(2021/11/12)
『中国と戦うときがきた日本』
中国とつながる企業は命取り
・もっとも、本書中でも述べているように、中国に対して一貫して厳しい態度をとっているのは、アメリカ議会である。トランプ政権が行ったさまざまな対中制裁も、議会が成立させた法律をトランプ前大統領が実行してきたというものがほとんどである。
・そしていま、中国に対して新型コロナ・パンデミックの責任を問う声が、世界的に高まりつつある。バイデン政権のブリンケン国務長官は明確に中国責任論を主張しており、ヨーロッパ諸国もこれに追随している。
また、2021年5月には、中国の人民解放軍の科学者や衛生当局者が2015年に、「SARSのコロナウイルスは人工操作でつくられた遺伝子兵器であり、テロリストが中国に散布した」「第3次大戦で勝利するための中心的兵器はバイオ兵器である」といった内容と、中国のバイオ武器研究の成果を記した報告書を作成していたことが明らかになった(オーストラリア紙「オーストラリアン」2021年5月8日付)。
この報告書は、アメリカ国防省が新型コロナウイルスの発生源を調査する過程で見つけたものであり、中国がコロナウイルスを使った第3次世界大戦を準備していたことを示す文書だとして、世界的にも話題となった。
同じ時期、ブラジルのボルソナロ大統領は演説で、「新型コロナウイルスのパンデミックは、中国によって仕掛けられた『新たな戦争』だ」との認識を示し、ウイルスが中国で人工的につくられた可能性を示した。
・このように、世界的に中国に対する責任論が改めて浮上してきているなかで、西側陣営の一員である日本も、対中姿勢を明確にするように求められている。
・さらに、アメリカは2021年中に、「2021年 戦略的競争法」を成立
させる予定である。これが施行されれば、アメリカは中国に対してさらに苛烈な制裁を科すことになる。そして日本もその制裁の輪のなかに加わることになる。
中国とのビジネスを展開する日本企業は、下手をすればアメリカの制裁を受け、存続の危機に陥る可能性すらあるのだ。
<中国にかかわることが最大のリスクとなった日本>
<変わりはじめた米中対立構造>
・その後のアメリカ大統領選挙で、トランプ氏はバイデン氏に敗北したが、2021年1月19日、大統領が交代する直前にトランプ政権は中国のウイグル弾圧をジェノサイド(民族大量虐殺)と認定し、バイデン政権で対中宥和姿勢に戻らないよう、ハードルを上げた。
民主化と国民主権を勝ち取ってきた歴史をもつ欧米は、人権問題にはきわめて敏感だ。ヨーロッパでもアメリカに同調する国が出てきた。
<バイデン政権でさらに燃え上がる中国の人権問題>
<西側では中国企業との取引が致命傷になる>
・加えてトランプ政権は2020年9月と12月、新疆ウイグル自治区で強制労働が行われているとして、同自治区の特定企業で生産された綿製品や電子製品などの輸入を禁じる措置を発動、翌年1月には同自治区からの綿製品とトマトの輸入を全面的に中止することを決定した。
・世界でSDGs(持続可能な開発目標)が掲げられるなか、ウイグル問題に無関心で強制労働への加担が疑われる企業は、国際的に排除されていく可能性が高まっている。あまりにも遅い日本企業の対応が、世界中から強い批判を浴びている。
<中国にのめり込んだ企業ほど痛手に>
・実際、2021年5月時点で、ウイグル人の弾圧問題で中国に制裁を発動していないのは、主要先進7ヵ国(G7)で日本だけだ。
アメリカやオーストラリアなどからは、2022年の冬季北京オリンピックをボイコットすべきだという声も出ており、今後、人権問題という大きな課題において、中国に対する国際包囲網がつくられる可能性が高まったといえるだろう。
<国際金融機関もウイグル関連企業から資金引き上げを加速>
<バイデン政権で米中暴発が起こりやすくなっている>
