日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

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コロナ禍の経済や労働市場への影響はむしろこらから本格化する可能性が高い、つまり今年の秋以降に未曽有の危機と変化をもたらす「コロナ氷河期」が到来すると考えられるからです。(1)

 

『コロナ氷河期』

終わりなき凍りついた世界を生き抜くために

前川孝雄   扶桑社   2020/9/19

 

 

 

今から用意しなければ「コロナ氷河期」は乗り切れない
・しかし、現実は残酷です。日々深刻化一方の新型コロナウイルス感染症の拡大による“コロナ禍”は、いまだ終息どころか収束の気配すら見えず、休業・倒産する企業が続出しています。IMFは今年6月、今回のコロナ禍がおよそ100年前の世界大恐慌以来、最悪の経済悪化となる懸念を示しました。

 

・とはいえ、「コロナ禍が収束していない段階で『新しい働き方』『新しいキャリア』と言われても……」と時期尚早と捉える人もいるかも知れません。しかし、私が今このタイミングで本書を執筆したことには理由があります。それは、現在のコロナ禍は序章に過ぎず、経済や労働市場への影響はむしろこらから本格化する可能性が高い、つまり今年の秋以降に未曽有の危機と変化をもたらす「コロナ氷河期」が到来すると考えられるからです。

 

ワーキングプア」「派遣切り」「ひきこもり」「ニート」など、今なお未解決のさまざまな社会問題を引き起こした「就職氷河期」以上のインパクトを持ち、さらには就職活動中の学生だけでなく全世代のビジネスパーソンを巻き込む「コロナ氷河期」

 

この猛威に晒されてから動くのでは、あっという間に凍死してしまう。今から仕事や働き方、キャリア、さらには人生への向き合い方を真剣に考えていかなければ、これからの時代を生き残れない、そうした強い危機感から筆を執りました。

 命をかけて現場で働く医療・流通・小売業界などのエッセンシャルワーカー、不安に苛まれながら慣れない在宅勤務を続けるビジネスパーソン、長引く休業期間の孤立に耐えきれず心を病む人々、契約を打ち切られる非正規雇用者、内定を取り消された新社会人、リストラ対象になり茫然自失となる中高年社員……こうした苦悩を抱える人々をこれ以上増やしたくはありません。

 

今必要とされる「生き延びる力」

・リスク分析の専門家として知られるイアン・ブレマーはこう話します。

新型コロナのパンデミックは私たちの一生で最大の危機だ。今まで認識はしつつも、きちんと対処してこなかった課題が一気に噴出しようとしている。これからの1年半ほどで、5年から10年分の変化に直面するだろう

 

コロナ禍で一変する働く未来――「コロナ氷河期」の到来

今なお続く社会問題を生み出した「就職氷河期」の再来
・このバブル崩壊によって企業の業績が悪化し、その後、約1990年代半ばから2000年代半ばまでの就職が困難な約10年間を「就職氷河期」と呼びます。

 就職氷河期に直面した当時の若者は今、30代半ばから40代半ばを迎えています。その間、雇用悪化が長期化したことで、「年収300万円時代」「格差社会」「ワーキングプア」「派遣村」「ニート」「中高年のひきこもり」「未婚率上昇による少子化問題」といったさまざまな社会問題が顕わになりました。就職氷河期から20年近く経った今なお、彼らは“就職のつまづき”に翻弄される人生を歩んでいるのです。

 

終わりなきコロナ氷河期

・2005年卒まで大卒求人倍率は1.3倍台と低迷しますが、徐々に回復していきます。しかし、2008年秋にアメリカでバブルがはじけます。投資銀行リーマン・ブラザーズの破たんを機に勃発した世界的な金融危機リーマン・ショック」により、再び雇用危機が起きたのです。ただ、新卒採用は入社する2年前の大学3年生時からの就職活動を反映するため、大卒求人倍率は2008年卒、2009年卒では2.14倍と売り手傾向を保ちました。リーマン・ショックの影響を受けて悪化に転じたのは2010年卒から。前年より0.5ポイント以上急落し、1.62倍となります。以降、2014年卒まで1.3倍を切り続けました

 

・しかし、2020年に入り、突然この売り手市場を崩壊させる出来事が起こりました。新型コロナウイルス感染症の世界的な流行です。現役で働く人は皆初めて経験するパンデミックに、各企業は現場の対応に追われ、誰も経験したことのない事態にパニックに陥りました。

