日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

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第三次世界大戦=「(中東で)シオニスト(イスラエル)とアラブ人との間にイルミナティのエージェントによって引き起こされる」ここでのイルミナティとは「フリーメイソンの中枢を支配する秘密組織」を指す。(1)

 

 

 

(2022/4/9)

 

 

『日本の真相!知らないと「殺される‼」』 

政府・マスコミ・企業がひた隠す不都合な事実

船瀬俊介  成甲書房  2020/2/17

 

 

 

本書をきっかけに、立ち上がれ若きひとびと

・日本国民は、あまりに正直すぎる。つまり、馬鹿正直だ。かの大戦中でも、新聞、ラジオを心底信じていた。そして、「天皇ヘーカ万歳!」を叫んで敵陣へ突入していった。

 今も、まったく変わらない。テレビや新聞が悪質な“洗脳”装置であるとは、夢にも思っていない。これを、極楽トンボという。

 しかし、そうしているうちに、目の前のニッポンは、極楽ではなく地獄に堕ちていることに、いやでも気づかされる。

 

闇の勢力に支配されているニッポン

明治維新の真相――それはメイソン革命だ!――孝明天皇暗殺・明治天皇すり替え、巨大スキャンダルの深い闇

敢えて書く、日本人よ現実を直視せよ!

・わたしにとっての重大覚悟の書、『維新の悪人たち』という本を出した。

副題は『明治維新フリーメイソン革命だ!』さらに、帯の文章に注目してほしい。

伊藤博文による孝明天皇暗殺」、「明治天皇すり替え説」、「日本近代史の二大スキャンダルの闇に迫る!」わたしの著書の昔からの読者なら、うなずく方も多いだろう。

 

・「明治維新」の正体は、「国際秘密結社フリーメイソンが仕掛けた、巧妙な“陰謀”だった………。この真実は、多くの歴史学者たちですら気づいていない。

 それほど、闇の勢力の仕掛けは、巧妙だった………。過去に眼を閉ざす者は、未来を見通すこともできない。この日本近代史の真実に立ち返らない限り、今後、日本の未来展望も一切開けないだろう。

 

メイソンの“黒い教皇アルバート・パイク

この本の主題(モチーフ)は、「明治維新フリーメイソン革命であった」という衝撃史実である。その前には、「伊藤博文による孝明天皇暗殺」と「明治天皇すり替え事件」などの二大スキャンダルですら、かすんでしまう。ここで、明治維新を仕掛けた最大悪人を暴露する………。それは、アルバート・パイクである。彼の別称は――フリーメイソン“黒い教皇”――だ。

 

・パイクが歴史に名を残したのは、その極秘書簡の故である。彼は1871年、イタリアのフリーメイソンの巨魁、ジュゼッペ・マッツィーニ宛てに書簡を送っている。それが、どういう経緯か露見したのだ。

 その内容を眼にした人々は、一様に驚愕した。なぜなら、そこには…………「これから起こるであろう」三つの世界大戦を、ことごとく詳細に予言していたからだ。

 

パイク書簡「三つの大戦は、メイソンが計画し実行する」

・パイク書簡は、世界大戦の“予言”ではなく“予告”であった。

 

・パイクもその秘密書簡で「これから起こる三つの大戦は、メイソンの計画の一環として、プログラミングされたもの」と宣言している。そして――。それらは、恐ろしいほどに「予告」どおりに起こっているのだ

 

第一次世界大戦=1914年、オーストリア皇太子夫妻がサラエボ視察中に遭遇した暗殺事件が発端となって勃発した。後の裁判で暗殺者の一味が「自分たちはメイソンである」と告白している。暗殺計画もセルビアフリーメイソン組織によって仕組まれたことも判明。こうして、パイクの予告は実行に移されたのだ。

 

■第ニ次世界大戦=「ファッシスト、そして政治的シオニストとの対立を利用して引き起こされる」(パイク予告)。シオニストとは、パレスチナ地方にユダヤ人国家を建設しようとする人々を指す。そして「この戦争でファッシズムは崩壊するが、政治的シオニストは増強し、パレスチナイスラエル国家が建設される」――恐ろしいほどの符号である。

 

第三次世界大戦=「(中東で)シオニストイスラエル)とアラブ人との間にイルミナティのエージェントによって引き起こされる」――ここでのイルミナティとは「フリーメイソンの中枢を支配する秘密組織」を指す。

 やはり、第四次中東戦争イラクアフガニスタン、シリアなどでの絶え間ない戦火を見れば、パイク予言の正確さに、背筋が凍る……。

 

戦争は「金融」「兵器」ビジネスのために起こす

・なぜ、“かれら”は、戦争を起こすのか?理由はじつに簡単だ。それは、戦争が膨大な利益をもたらす“ビジネス”だからだ。メイソンの中枢に巣喰うのは、ユダヤ系の金融業者と武器業者である。

 

・つまり、戦争の火種を仕込み、開戦を仕掛けていくのだ。そのためには、巧妙に党派、民族、国家などの対立、敵意を扇動し、緊張、紛争…………と憎悪を煽り、最後は戦争へと導く。さて――。

 このフリーメイソンの戦争ビジネスの図式と戦略を、明治維新に当てはめてみよう。

フリーメイソンは、パイク書簡の予告どおりに、第一次、第二次世界大戦を起こしている。第三次世界大戦も、その緒戦は恐ろしいほど正確に実行に移されている。

 なら、大戦の狭間にある、小さな革命や戦争も、自由自在に起こせて当然だ。

 

南北戦争の「中古ライフル」を幕末日本に横流し

・克明に調べてみると、アヘン戦争は、メイソンが支配する貿易会社ジャーディン・マセソン商会が英国議会に強硬圧力をかけ、勃発させた、ものであることが判明している。

 南北戦争もメイソン首脳たちが20年近くも前から、パリで極秘会議を開き、「アメリカに内戦を起こす」ことを策謀し、ついに開戦の火蓋を切らせたのだ。

 

南北戦争は、約62万人もの死者を出す惨劇であった。

 注目すべきは、当時使われた兵器である。歩兵銃だけで、南北軍併せて約90万挺ものライフルが払い下げられた。これら中古ライフルは、二束三文タダ同然である。

 これら、中古兵器に眼を付けたのがメイソン武器商人たちである。

 こうして、南北戦争で使われた大量兵器が、次なる幕末日本の討幕派と幕府派の双方に売り付けられたのである。

 

日本を操った碧い眼の諜報員たち

フリーメイソンが「金融」、「武器」を支援するのは、戦争の一当事者ではない。“かれら”は、必ず密かに敵・味方両陣営に武器を売り付けるのだ。これが、“かれら”お得意の二股作戦である。

 幕末は勤王派と佐幕派に分かれて国論が二分し、熾烈な戦いが繰り広げられた。

 

・そして、フランス側フリーメイソンは、幕府軍に武器を売り付け、英国側フリーメイソンは倒幕軍に武器を売りさばいたのだ。

 倒幕派に武器を大量に売りさばいたのが英国側メイソンのトーマス・ブレーク・グラバーである。

 彼が坂本龍馬を操って薩長同盟軍に兵器を供給したのは、知る人ぞ知る史実である。

 つまり、龍馬が起こしたとされる日本初の商社「亀山社中」や「海援隊」などは、メイソンのダミーとして使われたのだ。

 

グラバー、サトウ、フルベッキは「白人御三家」>

・さらに、英国公使パークスの通訳として活躍したアーネスト・サトウも、幕末から明治にかけて日本を背後から操った人物だ。

 

・私の友人の一人に来日したメイソンの子孫がいる。彼は断言した。「幕末にはメイソン以外、来られなかった」、その証拠に、長崎、横浜の外人墓地には「メイソン・マーク」入りの墓石がゴロゴロある。

 数多くのロッジも開設され、英字新聞には堂々と、集会案内広告まで掲載されている。これら数多くのメイソンリー(会員)の中でも、グラバー、サトウ、フルベッキは、「白人御三家」と呼ばれている

 つまり、幕末から明治にかけて、日本を操った諜報員(スパイ)としてである。サトウ、フルベッキらがメイソンであった……という公的記録は残っていない。それは、当然である。記録を残さない。これが、メイソンや諜報部員の鉄則だ。

 

フルベッキは明治政府の陰のプロデューサー

・特に、フルベッキは幕末から明治にかけて、日本を操った最大の黒幕と断言する。

 彼が教導したのは幕府側、勤王側さらに公家、公卿など、数多くの重要人物たちであった。その多くは、明治政府の重職に就いている。

 

・この使節団の表向きの目標は、“文明開化”した欧米諸国の視察である。しかし、裏の目的もあった。それが、使節団をフリーメイソン秘密ロッジに案内することであった。おそらく、入会の秘儀を受けた団員も、相当数にのぼるだろう。

 このフルベッキは、サトウ、グラバー同様に、伊藤博文による孝明天皇暗殺、さらに、明治天皇すり替えという、明治政府の二大醜聞を知悉していたことは、間違いない。 それは、明治政府にとっては二大恥部であり弱点でであった。支配の要諦は――弱みを握り、脅すこと――なのだ。

 

メイソンの手の上に乗った“長州ファイブ”>

伊藤博文による孝明天皇刺殺………というショッキングな史実に触れる前に、彼の出自を明さなければならない。博文の幼名は俊輔。生家は貧農で、足軽以下の身分であった。彼は長州藩の最下層の忍者、下忍として頭角を現す。その役目は暗殺であった。彼が通った松下村塾吉田松陰の身分は中忍だった。

 だから、同塾の正体は、諜報員(スパイ)養成の藩校だったのだ。松陰は長州・田布施出身の少年、大室寅之祐の守役を博文に命じた。大室家は、南北朝時代北朝に敗れた南朝系の皇統を継ぐ一族と伝えられている。

 

1862年12月には、高杉晋作らと英国公使館を焼き討ちしている。さらに、国学者・塙忠宝を襲撃、斬殺している。まさに、血に飢えたヒットマンそのものだ。

 ところが暗殺者は豹変する。翌年、英国に密留学という挙に出たのだ。

 かれらは、別名“長州ファイブ”と呼ばれる。招待したのは英国一の大富豪でフリーメイソン、マセソン商会会長。5人はその豪邸に寄宿して、英語などを習得した。現在の邦貨にして10億円近い留学費用も、“かれら”が負担したのは、言うまでもない。

 

・つまり、博文以下5人は、栄あるメイソンリー(会員)として、意気揚々と帰国したであろう。

 

博文が堀川邸の厠に忍び孝明天皇を刺殺

孝明天皇崩御は、1867年1月である。天皇は、徹底した攘夷論者であった。よって、英国留学で攘夷派から開国派に転じた博文らにとっては、最大の障害でしかなかった。それにしても、後の明治政府の総理大臣が、孝明天皇を刺し殺した………など、まさに驚天動地以外の何ものでもない。

 博文による天皇斬殺を公に告発したのは、安重根である。1909年冬、中国ハルピン駅頭で博文をピストルで銃撃。暗殺した張本人である。彼は裁判の場でこう証言したのだ。

42年前、現日本皇帝(天皇)の父君にあたる御方(孝明天皇)を、伊藤さんが失い(殺し)ました。このことは、皆、韓国国民が知っています

 彼は、さらに博文が犯した15もの大罪を逐一あげて、告発した。さらに文書でも糾弾している。

 

この博文による孝明帝斬殺を裏付けるのが、渡辺平左衛門の証言である。彼は幕末には大阪城定番を勤めていた徳川慶喜の命を受けて、孝明天皇の暗殺犯の探索に着手する。徹底した捜査の結果、天皇家の別邸・堀川邸の厠に潜んだ博文が、天皇を下から刺し殺した……ことが判明した。

 厠の番人に賄賂を渡し、手引きをしたのが岩倉具視である。真犯人を探しあてた平左衛門は、探索を察知した長州藩の刺客に襲われ、深手の重傷を負う。

 

・そうして、維新のどさくさで、あろうことか、天皇殺人犯が日本国総理大臣になってしまった。悲憤慷慨した平左衛門は、臨終の今際のきわに、子息・宮崎鉄雄氏にことの次第を全て語り遺して、息を引き取っている。

 宮崎氏は、この衝撃的事実を、歴史家・鹿島曻氏に証言し、驚愕事実が世に明らかにされたのである。

 

明治天皇する替え!近代史最大スキャンダル

孝明天皇崩御の後、嫡男・睦仁(むつひと)親王が、明治天皇として皇位を継承した。孝明帝暗殺の後、薩長の明治政府は、睦仁の取り扱いに苦慮した。息子も父親同様の攘夷思想だったからだ。そこで、薩長天皇のすり替えを画策し、実行に移した。睦仁は和歌を好む色白の少年だった。

 

・その16歳の少年天皇が、1年も経つと体重24貫(約90キロ)の巨漢にすり変わっていたのだ。そのすりかわった人物こそが、大室寅之祐なのだ。年齢は同じ16歳。

 しかし、二人はあまりに違い過ぎて、すり替えの証拠は歴然だ。

  • 「体格」=巨漢の寅之祐は侍従を相撲で投げ飛ばしたほど。両者が同一人物ではありえない。
  • 「利き腕」=睦仁は「右利き」、寅之祐は「左利き」だった。
  • 「乗馬」=公家育ちの睦仁には、乗馬記録は全くない。野生育ちの寅之祐は堂々と乗りこなしている。
  • 「あばた」=色白だった睦仁にあばたはない。寅之祐は幼年期に天然痘を患いあばた顔。よって天皇は髭で隠していた。
  • 「写真嫌い」=明治天皇は徹底した写真嫌いだった。しかし、残された数少ない写真は、まさに、寅之祐その人である。これは、“すり替え”の決定的証拠だ。

闇から日本支配を続ける「田布施(たぶせ)システム」

そして、維新から戦後、現在に至るまで、日本支配の“秘密基地”として使われてきたのが山口県田布施。その支配は、メイソンからGHQ、CIA………と、受け継がれて今日に至る。これが、俗にいう田布施システムだ。

 この偏狭の地から出身したのが“昭和の妖怪”岸信介である。

 国務院の役人として赴任した満州で、岸はアヘンの密売で巨万の富を稼ぎ、A級戦犯容疑で巣鴨プリズンに収監された。

 この卑劣漢は絞首刑を免れるためCIAのスパイ(売国奴)となった。

 

信用創造」、銀行のペテン――“空気”を貸してカネを盗る――預金準備率、中央銀行システム……知ってはいけない、金融騙しの超タブー

銀行はどうして儲かっているのか?

・銀行の利益は、顧客が預けた預金を企業などに貸し付け、その利子で成り立つ………。こう学校で教わった。なるほど、他人から預かったお金を、回して、金を儲けているのか?しかし、それにつけても昨今の低金利である。

 

預金準備率0.8%、125倍も荒稼ぎ!

・Tさんによれば、貸出の基礎となるのが預金準備率という。Tさんの調べによると、「現在の預金準備率は0.8%です。だから、預金残高の125倍、貸し出せる」100億円の預金がある銀行なら、その125倍の1兆2500億円まで、自由に貸し付けることができる。つまり、手元資金の100倍以上の価値を、労せずして手にする。

 

M・ロスチャイルドの至言「通貨発行権を我に与えよ」

・歴史的に有名な言葉がある。

………通貨発行権を我に与えよ。さすれば、法律などだれが作ろうと構わぬ」これは、世界最大の超財閥、初代マイヤー・アムシェル・ロスチャイルドの台詞だ。

 つまり、ここでロスチャイルド一族は、「通貨発行権を掌握することこそ、国家を支配することである」と明言しているのだ。ここでいう通貨とは、紙幣のことである。

 

・これは1773年の「マイヤー・ロスチャイルド世界革命行動計画」25項目中の一文である。

 彼はこの極秘戦略で、“かれら(フリーメイソン)”以外の人類を「ゴイム(獣)」と呼び捨てにしている。

 つまり、“かれら”にとって、人類とは、騙し脅して、死ぬまで労働搾取する“家畜”にすぎないのだ。

 ときに初代ロスチャイルド、30歳。莫大な資金力を背景に12人のブレインを招集し、人類支配「計画」を策定したのだ。その第一歩が中央銀行の乗っ取りだった。

 

イルミナティに乗っ取られた各国の中央銀行

・ユースタス・マリンズが著した名著『民間が所有する中央銀行』は、悪魔の企みを徹底的に暴いている。それが、アメリカの連邦準備制度である。

 

・結論から言ってしまえば、アメリカ合衆国は、国際秘密結社フリーメイソンがでっち上げた国家である。独立宣言の署名者56人のうち53人がメイソン会員だったという………。

 

・さらに、彼は告発のペンをゆるめない。

………ユダヤは、“かれら”の格言『ゴイム(非ユダヤ人家畜)の最良部分を殺せ!残りは精神病院に送り込め!』にしたがって、ユダヤに対する最大の批評家エズラ・パウンドを精神病院に入れた……

「……アメリカの通貨制度全体を支配しているユダヤは、現在、すべての政治家とすべての新聞、そして、すべての大学を買収するに十分なだけのお金を“印刷”した。この権力を用いて、ユダヤは、術策を弄して、諸国家を第ニ次大戦に巻き込み、経済的に自由になったドイツと日本に対して酷い仕打ちを加えた

 このように、中央銀行を乗っ取ることは、国家を乗っ取ることなのだ。こうして、イルミナティは、次々に世界中の中央銀行=国家を乗っ取っていった。それは、地球をハイジャックすることに他ならなかった。

 

・今や、民営の中央銀行を認めていなかった国は、わずか9ヵ国しかなくなった。それは――キューバ北朝鮮アフガニスタンイラク、イラン、シリア、スーダンリビアパキスタン

 これらの国々に共通するのは、欧米諸国から“ならず者国家”と呼ばれていたことだ。

 

・ここでもう一つ、超大国が抜け落ちていることに気づいた。それが、中国である。中国人民銀行は1948年に中国共産党により設立されている。国家銀行として唯一、貨幣発行権を所有する。

 

国に貸して国家を乗っ取り世界を支配

この“無”から“有”を生み出す魔法システム、通貨発行権について口にすることは、危険だトランプ大統領は、堂々とFRBを批判している。だから、暗殺の危険が、いつもつきまとっている。ジョン・F・ケネディ元大統領も、通貨発行権を政府に取り戻すことを主張して暗殺された。弟のロバート・ケネディも大統領選挙前に射殺された。

 古くはリンカーン元大統領も同じ悲劇に見舞われた。レーガンFRB制度に首を突っ込んだため、暗殺未遂という“警告”を受けた

 第7代大統領A・ジャクソンも中央銀行の更新を拒否したためヒットマンに狙われた。ピストルが不発で未遂に終わったことは幸いであった。

 

どんどん貧しくなるニッポン、立ち上がれ!時間はない――奈落に真っ逆さまの日本経済、その根本原因を探る

今は昔の「ジャパン・アズ・ナンバーワン!」

・かつてジャパン・アズ・ナンバーワン!」と世界から、羨望のまなざしで称えられたのが、夢のようだ。

 この惹句は、1979年に出版された、アメリカの社会学エズラ・ヴォーゲルの著作に由来する。

 

・本書の日本語翻訳版は70万部を超える大ベストセラーとなった。「日本人が日本特有の経済・社会制度を再評価するきっかけのひとつとなり、(中略)一世を風靡した」「主要なテーマは、単に日本人の特性を美化するにとどまらず、何を学ぶべきで、何を学ぶべきではないかを明確に示唆した点である。実際最後の章はアメリカへのレッスンと書かれている

 出版の年、わたしは29歳。そのタイトルに、少なからず日本人としての誇らしさを感じたものだ。

 

・著者のヴォーゲルは、アメリカに日本人のどこを学べ、と教示していたのか?

