメイソンに対する懸念を表明した人は非常に少なかった。これが示唆しているのは、少なくともアメリカにおいては、党派主義的な対立が陰謀信念の重要な要因であり、フリーメイソンのような集団が陰謀にかかわっていると考える傾向はどちらの陣営でもほぼ同程度であるということだ。

 

1パーセント

アメリカでは多くの人たちが、1パーセント理論は陰謀論とは言えないと考えている。彼らは、1パーセントの人たちがほんとうに経済や政府、あるいはその両方を支配していると確信している。しかし、この考えは経済や政治を研究している認識論的権威によって真実であると証明されたわけではない。経済学者は、少人数の集団によって経済が支配されていると唱える説を陰謀論に分類している政治学者は何十年も前にそうした説に疑義を呈している。そして、正式な経済学や政治学の教科書で、1パーセント理論を事実として提示しているものをわたしは見たことがない。

 

陰謀論は敗者のもの

アメリカの選挙においては、どちらの陣営も同程度に、相手側が不正によって勝利を得ようとするのではないかとの疑念を抱く。しかし、勝者が発表された後、不正を主張する陰謀論を唱えるのはほぼ敗者側に限られる。

 

<まとめ>

陰謀論は権力の使用と濫用に言及する。故に陰謀論は政治的意見であり、ほかの政治的意見とほぼ同様に理解することができる。

 

トランプ大統領、インタ―ネット、陰謀、陰謀論

・2016年のアメリカ大統領選挙が、近年のほかの大統領選と異なっていた点は、陰謀論をもとに選挙戦の論争が繰り広げられたことだった。候補者たちは相手方のことを、遠大な陰謀に関与している、あるいはあやしげな陰謀論を広めていると非難した。

 

ドナルト・トランプの大統領出馬

・選挙戦を通じて、トランプは、選挙では不正が行なわれるとの主張を繰り返し、予想外の勝利を収めてから何カ月もたったあとでさえ、あの選挙は何百万もの不法投票者によって汚されていたと言い続けた。

 

・破壊的な候補者であるトランプは、党の主流派の土俵では勝負することができなかった。彼は公職に就いたことがなく、党の主流路線を超越した政策概念を持っていた。共和党エリートにとって好ましい候補者ではなかったし、支持も比較的少なかった。成功するためには、トランプは党の主流から外れた支持層を動員するレトリックスタイルを構築しなければならなかった。

 トランプが採用した解決策は、われわれが「陰謀論政治」と呼ぶものだ。知名度の高い政治家が陰謀論を唱えた場合、一般的には、主流メディアや党上層部からあざけりや罵声を浴びさせられる。しかしトランプには、ありきたりのやり方で権力の座に就くつもりはまるでなかった。彼は陰謀論を利用して破壊の政治を実践し、従来の政党ネットワークから外れた、無数の非伝統的なイデオロギー集団の中に支持層を築くことに成功した。

 

2016年の候補者の中で、陰謀論を選挙戦で大々的に活用したのはトランプだけではない。前章でも言及したバニー・サンダースは、「不正操作」という言葉を頻繁に使い、自分が敗北したときには相手側が不正を働いたと主張し、「1パーセント」が政治・経済システム全体を不正操作しているというアイデアに基づいて選挙戦を戦った。サンダースもドナルド・トランプも、それぞれの党の予備選挙で獲得した票は全体の40パーセントだったが、トランプは、ほかの共和党候補者20人が残りの票を分けあったおかげで勝利することができた。陰謀論政治はまた、ブレグジット投票にも見ることができる。いくつもの陰謀論が、「離脱」への投票を促すために利用された。そして当然ながら、EU離脱に投票したイギリス人の方が、残留に投票した人たちよりも陰謀論を信じる傾向が強かった。

 

トランプ=ロシア陰謀論

ヒラリー・クリントンは、民主党予備選挙バーニー・サンダースを破り、選挙戦本番に臨んだが、トランプと戦ううえではときに陰謀論を利用した。ドナルド・トランプ陰謀論者なのだから大統領には相応しくないと発言しながら、一方で、クリントンは、トランプがロシアの重大な陰謀にかかわっていると主張した。「トランプは何かを隠している。それが何であるか。われわれはこの先ずっと推測し続けることになるだろう」。大統領選の討論会で、クリントンはそう述べている。

 

・興味深いのは、トランプがロシアの陰謀にかかわっていると考えていたのは民主党支持者だけではなかったことだ。政府関係者も、どうやら2015年という早い時期からこれを信じていたようだ。現在、トランプ=ロシア陰謀論の起源についての調査が行なわれており、この説はどのように始まったのか、政府内のだれがこの説に基づいて行動し、トランプ関係者を盗聴していたのか、また、政府は選挙運動中にトランプを「スパイ」していたのかどうかに焦点が当てられている。

 

ロシアと共謀したアメリカ人は存在しないというムラーの調査結果は、トランプ=ロシア陰謀論を取り上げた主流報道の一部が、いかに現実離れしたものになっていたかをよく示している。利益という動機が、トランプ=ロシア報道の多くには見てとれる。

 

トランプ=ロシア陰謀論にまつわるエピソードは、たいそうな皮肉を含んでいる民主党のエリートたちは、選挙が不正操作されるというトランプの主張に対し、そんなことはありえないと主張していた。にもかかわらず、自分たちが負けると、今度はすぐにその敗北を、選挙を不正操作する巧妙な計画のせいにしたのだから。

 

モラルパニックと金銭的インセンティブ

アメリカ合衆国をはじめとする多くの国では、ここ数年間、政治におけるソーシャルメディアの役割が懸念されてきた。ドナルド・トランプの当選、ブレグジット投票、世界中で起っているポピュリズムへの傾倒は、インタ―ネット、とりわけソーシャルメディアに原因があると言われている。新たなコミュニケーション技術は、陰謀論の拡散にどのような影響を与えているのだろうか。民主主義を守るために、政府がソーシャルメディアを規制する必要があるのだろうか。

 

インタ―ネットが悪いのか

・インタ―ネットやソーシャルメディアはほんとうに、陰謀論疑似科学ヘイトスピーチ、人種差別、過激主義などの巣窟になっているのだろうか。陰謀論的な物言いが新たな形ではびこるようになったのは、インタ―ネットのせいなのだろうか。陰謀論を含むおかしなものを人が信じる原因をインタ―ネットに求めるのは、あまりに簡単だ。なんといっても、おかしなものはインタ―ネットでは簡単に見つかるのだから。

 

インタ―ネット上では権威ある情報の方が強力

・既存の証拠は、インタ―ネットは一部の人たちが考えているほど陰謀論者に有利に働くわけではないことを示している。陰謀論を主張するサイトは数多いが、そうしたものを探し出そうという傾向をもとから持っていない限り、人がそれを見つけることはない。つまり、大半の人にとって、陰謀論に触れる場は主流のサイトである可能性が高い

 

どうすればよいのか

・大半の陰謀論は無害だが、一部には健全な懐疑心を不健全なレベルにまで高めている陰謀論陰謀論者も存在する。その結果、ときには暴力が発生する。陰謀がしつこく主張されることによって、民主主義が阻害されることもある。自分の敵対者が自分の対する陰謀を企てていると思い込んでしまえば、交渉は不可能になるかもしれない。そのコストを知ったうえで、陰謀論の禁止を求める声もある。

 

これまでの議論ではずっと、政府こそが、陰謀論と実際の陰謀の両方を提供する最大の主体であるという事実が見過ごされてきた。もし政策立案者が、陰謀に与することのない、よりオープンで透明性の高い政府を掲げるなら、そしてもし政治家が大衆を操る手段として陰謀論を広めることがなかったならば、人はそもそも陰謀論の必要性をさほど感じなくなるのかもしれない。政府や政治家が自らの行ないを改めてくれればすばらしいが、陰謀論の場合と同じように、スケープゴートを作る方がはるかに容易なのだ。

 

まとめ

教育は常に優先されなければならない。批判的思考を持つよう人に教えることは、よりよい信念につながる。また、たとえ専門家と意見が対立する場合でも、専門的知識は尊重すべきだ。政治的な透明性と説明責任は、陰謀論による度を越えた影響を緩和することはできても、陰謀論をなくすことはできない。れわれはまた、陰謀や陰謀論に与することのない政治家を選ぶ必要がある。

 

訳者あとがき

・著者は陰謀論をテーマとした論文を数多く発表している精力的な研究者であり、本書についてのレビューにおいては、「この分野についてだれよりもよく知っている」人物であると評されている。

 

 

 

 

 

(2020/7/11)

 

 

『図解 世界闇の支配者   コロナ大戦争

ベンジャミン・フルフォード 宝島社   2020/7/11

 

 

 

<「ウイルス戦争」>

・ディープ・ステートが仕掛けた、国家を破壊する「ウイルス戦争」。彼らの目的は“人工世紀末”を演出し、人類を完全支配することだった――。

 

・この騒動は「たまたま」起こったのではない。“起こす”べくして起こった。誰がこのウイルス兵器をつくり、誰がバラまき、誰が煽ったのか。その事実関係と構図を知らなければ真実へは届かないのだ。

 

新型コロナは「ウイルス兵器」

・最初に断言しておく。

 この新型コロナウイルスは、「生物兵器」であり、かつ、生物兵器とは思えないほど「安全」なウイルスであるという点だ。まずは、ここを理解してもらいたい。

 その証拠に、このウイルスは「SARS第二世代」の名がつけられた。そして、SARSこそ世界を裏から支配してきた犯罪集団によってばらまかれた生物兵器であった

 この犯罪集団たちは、あとで詳しく述べるが、「ハザールマフィア」「旧体制の支配者」「闇の支配者」、トランプ大統領命名した「クリミナル・ディープ・ステート」(闇の国家)のことだが、彼らは人類の9割を殺し、増えすぎた人類を間引いて地球環境を保全し、ごく少数のエリートたちによる究極の支配体制確立を目指していた。

 その手法の一つとして「ウイルス兵器」を繰り返しばらまいてきた。その最新兵器となったのが新型コロナウイルスなのである。

 

DARP子会社のIT企業

・巨大IT企業はアメリカ経済のシンボルとなっている。だが、その多く、いや、すべてはクリミナル・ディープ・ステートの息がかかっている。構図は難しくない。アメリカのIT企業は、軍事機密を盾に多くのパテントや革新技術を保有する米国国防高等研究計画局(DARPA)の関連子会社という側面を持っているからだ。

 

ディープ・ステートとは?

・クリミナル・ディープ・ステートとは、「犯罪的な国家の中の国家」と訳せる。

 アメリカ合衆国の実態はクリミナル・ディープ・ステートをオーナーとする「株式会社USA」だった。この会社の役割は、かつての東インド会社のような植民地の管理であり、世界全体から富を収奪することであった。

 その武器として世界最強の軍隊と国際機軸通貨「ドル」を発行してきた。そのドルの発行利権を握っていたのが、クリミナル・ディープ・ステートという構図なのだ、

 会社は株主のものとなる。株式会社USAのオーナーは、その経営者として大統領を送り込み、国務省を実行部隊にしてきた。

 本来ならば米軍が管理すべき知的財産である軍事機密も、DARPA(国防高等研究計画局)が横流しして、巨大ITメジャーを誕生させた。彼らもまた、ディープ・ステートなのである。

 それに対して、「社員」たちの間で不満が溜まってオーナーたちを追い出そうと、米軍が中心となって「独立」に向けた活動を始めたわけだ。

 その意味でアメリカが真の独立を果たしたならば、DARPAが抱え込む軍事機密を売却することも可能となろう。

 

中国の覇権は絶対に許さない  「旧支配者」たちが仕掛ける謀略

「闇の支配者」が中国潰しの包囲網を形成

反「闇の支配者」の中国

・中国を5つに分断して、アメリカ、EU、日本、ロシアで分割統治する――。

 中国経済が躍進を始めた2000年にかけて、水面下ではこうした国際謀略が動いていた。14億人の人口に経済力が合わされば旧体制の支配者たちによって「脅威」になる。その前に中国を解体しようとする動きが強まったのだ。

 その第一弾が「SARS」だった。SARSはアジア人特有の受容体で増殖するよう改造した殺人ウイルス兵器だった。当然、この事実にショックを受けた中国当局は旧体制の支配者であるハザールマフィア、ディープ・ステートたちとの戦いを決意したという経緯がある。

 

“コロナ前”から経済危機だった中国 習近平が危惧する体制崩壊の可能性

中国式「国家資本主義」の成長現界で加速する混乱

習近平が2020年「全人代」で経済成長の見直しを明言

・ヨーロッパよりは体力があるとはいえ、構造的な問題を抱えた中国経済が失速している。少子高齢化の問題もあるが、「大量投資型の経済成長モデル」が限界に達してしまったのだ。これはかつてのソ連で起こった問題である。1980年代から開放政策に転じた中国も、ソ連同様、効率よく設備投資を行い、すさまじい経済躍進を成し遂げた。しかし、2010年代、ついに設備投資の需要をひと通り満たしてしまい、ソ連崩壊前と同じ「壁」にぶつかってしまったのだ。

 

中国経済モデルの現界

・いまの中国経済の失速は、冷戦時代、ソ連がたどった道とほぼ一緒であろう。

 社会主義によって計画経済を遂行してきたソ連は、1930年代から、当時の西側諸国、ヨーロッパに比べて非常に効率よく、また高い割合で設備投資を実施することができた。計画経済と統制経済が十分に発揮されている間、ソ連経済は西側に比較しても好調であり、生産力も高かった。しかし1970年代に入ると、次第にマイナスへと転じる。理由は計画経済と統制経済がひと通り行き渡り、メリットよりデメリットが強まったためである。

 ソ連樹立当時のロシアは巨大な農業国家だった。そのために計画経済と統制経済の初期段階では、非常に高い経済効率をもたらしたが、設備投資が一回りしてしまうと、かえって経済効率が悪化していくのだ。

 いまの中国にもほぼ同じことが起こっている。2018年以降、ソ連同様に設備投資が一巡してしまい、計画経済と統制経済のデメリットが顕在化するようになっていた。

 

米中戦争=北半球の壊滅

・そもそも「米中戦争」は起きない。

 直接的な戦闘行為を伴う戦争は、ほぼなくなったといっていい。

 理由は難しくない。アメリカ軍部のシミュレーションで、大国同士が戦争を行い、どちらかが核を持ち出せば、人類の9割が死に、汚染で北半球は壊滅することがわかっているからだ。だから米軍は決して戦うことを選択しない。ゆえに、いま起こっている「第三次世界大戦」は銃弾ではなく、情報や諜報の戦いとなっているのだ。

 2度の大戦で圧倒的な「勝者」となったことで、米軍は過去の成功に囚われている。その証拠に米軍の編成は時代遅れの大艦巨砲主義をいまだに引きずっている。それではドローンやAI、サイバー部隊を主力にする中国軍に太刀打ちはできまい。

 

微妙な立ち位置の教皇

かつてバチカン内では、「ドイツ派閥」の勢力が強かった

 これを排除してきたのがフランシスコ教皇である。その点からフランシスコ教皇を「正義」と見ることもできるが、一方でフランシスコ教皇も旧支配者たちに近く、依存しているというのも間違ってはいない。

 ローマ教皇というポジションは、一種の切り札であり、実に使い勝手のいいカードだ。それで主導権を握ろうと各勢力が動く。結果、主導権を握った側に「動かされる」ことになり、動きや発言がぶれる。フランシスコ教皇が正義なのか、悪なのか、よくわからないのだ。イギリスのMI6筋やペンタゴン筋などは「フランシスコ教皇は旧体制派、処断すべき」と情報を寄せてきており、個人的にはグレーという印象がある。

 

悲願のトランプドル発行

・トランプは「アメリカ製造業の復活」を掲げてきたが、それはFRBが発行権を持つ基軸通貨のドルからの脱却が前提なのだ。アメリカを破綻させた莫大な米国債の債務はFRBの通貨発行者たちに押しつけ、財務省が発行する新たな通貨「トランプドル」でアメリカ経済を立て直す。これが破綻国家アメリカを再建する唯一の方法であることを、経営者だったトランプは理解していよう。

 そもそも通貨とは、国家の税収と国富を担保にした信用証書だ。国家が保証しなければ紙くずなのに、なぜ民間銀行であるFRBが発行権を握っているのか。

 

アメリカの巨額負債は「DARPA」の技術で解消

・現在、アメリカという国家が持つ最大の資産は「軍事機密」といっていい。DARPA(国防高等研究設計局)は6000件という秘密特許(軍事パテント)を抱え込んでいるとされる。グーグルやフェイスブック、アマゾンなどDARPA系企業の総資産は軽く数百兆円以上。アメリカの借金を返済し、なおかつ、新たな国家建設と、その新国家が発行する通貨の信用を担保できるほどの資産価値を持っているのだ。

 

<「ジュビリー」が世界を救う

新型コロナショックへの財政破綻級の超巨額支援は世界が新しい時代を迎えるために必要不可欠

・新時代の構築は「金融再起動」がセットとなる。

 旧体制とは、要するに「国際基軸通貨」の時代といっていい。イギリスのポンド、そしてアメリカのドル。単独国家の通貨を基軸通貨とし、その発行権を奪い取る。通貨発行権のない国家は国家としての機能を果たせない。だから奴隷のように搾取されてきたのだ。

 だからこそ、正しい新時代に向けてまず行うべきは「ジュビリー」だ。ジュビリーとは借金の棒引きであり、「金融再起動」には必須だと確信している。

 

ベンジャミン・フルフォードの見てきた世界 宝島社 書籍編集部

・一部の層から熱烈な支持を得たもののジャーナリズムの業界では、フルフォード氏は「タブー」となり、距離を置かれた。まともなジャーナリストとは思われなくなったのだ。本業がダメになってからではない。ジャーナリストとしての絶頂期に始めたことなのだ。

 フルフォード氏は、いつも「真実から目を背けることはできない」と、たとえ仕事を干されようと業界内で悪口をいわれようと歯を食いしばって耐えていた。

 新型コロナ騒動の直前、2020年1月、別件で会った際、「コロナパニックが拡大すること」「アメリカで内戦が起こること」「世界が大混乱になること」を予想していた。

 ようやく「時代」がベンジャミン・フルフォードに追いついたのだ。

 

・フルフォード氏が長年にわたって取材し、発信してきた情報は、いまでは「正しかった」と認められている。「闇の支配者」「ハザールマフィア」の存在も確実視されており、フルフォード氏は、その分野のオーソリティとして高い評価を受けている。日本よりも世界で有名なジャーナリストとなっている。

 

・フルフォード氏は、本書で扱った内容を15年も前から追いかけ続け、見続けていた。そんな人物でなければ、新型コロナ騒動は語れないのではないか。それが本書の企画意図となった。

 

 

 

宇宙戦争を告げるUFO』

知的生命体が地球人に発した警告

航空自衛隊空将  佐藤守   講談社   2017/5/25

 

 

 

<すでに火星にはコロニーが>

・私が二冊の本を上梓したあと、サリバン氏との縁で、アメリカ・アダムズ山でのツアーで知的生命体との遭遇を経験した人たちにお会いしました。八王子に住むKさんご夫妻です。ご主人は音響関連会社の技師で、現地アダムズ山麓で知的生命体を目撃しました。そのとき次のページの写真を見せてくれたのですが、「これを見たら信じる以外にないでしょう」といいます。

 

・このギリランド氏は、カリフォルニア州出身で、1952年生まれ。10代後半に海で臨死体験をしたのち、ヒーリング能力などを手に入れたといいます。

その後、カリフォルニア州からアダムズ山麓へと移り、そこでETとのコンタクトを始めました。現在はECETIの代表者として活動するかたわら、コンタクティやUFO研究家としての活動を行っています。そんな彼の地道な活動は世界中の注目を浴びています。

 ギリランド氏がこの地で撮影したドキュメンタリー映画『コンタクト・ハズ・ビガン』は、日本でも公開されました。

 

・アダムズ山の現場でツアーに参加したKさんたちツアーメンバーのなかに、火星から帰還したばかりだという元海兵隊員がおり、話題の中心になっていたそうです。にわかには信じがたい話ですが、この元海兵隊員は、火星に建設されているコロニーを、火星の生命体から防護するために参加していた、のだそうです。

 

・火星人といえば、あのクラゲのような形態を思い出します。しかし、まずコロニーは地下に建設されており、火星の生命体は地球人のように五体を持つものではなく、地中動物、感じとしては爬虫類のような生命体なのだといいます。

 彼らは火星における自分たちの生活圏を守るために、地球人が建設したコロニーを襲撃してくるのですが、私には、この元海兵隊員が地球・火星間をどのような手段で往復しているのかが気になりました。

 しかしサリバン氏は、ロッキード社の創立者から、「われわれ人類は宇宙人を地球に連れてこられるようなテクノロジーをすでに保有しており、惑星間の旅行も可能になっている」という言葉を聞いています。おそらくフリーエネルギーを活用しているのではないでしょうか。