 

就職氷河期の悪夢が再び繰り返されるのか

・コロナ氷河期においてもっとも憂うべきことは、元凶となっている新型コロナウイルス感染症のワクチンや特効薬の目処が立っていないことです。もちろん、欧米や日本では急ピッチで研究開発、臨床試験が続けられていますし、国をあげて製薬メーカーに対するワクチン確保の働きかけも行われています。

 

リーマン・ショックが雇用に与えた被害

リーマン・ショック金融危機であり、実体経済の崩壊にまで至らなかったことや中国経済の急成長などの要素もあり、幸運なことに好転する材料があったと先述しましたが、それでも振り返ってみれば、有効求人倍率や大卒求人倍率の数値の動きから明らかなように、雇用に与えたダメージは5年以上の長期にわたる、かなり深刻なものです

 経済活動の停止により実体経済が崩壊し、好転の目処も見えてこないコロナ氷河期は、どう楽観的に考えても、残念ながらこのリーマン・ショック以上の影響を見込まなくてはなりません。

 

リーマン・ショックを超えるコロナ・ショック

リーマン・ショックと同様、既にコロナ・ショックによって解雇や雇止めに歯止めがきかない状況になりつつあります。

 厚生労働省が9月1日に発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月から0.03ポイント下がって1.08倍になっています。これは6年3か月ぶりの低水準です。

 また今年、勤め先から解雇や雇い止めにあった人は5万人(見込みを含む)を超えています。直近の4か月では5月1万2952人、6月1万2688人、7月1万621人、そして8月も1万人弱と、この4か月で、今年の数字の9割以上を占めています。さらに感染者数は8月に入って過去最高を記録するなど、増加の一途。今後、企業業績が好転する材料もなく、雇用のリスクはますます膨れ上がっていきます

 

後継者不足が招く「大廃業時代」

・実は、コロナ禍の前から、日本社会はある雇用リスクを抱えていました。それは「経営者の後継者不足」という問題です。そして今、新型コロナウイルス感染症拡大がこの問題を前倒しし、経営者は心苦しい決断を迫られています。

 中小企業庁によると、2025年までに70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業の経営者は約245万人で、約半数にあたる127万人が後継者不足に頭を抱えています。この127万人という数字は、日本企業の経営者全体の約3割に相当します

 もし、このまま彼らが「廃業」という選択肢を選べば、2025年までに累計約650万人の雇用が失われる可能性があるとも指摘されてきました。日本の就業者の総数は6700万人ほどですから、10人に1人の雇用が失われることになります

 この「大廃業時代」による雇用の消失が、今、コロナショックにより前倒しされて一気に日本を飲み込もうとしています。

 

自律型人材を育成する「ハイブリッド型」雇用

・新卒一括採用・年功序列・終身雇用という日本型の「メンバーシップ型雇用」に終止符を打ち、職務内容に最適な人材を配置する「ジョブ型雇用」へと、いち早く移行を表明した日立製作所今年7月には、来春から国内の全従業員約15万人を対象に導入すると発表しましたが、コロナ禍の真っただ中にいる日本企業は今、働き方を変革する岐路に立たされています。

 それでは今後、どのような雇用・人事制度や人材育成が新たなスタンダードである“ニューノーマル”となっていくのでしょうか。

 私がその最適解として考えるのは、心理的な安全性を育むメンバーシップ型雇用の強みをベースに、キャリア自律を促すジョブ型雇用の長所を取り入れた“ハイブリッド型”の雇用です。

 

すべての世代に求められる「キャリア自律」への意識

・コロナ氷河期にいて、これまでの組織内での慣習や常識が今後も通用することはまずありません。企業にとってハイブリッド型の人材育成制度の構築が急務であるように、働く側にもニューノーマルな働き方が求められます。

 

学ぶ20代、学ばない50代

・自律型の人材が求められるコロナ氷河期において、学び続ける力や姿勢はキャリア形成に大きな“差”を生みます。その差は、収入格差はもちろん、何より人生の幸福度に大きく影響します。

 日本生産性本部が2020年5月に発表した「新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響を調査」によれば、コロナ禍において将来の収入に不安を感じている人たちは、20代から50代の各世代で軒並み60%を超えています。そのうち、もっとも高かったのは20代で68.5%、バブル崩壊後に生まれたときから不景気だった平成生まれの若者の危機感の高さがうかがえます。