日本の高い経済成長の基盤となったのは、日本人の学習への意欲と、読書習慣である」 彼は、こう指摘している。

「日本人の数学力はイスラエルに次ぎ2位である。情報については7位だが、他の科学分野では2位か3位である」

日本人の1日の読書時間の合計は、米国人の2倍、新聞発行部数も、きわめて多い」つまり、日本人の学習への意欲や、読書習慣を高く評価している。

 それが、戦後、奇跡の経済成長を成し遂げる原動力になった、と分析しているのだ。

 

韓国にも抜かれ国際競争力30位に転落

・「日本の国際競争力、ついに30位に転落……」これは直近のニュースである。スイスのビジネススクールIMDは、2019年5月28日、「世界競争力ランキング・2019年版」を発表した。日本の総合順位は、前年度から5つも順位を落とし、30位だった。

 

日本が5つも順位を落とした理由について、「ビジネスの効率性の低さ」「政府債務の多さ」などを、挙げている

 今の日本人には信じられないだろうが、このIMDランキングで、日本はかつて1989年から4年連続で1位に輝いていた。まさに、ジャパン・アズ・ナンバーワン! だったのだ。しかし………「2010年以降は25位前後で推移しており、競争力は低下傾向だ

 

・世界トップを誇った製造業の生産性(一人当たり)も、この20年で15位に転落。ホワイトカラー(事務職)の生産性も先進国36ヵ国中20位という情けなさ。どこをとっても日本は落ちこぼれなのだ。

 

「失われた30年」で豊かさ26位に転落

・日本は底なしで貧しくなっている。

 

・そもそも、大手メディアは、政府・大企業の御用マスコミだ。共犯者だから、政府とグルになって日本のマイナス情報は徹底的に隠蔽する。大衆を操作し、情報で扇動する。

 

・まず、「失われた30年」がある。まさに、平成時代がそれだ。日本人の7割は「平成はよい時代だった」と、答えている。その無知ぶり、鈍感ぶりに呆れた。平成こそ、日本が底無しの貧しさに向かった、むなしい時代なのだ。

 左のグラフは、日米英3ヵ国の過去30年の株価推移だ。これぞ、経済成長の指標だ。

 1989年を100とする。アメリカはNYダウを9.27倍に伸ばしている。英国はそれには及ばぬものの2.76倍。これに対して、日本はなんと0.57(日経平均)……。この30年で株価は、ほぼ半分に下落している。

 

さらば平成、この国はただ沈んでいく

・「さらば平成――何も変わらないこの国は、ただ沈んでいく」

 

・「………ふり返れば、この30年は『失われた30年』だった。むなしさを抱えたまま、平成日本が幕を閉じようとしている

 

・大前氏は振り返る。彼は平成元年(1989年)、著書『平成維新』を上梓している。

「……その表紙には当時のGNPの大きさを面積に置き換えて世界地図を描いたが、中国は日本の九州とほぼ同じ大きさでしかなかった。しかし、今や、中国のGDPは、日本の2.5倍に膨れ上がっている。GDPは、平成の30年間で、アメリカが3.6倍、イギリスが3.4倍、ドイツが2.8倍に成長したのに対し、日本は1.3倍にしかなっていない。中国が暴走する中、日本は世界の成長から取り残されてしまったのだ」

 平成維新で、日本の成長を願った大前氏。その胸中は察して余りある。

………日本は底無しに貧しくなっている。それは、国民一人当たりのGDP比較でも、すぐにわかる。日本は、世界で26位と惨憺たる状況だ。かつての栄光、夢のごとし。しかも年々、順位を落としている。つまり、どんどん他国に追い抜かれているからだ

 

IMFが予想する、1980年代と比べた2023年の主要国の名目GDP(国民一人当たり)の伸び率。日本は、米国、中国、ドイツ、インド、インドネシアの6ヵ国中、最低。

  

借金財政はGDP比236%でG7中最悪

・IMDが指摘するように、国家の財政悪化も深刻だ。リーマンショックから10年、財政悪化は止まらない。GDPに占める借金残高の比率は236%。先進7ヵ国(G7)中、最悪だ。わが国は目の眩む借金漬けなのだ。

 

株価も日本は低迷、アメリカは絶好調

・日本経済の凋落ぶりは、その株価の変動にも歴然だ。1989年に高値ピークの3万8915円を付けた後、大暴落。その後の低迷は、まさに日本の低迷と重なる。安倍政権が年金資金をじゃぶじゃぶと投入して必死で買い支えているものの、いつ2万円を切ってもおかしくない迷走ぶりだ。そして、今や下がり目はあっても、上がり目は、まったくない。

 これと対照的なのがアメリカ経済である。米ダウ平均株価はじつにみごとに右肩上がりで成長を続けている。

 

自然エネルギー転換でも“置いてけぼり”

・日本経済が低迷している原因のひとつが、新しい技術開発の立ち遅れだ。その典型が、自然エネルギーへのシフト。世界は、とっくの昔に脱石油、脱原発に舵を大きく切っている。再生可能エネルギーの開発・投資は世界のメガトレンドなのだ。

 しかし、日本は、この分野でも決定的に出遅れている。もう眼を覆うばかりだ。日本は、代替エネルギー開発の超後進国である。

 

若者自殺率は世界ワーストワン、女性3位

経済、技術だけではない。「心」の面でも日本は、地獄だ。日本人は、生きる気力すらなくしている。たとえば自殺率。先進国では最悪レベル、世界6位。とくに、若者の自殺率はワーストワン。女性の自殺率も3位と、目を覆いたくなる。

 

・さて――。わが日本の報道の自由度ランキングはなんと72位!これは、パリに本部を置く「国境なき記者団」が、世界180ヵ国・地域を対象として発表。まさに、日本は「モノ言えぬ国、書けぬ国」。

 

・ちなみに英語能力も同じだ。中・高・大学と10年も勉強して、しゃべれない!日本は暗澹たる状況にある。英語力は88ヵ国中49位と低迷。

 

幸福度、女性の社会進出、環境汚染も最悪

・女性の社会進出でも、日本は立ち遅れている。

 

・その理由が、「各国の下院の女性議員比率の国際比較」で、はっきりわかる。日本はなんと165位………!世界最低レベル。

 

・日本がいまだ、きわめて封建的な“男社会”であると、はっきりわかる。女性の社会進出においても、日本は世界の“落ちこぼれ”なのだ。

 環境や健康の面でも、日本は最悪水準だ。

自閉症発達障害の有病率」、「単位面積当たりの農薬使用量」は、韓国と日本がダントツ。農薬使用量はイギリスの3倍強。アメリカの6~7倍も農薬漬けだ。そして、「発達障害」も、韓国、日本がワースト2なのだ。専門家は「明らかに両者は相関関係がある」と断定している

 つまり、農薬使用を強制されている韓国・日本で、農薬の神経“毒”が現れ、自閉症発達障害を引き起こしているのだ。

 

・だから、不必要な農薬の大量使用を強制され、若者たちの心を“狂わせて”いる。しかし、この場におよんで「イルミナティって、何ですか?」と尋ねる“知識人”だらけ。はっきり言って、バカである。もはや、このクニは度しがたい。

 

「日本病」、官僚主義で退行し動物化

・わたしは、2013年、著書『日本病』で日本の没落を予告した。そして、結果は、まさに残念なことに、予告どおりとなった。本の帯には、こう書いた。「――すべてが、遅すぎる!『臆病』『保身』『退行』が日本を滅ぼす‼ 

 

・わたしは、同書で――「日本の失敗の原因は、官僚主義ウイルス」――と断定した。それは、いったい何か?官僚主義を論じるには社会学の巨人マックス・ウェーバーを抜きにしては語れない。彼は、恐ろしい予言を残している。「……人類は、官僚主義で滅びるだろう」この官僚主義を理解しないと、日本の凋落は、まったく理解できない。

 かつて、ジョージ・オーウェル共産主義社会を、『アニマル・ファーム(動物農場)』に例えて、描いた。旧ソ連を崩壊させたのも、この官僚主義である。官僚主義とは、別の言い方をすれば、保身主義である。それが、だんだん悪化して、最後は動物化する。

 これが、官僚主義の崩壊にいたる10段階である。

  • 「保身主義」=組織の中で、自分の地位を保とうとする。

――これこそが、官僚主義の始まりだ。無責任体制を引き起こす。堕落と腐敗が続く。

  • 「無責任主義」=保身のために「遅れず、休まず、働かず」。目立ってはいけない。
  • 「前例主義」=「前例がない」が、何もやらないことの言い訳になる。
  • 保守主義」=過去の成功体験を振り返るだけ。だから未来を見ない。
  • 「縦割り主義」=互いに縄張りをつくり、不可侵で生き残りを図る。
  • 派閥主義」=これは組織内組織で、互いに、抗争し合うようになる。
  • 「密告主義」=他人、他派閥を蹴落とすために、密告がとびかう。
  • 「虚言主義」=真実は組織内で言えなくなり虚言だらけになる。
  • 退行現象」=文字通り、能力、気力が退行し、組織は末期症状。
  • 動物化」=退行が進み幼児化し、悪化して動物化する。

――もはや人間的な知性、感性は失われ、動物的本能で攻撃し、行動するようになる。

 

官僚主義ウイルスは、あらゆる組織内に、知らないうちに忍び寄る。ウイルスに負けない体質、体力は、個人主義者にこそある。まずは、国民が独立独歩で生きる気概を持つことだ。

 

「魔王、死す」2017ショック――相次ぐ衝撃報告――暴かれ始めた地球皇帝D・ロックフェラーの世界支配ファイル

ロックフェラーによる“7つ”の世界支配

・著書『魔王、死す!』を発刊した。副題は――D・ロックフェラーの死で激変する世界勢力図――。

 魔王とは、いわずもがな。2017年3月に101歳で死去したディビッド・ロックフェラーのことである。

 彼の別称は“地球皇帝”――それは、20世紀の地球を陰から支配した男、という意味だ。具体的には、彼は地球を7つの分野で支配してきた。

  • 国家:彼は「国家を動かすフリーメイソンの頂点に、我々がいる」と豪語してきた。“頂点”とは、秘密結社の中の“秘密結社”つまりイルミナティのことである。
  • 石油エネルギー:魔王の別名は“石油王”である。彼は20世紀のエネルギー、石油を独占支配することで、その称号を手にしたのである。ちなみに、イルミナティの双璧、ロスチャイルド一族は、ウラン利権を分担支配してきた
  • メディア・教育: イルミナティの“双璧の悪魔”は、ロイター、AP、AFP、世界三大通信社の大株主として君臨し、新聞・テレビなどの主要メディアを独占支配してきた。そして、その情報支配により、教育も完全に支配してきたのだ。
  • 医療:「ミリグラム単位の“石油”を、“薬”として高額で販売する」ことで、石油王は、医療王としても、世界に君臨した。
  • 戦争:魔王にとって、戦争は、最大・最高のビジネス・チャンスであった。「武器の在庫も一掃する」には、戦争が一番なのである。
  • 金融:イルミナティは、世界各国の通貨発行権をもつ中央銀行を簒奪することで、世界中の国家を支配下に置いてきた。
  • 食品:遺伝子組替え技術などで世界の農業・食料を闇から支配してきたモンサント社こそ、魔王の“所有会社”であった。

・その地球社会に対する影響は、計り知れない。つまり………これから「近代史の闇が暴かれ、世界支配システムが大崩壊する」のだ。そして、それまで闇に圧殺されてきた“禁断の産業革命”が始まる………。

 

トヨタがはまった罠、燃料電池車に未来はない――トヨタが“第二の東芝”に、プリウスが“ガラケー”になる落日

欧州、インド、中国、米国までが怒涛のEV化

・世界の自動車業界の、EV(電気自動車)化の動きがすごい。EVへのシフトは、もう誰にも止められない。前作『書かずに死ねるか』でも指摘したように、それは一気に猛加速している。そのスピードは、30年も昔からEV化を訴えかけてきたわたしですら、眼を疑うほどだ。端緒は、ノルウェー政府による突然の発表だった。2016年、連合政権の中道右派と野党連合の合意として公表された。それは「2025年から、ガソリン車、ディーゼル車、さらにハイブリッド車の国内での販売を“禁止”する」という衝撃的なものだった。ここで注目してほしいのは“規制”ではなく“禁止”ということだ。

 

「創生水」水が燃える――石油文明は終焉に向かう――開発者のたび重なる暗殺を乗り換え、ついに実用化!

石油王が絶対許さなかった近未来技術

・「水が燃える………」これは、石油文明では、絶対タブーであった。地球は「水の惑星」である。その水が燃える!なら、石油の出番はなくなる。もはや、石油は、“黒い泥水”に過ぎなくなる。

 

水は「記憶」「転写」する――ノーベル賞学者、衝撃の実験結果――顔面蒼白!ホメオパシー中傷派の殺人医学界と走狗マスコミ

水の解明でノーベル賞10個は取れる ⁉

・ある学者は、こう言った。「……水の正体を解明したら、ノーベル賞が10個は取れるだろう

 またある学者は、こう警告した。「…けっして、水の研究はやらないがいい」 なぜか?「一生を棒に振りかねないからナ……

 つまり、「水の研究に没頭すると、その迷宮、迷路に迷い込み、一生抜け出せなくなる」という戒めである。それほど、水は不可解な存在なのだ。

 

世界に広がる「波動医学」――「気」「意識」「祈り」とは?――人類を救う最後の砦、それは波動エネルギーの奇跡

人を殺す西洋医学から、命を救う東洋医学

・世界の医学が急速に変化している。このシフトは、これから先、大きな巨大潮流となるだろう。それが「波動医学」への変化である。他方で、これまでの西洋医学への不信と絶望は深まるばかりである

 たとえば、2018年初頭、WHOは、突然、不可思議な発表を行った。それは、「国連は、東洋医学の漢方を正式に医療として認定する」というものだった。

 

色、匂い、音、形………すべて波動エネルギー

・世界的に広まり始めた「波動医学」は、医療現場では、最新鋭のメタトロンなどが活躍している。その他、民間療法や、さまざまな「波動医学」が存在している。

 面白いのは、「波動医学」には、「気エネルギー」を用いる気功やハンド・ヒーリング(手当て、レイキなど)などの他にも多種多様ある

 人間には、五感六感がある。触覚、視覚、嗅覚、聴覚、味覚………さらに直感の第六感。これらは、すべて波動刺激なのだ。だから、すべて「波動療法」となる。

■触覚:指圧やマッサージ、整体なども立派な波動療法だ。乾布まさつ、タワシまさつなどもそうだ。皮膚への波動刺激が生体を活性化させる。

 

■視覚:「色彩」も電磁波の波動である。だから、「色彩療法」という治療法も存在する。

 

・「色」は心理に影響を与えることは、よく知られている。色彩心理学という言葉がある。

 

■嗅覚:「香り」も特有の周波数をもつ刺激である。嗅覚は、その波動刺激を脳に伝える。「香り」のセラピーは、古来から行われている。インドに古代から伝わるアーユルベーダなどは、その典型だ。

 香油をつかうマッサージなどは、触覚刺激もプラスした療法である。アロマテラピーは、各々の症状に合わせて香りのエキスを選別して、肌につけたりして、香りにより治療を行う。

 

■聴覚:「音響チェア」だけでなく、「音叉療法」「オルゴール療法」「シンギングボール」など、現在、広く行われている波動療法の中では、もっともポピュラーだ。

 多種多様な「波動療法」は、それぞれ、素晴らしい。音響療法(サウンド・ヒーリング)は、これからの医療の主流として大きな流れを作るだろう。そのルーツは、古代宗教にある。

 

■味覚:これは、「波動医学」に関係があるのか?と、言われそうだが、やはり味覚情報も、舌などを通じて、脳に伝達される。つまり、波動情報なのだ。

 

・さらに、ここで大切なことを付言しておきたい。世界のセレブたちが受けている自然療法、ホメオパシーも波動療法である。

 それは、同種療法とも呼ばれる。これは、ホメオスタシス(生体恒常性維持機能)を活用する治療法、わかりやすく言えば自然治癒力を活用する治療法だ。

 

「量子波」とは「心」「意識」「気」である

最近、「量子波療法」という言葉が、使われるようになった。量子とは、超ミクロの素粒子である。それらは、最近も次々に発見されている。クォークニュートリノ……などなど、数多くの量子の存在が確認されている。これらが、我々の意識や心と、深くかかわっていることが、最近、わかってきた。

 現代の研究者で、意識や心を研究しているのは、なんと量子力学者だという。

 結論からいえば、「量子波」とは「心」であり、「意識」であり、「気」そのものなのだ。病気」とは「気」が病んでいる。つまり「量子波」が乱れている。

 

・では、その乱れを調整するものはなにか?

 わたしが尊敬する世界的な治療師(ヒーラー)、ケン・コバヤソ(小林健)先生は、「それは、愛だ!」という。ここで、笑ってはいけない。

 いま、世界の量子力学者たちは、本気で「愛」や「祈り」について、研究を進めている。「祈り」「引き寄せ」「第六感」さらに「超能力」………これらは、もはや、最新科学の研究テーマになっている。

 

・「意識」の正体は「量子波」つまり、クォークなどの素粒子だ。これは地球をも0.1秒以下で突き抜ける。

 だから、「虫の知らせ」は、空間も、時間すらも、超えるのである

 ――われわれは「空間」も「時間」も、絶対的ではなく、相対的である――という、新しい真理の入口に立っている。

 

パラダイム・シフトへの救命ボート

・世界の変化が急である。かつての常識が通用しないほど、変化が急速に進んでいる。“火の文明”の崩壊が加速され、“緑の文明”の台頭が急激だ。

 経済、政治、文化、産業、技術、エネルギー………そして、医療、農業、教育………あらゆる分野でパラダイム・シフトが起こっている。その一端を本書であきらかにした。旧体制の価値体系は、音を立てて崩落していく。

 

・天が与えてくれた身体で、新しい未来に旅立つ。そこに待つのは、かつてない新しい政治、文化、経済、技術、医療、エネルギー……。人類を支配してきた“闇の勢力”が存在しない自由なる天地。緑なし花咲き誇る地球………。そこでは、命と魂を解放する“緑の文明”が花開いていることだろう。それを実現させるのは「希望」という名の種である。

 

 

 

(2021/1/6)

 

 

『危うい国・日本』

インテリジェンスなき日本は滅びる

百田尚樹  江崎道  ワック  2020/4/26

 

 

 

日本を危機に陥れる「デュープス」をご存じですか?

今、日本は戦後最大の危機を迎えていると言っても過言ではありません。

 これは国の根幹である安全保障を長年にわたってアメリカに任せきりにしてきたツケが一気にまわってきた結果とも言えます。

 2020年1月、中国において新型コロナウイルスの感染爆発が起こった時、日本政府は固まったまま、何の対応も取れませんでした。世界の国が次々に中国からの渡航者をストップさせているにもかかわらず、日本が実質的に中国全土から渡航禁止措置を取ったのは2ヵ月も遅れた3月です。しかしこれは政府の怠慢だけではありません。野党もメディアも専門家も、そして私たち国民も、「たいしたことにはならないだろう」という楽観論に染まっていた結果です。政府というのはその国の国民以上に賢明なものはできません。

 

もし次にもっと恐ろしいウイルスが他国で出現したら、日本はまた同じような対応しか取れないのではないかという思いです。またウイルスではなく、他国から軍事行動を起こされた場合、ただちに対応策を取れるのかという不安です。たとえば、他国が日本に向けてミサイル発射の準備を行っているという情報を政府が掴んだ時、首相はいかなる決断を下すのでしょう。

 

今回の新型コロナウイルス(中国肺炎)は、もしかしたら私たち国民と政府を目覚めさせるきっかけを与えてくれたと言えるかもしれません。それは「国を守る」「国民の命を守る」とはどういうことかを私たちが初めて考えることができたからです。

 

・皆さんは「デュープス」という言葉をご存じでしょうか。これは直訳すると「おバカさん」という意味ですが、単なるバカではありません。政治的な意味を含んだ言葉で、「共産主義者ではないのに、共産主義者と同じことを主張し、同じ行動をする、おバカさん」なのです恐ろしいことに、今の日本を危機に陥れている一番大きな存在は、もしかしたらこの「デュープス」かもしれないのです。

 共産主義社会主義)国家は人々を幸福にしない政治体制であるというのは、21世紀の今日、完全に明らかになっています。1917年のロシア革命以来、世界では多くの共産主義国家が生まれましたが、幸せになったのは権力を握った一部の特権階級のみで、大多数の国民は塗炭の苦しみを味わいました。粛清、虐殺、貧困、言論弾圧、監視社会が生まれるのが共産主義国です。

 にもかかわらず、日本を含む自由主義社会において、共産主義の信奉者ではないのに、彼らと同じことを言い、同じことをする「デュープス」という存在が多数生まれています。学者や文化人、ジャーナリスト、小説家、映画監督、芸能人、それに普通の市民の中にも「デュープス」は多数存在します。彼らの存在がいかにやっかいなものか、対談の中でも熱く語っています。

 

実は彼らは自然発生的に生まれたものではありません。そもそも彼らをこしらえたのは「コミンテルン」という存在です。初期の「コミンテルン」はロシア革命を成し遂げたソ連が、地球上のすべての国を共産主義国家にするために、世界各国の中に作った組織です(その後、初期の方針は変化します)。ちなみに今、世界を脅かしている共産主義大国の中国共産党も、そもそもソ連が戦前に中国で作ったコミンテルン中国支部が前身です

コミンテルンは1943年に消滅しましたが、形を変えて今も世界中に存在します。彼らは共産主義者を作り上げることを目的としていますが、同時に共産主義者そっくりのデュープスも作り上げているのです。

 

日本はやっぱり「カエルの楽園」――「中国肺炎」の教訓

安倍首相にも直言した――日本は「中国封鎖」を断乎やるべし

・(百田) 日本の政治家たちは「カエルの脳みそ」以下の連中というしかありません。こんな事態になっても、国会では、立憲民主党をはじめ、野党のほとんどが、サクラがどうしたこうしたの議論を優先していました。どうかしてると思います。

 繰り返しますが、中国が武漢を封鎖した時(1月23日)に、日本も中国人観光客を全面ストップすべきだったんです。私は武漢封鎖の前日に、ツイッターで、「ただちに中国からの観光客を止めるべきだ」と書いています。

 

・それを3月の終わりになってから、日本政府の対応が遅すぎる、中国からの入国をもっと早くから止めるべきだったなんて言う奴がいますが、「お前ら、2ヵ月前にそれを言ってたのか」と言いたいですね。「虎ノ門ニュース」の出演者の中にも、「新型肺炎はインフルエンザよりも怖くない。中国人観光客を止めても効果なし」なんてことを言っている論客もいました。要するに、危機意識がない人が大勢いたということです。

 

なんで小池都知事兵庫県知事は貴重なマスクを送ったのか

・(江崎) 2月4日、虎ノ門ニュースに出演させていただいた際に指摘しましたが、リーダーシップの差、政治家の個人的力量の差もあるでしょうが、対外インテリジェンス機関の有無も重要だと思います

 果敢な決断をしたアメリカも台湾も、中国各地に協力者を配置してヒューミント人間を活用した諜報)を通じて、武漢を含む中国各地で何が起こっているのか、中国の公式発表やWHOの判断が実態と異なることを早期に把握できていたのだと思います。正しい情報があってこそ、政治は正しい判断を下せるのですから。

 ところが日本には、対外インテリジェンス機関は存在しない。よって同盟国アメリカや台湾などから情報をもらうしかない。正確な情報をもらえなければ、中国政府の公式発表を頼りにするしかないわけですが、中国政府の公式発表を鵜呑みになんかできない。よってどう判断したらいいのか分からないまま、オリンピックや中国人観光客などのこともあってか、中国への忖度が優先されてしまい、果敢な対応を取ることができなかったと思われます。

 

・(百田)中国人シャットアウトの代わりに何をやったかと言えば、唖然とすることに、備蓄していたマスクや防護服を気前よく中国にくれてやったことです。東京都や兵庫県をはじめとする各自治体が我先にそんなことをしました。私の住んでいる兵庫県井戸敏三知事は、なんと県が緊急時用に備蓄していた120万のマスクの中から100万も送ったのです。その時点でマスクがなくて困っている県立病院があるのにです。もちろんマスクを買えない県民は多数いましたこのニュースを見たとき、この知事はほんまもんのバカだと思いましたね。こいつを落選させるためにも次の知事選にワシ出たろうかなと(笑)。

 

・(江崎) 乾パンやカップラーメンを送るのと違って、そもそも日本国内で売られているマスクにしても中国製が大半です。その中国で、自動車の部品やらメーカーの工場が休止状態になって、日本国内の工場でも生産停止になったりしていた段階で、そういう貴重な備蓄を送るのは危機管理の視点からも疑問です。

 

新型コロナウイルス」は生物化学兵器から生まれた?