 

<フリーエネルギーとは何か>

・これまでのUFOや宇宙人をめぐる機密主義の一つは、フリーエネルギーです。フリーエネルギーの情報が公開されれば、石油、石炭、天然ガスなど、既存のエネルギー産業とその利権が失われます。そうした利権を守るために、UFOや宇宙人情報は捏造されてきたのです。

 エネルギー産業の利権を独占している全人類のなかの1%以下の人の利益のために、彼らにとって都合の悪い話はなかったものとされます。彼らは高次元のテクノロジーを封印することで、石油燃料に依存するパラダイムを無理やり続けているのです。

 フリーエネルギーについては、100年以上前から研究が続けられ、テスラ博士などの発見もありました。地球文明はもっと進んでいるはずなのに、一部の権力者によって、50年も100年も、わざと遅らせているのです。

 ディスクロージャーにより、地球人は宇宙で孤独な存在ではないとわかると同時に、テクノロジーもすべて明らかにされます。UFOが地球までやって来るのに、石油や石炭を使っていないことは明白なので、高次元のテクノロジー分野の話題になり、フリーエネルギーが明らかになります。

 そうしたテクノロジーが存在することをすべての地球人が知ってしまうと、現状の経済体制は一気に変わります。そんな事態になるのを怖れている権力者の存在こそが、UFOで秘密主義が保たれた大きな根本原因です」

 

<佐野博士のテレポーテーション原理>

・「われわれ肉体を持つ人類は、メンタル体およびエモーショナル体を持つ、振動している連続体の上に存在する多次元的存在である。4次元の低い場所には、悪魔のエネルギーや肉体を持たない霊が存在する」

 何となく『チベット死者の書』を思い出し、宇宙と知的生命体、そして霊の世界とのつながりを連想しました。加えて、6次元や7次元という高度な世界もあるというのです。

 

・さらに、サリバン氏が「宇宙人は菩薩そのものであるといってもいいほどです」といったことの意味が分かったような気がしました。

 佐野千遥博士が詳細に「テレポーテーションの原理」について解説してくれましたが、いつの日か、それが証明される日が訪れるに違いありません。そして半世紀も経たずに、漫画『ドラえもん』に出てくる「どこでもドア」のように、地球人は、実用化された「テレポーテーション機材」を使って宇宙空間を移動しているのかもしれません。

 

・佐野博士は、こうも語っています。

「みなさんフリーエネルギーというと大変な装置と思っているかもしれませんが、フリーエネルギー自体は、実際はエネルギー保存則さえ超えていければいいのですから、磁石を適切に配置して次に手を離せば、それだけで生成することができます。

 UFOに必要な物理学とは、まったくレベルが違います。ロシアで実際に轟々と回した永久磁石・永久機関モーターのほか、いくつも永久磁石・永久機関モーターのモデルを考案しました。これからのエネルギーは、1の入力エネルギーを10倍とか100倍に増幅する程度のフリーエネルギーではなく、ゼロの入力エネルギーから大きなエネルギーを発生させる永久磁石・永久機関モーターとなります」

 

<急激に進歩したDNA研究の背景>

・しかし、エリア51の異常な警戒ぶりは、情報防衛のための行為だとは理解できても、基地内に存在するといわれる「エイリアンの死体の謎」になると、話は違います。そこで次は、宇宙人と関係があるかどうかは不明ですが、近来急激に進歩した研究に目を向けましょう。

 アメリカでは冷戦後、政府の情報隠蔽に対して反対運動が活発化します。そして、サリバン氏が所属する「ディスクロージャー・プロジェクト」が活動を開始します。

 

 ・そんななか、「宇宙人からUFO内で生体実験を受けた」という女性らが出現し、なかには妊娠させられたという女性も現れました。これらはメディアで頻繁に取り上げられるようになりました。

 宇宙人がUFO内で何をしていたのかは疑問ですが、一部には「創造した地球人の出来具合を検査しているのだ」などというまことしやかな説も生まれ、そこで話題になったのがDNAです。

 

・そういえば、イエス・キリストの母マリアも「処女懐胎」してキリストを産んだといわれています。知的生命体も生殖機能を持つがゆえに、地球人のDNAを調べているのでしょうか。

 DNAは「デオキシリボ核酸という遺伝情報をコーディングする生体物質」で、単に遺伝子という意味として使われることも多い。DNA研究者として有名なワトソンとクリックが、DNAの「二重螺旋構造モデル」の提唱者だといわれます。

 

<地球人は科学的に創造されたのか>

・こう考えると、私がブログ読者からいただいた一冊の本『地球人は科学的に創造された』の内容が気になってきました。この本で、著者のラエル氏は、宇宙人に教えられつつ聖書を読み解いているのですが、そのなかには興味深い一文があります。

 

・<キリストは、聖書に記述されている真実を地上全体に広め、あらゆることが、科学によって説明される時代になったときに、すべての人間にとって、聖書の記述が証拠として役立つようにしなければなりませんでした。

 このために創造者たちは、彼らの中のひとりと、人間の女性との間に子どもを儲けることを決め、その子どもに、人間には欠けている、ある種のテレパシー能力を遺伝的に授けたのです。

「彼女は、聖霊によって身重になった」(マタイによる福音書:1章18節)

 地球人の中からマリヤが選ばれたわけですが、彼女の婚約者にとっては、この知らせは明らかに耐え難いことでした。

「主の使いが夢に現れていった」(マタイによる福音書:1章20節)

 創造者たちのひとりが彼の元へ行って、マリヤが「神」の子を宿していると説明したのです。創造者たちと連絡を取っていた「預言者たち」は「神」の子に会うために遥か遠方からやって来ました。創造者たちの1機の宇宙船が、彼らを導いたのです>

 

新約聖書・マタイによる福音書の、マリアは「聖霊(筆者註:つまり知的生命体)によって身重になったのだと解釈されます。

 

・著者のラエル氏自身は、1973年12月13日の朝、フランスのクレルモン・フェランという町に近いピュイ・ド・ラソラ火山の噴火口近くで、突然、霧のなかに赤い光が見え、ヘリコプターのようなものが音もなく現れて、地上から20メートルほどの高さに停止するのを目撃します。

 直径は7メートル程度、底部は平らで上部は円錐形、高さは2.5メートルほどで、底部では強烈な赤い光が点滅し、頂部ではカメラのフラッシュのような白い光が、パッパッときらめいていました。

 その後、機体は地上2メートルくらいのところで停止し、機体下部の上げ戸が開き、タラップが地上に下ろされます。そしてそこから、1.2メートル前後の身長、切れ長の目、髪は黒く長く、短くて黒いあごひげを生やした「人物」が降りてきます。

 

ジョージア・ガイドストーンの謎>

・さて、そこで気になるのは、影の勢力が、ひそかに宇宙人と協力して進めているといわれる、宇宙開発計画です。

 その根拠としてよく取り上げられているのが「ジョージア・ガイドストーン」。わたしも偶然、このモニュメントの存在を知ったのですが、とりわけそこに書かれていた8つの言語による文言が気になりました。これもウィキペディアの解説がいちばん分かりやすいので、概要をまとめてみます。

 

・(ジョージア・ガイドストーンは1980年にアメリカ合衆国ジョージア州エルバート郡に建てられた高さ5.8メートル、花崗岩でできた6枚の厚い石板の合計重量は10万7840キログラムのモニュメントで、8つの言語で書かれたメッセージで知られ、その内容が陰謀論的な憶測を呼んでいる。

 

・8つの言語のなかには、日本語は含まれていませんが、英語と中国語によるガイドラインから翻訳した日本語訳は、次の通りです。(「ウィキペディア」より)。

 

  1. 大自然と永遠に共存し、人類は5億人以下を維持する
  2. 健康性と多様性の向上で、再産を知性のうちに導く
  3. 新しい生きた言葉で人類を団結させる
  4. 熱情、信仰、伝統、そして万物を、沈着なる理性で統制する
  5. 公正な法律と正義の法廷で、人々と国家を保護する
  6. 外部との紛争は世界法廷が解決するよう、総ての国家を内部から規定する
  7. 狭量な法律や無駄な役人を廃す
  8. 社会的義務で個人的権利の平衡をとる
  9. 無限の調和を求める真・美・愛を讃える
  10. 地球の癌にならず、自然のための余地を残す

 

そのまま素直に解釈すれば、実にいい言葉が並んでいるのですが、①の「人類は5億人以下を維持する」という文言が問題でしょう。だれがどんな権利で、そう決めるのでしょうか。

これを建てた「R/C・クリスチャン(仮名)」とは一体どんな人物なのか、どんな団体に所属しているのか、それが気になります。

 

・賛否両論あるなかで広く合意を得ている解釈としては、荒廃した文明を再構築するために必要な基本概念を説明したものだ、という説。また、実際に世界人口を半分に減らす計画が書かれている、などという物騒な陰謀説もあります。いずれにしろ、70億を超える地球人の大増殖に危機感を抱いている者が地球上のどこかにいる、ということは確かなようです。

 

 

 

『闇の世界金融の日本改造計画

日本人だけが知らない国際経済を動かす「たったひとつのルール」

菊川征司  イースト・プレス  2015/2/7

 

 

 

<彼らの目的は《世界経済の中央集権化と、その支配力を使っての直接の利益獲得である》>

・金融資本主義の権力者は、別の遠大な目標を持った。それはまさしく各国の政界と世界の経済をまとめて支配することが可能な、金融を支配する民間の手による世界的な制度をつくりだすこと以外の何物でもない。この制度は、頻繁な私的会合と協議で到達した内密の了解をもとにして、示し合わせて行動する複数の中央銀行によって、寡頭支配体制でコントロールされる。

 

・日本もこの計画のなかに組み込まれていて、現在最終的な交渉が行われている(TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)はその一環です。これはたんなる自由貿易交渉ではなく、彼らにとって大きな一歩となる革新的な内容が含まれています。

このあとにはサービス業務(いわゆるサービス業とはだいぶ異なります)に関する初めての多国間貿易協定のTiSA(新サービス貿易協定)が控えています。

 TiSAはアメリカの主導で始まったもので、2014年6月19日にウィキリークスによってその存在が明るみに出たとき、日本、EU、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドイスラエル、香港、台湾など23におよぶ国や地域が参加していました。

 

・TiSAの目的は一般向けサービス業務の自由化です。いよいよサービス業務にもグローバリゼーションの波が押し寄せることになるようです。

 本書では世界の出来事を参考にして、日本における国際銀行家たちの足跡を探り、21世紀の現在において、彼らの目的がどれほど進展しているかを検証してみたいと思います。

 

<「日本改造計画」の最後のピース、TPP参加に動く安倍晋三

・これらのことは日本政府や日本国民に選択の余地はありませんが、われわれの決断次第でどうにでもなるものがあります。そうです。TPPです。

 日本政府とマスコミは農業問題だけを前面に出して、TPPをたんなる自由貿易交渉のひとつのように国民に思わせていますが、とんでもないごまかしで、実態はまったくちがいます。

 討議されている全26章のうち貿易関連は2章にすぎません。残りのすべては企業に多大な特権を与えて各国政府の権限を奪うもので、国内のほうも規制も行政手続きもTPPに合わせなくてはいけないのです。実質は企業による世界統治です。

 

・TPPは一度参加すると抜けるのは難しいのですが、政府が話を決めても国会が批准しないと発効しません。日本政府は現在、交渉に参加しているので、これから阻止するには議会の否決しかありません。マスコミはあてになりませんから、国民一人ひとりがTPPのもたらす恐ろしい結果に目覚め、底辺からTPP反対を盛り上げていく必要があります。

 

・文書の情報を検討する必要のある者または情報を知らされる必要のある者というのは国民だと私は思うのですが、彼の意味したのは関係する企業です。

 しかも、協定発効後、その交渉文書は4年間秘匿されることになっているのです。もし成立しなかった場合でも、交渉の最後の会合から4年間秘匿されます。

 交渉文書を協定発効後4年間も隠そうというのですから、そのあたりに、すでに怪しさが漂っていると思いませんか。

 われわれはTPPによって日本が欧米企業に踏みにじられることを心配していますが、アメリカの市民団体の代表は「(TPPは)1%がわれわれの生存権を奪うツールだ」と反対の声を上げています。多国籍企業の600人の顧問はTPP草案にアクセスできるのに、貿易協定を監督する立場の上院貿易委員会議長がアクセスできないのですから、一般市民が心配するのも無理はありません。

 

ニュージーランドが保管するTPP関係の書類の一部がウィキリークスによって暴露され、この首席交渉官の日本に対する意地悪な発言が表面化しました。

《TPPが将来のアジア太平洋の通商統合に向けた基盤である。もし、当初のTPP交渉8ヵ国でゴールド・スタンダード(絶対標準)に合意できれば、日本、韓国その他の国を押しつぶすことができる。それは長期的な目標だ》

 

・日本政府のTPP参加の理由のひとつに貿易量増大がありますが、これはウソです。

 日本が貿易立国だったのは昔の話です。現在の貿易黒字はモノの輸出ではなく、海外投資によるものが大きな比重を占めています。

 

・貿易立国かどうかは貿易依存度をもとに判断できます。貿易依存度とはGDPに対する貿易総額(輸出額+輸入額)の比率です。2013年の世界の206の国や貿易依存度を見ると、1位は香港の419.83%です。日本は31.939%で192位ですから貿易立国とはとても言えません。また、輸出依存度がGDP比で30%を超えると輸出立国と言われますが、日本は14.5%の148位ですから輸出立国ではありません。現代の日本は貿易より内需で食べている国です。

 現在26の分野において交渉が進んでいますが、TPPがたんなる貿易交渉でないと私が言う主な理由は、非関税障壁が討議されているからです。

 

・《アメリカの企業メタルクラッド社は、メキシコで産業廃棄物を処理しようとした。環境の悪化を懸念する声が高まり、地元自治体は処理の許可を取り消した。するとメタルクラッド社は「収用だ!」としてメキシコ政府を訴えた。(中略)裁定では、メタルクラッド社の訴えが認められ、メキシコ政府は1670万ドルもの巨額の賠償金を支払わされた………》

 

<TPPの本当の狙いは農業ではない>

・日本には国民皆保険制度があります。会社員やその家族は社会保険に、自営業の人は国民健康保険に入っています。アメリカの保険会社が日本に進出し健康保険を売っても必要がないから誰も買いません。この会社にとって日本の国民皆保険制度は大きな障害です。したがって、TPPに加盟すると、アメリカの保険会社から国民皆保険制度廃止の要求が出るかもしれません。

 もし、それでも日本政府が国民皆保険制度を廃止しないと言い張った場合、アメリカの保険会社は日本政府を裁判で訴えることができます。その判定をするのは世界銀行のなかに事務局がある国際投資紛争解決裁判所です。

 これは世界銀行の下部組織で、世界銀行の総裁を務めるのは歴代ずっとアメリカ人ですから、アメリカ企業に都合のいい裁定を下しがちです。実際そういうことが指摘されています。

しかも、審理はいっさい公開されず、一審制なので、裁定に不服が

きません。

 

菅直人がTPPを「平成の開国」と誇らしげに言ったのには、TPPが不平等条約とわかってのことでしょうか。日米修好通商条約不平等条約だったことを知っていて言ったとしたら、彼もまた売国奴の誹りを免れることはできません。

 非関税障壁の槍玉に挙げられることが100%確実なものがあります。遺伝子組み換えの食品表示です。

 

遺伝子組み換え作物の「何」が恐ろしいのか>

<「TiSA」がこの世界を完全に破壊する>

・外務省のサイトにTiSAに関する説明ページが出たのは、それから9日後のことでした。おそらく慌てて立ち上げたものと思います。しかし、明らかになったのは存在と概要だけで、くわしい内容は不明なために、専門家たちはTPP以上に厳密に秘密が守られていると嘆いています。

 

 

 

『日本を疑うニュースの論点』

孫崎享 角川学芸出版   2013/8/24

 

 

 

自衛隊の「敵地攻撃能力」で守られるのは誰か>

・全国紙のなかでも、とりわけ対米従属的な論調が読売新聞だ。5月18日付の社説「敵基地攻撃能力 日米連携前提の保有に検討を」も、そんな読売の姿勢を象徴する内容だった。

 

・とはいえ、問題は北朝鮮の反応である。日本から先制攻撃があったのだから、報復を受けるのも日本となる。つまり、敵基地攻撃論とは、米国のために日本が大きなリスクを背負う愚かな戦略なのである。

 安倍政権は、集団的自衛権の行使容認や国防軍の創設を目指している。そうした流れのなかで、敵基地攻撃論も出てきたのであろう。

 だが、日本の安全保障を考えれば、自衛隊が「敵基地攻撃能力」を持つことはあまりにも危険が大きい。日本の防衛を考えているようで、実は米国に利用されようとしているだけではないか。それを承知で、読売新聞は安倍政権に拍手を送っている。これはまるで、日本の安全を犠牲にして米国に奉仕せよと主張しているようなものだ。

 

<選挙のたびに踏みにじられる国民の権利>

・選挙というものには、守られるべき2つの権利があると思う。

 そのひとつは、有権者の権利である。「1票の格差」が問題となって久しいが、昨年の衆院選では、小選挙区の格差は最大2.43倍にも達した。有権者数の最も多い選挙区の1票は、最も少ない選挙区の1票の半分以下の価値しかないことになる。

 格差是正のため、自民党は選挙区の「0増5減」を主張してきたが、4月1日付の産経新聞によれば、改定後の格差が2倍以上に達する選挙区は、全国で少なくとも8つあるということだった。「0増5減」では、根本的な問題解決とはならないのだ。

 

・TPP交渉への参加も決まった。ISD条項によって日本の主権は侵害され、世界に誇る国民皆保険制度も実質的に崩壊していくだろう。貧富の差によって受けられる医療が違い、平均寿命までも所得水準に影響を受ける。そうした米国の社会を日本が後追いすることになってしまう。

 安倍政権は国民の高い支持を背景に、集団的自衛権の行使容認や国防軍の創設を目指している。それが実現すれば、自衛隊は米軍の下働きの部隊に成り下がる。イラク戦争のような戦場に、日本の若者が派遣される可能性はずっと高まってしまう。

 

・また、政府が個人に攻撃の矛先を向けることもある。私自身も最近、ある自民党の代議士から国会で名指しされた。第5章でも詳しく書いたが、私がTPPや尖閣問題で安倍政権に批判的な論陣を張っていることが問題だとして、NHKに出演させないよう圧力をかけてきたのだ。政府の政策に反対する者の意見は、公共放送では流すべきではないというわけである。たとえ日本であっても、こうした「言論統制」が起こり得る。

 

<TPPで「国民健康保険」が消滅する>

・日本がTPPに参加した場合、国民への広範な影響が懸念されるのが、

国民健康保険」の維持という問題だ。日本が世界に誇る国民皆保険制度が崩れていく可能性がある。

 もちろん、TPPへの参加で、すぐに国民健康保険がなくなってしまうというわけではない。米国の要求によって、実質的に機能しなくなってしまう恐れがある。

 

・政府は、TPP参加によって公的医療保険が揺らいでも、すべての

ば「国民皆保険」であると主張する可能性がある。

課題が守られなければ、世界に誇る「国民皆保険」とはいえないと考える。

▼公的な医療給付範囲を将来にわたって維持すること

▼混合医療(保健医療と被保健医療の併用)を全面解禁しないこと

営利企業(株式会社)を医療機関経営に参入させないこと

 

いずれもTPPによって維持が困難になってしまう問題ばかりだ。

 

<ISD条項が招く「巨額訴訟」の嵐>

・私がTPPに反対する大きな理由が、「ISD条項」の存在だ。すでに触れたように、この条項によって、企業は投資先の国の規制によって損害を被った場合、その国の政府を訴えることができる。

 

・ISD条項は企業に国家の主権を侵害する権利まで与えてしまう。主権が侵害され、さらには国民の生活や健康まで脅かされることになりかねない。

 ISD条項については、TPP参加国の間でも懸念する声が根強い。ISD条項でメリットを得られるのは、実際のところ米国だけだ。米国には、同条項を使って他国政府を「提訴」する側に回る多国籍企業が数多く存在している。

 

・4月3日付のハフィントン・ポストは、「オバマとEUとの貿易交渉は企業に新しい政治力を与える」との論評を掲載した。主要な論点は、以下のとおりである。

多国籍企業主権国家と同様の権利を与えることに対し、消費者、環境団体などから警戒感が強い。

 

▼そのひとつの自然保護団体「シエラクラブ」(本部はカリフォルニア州

サンフランシスコ)の担当者は、ISD条項は「企業が将来の不利益を被るいかなる政策に対しても、政府を訴えることを可能にしてしまう。コミュニティ、環境、気候に対して危険だ」と指摘する。

 

▼一方、大企業を代表するロビー団体「米国商工会議所」は、企業保護の立場でISD条項を推進している。

 

世界貿易機関WTO)に加盟する米国やEU諸国には、FTAによって新たに排除すべき関税は多くない。

 

▼ISD条項は北米自由貿易協定(NAFTA)には存在するが、WTOは採用していない。

 

▼もともとISD条項は、法整備が未熟な国へ投資する際に必要とされたルールである。従って、先進国である米国やEU諸国に適用されれば、全く意味合いが変わってくる。

 

▼カナダ政府を提訴したイーライリリー社を始め、米国の多国籍企業が投資先の政府を相手に訴訟を起こすケースが増えつつある。

 

▼ISD条項の本質は「貿易」に関する取り決めではなく、消費者保護や健康、安全、環境、プライバシー保護など様々な分野に影響を及ぼす。加えて、国内の裁判所や法律の存在意義をなくしてしまうに等しい。

 

・ISD条項では、企業の利益確保がその他の考慮要件よりも優先されるのであり、米国内でも、米国の法律よりも企業の利益が追及されることになる。ただし、日本などの企業が米国政府を訴えることはないだろう。そんなことをしたらどんな報復を受けるかわからないからだ。

 

<国内報道が伝える「聖域」幻想>

安倍氏は、TPP交渉で日本の主張が通るかのような印象をつくり出してきた。そして新聞各紙も、安倍氏の主張に添った報道が目立った。だが、東京新聞の記事を読むと、そんなことが幻想であることがわかる。

 記事で指摘されている「レター」の存在の有無は、外交交渉の最中であることを考えれば確認しようがないが、以下の情勢は容易に想像できる。

しようがないが、以下の情勢は容易に想像できる。

 

① TPP交渉への先発参加国は譲歩と妥協を重ねて議論を詰めつつある。

② 日本を含めた後発国に対して「聖域」を認めれば、過去の交渉で合意された事項とのバランスに問題が生じる。

③ 年内の交渉妥結が前提となっている以上、これから改めて議論の根本を揺るがすような交渉はできない。

 日本にとっては極めて厳しい状況であることは間違いない。そのことを記事で示唆した東京新聞は賞賛に値する。

  

<TPPに騙されるという“国民の選択”>

・従って、権力に近い政治家、官僚、財界人、ジャーナリストは皆、地位や立場が上がっていけばいくほど、騙された“ふり”をする。そうやって振る舞わなければ、手に入れたものを失う恐怖がある。

 いかなる不都合があろうと真実を求め、主張する。そんな「面倒な選択」を、われわれ日本人はまたも放棄してしまうのか――。

 

 

 

『国際銀行家たちの地球支配/管理のしくみ』  

 安部芳裕  徳間書店  2010/2/10

 

 

 

民主党の政策が日本を滅ぼす>

―日本が中国共産党に呑み込まれる日は近い?!