 さらに、新型コロナウイルス感染症が流行してから自己啓発に取り組んだかどうかを聞いたアンケート調査では、20代は積極的な学びの姿勢を見せていることも判明しました。自己啓発を「始めた」「始めたいと思っている」の2つを合わせると54.2%にも上ります。

 

頭でっかちな20代が大量生産されるリスク

・これからは生涯を通じて「学ぶ姿勢」が必要となる。この点で、今はYou Tubeやeラーニングなどインターネット上でスキルや知識の習得がしやすい環境にあります。そうした中で、先述したように成長意欲が高く、デジタルネイティブな20代は、今後DXが進む社会において力を発揮しやすく、活躍できる可能性も高くなります。しかし、コロナ氷河期において“スキルの空洞化”が起きないように注意しなくてはなりません。

 

・このカッツ・モデルによれば、組織内で求められるスキルには大きく3つあります。

 1つ目は、仕事をやり遂げるために必要な専門知識や技術である「テクニカル・スキル(業務遂行能力)」。次いで、人を巻き込んだり、動かしたり、人間関係を築いたりする「ヒューマン・スキル(対人関係能力)」。これは若手から中堅、何より「ミドルマネジメント(部長、課長職)」に求められる中核スキルです。そして3つ目が「コンセプチュアル・スキル(概念化能力)」といって、会社の中期経営計画やビジョンや戦略を組み立てる力。「トップマネジメント(経営者、幹部)」に欠かせない能力になります。

 

・テキニカル・スキルに偏った人材は、一見すると仕事ができるように見えますが、コミュニケーション能力が低く、組織からなかなか評価されない。それゆえ、自己評価と人事評価のかい離に苦しみ、モチベーションを失っていく。コロナ氷河期においては、こうした若手社員のスキルの空洞化による弊害にも気を配っていかねばなりません。

 

「察しろ」から「サポート役」へと変化する“上司力”

・ヒューマン・スキルが低く、頭でっかちな若手社員が増えれば、「空気を読む」「行間を読む」「阿吽の呼吸」といった日本のお家芸である非言語的コミュニケーションが通用しにくくなります。もちろん、ムラ社会的なこれまでの日本企業では、この非言語コミュニケーションが同調圧力やハラスメントの温床となった一面もあります。しかし、かといって非言語コミュニケーション力がまったく必要ないかといえば、それも誤りです。

 

コロナ氷河期は“変革”のターニングポイント

・日本経済をなぎ倒すコロナ禍により、雇用市場は過去に類を見ないほど、誰も予想がつかないほどにダメージを受けることでしょう。世界的な流行が収束の気配を見せない現在、コロナ氷河期は今年、来年にとどまらず、長期化の様相も呈しています。

 

ミドルシニア世代のキャリア――独立に向けて10年計画で準備せよ

年功序列」と「終身雇用」を信じて入社した最後の世代

・本書でも再三触れてきたように、景気が悪化しコロナ氷河期が迫り、多くの企業でリストラが始まっている。これは目を背けようのない現実です。

 雇用、特に正社員雇用は景気の影響を遅れて反映するので、今後迫りくる大リストラ時代に、もっとも危機意識を持つべき人々は誰なのか?それは50代の会社員でしょう。

 

コロナ氷河期では「定年」という概念すらなくなる

まず大前提として、今の50代が信じてきた「年功序列・終身雇用」という日本型組織の恩恵は、すでにコロナ禍以前から崩壊し始めていました。

 

・2021年4月から施行される「高齢者雇用安定法の改正」では、定年の対象年齢が65歳から70歳に引き上げられる予定で、当初は努力義務とされているものの、早晩、実施義務となることは必至です。

 同法では「1、定年の引き上げ、2、継続雇用制度の導入、3、定年の廃止」に加えて、「4、高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に、a

・事業主が自ら実施する社会貢献事業 b・事業主が委託、出資等する団体が行う社会的貢献事業に従事できる制度の導入」という項目が追加されました。

 これはつまり、現実として「60歳まで働けばひと段落」というキャリアプランを社会が許容できなくなったことを意味します。さらに、今の50代が新たに引き上げられるであろう定年である70歳となる20年後には、もはや「定年」という概念すらなくなっている可能性もあります。

 