・この対立の最大の問題は、「落としどころがない」ことであり、中国側の妥協を望めないことにある。また、欧米側とすれば、この問題はウイグルだけの問題ではない。ウイグル、チベット、台湾など、中国から弾圧を受けている国や地域が多数存在するからだ。
・トランプ政権では、ディールを基本に落としどころをつくりながら、影響緩和策や緩和期間を設けるなど時間軸での対応を行ってきた。だが、バイデン政権にはこれがない。そのため、米中どちらもが爆発する可能性が高く、「突然の出来事」が起こりやすい状況になっているといえるだろう。
<中国に「政治と経済は別」は通じない>
・日中関係を表す言葉として、「政冷経熱」というものがある。「政治分野で冷却しているが、経済では過熱している」という意味で、胡錦濤前国家主席の造語だとされる。
しかし、日本人はこの言葉を誤解して「政治と経済は別」と勘違いする人がいるが、中国において「政治と経済はイコール」である。
中国の憲法序文には「国家は中国共産党の指導を仰ぐ」と書いてある。つまり、すべてが政治なのだ。だからスポーツにしろ芸能にしろ、中国では政治の一部なのだ。「政治とスポーツ・芸能は別」というのは、中国にとって戯言でしかない。
<中国ワクチン外交の危険な罠>
<不動産バブルを認識、総量規制に乗り出した中国>
・この総量規制の内容は、銀行規模に応じて規制を5種類に分けて、上限融資比率を定めたものだ。
中国工商銀行など6大国有商業銀行と国家開発銀行の大銀行を「1類」とし、不動産向け融資は全体の40%、個人向け住宅ローンは全体の32.5%を上限とした。
招商銀行や農業発展銀行、浦東発展銀行などは「2類」とし、不動産向け融資27.5%、個人向け住宅ローン20%を上限と定めた。
・これは当局が不動産価格をバブルと認識し、強制的なリスク管理に入ったことを意味する。
<不動産バブルはどこまで崩壊するか>
・中国の不動産価格であるが、2019年の不動産価格の年収倍率は、中国4大都市の深圳で35.2倍、上海で25.1倍、北京で23.9倍、広州で16.5倍となっており、日本で最も年収倍率が高い東京の13.3倍を大幅に上回っている。
日本のバブル時ですら、東京の不動産の年収倍率は18倍だったことを考えると、いかに中国の不動産バブルが異常であるかがわかるだろう。
・中国では現在、14億人の人口に32億人分の完成物件と54億人分の開発計画があるとされるが、そもそも論として、これが成立し続けるわけがないのである。さらに言えば、中国は9200万人の共産党員とその家族、1億5000万人のOECDレベルの所得を持つ人たち、それを含む3億人の都市戸籍と11億人の農民戸籍の人で構成されている。14億人といっても、自ら豊かな生活を享受できるのは上位の3億人程度であり、それ以外の人は不動産を購入する顧客になりえないのである。
<銀行破綻を見越した政策を打ち出した中国政府>
・2021年3月の全人代では、銀行の破綻処理に関する法律がつくられることが発表された。これは現在の中国の不動産の状況を当局が危険視していることの表れであり、これ以上のバブルの拡張は不可能と判断したものと思われる。
<バランスシート不況に陥る中国>
・では、中国はどうなるのかという話になるが、不動産価格の下落は債券市場全体のリスクを大きく引き上げる。さらに、債券の買い手不足から、金利も引き上げられることになる。それが不動産から債券市場全体に普及するわけだ。
先述した恒大集団の場合、信用不安の発生により借入金利は12%にまで上昇した。
・そして、中国の最大の弱点であり、リスクはここにある。今も世界の金融はドルを基軸に動いている。世界各国に投資をしたければドルが必要であり、ドルがなければ石油も資源も購入できない。
中国からすれば、このドル基軸体制を壊せなければ、中国が世界の覇権を握ることができない。
<「CIPS」と「デジタル人民元」を仕掛ける中国の狙い>
・中国がドル基軸体制を崩すには、このSWIFT(国際銀行間通信協会)以外の国際決済の仕組みが必要である。そのため2015年、中国人民銀行は人民元の国際銀行間決済システム「CIPS」を導入した。中国政府は人民元建ての決済において、CIPSの利用を取引相手国に求めている。