 民主党政権の政策は亡国への道>

 <日本は人民元ブロックの一員になってしまう!?>

 <「東アジア共同体」幻想に騙されるな>

・同じ仕事をしてくれるなら、企業は当然、安い賃金の方を選択します。そうなると、賃金は低い方で、固定化されてしまうのです。

これまでのように雇ってもらいたければ、日本人も20万円ではなく、15万円で我慢しなければならなくなるでしょう。そのうち中国や東南アジアの人々の失業率はゼロで、日本人の失業率は20%なんてことになりかねません。これは移民を受け入れている欧米では実際に起きていることです。

 

・東南アジア共同体と移民の大量受け入れは、産業界の意向を受け入れた政策ではありますが、その結果は日本人労働者を窮地に追い込みます。

 

・また、逆に日本の企業が移転する可能性も高まります。移転するだけで、人件費のコストは10分の1以下にできるのですから、経営者であれば、より安い労働力を求めての海外移転は当然の選択となるでしょう。そうしなければ、日本の製造業者は激減し、失業者は激増します。

 

・さらに、民主党は日本の自由貿易協定(FTA)の推進をマニフェストに掲げていますが、このFTAを締結した場合、日本の自給率は12%に低下すると農水省が試算しています。それに加えて東アジア共同体ができ、共同体内では関税ゼロとなった場合、安い食糧が大量に入ってきて、日本の農業は壊滅状態になるでしょう。

 

・自国の食糧の不足した時に、自国民を犠牲にしてまで、日本に食糧を輸出してくれる国があるのでしょうか?日本の農業が壊滅した後に禁輸措置を取られたらどうにもならないのです。

 

 

 

『闇の世界超政府の極秘戦略』クラブ・オブ・アイルズ(島のクラブ)

 日本の金融崩壊を謀る英国寡頭権力の正体

 太田龍  日本文芸社   1996/3

 

 

 

・「アイルズ(島の複数)」とは「ブリティッシュ・アイルズ(英国諸島)」の略であろう。クラブ・オブ・ジ・アイルズとは英国王室を核とする秘密世界政府である、といわれる。しかし、これでは正直なところ何もわからない。

 

・「英国情報部の正体は、ベネツィア寡頭権力の諜報部」

 

・J・コールマン博士によれば「3百人委員会」の沿革は

1、英国東インド会社と、その「3百人評議会」に始まり、

 2、同社が解散して、インド大陸全体が大英帝国の領土に組み込まれた後、1840年代に英国の寡頭権力を中核に全世界的な秘密結社として再編成され、

 3、1897年に、今日のごとき組織も実体として設立された。

 

・コールマン博士は「3百人委員会」の武力装置の中枢にMI6(英国軍事諜報部第6課)があり、このMI6は英国女王エリザベス1世の時代に遡る、と述べている。

 

ベネツィアの金融寡頭権力によるヨーロッパ政治経済宗教への介入(干渉)という決定的に重大な要素が意図的にか、もしくは無意識的にか明治以降現在までの日本の西洋史の知識から隠蔽されている。

そのために、西洋史の意味が日本人に飲み込めていない。

・英国諜報部の正体は、実はベネツィア寡頭権力の諜報部であったらしいのだ。

 

・この秘密組織の実体について、これを「ベネツィア=オランダ=英国寡頭権力}と定義している。(アンタッチャブルな支配階級からの究極の秘密結社「3百人委員会」)

・米国ではベネツィアの「黒い貴族」をはじめとする数多くの重要な秘密結社の名前も知られていなかった。

・300年前に英国王室に取り憑いたベネツィアの寡頭権力とは?

ベネツィアの「黒い貴族」に乗っ取られた英国の闇の世界権力とは何か?

 

 

 

「インフルエンザをばら撒く人々」    金融寡頭権力の罠

 菊川征司  徳間書店   2009/10/10

 

 

 

<インフルエンザをばら撒く人々>

・インフルエンザをばら撒く人々・・・・・そんな馬鹿なことがあるわけないよ。誰もがそう思うことでしょう。

しかし、戦前のスペイン風邪から、現代の豚インフルエンザまで、それらはウイルスに人工的な改良が加えられた生物兵器だったのです!

これは推理小説でも妄想でもありません。各国の研究者たちが、実際にそう発言しているのです。

 

 アメリカ軍のワクチンがスペイン風邪の原因?>

アイルランドの3大日刊新聞の1つの記事は題名からわかるように、1918年のスペイン風邪で多くの死者を出した原因はウイルスではなくて、アメリカ軍が実施したワクチンだと主張しています。

その記事の最初の部分に「この大流行の起源に関していえば、『ドイツが彼らの戦争の取り組みの一環として劇場や人が大勢集まる場所にバイ菌を撒き散らしたのかもしれない』と当時の米国陸軍の高級将校が述べた」ことが書かれています。

そして「でもドイツは自国民の間でも菌を撒き散らして、同胞40万人を死に追いやってしまったのだろうか」とドイツ軍犯人説に疑問を投げかけてからアメリカ軍によるワクチン説を展開しています。

 

・当時の陸軍長官ヘンリー・スチムソンによる報告書には、黄熱病のワクチン接種が直接の原因で、参戦して6ヶ月間で接種中にそのまま崩れ落ちて死亡した7人を含め63人が死亡、2万8585人が肝炎になった事実が書いてある。

 

・1918年から1919年にかけてのスペイン風邪は、当時の世界の人口の3分の1、数にして5億人が感染し、5000万人から疑問点もあるが1億人ともいわれる死者を出した。通常のインフル死亡率が0.1%以下なのが、この猛烈なインフルエンザは2.5%以上の死亡率を記録した。

 

・これは、新兵に実施されることになっていた14種類から25種類のワクチンのうちの、たった1つによる結果である。1911年に米国陸軍においてワクチン接種が強制になってから、腸チフスにかかるケースが急激に増加しただけでなく、ほかのワクチンに関連した病気が異常に高い率で増加したことを陸軍の記録は明らかにしている。1917年にアメリカが参戦してからは、腸チフスのワクチン接種による死亡率は米国陸軍史上最高点に達した。

 

・腸チフスの症状を抑えようとして陸軍の医者たちは、より強いワクチンを使ったので悪性のパラチフスの症状を引き起こしてしまった。しかし、彼らがそのパラチフスを抑えようとしてさらに強烈なワクチンと混合して使ったため、今度はもっと悪い病気のスペイン風邪を発生させてしまった。

 戦争後、危険な病気に汚染されていた紛争地帯から帰還する兵士から、パニックに襲われた一般人を護るために使われたワクチンの1つに、この強烈なワクチンがあった。

 

・この説だと、強い腸チフスのワクチンがスペイン風邪を生み出したことになります。腸チフスも高熱が出たり、熱によるだるさといった風邪に似た症状を呈し、場合によっては肺炎を引き起こしますから、死者の大半が重症だったスペイン風邪との関連を説明できないこともありません。しかし、この説では短期間に3種類の違ったウイルスが蔓延した理由が説明できないと思います。謎は深まるばかりです。

 

 

 

 「プレアデスとのコンタクト」(地球外知的生命)

 (ビリー・E.A.マイヤー)(徳間書店)  2001/8

 

 

 

<地球以外の出自を持つ人間>

・ 地球上には、地球人、つまり地球に起源を有する人間だけでなく、地球以外にその出自を持つ人間もいる。それらの人間の故郷は限りないほど遠い宇宙にあり、彼らは、時空をことにするリラとヴェガ星からやって来た。

  昔の宇宙飛行士の末裔で、プレアデス/プレヤール人もその直径の子孫である。またこのような早期における地球への移住者の中には、シリウス星から来た人間もいる。

  今日、地球上に住むシリウス人、マローナ人、リラ人、ヴェガ人など全てのプレアデス/プレヤール系民族の末裔は太古においてヘーノクが120億年ほど前に最初の創生を行い民族を形成したときに発生したものである。

 古代のリラ、ヴェガ人は常に彼らの戦闘能力を維持し、自分たちの起源についての知識を保ちまた大事にしたがシリウス人やマローナ人たちは、それを失ってしまった。

 

・地球人類の間で神のように振舞ったのは、リラ人、ヴェガ人だけではなかった。その中には、プレアデス/プレヤール人もいた。これらの多くの神々たちは、粗暴で残忍な暴力をもって地球人類を服従させ、自分の勢力下に治めようとした。その最もなるものは、プレアデス/プレヤールの年代記に良心のかけらもない卑劣で陰謀的と記されているギゼー知生体である。

 

・それと並ぶのは宇宙人のアシュタール・シェランとその一味で、彼らは、地球人類に対し、権勢欲とイデオロギー上の惑わしで最悪の役割を演じた。

その後ギゼー知生体は1980年代にプレアデス/プレヤール人によって捕らえられ、悪事を働けない世界に追放され、また球状、三角形、および円盤状の彼らの宇宙船は全部破壊されてしまったので、宇宙旅行もできなくなった。また、アシュタール・シェランとその一味は、アスケットの民族を戦争による暴力で屈服させようと、数年前にダル宇宙に侵入したため、邪教や権勢欲による地球人への危険は去った。

 

・だが、アシュタール・シュランの司令宇宙船と全ての艦隊は火を噴く戦闘のさなかに彼を乗せたまま炎上し、全滅した。そのため、彼とその一味はもう我々のデルン宇宙に戻ってくることもなくなった。もし、彼らが転生を通じて生まれ変わってくるとしたら、それはダル宇宙であり、前世についての記憶は残っていない。なぜなら、霊性が生まれ変わるたびに総体的意識ブロックの人格変化も行われるからです。

 

 

 

『宇宙連合からのファーストメッセージ』 

セレリーニー・清子  文芸社   2001/181

 

 

 

<宇宙連合の宇宙船>

・「最小のものでしたら10名程度の超小型から、最大のものでしたら10万人位のスーパージャンボ型までございます」

 

・「宇宙船の中は、貴方達が想像できない位、素晴らしい環境が用意されていますから、例えば、地球にあった草花や小川とか、小鳥や動物まで、まるで今まで通り地球上で生活しているのかしらと勘違いするくらい、そっくりな環境が用意されていますから、安心して下さい」

 

 <宇宙の戦争は?>

・宇宙においても様々な考え方の違いによるところの戦争が無い訳ではありません。しかし、その戦争は宇宙連合に加入していない星と星との間で行われているものであって、私達宇宙連合に関わっている星々との間には、戦争はございません。

 

 

 

『宇宙連合から宇宙船への招待』

セレリーニー・清子 + タビト・トモキオ  たま出版  2002/4/15

 

 

 

<夢のようなリゾート気分の宇宙船へ>

・「はい、この宇宙船は縦が20キロメートル、横10キロメートル、高さ5キロメートルの楕円形の形をしています。そして大よそ3万人くらいの方達が乗っておりました。まだまだ小型の部類に入ると思います」

 

 <宇宙連合は地球年で何年位前に創られたか?>

 ・「宇宙連合は地球年代で申しあげますと、およそ100億年以上も前に創られました。そして、その星の数ですが、それは30の星から始まりまして、現在に至りまして100万近くの星になっております」

 

・「なお、この宇宙体験は夢の中におけるフィクションですが、中に登場されている宇宙連合のフィウリー総司令官、ケリアリー様、リメッシリー様、リオラー様、スミットナー様、シュリナース様と称される方々からのお話は、チャネラーである私を通して、実際に宇宙からのチャネリングによるものであり、ノンフィクションです。

 

 

 

 『宇宙連合からの宇宙旅行への招待』

セレリーニー・清子 + タビト・トモキオ  たま出版  2002/9/17

 

 

 

<宇宙船の全貌>

・宇宙母船には32の宇宙船があり、それぞれが1本ずつ、32本の腕が交互に高さを支えて段違いに生えたような姿に設計されています。その一つ一つの宇宙船は、みなそれぞれに独立した言わば国のようになっています。

 

・宇宙母船全体ですと直径1000キロほどありまして、母船本体だけでは直径800キロほどで、その一つ一つの宇宙船には更に小型宇宙船が大小約100機ほど用意されております。このように必要に応じていつでも利用されています。

  また、人口は、現在60万人くらいですが、最大限で100万人くらいは搭乗可能ですね。

  以前10万人乗りの大型宇宙船もあると申しましたが最初から皆様を驚かしてはいけないと思いまして、少し控え目にお伝えいたしましたが、実際にはこのようにその10倍以上の100万人乗りのものもあるんですよ。

 

スター・ウォーズの世界がそこにあった>

・「実は地球の皆様に、この宇宙母船の防衛システムをご覧いただきながら、普段どのようにしてこの宇宙船で生活している約60万人の生命をお守りしているのかを、実際にご覧いただきたいと思います」

 

・地球で起きている戦争は、この宇宙でも起こっているということです。

 

<過去にも未来にも自由自在にタイムスリップ>

・宇宙には過去・現在・未来がたたみこまれている。

 

 

 

『『啓蒙の世紀』のフリ-メイソン』 

ピエール=イヴ・ボルペール    山川出版社 2009/4

 

 

 

<カメレオン的社交組織>

・フリ-メイソン団がこのように複雑な外観を呈するようになった理由は、それが絶対的な権威をもつ教義や経典を欠いていたからである。

 

・こうしてフリ-メイソン団は、はやくも「啓蒙の世紀」前半から、ヨーロッパ諸国住民の多様な社会的・文化的・思想的欲求の受け皿になった。それは、社交クラブ、相互扶助団体、学術アカデミー、文芸協会、親睦団体、球戯同好会、宴会組織などを同化吸収して拡大し、ときには幾何学の研究や抒情詩の朗読と、錬金術の実験や、 降霊術の儀式とを同居させ、保守的なカトリック聖職者も急進的な啓蒙主義者も等しく受け入れることにより、多様な柔軟性のある 社交団体として発展した。それは時代の思想潮流や社会環境や政治変動にすみやかに適応できる融通性の高い組織、ボルペール氏の表現を借りれば、カメレオン的社交組織だったがゆえに数々の戦争や迫害を乗り越えて、300年もの間、生命を保ち、いまなお700万人ないし800万人の加入者数をほこる世界最大の秘密友愛団として存続しているのである。

 

 <フランスの歴史家による限定的貢献>

 ・結局のところ、フリ-メイソン史はフランスの大学に所属する多くの研究者にとって、地雷つきの畑地のようなものであり、そこに迷い込むのは評価を高めないだけでなく、危険なことでもあるのです。フリ-メイソンの歴史は依然としてよく知られていません。

  一部の人々は、それを制度上の年代記に還元し、それで事足れりと考えていますし、別の人々は自分がフリ-メイソンでないと、史料は見られないのではないかと想像しています。

 

 ・ただひとつ獲得された成果は、フランス革命の起源にはフリ-メイソンの陰謀があったという主張が、今日では消滅したことです。しかしとりわけドイツの場合と異なり、「フェアシュヴェールングステオリー」すなわち陰謀理論(英語ではコンスピラシ・シーオリ)は、フランスでは歴史研究の対象とされていません。

 

 

 

『こうして、2016年、「日本の時代」が本格的に始まった!』

日下公人  WAC   2016/2/24

 

 

 

<「日本の時代」の始まり>

<世界の国がすべて崩壊し始めた>

・2016年に入って、世界が崩壊し、日本の時代が始まったことを象徴する出来事が次々と起こっている。中国経済の崩壊、サウジアラビアとイランの衝突、北朝鮮が「水爆」と称する核実験など、世界の崩壊が現実のものとなって表れてきた。世界各地で問題が噴出し始め、世界はますますひどい状態になっている。それを解決できる国も存在しない。

 

アメリカもヨーロッパもロシアも、もはや力がない。つまり、これまで世界を支配してきた「白人」の指導力の衰えが明確になっているということだ。

 では、中国はどうかというと、経済指標はごまかしだらけで、国内では事故が頻繁に起こり、破綻状態である。国内の不満を逸らすため、海洋進出を図っているが、人工島建設などで世界から警戒され、嫌われている。

 言うまでもないが、世界一安定した実力を持った国が日本である。世界が沈んでいくなかで、日本の実力が突出してきた。

 

アメリカにもヨーロッパにも、もう力がない>

・しかし、規模の利益しか見ていないところに彼らの失敗があった。「規模が大きくなれば大丈夫だ」と思って、安心してますます働かなくなる国が出てきた。EU域内で、国民が一所懸命に働いている国はドイツくらいである。あとの国はぶら下がり集団になってしまった。

 特に、債務危機が起こった国々は、もともとぶら下がり精神からくっついただけである。

 

埋蔵金があるからヨーロッパ人は働く気がない>

・ヨーロッパが深刻な経済危機を迎えながらも辛うじて保たれているのは、各国が埋蔵金を持っているためだ。何百年もの間、植民地から搾取を続けてきた埋蔵金が眠っている。

 

<多くの日本人がいよいよ目を覚ました>

・「日本の実力」というと、政府の力を思い浮かべる人もいるかもしれないが、日本の実力は、政府ではなく民間にある。

 私はずっとビジネス界にいたからよく知っているが、戦後に鉄鋼、電力、石炭、海運が回復したのは、通産省が主導した奇跡の回復などではない。すべて国民が働き、復興させてきたものだ。通産省はその果実を貢がせて、勝手に自分たちの手柄としただけである。

 

通産省農林省の役人たちは、自分たちに都合よく『通産白書』『農林白書』を書いてきた。『建設白書』も同じである。それをマスコミが鵜呑みにしたから、役所の主導で日本が復活したかのように誤解されているだけだ。

 

<「日本の時代」には、たかりに気をつけないといけない>

・世界があまりにもひどい状態のため、日本の素晴らしさが際立ってきたが、それに満足して喜んでいるだけでは駄目である。

  日本の調子がよいため、よその国からたかられ、ゆすられる可能性が大きくなった。それに対してきちんと備えをしておかなければいけない。

 

・我々日本人が知っておかなければならいことは、「世界はみんな腹黒い」ということである。欧米がつくり出した戦後史観のなかでは、「欧米諸国は先進的な素晴らしい国」ということになっているが、世界史を冷静に振り返ってみれば、彼らがいかに腹黒いかがよく分かる。

 しかし、彼らは腹黒いのが当たり前だと思っている。日本とは常識が違っている。もちろん、自分たちが腹黒いという認識はない。

 外交だけでなく、ビジネスにおいても、日本と外国では常識が違っていることが多い。日本は以心伝心が成立する国なので、自分でも自分が分からない。いかに善人かの自覚がない。言語、文書、契約などで念を押す習慣がないため、日本人は騙されて損をすることだらけである。