海外ではすでに常識の「定年のない世界」

・この「定年がない」という考え方は、すでに海外では一般的なものになりつつあります。まず、米国では1970年代まで65歳定年が一般的でしたが、1986年に「年齢を理由にした不当な労働条件の制約である」として、定年が廃止されました。65歳定年が一般的であったイギリスでも、2011年に定年を理由とした解雇を禁止。また、カナダやオーストラリアにも定年制度は存在しません。

 

・ただし、ここで注意したいのは、日本と欧米ではそもそもの雇用形態に大きな違いがあるという点です。

 欧米はジョブ型雇用であり、流動的な転職市場が整備されています。つまり、ミドルシニア世代であっても、年齢を問わず、その人の持つ技能に応じた職に就けるということ。職業教育訓練が充実している国も多く、会社に依存せず、己の力でキャリア自律しやすい環境にあります。

 一方、メンバーシップ型雇用の日本企業の場合、ミドルシニア世代が会社に居残ったとしても、60歳以降は役職や権限、給与を大幅に縮小され、キャリアやスキルを度外視した職務に甘んじることになります。

 

「企業寿命」より「職業人生」が長い時代へ

定年がなくなれば、当然「終身雇用」という概念も消失します。現在、「企業寿命は20~40年」と言われており、これに対して、50年以上にわたり職業人生が続くのが当たり前になれば、単純計算でも1つの会社でキャリアを終えることは不可能となります。すでに年間転職者は300万人超と言われ、今後は「転職は当たり前」の時代となります。

 

リモートワークで可視化された「働かないおじさん」

・少々前置きが長くなりましたが、年功序列・終身雇用」を信じて入社したミドルシニア世代の働き方はコロナ禍以前からすでに通用しなくなっており、この流れがコロナ氷河期で一気に加速していくことは明白です。その一端が、リモートワークで可視化された「働かないおじさん」の存在です。

 各業界でDXが浸透していく中、デジタルネイティブな20~30代に比べると、ミドルシニア世代にはIT技術をキャッチアップできていない人々が圧倒的に多い。

 

存在感が問われる中間管理職

リモートワークによる仕事の効率化に関するさまざまな議論において、改めてその存在意義を問い直されているのが中間管理職です。

 中間管理職の主な仕事は部下のマネジメントであり、50代ミドルたちの多くが任される仕事でもあります。従来、中間管理職は部下の仕事を間近でチェックすることで成り立っていました。しかし、リモートワークの推進によって、部下の仕事ぶりが以前よりも可視化できないという事態が発生しています。

 

年下上司に従いながら、悶々とした人生を送るシニア会社員

・では、会社から不要とみなされたミドルシニアには、どんな人生が待ち受けているのでしょうか?

 年金支給開始年齢の引き上げ、定年という概念の消失が見込まれるコロナ氷河期において、もう「逃げ切る」ことはできません。

 現在、多くの企業は法改正を踏まえつつ人件費を抑えたいので、定年後の雇用延長では雇用形態を嘱託などに変更し、給与も大幅に下げて継続雇用する形を取っています。この場合、ごく一部のエリートコースに乗った人々を除けば、役職から離れてかつての部下や後輩の下で働くことになります。つまり、管理職としてのマネジメントから一転して、現場で働くプレイヤーとしてのスキルが求められます。

 これは、定年後のシニア世代の会社員にとっては非常につらいものです。

 

会社を辞めただけでは、セカンドキャリアは築けない

・会社に残るのが不幸ならば、早期退職をして自分のスキルを求めてくれる別の会社に転職すればよいかというと、そう簡単ではありません。

 現実的には早期退職したミドルシニア世代が、関連企業に片道切符で出向したり中小企業に転職したからといって、よほど優秀な人材でない限りは厚遇で迎えられることはありません。歓迎されないこともひしひしと感じられ、次第に評価に対する不満が募り、新たな職場で前向きに仕事に取り組むモチベーションが失われます。

 

「10年後の独立」を目指して準備を

・会社に残っても地獄。早期退職に応じても地獄。では、どうすればコロナ氷河期を50代社員が生き抜けるのでしょうか?