・(百田) ところで、未確認情報ですが、一部で言われているけど、アメリカは今回の新型コロナウイルスは生物化学兵器の開発途上で外に漏れたものではないかとの見方をしている、との噂もありますよね。だから、アメリカは、徹底して中国からの入国を拒否するのではという憶測も生まれている。このあたり、どうですか。

(江崎) それに関してワシントンワイムズ(1月24日)が伝えていましたね。『誰がテポドン開発を許したか クリントンのもう一つの“失敗” 』(文藝春秋)の著書でもあるビル・ガーツという軍事専門家がその中で、その可能性に触れていました。武漢には『武漢病毒研究所』があって、イスラエル生物兵器専門家のダニー・ショハム氏が、コロナウイルスは、その研究所で研究されていたもので、それが漏洩した可能性が考えられると指摘していました。ただし、それを示す証拠はないと断っています

 とはいえ、日本政府がやらないといけないのは、その仮説を唱えたビル・ガーツやダニー・ショハムの二人に直接会っていろいろと話を聞くとかやるべきなんですよ。どういう背景で、そういう記事を書いたのかも外務省や防衛省の方で確認しておくべきなんです。まあ、当然やっていると思いますが、その辺りの裏どりをして正しい「分析」を提示することも、国民に「安心感」を与えるためには必要な措置なのです

 

インテリジェンスなき日本でいいのか

日本人はインテリジェンスが苦手か

・(江崎) 日本人自身が、日本民族の偉大さを見失ってしまったことはかなり深刻です。

 

・そこで私は「みなさん、申し訳ないですが、日露戦争で活躍した明石元二郎さんとか、第ニ次世界大戦で日本に重要な情報をもたらした小野寺信さんや。杉原千畝さんの話、さらには台湾の独立に関わった根本博さんをご存じですよね」と言いました。

 

・さらに「スパイ防止法が日本で一向に成立しないのも、やはり(日本は)インテリジェンスに向いていないからだ」とか言っていましたね。私は「いや、違います」と。歴史的に見て日本はインテリジェンスに優れた実績を残しているのです。

 そもそも、日本が外事警察を作ったのは、アメリカのFBI創設より早い1899年です。日清戦争直後のことです。

 一方、FBI設立は1908年。日露戦争後なのです。

 

情報を軽視したトップの責任

・(百田)ただ、日本は第ニ次世界大戦からすでにインテリジェンスに対する感覚が鈍ってきていましたよね。情報に対する認識の劣化が始まっていたともいえます。

(江崎)そうですが、現場の優秀さは基本的には変わっていないと思います。問題はトップが現場からの情報をどう使うか、です。

 残念ながら第ニ次世界大戦の時、指導者の情報に対する意識は大変、劣化していました。

 

・逆に大東亜戦争になるといくら現場が情報を取って来ても、政府と軍の中枢が握りつぶしています。その落差が大きいと思います。政治家と軍の指導者たちのインテリジェンスに関する感覚・認識の劣化が問題であったのであって、インテリジェンス活動自体はかなり優秀であったと思います。

 

アメリカの卓越した偽装工作

・(百田) 第ニ次世界大戦でいうと、日本はいろいろな面でアメリカやイギリスに劣っていたのです。情報戦の在り方に関して言うと、日本と英米とでは大きな開きがありました。たとえば暗号解読にしても、英米は凄い。

(江崎) いや、実は日本軍も相当なものでした。日本は戦争に負けたので、情報戦もまったくダメだと思い込んでいるのですが、英米と比較しても決して劣っていたわけではない。暗号解読などけっこうやっていたのです。

 作家の阿川弘之さんは、戦時中、海軍少尉として暗号解読の業務についていたのは有名な話です。そうやって、地道に暗号を解読したのに、解読した情報を活かすことを上層部が出来なかったのです。その理由は政治家や軍の指導者が、端的に言うならば“バカ”だったからだと思います。「作戦重視、情報軽視」「長期的視野の欠如」「セクショナリズム」に陥っていた。これは戦後の官僚政治家たちにもいえることです。現場はそれなりの実力は持っていました。

 

・(百田) アメリカもそういう偽装工作はよくやっていました。たとえば、日本海軍の山本五十六昭和18年4月18日、ラバウル基地から一式陸攻に乗って何機かの護衛機を付けて、前線基地の視察に向かっていました。それがアメリカ軍に暗号解読されてあらかじめやってくることが分かって、ブーゲンビル島上空付近でアメリカ軍機の奇襲襲撃を受け、撃ち落された。つまりピンポイントでアメリカ戦闘機は待ち伏せしていたわけです。当然、日本側は山本機の飛行情報が暗号解読によって漏れていたのではないかと疑う。そうはさせまいと、アメリカ軍はしばらくの間、山本機が飛んだ同じ空域に、同じ時間帯に戦闘機を飛ばすのです。日本軍に、たまたま敵の戦闘機に出くわせたと思わせたわけです。

 

ミッドウェー海戦日本海軍の動きは読まれていた>

・(百田) それから、ミッドウェー海戦の時も、アメリカ軍は日本海軍の暗号をかなり解読していました

 ただ、「地名」を解読できなかった。ミッドウェーについては「AF」という暗号を日本軍は使っていました。この「AF」というのがアメリカ軍はどこか分からなかった。しかし、大掛かりな作戦を日本海軍が近く実行しようとしているのは予測がついた。そこで、「AF」はどこの場所を指すのか、それを解くために、わざとニセ電報を多くの基地から発信させます。そのひとつに、ミッドウェー島の基地から「ミッドウェー基地で海水濾過装置が壊れてしまい、水が足らない。飲料水を遅れ」というものがありました。そうしたら、日本軍が発信した電報の中に「AFは水が足らないようだ」というのがあったのです。それで、アメリカ軍は「AF」が「ミッドウェー」であることを掴み、ミッドウェーで待ち構えることができたのです。

 

米国は日本民族を徹底調査、日本は英語使いを一兵卒扱い

・(百田) あと、アメリカは戦争突入前まで日本人が一体、どういう民族か、特に調査もせず無視していました。ところが、戦争が始まって、あまりにも日本軍の戦闘ぶりが凄いので、慌てて「戦時情報局」が調査に乗り出したのです日本民族を徹底的に調べ、こういう事態になると、日本人はどのような行動を取るのか。また、何を考えるのか。ありとあらゆる研究をしました。

 

・逆に、日本はアメリカ民族の研究についてまったくしませんでした。学校での英語使用を禁止したりした。これは大きな違いです。アメリカ人は個人主義でマイホーム主義者だから、戦争になれば、皆、逃げるだろうというのが、軍の上層部のアメリカ人像でした大和魂を持っている日本の兵隊とは比べものにならないという認識でした。これでは話になりません。

(江崎) さらに、アメリカのルーズベルト政権は日本語の分かる留学生や文化人を研究者としてOSS(戦略事務局)が雇い集め、徹底的に日本研究をしました。

 それに対して日本は英語が出来る大学生を惜しげもなく前線に送ってしまうのです。当時の風潮として英語が分かるインテリは「アメリカかぶれ」の疑いがあって危険人物扱いすらしていました。だから、一兵卒として戦地に行かせてしまった。ようするに、日本軍上層部は人材の使い方を知らなかったのです。英語ができる大学生をアメリカ研究に使えばいいのに、それをしない。大きな問題だったと思いますね。適材適所が出来ていない。

 

熟練工を戦地に行かせたために稼働率が低下

・(百田) 人事に関しては、日本軍は本当にひどくて、当時の日本軍は総力戦たるものをまったく理解していなかった。1942年あたりから、飛行機生産の稼働率が落ちてしまいます。加えて、完成した飛行機の質も悪くなっていくのです。

 これはどうしてか。理由は簡単で、熟練の職工を日本人の特有の平等主義から、「赤紙」で戦地に送り込んでしまうからです。

 

・他方、同盟国のドイツ軍はどうか。軍需相のアルベルト・シュペーアは、徴兵権を持っていたこともあって、熟練労働者は絶対に前線には送りませんでした。熟練の工場労働者を前線に送ったりしたら、その分の補充は効かないですから、そういう観点においてドイツ軍は合理的でした。

 

ゼロ戦」を牛車で運ぶ愚かさ

・(百田) さらに、日本は戦争中も現在も言えるのは、官僚の縦割り行政が酷い点です。戦争中も横の連携がまったくないため、飛行機を作るのに陸軍と海軍とでは仕様が違っていました。また、銃の仕様も違います。

だから、弾の規格が違っていて同じ日本軍なのに陸軍と海軍で互換性がありません。

 

<「部分最適」より「全体最適」を優先すべきだったのに

(江崎) そういう意味では日本は判断に合理性が欠けるというか、全体が見えないのです。

 全体の中で特定の分野は高い能力を発揮するといった意味で「部分最適」は実現している。三菱重工業ゼロ戦は素晴らしい戦闘機でした。戦艦大和もそうでしょう。でも、その戦闘機や軍艦をさらに効率よく運用するためには、製造工場以外の各部門も歩調をあわせて協力体制を構築するという「全体最適」を目指すべきだったのに、それが実現しなかったのが戦前・戦時中の日本でした。

 

これからは「ダイム(DIME)の時代だ――軍人は経済、金融政策に関心を持て

・(江崎) これからは、そういう過去の失敗から学び、日本人も「部分最適」ではなく、大局を見る「全体最適」を考えないといけないと思うのです。それは国家の運営でも当てはまります。その「全体最適」を考えるのは政治家の役割なのに、政治家自身が「全体最適」をよく分かっていない。

 トランプ政権になって、アメリカ軍の情報関係者と情報交換しました。今のトランプ政権は軍事だけで中国を閉じ込めることは不可能だと考え、貿易戦争を仕掛け経済的に圧力をかけた。そしてファーウェイを排除し、技術的な覇権を維持することにしたのだと言っていました。そして国防権限法などを制定し、アメリカにいる中国の産業スパイを炙り出し、国外退去させています。

 

この戦略を我々専門家の間ではダイム(DIME)と呼んでいます。外交(Diplomacy)、インテリジェンス(Intelligence)、軍事(Military)、経済(Economy)の四つを踏まえながら、どうやって相手国――この場合は中国をさしますが――を封じ込めて暴走を食い止めるのか。このダイムをアメリカ軍とホワイト・ハウスが一緒になって実行しています。アメリカ軍の情報将校はそういう観点から中国封じ込めを考えているのです。

 そのために最近は、米軍幹部たちが日本にやって来て、自衛隊幹部との会合で金融や経済政策の話を持ち出すことが増えたという。

 

日本陸軍日本海軍の対立

・(百田) 日本が大東亜戦争に突入した最大の原因は石油がない事でした。そこで日本軍は、オランダが支配していたインドネシアに進撃してまず石油を確保することに成功する。ぶっちゃけて言えば、日本はインドネシアの石油を取るために、大東亜戦争を始めたのです。つまり戦争の目的は石油でした。

 このインドネシアの石油を取るために海軍も協力したのですが、地上で主に戦闘したのはもちろん日本陸軍でした。「空の神兵」と喧伝されることになった陸軍の落下傘部隊を使って電撃攻撃に成功し占領した。すると石油施設のほとんどは陸軍の管轄下になった。でも、戦争で実際に石油を大量に使うのは海軍です。陸軍はそれほど石油を使いません。そして驚いたことに、海軍に石油が足らなくなっても、陸軍はその石油を縄張り意識から海軍になかなか回さないのです。間抜けですよね。

 

・(江崎) 当時は陸軍、海軍は反目しあっていて、そこに外務省、内務省、大蔵省などが加わって、国家戦略をめぐる縄張り争いをしていたわけで、どうにもならなかった。

 

(江崎) アメリカは1980年代、レーガン大統領の時にソ連と本気で戦うつもりでしたが、当時のアメリカ陸軍と海軍は連携が弱く、戦前の日本のように関係がぐちゃぐちゃになっていたのです。武器弾薬ですら海軍と陸軍と一致していないなど、話にならなかった。

 

(江崎) 実は第ニ次世界大戦中はアメリカも陸軍が圧倒的に強かった。陸軍、海軍、海兵隊があって、戦後になって空軍が出来て、4軍になった。

 しかし、ベトナム戦争になると、それぞれ軍が縄張りを主張し始めたのです。有事の時は協力しあっていた米軍も平時になるといささか対立するようになったわけです。それが酷くなり、実践のベトナム戦争において、各軍がバラバラだったために戦争遂行の上で齟齬が発生し非常に問題となって、レーガン大統領の時に連邦議会がコールドウォーター・ニコルズ法を制定しました。

 この法律で各軍に統合運用を義務付けたのです。

 

「言霊信仰」が大東亜戦争敗因と原発ミスのキーポイント

・(百田) 最悪の状況を想定して動かないのです。

 この手の話は「中国肺炎」以前にもいくつもありました。たとえば、昔から原発施設に大事故が起きた場合、人間が入れないような危険施設内では、ロボットが人間の代わりに修理をすればいいじゃないかという議論がありました。ところが、原発を積極的に導入していた東京電力ではロボットを導入できませんでした。なぜかというと、ロボットを導入しようとして予算を取ろうとすると、反対派が導入を阻止するのです

 反対派から「どうして、ロボットを導入するのか」と質問されて、「これは万が一の事故に備えてです」と答えたとします。すると、「原発は人が入れない恐ろしい事故が起きるのか?」と反問されます。さらに「原発は安全だと言ったから作られたんじゃないか」と畳みかけられます。そうなると、もうそれ以上のロジックを展開できません。結局、万一の事故に備えてのロボットは最初から導入できなかったのです。

 

「ダチョウの平和」はもう通じない

・――平和憲法があったらどこの国も攻めてこないという発想と同じですね。

(百田) その通りです。もし、攻めてきたらどうするという発想、議論がないのです。前述したように、赤旗と白旗を掲げたら大丈夫という程度の想像力なき予想しかできない。それでいいのだと思っている。私の持論なのですが、戦争という極限状況になると、その民族の最も凄いところと、最もダメなところとが極端に出ますね。ですから、大東亜戦争を見ると、日本ではトップのダメさが極端に現れた。逆に、最前線で戦っている兵士は優秀だった。

 

(百田)実は日本において、大東亜戦争はいまだに総括をしていないのです。いわゆる「東京裁判」によって、総括が出来ていると思っているけど、あれは戦勝国側の「論理」を押しつけられた代物でしかない。その点を勘違いしています。

 

ソ連のスパイが日米分断に動く

・(江崎) ソ連の指導者であったレーニンの有名な演説が残っていて、「日本とアメリカという資本主義国家同士を闘わせて、お互いの反目を煽って、日本とアメリカを潰し合わせる。そのうえで、日本やアメリカを敗戦に導き出し追い込んで、大混乱の中で、敗戦革命を起こして一気に権力を握ってしまえ」とハッキリ言っているのです。

 

・(百田) 1921年頃から、アメリカの対日政策が変わっていきます。日本人はアメリカの土地を自由に買えなくなるとか、あるいは、父親が持っているアメリカの土地をアメリカに住んでいる子どもが相続できないとか。かなり、日本人に対して厳しい排日政策が取られてきます。これも、コミンテルンの工作の影響があったかもしれませんね。

 

スパイは大将(大統領)を操る

・(江崎) 終戦が間近に迫った1945年2月にヤルタに、米英ソの首脳(ルーズベルトチャーチルスターリン)が集まり、第ニ次世界大戦後の国際体制について話し合いが行われました。老齢で判断力が低下していたルーズベルト大統領の側近アルジャー・ヒスが舞台裏で暗躍し、世界をソ連に有利な形で分け合う戦後のレジュームを作りました。それが東西冷戦の原因にもなったのです。ソ連の対日参戦と千島列島の編入もこの時に取り決められた。ヒスは政府高官とはいえ、彼がヤルタ会談全体を仕切ってしまった。

 アメリカ軍の幹部たちはヤルタ会談で「絶対対日参戦もノーというべきだ」と、そのレポートをアメリカ軍はホワイトハウスに送るのです。しかし、ホワイトハウスに送られてきた文書をチェックするのがアルジャー・ヒスです。このレポートをヒスはすべて握りつぶしたのです。

(百田) 酷いですね。これで1945年8月9日に、ソ連が日本との中立条約を破って参戦するわけですね。これはヤルタ会談スターリンルーズベルトと約束をしていた。それを後ろで操っていたのが、スターリンの手下だったというわけですね。

(江崎) そうです。この時、アメリ国務省幹部にジョセフ・グルーというストロングジャパン派の人がいました。元駐日大使の日本通で国務次官でした。ところが、そんな政府高官がヤルタ会談から完全に外されるのです。なのに、局長クラスの人間(アルジャー・ヒス)がヤルタ会談に行って仕切っているわけです。

 

天皇制」廃止のためのビッソンの地雷

・(江崎) 共産主義の典型的なやり方を日本の占領政策の初期に実行させられてしまった。本当の共産国家なら「追放」ではなく「粛清」(処刑)だったでしょうが……それでも生活の糧を奪われて路頭に迷う人も少なくなかった。

 そしてトーマス・アーサー・ビッソン(太平洋問題調査会(JPR))系の日本研究家としてGHQ民生局に属し憲法占領政策に関わった。著書『ビッソン日本占領回想記』三省堂)が皇室典範に関わったということを少し、触れさせてください。実は日本国憲法はもともと、英文で作られていました。その総司令部案を日本語に訳した時、日本側は日本に有利なように訳文を作ったのです。

 

このビッソンは本当に酷い男で、憲法に関してさらなる改悪を試みています。というのも、大日本帝国憲法では「皇男子孫之ヲ継承ス」として男系男子による皇位継承を明確に定めていたのですが、現行憲法は「世襲」と規定するだけで、男系による皇位継承の原則の規定は、国会の審議で改正可能とされた新皇室典範「第一条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」)に移されています。そういう風にさせたのもビッソンなのです。

 もし、ビッソンの介入がなければ、新皇室典範憲法と同等の最高法規であり、「皇位継承は男系男子による」という原則も最高法規となっていたはずなのです。

 しかし新皇室典範憲法の下位法となってしまった結果、憲法の男女平等条項に基いて「女系継承もありうる」との解釈が成立してしまう余地が残ってしまったのです。そしてそれは現在の女性天皇論など、さまざまな形で影響を与えています。もし、悠仁さまのご誕生がなければどうなっていたことか。

(百田) もしビッソンの容喙がなく、現行憲法が「皇男子孫之ヲ継承ス」となっていたら、改憲するしかなかった。巷の、日本共産党をはじめとする「女系天皇容認論」は憲法違反になっていたわけですね。

 