 

・日本が世界の中心になればなるほど、世界中の腹黒い国が嫌がらせをしてくる。「日本の時代」を迎えるにあたって、「世界は腹黒い」ということを強く認識しておかないといけない。

 腹黒い国がどんな腹黒いことをするかを、日本人はもうよく分かったと思っているようだが、まだまだ足りない。それから、どんな国が狙われるかは常識で分かる。その例をいくつか挙げてみよう。

 

グローバリズムを真に受けてドアを開けてしまった国

② 国内相互もそうなった国

③ 生活も産業もすっかり高度化して、世界市場と世界の情報網に連結してしまった国。

④ 外国からのサイバー攻撃や細菌攻撃や情報攻撃や条約攻撃に弱い国。

⑤ 用心不足でテロや工作にも弱い国。

⑥ しかも余裕資金と善意に溢れている国。

 

と書き上げていけば、日本が一番弱い国だと分かるではないか。

 

<日本が目覚め、アメリカ、中国が報いを受ける>

・瀬島は喜んで教えてくれた。

 

「あの当時は、ドイツが勝つと信じていた」

 しかし11月の末に、モスクワの前面50キロのところでドイツ軍はストップした。攻撃再開は来週かもしれない。冬だから春まで待っての攻撃再開かもしれない。だが、いずれは攻撃を再開し、ドイツが勝利する。それに乗り遅れてはいけないので早く参戦しなければいけない、という雰囲気だったそうだ。

 

・その話を聞いたときに、これはウソではないだろうと思った。「勝ち馬に乗れ」ということで、開戦が決まったのだ。

大本営はドイツが勝つと信じていたから、3月の攻撃再開が駄目でも、4月か5月にはドイツが勝つだろうと見ていた。

大使館などを通じて、ドイツの攻撃はこれでストップだという電報は入っていたはずだが、それは重視しなかった。大本営の判断ミスと言っていいだろう。

 

<どうしたら、あの戦争に勝てたのか?>

・当時は、原爆投下で一般庶民が大量に殺されても「残虐だ」という意見は軍部ではほとんど出ていなかった。というのは、日本も原爆の研究をしていたからだ。「残虐非道だ」」という意見よりも「開発競争に負けてしまった」という声のほうが多かった。もし日本が先に開発に成功していたら、日本が先に使っていたはずである。

 その点では、日本も強く言える立場ではなかったが、もちろん当時の国際法の常識では一般市民を殺してはいけないことになっていたので、東京大空襲や原爆投下は犯罪である。

 

<主権を奪うTPPは即座に撤回してやめるべき>

アメリカが主導しているTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、とんでもないインチキだ。安倍総理アメリカとの正面衝突を避けたいから要領よくやっているのだと思うが、TPPはアメリカによる主権の強盗のようなものだ。

 

・関税は一括で決めるのではなく、国家の主権を大事にして一つひとつ交渉していくべきである。アメリカ人が「一括引き下げせよ」というのは、人を馬鹿にしているとしか言いようがない。彼らは他国から主権を奪い取る強盗のようなものだ。

  ところが、日本の外務省の人や秀才たちは、いまだに全部まとめて一括でやることはいいことだと思っているのである。

 

<「グローバリズム」を理解するにはユダヤ人の歴史を知る>

ユダヤ人が金に執着するのは仕方のない面がある>

ユダヤ人たちは、ローマ軍に包囲されて、最後の砦と言われるマサダの丘の上に籠ったが皆殺しにされた。そのとき、マサダに籠もらなかったユダヤ人もいたが、その人たちにローマは人頭税をかけた。それが降伏を許した条件である。デナリという特別の通貨を発行して、定期間ごとに1デナリを持ってこないと死刑にするとした。人頭税は過酷なものだが、かなり効き目がある。

 

人頭税をかけられたユダヤ人は、定期間ごとに1デナリを持っていかないと殺されてしまうから金にうるさくなった。ユダヤ人が拝金主義になったのは、ローマ人が悪いのであってユダヤ人が悪いわけではない、と私は思っている。

 こうしたユダヤ人の歴史のあらすじを知っておくと、「グローバリズム」について理解しやすくなる。ユダヤ人にとって、金は自分たちの命を守るために非常に大事なものなのである。

 その後、ユダヤ人たちは金を儲けて、国際金融資本というものをつくった。金というのは動かしたほうが儲かる。戦争であろうが何であろうが、金が動けば儲けが出る。金が自由に動けるようにするには国境なんかないほうがいい。それが、ユダヤ系の国際金融資本にとって一番有利な環境だ。そういう環境をつくるために出てきた言葉が「グローバリズム」である。

 要するに、「グローバリズム」というのは、ユダヤ的な一神教の考え方だ。金融の邪魔になる国家の壁をなくそうとするものだから、国家を大切にする「ナショナリズム」とは対立する。

 

グローバリズムの本当の目的が隠されてしまっている>

・欧米の国際金融資本が推進している「グローバリズム」というのは、一言で言えば「国境」をなくして「国家」をなくそうとするもので、それが彼らの金儲けには一番都合がいい。

 

グローバリズムと国内改革も、利害が一致している面がたくさんある。グローバリズムの本来の目的は、「国境をなくそうとすること」である。TPPの目的も、関税自主権という「国家の主権を奪うこと」である。それが隠されて、どんどん国内に入ってきてしまっている。

 

<日米関係を楽観視しないほうがいい>

・黒人の地位が急に向上したが、それは有色人種でもやればやれるという日本の成功に目覚めた運動だった。そして公民権法ができ、そのあとには黒人の大統領が出現した。

 日本の実績は、外国人がもっている有色人種を下に見る考えを次々に打ち破った。

 

<なぜ、日本はこれほど素晴らしいのか>

・戦後の日本がアメリカ化したのは占領政策もあるが、アメリカから楽しいものがたくさん入ってきたことも大きい。それを日本人はうまく取り入れて、大衆の力で戦後の日本を発展させた。

 

アメリカは「大衆文化」の発明で金持ち国になった>

アメリカがこれだけ強く大きくなって世界中から受け入れられたのは、遊ぶ楽しさを世界に伝えたからだ。ハリウッド映画、音楽、ジーンズ、オートバイ、スポーツなどたくさんある。名前を付けるとすれば「大衆文化社会」である。「大衆文化社会」はアメリカの最大の発明品だ。

  アメリカは金持ちの国だから大衆文化社会をつくり出せたのではなく、大衆文化社会をつくったから金持ちになった。

 プロスポーツというのも、アメリカの発明品だ。スポーツのプロ化、つまりショービジネス化だ。もともとスポーツの分野には、世界中のどこにもショービジネス的なものはなかった。アメリカはショービジネスとして、みんなを楽しませるスポーツに変えた。

 アメリカはヨーロッパの貧しい人たちが移民してつくった国だから、下級労働者しかいなかった。彼らは頑張れば中流になれると信じて働いた。

 

・スポーツ選手を目指した人間も多く、野球界などに入った。アメリカ人は野球をプロ化して、「観たければお金を払って下さい」とした。こうしてお金を払ってスポーツを観る文化ができ、選手たちはお金を稼ぐことができた。アメリカが発達したのは、何でもプロ化したからだ。

 野球の場合は、都市対抗という形が創造された。アメリカには野球の球団が多い。小さな町にまで野球のチームが浸透している。彼らは都市対抗の意識で戦っているから、ものすごく盛り上がる。

 スポーツのプロ化によって、庶民がお金を払ってスポーツ観戦を楽しむようになり、それが世界中に伝わった。アメリカの大衆文化社会は、世界に冠たる発明品だった。

 

アメリカの大衆文化社会はスポーツだけでなく、自動車にも及んだ。産業革命後の技術進歩を取り入れて、フォードが画一的大量生産を導入し、庶民が自動車を買えるようにしていった。

 

<古代から「文化」を売る国が繁栄してきた>

・20世紀はアメリカの大衆文化が世界に広がり、アメリカが強大な国となった。世界史を振り返ってみると、常に「文化を売る国」が繁栄してきた。

 ヨーロッパの文化はギリシャで発祥し、ギリシャはローマに文化を売りつけた。ローマは全ヨーロッパに文化を売りつけた。ヨーロッパはイギリスに売り、イギリスはアメリカに売った。アメリカは日本にずいぶん売りつけた。次は、日本が文化を世界に売る時代だ。

 

・文化の影響力がいかに大きいかは、フランスの政策を見ても分かる。

 フランスは、文化については国粋主義の方針を採っている。テレビでは日本製のアニメをそのまま放送してはいけない。あたかもフランス製に見えるようにしなければいけない。主人公の名前も日本風の名前でなく、フランス風の名前に変えられたりしている。

 フランスの子供たちは、日本のアニメとは知らずにフランスのアニメだと思い込む。そういうふうにさせている。

 フランスでは放送時間も、外国製の番組が一定時間を超えてはいけないといった規制をしている。

 これだけフランスが警戒しているのは、文化の影響が非常に大きいからだ。文化を売る国が世界の中心となる国である。

 日本の文化はヨーロッパ、アメリカだけではなく、アジア諸国でも非常に人気がある。反日の中国でも、若い人たちは日本の文化が大好きだ。コピー商品、まがい物も多いが、それだけ日本文化の需要が大きいということだ。「日本的なもの」を世界が求めている。

 

<「育ち」のいい日本人だから高級品をつくれる>

・これからの日本は、高級品だけをつくり続けていれば儲けは大きい。安いものを大量生産しても利益は出ないから、大量生産する必要はない。トヨタ自動車はレクサスを中心にすればいいと思う。軽自動車をインドで売るのはかまわない。軽自動車というのは、インドでは高級車だからだ。

 

<日本人がつくると、どんなものも「文化的」になる>

アメリカ人は「清潔」を金儲けとして考えたが、育ちのいい日本人は「清潔」を文化として製品のなかに入れた。

「清潔」「衛生」に限らず、「いい匂い」とか「うまい」とか、そういった繊細で文化的なものは日本人にしかつくれない。それを世界の人が求めている。柄の悪い外国人たちも、文化的な日本の製品を知ると、そのよさに惹かれてしまう。これが日本の最大の強みだ。

 

<子供たちから始まっている世界の「日本化」>

<「普通の国民」がみんな賢いのが日本>

・日本国民は世界で一番賢い。近代の欧米の大学の先生をすべて合わせたくらい、日本の普通の人はみんな賢い。それは、子供の頃から日本語で育ち、そのなかに情緒や思いやりの心が含まれているからだ。普通に生活しているだけで賢くなり、創造性が高くなる。

 これからは、日本人が何も発言しなくても、向こうが日本人のことを勉強する時代になる。

 

 

 

『独走する日本』     精神から見た現在と未来

日下公人    PHP  2007/11/5

 

 

 

<日本は「原子爆弾を持て」という結論になる>

・その26の階段を手っ取り早く言って、その登りきった先に何があるかと言えば、「日本は原子爆弾を持て」という結論がある。

 

<借金を踏み倒す国には軍隊を出すのが常識>

・まず、世界の常識と日本の常識はまるで、違っている、というのが大前提である。

 

・第1番は、借りた金はなるべく返さない。これが世界の常識である。第2番は、返したくないのは誰でも同じだが、特に国際金融がすぐに踏み倒される理由は、警察も裁判所もないからである。

 

・第3番は、日本政府は、外国政府に対して取り立て交渉をしない。

 

・第4番は、踏み倒す国に対しては、圧力をかけない。軍隊を出すことになっている。戦争をやるか、やらないかは別として、これこそ国際常識である。

 

・第5番は、軍隊が駐留することになっている。「ワシントンにいるのは、アメリカ人としては変な人たちだ」と田舎のアメリカ人は、そう言っている。

 

<国際金融は必ず軍事交流になっていく>

・第6番は、アメリカが軍隊の駐留を認めなければ、日本は自然にもう金を貸さなくなる。だから、国際金融をやっていると債権大国は、だんだん軍事大国になってしまうのである。

 

・第7番は、したがって、債務国は軍事基地を提供し、債権国は、軍隊を海外に派遣するようになる。

 

・第8番は、保障占領という前例がある。それは相手国の領土を担保にとるのである。

 

<金を借りている国は、日本に宣戦布告する>

・話を戻して第9番に、債権国と債務国の中が悪くなって戦争になった時、周辺の利害関係国はどちらの味方をしますか?・・・・と考えてみよう。これも日本と外国とでは180度常識が違う。日本人は、外国は日本の味方をしてくれると思っている。

 

・つまり第10番は、周辺国は勝ちそうで儲かりそうなほうにつく、それだけのことである。これが国際常識であり、歴史の常識である。前例なら山ほどある。

 

・つまり第11番、周辺国は自分が金を貸しているほうにつく、借りている国にはつきたくない。

 

・だから第12番、先に述べたように、自分がたくさん借りている国にはむしろ宣戦布告して、勝ったら借金をチャラにしようとする。

 

・第13番、債権国が持っている財産は戦利品として山分けしたい。以上をバランスよく考えて、儲かりそうなほうにつくのである。正しいかどうかは関係ない。

 

<世界一貸している、だから世界で一番立場が弱い>

・周辺国は自分が金を借りている国にはつかないーということからわかることは、つまり日本は世界で一番立場が弱い国だということである。

 世界中に一番たくさん貸している国だということは、「早く滅べ」と思われているのと同じである。「パアになってほしい」と思われている。

 

・同じように周辺国は中国にくっついて日本に宣戦布告して、中国が勝ったら自分も戦勝国だと日本に乗り込んで、まずは借金チャラさらに日本から何か分捕ってやれ、ということになるのが国際常識である。

 

・第2次世界大戦のとき、日本はそういう目に遭っている。多くの日本人は、当時戦っていた相手はアメリカだと思っているが、終戦直前には約50ヵ国が日本に宣戦布告している。その大部分は、なんの関係もない遠方の国々だった。勝ちそうな側についたのである。

 

・そして戦後何十年間も日本に対して、貿易でも金融でも「戦勝国特権」というのを行使したのである。何十年間もそれが続いたのは日本外務省の責任だが、怠慢か弱腰か、太っ腹か、その原因は知らない。

 

<金を貸す国は軍事大国化するもの>

 ・海外債権を持って立場が弱くなる。周辺にも味方がなくなる。つまりこれからの日本外交は本当に大変なのである。そのときに頼れるのは自分の武力だけである。だから、国際化する国は必ず、軍事大国になる。

 

・国際化する国、特に金を貸す国は軍事大国化する。これは「法則」である。

 

<債権国は国連が好きになる>

<そもそも働かなくなる?>

・日本人はもう海外投資を差し控えるようになる。金を貸さなくなる。すでにそれは始まっている。たとえば、中国に対してはもう劇的に減った。

 

・日本の外務省と通産省は、毎年1兆円のODAを貸したりあげたりしているが、その管理哲学を国民に説明したことがない。焦げ付いたり、踏み倒されたり、恨まれたりだが、日本国民がそれに気がつかないように隠すのが仕事になっている。

 

<武力を持つなら安上りの原子爆弾

・国連強化こそが日本の生きる道であると決めて必死でやる。

 

・自分が武力を持つ。そして世界を取り仕切る。海外派兵もする。こうした方法の一番安上りで効率的なのは原子爆弾を持つことである。だからそちらの方に動いていく。

 

<世の中は複雑怪奇、世界の人はタチが悪い>

<国民の気持ちを表に出すODAを>

<ODA1兆円で日本発の世界秩序をつくろう>

 

 

 

『闘え、日本人』   外交は「見えない戦争」である

日下公人    集英社インターナショナル  2005/10/3

 

 

 

<欧米人は“事務的”に戦争する>

・彼らの暮らす世界では、戦争のほうが日常で、むしろ平和は戦争と戦争の間のごく例外的な事態である。海に囲まれた島国と違って、大陸区では隣国と地続きでつながっている。国境の向こうから、ある日、突然敵が押し寄せてくると、ただちに戦争が始まる。

 

・戦争が日常なのだから、欧米人は日本人のように逆上せず、きわめて事務的に冷静に戦争を行う。戦争のたびに逆上しているようでは、そんな国家や民族は滅びてしまうからである。

 

・日本人のように「永久平和」を本気で願っているような純情な国民はどこにもない。食うか食われるかが国際政治で悪知恵の限りを出して生きてゆくのが当然の世界なのである。

 

<日本の核武装は1年で完了する?>

・もし、日本が本格的に再軍備を始めれば、中国も韓国も、もちろん北朝鮮も対抗できないくらいの軍事力を持った国家になるはずである。やろうと思えば日本はあっという間に核兵器を作り出すことができる。それが5000発分か1万発分かは大型原爆か小型原爆かにするか、ともかくその原料となるプルトニウムを日本は青森県にたくさん持っている。やる気になれば1年で原爆は開発できる。

 

<若者増加が戦争を招く>

・ガストン・ブートゥールは「古来、人間が戦争を起こす理由はただ一つしかない」と言って、その理由を「若者が増えすぎることにある」とした。

 

・つまり、「戦争の結果、人が死ぬ」のではなく、「若者がたくさん生まれ、人口が増えすぎると、戦争が起きて人口調整する」と答えたのである。

  

・むろんどこの国の、どの時代の指導者も政治家も、自国の国民が多いからという理由で戦争を始めるわけではない。しかしながら、現実としてみれば、たしかに戦争を起こす国は決まって国内に「余剰人員」を抱えている。特に若くて血の気の多い青年が多い国は戦争を起こしやすい。

 

・またブートゥールは「若者がたくさん戦死すれば、戦争は当初の開戦目的に関係なく自然に終わりを迎える」とも書いている。逆に言えば戦争の真の目的は余剰人口の解消なのだから、若者がたくさん死なない限り戦争は終わらないという事でもある。

 

<世界中にあった「口減らし」の知恵>

・ブートゥールは古代のアラブでは男の子を尊び、女の赤ん坊はしばしば殺されていたと書いている。女性の人口が減ればいきおい出産数が減る。人口調整としては最も効果的な方法である。

 

少子化日本は世界平和のリーダーになれる>

・中国は一人っ子政策を採っているが、実際のところ、それがうまく行っているのは上海や北京といった大都市で、地方特に辺境地方では守られていなかったり、除外されたりしているらしい。農村部で人が余っていることは行ってみればわかる。右を見ても左を見ても若い人だらけである。続々と上海などの大都市に人間が流入したり、あるいは海外に密航してでも稼ぎに行く人間が減らないことにもそれは現れている。つまり中国は戦争や内乱の危険がなくならないということである。日本は中国に対してこれまで多額の経済援助をしているが、その資金の多くは中国の軍備増強に回されてきた。

 

<「現状打開派」が戦争を起こす>

・答えを先に書いてしまえば、戦争は現状打破派と現状維持派との間で起こる。そして戦争を最初に仕掛けてくるのは、かならず現状打破の側である。これは戦争の鉄則と言っていい。

 

中国共産党が抱える二つの悩み>

・「日本さえいなければ」と思っている国の筆頭は何といっても中国である。彼らとしては日本は「目の上のたんこぶ」で、その現状を打破したいと思っている。

 

・経済でいえば、中国経済が抱えている大きな問題の一つはエネルギー不足である。

 

・中国の共産党政府は人民が何億人飢え死にしようとも気にしないが経済が混乱して軍が離反することを恐れている。中国史をひもとけばわかるが歴代王朝の交代はすべての軍隊に給料を払えなくなったことから始まっている。

 

・給料を払ってもらえなくなった軍隊は王朝に離反して、かならず各地方の徴税権を持った軍閥になる。そうなったら中国共産党はおしまいである。

 

・ちなみに中国の王朝が倒れるもう一つの原因は農民離反である。

 

・中国史の権威である岡田英弘氏が書いておられるが、中国では飢饉が当たり前で、むしろちゃんと食料が足りている時期のほうが珍しい。だから日本人のように故郷が恋しいとは思わない。故郷に帰るくらいなら殺されたほうがましだと思って反乱を起こすのである。

 

・さて、経済が破綻したらどうなるか。農民は内陸部に帰らないから都市部と内陸部の中間地帯に反乱がおきる。もう起こっている。

 

・これから予想される貧富の差の拡大による混乱は極貧の奥地でなく、大都市周辺の人口増と経済発展がともに盛んだった地域で起こる。大都市のバブル的発展に動員されて集まったたくさんの農民はどこに帰るのか。奥地に帰るより大都市の向かって進むと考えるほうが歴史的認識というものである。

 

 

 

『中国の崩壊が始まった!』

日下公人   石平  ワック  2008年6月28日

 

 

 

独裁政権の常として、中国共産党政権はいずれ対外的冒険主義の道に走ってしまうのではないか、という危惧>

・石;しかし、中国国内で内乱が起きるとしても、その内乱を抑えるために、いっそ台湾を攻撃しようと冒険する可能性もあります。

 