 私が提案するのは「50代のうちから『10年後には独立する』というプランを練って動く」ということです。

 もちろん、多くの方は「それまで会社に依存してきた自分が、独立してビジネスを起こすことなんてできるのだろうか?」と思うかもしれません。たしかに、50代になって独立を目指すことは容易ではありません。

 

ハイリスクな「起業」ではなくローリスクな「独立」

・「自分のような会社人間が、独立起業ができる気がしない」

 しかし、今でこそ9割以上がサラリーマンという社会ですが、高度経済成長期前の日本では、自営業はごく一般的な働き方でした。組織で長年働いてきた経験値をもってすれば、決して難しいことではありません。

 重要なのは、「起業」と「独立」を混同しないことです

 

ヒラ社員のほうが、独立には向いている

・「独立」というと、一部の優秀な人が果たすものと思われがちですが、個人的には「万年ヒラ社員」と呼ばれてきたような人こそ、強みを発揮できる部分があると考えています。

 

早期退職に備え、会社にいる間にスキルアップせよ

・独立は一般的に考えられているほど難度が高いものではありませんが、一方で早期退職して独立を志したけれども、失敗する人も少なくはありません。その理由は、その人の適性がなかったというよりは、むしろマインドセットや己のスキルを伸ばす時間が足りなかったのではないか、そう私は考えます

 

副業やボランティアから始め、自分の市場価値を見定める

・では、具体的に10年後の独立に向けて、どのような準備を進めるべきなのでしょうか?

 スキルやマインドセットが備わっていても、いきなり独立するのは難しいもの。最良の方法は、会社に籍を置きながら副業をするという手法です。

 

50歳から19歳年下に師事。伊藤忠敬のバイタリティに学ぶ

コロナ氷河期のミドルシニアは“支援職”を目指せ

・第二のキャリアに向けた独立準備期間であるとともに、今の職場でも現役である50代。コロナ氷河期において、その50代の働き方を大きく変える「リモートワーク」についても触れておきたいと思います。

 先述したように、多くのミドルシニア世代が中間管理職としてリモートワークに戸惑いを抱えています。現在、リモートワークによって部下の働き方が不透明化し、部下を監視するITツールの導入を考える管理職が増えています。

 

・監視ができないのであれば、どうするべきか? 私は社員たちの個性を引き出すためには、「管理」ではなく「支援」が重要だと考えます。

 

これからの上司に必要な「5つの要素」とは?

・では、このリモートワーク時代に「支援型の中間管理職」になるために必要な要素は何か?この議論を進める上で、私が提案するポイントは5つある。

 1つ目は、「責任を明確化する」ということです。ITツールで常時社員を監視するというのは、部下を信じていないことの証です。

 

2つ目は、「仕事の具体化」です。これまでは「あうんの呼吸」で、その場の空気を読み、なんとなくの慣習から仕事を進める現場も多かったでしょう。しかし、リモートワークでは「あうんの呼吸」は通用しません。

 

そして、3つ目のポイントは「遠隔での仲間化」です。リモート環境では、オフィス内では自然とできていた情報共有が行われなくなるため、仕事のタコツボ化を招きます。結果、孤立化して、メンタル不調を招くリスクもあります。

 

・また、4つ目の要素は「反応の意識化」です。オンラインでのコミュニケーションは、話し過ぎや聞き過ぎに陥りやすくなります。

 

・そして最後は「ツールの熟達化」です。現在はメール、チャット、SNS、ビデオ会議など、さまざまなビジネスツールが登場しています。これらのツールをきちんと理解し、用途に応じて使い分けることが大切になります。

 なお、年配の上司の中にはデジタルリテラシーが低く、これらのツールの使い分けが難しい人もいるかもしれません。

 

コロナ氷河期」を生き抜くために――困難の最中にいるのは、あなただけではない

コロナ禍以上の苦難を超えた先人たちの言葉

・執筆を打診された春、一瞬受けるべきか否か迷いました。しかも、少しでも早く世に出したいとのこと。正直に言えば、私が営む会社も御多分に漏れずコロナ禍で大きなダメージを受けており、会社を潰さないための資金繰りに追われ、ともに働く仲間たちをいかに守るかに奔走している最中でもあり、経営者として精神的余裕を持てない状況でした。

 

存在感が際立ったエッセンシャルワーカー

・苦しいのは皆同じ。そう考えた時に、私がもう一度その在り方を見直しリスペクトすべきだと思ったのが医療従事者、介護福祉士、スーパーの店員、バスの運転手など、コロナ禍の最前線に立っている“エッセンシャルワーカー”と呼ばれる人たちです。