そして、これに並行する動きが、デジタル人民元という「現物なき通貨」ということになる。
<「デジタル人民元」が絶対に失敗する理由>
・ただし、これは大本の人民元そのものの価値が担保されていることが大前提であり、デジタル化されようとも人民元そのものに価値がなくなれば意味がない。
また、中国政府が簡単にこれに踏み切れない理由も存在する。人民元の国際化、海外決済の自由化は、国内からの資金流出を促進する側面もあるからだ。
・したがって、中国としては、自分たちのコントロールが利かなくなる為替の自由化や、資本移動の自由化は認めることができない。
中国が先進国と同じ条件で国際金融に参画するのは、固定相場制をやめて、「為替の自由化」を受け入れると同時に、「中央銀行による独立した金融政策による物価安定」と「外国との資本移動の自由」を成し遂げるしかない。
<「スタグフレーション」へ突き進む中国>
・たとえば、3月1日には著名なエコノミストである任澤平氏が「スタグフレーションがやってくる」と題するリポートを発表、中国国内のソーシャルメディアでまたたくうちに拡散された。(「ロイター」2021年3月5日付)。
スタグフレーションとは、景気が低迷する中でインフレが進むことだ。
・郭樹清氏によると、中国の住宅価格が急落すれば、住宅購入者の損失が膨らみ、銀行は住宅ローンを回収できなくなり、国内の金融セクターやマクロ経済を脅かす可能性があるという。
・中国の不動産融資対GDP比率(不動産レバレッジ比率)は2010年の15.9%から2020年末には40.1%にも上昇しサブプライムローン危機以前のアメリカの不動産レバレッジ比率水準をも上回った。
・不動産バブル崩壊から金融危機が起れば、それは中国共産党の危機であるということだ。
・しかし、無理な統制を行い、事実を捻じ曲げてきただけに、その矛盾がひとたび噴出を行い、事実を捻じ曲げてきただけに、その矛盾がひとたび噴出すれば、事態は統制不可能となる。金融危機が起れば、中国共産党自体の存亡の危機になるのである。
<問題はヨーロッパへも飛び火する>
<「豊かになる前に老いる」中国社会>
・中国民生部によれば、「2021年~25年までの5年間で中国全土の60歳以上の高齢者人口は3億人を突破する」という。また、2025年には総人口のうち65歳以上を占める割合が14%を超える高齢社会に突入すると予測されている。
日本では2025年に団塊の世代が75歳の後期高齢者に達し、医療や介護の社会保障費が急増する「2025年問題」を抱えているが、中国の場合はもっと深刻だ。
ちなみに、人口に占める65歳以上の高齢者の割合が7%を超えると高齢化社会、14%を上回ると高齢社会、21%を超えると超高齢社会と呼ばれる。
・中国は2002年に高齢化社会となり、2025年に高齢社会となると目されているため、その期間は23年。そしてその10年後の2035年に超高齢社会になるという予測だ。日本を上回るスピードで超高齢社会に突き進んでいることがわかる。
・しかも、日本やアメリカなどの先進諸国では、高齢社会となった時点で1人当たりのGDPは2万ドルを大きく上回っていたが、中国の1人当たりGDPはまだ1万ドル程度にとどまっている。中国が高齢社会を迎える2025年に先進国のような2万ドル突破はまず不可能である。
そのため中国では、これからの中国社会を表す言葉として、「未豊先老」がよく使われている。「豊かになる前に老いる」という意味だ。
中国の社会保障費は2013年からの5年間で2倍に増える一方、財政赤字は拡大の一途を歩んでいる。
<露見した国有銀行が抱える爆弾>
・とくに中国経済の不安定要素となっているのが、中国6大国有銀行の一つ中国工商銀行の問題だ。