・日下;私がはじめて中国に行った30数年前は、中国人はとにかく貧乏で食うものも、着るものもない、足に履くものもない、帽子もないという状態。憧れの帽子というのが人民帽だった。

 

文化大革命;1966年頃から1970年代まで続いた文化運動。共産党指導部に扇動され、事業家などの富裕層から学者、医者などの知識人まで弾圧の対象になった。さらに弾圧の対象は中国共産党員にも及んだ。多くの人材や文化財などが被害を受けた。期間中の行方不明者を含めた虐殺数は、数百万人~3千万人ともいわれる。1977年8月、中国共産党文革終結を宣言した。

 

<中国人は仲間も信じない、ましてや外国人は絶対に信じない>

日中友好を言葉にするのはいいが、信じるのは馬鹿>

石;私がいつも思うのは、日本の中国に対する態度は、この何十年か、男に虐められながらも、その男を諦められずにまだずっと片思いを続ける“貢ぎ女”みたいだと。

 いくらお金を貢いでも、また虐められても中国に片思いを持ち続けるのが日本ですよ。そんな馬鹿なことはやめて下さいと(笑)。

 

石;一番悪いのはあの政党ですよ。政権が政権を守るために、平気で嘘をつくから国民も嘘をついていいじゃないかなとなっている。あるいは、天安門事件のように、政権が政権を守るために平気で人を殺すから、国民も人の命を何とも思わないでしょう。

 

<中国の若者の拝金主義とナショナリズム

石;今の中国の若者たちが一番憧れているのは、おそらくアメリカ的な生活スタイルで、日本で言えばホリエモン的な、ものをつくるというのではなく、インターネットや金融などで、苦労せずに金儲けすることです。

 

<なぜ中国は日本を悪者にするか>

日下;「日本は悪いことをしたというけれど、イギリスがした悪いことは桁が全然違う」と中国人がいったという話だ。イギリスのほうが日本の百倍も悪いことをしたということを、日本はいってもいいと思う。

 

日下;中国には、「遠交近攻」といって遠くと仲良くして近くを攻めるというのがある。だから、日本は攻められる立場ですね。これでは、永久に親善でもない。

 

<雇用確保と経済成長維持の解決法は台湾侵略>

石;今の中国を端的に反映しているのは雇用問題で、毎年大学生の30~40%は卒業しても就職できない。今はまだ毎年10%以上の成長率があってですよ。それじゃ半分に下がったら、どうなるか。

 

 

 

「日本と中国は理解しあえない」

日下公人   石平     PHP    2008年4月7日

 

 

 

<中国が台湾併合に向かわざるをえない理由>

石;すでに中国では年間、何万件という暴動が起きています。これから建築現場で働いている億単位の出稼ぎ労働者が仕事を失えば、先ほど述べたように直ちに流民となって反乱勢力になる。あるいは今、大学生でも年間150万人ぐらい卒業生が就職できずにいるのです。そういったエリート層の不満勢力も蓄積されています。貧富の格差がひどく、社会的保障体制もきちんとしていません。中国政府が公表している数字でも、6割の国民は一切医療保険を持っていないのです。人々の不満が高まれば、再び天安門広場に集まる状況になりかねません。社会的不安が潜在的に大きく、それが増大しそうなのです。

 

石;おそらく、中国共産党には二つの選択肢があります。第一は国内的危機を回避するために民主化、政治改革を進める。第二は国外に敵を作って人民の目をそちらに向ける。今までの伝統的な独裁政権のやり方としては、ご承知のように第二のほうです。ではどこにやるかというと、結局台湾になるわけです。

 

もし、台湾を攻撃したら、おそらく中国共産党は国内の問題を一時的に片づけることができます。経済は戦時統制をすれば大丈夫だし、国民の不満も一気に吹っ飛ばされます。というのは、共産党の何十年間の教育の成果で、国民のおそらく99.9%は台湾を中国の一部、我々の神聖なる領土で、必ず統一しなければならないと思っています。ですから場合によっていろいろなシナリオがありますが、一つの大きな可能性として現実的に5年以内に中国政府が台湾を武力で併合する、あるいは中国の言葉で言えば統一のための戦争が始まる。

 

 

 

『国家の正体』  小泉改革の先を考える

日下公人   KKべストセラーズ    2005/12/5

 

 

 

<丸裸の日本から益荒男(ますらお)の日本へ>

<日本の資本主義は丸裸、女の資本主義である>

・論より証拠、国家の保証がないために、中国に行って日本の商社員や銀行員は、監獄にぶちこまれたり、その他ひどい目にあっている人が、大勢いるが、日本の外務省はまったく保護しないし、中国当局に文句を言おうともしない。新聞も報道しない。

 

・イギリスは、自国民の保護のためには、昔から軍隊を派遣しているし、アメリカは海兵隊が「有事の際はいつでも行くぞ」と睨みをきかせている。ところが、日本は何もしないと中国は分かったので、安心して好き放題に日本人をいたぶる。

 

<日本は「八方広がり」の国である>

・今回の北朝鮮との問題に関する議論を見ても、マスコミ論調の多くが、日本の行動基準をひたすらアメリカの同盟関係においている。それだけの視点しかないとすれば、日本はただアメリカと寄り添っていればよいのであって選択はもうそれで決まりだが、本当に日本の選択はそんなに限られているのか。

 

・日本は八方ふさがりに陥っているという議論に対して、むしろ私は、「八方広がり」だと言いたい。とことん追い込まれれば、日本人は一気に梁を破って跳躍できる。そういう力があるから切羽つまるまでじっとしていられるのであって、それはきわめて幸せなことである。

 

<日本は原潜と空母と原爆を持つと言えばよい>

・もう一つ、世界経済を動かす力はいま輸出力から輸入力に移っている。決定的にものを言う力は「どれだけ輸入できるか」である。

 

・「輸入力」で見れば、世界一はアメリカで、第2位が日本。中国の輸入力は急伸しているが、まだ小さいのだから、そのとおり日本もふるまえばいい。

 

・「日本は実力がある」と、誰も言わないことをここで言ったのは、従来発想の固定観念から離れた問題提起である。日本の国家戦略に「自立」という要素を織り込んだ場合の至極まともな提案だが、固定観念や従来発想から離れて、「日本は原子力潜水艦原子力空母と原子爆弾を持ちます」と言ってしまえば、環境は劇的に変わる。言うだけで変わる。これ以上日本に対して、失礼を重ねるなら、そうせざるをえないというのがよい。

 

・新聞や従来発想に凝り固まった永田町の人たちからは大非難を論じようが、日本が独立国である以上はその選択をしたことでどこからも非難を受ける謂れはない。外交上の技術としてはいろいろな前提を設けて宣言すればよい。

 

<核保有を抑止力として機能させる>

・こうしたことを考えるにあたっては、いまや戦争の研究が必要である。戦争の始め方や戦争の終わらせ方はいろいろある。また終わらせた後の秩序についても構想がなければならない。日本にはそれが全く欠けているので、武器の保有について考える力がない。それから軍事大国のビヘイビアについて想像する力がない。

 

・日本は原爆を持つと言えばいい。そして朝鮮半島のことは日本が対処するからアメリカは道義的にバックアップしてくれればありがたいと告げる。

 

・日本がいつでも核を保有できることは誰でも知っている。そこで一歩進んで必要とあれば保有する気があることを示すだけで相手に対して効果がある。抑止力として機能させるのである。

 

非核三原則や武器輸出禁止は日本が自分で決定したことだから、いつでも自分で取り消しができる。取り消すぞと言う外交上のカードを日本は持っている。

 

 

 

『リベラルタイム   2016.4』

特集『「世界恐慌」をどう凌ぐか?』

 

 

 

<税収減少→財政赤字の増加→社会保障の削減>

『低い「租税負担率」を維持する「GPIF」運用改善を (金明中)』

 

<株価の運用による利益の増加を見込み、GPIFは運用比率を高めた。財政状況によっては高いリターンが望めるが、現在の状況では、リスクが高い。このままでは、少子高齢化社会の社会保障制度を維持していけない可能性もある>

 

・株価の下落は、私達の生活と密接な関係にある社会保障制度に、どのような影響を与えるのだろうか。

 

財政赤字45兆円>

 ・1985年に14.8兆円であった財政赤字は、約30年後の2014年には3倍強の44.8兆円まで膨らんでいる。

 

<急増する社会保障費>

・なぜ、このような現象が起きているのだろうか。その答えは低い租税負担率や国民負担率と、高い高齢化率から説明できる。

 

・また、社会保障の面において、株価の下落が心配なのは公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用益を増やそうと、株式の運用比率を高めたことである。14年10月31日にGPIFは、既存の基本ポートフォリオを変更し、国内外の株式への投資を倍増させることを柱とする新しい基本ポートフォリオを発表した。国内株式、外国株式ともに以前の12%から25%にそれぞれ倍増させることにより資産運用における株式に対する依存度は2倍以上になった。

 当然ながら、株価が上がれば問題ないが、もし株価が暴落した場合には大パニックになるリスクを抱えている。GPIFが株式の比率を増やした理由は、運用利回りを高め、少子高齢化により悪化し続ける年金財政の持続可能性を高めるためである。しかしながら、高いリターンが期待できる投資はその分リスクも高い。

 

<年金積立金の行方>

・では、最近の運用実績はどうなっているか。運用資産額(15年9月末時点で約135兆円)が世界最大の投資機関であるGPIFの14年度の運用状況は、国内株式の上昇や円安の効果により、全資産においてプラスとなり、収益率はプラス12.27%、収益額はプラス15.3兆円となった。また、15年度第1・四半期の収益率、収益額はそれぞれ1.92%、2.7兆円で利益を出すのに成功した。

 

・しかしながら、GPIFが15年11月30日に公表した15年度第2・四半期の運用状況は、収益率がマイナス5.59%、収益額がマイナス7.9兆円で、これはリーマンショック直後の赤字5.7兆円を上回る過去最大の損失である。世界的な株価急落や円高等がマイナス収益率をもたらした主な理由である。

 さらに問題なのは、株価下落が止まらないことである。16年2月17日現在の日経平均株価は15836円36銭まで下がっており、マイナス収益率を出した15年度第2・四半期の日経平均株価18954円62銭(3ヶ月の単純平均)を大きく下回っている。

 第2次安倍晋三内閣の異次元の金融緩和処置の効果が出ず、このまま株価が下がり続けると公的年金の収益率はさらに悪化し、年金積立金をより早く枯渇させる恐れがある。高齢者世帯の6割弱が年金だけを所得にしていることを考えると、株価下落による年金積立金の減少は、我々の老後に対する不安感や、若者の年金に対する不信感を高め、年金の持続可能性をさらに低くする要因になり得る。

 

・政府は、より上手く外部要因に対応できる専門人材をGPIFに配置する等、国民の老後の虎の子である年金積立金をより効果的に運用するために多様な努力をする必要がある。金融緩和やGPIFを使った、意図的な株価浮揚政策だけでなく、長期的な視点で年金基金を運用し、社会保障制度の持続可能性を高めるための政策を実施すべきである。いまこそ政府の賢い判断が必要な時期だ。

 

<「消費増税」スキップ→埋蔵金バズーカ→名目GDP3.1%成長>

『「消費増税」延期「大型景気対策」で「3.1%」成長へ (高橋洋一)』

 

<政府は「2016年度の経済見通しを実質GDP国内総生産)1.7%、名目3.1と予測。現下の経済状況では安倍晋三首相は、消費増税はできない。大型の景気対策、追加の金融緩和こそ必要だ。

 

<株価は経済パフォーマンス> 

・まず中国経済である。この問題が不気味なのは、何しろ信頼すべき統計がないからだ。輸入が14%を超えるマイナスにもかかわらず、GDPが約7%成長とは、中国の統計がまったく信じられない。一人当たりGDP1万ドルが中進国の罠というが、その水準は別としても、中国の成長が鈍化し、壁にぶち当たっているのはほぼ確実なのだが、その解決策がない。

 

・あくまで株価は、経済パフォーマンスの結果である。株価が将来を先取りするから、株価が原因だと錯覚するだけである。特に、中国経済悪化だけでマイナス要因は十分である。このままいけば、日本の景気が劇的に反転する可能性は残念ながら少ない。

 

<消費増税は国民に委ねる>

・もっとも、いまの中国経済の状態を見ていると、「リーマンショックのような危機」といってもまったく間違いだとは言い切れない状況だ。

 中国の輸入統計は相手国の対中国向け輸出統計があるので、誤魔化せない。この意味で、輸入統計は中国の統計で唯一信頼できる数値である。

 

・15年の中国の輸入額は対前年比で14.1%の減少である。これほどのマイナスは、リーマンショック以来のようだ。日本を含む世界各国の中国向け輸出は、リーマンショック並みに減少しているのであるから、この事実から、すでに「リーマンショックのような危機」が起きているといってもいいすぎではないだろう。

 

・15年と16年ともに経済成長率はマイナスではないだろうか。そうであれば、これは、日本にとって明らかに「リーマンショックのような危機」が隣国で発生しているといってもいいだろう。

 

アベノミクス効果を還元>

・こうした世界情勢を考えると、とても日本国内で消費増税する環境は出てこない。このような時に、消費増税を強行すれば、日本経済にとって取り返しがつかないことになるだろう。

 

アベノミクスの成果について、いろいろな意見があるが、円安になって、失業率が低下したのは事実である。このため、政府にはアベノミクス効果が埋蔵している。つまり、円安によって外為特会に20兆円程度、失業率の低下によって労働保険特会に7兆円程度の差益が発生したのだ。

 これらのアベノミクス効果を国民に還元して、選挙に臨むと考えるのが自然であろう。この埋蔵金バズーカは、今後の経済状況から考えても、まったく正当な経済政策である。

 それと、追加金融緩和という手もまだ残っている。それらの財政政策と金融政策をフル稼働すれば、政府のいう16年度経済は、実質1.7%、名目3.1%成長を達成するのはそれほど難しいことではない。

  6月になると、消費増税スキップ、埋蔵金バズーカ、追加金融緩和が打ち出される、というのが筆者の予想である。

 

<株価急落→過剰な金融政策→株価乱高下>

『極端な各国の「金融政策」で異常に乱高下する「株価」 (朝倉慶)』

 

<世界規模の株価急落で、世界経済がどよめいている。日本では日銀のマイナス金利導入を断行したが、果たして、これからどのような展開が待ち受けているのか>

 

・株式市場をはじめとする資本市場も、常識的な考えでは対応できない異常事態が起こり得る、と覚悟する必要がありそうだ。

 

<世界的な「資源暴落」>

・いくつかの深刻な問題がある。もっとも大きな問題は中国経済の減速懸念で、これについては大規模だが一時的な崩壊まで覚悟する必要がある。リーマンショック後、世界を引っ張ってきたのは、中国からの膨大な需要だったがこれが劇的に落ちており、止まるとは思えない。これでは世界が身構えるのも当然だろう。

 

アメリカが利上げを行うことで、資金がアメリカへ還流、産油国新興国ではただでさえ厳しい経済状況に加えて、資金流出が止まらなくなってきている。また、日米欧等といった先進国も低迷する景気に対して、量的緩和やマイナス金利等、金融面で限度を超えた徹底した緩和策を取ってきたが、この金融政策においても限界が指摘されるようになった。これらの要因が複合的に絡み合い、いきなり今年のはじめから市場がクラッシュ状態に陥ってしまったのだ。

 

<異常な「金融政策」>

・まだ0.1%のマイナス金利のため実体経済に大きな影響は起こっていないが、マイナス金利の先進国であるスウェーデンデンマークでは消費が盛り上がり、不動産価格が急騰している。マイナス金利のマイナス幅が拡大されることによって住宅ローン等、お金を借りた者が金利をもらえるような状態にまでなっている。これでは消費が盛り上がるのも当然だ。

 

・日本でもマイナス金利が始まったばかりだが、これから本番となれば黒田東彦日銀総裁のいうように「マイナス金利付き量的・質的緩和は、これまでの中央銀行の歴史の中で、おそらく最も強力な枠組み」であることは疑いない。これを更に拡大させていくつもりなら、究極的に株式市場を刺激しないわけがない。

 

<止まらない乱高下>

・一方で中国経済の失速は止まりそうにない。投資家ジョージ・ソロスは「中国経済はハードランディングしている。これは私がいっているのではなく現在起こっていることだ」と述べた。ソロスの指摘通り、中国は市場をコントロールする力を失いつつあるので、中国経済はクラッシュを避けられないだろう。となると、今後は各国が政策対応したにもかかわらず、中国発のクラッシュが襲ってくるという展開が考えられる。

 

・中東の問題も中国の問題もかなり大きな衝撃だが、それが日米欧等の行き詰った先進国の経済や市場にも複雑な影響を与えている。これが当分収まりそうもないのが今年の市場だ。悪材料もメガトン級、それに対応する政策対応もメガトン級という風に、極端な事象がぶつかり合っているため、一般人が想像する以上に激しく上下する相場展開が続くだろう。

  

 

 

『リベラルタイム』 2015/12

特集『5年後の「日本社会」』

 

 

 

《政治 ▶景気回復なら次期首相は「谷垣禎一氏」   平河敦》

安倍晋三首相は内閣改造後、経済最優先を唱え、「新3本の矢」を掲げたが、3年後、安倍首相が後継に谷垣氏を指名できれば自民党は安泰。一方、石破・岸田両氏の総裁選となれば、野党の攻勢は確実。政権交代もある。

 

<「新3本の矢」は官僚の作文>

・「安倍首相側近の経済産業省の官僚が主導した作文に過ぎない。関係省庁の積み上げがないから具体性に乏しい」と冷ややかに見る霞が関官僚も多い。

 

・とりわけ参院選では、先の参院本会議で与党が採決を強行した安保関連法についての論議が、再び高まることも予想される。憲法学者らが、安保関連法は集団的自衛権の行使を禁じてきた憲法に違反するとして裁判を起こすだろう。その動きも参院選に影響を与えそうだ。

 

・日本経済の調子も思わしくなく、安保関連法への批判も再燃して、安倍内閣の支持率が3割程度にとどまれば、参院選での自民党の苦戦は必至。参院選前に「安倍首相では選挙が戦えない」として「安倍降ろし」の動きが出る可能性もある。仮に政権の勢いが弱いまま、参院選に突入すれば、自民党の敗北は避けられず、首相の責任論が出てくるだろう。安倍首相がこらえきれずに辞任に追い込まれれば、自民党は総裁選で新たな総裁・首相を選ぶことになる。

 

<石破・岸田の争いなら総裁選>

・安倍首相に余力があって、後継指名に影響力が及ぶなら谷垣禎一自民党幹事長が無投票で指名され、「ショートリリーフ」という展開もあり得る。

 

・一方、石破氏か岸田氏が後継首相に就いた場合、野党からは「国民の信を問え」との要求が高まるだろう。

 

<問題は景気>

・16年参院選共産党が独自候補の擁立を控えたこともあって、野党陣営は勢いづく。参院選自民党過半数割れに追い込み、続く総選挙で政権交代という岡田克也民主党代表の作戦は現実味を増していく。自民党の動向次第では、民主党の政権復帰も夢ではなくなる。

 

・20年までの政治は混沌としているが、その行方を大きく左右するのが日本経済の動向である。

 中国経済は変調が続き、日本企業の輸出が落ち込んでいる。アメリカの利上げは、一時的には円安につながるが、新興国経済に打撃を与え、ひいては日本経済にもマイナス要因になりかねない。

 

・日本国内の構造改革も進んでおらず、財政再建もめどが立たない。日本経済が再び停滞回路に入るようだと、政治への不信が募り、政権批判が高まるのは必至だ。

 

・20年までに日本を取り巻く国際情勢が大きく変化することは考えにくいが、アメリカ、中国、ロシアという大国をにらみながら、知恵のある外交をどう構築していくか。日本のリーダーに課せられたミッション(使命)は重い。

 

《経済 ▶デフレは完全脱却 日経平均株価「3万円台」  岡田晃》

 

・日本経済が回復するために不可欠な「デフレ脱却」。日本銀行の政策が奏功し、東京オリンピックパラリンピック開催へ向けたインフラ整備等の追い風もあり、経済的な見通しは良好だが、政治的失策のリスクにも要注意だ。

 

<懸念は消費の低迷>

・日本経済が2020年にデフレを完全に脱却している可能性は高いと見ている。それが実現するかどうかは、ここ1~2年が勝負となるだろう。

 

・しかしその後は上昇率が逆に鈍化傾向となり、最近はゼロ近辺で低迷、特に今年8月の指数は0.1%下落と、2年4ヵ月ぶりにマイナスとなった。このためデフレ脱却は遠のいたとの見方が強まっているのは事実だ。14年4月の消費税率引き上げによって消費が落ち込んだこと、原油価格の下落が物価全体を押し下げていることの2つだ。

 

・したがって一時的な調整はあっても、中長期的には構造変化を背景に景気拡大が持続する可能性が高い。その流れの中で物価は再び緩やかに上昇して、2~3年後までには2%の目標を達成、デフレ脱却が現実のものになるだろう。