 エッセンシャルワーカーとは、言い換えれば「私たちが日常生活を送る中で欠かせない仕事をしている人たち」です。“キーワーカー”またが“クリティカルワーカー”とも呼ばれます。

 

<「いま」「ここ」で自分ができることに集中しよう

新型コロナウイルス感染症の第1波で緊急事態宣言が発令された4月から5月にかけて、脱サラ起業し13年間、仲間とコツコツ基盤を作ってきた会社が吹き飛ばされつつある現状に私は茫然自失となりました。人間の目に見えない小さなウイルスに抗えない自分の非力さを突きつけられ、何度も何度も悔し涙を流しもしました。

 

・これから確実に訪れるであろう「コロナ氷河期」。それでも生き延びるためには、いくら悩み、不安を抱えても仕方のないことです。非力かもしれない、微力に過ぎないかもしれない。けれども、自分が「いま」「ここ」でできることを懸命に探し、考え、そこに自分の力を集中させていく。また、それぞれの立場で創意工夫をする仲間たちとつながり、支え合って前に進んでいくこうした歩みを止めなければ、必ず私たちはコロナ氷河期を乗り越え、生き延びることができます

 

 

 

週刊エコノミスト(2021.1.5)』  世界経済総予測2021

「21年の株は最後のひと上げまだ割安の日本は“買い”だ」

ジム・ロジャーズ

 

 

 

「暴落前のバブルを見極めろ」という“冒険”投資家のジム・ロジャーズ氏に2021年の相場がどうなるか聞いた。

 

――市場で「ブローオフ(最後のひと上げ)が起きる」との持論は変わらないのか。

■すでに眼前で起こっている。米主要IT企業の「FAANG」株をはじめ米国株は史上最高値を付けているし、日本株も30年来の高値を記録した。中国株も勢いがついている。FAANG株は「絶対に下がらない」とさえいわれている。中国IT大手アリババの株も上昇する。株式市場の一部はすでにブローオフが起きている。

 

――その勢いは21年も続くか。

続くと予想している。一時的な調整局面も見られるだろう。だが、好調を維持させたい国が救済するだろうから、ブローオフは続くと見ている。

 

類を見ない債券バブル

――今の株式市場は、好調すぎて怖い、という見方もある。

■11月は特に市場が好調だったため、いずれ調整が起きるだろう。それに対して各国政府は市場を支えようとするだろうから、また上昇する。そこで「(暴落前の)最後のひと上げ」となるわけだ。

 

――世界経済が間違った方向に向かうとすれば、何が原因か。

コロナ禍を除外しても、前回の金融危機から10年以上が経過していることを忘れてはならない。次の危機がいつ起こってもおかしくない。

 また、世界各国で負債が積み上がっている。負債の増大は、いずれ何らかの問題となって噴出することは、歴史が示すとおりだ。

 さらに、米国や日本の株式市場は過熱しており、史上最高値圏にある。世界中で債券市場がバブル状態だ。このようなバブルは、これまで一度も起こったことがなかった。

 人々は「大丈夫だ、悪いことは起こらない」と言っている。だが、バブルはいつかはじける。金利か、債券のバブル崩壊か、株の急落か、各国中央銀行の貨幣増発のやり過ぎか、何が引き金となるかは分からないが。私は作り話をしているのではなく、過去に実際に起こった史実を語っているのだ。

 歴史の最も重要な教訓は、人々が歴史から学ばないことだ。

 

――暴落前の最期のひと上げが終わった後には、何が来るのか。

■1930年代の大恐慌のようなひどいことが起こるだろう。それは、長い市場の熱狂の後に何回も繰り返されてきたことだ。負債は、これまでになかったほどに、あらゆるところで積み上がっている。

 次の市場の崩壊は、私の人生で最悪級のものになろう。各国政府がどれだけ国家債務を膨らませてお金を増発しようが、いつかは崩壊の時が来る。

 

<世界覇権の交代も>

――どれほどひどいものになるのか。

■企業の債務不履行が中国でも米国でも多発し、州などの自治体も破綻することになる。破産も急増する。さらには、過去に英国から米国に世界覇権が移ったようなことが起こり得る。

 

 

 

『危機の時代』

ジム・ロジャーズ 日経BP  2020/5/21

 