日本には「デュープス」が一杯いる

・(百田) そういう風にソ連スパイの行動を見ていくと、日本の戦後はソ連共産党やその傀儡の日本共産党に相当、歪められましたね。先述したように、GHQも途中から、ソ連のスパイやそれらに操られている勢力の存在に気づいて、追放しているのですが、中途半端に終わりました。

 

・それで、「講和条約締結を阻止しろ」という指令を、戦時中に廃止したコミンテルンを改めた新組織ともいうべきコミンフォルムから受けた日本共産党社会党左派などは揃って「単独講和反対」を口にしだす。

 時の東大総長の南原繁なども先頭に立った。こんなのは「容共リベラル」もいいところ。「すべての国と講和すべきで、単独講和はよくない」という主張でしたが、当時、日本の講和に反対していたのはソ連とその衛星国家のチェコポーランドだけ。英米仏など48ヵ国は賛成していた。だから「単独講和」ではなく「(圧倒的)多数講和」なのに、そういう言葉のイメージ操作によって、朝日をはじめとする日本のマスコミは猛反対をしていた。「安保法案」を「戦争法案」と呼称して反対していたのと同じ。左翼の卑怯なやり方は70年経っても同じです。

(江崎) 南原さんみたいな人を「デュープス」というのです。別に共産主義者でも党員でもないでしょうが、共産党などの聞こえのいいレトリックに幻惑されたりだまされ易い人たちという意味です。

 

・(江崎) 内閣法制局は絶大な権力を有しています。その権力の源は何なのか。憲政史家の倉山満先生などが詳しく指摘していますが、法律の作成とその解釈を通じて各省庁にあれこれと指示できる点にあります。

 以前、自民党片山さつき議員が地方創生担当大臣の時に「スーパーシティ構想」に関して法案を出そうとしたのですが、ダメになりました内閣法制局が、それは違憲の疑いがあるとクレームをつけたのです。政府がいくらやりたくても、これは違憲の疑いがあると言われた途端、法案はすべて止まるのです。各省庁はいろいろな法案を出したいわけですが、内閣法制局がダメだと言ったら、法案は出せなくなります

(百田) これは、ある意味、影の内閣じゃないですか。

(江崎) いや、影の内閣どころではなく、ある意味、絶対的な権力を持っていると言えます。

(百田) 法解釈の最高権力を握っているわけですね。

(江崎) この内閣法制局が「ノー」と言ったら、すべてが動かないわけです。議員立法に関しては、衆議院参議院の法制局、政府の法案は内閣法制局が担っています。一番、重要なのは内閣法制局となります。ここが、拒否権を持っています。

 

東大法学部は「デュープスの総本山」か

・(江崎) 現在の上皇陛下が、天皇に即位された時の話です。高位継承に関しまして、最も重要な儀式が大嘗祭です。即位の大嘗祭はセットになっていまして、昭和50年代に内閣法制局は、大嘗祭政教分離の疑いがあるから国費ではできないと主張していたのです。

 

・(江崎) 平成から令和にかけて元号の公表を即位の礼より早く公表しました。なんでこうなったのか。

 理由は簡単でして、天皇陛下の即位と一緒に元号の公表を行うことは、国民主権に馴染まないというのが内閣法制局の見解でした。だから、新たな元号発表と天皇の即位を1ヵ月、ズラしたのです。それはおかしいだろうと、総理補佐官が異議を唱えたのですが、このときは残念ながら内閣法制局が勝ってしまった。

(百田) そういう事だったのですか。前もって印刷物とか、民間の混乱を抑えるために、公表を早めたという理由をつけていましたが、内閣法制局が皇室の権限を削ぐためにやった事なのですね。

(江崎) 国民主権に違反する懸念があるためというのが、横畠祐介内閣法制局長官の見解でした。私からすれば、一官僚の如きが思い上がるなと言いたいですね。なぜ内閣法制局がこのような唯我独尊的な考え方になってしまうのか。

 それは、内閣法制局の官僚が東京大学法学部卒業のエリートたちばかりだからです。憲法解釈で戦後、もっとも影響を与えた人物が存在するわけですが、その人物の意思が内閣法制局に色濃く影響を与えています。それは、この本で何回か登場した憲法学者・東大法学部の宮澤俊儀さんです。宮澤さんは、国政と皇室を限りなく切り離す憲法解釈を打ち出した「デュープスの総本山」です

 

エリート官僚と共産主義の思考は底辺でつながっている

・(百田) これは結局、繰り返しになりますが、東大卒がダメなんです。その原因は、実は、東大に入学する以前にあります。

 現在、中学高校生が習っている教科書が日本の自虐史観に基づいた思想で出来ているのはよく知られていることですが、中でも「学び舎」の教科書が特にひどいのです。

 

・つまり東大に進学する子供たちの多くは、そんな教科書で学んでいるのです。東大を目指すような丸暗記型の優等生は十代に教科書の中身をすべて覚えてしまって、洗脳されてしまいます。そういう生徒は性格が素直な事もあって、リベラル的な思考が出来上がってしまうわけです。

 そして、この若者が東大に入学して、さらに左翼系の学者、教授に教えられ、国家公務員の上級試験に合格して高級官僚になっていきます。ですから、どうしても東大を卒業した官僚、あるいは司法試験に合格した司法関係の人間は左翼系が多くなるのです。

 

(江崎) 厄介なのは、エリート官僚たちと共産主義というのは親和性が高いという点です。なぜ親和性が高いかというと、共産主義一党独裁は、党が決めたことに庶民は黙って付いてくればいいという考えに基づくからです。そしてエリート官僚たちも自分たちが決めたことに庶民は黙って従えばいいと内心思っている。

 

(江崎) だから、これから日本が注目すべきなのは、トランプ大統領が演説などで繰り返し主張している事です。「アメリカは庶民の国であって、官僚の国ではない」と。庶民の国なのだから、庶民が活躍できるような税制にする。だから減税第一なのです

 官僚たちに無駄なおカネを使わせるようなことをしたら、官僚たちは統制主義経済を始めてしまう。だから、そうならないように庶民からできるだけ税金を取らないようにする。民間の活動に政府はできるだけ邪魔をしないようにする。それがアメリカの保守派の基本的な考え方です。その点、安倍政権はどっちを向いているのか。

――安倍首相は社会主義経済を推進しているといわれていますね。朝日現役記者の鯨岡仁氏の『安倍晋三と社旗阿修羅儀 アベノミクスは日本に何をもたらしたか』(朝日新書)という本が最近話題になりました。

 

・その経済政策を見る限り、世界的視野から見れば、それは「新自由主義」経済ではなく、民主社会主義福祉国家路線に似通ったものであるということを詳細に論じています。

(江崎) 世界標準から判断するとアベノミクスはそうなります。増税を繰り返すというのは官僚主導の社会主義路線ですからね。

 減税によって国民の自由な経済活動をできるだけ尊重しようとするトランプ流の経済政策とアベノミクスとはかなり違います。

(百田) 年度末になると、我が家の近所では道路を何回も掘り返すのです。水道、ガス工事で、カネ(予算)を消化するために慌ててやっています。これって、前述したように「ゼロ戦」を生産するときの無駄と一緒です。日本は変わっていないのかな(苦笑)。

(江崎) 税金を取りまくっていたら、日本は本当に滅びますよね。渡辺昇一先生はいつも言っていました、「税金高くして国は滅びる」と。だって税金が高ければ国民は働く気をなくします。

 

・「中国肺炎」による企業などの苦境を救うために、政府は補助金助成金など、政府による介入を強める政策ばかりが打ち出されていて、消費税減税や社会保険料の負担軽減といった「国民の自由拡大」政策が見えてこないことが気がかりです。

 

日米が連携すれば「歴史戦」でも負けない

・(百田) いやあ、それにしても「中国肺炎」をめぐっても、いろんな言説がありましたが、発生元の中国に忖度するばかりで、中国人の訪日も封じ込めることを主張するのは私たちぐらい。安倍叩きができるとなると、サクラからコロナに乗り換える人も「後出しジャンケン」で続出。こういった「デュープス」が日本の将来を悪くする元凶ですね。

 

・(江崎) 真珠湾攻撃ルーズベルト大統領が日本に仕掛けたことを保守派の人たちは知っている。だけど、「アメリカメディアは自分たち保守派の意見を、聞こうともしないし、記事にも載せてくれない」と嘆いていました。

 

・(百田) CNNとかアメリカの報道を見ていると、アメリカにもデュープスがいっぱいいますね。いや、これは世界的な傾向かもしれませんね。

(江崎) 日米の戦前の対立はコミンテルンが仕掛けたもの。それに惑わされて日米は不幸な戦争をしてしまったけれども、いまや日米両国は最良の友好関係を維持しています。しかし、その友好関係を破壊し、日米分断をしたいと考えている国がある。いうまでもなく中国、北朝鮮、そしてロシアです。

 その中国の利害のために日本国内(沖縄など)でさまざまな形で蠢いているのが「デュープス」ですコミンテルンの亡霊に怯える必要はありません。しかしこのデュープスをのさばらせないようにするために対外インテリジェンス機関が活動をしているのですが、その活動を支える学問的な基盤が必要です。

 そこで欧米諸国では1980年代から、インテリジェンス・ヒステリー(情報史学)という新しい学問が導入されています

 

インテリジェンスの重要性を知ってください

・インテリジェンスに対する国民的理解を広げたいと願ってきた私にとって、これほど嬉しいことはありませんでした。というのも、政治も

そうですが、軍事(自衛隊)やインテリジェンスもまた国民の理解があってこそ成り立つものだからです。その国民的理解を広げるうえで、百田さんと「虎ノ門ニュース」が果たされた役割は本当に大きいと思っております

 

・本書では、今回の「中国肺炎」をめぐる危機管理から憲法改正、安全保障とトランプ政権、先の戦争の反省と教訓、皇室と内閣法制局、インテリジェンス、そして「ヴェノナ文書」と、現代日本の政治的な課題について具体的なエピソードを紹介しながら多角的に取り上げています。

 

何よりも政治とは、言葉の芸術の世界でもあるのです。そして官僚の言葉は面白みに欠け、政治に対する国民の関心を損なわせることが多いのが現実です。逆に国民の心に届く言葉を政治の側が発することができれば、政治と国民との間はぐっと近づき、その政策の実現性は高まります。

 

 


『逃げる力』 日本人には「逃げる力」が足りない!

つまらないストレスを安心して捨て去るための1冊。

百田尚樹   PHP    2018/3/17

 

 

 

最も大切なのは「負けを素直に認めること」

逃げる

実は逃げることは戦うことと同じくらい積極的な行動である。戦う時に分泌されるホルモン「アドレナリン」は、逃げる時にも分泌されるのだ。本当に大切なものを守るために、戦っても勝ち目がない、得るものがないと判断したら、さっさと逃げるべきである。

 

魏晋南北朝時代に編まれた有名な兵法書『兵法三十六計』の最後にあるのが、「走為上(走るを上と為す)」というものです。これは「逃げるのが最善の策」という意味で、「三十六計、逃げるにしかず」という語源となった言葉です。

 

・つまり、「逃げる」ということは、実は「戦う」ことでもあるのです。退却は「捲土重来を期して」のものなのです。「捲土重来」とは、一度戦いに負けた者が、勢いを盛り返して、ふたたび攻め上がることです。

 

逃げるは恥だが役に立つ

・2016年、「逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)」というテレビドラマが人気を博しましたが、この言葉は実はハンガリーのことわざだそうです。原文を直訳すると、「恥ずかしい逃げ方だったとしても生き抜くことが大切」という言葉になります。これは素晴らしい名言だと思います。

 

・悲しいことに現代社会では、会社のために自らを追い込んで、最終的に死を選んでしまう人は少なくありません。最近でも、大手広告代理店に勤めていた若い女性社員が過労によって自殺したという事件がありました。そのニュースを見た多くの人は、「なぜ、会社を辞めなかったのか」と考えたのではないでしょうか。

 東京大学を卒業して大手広告代理店に勤務していたTさんは、2015年12月25日に投身自殺しました。

 Tさんの総労働時間は、同年の10月25日から31日までの1週間で87時間26分、11月1日から7日までの1週間で77時間18分に上っていました。

さらに上司から「君の残業時間の20時間は会社にとって無駄」「会議中に眠そうな顔をするのは管理ができていない」「今の業務量では辛いのはキャパがなさすぎる」「女子力がない」といった暴言を浴びせられ、Tさんは11月上旬にうつ病を発症し、その後悪化していったとみられています。

 

・Tさんのツイッターを見ると、「10月14日 眠りたい以外の感情を失いました」「11月10日 毎日次の日が来るのが怖くてねむられない」「12月16日 死にたいと思いながらこんなにストレスフルな毎日を乗り越えた先に何が残るんだろうか」

 

・Tさんの悲劇から我々が学ぶべきことは、自分の判断力が低下してしまう前に、「自分にとって最も大事なものは自分の命」ということをしっかり見定め、戦うか逃げるかを決めなければならないということです。

 

それまでの投資を「もったいない」と思うな

・「逃げること」が求められるのは、理不尽な環境に置かれたときに限りません。人生、どんなことでも、「逃げなければいけない」局面があります。その見極めを間違えると、多大なダメージを食らい、再起不能になることがあります。

 経済学の分野で、「サンクコスト」という言葉があります。何らかの投資について、成果が得られる見通しが立たないときに、それまで投入した時間、労力、金銭のことを指します。そして経済学者の研究では、「どうもこのプロジェクトは成果が出そうにない」と判断した時点ですぱっと投資を諦めれば、損害を最も少なく抑えることができる、と結論づけられています。

 

・生き残る企業は、躍進力が凄いのはもちろんですが、実は撤退力が素晴らしいのです。このまま続けても業績が向上しないと判断したときは、素早く撤退します。飲食チェーン店などは、1年も経たずに店をたたむことが珍しくありませんが、長い目で見れば、そうしたほうが、儲けられると知っているからでしょう。

 

逃げることにも、戦うことと同じくらいエネルギーがいる

・自らの大切なものを守るための「積極的逃走」は、何かと戦うときと同じくらいエネルギーや精神力が要ります。

 たとえば、長年勤めた会社に見切りをつけて、新天地に行くことは、「積極的逃走」ですが、そのときに消費するエネルギーや精神力は相当なものです。

 

・また、離婚も「積極的逃走」の一つですが、離婚は結婚よりもエネルギーが要るというのは、よくいわれる話です。逆上するパートナーと話し合ったり、親権や財産を巡って戦ったりするのは、確かにエネルギーと精神力を必要とするでしょう。

 

・でも本当は、そのような中途半端な状態がいちばんよくないのです。積極的に戦うか逃げるかを決めなければ、ただやられるだけ、消耗するだけになってしまいます。

 

生き物が持つ根源的な判断力を失っている

・人間に限らず、動物には、生存本能が備わっています。その中の1つが、敵と対峙したときに、「戦うか、逃げるか」を瞬時に判断し、自己にとって最もいい決定をすることです。動物の世界は弱肉強食であり、相手が自分より強いとわかったら、一刻も早く確実な方法で逃げなければなりません。この能力がなければ、簡単に絶滅してしまいますから、どの生き物もその判断力は非常に発達しています。

 

・このような生存本能は、当然、人間も持っています。本来は、「逃げなければ命を落とす」と判断したら、瞬時に逃げる能力を持っているはずです。

 たとえば学校でいじめられたときには、そのいじめてくる人たちと戦うか、転校などをしてそこから逃げるか。仕事でいえば、パワハラなどにあったら、その上司と戦うか、会社を辞めるか。

 

人生の判断をしてこなかった人たち

・生き物が持つ根源的な判断力を失ってしまった理由には、いろいろな原因があると思いますが、一つは、そもそも人生における判断自体をする機会が少なかったことがあるでしょう。

 

・そんなとき、本当ならば「逃げる」という判断を下すべきなのに、それまでの人生でそうした判断をしてこなかったばかりに、決断できないということはよくあります。

 それに加えてもう一つ、生き物が持つ根源的な判断力を失ってしまった理由があると私は考えています。それは、「自分で自分の心を縛っている」ことです。

 

・世の中で、「勝利者」と呼ばれる人を見ていると、例外なく「逃げる力」に優れていることがわかります。彼らの人生戦績表は白星ばかりではありません。実は結構黒星もあるのです。ただ、その黒星は決定的な敗北にはなっていません。つまり「上手に負けている」のです。言い換えれば「逃げる達人」なのです。

 

最も大切なのは「負けを素直に認めること」

・しかし、負けたことを素直に認めないと、負けの原因と真正面から向き合って、反省することができません。だから、次も負けてしまうのです。しかも、何度も同じパターンで負けていることが少なくありません。

 

モハメド・アリは、同じ相手に二度負けることはなかった

・世の中の強者は、失敗を素直に認めます。

 たとえば、ボクシングの元ヘビー級世界チャンピオンであるモハメド・アリは、同じ相手に二度負けることはありませんでした。彼は生涯に5回負けていますが、最晩年の2つの敗戦以外は、すべて2度目の対戦で雪辱しています。アリが彼らと戦った試合は、1戦目と2戦目では、明らかに戦法を変えています。相手のスタイルを研究して、その弱点をつくようなスタイルで戦っています。

 

・そのためには、自分の失敗や欠点、能力の不足をしっかり認めることが大前提になります。

 

大東亜戦争、死者の大半は最後の1945年に亡くなった

・仕事などでも大きなダメージを負わないためには、傷口が小さいうちに負けを認めて、「逃げる」ことが重要です。

 

・このように、負けるときに大切なことは、壊滅的なダメージを負わないことです。負けたとしても、ダメージを最小限に食い止めれば、何度でも巻き返すチャンスはあります。しかし、ダメージが甚大だと、回復に大きな時間を費やすことになります。

 

・タラレバの話になりますが、もっと早く降伏し、1944年の秋ぐらいに終戦にしていれば、約200万人もの人が命を落とさずに済んだと言われています。1945年に入る頃には、すでに石油がほとんどなく、戦争の継続は不可能でしたから、そのときに負けを認めるべきでした。

 

形勢不利のとき、強い碁打ちはどうするか

・私は碁が好きなのですが、本当に強い碁打ちは、形勢が悪くなったら辛抱して、チャンスを待ちます。形勢が不利であることを認めて、その上でいったん我慢するのです。

 

・これは麻雀や競馬といったギャンブルでも同様です。負けが込んでくると、半ば自暴自棄になり、乾坤一擲の勝負に出る人がいます。

 

織田信長の思い切った逃亡

・戦国時代に覇を唱えた織田信長も、絶対絶命のピンチに見舞われています。信長の負け戦に、有名な「金ヶ崎の戦い」があります。

 

織田信長徳川家康連合軍は金ヶ崎城を攻略し、義景の本拠地に迫りました。しかしそのとき、信長は義弟の浅井長政が朝倉救援のために信長の背後を衝いたことを知ります。織田・徳川連合軍は挟み撃ちにされる形になり、窮地に陥りました。このとき、信長は周囲が驚く行動に出ます。浅井裏切りの報せに接すると、たった10人ほどの家来とともに陣を脱出し、京に逃げ帰ったのです。この決断は見事です。ピンチに際し、プライドも見栄もかなぐり捨てて逃げるというのは、なかなかできることではありません。

 

・秀吉はこのときのことが記憶に残っていたのでしょうか、のちに家来と議論していたとき、「信長の偉いところはどこか?」という質問に対し、「どんな負け戦になっても必ず生き残ってきたことが、あの方の一番偉いところだ」と答えたといいます。

 

罠にはまった徳川家康

徳川家康も、逃亡することでピンチを脱した経験をいくつか持っています。その代表的な例が、武田信玄との「三方ヶ原の戦い」です。

 

家康の逃亡といえば、1582年の「神君伊賀越え」も有名です。「本能寺の変」で信長が討たれたときのことです。当時、家康は信長に招かれて、30名程度の従者とともに幾内を見物してたそうで、明智光秀に命を狙われてしまいます。家康たちは、険しいが人目につきにくい伊賀の山を越えて、光秀の追手や、落ち武者狩りの民衆などの襲撃から逃げ切り、三河への帰還を果たしました。

 この神君伊賀越えと、さきほどの三方ヶ原の戦い、さらに家臣団の裏切りにあった三河の国一向一揆の三つを「神君三大危難」と呼ぶそうです。

 

世界で最も逃げるのが得意な華僑とユダヤ

・少し変わったことを言えば、世界のビジネス業界や金融業界で活躍する華僑やユダヤ人たちは、皆、逃げながら、たくましく生き抜いてきた人たちです。

 

・そしてそんな彼らが最も自由に羽ばたける国はアメリカ合衆国です。しかしそれはある意味、当然です。なぜなら、敢えて極論すれば、アメリカ合衆国は、逃げてきた者たちが作った国だからです。

 

・その反対に、昔から農耕民族として土地に縛られてきた日本人は、逃げることがDNA的に苦手な民族かもしれません。しかし現代は江戸時代ではありません。もはやそんな古いDNAは捨て去ってもいいのです。

 

一流の探検家が備える「退却する勇気」

・「逃げる」能力が生死を分けるということでいえば、登山家や探検家も同じです。一流の登山家であればあるほど、「逃げること」の大切さを熟知し、常に生きて帰って来ます。