 

<訪日外国人増加の効果>

・追い風もある。2020年の東京オリンピックパラリンピック開催である。

 

・これらの3つのオリンピック効果と関連して、訪日外国人の増加が日本経済を後押しする。

 

・訪日外国人の増加による経済効果はきわめて大きい。訪日外国人の日本国内での消費額は14年には2兆円に達しており、今年は3兆円近くまで伸びるだろう。3兆円といえば、景気対策として編成される補正予算並みである。直接的な消費額だけではない。ホテルや観光施設の新増築、交通インフラ整備、外国人を受け入れるための町づくり等の波及効果も生まれる。

 

<政治がつまずけば失速>

・その意味で、アベノミクスはいまが正念場である。17年4月に予定している消費税の10%への引き上げも、14年の増税と同じように景気に逆風となる恐れもある。ここ1~2年の政策展開次第で20年の日本経済の姿が決まってくるといっても過言ではない。

 

《外交 ▶中国では一層「反日運動」が高まる  越智道雄 》

アメリカは中国に対して軍事的に敵対関係にありながら、経済的依存度は高い。日本の外交はいうまでもなく、米中関係がどうなるかによって変わってくる。

 

・1971~90年まで444%(!)という、奇跡の経済成長を遂げた日本が、91年以降、3%の成長に転落した。メガ成長期でも、日本は円を国際通貨化させず、通貨面では「割拠」を選んだ。

 

アメリカ側の「鎧」と「衣」>

・5年先の米中関係を見ると、偶然、アメリカが保有する艦艇の60%を太平洋に移動し、第7艦隊麾下に配備し終えるのが2020年である。

すでにアメリ保有原子力潜水艦の大半が太平洋に投入され、常時2隻が発射2段階前の態勢で、中国の各サイロにミサイルを照準している。中国側は、瞬時に核兵力を粉砕されまいと、サイロを地下数百mまで埋め込んだ。

 

<「チャイメリカ」のリスク>

・中国の背中を焼く最大の業苦は14億5千万の大人口で、これを養い続けるには、世界の資源を先行確保する「資源覇権主義」が国是となる。尖閣諸島南シナ海への進出は、それの一端である。

 その生理に追われた中国が、国内の非漢民族の離反、いや漢族の造反鎮圧で、北朝鮮型の閉鎖的独裁国家の段階を経て瓦解する可能性は、欧米側で指摘されてきた。

 

・さらにはアメリカは中国に膨大な国債を買わせている(国際通貨化ドルの御利益)。以上の同床異夢の関係を、アメリカ側は「チャイメリカ」と呼んでいる。だから、中国の瓦解は、むしろアメリカ側に痛手となる。

 

チャイメリカは、アメリカ側から見れば「企業の空洞化」である。1970年代の石油危機以来、燃料が高騰、労働組合による賃上げに応じきれなくなった先進諸国の企業は、米日企業も含めて、一斉に自国労働者を切り捨てた。

 

<「反日」で国内統一>

・この米中関係を基礎に、5年後の日米&日中関係を予測するには、中国側が石油化学優先の古い産業形態から、公害に配慮した今日的な先端産業に転換し終えているか否か、次第となる。この岐路は一般的で、「サンドイッチ・トラップ」(ST)と呼ばれる。日本や先進諸国はSTを無事通過してきた。

 

・中国がSTを終えていれば、一党独裁体制は維持され、終えていなければそれが危殆に瀕する。反日は反米よりも国内統一の魔法の杖だから、危機になれば中国は容赦なくその杖を振るう。5年後は、反米の代わりに反日が使われ、チャイメリカの面ではそれはアメリカにも好都合だろう。

 

・他方、政府に不満な中国国民は反日を反政府の代用品に使う。社会主義本来の福祉制度を切り捨てた中国は、世界最大の所得格差、特に地方は無警察状態で、外出に際しては個々に武装する。チャイメリカ、チャイパンで窮地に追い込まれた日米の労働者より、中国人は、はるかに悲惨な日々を送っているのだ。

 

・5年後、第7艦隊アメリカ側保有の艦艇の60%を麾下に加え終わった時点で、中国の現体制が持ちこたえていた場合、習近平国家主席がいかにして人民軍の焦りを抑え、立ち腐れ状態を長持ちさせられるかが焦点となる。

 

《オリンピック ▶オリンピックを契機に進む「観光大国」へのシフト

  原田宗彦 》

・新国立競技場建設問題やエンブレム問題で試行錯誤している2020年の

東京オリンピックパラリンピックだが、オリンピック開催は、日本を

「観光大国」に押し上げるチャンスである。

 

<前回大会の「果実」>

・東京が最初にオリンピックを開催した19645年当時、日本に来る外国

人観光客は年間35万人で、出国する日本人観光客はわずか13万人程

度。東京は国際的にも知名度の低い都市であった。当時の1人当たりG

DP(国内総生産)はわずか30万5千円(2014年は383万円)、家計に占める食費の割合を示すエンゲル係数も35.7%(14年は24.2%)と、発展途上国レベルの数字であった。しかしながら、当時のお金で約1兆円を費やした羽田空港首都高速道路東海道新幹線等のインフラ拡張・整備は、その後の高度経済成長の大動脈を生む効果的な投資となり、オリンピックの“果実”を十分に収穫することができた。

 

<外国資本の対日投資>

・最後に、最も懸念されるのが「レガシー」である。「20年を契機に日本はどう変わるか?」という問題には多くの関心が寄せられているが、現時点では明確なビジョンは伝わってこない。大会の成功には、準備の段階から、周到に計画されたレガシー戦略が不可欠である。

 

<外需誘導型の経済>

・イギリスは、12年のオリンピック開催を契機に、内需依存型の経済から外需誘導型の経済へとパラダイムをシフトさせているが、日本も参考にすべき点が多い。

 

・重要なのは、「観光大国」へのシフトである。高齢化と人口減少に直面する日本において、定住人口の1人減が引き起こす消費の縮小は、7人の外国人観光客、もしくは22人の国内観光客(宿泊)で補うことができる。よって域外(国外)から観光客を呼び込むことによって、日本が直面する二重苦をある程度克服することができる。さらにオリンピック大会後の観光振興においては、海外の関心が高まるスポーツを最大限に活用した「スポーツツーリズム」の振興が可能となる。

 

・日本でも、オリンピック後の継続的なメガ・スポーツイベントの誘致を、国家的なマーケティング戦略として位置付けるべきであろう。

 

《企業 ▶「相続ビジネス」「観光業」「ICT」が成長産業に!  千葉利宏》

・これから本番を迎える人口減少により、人の死に関わる業界や、労働力不足を補うビジネスの需要が増えてくる。5年後、企業の明暗を分けるのは「IoT」戦略の進捗だ。

 

<人口減少で成長する業界>

・数多くある将来予測の中で、最も高い確率で的中するといわれているのが人口推計だ。

「日本経済低迷の原因は少子高齢化と人口減少にある」と指摘して2010年にベストセラーになった『デフレの正体』(角川書店)は、安倍晋三政権が13年から推進するアベノミクスを支持するリフレ派から徹底的に批判された。

 

・日本の人口減少はこれからが本番だ。20年の総人口は1億2千4百10万人で、今後5年で3百万人近く減る。一方で高齢化が進み、65歳以上の高齢者は、14年の3千3百万人から20年には3百万人以上増加し、3千6百万人を突破。つまり、総需要が減ると同時に、あらゆる分野で高齢者向け需要へのシフトが加速することになる。

 

・空き家は2013年で820万戸、空き家率は13.5%に達しているが、野村総合研究所の試算では23年には空き家率21%、空き家戸数は約1千4百万戸に増加する。これらの空き家を適切に管理し、有効に活用してビジネスにどう繋げるかが課題だ。

 

<観光ビジネスに期待>

・今後の急速な人口減少をカバーするビジネスも、成長が期待される分野だろう。国内の需要不足を補うには、経済効果が大きい訪日外国人観光客をどう増やすか。また労働力不足を補うには、ICT(情報通信技術)による生産性向上が不可欠だ。

 

・激増する中間所得層を訪日観光客として呼び込めば、観光ビジネスはさらなる飛躍が期待できる。政府はカジノを含む統合リゾート(IR)設置の検討を進めているが、まずは既存の観光ビジネスの強化と活性化に取り組むことが先決だろう。

 

<ICTで労働生産性を向上>

・今後はICTを積極的に活用してワークスタイルを変革し、労働生産性をいかに向上させるかが最大のポイントだ。女性活用や介護離職対策として政府が普及に力を入れているのが、自宅や自宅近くのサテライトオフィスで場所や時間に捕われない仕事をする「テレワーク」である。いま、テレワークに適したITツールが続々と登場しており、様々な業種でテレワークが可能な就労環境を整備する需要が高まるだろう。

 今年に入って、あらゆるモノがインターネットに繋がるIoT(

Internet of Things)を活用し、産業競争力を強化する動きも活発化している。

 

・日本はIoT戦略で欧米に大きく出遅れた。20年に向けて、どの産業が

IoT時代の成長戦略を描けるか。それが5年後の明暗を分けることになるだろう。

 

《雇用 ▶「流通サービス業」の人材不足は一層深刻に  海老原嗣生

少子高齢化等の影響を受け2020年には各企業で人員が不足すると懸念されている。かといってどの業界でも人員不足になるかといえばそうともいえない。前期高齢者の雇用促進、女性の社会参加、留学生がそれを補っていく。

 

・雇用問題は皮相的に見ると過度に不安になってしまう。そのことにまずは注意を払ってほしい。少子高齢化による雇用への影響は、現実的にはそれほど大きな問題を起こしはしない。そして十分に対応法もあり、その方法を受け入れつつある。それが結論なのだ。

 

<人口減でも質は保てる>

・つまり、産業・学術界は、人口の半分しかない男性だけで何とか成り立っていたのだ。もし、女性が公平に社会参加する時代になれば、人口は半減してもかつての質は保てる。そして、その方向に着実に社会は進化している。だから問題は少ない。

 

<大打撃の「流通サービス業」>

・では高度人材では噂されるような人材不足が起きないとすると、いったいどこで問題が起きるのか。それを次に考えてみよう。

 

 現在、人口は減ったが、大学の数は減っていない。いや、80年代よりも大学数で7割、在学生数も6割増えている。つまり、誰でも大学生、という時代が来た。おかげで高卒就業者は極端に減少している。これは、すなわち、高卒者が支えたセクターでの人材不足が深刻化することにつながる。それは、製造、建設、農林水産、自営、流通・サービス業となるだろう。

  がしかし、こちらもいうほどの打撃にはならない。なぜなら、ここに挙げた産業のうち、製造、建設、農林水産、自営までは、衰退産業であり長期的に就業者数を減らしてきた流れがあるからだ。今後も人口減と歩調を合わせるように雇用者数は減っていくだろう。問題は、流通サービス業だ。

 

<前期高齢者と留学生>

・ここ(流通サービス業)に手を打つことが喫緊の課題だ。対策としては、75歳までの前期高齢者の雇用推進があげられる。たとえば、最低賃金や有期雇用期間に対して、年金受給者については企業側に有利に設定できるようにして雇用を促進する、等の施策が必要だろう。

 そしてもう一つ。流通サービス業の幹部候補者の確保策を考えねばならない。ここでは、外国人留学生30万人計画が意外に奏功しそうだ。

 

・どうだろう。冷静に社会を見ていけば、解決策は見えてくる。悲嘆にくれるだけの空騒ぎは厳に慎むべきといいたい。

 

 

 

『反デフレ不況論』  それでも日本企業が勝つ理由

日下公人長谷川慶太郎    PHP 2010/7/2

 

 

 

<百年デフレは日本の時代>(長谷川慶太郎

<インフレは戦争の産物、デフレは平和の産物>

・日本の政治と経済における問題は、政財界のトップが、デフレとはどんな性格のものであるか、デフレがなぜ起こり、どの程度続くかと言う見通しを持っていないことである。

 

・世界の歴史を見れば、戦争の時代はことごとくインフレであり、平和な時代はことごとくデフレである。世界の安定がたもたれるならば、デフレはこれからも続く。これは争うかたなき事実である。景気の変動や資本主義や社会主義といった体制の問題ではない。

 

<百年デフレの時代>

・人類は歴史上、何回かインフレを経験している。人々は戦乱と物価の高騰した昔は、その対応を模索した。インフレを抑制するための最終的な手段はデノミネーションであるが、かってのソ連や東ヨーロッパ諸国、中国などの社会主義国は、ほぼ例外なく第2次世界大戦の戦後にデノミを行っている。

 

旧ソ連は、1948年に100分の1のデノミを実施し、中国では中華人民共和国の建国間もない1950年に100分の1のデノミを行った。ハンガリーは第2次世界大戦の終戦を経て、ハイパーインフレに見舞われ、10京(京=1兆円の1万倍)分の1を超えるという、想像を絶する規模のデノミを実施している。

 

アメリカやイギリスはデノミを行う必要がなかったがフランスとイタリアを始めとする第2次世界大戦の参加国のほとんどがデノミを実施している。

 

・逆に人類がデフレを経験したのは今回が2度目である。

 

・正確に言えば、ヨーロッパ大国間の戦争がなかった1873年から1896年までの24年間に世界初のデフレが起きている。こうした平和な時期にイギリスで産業革命が起こり、それが世界全体に広がり、工業生産および農業生産が飛躍的に拡大したからである。

 

・「これまでの百年はインフレの時代、これからの百年はデフレの時代になる」と述べた。繰り返すが、その理由は戦争の不在である。

 

・「インフレは戦争の産物、デフレは平和の産物」である。インフレやデフレは、金融政策を緩めるか、引き締めるかによって生じるものではない。金融をどんなに引き締めてもインフレは治まらず、同様に金融をどれほど緩めてもデフレを収束させることはない。

 

・なおかつ、現代では貿易自由化の時代である。いくら金融を緩めても国際取引が自由に行われることが保障されている限り、海外から安い商品がどんどん入ってくるから物価は必然的に下落する。

 

・こうした客観情勢の力はきわめて強く、一国がどんな政策を講じても、デフレを抑制したり転換することはできないだろう。

 

・ところが、この点を政府も日銀も勘違いしており、日本がただ一国だけ単独で存在しているかのごとく考え、インフレやデフレを判断している。だが、そうした誤った判断の下に行われる政策は、失敗に終わるだろう。

 

 

 

『世界の軍事情勢と日本の危機』

高坂哲郎  日本経済新聞出版社  2015/10/8

 

 

 

<世界では「領土は実力で奪ったもの勝ち」という露骨な力の論理が復活>

・それに加えて、イスラム過激派などによるテロリズムとの際限のない戦いが続き、その影響は2020年に東京オリンピックを開催する日本にも及ぼうとしている。

 

・総じて「自分の身は自分で守る」という国際社会の基本を再確認することを求められているのが現在の日本なのだが、既に触れたデモに示されるように、安全保障政策をめぐる日本の国論は深く分断されている。筆者の見るところでは、この分断の背景には、厳しさを増す国際情勢などについての「認識格差」が存在する。見たくない現実は見ようとしない空気や、安保環境の悪化を国民に十分説明しない安保当局者の思惑など、認識格差を再生産する仕組みもある。

 

・安全保障というと、防衛や外交、諜報(インテリジェンス)といったことを連想しがちだが、現代においては「国内治安」や「沿岸警備(海上保安)」、バイオ・セキュリティなどの「公衆衛生」、「サイバー・セキュリティ」、機微な技術が問題のある国家の手に渡るのを防ぐ「安全保障貿易管理」など、より多角的になっている。言い換えれば、防衛や外交だけ見ていては、安全保障の全体像をつかむことができない時代になっている。

 

核兵器――ゲーム・チェンジャー①>

<再び使われる兵器に?>

・ただ、現代史をひもとけば、実際に核兵器が使われそうになった事態は多かった。朝鮮戦争キューバ危機の事例は有名だが、このほかにもインドシナ戦争で劣勢のフランスが米国の核を借り受けようとしたことがあった。

 第二次中東戦争スエズ動乱)では米ソが核による威嚇の応酬をし、第四次中東戦争では追い詰められたイスラエルが核の引き金を引こうとしたりした。日本ではあまり深刻に受け止められなかったが、2000年代の初頭、インドとパキスタンの緊張状態が高まった際にも核戦争になるリスクが意識され、避難の動きまで起きていた。核兵器の使用は何度も意識されてきたのである。

 

プーチン氏は、国際社会の非難の声に耳を貸さず、クリミア半島奪取という「力ずくでの国境線変更」という第2次世界大戦後、世界では「ご法度」となっていたことをやった人物である。彼が戦後70年封印されてきた「核兵器の実戦使用」も解禁してしまえば、「核兵器を使う敷居は一気に下がり、規模の小さい戦術核兵器であればふつうに使われるようになる可能性もある」と悲観する戦略理論の専門家もいる。

 

<米国の「脱・核兵器」の副作用>

・米国は2011年夏、米本土から発射して地球上のどこにでも1時間以内に到達するという超音速の無人高速飛行体「ファルコンHTV」の発射実験を2度にわたり実施した。ミサイル防衛(MD)システムが敵の核ミサイルを撃墜する非核の「盾」だとすれば、ファルコンは非核の「槍」に相当する。

 

<中国の核兵器という暗黒>

・中国は近年、経済力の増大を背景に軍備も増強しており、従来は200~400発と見られてきた核の総数は実際にはそれよりも多く、「核兵器用に造られた地下トンネルの長さなどから計算すると3000発以上持っている可能性がある」と見る米国の専門家もいる。

 

・中国は、日本列島を射程に収める核搭載可能な中距離弾道ミサイルなどを大量に保有するが、北朝鮮のミサイル脅威に比べ、なぜか日本ではそれほど問題視されない。

 

<止まらない核拡散>

・このほか、イスラエル、インド、パキスタン北朝鮮核兵器保有を続ける構えだ。パキスタンの核をめぐっては、「出資者」であるサウジアラビアに数発の核兵器を既に引き渡したとの観測もある。何かの拍子に中東での「核武装ドミノ」が倒れ始めれば、トルコやエジプトも核保有に関心を示すとも見られている。

 

核兵器廃絶を願う運動は絶えないが、目下のところ、それが実現する兆しはない。むしろ、核兵器が使われる時代が再び来てもおかしくないような状況がきている。我々の備えが十分なのか、不断の見直しをしなければならない。

 

生物兵器――ゲーム・チェンジャー②>

<遺伝子改造型生物兵器の脅威拡大>

・2011年12月、米国立衛生研究所(NIH)の「生物安全保障のための科学諮問委員会(NSABB)は、有力科学誌「サイエンス」を発行する米科学振興協会に対し、オランダなど2つの研究グループの論文の掲載延期を求め、論文の公開がいったん延期された。2論文は、強毒性の鳥インフルエンザウィルス「H5N1」の遺伝子を改造すると人間同士でも感染するようになる仕組みを解明したものだった。

 

・遺伝子を改造して新たなウィルスを生みだす生物工学は、民生利用だけでなく軍事利用もできる「両用技術」(デュアル・ユース・テクノロジー)だ。2つの研究グループは論文の趣旨を新たな強毒性の感染症流行に備えることと説明していた。しかし、論文が公表されれば、致死性が極めて高くワクチンもない新種の生物兵器の開発・使用という「最悪の事態」に利用されるリスクもあるのは事実だった。

 

核兵器化学兵器より規制の緩い生物兵器

・明らかに違うのは、軍事利用の拡大を食い止めるための監視機関の有無だ。核の場合、核拡散防止条約(NPT)に基づき国際原子力機関IAEA)が加盟国の原子力施設を査察。化学では、化学兵器禁止条約(CWC)のもとで化学兵器禁止機関(OPCW)が各国の関係施設に立ち入って軍事転用されていないか目を光らせている。

 

・これに対し「生物兵器禁止条約(BWC)にはそもそも査察制度がないため、外部からの刺激を受けない生物学者の間で軍事転用への警戒が希薄になっている」(大量破壊兵器問題の専門家)。

 

<研究と規制の両立の道>

・当面の焦点は、ワクチンの研究開発を進めながら、しかもテロなどに悪用される事態を防げる体制の構築が可能かどうかだ。

 

<日本も参考にしたい米軍のエボラ対策>

・2014年、西アフリカ諸国を中心に続くエボラ・ウィルス病の被害を食い止めるため、米軍が大規模な救援活動に動いた。中東では過激派「イスラム国」に苦戦し、ウクライナ情勢ではロシアに押されっぱなしの米軍だったが、今回の未曾有の感染症危機に際しては「仕事師」ぶりを発揮した。

 「エボラ危機」に対し米軍は、14年9月、機動力の高い海兵隊や陸軍空挺部隊を相次いでリベリアセネガルに投入、当初は4000人を予定していた派遣規模は、その後感染拡大のペースが緩んだこともあって3000人減らしたが、それでもシエラレオネなどに数百人の部隊を送った英軍やフランス軍に比べると群を抜く規模だった。