・2021年4月27日に、償還期限を迎えた6億シンガポールドル(約490億円)の社債に関しては、工商銀行のシンガポール支店が融資を行い償還されたが、格付け会社は厳しい見方をしており、中国政府がどこまで支援するのか注目が集まっている。
・また、これはほかの中国企業などの債券に対しても悪影響を与える。ほかの中国国有銀行の不良債権受け皿機関の信用も低下し、銀行から融資を受けている融資先の資金調達にも悪影響を与えることになる。そして、これはリスクプレミアムというかたちで中国の銀行や企業全体の資金調達を難しくするのだ。
日本もバブル末期、銀行子会社である「ノンバンクへの飛ばし」が大きな問題になり、同時に日本の資金調達全体に課せられる「ジャパンプレミアム」により、海外からの資金調達が困難になった。そして、これが証券や銀行の連鎖破綻の大きな要因になったのである。
現在、中国は米中対立と米中デカップリングにより、当時の日本以上に厳しい立場にあるといえるだろう。
<習近平の企業支配>
・ちなみに、華融資産管理は中国最大級の不良債権受け皿機関であると同時に、大きなスキャンダルで話題になった組織でもある。
というのも、元会長の頼小民氏は17億9000万元(約285億円)の賄賂を受け取っていたことが発覚して逮捕され、さらには重婚罪でも有罪となり、2021年1月に死刑判決を受けると、その3週間後には刑が執行されたからだ。
日本では考えられないほどの巨額賄賂も中国的なら、汚職で死刑というのも、死刑判決から執行までわずか3週間というのも中国的だ。
習近平氏が総書記就任直後から腐敗追及運動を展開してきたことは周知のことだが、すでに150万人の公務員が処罰されている。党内の粛清を断行し、政敵を追い落とし、自らの権力拡大につなげてきた。
<ワクチンで立ち直る世界と高まる中国責任論>
<次々と反中へ転換する西側諸国>
<アメリカとロシアの対立で新冷戦の構造が確立>
・トランプ政権とバイデン政権の外交戦略の大きな違いは、対中路線よりもロシアの扱いだろう。
トランプ氏はロシアに対して積極的な批判を避け、不干渉の態度をとってきた。
<日本は中国にどう勝つか>
<レッドチームへ行く韓国>
・アメリカと韓国は、戦時作戦統制権が韓国に返還された後、米韓合同司令部を解体して未来連合司令部を創設、その司令官に韓国軍人、副司令官にアメリカ軍人を任命することで、アメリカ側も容認した。
ただし、そのままでは韓国の司令官にアメリカ軍が従うことになる。しかし、ここには別のレトリックが存在する。
韓国が指揮権をもつことができても、副指揮権をもつアメリカと在韓米軍の指揮権は「アメリカを中心とした国連軍」にあり、それは横須賀(アメリカ軍)にある。つまり、アメリカ軍は韓国に従う必要はなく、上位にある横須賀の国連司令部の指揮に従えばいいという話なのだ。
<「法」の概念が世界と違う中国>
・繰り返しになるが、中国では憲法前文に、「国家は中国共産党の指導を仰ぐ」と明記されており、憲法よりも共産党のほうが上位にある。つまり、共産党は憲法に縛られない。憲法によって縛られるのはあくまでも統治される側、つまり民衆側であるという認識だ。中国では、法律は強い者が弱い者を縛るものなのだ。
・しかし、急速な経済成長を遂げて強国化した中国は、もはや西側のルールに従う必要がなくなったと考えるようになった。前述したように、法やルールは強者が弱者に押しつけるものだというのが中国の考え方だからだ。
<「中国ルール」を押しつけるために国際機関を支配>
<急がれる企業、大学、研究機関の経済安保体制の構築>
・一方、アメリカの対中制裁によって生じる事態に備えるため、日本政府は半導体や通信・IT、原子力などの重要分野を担う主要企業に対して、経済安保担当の役員の設置を要請することを検討している。
・日本学術会議は、「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」と宣言し、大学に対してもその遵守を求めているが、その一方で日本の学者らが中国の軍事技術に協力しているとなれば、それはきわめて大きな問題だ。