 

敗北に慣れることも大切

・これまで述べてきたように、人生のピンチに陥ったとき、致命傷を負わない判断を下すことが大変重要です。どんな人でも、人生一度ぐらいは「負け戦」があるものです。そのときの身の処し方でその後の人生が変わってきます。

 

失いたくないものの価値を考える

・よくよく考えてみると、失いたくないと考えているモノは、意外とたいしたことはないモノが多いものです。

 

レールから外れた私の人生

・ちなみに、私自身はどうだったかというと、学生時代から、まるっきりレールから外れた人生を送ってきました。

 高校の時点から県内でも最も偏差値の低い高校に行っていましたし、浪人中に中学の勉強からやり直して、なんとか合格した大学も、5年間も通ったあげく、単位が半分ぐらいしか取れなくて、中退してしまいました。そのとき、学生時代に何度も出演した視聴者参加のテレビ番組のディレクターが、「することがないなら、放送作家をやらないか?」と声をかけてくれたのです。

 放送作家といっても、週に一回企画会議に出て、アイデアを出せばいいというだけのものでした。

 

・私が真剣に働くようになったのは、妻が子供を産んで仕事を休職してからです。家族を養うためにようやく真面目に放送作家の仕事に取り組むようになったのです。35歳くらいから10年間は自分で言うのもなんですが、一所懸命に仕事をしました。

 

・人生の設計図を持たないという考えは、もしかすると、父に似たのかもしれません。家が貧しかった父は高等小学校を卒業して14歳で働きにいきました。そして働きながら夜間中学を出ましたが、20歳で徴兵されて戦争に行きました。運よく命を長らえて戻ってきましたが、戦前に働いていた会社はとっくになく、戦後はいろんな仕事を転々としていました。私が生まれたときは、大阪市の水道局の臨時職員でした。

 

夢が大きすぎると、夢に食い殺される

・「人生のレールから外れると、絶望を感じてしまう」のは、もしかすると、夢の持ち方にも問題があるということも考えられます。

「夢を持て」とよくいわれますが、そのことは、私も大いに賛成です。夢がないと生きるエネルギーは生まれません。

 

・しかし、場合によっては、夢は、「諸刃の剣」にもなります。夢が大きすぎると、その夢に食い殺されることがあるのです。

 

そう考えると、私は、夢や目標は適度な大きさにしたほうが良いと思います。

 

「責任感が強いから逃げなかった」は言い訳

・ハードな職場から逃げ出せずに、心身を病んでしまったのは、「仕事に対する責任感が強かったから」という話もよく聞かれます。

「ここで自分が抜けたら、残った人たちに迷惑がかかる」とか、「やりかけた仕事を、途中で投げ出すわけにはいかない」などと考えた結果、心身が壊れるまで、頑張って働いてしまったというわけです。

 日本人はマジメですから、こういうタイプの人は多いのではないかと思います。

 

・このような「嫌われたくない」という気質は、日本人が強く持っている気質なのだと思います。何年か前に『嫌われる勇気』という本がベストセラーになりましたが、やはり「嫌われたくない」人が多いからでしょう。

 

ブラック企業を辞められない理由

・さまざまな事情があるでしょうから、「ここは責任感を発揮して踏みとどまるべきか、わが身を守るべきか」という判断は難しいものですが、少なくとも、判断すらしようとせず、されるがままになるのは危険なことだといえます。

 

Jアラートや防災情報を軽視する日本人

・どうも現代の日本人は、この「正常性バイアス」が強くなっているような気がします。

 その典型的な例が、Jアラート(全国瞬時警報システムに対する感覚です。日本人はJアラートが鳴っても「まあ大したことはないだろう」と妙に甘く考えてしまうことが多いように思えます。しかし、本当に命を左右するピンチが訪れたとき、正常性バイアスにどっぷり浸かっていては逃げ延びることはできません。

 

・日本人は永らく続いた平和のせいで、どうも危機意識が麻痺しているようです。天災、人災はいきなり遭遇するより、事前に情報を得ていたほうが危険度は大きく減少します。本来なら少しでも多く情報が欲しいと思わなくてはならないはずです。

 繰り返して言います。命は一つです。最後の最後まで生き延びる努力をしなければならないのです。

 

守るべきものがあれば、逃げられる

幸せの絶対基準を持っているか

・自分の人生にとって、何さえあれば幸せなのか。

 その絶対的基準を持っていると、そこから外れることは二の次でよい、場合によっては逃げてもいいし、捨ててもいいという判断が下せるようになります。

 たとえば、自分にとって幸せの絶対的基準は、「家族の幸せ」であるとします。すると、「この会社の仕事は、家族の幸せを犠牲にしてまで取り組むべきことなのか」「この人間関係は、家族につらい思いを味わわせてまで維持すべきものなのか」といったように、判断の基準ができるようになります。

 

・この「幸せの絶対的基準」が確立していないと、自分の生き方に対する判断がはっきりと下せません。そういう人は何を基準に生き方を決めるかというと、「相対的な基準」で決めます。つまり、「他人と比べて、給料や家の広さ、社会的地位が勝っているかどうか」で判断してしまうのです。他人よりも恵まれているかどうかが、幸せを感じる基準になっているのですね。

 

・もちろん、幸せの絶対的基準が、「社会的ステータスを得ること」と確立している人なら、そのような事態に陥っても、選択に悔いはないかもしれません。

 

・果たして、皆さんは、幸せの絶対的な基準を持っていないと、他人との比較によって、相対的に幸せを測るということになります。そうなると本当に幸せになることは難しくなってしまうのではと思います。

 

「逃げの小五郎」

・「幸せの絶対基準」を持つことで、人は、自分自身の生き方が定まり、迷いがなくなります。すると、人の目を気にすることなく、自分の信じる道を進めるようになります。逃げるべきときには躊躇なく逃げられるようになるのです。

 一人、その見本となる例をあげましょう。桂小五郎、のちの木戸孝允です。

 

西郷隆盛大久保利通とともに「維新三傑」と称されるような人物ですが、歴史ファンからの評価は大きく二分しています。坂本龍馬高杉晋作などのような勇敢な志士たちと異なり、戦いに参加することなく逃げ出すことで生き延びた男だったとされているからです。彼の渾名はそのものずばり「逃げの小五郎」です。

 

・たとえば、長州藩兵と幕府側の会津藩兵とが武力衝突した「蛤御門の変」では、藩の京都代表であったにもかかわらず、武装入洛に反対し、長州藩が京を包囲したときも、長州の遠征部隊に加わろうとはしませんでした。そして、幕府側が反撃し、京都の長州屋敷を包囲し、小五郎を捕まえようとしたときには、戦うことなくさまざまな藩邸に身を潜めるなどして逃げ回り、やがて京を離れ、但馬出石城下で荒物屋の店主になって潜伏生活を送りました。

 桂小五郎の逃走のエピソードは他にもたくさんあります。

 

替えがきかないのは家族と自分だけ

・私自身の「幸福の絶対的基準」は、自分自身の健康と家族の二つです。それさえ満たされていれば、他のことは、二の次で構いません。

 

・仕事は替えがありますが、家族は替えがありません。本当にかけがえのない存在です。大事にするのは当然です。世の中には、離婚すれば替わりはいると言う人もいるでしょうが、家族をそんな風に「替えがきくもの」と考えている人生は、非常にむなしいと思います。そういう人は、人生の何を拠りどころとしているのでしょうか。

 繰り返しますが、他のことは、ほとんど替えがききます。仕事などいくらでも替えがききますし、友人も替えられます。にもかかわらず、現実には替えがきくものを大事にして、家族という替えがきかない存在をないがしろにする人が多いようですね。人は、いつもいる存在を当たり前だと思ってしまいがちです。

 すると行く末には何が待っているのか――熟年離婚です。

 子供が成人し、定年退職した後、突然、奥さんから、「もう、私、これ以上無理です。長いことやってきたけど、もうダメです」「あなたと同じ墓には入りたくありません」と三下り半を突きつけられるケースが最近非常に増えてきたと言われています。このとき、旦那のほうは、「まったく気付かなかった………」と呆然としてしまうことが多いようですが……。こういう人は、少しかわいそうですが、同情の余地はありません。

 

守るものを見つけるべき

・こうして、幸せの絶対的基準を考えていくと、家族がいる人は、「家族が一番大切だ」というという結論に達することが多いと思います。

 もっとも、読者の中には、独身で子供がいない人も少なからずいるでしょう。「国勢調査」による生涯未婚率(50歳までに一度も結婚しない人の比率)の調査によると、2015年は男性が23.4パーセント、女性が14.1パーセントに上っているそうです。実に男性の4人に1人が一生独身という状況になっています。

 そういう人は、幸せの基準を何に置くべきか、悩んでしまうかもしれません。

 

・しかし私は、このような時代に、あえて次のように述べたいと思います。人間は、「その人のために生きたい」「その人を守りたい」といえる存在を得るための努力を続けるべきである、と。

 

国の危機から逃れる

抗議する力を持つ

・私はこの本で「逃げる力」をすすめていますが、これらの国から「逃げる」とはどういうことでしょうか。

 私は国同士の間で「逃げる」ということは、「親しい付き合いをやめること」だと考えています。とはいえ、断交までは考えていません。ただ、経済協力や文化交流を含めた交流は距離を置くべきです。ODAやスワップなどはとんでもない。技術やその他の援助もストップします。そうした関係があるのは友好国に限られます。日本を敵視するどころか、領土を奪ったり、日本を貶めるための嘘と中傷を世界にばらまく国は、絶対に友好国ではありません。

 

中国が日本侵略を企む理由

・しかし残念ながら、中国が日本の領土と資源を狙っているのは間違いありません。

 なぜ、中国は日本への侵略を企むのでしょうか。

 北京大学の出身の評論家石平氏は、私との対談『「カエルの楽園』が地獄と化す日』(飛鳥新社)で、「いま、中華民族には『生存空間』が足りないというのが彼ら(中国のエリート)の常識であり、最大の危機意識です」とおっしゃっています。生存空間とは、14億人の中国人民が満足に暮らしていく環境全体を指す用語を指すそうです。

 いま中国では、大気汚染や砂漠化、水不足などで人が居住できる場所がどんどん失われていっています。すでに2001年に、中国で高く評価されている「新経済」という専門誌が、国土の3分の1は実は人の生息に適していない「荒漠地帯」だと指摘し、生活に適した良質な国土は29パーセントにすぎないと述べています。石平氏は、この「『良質な国土』もどんどん汚染され、環境が破壊されていったら、………(中略)………当然中国人民は自国の外に自らの生存空間を確保していかねばなりません」と仰いました。

 さらに石さんは、カネも水もあり、軍事的に弱腰な日本は、中国にとって「侵略する価値」もあり、「侵略できる可能性」も高い国だと指摘されています。その日本を侵略して大量の中国人を送り込めば、国内の人口問題を解決することができるのです。

 

・また中国はそのためにこの20年以上、年率7~17パーセントの凄まじい軍備拡張を続けています。1996年の中国の軍事費は702億元でしたが、2017年には約1兆200億元になっています。世界で、ここまで常軌を逸した軍拡を続けている国は他にありません。現在の中国の軍事力は安全保障という枠組みをはるかに超えた巨大なものになっています。

 

 

 

『日本人だけが知らないこの国の重大な真実』

闇の世界金融の日本占領政策

鈴木啓功  イーストプレス  2016/3/6

 

 

 

幕末・明治維新の時代から「謀略の地下水脈」が存在する

・前章では「世界の奥の院」である「地球支配階級の全貌」を提示した。その中核は「欧州ロスチャイルド家に代表されるユダヤ国際金融資本家」だ。彼らが現代世界情勢を動かしている。

 

■構造=世界の奥の院(地球支配階級)→日本国の奥の院(日本国支配階級)

・だがマスコミは両者の存在についてはなにも伝えない。

 

・先に結論を言うならば、幕末・明治維新の時代から、日本国は「彼ら」(欧州ロスチャイルド家)に操縦されてきた。日本国民は「歴史は勝手に動いている」「日本国の歴史は日本国民が築いてきた」と信じている。だが真実はそうではない。本書の立場から「歴史の真実」を言うならば、日本国の幕末、明治、大正、昭和、平成の歴史は「操縦された歴史」なのだ。

 

■真実=幕末、明治、大正、昭和、平成の歴史は「操縦された歴史」である

・幕末・明治維新の背後には「欧州ロスチャイルド家」が存在した。坂本龍馬に代表される江戸幕末の志士たちは「彼らの手先」(彼らに使われた道具)だったのだ。

 

現代日本国は「田布施の人脈」が動かしている

・戦後日本国(現代日本国)には「岸信介から安倍晋三に至る血脈のライン」が存在する。岸信介安倍晋三の背後人脈はいかなるものか。

 

 先に結論を言うならば、彼らの背後には(幕末・明治維新以降の日本国を動かした)「謀略の地下水脈」が存在するのだ。だが日本国民はそのことをなにも知らされていないのだ。

 

<■透視=岸信介から安倍晋三に至る血脈の背後に「謀略の地下水脈」が存在する

・本書ではその「謀略の地下水脈」を「田布施(たぶせ)の人脈」と表記する。

 

■警告=日本国民は「田布施の秘密」(謀略の地下水脈)を透視すべし

・先に結論を言うならば、幕末・明治維新以降の日本国は「田布施の人脈」が動かしてきた。そしてそれは「現代日本国首相・安倍晋三」に至るまで続くのだ。

 

安倍晋三は「田布施の悪魔集団」に連なる血脈

・多くの日本国民は「幕末・明治維新の時代」を(坂本龍馬に代表される)「幕末の志士たちが大活躍した時代」と信じている。だがそれは「奴隷集団の童話」にすぎない。

 

 幕末の志士たちの背後には「地球支配階級=欧州ロスチャイルド家」が存在した。彼らは幕府側と倒幕側を操って「明治維新」を実現した。幕末・明治維新は「操られた歴史」なのだ。

 

 18世紀、欧州世界でフランス革命を勃発させた欧州ロスチャイルド家は、19世紀には、日本列島で「幕末・明治維新」を実現させた。彼らの手先になったのは(その中核は)「長州藩田布施の忍者集団」だった。田布施の忍者集団には木戸孝允伊藤博文が存在する。

 

田布施の忍者集団(悪魔集団)は日本国を支配するために各地で暗殺を繰り返した。幕末時代には孝明天皇とその親王が暗殺された。その主犯は(明治時代に日本国初の内閣総理大臣となった)「伊藤博文」だった。日本国は「暗殺犯」が「内閣総理大臣となる国家」なのである。

 明治天皇は「すり替えられた天皇(正体=大室寅之祐)だった。そして彼を「田布施の悪魔集団」が操った。そしてふつうの日本国民は「明治天皇」に絶対忠誠を要求された。

 結局、明治=大日本帝国は、どのような「支配構造」(操縦構造)だったか。

 

<■大日本帝国田布施の悪魔集団→明治天皇→ふつうの日本国民

田布施の悪魔集団の背後に「地球支配階級=欧州ロスチャイルド家」が存在したことは言うまでもない。田布施の悪魔集団は「地球支配階級の手先」として日本国民を弾圧する。

 現代世界(近未来世界)に生きる日本国民は「右の構造」を完全に透視するべきだ。なぜなら、今の日本国首相・安倍晋三は、「田布施の悪魔集団」に連なる血脈だからである。

 

・日米戦争の根本的真因は「増長した悪魔(田布施の悪魔集団)が『親分』(地球支配階級)に逆らったので」→「徹底的に罰せられた」ということだ。

 

大室寅之祐が生まれた「田布施」の秘密

明治天皇大室寅之祐は、長州藩山口県)の「田布施」(周防国熊毛郡麻郷村=現在の山口県稲毛郡田布施町)という地で生まれた。ここは暗殺者である木戸孝允伊藤博文が生まれた場所でもある。

 正確には木戸孝允は「隣国」(長門国萩城下呉服町=現在の山口県萩市呉服町)、伊藤博文は「隣村」(熊毛郡束荷村=現在の山口県光市束荷)の出身だ。だが両者の関係は先に述べた通りである(上忍、下忍)。また伊藤博文は(大室寅之祐を監視、育成するために)「田布施の大室家」に日参していた。少年時代、伊藤博文大室寅之祐は「親分、子分の関係」だった(伊藤博文は力士隊の隊長、大室寅之祐は力士隊の隊員。二人は相撲を取って遊んでいた)。

 

 右のような経緯と彼らの親密な関係を含め、ここでは彼ら全員を「田布施出身者」(関係者)と表記しておく。

 

マスコミは「悪魔の手先」となっている

電通は「米国CIA」の別動隊

電通は「日本国最大の広告代理店」である。

 

・では米国は「電通」(米国CIAの別動隊)を使っていったいなにがしたいのか。彼らの目的はなにか。それは「日本国民の精神を徹底的に『破壊』すること」なのである。

 

・真面目な日本国民は「まさか」と言うかもしれないが、そのような真面目な人こそは(電通の広告に洗脳されて)「自らの精神が『破壊』されている」のである。余談になるが述べておく。

 近年の日本国では「AKB48」という「女性アイドル・グループ」が存在する。あれが、「メイド・イン・電通」であることは「業界人の常識」だ。

 最近では「AKB48のメンバーと電通社員のふしだらな写真」が流出して(「週刊文春」2015年4月9日号)、世間を騒がせたりもしているが、存在の起点を知れば不思議はない。本書の立場からは「悪魔が『日本人乙女』を食い物にしている」というだけだ。

 

電通は「裸踊り」で仕事を取ってくる

・クリエイティブディレクター、CMプランナーの岡康道(TUGBOAT代表)は、大学卒業後、電通に入社した。理由は「給料がよかった」からである。彼の言葉を引用する。

 

・では「電通の営業」とはいかなるものか、本書の立場からは「最低の仕事」である。

――ところが、広告会社の営業は異常とも言えるほど大変な職種でした。今の若い人には想像ができないかもしれませんが、得意先の接待は週に何度もあり、裸にネクタイで踊る余興など日常茶飯事。僕は酒が飲めなかったのでいつもシラフでやりましたよ(笑)。週末は、やはり得意先の引っ越しなど個人的な用事に駆り出され、「おい、トラックで来いよ、燃えないゴミがかなり出るからな」と廃棄物の処理までやらされました。同業者に仕事を取られるくらいならどんなことでもしろと言われましたからね。

 

・新聞やテレビなどのマスコミは「広告」で飯を食っている。その広告の大半を扱っているのが「電通」だ。その意味で電通は、マスコミの「影の支配者」なのだ。

 だがその電通の現場はどのようなものか。得意先を前にしての「裸踊り」や「引っ越しの手伝い」だ。端的に言えば「電通は『裸踊り』で仕事を取ってくる」――

 こうして電通の営業が取ってきた仕事が、制作に回る。そしてそこで制作されたCMがテレビ電波で放送され、私たちはそれを見る。

 

<■透視=電通が「日本国の若者集団」を「殺しにかかっている」

・現代世界に生きる日本国の若者は(生まれたときから)「電通の営業が『裸踊り』をして取ってきた仕事の結果である『広告』を見せられて育ってきた」のだ。その大半は「愚にもつかない代物」だ。これは「洗脳社会」「洗脳文化」「悲惨な文化」と言うしかない。そういうことであるならば(日本国の若者の意識の中で)「戦う意志が消滅する」のは「当然」だ。

 

・だがそのような若者に対しても、本書の立場からは述べておかなければならない。それは次のことである――。右の記事にあるように(自分らの調査結果を土台に)電通は「老後に不安を抱える若者が増えていることが背景にある」と分析する。だが本書の立場から言うならば、現代世界に生きる日本国の若者に「老後」などは存在しない。なぜならば、私たちふつうの日本国民は「戦争で殺されるから」である。近未来には「1億総皆殺しの時代」が待っている。

 

 

 

『「カエルの楽園」が地獄と化す日』

百田尚樹   石平      飛鳥新社  2016/11/11

 

 

 

『カエルの楽園』という寓話小説

・多くの読者の方もご存知の、『カエルの楽園』という寓話小説、世紀の予言書である。この本が発売されて間もなく、岡山から松江へ向かう特急電車「やくも」のなかで読んだ。主人公のアマガエル、ソクラテスたちは、生まれ育ちの土地をダルマガエルに奪われ、苦難の旅の末に平和で豊かな国であるナパージュに辿り着いた。そこで安息の地を得たかと思いきや、「カエルはカエルと争わない」ことを信念とするナパージュのカエルたちはあまりにも「平和主義的」で無防備であるがゆえに、ナパージュの国は結局、近くの「気持ちの悪い国」に住む、巨大で凶悪なウシガエルによって侵略され、占領されることになる。そして平和を愛するナパージュのカエルたちは、虐殺されながら国を奪われていく。こうしたなか、やっとの思いでナパージュに亡命してきたソクラテスたちは再び、安息の楽園を失うことになるのである。

 