 

<サイバー戦争――ゲーム・チェンジャー④>

<「サイバー抑止」の模索>

・「2012年、米国を含む各国のコンピュータ・システムは、中国からのものとみられる侵入を受け続けた」――。2013年5月に公表された米国国防総省による軍事力に関する報告書は、一部のサイバー攻撃は中国が発信元であることを明記した。通常、攻撃の発信元を具体的に名ざしすることは、自らの探知能力を暴露することになるため、各国ともしたがらなかったが、最近米政府や一部企業はこうしたタブーを破って攻撃元を名ざしするケースがでてきた。こうした動きにも、中国発のサイバー攻撃を抑止したいとの意図がにじんでいた。

 

<気候変動――ゲーム・チェンジャー⑤>

<気候変動が地域紛争を増やす?>

・近年、気候変動の影響と見られる大型台風や竜巻、大規模な干ばつ、海面上昇などが報告されている。人類の活動が地球の気温を上昇させているかどうかをめぐっては、専門家の見解は分れたままだが、米軍など一部の国の軍隊は、気候変動をもはや無視できない安全保障上の脅威だと認識し始めている。

 

・気候変動が軍隊に及ぼす影響の第1は、「出動の増加」だ。2005年にハリケーンカトリーナ」が米国を襲った際には、大量の州兵が動員された。東南アジアを襲う大規模台風による被害に、米軍や自衛隊などが派遣されたこともある。今後は、水不足の深刻化でアフリカや東南アジアで地域紛争が起きることも予想されている。

 

<「情報戦途上国」という決定的弱点――死角⑦>

<情報交換で「ギブ・アンド・テイク」できない日本>

・その「裏のルート」で、世界最大の国防・テロ対策費を投じて世界中に情報網を張るのが米国だ。そして英国は、自国の秘密情報部(SIS、通称MI6)の要員を米情報機関に常駐させるほど、米国と太いパイプを持っているとされる。

 

・米国の情報機関が英国のSISの要員の常駐を受け入れているのは、SISが情報機関としては「老舗中の老舗」であり、世界中に人的情報(ヒューマン・インテリジェンス=ヒューミント)網を張り巡らせ、米国の情報機関ではとれないような情報をとってこられるためだろう。

 

主要先進国では日本だけがない対外情報機関>

・主要な先進国および中露両国の中で、国外のインテリジェンスを収集する専門機関がないのは日本だけである。このため日本は、各国の対外情報機関のコミュニティには入りにくい。わが国がそうしたハンディを抱えている状況さえ、日本国内ではあまり認識されていない。 

 日本では戦前、外務省や軍がそれぞれ「裏のルート」の対外情報も集め、外交官の杉原千畝や陸軍少将の小野寺信といった優れたインテリジェンス・オフィサーが活躍した。軍は陸軍中野学校のようにスパイ養成機関も持っていた。

 

<国民防護へ本当に必要な投資を――対策⑤>

<多目的シェルターの整備>

・中国が日本をミサイルで攻撃する場合、米軍基地や自衛隊施設といった軍事目標を狙う「カウンター・フォース(対軍隊)」型と、人口の密集した都市部を狙う「カウンター・ヴァリュー(対価値)」型の2種類が考えられる。

 前者に備えて、米軍や自衛隊は地下深くに設けた指揮所などをもっている。これに対し、本書で繰り返し述べてきたように、国民を防護するシェルターは今の日本には存在しない(既存の地下施設や、個人が所有する小型シェルターは含めない)。この状態は見ようによっては一種の「官民格差」と言えなくもない。

 

・日本がこの現状を打開するには、時間がかかっても、経費がどんなに巨額になっても、標的にされる恐れの大きい地域にシェルターを設けることが必要になる。短期間に必要数を設置することは難しいので、まずは手始めに、首都中枢や自衛隊在日米軍基地のある地域の幼稚園・保育園、小中学校、高等学校などにシェルターを設け、最悪でも次世代を担う人材を守り抜ける体制を築きたいところだ。

 

<シェルター不在の責任を問われるべきは………>

・国民の生命をより確実に守るシェルターがフィンランドのように整備されていないことの責任は、実は、防衛省自衛隊というより、首相官邸やその他の官庁に問うたほうがいいという事情もある。

 有事において自衛隊の最も重要な任務は、侵略してくる敵の排除であり、国民保護という仕事は、内閣官房総務省消防庁が主管しているからだ。

 

・西ドイツはシェルターを普及させるための優遇税制を設けていた。そのことを考えると、財務省国土交通省にも問題意識を持ってもらいたいところだ。

 

・必要なのは、現実に即した具体的な方法論と、そのための法的基盤の整備だ。今動き出せば、数十年後には今よりも安全な日本を次世代に残せる。心ある当事者は問題の所存を承知していると信じたい。

 

<「日本流の非対称戦」で防御する>

巡航ミサイル無人機と言えば広義の無人機であり、重点配備すべきだとの論もあるが、筆者もこれに強く賛同する。

 

<対外情報機関を早く立ち上げる――対策⑦>

<まずは「器」をつくる>

・外務省は「表のルート」の外交という本業にあたり(その中で当然、情報部局は引き続き必要になろう)、防衛省の情報本部(DIH)も国防情報機関として存続させる。日本版対外情報機関は、インテリジェンスの「裏のルート」「けもの道」を歩くプロの機関として位置づけ、首相官邸に直属させるのがいいだろう。

 

<警察公安部と公安調査庁の統合>

・対外情報機関とセットで、日本国内でスパイ活動をする外国人やその配下の日本人、あるいはテロリストを取り締まる防諜専門機関も創設すべきだろう。

 

・現在、日本でこの活動を担当しているのは、警察庁都道府県警察にネットワークを張る警察の公安部局と、法務省傘下の公安調査庁である。ただ、スパイを取り締まる根拠法の部分で弱いため、スパイを探知しても微罪でしか取り締まれないような状態が続いている。

 

<守りやすい日本への100年計画>

<自分の頭で考え、生き残る、人命を守り抜くことを教える教育>

・テロや奇襲的な武力攻撃が起こる現代においては、国民はただ自衛隊や警察、消防に守ってもらう存在であってはならない。不幸にしてテロなどに巻き込まれた国民は、まず起きた事態から自らの命を守り、警察、消防などが到着するまでの間、近くの負傷者を助けるという意思と技術を持ち合わせておくことが望ましい。

 

・どうも日本人は、危機発生時にとっさに命を守る行動をとる習性が、他の国々の人々に比べると弱いのかもしれない。

 そこで求められるのが、「自分の頭で考え、生き残る教育」「人命を守り抜く教育」の実現だ。これには、文部科学省や全国の学校と、警察官や消防関係者、自衛官らとの人事交流という方法が考えられる。

 

<思考のタイムスパンを長くし、100年先を意識する>

武装工作員に標的にされる恐れのある原子力発電所は、代替エネルギーの確保を進めつつ、可能な限り少なくしていくべきだろう。あまり注目されていないが、現状では、原発は外国軍が自衛隊や警察を引き付ける「陽動作戦」に使われてしまう恐れがある。

 いずれも、実現には数十年もの期間を要するかもしれないが、それでもそうしたアイデアをタブー視せずに検討し、一度着手したらやりとおす「超長期的な視点で推進する安全保障政策」という考え方があってもいいと思う。

 

・安全保障の世界でも、着手してすぐには成果が出ないことがあっても、次世代のために今着手したほうがいいと思われることはたくさんあると思われる。

 

<祈るだけでは平和は守れない>

・先の敗戦から70年となった2015年夏、「戦争は二度としてはならない」との声が何度も聞かれた。本当にそうだと思う。一方で、こちらに戦う意思はないのに手を伸ばしてくる国があったり、何の罪もない人が理不尽な形で突然命を奪われるテロが起きたりしている。祈るだけでは平和は守れない。我々は「具体論」をこそ語らなければならない。

 本書は、「日本の守りを固めたい」という思いと、「結局のところ日本は変われないのかな」というかすかな絶望感のようなものの間で揺れながら、それでもなお、新聞記者として書き遺しておかなければならないと感じられたことをまとめたものである。

 

 

 

巡航ミサイル1000億円で中国も北朝鮮も怖くない』

北村淳   講談社    2015/3/23

 

 

 

<中国軍の対日戦略が瓦解した日>

・現実には(2015年3月現在)日本には中華人民共和国に対してだけでなく、いかなる国に対しても海を越えて報復攻撃を実施する軍事力は存在しない(ゼロとはいえないものの、ほぼゼロに近い)。

 

・ただし、「日本には日米安全保障条約があるではないか」という人々が少なくない。これらの人々は、「たとえ日本自身が報復攻撃力を保持していなくとも、日本の防御力で敵の攻撃を防いでさえいれば、アメリカ軍が助けに来てくれて、彼らがやり返すことになっている」というふうに信じ込んでいるようである。

 その結果、日本は防衛のために必要な軍事力の片面にしか過ぎない「防御力」しか保持せず、「報復攻撃力」がゼロに近い状態でも、平然として国家をやっていられる、というのである。まさに「アメリカは矛、日本は盾」というレトリックに頼りきっている点、これこそが、日本社会が「平和ボケ」といわれている最大の理由ということができる。

 

・そもそも「防衛」のために莫大な税金を投入して軍事力を保持しなければならない究極の目的は、日本が外敵から軍事攻撃を仕掛けられたら「防御」するためではなく、「外敵が日本に対して軍事攻撃を実施するのを事前に思いとどろまらせる」こと、すなわち「抑止」にある。

 自衛隊が「防御」する段階に立ち至った場合には、いくら自衛隊が頑強に「防御」したとしても、日本国民の生命財産が何らかの損害を被ることは避けられない。したがって「防衛」の理想は「防御」ではなく「抑止」なのである。

 

・そして、日米同盟のレトリックに頼りきった日本が「防御」のための軍事力しか持たないならば、いくら世界最強の防御力を持っていても、アメリカが助けに来てくれるまでは「やられっぱなし」の状態が続くことになってしまう。

 日本を軍事攻撃しようと考える外敵にとっては、「やられたらやり返す」という軍事能力を持たない日本を攻撃する場合、アメリカが登場するまでのあいだは「やり返される」ことを考えに入れる必要はないため、軍事的には日本攻撃にさしたる躊躇はいらないことになる。

 

・日本が「防御力」しか持っていない状態と、日本が「防御力」に加えて最小限度の「報復攻撃力」を保持している状況とでは、外敵に対する抑止効果という点では、雲泥の差が生ずることになる。

 極言してしまえば、暴力によって勝敗を決してしまう軍事の根底に流れるメカニズムは、実はこのように単純なのだ。そして、「外敵からの武力攻撃を受けないためには、適正な報復攻撃力を持たなければならない」ということは、国防の鉄則なのである。

 

・本書では、現在日本が直面している最大の軍事的脅威は何か、それを明らかにするとともに、その軍事的脅威が実際に発動されないように抑止するために、日本自身が可及的速やかに手にしなければならない「とりあえずの抑止力」を明確に提示したい。

 

<「とりあえずの抑止力」の脆弱性

憲法第9条や「専守防衛」という奇妙な原則に拘泥してきた日本は、自衛隊という大規模な軍事組織を構築してきたにもかかわらず、中国や北朝鮮に限らずいかなる外敵に対しても、報復攻撃を実施するための軍事力を保有しないように努めてきた。その結果、現在の自衛隊は、様々な優秀かつ高価な兵器を手にしてはいるものの、中国に対しても北朝鮮に対しても、海を渡って攻撃する能力はほとんど保有していない。

 

<中朝への報復攻撃力を持つと>

・逆説的にいうと、「日本から攻撃される」という変数が存在するだけで、対日攻撃計画は複雑になってしまうわけだから、そのような変数を初めから捨ててかかっている日本は、お人好しを通り越した存在ということになる。

 

・このように、これまで通りの自由に攻撃作戦を立案させないようにするという効果があるだけでも、日本が「とりあえずの抑止力」を可及的速やかに手にする意義は大きいし、絶対に必要となる。

 

<トマホークのピンポイント攻撃で>

・そのようなピンポイント攻撃を敢行できる方法としては、現在のところ、長射程ミサイル(弾道ミサイル・長距離巡航ミサイル)による攻撃が唯一の選択肢である。

 日本は弾道ミサイルを製造する技術力は保有しているが、実際に中国や北朝鮮を報復攻撃する兵器としての弾道ミサイルを開発するには、ある程度の年月が必要である。しかし、「とりあえずの抑止力」を手にするためには、日本自身による弾道ミサイルの開発を気長に待っているわけにはいかない。かといって、弾道ミサイルを輸入することはまったく不可能である。

 一方、長距離巡航ミサイルは、弾道ミサイル同様に独自開発には時間がかかり過ぎるものの、アメリカからトマホーク長距離巡航ミサイル(トマホーク)を購入するというオプションが存在する。

 

<中国が恐れるトマホークの配備>

・逆に考えると、約9600億円では、トマホークが9600基も手に入ることになる(それほど多数のトマホークは存在しないが)。このように、破壊力と装備費だけを比較すると、いかにトマホークがコストパフォーマンスに優れているかが理解できる。

 

<発射可能なトマホークの数は>

・このように現在、海上自衛隊には、最大1024基の水上戦闘艦発射型トマホークと、最大108基の潜水艦発射型トマホーク、合わせて1132基を一度に装填する能力が備わっている。

 

・以上のように考えると、海上自衛隊の現有艦艇によって、約800基のトマホークを発射することが可能である。そして、水上戦闘艦発射型トマホークは1基およそ1億円であり、潜水艦発射型トマホークは1基およそ1億5000万円である。すると、海上自衛隊は、約900億円で上記のような駆逐艦と潜水艦から発射されるトマホーク約800基を手にすることができる計算になる(実際にはテスト用数十基を含めて約1000億円)。

この場合、自衛隊艦艇の稼働状況や展開状況を考えると、現実的には保有する800基全弾を一度に発射するのは困難であり、400~500基が報復攻撃として連射されることになる。

 

北朝鮮への「4倍返し」の値段>

・このように、年間の防衛費の約2%、1000億円を投入してトマホークを海上自衛隊艦艇に配備するだけで、日本は北朝鮮に対し最大で「4倍返し」の報復攻撃力を手にすることになる。

 

<対中報復攻撃は日本海から>

・国際軍事常識をはるかに凌駕したスピ―ドで長射程ミサイル戦力の充実に邁進し、短期激烈戦争を周辺国に対する侵攻(可能性による脅迫)のドクトリンとしている中国に対しては、トマホーク400~500基による報復攻撃だけでは「とりあえずの抑止力」を超えた抑止効果は期待できそうにない。

 

<中国でより深刻なトマホーク被害>

・したがって、日本が1000億円で手にできるトマホーク戦力は、少なくとも「とりあえずの抑止力」であると、中国共産党指導部は考えるはずだ。

 

<さらに強力な抑止力の構築には>

・1000億円を投入して、自衛隊が800基のトマホークを装備することによって、本書での目的である「とりあえずの抑止力」は手に入れることができる。本書の目的はここにおいて達成されるが、日本の防衛は「とりあえずの抑止力」を手にすることによって、真の防衛のスタートラインに立ったことになる。

 

・いうまでもなく、抑止力を強化するためには、報復攻撃力だけを強力にしていくのは得策ではない。できるかぎり受動的抑止力と報復的抑止力をバランスよく増強していくとともに、場合によっては報復攻撃力を予防的抑止力に転用する途も工夫して、すべての形態の抑止戦力を手にしていかねばならない。

 

・そして、日本の技術力のすべてを投入すれば、最大射程距離2500キロで最高巡航速度マッハ2を超える巡航ミサイルの開発に成功する可能性は十分にある。

 

・何をおいても1000億円で「とりあえずの抑止力」を手に入れよ――。

「封じ込めうる抑止力」に近づけるための各種抑止力の増強策、そして国防戦略そのものの大修正を行うための大前提は、1000億円を投入して「とりあえずの抑止力」を手に入れることである。これなくしては強力な抑止力はいつまでたっても手に入らず、それほど遠くない将来に短期激烈戦争を突きつけられ、実際に戦闘を開始する前に中国の軍門に降らなければならなくなる。または、北朝鮮から大量の弾道ミサイル原発に降り注ぎ、福島第一原発事故の数十倍の放射能被害を受けるかもしれない。

 

<●●インターネット情報から●●>

 

三峡ダム」の恐怖! 攻撃されたら万事休す・・・軍壊滅、民は「億単位で飲み込まれる」=中国メディア         (サーチナ

  

 中国の軍事情報サイト「捷訊網」は21日、米国や台湾と戦争の事態になった場合、三峡ダムがミサイル攻撃を受け破壊された場合には、戦争に必要な軍部隊も水に飲まれ、民間人の被害は数億人にのぼると紹介した。

 三峡ダムの危険性については早い時期から指摘があり、応用数学などを研究した著名学者の銭偉長氏(1912-2010年)は、三峡ダムが通常弾頭付き巡航ミサイルで攻撃されて崩壊すれば、上海市を含む下流の6省市が「泥沼」となり、数億人が被害を受けると試算した。

  記事によると、三峡ダム下流の長江沿岸には軍の駐屯地が多く、軍も戦争遂行が不能になるという。

  記事は、三峡ダム攻撃をまず研究したのは台湾と指摘。中国軍が台湾侵攻を試みた場合、台湾は同ダムを含む大陸部のインフラ施設攻撃を念頭に置いたという。

  記事は次に、尖閣諸島で対立する日本による攻撃も取り上げた。奇襲すれば「釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)はポケットの中の物を取り出すのと同様に簡単に手に入る」と豪語するタカ派軍人もいると紹介する一方で、三峡ダムへの攻撃リスクを考えれば、「釣魚島奇襲は不可能」と指摘。それまでに、時間をかけて三峡ダムの水を抜いておかねばならないと主張した。

  記事はさらに「釣魚島を奪取しても利は小さい。三峡ダムの被害は甚大だ。しかも、(尖閣奇襲で)先に手を出した方(中国)が国際世論の非難を浴びる」と論じた。

 

 記事は、尖閣諸島が原因で戦争になった場合、米国による三峡ダム攻撃もありうると指摘。さらに、国境問題で対立するインドが攻撃する可能性にも触れた。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:CNSPHOTO)

 

 

 

『面白いほどよくわかる自衛隊

志方俊之  日本文芸社   平成19年6月30日

 

 

 

<もっとも身近で危険な国、北朝鮮

弾道ミサイルで日本は壊滅するか?>

・しかし、すべてを撃ち落とすことは難しく、着弾地点にいる人々は避難する暇もなく被害を受けることだろう。これが核ミサイルであれば想像を絶する被害となる。

 

北朝鮮核兵器保有しているか?>

・現在の北朝鮮は限りなく保有に近いが、実際には使用可能な核兵器はまだ持っていないと思われる。しかし、それでも弾道ミサイル保有とセットにすれば恫喝外交を続けることができる。

 

<日本にとってもう一つの脅威、中国>

・政治的分裂や内乱が起きれば、日本にも影響を及ぼす可能性も大きい。

 

核兵器を報復手段と位置づける中国>

・国別の核弾頭保有数。

米国(4896)、ロシア(7360)、フランス(348)、中国(402)、英国(185)、イスラエル(200)、インド(40強)、パキスタン(40強)、北朝鮮(8強)

 

<中国と台湾、全面戦争の危険性>

・中国と台湾の衝突は、わが国の生命線であるシーレーンの安全を脅かす。

 

・台湾が独立宣言をすれば、中国はためらうことなく何らかの形で台湾を攻撃するだろう。

 

<今、一番恐れられている生物兵器テロ>

<もっとも恐ろしい生物テロ>

・可能性の高さから考えれば、最も危険なのが生物・化学テロだ。特に生物テロの恐怖は群を抜いている。

 

<ネズミ算式に被害拡大>

・テロに使われる可能性の高い生物剤。肺炭疽天然痘、肺ペスト、エボラ出血熱ブルセラ症、ボツリヌス症、Q熱。

 

・テロに使われる可能性の高い化学剤。サリン、ソマン、タブン、VX、マスタードホスゲン、塩素、青酸。

 

 

 

兵頭二十八防衛白書

兵頭二十八    草思社   2014/7/19

 

 

 

<F-22が4機あればシナ軍機200機を始末可能だという現実>

・2014年2月に、太平洋コマンドの米空軍は、F-22戦闘機を4機ひとくみとして、千歳基地や嘉手納基地にローテーション派遣するだけで、中共軍が日本列島や台湾へ飛ばしてくる200機前後の戦闘攻撃機をぜんぶ撃退できるという自信のほどを示した。

 

<敵がいなくて困っている米空軍>

・空中では「数は力」ではない。いま、世界には。1万5000機もの軍用機が存在する。そのうち米軍機が占める割合は、数量の上では、19%に過ぎない。にもかかわらず、地球の空を支配しているのは米軍機である。たとえば、北朝鮮空軍は、カタログの上では世界の5番目の規模なのだが、誰も相手にはしていない。