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界経済が大混乱

・私は2019年から「2008年のリーマン・ショックをはるかに超える危機が迫っている」と警告してきた。それが今、始まろうとしている。強調しておきたいのは、新型コロナウイルスはあくまできっかけに過ぎないことだ。経済危機が来ること自体は、以前から見えていた。

 

・残念ながら、繁栄には必ず終わりが訪れる。もちろん、日本経済にも同じように終わりは訪れる。それでも国は存在し続けるし、なくなるわけではない。だがそれまでとは状況が変わる。

 

「終わりの始まり」が幕を開けたのだ。中国では企業倒産が相次いでいるようだ。インドでは数年前から多くの債務不履行(デフォルト)が起こっている。

 

人生で最悪の危機が来る

・今回の危機が、過去とは違うというようなことは決してない。歴史は繰り返すからだ。

 

・危機の本番が迫っている。次がどこになるかは分からないが、このままでは多くの国がデフォルトする可能性がある。世界中の多くの企業、多くの国、多くの自治体が過剰な債務を背負い込んできた。みんな、これからツケを払わなければならない。

 過去にも危機が起こるたびに、同じようなことが起きている。

 

現在の状況は、1939年に始まった第2次世界大戦の直前と似ているという指摘もある。私もその通りだと思っている。

 

今回の危機が今後どうなるか分からないが、戦争が起きる可能性は否定できない。1939年と現在の経済環境に数多くの類似点があるのは確かだ。

 

オリンピックが国を救ったことはない

過去100年を振り返ると、オリンピックは国を救ったことがない。多くの国がオリンピックを開催したが、どの国も大きくは変わらなかった。

 

ユニコーンブームはバブルだった

アリババ株への投資はいいアイデアではない

・一方、バブルの前に購入して、バブルの時に上手に売り抜けられる人はほとんどいない。そうできる人は素晴らしい投資家だ。

 

米国の教育を高く評価するのは間違い

・多くの大学教授は、ただ型通りの授業をするだけだ。ほとんどの米国人は、大学に通ったとしても、素晴らしい教育を受けているわけではない。

そこに問題がある。

 

危機に瀕する米国の大学

・高いコストを賄えないようになると、最終的には大学は破綻せざるを得なくなる。

 

教育はどんどんオンライン化する

変化の時代に求められる教育

・学生は、多くの収入が得られる勉強に興味を持っている。どの分野が儲かりそうなのか、そのためにどんな勉強をしたいと思っているのかを理解する必要がある。彼らにとって良い教師になれる人なら、需要があり、きっと成功するだろう。

 

MBAは役に立たない

毎年のように何十万人ものMBA取得者が世界で増えていく。明らかに供給過剰だ。そして、MBAを取得した人の多くは金融の世界に関心を持っている。平均給与が高いからだ。

 だが、すでに述べたように、ブロックチェーンは金融の世界を劇的に変えるだろう。金融機関で働く人が大量に職を失う時代がやってくる。

 

経営以外に学ぶべきことがある

・私は15年間ですべてが変わることについてすでに述べた。学校でそれを学んだとは思わないが、歴史については十分な知識を得ることができた。

 

MMTはタダで食事を配るような考え方

・今注目を集めているのはMMT(現代貨幣理論)だ。「自国の通貨建てで、政府が国債などを発行してお金を借りて赤字が増えても、インフレにならなければ問題がない」とするような理論だ。いくらでも借金をして、財政赤字になっても問題ないという驚くべき考え方と言えるだろう。

 

ベーシック・インカムの議論はばかげている

・何千年もの間、人類は互いに競争するためのゲームを考え出し、一方が他方に勝つようにした。ベーシック・インカムは、人間の本性を変えようとするようなアイデアであり、ばかげている

 

シリコンバレーイノベーションの聖地でなくなる

シリコンバレーイノベーションの聖地と呼ばれてきたが、それは過去のものになるだろう。未来はそうではなくなる。あなたが今、常識だと思っていることは、15年後には真実ではない。あなたが知っているすべては変わることを忘れないでほしい。2035年には、シリコンバレーの地位は劇的に変わっているだろう。

 

ソフトとハードの両輪がそろう場所

・もし私が中国と米国のどちらに賭けるのかと聞かれたら、エンジニアリングの将来という意味では、中国に賭けるだろう。

 