史上もっとも安全な時代に、最大の軍拡に走る異常な国

アジアのルールは中国が決める

(石平)2016年8月16日、中国紙の『環球時報』ネット版「環球網」は、中国国防大学戦略研究所元所長の楊毅教授(少将の階級を持つ現役軍人)の発言を掲載しました。中国に逆らって、米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の国内配備を決めた「韓国を徹底的に懲らしめることによって、今後のための一つのルールを確立することができる。周辺国に分からせよう。中国と付き合うのにはルールがある」と。つまり楊教授は、力づくで周辺国をねじ伏せ、一方的にルールを作って周辺国に強制すべき、という中華帝国の本音を語っているのです。

 

(百田)前の章で「歴史的に見て中国の定義は難しい」と言いました。中華帝国は、中央の専制政治の力が強くなれば外に膨張し、弱体化すれば収縮して辺境地域を失うことの繰り返しですから、「国境」がはっきりしないのです。中華帝国に侵入してきた異民族を同化して、その領土も勝手に版図に加えるという特異な思考パターンがあります満州族が建国した清帝国は、沿海州ハバロフスク満州、モンゴル、新疆ウイグルチベット支配下に置き、史上最大の版図を築きました。すると国共内戦に勝利した毛沢東は、1840年アヘン戦争以降、帝国主義列強に侵略された中国の版図を取り返すといって、満州内モンゴル、新疆ウイグルチベットを軍事力で押さえました(ただし、台湾は奪取に失敗し、沿海州ソ連に遠慮して手を出しませんでした)。

 

(百田)テレビ、新聞はこの本をまったく取り上げません。これだけマスコミに無視されると、通常なら売れないのですが、すでに27万部以上は売れています。その意味では希望はあります。マスコミでは一切報じられないけれども、口コミで「これは危ない。『カエルの楽園』は真実だ」と広まっている。アマゾンでは、発売数カ月経ってもランキング上位です。知り合いの某出版社の編集長は「この本が百万部売れたら日本は変わる」と発行時に話していました。

 

(石平)おそらくマスコミ人たちは、『カエルの楽園』の本当の価値と、ベストセラーになっている意味をわかっているからこそ、触れたくないのでしょう。27万人以上の読者が『カエルの楽園』のメッセージに真実味を感じて、日本をとりまく現実に目覚めた。そういう人たちに向けて、私たちは語りたいですね。

 

日本を守ることに反対するおかしさ

・(百田)中国の脅威を語ろうとしないマスコミの言論空間は改められねばなりません。日本の新聞社やNHK「日中記者交換取極」に従って、①中国を敵視してはならない②米国に追随して「2つの中国」をつくる陰謀を弄しない③両国関係が正常化の方向に発展するのを妨げない、という政治三原則を守り、中国に対して不利な報道を行なわないことを約束し、北京に記者を置くことが許されています。中国の意に反する報道を行なえば、記者の常駐が禁じられるのです。

 

・(石平)日本人はよくスイスを平和国家だというけれど、私も行ったことがありますが、あちこちで兵隊さんと会いますよ。街中の日常風景に、兵士が溶け込んでいます。

(百田)スイスは国民皆兵の国です。男子は全員徴兵の義務があり(女子は任意)、除隊すると60歳まで予備役として登録され、いざ戦争が起きれば軍に直ちに復帰します。21万人の兵力を持っていて、自衛隊とほとんど変わらないんです。

(石平)自衛隊員は22万人、日本とスイスは人口の規模がまったく違いますね。

(百田)日本の人口は1億2千万人ですが、スイスは8百万人くらいです。日本の人口比に当て嵌めれば、スイスは3百万人以上の強大な軍事力を、持っている計算になりますソ連崩壊と冷戦終結で、西ヨーロッパでは戦争の危機はほぼ去ったといわれましたが、スイスは国民投票で徴兵制の義務を改めて決めたほど、国防意識が高いわけです。2百年間も戦争をしていない国が、これほど高い国防意識を持っているのです。いや、そこまでの国防意識があるから2百年も戦争をしていないとも言えます。

 現在でも、「侵略を受けたら徹底抗戦する」と宣言し、もし敗れるようなことがあれば、国内の発電所、ダム、橋梁などあらゆる施設を破壊し、国土を焦土化して侵略国に何も与えない。一家に1冊『民間防衛』という本が配られ、市民がどのようにゲリラ戦を行うかが書かれています。民間人でも予備役にも小銃が支給され、90年代までは家に実弾まであった。いまは公的機関の倉庫に備蓄されていて、いざという時に支給されるそうですが、有事に際して国民が立ち上がって戦う覚悟を決めている国だということがわかります。

(石平)だからといって、日本人はスイスを「戦争のできる悪い国」だとは思っていません。日本より立派なでまともな国だと思っている。なぜ日本がスイスと同じように自国を防衛しようとすると、「戦争ができる悪い国」になるのか?おかしいですね。

 

狙い目は日本のマスコミ論調

・(石平)日本を守ろうとすれば戦争になる。戦争は悪でやってはいけないから、守ること自体を放棄すべきだ、という単純な議論を、マスコミはいまだに語り続けています。

(百田)困ったことに、戦後70年間で日本人は平和に慣れきってしまって、世界のなかでもっとも国防意識の低い国になってしまいました。同時期のヨーロッパも同じ冷戦の時代を過ごしていましたが、それでも軍隊はしっかり維持していた。中立国のスイスとオーストリア国民投票で徴兵制廃止を否決したし、ロシアと国境を接するフィンランドも徴兵制を維持しています。一度は徴兵制を廃止したウクライナでは、ロシアのクリミア侵攻後に徴兵制を復活させました。

 NATO加盟国でも徴兵制度を持っている国は多い。冷戦終結後に、フランス、ドイツ、スウェーデンが徴兵制を廃止しましたが、現在でもNATO加盟国でエストニア、トルコ、ギリシャデンマークノルウェーの5ヵ国が徴兵制を採用しています。さらに、2018年からスウェーデンが徴兵制を復活させる方針を固めたと報道されています。冷戦が終わって、現実にはヨーロッパで戦争が起きる確率はすごく低くなったのですが、国防という国の基本は絶対に忘れないのです。

 

人が住めない環境、暮らせない社会

・(石平)第1に環境破壊、第2に極端な格差と経済崩壊による2億6千万人の流民の処遇、第3に一人っ子政策の歪みによる3400万人の「男性余剰」の問題を解決するには、「中国人の生存空間を国外に求める」しかないのです。これは彼らにとって、きわめて論理的な結論です。

 中国の環境問題はPM2.5で有名な大気汚染だけでなく、砂漠化や水質汚染、水不足で彼らの生存空間が破壊され、狭められているために、国外に出なければ生きていけないし、領土を新たに獲得しなければならない。

 

生存空間とは

・(石平)生存空間とは、14億人の中国人民が暮らしていく環境全体を指す用語です。民族が生存していく基本要素として水と空気と土地が必要ですが、中国ではいずれも汚染が進んで、ほとんど回復不可能な状態です。その結果、中国大陸といういままでの生存空間は、人が生存できないようになってきたのです

 まず水問題から見ていきますと、中国全土で水不足が深刻化しています。2007年の政府発表によると、全国660都市のうち511都市が水不足に陥っており、なかでも110都市はとくに深刻な状況だと指摘されています。中国の水資源は人口に必要な量の3割しかなく、今後の枯渇をどう乗り切るかは国民全体のテーマと位置づけられています。

 にもかかわらず、水質汚染が深刻です。全国の地下水源の80%と地下水の45%がすでに汚染されており、都市部に限れば地下水源の97%、地上の水源の90%がコントロール不可能な汚染を受けてしまっているのです。すでに2億人以上が安全でない飲み水を使っています。

 さらに淡水系の5割、海域でも渤海の79%、東シナ海の78%、黄海の45%、南シナ海も28%が漁業に適さない水質になってしまったと報道されています。

 

水質汚染と並んで、大気汚染もひどい状態です。すでに2006年、中国の全都市の3分の2近くが、大気汚染問題を抱えていることが国家環境保護局の報告で明らかになりましたが、とりわけ石炭の産地で石炭火力発電に頼っている北部の山西省や北東部の遼寧省北京市天津市、河北省の39都市の汚染度がひどく、マスクが必要どころか、「もはや人間が暮らすことのできない程度にまで汚染が広がっている」と中国人自身が指摘するほど悪化しています。

 その結果として、たとえば2013年の中国で、大気汚染を原因とする死者は91万6千人に及んだと、精華大学と米の研究チームが発表しました。このままでは2030年に年間最大130万人が犠牲になると警鐘を鳴らしています。中国では肺ガン患者が毎年27%ずつ増えているといわれ、ガンによる死因の第1位です。たとえば、2012年に新しく肺がんになった人は世界で182万人でしたが、そのうち3割以上の65万人を中国人が占めた、とWHOが報告しています。

 

・「水土流出」が進むと土壌がますます痩せてしまい、植物や動物などの命を育むことができなくなってしまいます。その先に待っているのは土地の荒廃、荒れ地化です。現在、中国全土で水土流出が進んでいる土地の面積は356万平方キロメートルで、国土の何と38%を占めています。

 それに追い打ちをかけているのが、国土の砂漠化です。中国国家林業局の発表によると、2014年時点で荒れ地化したのは261万平方キロメートルで、国土面積の27%、4分の1以上ですが、砂漠化した土地は175平方キロメートルに達し(日本の総面積の4.6倍)、国土面積の18%、6分の1以上が砂漠化したというのです。現在も進む国土の荒廃で、4億人以上の生活に影響が出ているといわれます。

 

・すると、総人口の98%が暮らしているのはそれ以外の3分の2の土地ですが、その半分はまた「水土流出で荒漠化が進んでいる最中」の土地です。結局、このまま荒廃が進めば、14億人の中国人民にとっての「生息に適する良質の土地」、つまり国民に必要な「生存空間」は全国土の3割未満になってしまいます。しかも、その3割に属するはずの数多くの都市が水不足に苦しみ、地下水と地上水の大半が汚染されていて、至るところに汚れた大気に覆われているのが実情です。

(百田)聞いているだけで、背筋が寒くなってきます。まるで、ディストピア小説のあらすじを聞かされているようです。いや、ホラーSF小説の設定です。

(石平)これが、中国という巨大な公害国家が置かれている厳しい現実です。当然のことながら、今後、こうした状況が大きく改善される見通しはまったく立ちません。むしろ環境破壊はますます深刻化していく、と専門家は警告しています。なぜなら、中国人民はさらに豊かになろうと本格的な大量生産、大量消費の産業社会の建設に向かって一路ひた走っているからです。

 では、わずかに残った3分の1弱の「良質な国土」もどんどん汚染され、環境が破壊されていったら、14億人の民は一体どこで生存していけばよいのでしょうか。当然、中国人民は自国の外に自らの生存空間を確保していかねばなりません。これこそ、21世紀の世界に突き付けられた最大の難題のひとつなのです。

(百田)中国の政府高官は、子弟を世界中に移住させていますね。

(石平)もちろん、数千万円以上をかけて子供に海外で高等教育を受けさせ、永住権を取得できる高官たちの家族にとっては、生存空間の問題は解決しています。しかし、そんな経済力のある階層は人口の最上位2%にすぎません。庶民たちは困っています。

 

<最下層の流動人口、「男余り」、無戸籍者>

・(石平)2013年に政府が正式に発表した数字ですが、安定した生活基盤を持たず、職場と住居を転々としている流動人口が2億6千万人、そのうちの8割が農村戸籍を持つ、いわゆる農民工で、平均年齢は28歳とされています。この「暴動者予備軍」とされる、農村から都市部に流れてきた出稼ぎ労働者をどうするか。彼らははっきり言って、奴隷的な存在です。今後、そういう人々の生活をどう安定させるか、政権の死活にかかわる問題です。

 中国の経済成長は、もっとも安い賃金で働く彼らの犠牲のうえに成り立ってきました。農民から土地を取り上げ、開発した土地に投資してインフラや工場、住宅を建設する。土地を失った農民たちが農民工として安価な労働力となり、主に輸出向けの加工産業などで低賃金労働に従事し、リーマンショック以降は公共投資や不動産バブルに吸収されて、建設現場で働いてきました。しかし不動産バブルの崩壊と低成長によって、彼らは切り捨てられます。土地がありませんから、農村に帰ることもできません。中国にはまだ7億人もの農民がいるのです。2億6千万人もの怒れる不満層をどう養うのか、中国社会の抱える時限爆弾です

 

・(石平)1980年代生まれで、大学を卒業しているのに収入の低い若者です。仕事が見つからない、あるいは非正規労働で賃金が安いため、1人で住む部屋が借りられず、何人か集まって劣悪な環境で共同生活を送る若者が、北京だけでも10万人、上海その他にも多数いて、全国で100万人を超えると推計されています。大卒でも3割しか正規の職は得られません。中国はすでに、究極の格差社会なのです。

 

・(石平)国内問題を解決できないから、戦争も辞さずといって中国人の生存空間を拡張しなければならない。習近平政権が領土で強硬姿勢を崩さない背景に、2億人以上の怒れる下層民の存在があるのです。

 もうひとつ、中国の深刻な人口問題に、結婚適齢期の男女比のバランスが崩れていることがあります。長年の一人っ子政策に男尊女卑が加わり、後継ぎに男の子を求める家庭が多く、妊娠中の子が女の子だとわかると中絶したりで、出生するする男女比が120対100と歪になった結果、すでに3400万人もの「男余り」状態です。

 確実に結婚相手がいない若い男性が、社会への不満を蓄積する。考えてみれば、これも深刻な社会問題です。しかも、3400万人の適齢期の女性を短期間で確保するのは不可能ですから、国内で解決することは物理的にできません。そうなると、余った男たちを外国に送り込むしかない。領土を増やして流動人口を送り込むメリットは、ここにもあります。

 

<『カエルの楽園』>

・この対談では拙著『カエルの楽園』が素材として使われています。『カエルの楽園』は、「カエルを信じろ」「カエルと争うな」「争うための力を持つな」という不思議な「三戒」を守って平和に暮らしているツチガエルの国が、凶暴なウシガエルたちに滅亡させられるという寓話です。

 石平さんは『カエルの楽園』を非常に深く読みといておられました。それは石平さんご自身がおっしゃっていたように、彼の半生が、作中のソクラテスという名前のアマガエルの境遇と似ていたせいかもしれません。石平さんと話していると、作者の私よりも作品に深く通じているのではないかと思うことがしばしばありました。

 日本にもしっかりした研究に基づいて「中国の脅威」を語る人は数多くおられます。しかし石平さんの語る言葉は巷にいる中国ウォッチャーとは一線を画します。なぜなら、石平さんは中国で生まれ育ち、中華人民共和国の教育を受け(中国の最高学府である北京大学卒です)、中国の歴史についても、中国人の気質についても非常に深く知っておられるからです。中国という国を知り尽くした石平さんだからこそ、語る言葉にはリアリティがあり、その洞窟と分析は限りなく深いものがありました(現在、石平さんは日本に帰化されています)。

 

 

 

『これから始まる中国の本当の悪夢』

習近平に迫る経済壊滅、政権分裂、国内大乱

黄文雄 × 石平  徳間書店    2015/9/30

 

 

 

「パンツ経済」しか構築できなかった中国

・(黄)これまでの中国経済の構造的な歪みとしては、過剰生産、それと同時に国内の過少消費ですね。過剰投資によって、不動産や株がバブル化してしまいました。

 加えて、業績を上げるために無理な過剰生産を行ってきた。

 

 ・しかも、生産しても質がよくないので、売れない。中国人ですら、できることなら中国製品は買いたくないと思っています。日本での「爆買い」が象徴的ですが、中国人はブランド品のみならず、紙おむつさえ奪い合うように買っていくわけです。しかも、「爆買い」は転売目的です。

 

 ・商品の品質については、現在の中国では解決不可能です。基礎技術がないから、パクるしかない。地道な基礎研究を重ねるということはせずに、すべて海外の企業からパクったり、盗んだりしてきたというのが、改革開放のいわば「成果」であったわけですから、いまから基礎研究を始めて、製品開発力を磨くなどということができるはずがない。

 

 ・(石)1980年代、中国の主要輸出品は安物の靴下やパンツでしたが、現在でもわれわれは中国製のパンツを履いています。中国の輸出が数十年間でパンツから自動車に変わったかといえば、変わっていないのです。

 結局、中国製品というのは、安い労働力が唯一の武器だったわけで、農村には労働力が余っているから、いくらでもかき集めて安い賃金で働かせてパンツをつくれば、中国企業は潤ったのです。いわば、「パンツ経済」ですね。

 

 ・このような労働集約型の産業だから、技術開発をする必要がなかった。逆に言えば、いっこうに「パンツ経済」から抜け出そうとしなかったのです。

 しかし、労働者に安い賃金しか与えず、儲けは経営者に集中するという貧富の格差が拡大することで、長期的には国内消費が落ち込みます。結果的に、中国自身が製品をつくりながらも、国内の慢性的な内需不足に悩まされるようになりました。

 2000年くらいまで、中国のGDPにおいて個人消費が占める割合は46%ありましたが、ここ数年は35%前後にまで落ち込んでいます(日本は60%程度)。経済が成長するに従って、中国経済のなかで国民が消費する割合はむしろ減っているのです。 

 

・それでどうやって経済を成長させてきたかといえば、一つが輸出ですが、輸出を伸ばすためにはさらに賃金を安く抑える必要がある。それがまた、国内の消費不足を招くことになりました。

 もう一つは、黄さんが言ったように、過剰投資です。国民が消費しないなら、政府が投資すればいいということで、公共投資によって道路や橋をつくって、需要を創出したわけです。それに伴い、セメントや鉄鋼など、いろいろな需要が増えます。

 こうして中国は、全土で“投資中毒”になってしまった。中央政府も地方政府も、公共投資土地開発をバンバン行った。その資金を調達するためにお札を刷り、さらに投資を増やして経済成長を加速させていったのです。

 そんな政策を長くやってきたことで、過剰生産が深刻化してしまった。人が住まないゴーストタウンが大量にできあがり、生産設備も全部が余るようになったのです。

 

 輸出では13億超の国民を養えない

・(黄)内需も投資も限界となると、中国にとっては外需頼みになるしかない。だから、AIIBにしても、中国国内の過剰生産を海外でのインフラ建設に向ける狙いがあるわけですね。

 とはいえ、通商国家の弱みは、相手国に買う力がなくなると経済危機に陥るということです。

 

 中国政府の経済対策は「やるやる詐欺

・(石)中国共産党としては、成長が止まってしまえば政権を維持できないことがわかっている。雇用を確保できなければ、全国で大暴動が起きて政権が吹っ飛ぶ。

 だから、「経済改革をやる」とは宣言しても、本当にやれば中国経済はさらに悪化するから、結局は旧来のやり方を踏襲するわけです。いわば、“やるやる詐欺”みたいなものです。

 とはいえ、経済改革をやるにしてもやらないにしても、経済崩壊が早まるか、少しは先延ばしになるくらいで、どっちみちもう持たないでしょう。

 ・(黄)結局、これまでもよく言われてきたように、8%以上の経済成長率がないと、完全雇用は不可能なのです。

 いま、中国の毎年の大卒者は約700万人ですが、その3分の1が就職できないと言われています。

 

 ・こうした大卒者を含めて、年間約1500万人の新規雇用を吸収しないと社会が安定しないわけですが、中国政府は先の全人代で経済成長率の目標を7%前後でいいということで決定しています。

 

 次はシャドーバンキングの大爆発が起こる

・(黄)土地バブルが弾けたことで、もともと高利のシャドーバンキングへの債務が返済不能となり、地方政府の破綻と、不良債権が拡大する可能性が高まったので、地方政府の救済策として、低利の地方債を発行して資金調達することを認めたわけです。

 とはいえ、問題は何も解決していません。単に借金のつけ替えをしただけで、債務は解消されていないし、返済の落ち込みを防ぐために土地や不動産に流れ込む可能性も高い。そうして再び、不良債権の火種が拡大していく危険性があるでしょう。

 地方政府のみならず、中央政府も巨額の債務を抱えています。

 

 ・(黄)中国のシャドーバンキングの規模について、イギリスの銀行大手バークレイズは、2014年時点で38兆8000億元(約621兆円)と推計していますが、誰も正確なことはわからない状態で、一種のブラックボックス化しています。正確な数字がつかめないので、いざ破綻したら、どこまで被害が広がるかまったくわからない。

 

 闇金融化した中国経済に打つ手なし

・(石)しかし、こういうめちゃくちゃな状況は、もう最終局面だと思いますよ。株価の暴落は相変わらず繰り返されていますし、実体経済はさらに落ち込むでしょう。不動産市場の規模はどう考えても半減するだろうし、輸出も回復しない。

これまでの政府主導の投機・賭博経済、パンツ経済などなど、すべて終わらざるをえない。

 

 世界で次々と失敗している中国の対外投資

チャイナショックの世界的影響は?