大学や研究機関をチェックして、このような状況を修正していかなければ、アメリカから制裁を受ける可能性があるのだ。
<これを知らないとアメリカの制裁対象となり破綻する>
・しかし、アメリカにはそもそも行政指導というものがない。違反が見つかった時点で議会に呼ばれて責任を追及されたり、訴訟を起こされて莫大な罰金を支払わされる。
・とくに、アメリカが輸出を禁じているアメリカ原産技術が含まれた製品を扱っている場合は要注意だ。日本企業が知らずに中国に輸出してしまうと、アメリカの制裁が発動してしまう。
・したがって、日本の法律だけでなく、アメリカの法律も押さえておかなければならない。これは大学や研究所とて例外ではない。そういう意味において、大学や研究機関も今後はかなりの注意が必要となる。
<中国と戦うための改革が求められる日本>
・だが、アメリカの企業などは、安い代わりにサポートを省いているような企業も少なくない。2021年5月、アメリカ企業、セールスフォース・ドットコムのクラウドサービスを利用する38の自治体や国内企業の個人情報などが、外部から閲覧できる状態だったことが発覚した。
・利用企業や自治体は、セールスフォース・ドットコムのサービス設定が複雑で、設定のここに問題があるか把握するだけで600ページ以上の説明書を読む必要があるなどと言い、同社のサポート体制が悪いなどとしている。しかし、そもそもアメリカ企業のクラウドサービスを利用したのは、安価だったからではないのか。
・日本ならば、値段は高いが、NTTデータなどに設定サポートまですべてお願いすればやってもらえる。しかし、アメリカのサービスは安いが、そういったサービスがついていない。ついていないから安いのであって、「サポート体制が悪い」と文句を言うのは筋が違う。
加えて、楽天やペイペイは、最先端のIT企業ではなかったのか。そのような企業が、クラウドの設定すらできないというのが日本の現状なのだ。
・これまで述べてきたように、日本の企業は現状の国際情勢に危機感を覚えておらず、平和ボケしている。このままいけば、かつてCOCOM違反で東芝機械が血祭りにあげられ外交問題にまで発展したように、どこかの日本企業が生け贄になる可能性も高い。
<日中決戦のときに備えよ>
・バブル崩壊後、「失われた30年」を経て日本は弱体化していった。他国が経済成長していくなかで、日本はほとんど成長できなかった。
その理由の一つとして、人口が増加する「人口ボーナス」から、人口が減少する「人口オーナス」へと転じ、少子高齢化社会になったことがあげられるが、それ以上に大きかったのは、二度にわたる円高、そしてそれによる国内の産業空洞化を招いたことだった。
・この円高で何が起こったかというと、日本企業の多くが中国に進出し、日本国内の産業が空洞化した。円高により日本企業は国際競争力を失ったため、海外生産に切り替えざるをえなくなったのだが、それが中国の改革開放の時代に重なった。そして、それが中国の急速な経済成長をもたらすこととなった。
経済成長の指針として使われるGDPであるが、これは国内総生産であって、たとえば日本企業が中国で製品をつくっても日本のGDPには入らず、中国のGDPを押し上げることになる。
海外で日本企業が稼いだお金を日本国内に持って帰り、それが国内消費につながるのであれば、結果的にGDPは伸びることになる。だが、中国の場合、資金の持ち出し規制があり、日本に還流させることが難しい。
・中国進出ブームの当初は、日本企業が日本でつくる製品と、日本企業が中国でつくる製品が価格競争に発展し、その結果、日本国内の製造業の中国移転が進んだ。
そして、次の段階には、中国で日本企業がつくる製品と、中国で中国企業がつくる製品の価格競争となり、これに日本企業が敗れ、さらには中国製品が日本のマーケットを席巻し、日本の製品を淘汰していった。