欧米のメディアの見方が正しいとは限らない

・もちろん欧米から見た中国のイメージが悪いという指摘に私は同意する。グローバルに力を持っているメディアは、英国営放送のBBCや米国放送局のCNNのような西側の組織や企業だからだ。

 

“邪悪な国”の情報発信から学べること

・もちろん中国は、西側における彼らのイメージが悪いことを理解しており、それを改善しようとしている。中国は、西側のメディアは巨大な一枚岩で、BBC、CNNだけでなく、NHKも仲間だと思っているかもしれない。

 

CNNは見ない方がいい

・あなたが海外のホテルで目覚めるときは、CNNを見ない方がいい。アナウンサーやキャスターたちはあなたにこう言い続ける。「人々は叩かれて、奪われている。ロシア人は邪悪であり、中国人はもっと悪い。彼らはあなたの顔を認識し、あなたを見張っている」。CNNがあなたに伝えるすべてのことが本当に正しいかどうか気を付けるべきだ。

 

中国から得たインスピレーション

民主主義と経済の成功はほとんど関係ない

・つまり民主主義であることは、経済成長とほとんど関係がない。歴史的に、民主主義であるか独裁であるかは、経済にそれほど大きな違いを生み出していない。

 

ネズミを捕まえるネコはいいネコだ

アジアの女性不足で何が起きるのか

・アジアでは女性の数が不足している。何かが不足すると、価値はより高くなるので、アジアの女性の価値は今後高まるだろう。それは単純な経済学だ。

 

マリファナにも投資チャンスがある

コロンビア訪問で得た気づき

マリファナには多くの薬効もある。このため、ますます多くの国で合法化されるだろうウルグアイ、カナダに加えて、ブラジル、英国、チリ、ドイツ、フランスなど、医療用大麻なら認められている国も多い。米国でも、カリフォルニア州コロラド州マサチューセッツ州ネバダ州、オレゴン州、首都ワシントンDCなど多くの地域で完全に合法化されている。

 

誕生する巨大なビジネス

これはマリファナに巨大なビジネスチャンスが存在することを意味する。現在、いくつかの酒類メーカーは、すでにマリファナ事業に着手し始めている。カナダでは大手企業も参入している。

 

マリファナ関連のスタートアップも次々と株式を上場しており、次の成長業界として期待が高まっている。

 カジノとマリファナはどちらが危険なのか。私はギャンブルをしないのでよく分からない。しかしカジノは、胴元が常に儲かるビジネスだ。無料の食べ物と無量のエンターテインメントを備えた大きなホテル施設を運営する費用を誰が払うのか。それはギャンブルをする人たちだ。一時的にはギャンブルで勝っても、勝てばもっと熱中することになるので、それは良くない。もちろん政府にとっては、税金が入ってくるので、カジノは魅力的かもしれない

 米国の多くの州がマリファナを好むのは、カジノと同じように税金収入が期待できるからだ米国ではかつて禁酒法があり、お酒は違法だった。しかし今は合法であり、政府は酒類に課税することで、多くの収入を得ている。マリファナにも課税することで、政府は多くの収入を得ることができるだろう。

 

ブロックチェーンがもたらす破壊

・それは、すべてのお金がコンピューター上にある場合に実現できる。しかし、それは政府のデジタル通貨であり、民間の暗号通貨ではない。交換可能であっても、ビットコインなどとは違い、政府のお金だ。暗号通貨を扱う民間企業は、政府のデジタル通貨を使うほかなくなっても、警察力を持つ政府の言うことを聞くしかない。

 

商品市場に深刻な問題が起きる

・私はさまざまな分野で投資の機会を探っている。(原油や鉄、銅、大豆といった)商品については、予見可能な将来において、深刻な問題が起きると予想している。

 

常識とされていることを信じてはならない

くり返しになるが、今、あなたが当たり前と考えている常識は、15年経つと、何もかも間違っている可能性がある。だからこそ、あなたは周囲の人たちが言っていることを、盲目的に信じるべきではない。

 

危機はチャンスでもある。さまざまなものが割安になるので、うまく投資できれば、経済の回復に伴い、大きな利益を得ることができる。あなたが日頃から自分の得意分野を磨いており、ほかの人が気づいていないような変化を見つけることができれば、それはまたとない投資の機会となる。

 

世界に満ちていた楽観論

「2008年のリーマン・ショックを超える金融危機が迫っている」。2019年に私がこう言っても信じない人が多かった。