・(石)中国は経済的にも政治的にも外交的にも、世界から信頼されていないのは確実ですね。

 問題なのは、中国経済の崩壊が進むことで世界経済にどれほど影響を与えるかということです。

 私はおそらく限定的な影響しかないのではないかと思っています。もちろん、株式市場の大暴落や景気減速は、一時的にいろいろな影響を与えるでしょう。

 

 ・しかし、日本全体にとっては、それほど大した傷にはならない。というのも、中国からの生産設備の移転は進んでいるし、対中輸出も現在ではそれほど大きくないからです。

 日本の対中投資を見ると、2014年で4割減、2015年も1~5月で9.4%減と、毎年減りつづけています。

 一方、韓国などは悲惨な状況になるでしょう。この数年、完全に中国依存型の経済になっていますから。

 

 ・(黄)台湾の元大宝華総合経済研究所によると、対中輸出への依存度(対GDP比)が世界でもっとも高いのはマレーシアで19.18%。次に韓国が14%、シンガポールが10.73%と続くそうです。これに対して、日本は2.48%しかない。

 

 ・(石)ヨーロッパでは、おそらくドイツがもっとも影響を受けるでしょうね。ドイツは盛んに中国に投資していますし、メルケル首相は毎年、中国を訪問しています。日本には一度しか来ていませんが。

 

 <賄賂をもらえない者は尊敬されない中国

・(黄)だいたい、中国の場合は、賄賂をもらえないのは下っ端なんですよ。賄賂をもらえる人こそ、地位が高いと考えられている。

 だから、賄賂がもらえない人は、誰も相手にしてくれないんです。

 

 今後問題になるのは日本国内の反日勢力

・(黄)対中国について常に意識せざるをえない台湾では、こうした反中国の動きが高校生にまで広がっているのです。それに対して、日本では、安保法制に賛成する学生たちの動きというのは、ほとんどないですね。どうも台湾とは方向性が逆なんです。

 

 日本の外交は、まだまだ中国に対して甘すぎます

・また、彼ら(中国人留学生)のほとんどが中国共産党幹部や軍部の子弟です。だから、もともと反日ですし、中国に帰れば反日的な言動を行うようになる。日本に留学した中国人が、人権活動家となって習近平政権を批判したり、反体制派になったりしたということは、まず聞いたことがありません。

 だから、日本政府は、反日中国人を育てるために多額の国費を投じているわけです。こういうところから修正していく必要がある。

 日本では反日日本人が、こうした反日中国人、反日韓国人と呼応して、盛んに日本の非を鳴らしている。むしろ問題は中国側というよりも、日本国内のほうにあると思うのです。

 

 ・(黄)また、日本国内の韓国人や左翼勢力とも連携して、歴史認識問題だけでなく、安全保障、原発、沖縄問題など、さまざまな点で日本を弱体化させるような方向への世論形成を目論んでいる。そういう点に、日本人はもっと警戒すべきです。

 これまでの中国のやり方を見ても、中国は情報戦で相手を封じこめる事が多かった。口では「絶対不可分の領土」だとか。「沖縄解放、琉球回収」などと過激なことを言いますが、実際に直接的な行動に出ることはあまりない。

 台湾に対しても、この70年近く、「血で台湾を洗う」などと激しい言葉で脅かしてきましたが、威嚇はあっても実際の武力行使はしてこなかった。やはり、それだけの実力がなかったということでしょう。

 そのかわり、国際的なプロパガンダを盛んに仕掛けてきました。ロビー活動などで相手を取り込もうとする。

 

 ・もちろん、日本の保守派にも反米の人はいます。その理由もわかるのですが、現実問題として、やはり中国の脅威は見過ごせない。いま、アメリカと袂を分かつことに、何のメリットもありません。

 それに、日本がアメリカと離れるならば、独自防衛を覚悟しなくてはなりません。核武装か、核以上の最終兵器の開発をすることも含めて、それだけの覚悟があるのか。対米従属である必要はありませんが、国益のためにアメリカをうまく利用するというしたたかさが必要ですね。

 

 ・(石)加えて、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の行方も重要です。日本でもアメリカでも、TPPについては賛成から反対までさまざまな意見があり、また、抱えている問題点も多いのは確かです。

 しかし、安保法制で日米同盟が強化されると同時に、TPPが成立することにより日米中心の経済圏ができあがれば、日米の相互依存度はますます高まります。

 

 ・(黄)TPPについては、とにかく短期的に考えるのではなくて、100年単位くらいの長期で考えるべきでしょう。しかも、石平さんのおっしゃるように、TPPは単に経済の問題だけではありません。

 

 中国は本当に戦争をするか

・(黄)加えて、中国が今後、本当に戦争に持ち込む可能性があるかどうか、という点についても、日本は検証する必要があるでしょうね。

 ジョージ・ソロスは「中国の経済が崩壊して、第3次世界大戦が起こる」というようなことを言っています。はたして習近平は戦争をしようと思っているのか。あるいは、戦争をしたがる軍部が暴走する可能性もある。その点はどうですか。

 

 ・(石)習近平はいつでも戦争をやりたいというわけではありません。ただ、自分たちの戦略を達成するために、武力と戦争を、相手を恫喝する手段であると考えているのは確実です。そこが問題です。

 

 ・そういう意味では、かなり危険な部分がありますね。

 中国の軍人については、いま戦争したいとは思えない。彼らにすれば、戦争で勝っても負けても賄賂を採れない。戦争などどうでもよくて、お金さえ儲かればいいと思っている。ただし、自分たちのところに膨大な予算が入ってくるために、あるいは体制内の自分たちの立場を強化するために、わざと好戦的な姿勢を示すことがあります。

 

 

 

チャイナ・リスク爆発前夜』

黄文雄   海竜社   2011/8/16

 

 

 

中国のカタストロフィーがやってくる日

・中国は国が大きく、人口も多い。だからこそ政治経済的にも社会文化的にも矛盾がうずまく。20世紀に入ってから、ロシア帝国オスマン・トルコ帝国、すべての植民地帝国、そして、ソ連社会主義帝国が崩壊したのはそのためである。

 

 ・人民共和国を見るかぎり、大躍進失敗後に数千万人が餓死、文革のように党、政府まで崩壊しても国家が生き残ったのは、民国や清帝国時代もそうだった。国家の破局体制崩壊はきわめて多元的な原因によって起こる。戦乱や天災、疫病などの複合的中国型カタストロフィーが連鎖的に襲来するのが、よく見られる中国崩壊の歴史法則であった。

  人民共和国が辿る歴史の宿命は崩壊である。その日は、複合的中国型カタストロフィーが襲来し、党人が民衆を管理する力が限界に達する日であろう。

 

 アメリカに対する中国の戦争恫喝

 ・台湾に対する核や中性子爆弾や日本に対する核や水爆の恫喝発言は別として、核大国のアメリカに対しても核恫喝が今でも続いている。その中でも、軍長老の超震と朱成虎将軍の対米核恫喝が代表的だ。超将軍によれば、中国は7回もアメリカを消滅できる核を持っている。その半分ぐらい使用すればアメリカも目が覚める、と核による「訓戒」と「懲罰」の用意があると警告したのだ。

 

 ・「アメリカが台湾との紛争に軍事介入するなら、中国はアメリカに対する核攻撃の用意がある」。

 

 ・「アメリカは数百の都市が破壊されることを覚悟するべきだ」

 

 ・「アメリカに対しては我が国が備蓄する核の10分の1で充分だ。台湾、日本、インド、東南アジアは人工密集の地域であり、人口削減のための核攻撃の主要目的となる。

 ・「我々の行く先を邪魔するアメリカを殲滅することが我が国の最大目標である」

 

 「我々は非常手段を使ってアメリカを殲滅し占領する。準備を着々と実行に移していく。もう一つの中国を建設することで中華民族は安泰だ。このアメリカを倒すには飛躍的に発展したバイオ技術を使って、化学兵器よりも生物兵器による大規模殺人が効果的だ」(元国防相 遅浩田)

 

 ・「改革開放の勝ち組として億万長者はほとんどが、「権貴」といわれる「特権貴族」で、ことに代表的なのは「太子党」といわれる党高級幹部の子女、家族、親戚である。ことに億万長者の8割以上が軍の高級幹部ともいわれる。ではなぜ中国人民解放軍の大幹部は、権貴資本主義中国の主役になったのだろうか。

 

 ・「解放軍と民間企業との決闘、乱闘が続出している

 

 

 

『日本人は中国人・韓国人と根本的に違う』

 黄文雄(台湾)が呉善花(韓国)、石平(中国)に直撃

 黄文雄/呉善花/石平   徳間書店   2013/4/11

 

 

 

 マスコミ

 <日・中・台のマスコミの特徴

・(黄)台湾では日本とは違って、「マスコミは人を騙すもの」というのが、私も含めた台湾人一般の印象なんですね。中国語でいえば「都是騙人的」、つまり人をあざむき、人をたぶらかすもの、これがマスコミなんだというのが多くの人たちの感じ方だといっていいと思います。そしてもう一つ、マスコミは政府を代弁するもの、かつての「国民党政府の殺し屋」と同じだという印象が強くあります。

  

台湾のマスコミは、政府を礼賛するような言論活動をやる。現政府を礼賛するのが、ジャーナリストの心得だと考えているところがある。ですから、読む者の側からすれば、そもそもマスコミというのは大衆の敵だという見方になります。

 

 ・私の見るところでは、本格的にマスコミを作れない、マスコミのパワーを利用できないというのが、台湾人の大きな弱点なんですね。

 

 ・(呉)韓国も日本と同じに同質性の強い国ですが、言論事情はまったく異なります。韓国の場合、対日とか対米とか、対外的な問題についての言論では、きわめて挙国一致が起きやすいんです。反対意見をいおうものなら、愛国心がない、売国奴だとすら非難されるので、多くの人が口を閉ざして自分の意見を語ろうとしないという事情があります。韓国の民族主義は、身内正義の民族主義です。ですから外国の見方をする者は、不正義となってしまう。そういう身勝手な愛国主義民族主義が、実際的に自由な言論を抑圧しているんです。

 

 ・(石)台湾や韓国とは違って、中国の言論は自由以前の問題なんですね。そもそも中国には正しい意味でのマスコミがないんです。ようするに、マスとしての大衆のコミュニケーション手段というものがないんです。

 

 ・中国のマスコミは政府の宣伝道具にすぎません。中国には新聞もテレビもラジオもありますが、すべてが中国共産党の宣伝道具なんですね。ですから中国の報道機関は、正しい意味でマスコミと呼ぶわけにはいきません。中国は自ら「宣伝戦線」といっています。新聞もテレビもラジオも、中国共産党の公式見解を発表する場で、けっしてマスコミではありません。

  

・戦線というのは、中国共産党にとっての戦いの第一線を意味しますから、彼らにはテレビも新聞もラジオも、中国共産党のために働くことがその役割なんです。「宣伝戦線」というのは、別に誰かが共産党を攻撃していっているんじゃなくて、自分たちでいっていることです。つまり、中国の新聞やテレビをすべて統括する一番のボスが共産党の宣伝部という機関なのだと、自らいっているわけです。

 

 <台湾の政治記事で本当のことは1パーセントしかない>

・(黄)それで、今の台湾のマスメディアの80パーセントが中国資本なんですよ、そのため、マスメディアでの言論は中国寄りでなければやれなくなってしまう。台湾の言論界が中国を美化するのはそのためです。台湾のマスメディアでは朝から晩まで、中国の将来性がどれほど明るいかという報道をやっています。暗いなんて話はまるで出てきません。

  ですから、台湾のメディアを実質的に支配しているのは、中国の宣伝部なんです。

 

 中・韓・台マスコミのいうことはどこまで信じられるか

・(石)黄さんもいわれたように、中国で歴史的に作り上げられた世界観がいったん身に付いたら、そこからなかなか脱することができません。中国人がよくいいますよ、「自分は政府のいうことを信じない、『人民日報』を信じない」と。でもね、案外、信じてるんですよ。

 

 お笑い番組が氾濫する日本のテレビを批判する

・(黄)日本のテレビに対していいたいことはたくさんありますが、一つには、ほとんどがお笑い番組なのはどういうわけだということです。適度な笑いは健康にいいわけですが、これだけお笑い番組が多いというのは、どう見ても異常ですよ。こんなことばっかりやっていていいのかと、私はとても心配してるんです。

 

 ・(呉)たしかに最近はお笑い番組だらけで、どこもかしこも似たようなものばかりで個性がないですね。いくらかは見ますが、大部分は

見ないですよ。いいのもあるのかもしれませんが、探してまで見る気にはなりませんね。

 

 金銭をもらって記事を書く中国・韓国のマスコミ

・(石)それで、次には、党から与えられた記事を書ける権限を自分の利権にするんです。おたくの企業を取り上げてあげますよとなれば、企業にはいい広告になりますから喜んでお金を払います。『人民日報』の記者だろうが、中央テレビ局の報道マンだろうが、そうやってお金を稼いでいる者は多いんですよ。『人民日報』や中央テレビ局は、中国共産党の宣伝の道具として、全国的な独占権を与えられた典型的なジャーナリズムです。それだけに、記事や報道の影響力には多大なものがあります。

 

 

 

『中国 日本包囲網

黄文雄  2007/1/16   海竜社

 

 

 

戦争がなければ国として成り立たない中国

中国は戦争をしていなければ、国として存在し続けることができない国である。戦争があってこそ、この国が保てるのである。なぜなら、中国の国家原理は侵略と戦争だからだ。それは歴史が如実に証明している。

 

 中華人民共和国が樹立されてから今日に至るまで対外戦争を繰り返しながら現在の国家体制を維持してきた。たとえば、朝鮮戦争から中印戦争、中ソ戦争、中越戦争など、中国は17回以上にわたる対外挑発をすることで、国家としての体裁を保ってきたのである。

 

 中国の国家原理は徳ではなく武力

中国の平和的台頭は不可能である

北朝鮮の核は中国にとっても切り札となる>

憲法改正核武装は賢明な道

<アジアの安定のためにも強い日本が必要>

憲法改正核武装は、本来ならば、日本が選ぶべき賢明な道であるが、実際にそれが実現されるまでには時間がかかり、まず何よりも、日本の国内外をめぐる国際環境の変化がなければ、実現も難しいだろう。しかし、日米同盟以上に選ぶべき道は、憲法改正核武装であると私は、考える。

 

 軍事力、武力に頼るのではなく、道徳に頼ることは、まったく意味不明の愚かな外交主張と見なければならない

・現実に中国がどんどん軍事拡張し、周辺諸国も脅威を感じて軍事的対峙が続いている、冷戦が続いている。

 

 核拡散の阻止は不可能

核アレルギー、戦争アレルギーの日本人の猛反対

・世界で唯一の核被爆国だから、日本は核を作ってはいけない、持ってはいけない。これがこれまで一般に言われてきたことだ。だが実際は逆で、世界の常識から考えれば、世界唯一の被爆国だからこそ、再度の核攻撃から守るためには、核を持つ権利がある。核兵器保有の資格がある。

 

 唯一の被爆国で核の恐ろしさを身をもって知っているからこそ、核を持つべき時が来たら核を持つべきなのである。

 日本包囲網に迫られ追いつめられてきた日本は何を選択するべきかと言えば、ベストはもちろん憲法改正核武装だ。目下はそれが無理だから、次善の策として日米同盟の強化が必須なのである

 

 

 

『絶望の大国、中国の真実』

日本人は中国人のことを何も分かっていない!

宮崎正弘  +  石平   ワック   2009/5/8

 

 

 

汚職専門集団化した共産党の細胞>

軍の暴走という悪夢

宮崎;結局、中国の政治と言うのは党の細胞があるだけであって、行政がないからなんです。あるのは党と軍なんです。

 石;みんな中国政府、中国政府という。あれがほんとに政府であるとは思えない。政府は全部党の出張機関みたいな有様です。

 

 宮崎;このように行政っていうのは飾りなんですね。国務院っていうのは、中国における政府で、国務院総理というのは日本でいう総理大臣ですが、温家宝よりも偉い人が山盛りいて、じゃあ、温家宝は中央の権力の中でいったい何番目なんだと、こういうことですよね。行政より党細胞が優先するという話です。

 

 石;大学でもそうです。大学でいちばん偉いのは学長先生ですが、いちばん偉いのは共産党の細胞。

 石;要するに党がすべての利権を手にいれている。すべて利権を手に入れてみんないっせいに汚職する。しかも党の幹部自体も汚職で生まれたポストですから。完全にすべての利権を掌握してすべての利権でカネを手に入れて、それを自分たちのフトコロに入れる。もう汚職専門集団そのものですよ。

 

 ビル・ゲイツが中国人にとってのヒーロー

ネットは革命前夜の雰囲気>

石;さっき、大学生の就職難の話が出ましたけれど、北京の公共浴場、つまりお風呂屋さんが三助を募集したんです。そしたらなんと五千人の大学生が応募してきた。こうした事態にまで発展してきたらそれこそほんとに暴動が起こってきます。もう絶体絶命の状況です。

 石;そのために唯一の道はみんな公務員を目指す。公務員試験は今年でいうと百万人の卒業生が受ける。競争率は73倍。女の子は大学卒業前に結婚しちゃう。

 宮崎;日本人が誤解していた中国という国家像が、じつは実体は党細胞が中心で行政っていうのは飾りにすぎなかったということなんですが、国はいまだに共産主義を謳っている。実体を動かしている共産党は、共産主義をもはやまったく信じていなくて資本主義のカタマリでしょ。人民はどうかといったら、人民は自己中心主義で、もうカネ以外にあんまり興味がない。教養主義もすたれた。

 

 

 

『ならずものの国家 中国の本性』   蹂躙されたチベット

ペマ・ギャルポ    石平    ワック  2008/8

 

 

 

参議院の三割は元官僚がいい

私は、日本を良くするため、参議院は議員数を半減し、教育、防衛、外交に関してはもっと責任と権限を与え、外務大臣文部科学大臣参議院から任命し、その任期は総理大臣と同じにするべきだと思う。

 

 ・世界の他の国々、例えば、日本の13倍以上の人口を有する中国において通常の常識に基づく健全な民主制度は存在しないが、一応、日本の国会に相当するのは全国人民代表大会の常務委員会であり、そのメンバーは現段階で197人である。また日本の7倍以上の人々を有する世界最大の民主主義国家インドでは、上院が241人、下院が543人で日本とほぼ同数である。これから見ても、日本の国会議員の数がいかに多いかということがわかる。

 

 また参議院良識の府として衆議院とチェックアンドバランスを考慮し、経験豊かな人であることが必要である。そのため立候補の資格年齢を5歳引き上げる。

 

 ・私個人的には3割ぐらいは元官僚が占めても良いのではないかと思う。

 供託金制度や選挙制度に関しても見直す必要がある。面白半分で徒に立候補するのは困るが、今の制度では資金の無い人は組合や宗教団体に身売りしなければ、どんな素晴らしい理想を持ち、経験を積み清らかな動機を持っていても国民にその考えすら、十分に伝えられない仕組みになっている。

 

 

 

『自壊する中国 反撃する日本』

日米中激突時代始まる!