結果的に、中国国内に残る日本企業は減少し、白物家電のような製品はほぼ中国製に淘汰されてしまった。
・このように、中国に吸い取られつづけたのが、「失われた30年」だったわけだ。日本のGDPが伸びないのは、中国製の安い製品が入ってきてデフレになったこともあるが、それ以上に、日本に富が還流せず、GDPを中国に奪われていたことが大きい。しかも、それ以上に、日本に富が還流せず、GDPを中国に奪われていたことが大きい。しかも、それ奪われたというよりも、日本人自身の手で中国に与えていたのだ。
この基本構造を理解すると、これまでの中国との取引にどれだけのメリットがあったのかということになる。中国に進出した日本企業は死屍累々の状態だ。
・日本の技術の結晶である新幹線にしても、無邪気に中国に技術供与してしまったことで、いまや中国は自国の高速鉄道を「独自技術」として各国で特許までとり、日本の新幹線の輸出を阻害している。
・中国と取引することはメリットがないことは、すでに答えは出ているのだ。しかし、日本は、自分の代だけでうまくいけばいいと考えるサラリーマン社長も多く、長期的な視野をもてない経営者が多い。
・これは、国も同じだ。かつて政府は20年、30年という長期計画を立てていたが、現在は「骨太の方針」などと銘打っても、かつてほどの長期ではなくなっている。
・これからの日本の産業で、とくに期待できるのは、光半導体だろう。NTTが中心となり、6Gにおけるグローバルスタンダードになろうとしている。
・ワクチン接種が進んだ国では、次第に新型コロナウイルスの流行が下火になりつつある。世界的なパンデミックが終息する目処が見え、安心感が広がれば、今度は中国の責任を問う声が内外から出てくるだろう。そしてそのときが、一気に変化するときなのだろう。
<新たな冷戦>
・本書で述べてきたように、これまで中国に対して強い姿勢に出ず、腰が引けていた日本も、「新たな冷戦」の戦列に加わることになる。
・イギリスが、日本の「ファイブ・アイズ」への参加を要望しているのも、たんなる「お客さん」ではなく、メインプレーヤーとしての役割を担ってもらいたいからだ。
これは独裁国家と民主主義国家のどちらが強く、統治システムとしてうまく機能するのかを問うことにもつながる。
ただしそうなれば、憲法改正の議論も出てくるだろう。日本にはスパイ防止法がないが、それではファイブ・アイズに入ることは無理だ。
・中国によるウイグルでの人権弾圧については、G7で日本だけが対中制裁に加わっていない。中国の顔色を伺いすぎることは、先進国の結束を弱体化させる。
<●●インターネット情報から●●>
ウェブサイト「トカナ TOCANA」(知的好奇心の扉)から引用しました。
「宇宙人に拉致されて「地球外文明で10日間を過ごした」男が激白! 消された全記憶が復活」 2021/11/2
NASA共同研究者として火星の地図作成を行ったジャック・ヴァレ博士は、UFO研究の大家としても知られる。地球外知的生命体による人類誘拐事件が妖精譚に酷似しているとの指摘は、UFO研究に新たな地平を開いた。
ヴァレ博士のみならず、多くの研究者が指摘することであるが、いわゆる誘拐された者(アブダクティ)は、その経験により、後の人生が変わってしまうケースが多数報告されている。そして、人生の劇的変化が、たとえば旧約聖書の預言者にも酷似している。つまり、神に出会うという劇的な体験を経て、その体験について語る者へと変貌を遂げる様が、UFOに誘拐され、その体験の虜となり語り続ける様と告示しているということだ。
事件から30年近くを経て、なお語り続ける人物がいる。民間宇宙旅行さえ現実になり始めた昨今、いつ何時あなたがアブダクティになってもおかしくない。以下、2018年11月の記事を再掲する。
1989年、ニュージーランドの山中でエイリアンにさらわれ、地球外文明で10日間を過ごしたという男性がいる。今月初めにもオーストラリア・シドニーで講演会が行われるなど、人生をすっかり変えてしまったという事件の詳細に、今改めて注目が集まっている。豪メディア「News.com.au」が今月2日付で報じた。