 

第2次大戦前の兵数に縮小する米陸軍>

・米陸軍は、52万人の現役兵を、2017年までに44万人にまで削減する。陸軍の州兵は33万5000人に減らし、陸軍の予備役登録者も19万5000人に減らす。すべてが完了すると、米陸軍の有事最大動員可能人数は97万人になる。概ね、本格規模の戦争を2方面で実行できる数だと言えるであろう。

朝鮮半島については、65万5000人の韓国陸軍と、450万人もの韓国人予備兵役がいるのだから、米軍は、海からの巡航ミサイルや、空からの爆撃で韓国軍の支援をしてやるだけでも、北朝鮮軍の南侵を撃退できるはずだと見積もっている。

 

兵站革命に直結する命中精度革命が進行中〉

・軍用GPSが実用化された1991年、軍事における新たな「命中精度革命」が始まった。

 この最新の「命中精度革命」が、弾薬の消費量(したがって補給量)を長い間の標準量よりも劇的に節約してしまうという趨勢は、歩兵の擲弾発射器の世界にまで及んでいる。

 

・「命中精度革命」は、狙撃銃の世界でも、まだまだ進行中だ。2014年1月時点で、どんな初心者でも、初弾からいきなり7割の確率で、距離900m先の敵兵に命中させられるという狙撃銃システムが市販されていて、米陸軍がそれを6セット購入したという。

 

<歩兵の射撃戦闘はあと3年で革命的に変貌する>

<中国「軍による国の支配」と「間接侵略」>

<デタラメ公表軍事支出額についてどう考えるべきか>

・2014年の中共の軍事予算は、イギリス、フランス、ドイツの3ヵ国の軍事予算をあわせたよりも巨額である。もちろん、日本やロシアの軍事予算は、とうに凌いだ。

 GDPにしろ軍事支出にしろ、およそ北京政府の発表数値はすべて「化粧」されたものだ。いやしくも専門家、分析者ならば、その「化粧」の解説をしてくれなくては、存在する甲斐はないだろう。

 

<軍の腐敗>

・シナ軍は、所帯が大きいうえに古い兵器がやたらに多いので、それを更新するだけでも、精一杯なところがある。最新式の兵器のカタログだけは公表されても、それを支給されているのは、何年経っても、ひとにぎりの看板部隊でしかなかったりする。背景には、兵器刷新や訓練強化のために使われるべき予算が、軍幹部に途中で抜き取られ、将軍たちの私的なビジネスの運転資金に化けている問題もある。中共中央の文官たちは、これを知っていても、どうすることもできない。なぜならそれは最高指導層の文官たちならばみんなやっていることだからだ。

 

<「老人」という打倒できない敵>

・シナ社会は、1人の退職者を、11人の労働者が養っている。これが2050年までには、1人の高齢者を2人の労働者で支えなければならなくなる。シナの全人口に占める退職者の割合は、いまは13%だが、2050年には30%になる。彼らがひたすら貯金に励み、消費を避けるのは、当然だろう。

 中共指導層が怖れる事態は、やがて老人と若者が、互いに「階級の敵」というレッテルを貼って、マルクス主義的に敵対する未来社会の到来である。

 

<F-22への対抗は絶望的なロシア空軍>

・米空軍が何か新戦闘機や新爆撃機を採用すると、旧ソ連は必ず、その対抗品を開発して、少し遅れで装備化を果たしてきた。が、冷戦後は、その「鏡像的対抗」政策が、うまくいっていない。F-22ステルス戦闘機に対抗するはずの「T-50」ステルス戦闘機は、いつまでも仕上がらないであろう。

 

<概括>

・2011年の東日本大震災で痛感されたことも、2014年のクリミア事変で確認されたことも、「いざというとき、ものすごく頼りになるのは、精強でしかも数が多い歩兵だ」との赤裸々の真実であった。一国の非常事態がやってくれば、歩兵は、仮に30万人とか50万人いたとしても、誰も「多すぎる」とは感じないものだ。むしろ「歩兵が足りぬ。困った」と思う人が多いであろう。歩兵ならば、間接侵略も粉砕できる。戦闘機やミサイルやロボットには、そんな仕事はできない。

 

核武装でもなくMD(ミサイル防衛)でもなく>

核武装は自粛するのが「吉」>

・岡目八目と言われるが、東アジアの外側から眺めたら、日本政府がいままで核武装しないでいるのが合理的な政策だと誰も考えない。なにしろレッキとした核武装国で、ならず者国家でもある中共が、中距離核ミサイルで東京に照準をつけている。そしてまた北朝鮮は、その熱望に反して核武装をまだなしとげてはいないものの、もしいつかその核資源を韓国が接収することがあれば、すぐにでもダーティボムぐらいは造って、東京に投射する手段を考え始めるであろう。

 

・核抑止は近代言語理性に基づく真剣勝負であるが、いまの日本人はその言語理性があるという芝居すらも不可能なレベルなので、自粛するのが「吉」だろう。平たく言うと、とうてい、その資格がない。

 

 

 

『100年予測』

世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図

ジョージ・フリードマン  早川書房  2009/10/10

 

 

 

アメリカの基本戦略とイスラム戦争>

1.アメリカ陸軍が北米を完全に支配すること

2.アメリカを脅かす強国を西半球に存在させないこと

3.侵略の可能性を排除するため、アメリカへの海上接近経路を海軍が完全に支配すること

4.アメリカの物理的安全と国際貿易体制の支配を確保するため全海洋を支配すること

5.いかなる国にもアメリカのグローバルな海軍力に挑ませないこと

 

・世界中の海洋を支配するという、前例のない偉業を達成したアメリカは、当然ながらその支配を維持したいと考えた。

 

・20年前のソ連崩壊により冷戦時代は動きを抑えられていたイスラム地域が急激に不安定になった。

 

アメリカの基本戦略を知れば、対テロ戦争がどのような結果に終わろうと、イスラム世界が混迷さえしなければ、アメリカは勝ったと言える。

 

アメリカの支配はまだ始まったばかりであり、21世紀にはアメリカの世紀になる。

 

・現在のアメリカ合衆国は、文化的にも歴史的にも発展の初期段階にある。

 

 

 

アメリカが日本に「昭和憲法」を与えた真相』

日高義樹  PHP 2013/7/8

 

 

 

核兵器の国際管理と独自の核兵器を提唱する>

アメリカは核戦略の三本柱としてICBM大陸間弾道ミサイル原子力ミサイル潜水艦、それに長距離戦力爆撃機保有し、ロシア、中国、北朝鮮、イラン、パキスタンといった敵性国家の拠点1000カ所に対して、常時、攻撃態勢を取り続けている。だが、オバマ大統領は、現在の国防費削減の強い要求の中で、この態勢を続けることはできないという悲観的な見方をしている。

 

アメリカ軍事戦略の中心である核戦略を支援するために、財政負担を申し出る事自体、非常識だと考える人も多いであろう。だが、非常識であろうがなかろうが、思い切った提案をしないかぎり、NATO型の安全保障の取り決めをアメリカに承知させることはできないと思われる。

 

・さらに日本がやらねばならないことが少なくとも二つある。一つは核兵器を運搬する手段の開発と整備を本格的に始めることである。もう一つは核爆弾をいつでも製造できるようにしておくことである。

 

核兵器というのは抑止力である。使ってしまえば本来の意味がなくなってしまう。報復を受けることもありうる。

 

・核のボタンに手を置くことをアメリカに要求するには、財政的な負担を申し出るとともに、「いつでも核兵器を製造する」という抑止力を使って交渉することが必要である。

 

・日本は自らの力で自らを守る国家として、アメリカ、中国、ロシアと交渉していかなければならない。アメリカの影響力と軍事力は急速に後退しつつある。日本が独立しようがしまいが、独自の力であらゆる国際情勢に対応しなければならないときがきている。

 

 

 

『2013年、米中戦争勃発す!』

テッド・G・カーペンター  河出書房新社   2007/1

 

 

 

<米中衝突の危機><きしみつづける米中関係>

アメリカの強硬路線派は、このように最近とみに態度を硬化させており、下院の「中華人民共和国に関するアメリカの国家安全保障・軍事・経済関係特別委員会」は1999年1月3日に提出した「トップシークレット」の報告書のなかで、中国は軍事力増強のためにスパイ活動を強化し、輸入戦略物質を利用していると非難して、テクノロジーの輸出を制限する措置を採るために保守派議員に立法化を呼びかけている。

 

・また2001年の国家防衛権限法にもとづいて設立された米中経済安全保障検討委員会は、両国の経済関係が安全保障に及ぼす影響について、2002年7月に議会に報告書を提出しているが、これはさらに中国の危険性を強調して、特に通商面で対策を講じるように訴えている。

 この二つの委員会は超党派の国会議員で構成されているが、それでも共和・民主を問わず、批判派が相当数存在していることは注目に値する。

 

・ホーキンズの警告によると中国の政策は、「アジアで最強の経済大国になり、国際的にはアメリカとの力関係を優位に逆転することにある」

 

・少数とはいえアメリカに、中華人民共和国に対する敵意が根強くあり、一触即発の危機に直面した場合に、この敵意が起爆剤になりうるからである。

 

・中国内部にも、アメリカの新保守主義ネオコン)と経済的国粋主義ナショナリズム)に対比できる一派が存在し、断固とした対米政策を求めて政府に圧力をかけている。これらの強硬派は、中国人民解放軍の上層部に根強い。

 

・このような軍事的分析に加えて、『無制限の戦争』の根底にある思想は、中華人民共和国にとってアメリカは不倶戴天の敵であり、いずれはこの敵と軍事的に対決することになるという確信である。

 

・「中国はいかなる場合でもアメリカに敗北するとは考えておらず、さまざまの手段を駆使すれば、アメリカを屈服できるという信念をいだいている」「未来の戦争に関する人民解放軍の共通の見解では、アメリカは今後2、30年間は首位を維持できたにしても、やがては衰退していく運命にある」

 

・このように中国の分析の基調には、アメリカに対する敵意と軽蔑がいり混じっている。

 

・「中国の軍地戦略家から見れば、アメリカの楽観論は脅威論に変わってきた・・・・。台湾独立という重大な問題に関して、中国はアメリカとの軍事衝突をも辞さないのではないかという怯えの声すら聞こえるようになった」

 

・これらのエピソードは、中国エリート層や一般大衆の底流にある、強烈な反米意識を象徴している。米中の利害関係への思惑から、普段はこうした感情は表面化しないが、いったん危機に直面すると、心の抑制がきかなくなり爆発する。

 

<ひとつの中国か、ふたつの中国か>

・これらのどの事件をとっても、武力紛争の直接的なきっかけになるとは想像しにくいが、そのなかで唯一の例外は、台湾海峡である。全体的に壊れやすい米中関係を考慮すると、台湾こそ、きわめて険悪な対決の原因になりうる。

 

・今や台湾だけが、依然回復されていない大陸の一部として残っていることになる。この事実から台湾こそが、一触即発の危険をはらむ、重要な領土問題となっているのである。

 人民解放軍の内部には、台湾回復のためには武力の行使も辞さないという強硬派が存在する。

 

・さらには共産主義が中国の統率力を失い、共産主義に代わって中国ナショナリズム国粋主義)が国民を煽るような事態が生じた時には、台湾問題は感情的なナショナリズムの象徴として、噴き上げることになるだろう。

 

<「尻尾を振る」アメリカ>

・さらには中国が台湾を攻撃した時に、アメリカが率先して武力介入するかどうかもあいまいなままで、中国も台湾もアメリカの真意を測りかねている。

 

・安全保障上の後援者みずからが、異常に強引な顧客によって本格的な戦争に引きずりこまれる危険性―。「犬の尻尾振り現象」である。まさに台湾問題はその危険の典型である。

 

・こうした台湾の影響力行使で、アメリカ当局者も自国の利益に反するような措置をとることになりかねず、これもまた「犬の尻尾振り現象」である。

 アメリカは台湾政策で危険な立場におかれている。「今後十年間は、圧力釜に蓋をしておかねばならない」とアメリカの政府高官は話していた。

 

・台湾と中国大陸の情勢から判断して、今後十年間に軍事衝突が起きる可能性は高まっており、その場合はアメリカが巻き込まれる危険性がある。事実、台北か北京か、あるいはワシントンで、重大な政策の変化が起きない限り、衝突へと突き進むのは間違いない。

 

 

 

『フクシマ以後』   ―エネルギー・通貨・主権

関 曠野  青土社    2011/10/11

 

 

 

<TPP考>

・今年の日本は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に参加するかどうかの問題で大きく揺れそうだ。

 

・日本経済の輸出依存度は、これまで高かった年でも17%、貿易が国内総生産(GDP)に占める割合は世界170国中国で164番目である。つまり日本は米国やブラジルと並んで貿易の役割がきわめて小さい内需中心経済の国なのである。

 

・ところがこの事実を知ると「小さな島国の日本は輸出で生き延びるしかない貿易立国の国だと思っていた」と驚く人が実に多い。この貿易立国という錯覚がある人々は自動的にTPP参加に賛成するのではあるまいか。

 

・環太平洋といっても、TPPは事実上日本と米国の経済協定である。そして先に管首相はTPP参加を念願に、今年を「開国元年」と宣言したが、この開国は善、鎖国は悪という発想はペリーの黒船が日本を強引に開国させて以来の米国に対する劣等感の産物である。この劣等感ゆえに日本は米国の動きに万事追随し米国の論理に順応してきた。しかし、米国は歴史のない移民の国の体質から、経済効率の向上による物質的豊かさの追求を至上の価値とし、国情や伝統の違いにお構いなしに他国をその論理で押しまくる国である。

 

<日本の内なる問題としてのTPP>

・TPPへの参加は関税自主権の放棄および経済活動に関連するナショナルな基準、法規、制度を貿易障壁として撤廃することにつながり、事実上国家の経済に関する主権の消滅を意味している。

 

・ところがオバマ大統領の2010年の教書演説で、今後5年間に輸出を倍増して失業問題を解決するとして、アメリカがTPPに割り込む意向を表明したことで風向きが変わった。

 

ウォール街にがんじがらめのオバマには何のまともな経済政策もなく失業問題の悪化で大統領選での再選は危ない。TPPはオバマの苦肉の策である。かっては戦後の世界経済のルールを設定した国が小国間の経済協定に割り込むとは、アメリカも落ちぶれたものである。

 

・日本はおそらく現状のTPPには参加しないし、国際的にもTPPはオバマの空振りに終わる可能性がある。ではTPP問題とは何だったのか、そこで注目すべきことは、TPP自体よりもそれに対する日本の世論の反応である。

 

 

 

リチャード・コシミズの未来の歴史教科書』

知らずに生きるのは悲しすぎる!本来は教科書が語るべき、真実の歴史

リチャード・コシミズ  成甲書房 2012/7/10

 

 

 

ユダヤ権力の凋落>

・歴史を正しく知ることで、現代社会の不可解な事象が即座に理解できるようになります。

 本書を読まれた方は、なぜ安倍政権は憲法9条や96条改正に血道を上げるのか、なぜ秘密保護法法案を強行しているのか、なぜ日本版NSC創設などを言い出したのか、なぜ消費税増税を強行するのか、なぜTPPに参加しようとするのか、容易に理解できていると思います。

 

・この国家の危機を当面乗り越えるために、米国ユダヤ勢力は緊急かつ徹底的に日本から搾り取る作戦を始動しています。米国の窮状を救うのは、日本の消費増税、TPP参加、9条改正なのです。つまり、郵貯簡保、農協に眠る500兆円を超える資産を略奪して米国債買い付けに回させる。9条改正で、尖閣諸島で日中衝突を引き起こし日中戦争を惹起することで世界の資産が軍事大国米国へ流れ込むようにする……それらを実現するには、不正選挙を敢行して、米国ユダヤの言いなりとなる傀儡議員で日本国会を占拠してしまう必要があったのです。

 

済州島と日本の深くて暗い関わり>

・1945年、日本の敗戦により朝鮮は35年にわたる日本による支配から脱却する。日本の敗戦を機に故郷済州島に帰る仲間もいる。だが、高志源は大阪に残ることを選択する。

 日本の敗戦で、在日社会にも変化が生まれる。積極的に世に出ようとする者が続出する。高志源の遠い親戚筋の高太文は1920年済州島生まれの人物で、高志源よりも少し前に大阪鶴橋に移住している。高太文は柔道6段の猛者であり、戦後10年経って、1956年にプロレス団体を立ち上げた。だが、同胞の力道山率いる日本プロレスに敗退して団体は活動停止してしまう。夢やぶれた高太文は、1961年、一家を連れて朝鮮に帰国する。済州島へ帰ったのか?違う。「北朝鮮へ」である。

 

・当時、在日同胞の北朝鮮への帰国運動を推進していたのは、小泉純也という政治家であった。元首相、小泉純一郎の父親である。一体全体、なぜに小泉の父親が北朝鮮に関わったのか?現代史の教科書を1万回読んでも答えは見つからない。

 

<利用された在日朝鮮人ネットワーク>

・しかし、北朝鮮とは地縁も血縁もない高太文は、なぜ、娘たちを連れて北朝鮮に帰国したのか?謎である。だが、真の歴史を知れば謎でもなんでもない。学校の教科書に載っていないだけである(森喜朗小泉純一郎安倍晋三という3人の総理経験者には共通する出自の秘密があり、だからこそ、総理になれたのだ。前首相、野田某も別の意味での「総理の資格」を有しており、これと同じ資格を前原、岡田という他の民主党幹部も持っていることを記しておく。互いを絶対に裏切らない「心身」両面での固い絆が彼らにはある。あとは、読者の想像にお任せする)。

 

・高太文の娘、高英姫は、1950年6月大阪の鶴橋生まれである。11歳の1961年5月18日に父親に連れられて北朝鮮に帰国している。高太文は、北朝鮮における柔道指導者として歓迎されたようだ。娘の英姫は、平壌芸術大学に入学し、卒業後、国立民族歌舞団に入団して映画「金剛山の処女」に踊り子として出演した。そこで、金正日総書記の目にとまったようだ。そして、金正日の三番目の妻となる。

 この在日の帰国女性が金正日の息子を2人産む。ひとりが次男、金正哲、もう一人が三男の金正恩が就いたのである。

 

・(最近、高英姫が別人であり、ほかの在日女性だったとする説が語られている。どちらが事実かは不明である。だが、柔道家、高太文の娘だったとする説は、高英姫自身が書いた伝記に記載されている。)

 

・1959年12月に始まった在日朝鮮人の帰還に済州島出身者が群がった理由はこれでおわかりであろう。1961年に済州人特有の苗字である「高」なる11歳の女の子が、柔道家の父親に連れられて北朝鮮に渡る船に乗船したのには、こんな経緯があったのである。関西の在日居住地区には、大虐殺を行った大韓民国政府への怒りと北朝鮮の楽園神話に憧れる思いが渦巻いていたのである。

 

朝鮮労働党が日本国内に協力組織を作ってきたのは疑いのない事実である。日本はスパイを取り締まる能力のない国であるゆえ、北朝鮮工作員ネットワークを作ることはいとも簡単である。厳しい摘発を行う韓国でさえ、北朝鮮とつながった協力者のネットワークは何度も露見している。脇が甘いどころか、脇が開けっ放しの日本では工作のやりたい放題であろう。

  北朝鮮が日本ネットワークを作るとき、まっさきに組織化対象になるのは、済州島での弾圧を避けて日本に逃れてきた左派島民とその家族である。彼らが日本に定住している以上、使わない手はない。

 

<オウムの名を借りたCIA・北朝鮮合同部隊>

・さて、話は突然にオウム事件に飛ぶ。オウム事件に宗教団体であるS価学会、T一協会が関与していたことは、著者の別著で学んでいただきたい。学校の教科書には「麻原某によるマインドコントロールが原因」と書いてあるが、そんなものをいつまでも信じていては真実には絶対に辿り着けない。オウム事件とは国際的な大規模な謀略の一部分であり、その最終目的は、毎度おなじみ「ユダヤ権力による大戦争惹起」、つまり、今まで繰り返されてきたのと同じ、戦争捏造計画の一端だったのである。

 

<裏社会は小沢一郎の何を恐れていたのか>

ユダヤ権力がこのまま何も起こさずに推移してしまえば、世界の経済の中心は、極東アジアに移ってしまう。欧米は長い間の世界経済支配体制を失い、没落の坂を転がり落ちるだけだ。これでは困る。だから、日中韓露が経済的に合体することは万難を排して阻止したいのだ。日中韓露が極東アジア経済共同体でも結成すれば間違いなく世界最強の経済圏が誕生する。米ドルなどに依存する必要は毛頭なくなる。

 つまり放置すれば、欧米ユダヤ権力は確実に没落する。だからこそ、小沢一郎氏が徹底的な攻撃を受けているのだ。