■たった3時間のはずが……
1989年2月中旬の月曜日、ニュージーランド北島に住む当時40代のアレック・ニューワルドさんは、温泉や湖で知られるロトルアから大都市オークランドへと自動車を走らせていた。それはたった3時間足らずの道であったはずなのだが、霧深い山道を走り抜けてオークランドの街へとたどり着いたとき、日付は出発から10日も過ぎた翌週の木曜日になっていた。
非常に疲れて混乱していたアレックさんだったが、やがてその10日間に自分がどこで何をしていたのかを思い出した。彼は道中でエイリアンに連れ去られ、地球外文明の都市に滞在していたのである。
■霊魂の状態で誘拐
アレックさんによると、車を運転していたら突然体が重くなって麻痺し、ブレーキも踏めない状態に陥ったという。車は猛スピードで崖へと向かい、アレックさんは死を覚悟した。
だが、次に気がつくと、アレックさんは点滅する青いネオンライトに満たされた洞窟のような場所にいた。当初、自分は事故で死に、霊魂の姿で死後の世界にいるのだと思ったという。彼は幽霊のように形を失っていたが、意識を前進させたり横に動かしたり、自分自身を操作できた。
すると突然、肩に別の“精神”が触れたように感じた。見上げると、3人のエイリアンが近づいてくることに気付いたという。それは頭部が丸い生物で、人間よりも低い位置にある細い目、小さな口はあったが、耳や鼻は見当たらなかった。4フィート(約1.2m)と最も背の高いエイリアンがアレックさんの側に来て、「ようこそ」と語りかけてきた。
エイリアンは自分を「このセクションのガーディアン」と名乗り、アレックさんを歓迎し、お互いをよく知りたいと話した。この会話には言葉は使われず、エネルギーのようなものでのコミュニケーションであったという。そして、エイリアンたちがアレックさんをマシンの上に立たせると、たちまち物体を持った体が形成された。
■エイリアンの大都市
やや背の小さい別のエイリアンと、もっと背の小さなエイリアンに先導される形で移動したアレックさんは、やがて建物が立ち並ぶ場所へと出た。それは、エイリアンたちの大都市だった。アレックさんの知る地球上のどの大都市より大きいものに見えたという。2つのピラミッドと透明なドームに囲まれた建物があり、建物は大きな電球としか形容できないもので覆われて昼夜輝いていた。
建物は円形かチューブ状で、アレックさんの滞在先の家も円形で、内部は螺旋状になって上層階に進む構造だったという。室内は白い光で満たされていたが、その光源は見当たらず、柔らかで温かな光があちこちから放射されていたそうだ。
街の移動には羽のない戦闘機のようなマシンが使われていた。それは、考えるだけで動かしたり行き先を決めたりでき、地面から浮き上がってスムーズに走行したという。
■記憶を奪われて帰還
その街で10日間を過ごしたアレックさんだが、やがて自分の家に戻ることを決める。エイリアンたちは自分たちや街に関する記憶を奪い、アレックさんを地球へと戻した。記憶を失った彼は10日間の空白に混乱し、記憶が戻るまでは恐怖が続いたという。
なんとか記憶を取り戻したアレックさんは、自らの経験を著書『Co-Evolution』にまとめ、出版した。彼の元には様々な人物が話を聞きに訪れ、また自らも積極的に体験談を話しており、昨年には英「BBC」ラジオの番組でもインタビューを受けている。また、今月もシドニーで動画公演を行ったそうだ。
事件から30年近く経った今も、アレックさんが積極的に自らの体験を語り続けるのは、自分の人生を大きく変えた奇妙な経験を消化するためだという。エイリアンがアレックさんを拉致し、自分たちの文明を見せた理由は何だったのか? 彼は今もその記憶に翻弄され続けている。
参考:「News.au.com」、「Mysterious Universe」、「Alec Newald」、ほか