石平 古森義久    ビジネス社   2014/8/1

 

 

 

 議会内で機能する「中国に関する議会・政府委員会」

・(古森)ただし、オバマ政権の姿勢とは別に、アメリカの立法府である議会にはさまざまな形で中国の言動をウォッチし、勧告をしていく制度的なメカニズムができ上がっている。

 たとえばアメリカ議会では、常に各種の関連委員会によって中国の動きや中国関連問題を検討する公聴会が開かれ、提言がなされている。激しい非難も表明される。なかでも代表的なのは、「中国に関する議会・政府委員会」の存在だ。議会を舞台としながら、行政、立法と二つの府が合同で中国問題を論じる組織である。政府高官とともに、議会側からは議員の他、中国に詳しい専門家たちが参加し、中国社会における人権にかかわる案件をテ―マに、いわば中国の闇の部分、恥部にまで深々と切り込んでいく。

 

・もう一つ、米中の経済関係がアメリカの国家安全保障に与える影響について調査、討論し、議会や政府に対し政策上の勧告をする超党派機関の「米中経済安保調査委員会」という組織がある。この組織もきわめて活発であり、中国の軍拡がアメリカにどんな意味を持つかなどという大きな課題にも積極的に取り組んでいる。

 

 パンダ・ハガーとドラゴン・スレイヤー

・東西冷戦時代には、アメリカの学界でももっとも優秀とされるベスト&ブライテストの人材は、みなソ連の軍事力の研究に集中していた。そうした優れた人材が、いまでは中国軍事研究にシフトしてきた。中国の軍事動向の把握は、いまのアメリカにとって非常に重要となったのだ。

 

 ・ところがここ数年、中国の軍拡はどう見ても台湾有事への対応という範囲を超えているという状況となってきた。だから、中国の軍拡をあくまで台湾有事限定と見なす研究者たちの主張は楽観論とされ、その種の人たちは中国に甘すぎるとして「パンダ・ハガー」と呼ばれるようになった。パンダを抱擁する人、という意味だ。

 その逆に中国の軍事脅威を大げさに語る人たちも、もちろん存在する。

「いや、中国は確実にわれわれを攻めてくるぞ。気をつけろ」

こんな中国脅威論を強調する人たちは、パンダ・ハガーとは逆に「ドラゴン・スレイヤー」と、冗談半分に呼ばれるようになった。ドラゴン(龍)を殺す人という意味だ。

 最近のワシントンの中国軍事動向の研究者たちの間では、パンダ・ハガーはもうすっかり後退を強いられ、ドラゴン・スレイヤーが圧倒的な主流となってしまった。

 

 GDPの35%しかない国内消費

(石平)あまりにも一部の人に金が集中すると、その人たちは国内で消費しない。みな欧米や日本で不動産を買う。その代わり、中国の金が海外に行ってしまう。

 一方、大半の国民は中国の国内で消費しようとしても、それほど金がない。それはGDPに対する個人消費を示す「個人消費率」という数字に如実に表れてくる。

 たとえば、日本の個人消費率は毎年GDPの約6割を占めており、最大の需要となっている。日本経済の6割は国民が消費需要として支えており、そういう意味では日本経済は実に健全だ。

 さらに優秀なのはアメリカで実に70%。それでは中国ではどのくらいの個人消費率になるのか。なんと35%しかないのである。

 

 人民元を刷り続けることができた理由>

・では、こうした投資資金の出所はどこか。中央政府人民元をじゃんじゃん刷った。そして、中国が20年間も毎年2桁近い経済成長を続けてこられた最大の要因は、土地ビジネスの成功であった。

 

 終わりを告げた中国の経済成長戦略モデル

・昨年末に中国国内で流通していた人民元は109兆元にも上った。この109兆元がどういうレベルかというと、昨年の中国のGDPが52兆元だから、その二倍強となる。ドルに換算すれば、アメリカ国内で流通しているドル総額の1.5倍になる。

 大幅な過剰流動性になると何が起きるのか。当然、国内では人民元の価値が下落する。逆に言えば、モノの価値が上がる。物価上昇、インフレとなる。その契機となったのがリーマン・ショック直後の政府の経済対策だったということになる。

 

 ・また、金融引き締めは公共投資も減少させた。これだけの副作用をもたらした挙句、個人消費も冷え込んだままだ。

 おまけにここにきて、中国経済をずっと牽引してきた輸出に急ブレーキがかかった。

 2010年までの対外輸出の伸びは毎年25%以上だったが、昨年は7.9%まで落ち込んだ。さらに衝撃が襲う。今年の第1・4半期はついにマイナス6.4%まで落ち込んだのである。

 輸出が完全に止まった。国内投資も止まった。中小企業は壊滅状態。国有企業は国有銀行頼みで、競争力がまったくない。国内の人件費の高騰で、外資企業の中国離れが加速している。中国の経済成長の戦略モデルは完全に終わったのである。

 

 シャドーバンキングが生まれた背景

踏み倒されるシャドーバンキング

・高金利で借りたお金を返済できなくなるリスクはきわめて高い。返済不能となった中小企業はどうするのか。逃げるのだ。

 

 すでに始まっている不動産バブル崩壊

5月連休中の契約件数は昨年比で80%減という現実

<10年間も続く大学生の就職氷河期

(石平)不動産バブル崩壊中産階級全滅、経済成長戦略モデルの終焉というダメージを一度にまとめて背負う運命の中国だが、経済成長を続けているときにもおかしなことが起きていた。

 その1つに挙げたいのが、この10年間続いている大学生の就職氷河期である。昨年大学を卒業したのが699万人で、政府が認めただけでも約200万人、約3割が就職できなかった。けれども、自国に有利となる数字は水増しし、不利を招く数字については控えめに発表するのが中国当局の“常”であることから、就職待機組の数字は実際にはもっと多いはずである。

 

 ・就職にあぶれた元大学生は、中国国内にいったい何千万人いるのだろうか。都会の劣悪な住環境のなかで生活を続ける「蟻族」や「鼠族」に甘んじる大卒失業者たちに不満や鬱憤が留まらぬはずはない。

 

 2億6000万人に達した国内流動人口

(石平)仕事にあぶれているのは大学生だけではない。かつては「盲流」と呼ばれ、農村から都市部に出稼ぎにやってくる「農民工」の流動人口が、凄まじく膨れ上がっているのである。

 農民工の多くは、農村にも生活基盤を持たない20代、30代の人々。実は彼らのマンパワーが、これまで中国の高度成長の原動力となってきた。農民工の大量かつ安い労働力が農村から出たからこそ、輸出産業は発達できた。また、不動産投資や公共事業投資が盛んであったときには、農民工の多くは建設現場の労働力としての役目を果たしてきた。

 

 経済統制を実施するための“限定的”な戦争状態

・おそらく彼らに残された最後の有効手段の一つは、対外的な強硬政策を推し進めることによって、国民の目を外に向かわせることであろう。

 どうにも切羽詰まったら、習近平は“限定的”な戦争状態をつくることにより、物価統制をはじめとする国内の経済統制をおこなうことも視野に入れているはずだ。経済危機に陥った場合、経済統制を実施するのがいちばん手っ取り早い。

 

 <善意がまったく通じない国が日本の隣にあるという事実>

(古森)石平さんが理解に苦しむというのも無理はない。日本の対外活動のパターンには、国際的に見て不可解な部分が少なくない。そうした日本的な特殊な言動というのも突き詰めれば、その原因は結局は日本の憲法にぶつかる。

 

 10年間に合計1兆ドルの国防費を削るアメリカに対する疑念

<日本に核を撃ち込むことに何の抵抗感も持たない中国人>

・(石平)私が危機感を募らせている理由は、最近、中国のインターネットで中国国防大学の張召忠教授(海軍少将)の論文を目にしたからだ。論文のタイトルは、ずばり「中国が一瞬にして日本を全滅させることはもはや空論ではない」という凄まじいもの。

 日本では中国の理不尽で勝手な振る舞いがどんなに目に余ろうと、「中国を全滅させるために日本はどうすべきだ」というようなテーマで話し合ったりはしない。

 しかし、中国は違う。「日本を全滅させるためにはどうすべきか」をテーマに軍人レベルは当然のこと、学者レベル、一般人レベルでも日常茶飯に堂々と語り合われているのである。

 

・日本人が理解しなければならないのは、中国の指導部にしてもエリートにしても、あるいは一般の多くの国民にしても、日本にミサイルを撃ち込むということに対して、何の抵抗感も違和感も持たない。要するに、内なる抑制力がないわけである。

 

中国人エリートは、日本にミサイルを撃ち込むことはむしろ当然だと思っているし、仮に核兵器を日本に撃ち込んだとしても、中国国内では反対論はほとんど出ないはずだ。中国が本気で核兵器を日本に撃ち込む気ならば、2ヵ月間、南京大虐殺の映画を中国全土で上映すれば、すべての中国人は納得する。

 

・先刻の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われわれの安全と生存を保持しようと決意した」とする憲法前文に戻るけれど、中国にそれを期待するほうが間違っているということだ。

 繰り返すが、核兵器を日本に撃ち込んだとしても、中国人には何の心理的抵抗感も違和感もないということを、いい加減日本人はわかったほうがいい。

 

 

 

『2010年中国が牙をむく』

 石平   PHP     2008/11/7

 

 

 

 2010~2012年、中国は牙をむく

 石;先生が台湾に対し、そういうお考えであれば、もう一つの問題として、台湾が自然に中国に飲み込まれる可能性が少ないほど、逆に中国共産党がいわゆる平和的に統合することを断念し、最終的には力ずくで統合に導くこともありますか?

 中嶋;その可能性は十分にあります。

 石;2010年か2012年か。台湾関係はかなり現実的な危険に立ち向かわざるを得なくなるということですね。

 石;日本もこの数年間でいろいろな意味で「準備」をしておかないと手遅れになるでしょうね。

 中嶋;そのためにも、やはり当面の外交政策の立直しをきちんとやらないといけないと思います。

 中嶋;根本戦略と、それからやはり外務省の手腕がものをいいます。中国と日本外交官を比較すると、中国の外交官は実に巧みにロビー活動を根回しもうまくこなしている。日本の外交官はまったくダメだ。しかもストラテジー(戦術)がない。もう一つの日本の外交官の難点は英語力だといっているのです。英語力がもうぜんぜんダメだ、と。

 

 <深刻化する社会の歪みと爆発寸前の中国社会>

 時限爆弾としての失業問題と貧富の格差

・それにしても「都市部5000万人失業、農村部2億人失業」というのは、十分に深刻な事態である。すでに深刻化している中国の失業問題は2008年からさらに深刻化していくのが避けられない成り行きである。

 

 人類史上かってない規模の深刻な事態

・これからの中国は、毎年、就職できずに労働市場から吐き出された百数十万人の大学卒業生と、1年間で1200万人増える都市部の新規失業者数と、常に失業状態にある農村部の2億人単位の「余剰労働力」と、5000万人も都市部の失業者が溢れているという史上最大の失業大国となっていくのであろうが、このような国に社会的安定を期待するのは最初から無理な話であろう。

 

 ・中国における「動乱の時代」の到来は、まさに失業問題の深刻化を背景とするものである。

 

 ・大富豪の一人の背後には、数千人かあるいは数万人の貧困層の人々が存在していることを忘れてはいけないのだ。

 

 ・「仇富」という新造語が数年前から流行っているのである。文字通り「富む者を仇とする」、「富む者を憎む」という意味で、要するに金持ちたちは貧乏人である民衆たちの憎むべき対象となり、その「仇」となっているわけである。このような心持が一種の社会心理として普遍化していることは、社会の安定化にとっては大変危険な要素であることは言うまでもない。

 

 金融と不動産、どちらが先に死ぬのか

・「中国における不動産価格の暴落はやがて金融危機を引き起こし、いわゆる中国版サブプライムローン危機を引き起こすことになるだろう」との警告を発している。

 

 ・あたかも中国における「金融」と「不動産市場」の「死」はすでに確定事項となっており、「どちらが先に死ぬか」だけが問題となっているかのような風情である。

 

 ・彼らの論旨からすれば、中国の不動産市場の「死」はもはや避けられない趨勢になっているから、討論会の関心点は、もっぱらいつ「死ぬ」のかに集中している。

 

 

 

『米中新冷戦、どうする日本』

藤井厳喜   PHP   2013/2/15

 

 

 

米中新冷戦

・米中新冷戦がすでに開始されている。アメリカと中国は、激しい対決時代に突入した。筆者が米中新冷戦の到来を直感したのは、2010年1月にオバマ政権が対中国外交を対決姿勢へと大胆に転換させたときだ。

 

 ・2013年の冒頭に立って、今後の21世紀の世界を展望しようとするとき、どうしても考えに入れておかなければならない、いくつかのファクター(要因)が存在する。第一は、米中新冷戦である。第二はエネルギー革命(天然ガス革命)である。第三はビッグデータである。第四は、南北関係(先進国と発展途上国の関係)の根本的転換ないし逆転である。いかなる未来予測を行うにしろ、これら四つの要素の一つでも抜けていれば、その未来予測は全く非現実的なものになってしまうであろう。

 

 ビンラディン殺害でエスカレートした米中サイバー戦争

・すでに指摘したように、2010年1月に、クリントン国務長官は、中国からグーグルへのサイバー攻撃に対して、鋭い批判の言葉を放っていた。ある意味で、米中サイバー戦争は、すでに開始されていたのであるが、ビンラディン殺害によって、米中関係が険悪化したために、そのレベルがエスカレーションして、本格的な宣戦布告となったのである。

 

・2011年5月30日、ワシントンポストは、ロッキード・マーチン社へのハッカー攻撃の犯人の特定はできないものの「中国が最も疑わしい」と報道した。

 

 ・2011年5月31日、米主要メディアの報道によれば、米国防省は「外国政府からのサイバー攻撃を通常の戦争行為と見なし、アメリカ軍による武力行使も辞さない」という新方針を明らかにした。

 

 中国共産党からすれば、インターネット上の自由が拡散してしまえば、もはや一党独裁体制を維持することは不可能になる。この意味で、グーグルは、米防衛産業と並んで、彼らの最も敵視する存在なのである。

 

 ・そしてサイバー空間もまた、現代における戦場である。現代の戦争は、人間のあらゆる活動領域に広がっている。こういった戦略思想を中国側は「超限戦」、アメリカ側は「無制限戦争」と呼んでいる。そういう時代であればこそ、電脳空間におけるサイバーウォーは、兵器を使った戦闘と同等の重要性を持つのである。

 

 アメリカ戦略の大転換<対テロ戦争から対中国戦争へ>>

・すなわち、アメリカは自国の覇権を脅かす第一の敵がイスラム原理主義・国際テロリスト集団ではなく、中国の帝国主義軍国主義・侵略主義であることにようやく本格的に覚醒したのである。

 

 アメリカは、イラクアフガニスタンの泥沼から脱出することにより、ようやく自国の真の敵、中国と対決することができるようになったのである。

 

 ・ガスとオイルのシェール革命は、中国と対決するアメリカに著しい優位性を与えるものである。

 

 超限戦という新しい戦争の時代

中国の新しい戦略思想『超限戦』

・「超限戦とは、あらゆる手段を備え、あらゆる情報をめぐらせ、あらゆる場所が戦場となる。そして、あらゆる兵器と技術が随意に重なり合い、戦争と非戦争、軍事と非軍事の二つの世界に横たわるすべての境界がことごとく打ち砕かれる、そういう戦争を意味している

 

 無制限戦争の特徴

① 国家以外も戦争の主体となる。 

② 「戦争の場」が通常の戦場だけでなく、人間活動のあらゆる領域へと広がってくる。サイバー戦争や金融と貿易を含むあらゆる経済分野に広がる。 

 ③ その当然の結果、戦争遂行の手段もまた多様化する。 

 ④ 複数の戦争分野と戦争手段を組み合わせて戦うことになる。 

 ⑤ これらの結果、「戦争であって戦争でない、戦争でないが戦争のような状況」が生じる。 

 ⑥ 無制限戦争においては、戦術レベル(小規模)の軍事行動で戦略レベルの巨大な心理的ショックを与えることができる。日本もまた、中国によって、無制限戦争の対象とされていることはいうまでもない。

 

 <戦争は進化する>

・戦争も時代と共に進化していく。第二次世界大戦の後に戦われた米ソ冷戦を筆者は「第三次世界大戦」であったととらえている。そして、9・11以降の世界は、「第四次世界大戦」に突入したと考えている。

 

 米中冷戦の戦場としての日本

・日本は、不幸なことに、米中冷戦の戦場と化している。中国は、尖閣列島を侵略のターゲットとしている。

 ・時間は日米、そして自由主義海洋国家群の味方である。近い将来において、共産党独裁国家ソ連が崩壊したように、必ず共産党独裁国家中国も崩壊する。独裁国家帝国主義国家は必ず崩壊する。これは歴史の法則である。

 

 ・日本が憲法九条を改正して、ごく普通の国として、国防を行うと宣言すれば、これに反対するのはアジアでは中国、南北朝鮮と、各国の華僑くらいのものであろう。今こそ、日本人は自信と勇気を持って、敗戦コンプレックスを払拭すべきである。

 

 

 

『語られざる中国の結末』

宮家邦彦  PHP  2013/10/16

 

 

 

人民解放軍の「サイバー戦」観>

・ここで、中国サイバー軍の概要について簡単にまとめておこう。各種報道によれば、中国は2003年以来、秘密裏に軍人3万人、民間専門家15万人という総勢18万人のサイバー・スパイを擁する、巨大なサイバー軍を実戦運用しているといわれる。

 中国はサイバー攻撃を最も有効な対米「非対称戦」と位置付けている。最近は中国サイバー戦能力の向上が著しく、米国は中国のサイバー軍を「米国にとって唯一、最大のサイバーテロ・脅威」とみなしているようだ。

 

 米国が恐れる中国版「真珠湾攻撃

・米国が恐れているのはズバリ、中国版の「真珠湾攻撃」だろう。冷戦終結後の湾岸戦争ベオグラードの中国大使館誤爆事件を契機に、中国側は現代戦争の重点が「機甲化戦」から「情報化戦」へ変わりはじめたことを、ようやく理解したからだ。

 情報化戦では、ミサイル、戦闘機など在来型兵器に代わり、敵のアクセス(接近)を拒否するため、緒戦で敵の指揮・統制を麻痺させる戦略が重視される。中国は初動段階でのサイバー・宇宙戦など、「非対称戦」の重要性を強く認識しているはずだ。

 

 対日サイバー攻撃は年間1000件以上

・以上はあくまでシュミュレーションだが、実際に日本の政府機関や企業へのサイバー攻撃は、警察庁が把握している分だけでも、年間1000件以上あるという。また、情報通信研究機構NICT)の調査では、2012年の1年間だけで、この種のサイバー攻撃関連の情報通信が、78億件もあったそうだ。

 

 「攻撃」を模索する米側のロジック

・パネッタ長官は、サイバー攻撃には「防衛」だけでなく、「攻撃」の選択肢も必要であり、サイバー空間での「交戦規定を包括的に変更中」であるとも述べた。その直前にオバマ大統領は、「破壊的攻撃を行なうサイバー兵器」の開発を命じている。米中サイバー戦はすでに新たな段階に突入しつつあるのだ。

 

サイバー攻撃能力」の研究を

・過去数年来、米国ではサイバー戦を「抑止」するための「サイバー攻撃」に関する準備が着々と進んでいる。日本でも、憲法上の制約があることを前提としつつ、サイバー戦「抑止」のための「サイバー攻撃能力」を研究する時期に来ている。

 

 「第2次東アジア戦争」は短期戦?

・他方、だからといって近い将来、米中間で大規模かつ、長期にわたる軍事衝突が起こると考えてはならない。少なくとも、米国や米国の同盟国が中国を挑発する可能性はきわめて低い。米国は中国大陸に侵入して中国と戦うことなど考えてもいないだろう。

 

 ・先に述べたとおり、米国の関心は西太平洋地域における米国の海洋覇権が維持されることを前提とした「公海における航行の自由」の維持であり、中国大陸における領土獲得や政権交代などではないのである。

 一方で中国側、とくに中国共産党文民政治指導者にとっても、いま米軍と戦争をする利益はあまりない。そもそも、戦闘が始まった時点で中国をめぐる多くの国際貿易や経済活動は停止するか、大打撃を蒙るだろう。これは中国経済の終焉を意味する、事実上の自殺行為である。

 

そうだとすれば、仮に、たとえば人民解放軍側になんらかの誤解や誤算が生じ、サイバー空間や宇宙空間で先制攻撃が始まり、米中間で一定の戦闘が生じたとしても、それが長期にわたる大規模な戦争に発展する可能性は低いと思われる。

 

 実戦能力を高めるだけでは不十分

中国の「敗北」後に予測される7つのシナリオ

A 中国統一・独裁温存シナリオ(米国との覇権争いの決着いかんにかかわらず、共産党独裁が継続するモデル)

 

サブシナリオA1 中国が東アジア・西太平洋における米国との覇権争いに勝利。

 

サブシナリオA2 中国が統一と共産党の政治的権威をほぼ現状のまま維持。

サブシナリオA3 第二次「文化大革命」などによる独裁強化。

 

B 中国統一・民主化定着シナリオ(米国との覇権争いに敗北。米国主導の民主化、中国超大国化モデル)

 

C 中国統一・民主化の失敗と再独裁化シナリオ(国家分裂のないロシア・「プーチン」モデル)

 

D 中国分裂・民主化定着シナリオ(少数民族と漢族で分裂するも民主化が進む、資源のない中華共和国モデル)

 

サブシナリオD1 たとえば北京を中心に漢族中心国家の統一が維持される一方、他の少数民族民族自決する。

 

サブシナリオD2 サブシナリオD1で想定した漢族中心の統一国家がさらに分裂し、現存する中国各地の主要経済圏を基盤とする複数の漢族中心国家群が出現。

 

サブシナリオD3 分裂した中小国家群が、一部または全部で、連邦制ないし国家連合を組む。

E 中国分裂・民主化の失敗と再独裁化シナリオ(少数民族と漢族の分裂後、民主化が失敗するロシア・「プーチン」モデル)

 

サブシナリオE1 たとえば北京を中心に漢族中心国家の統一が維持される一方、他の少数民族民族自決する。

 

サブシナリオE2 サブシナリオE1で想定した漢族中心の統一国家がさらに分裂し、現存する中国各地の主要経済圏を基盤とする複数の漢族中心国家群が出現。

 

サブシナリオE3 分裂した中小国家群が、一部または全部で、連邦制ないし国家連合を組む。

F 中国分裂・一部民主化と一部独裁の並立シナリオ(少数民族と漢族の分裂後、民主と独裁が並立するモデル)

サブシナリオD、Eと同様、分裂の仕方については三つのサブシナリオが存在。

G 中国漢族・少数民族完全分裂シナリオ(大混乱モデル)

 

 (まとめ)

▼米中がなんらかの戦争ないし戦闘により衝突する場合、中国人民解放軍が米軍を圧倒し、決定的な勝利を収める可能性は低い。

 

 ▼他方、こうした戦争ないし戦闘において米軍が優勢となるにしても、中国側は早い段階から決定的敗北を回避すべく、政治決着をめざす可能性が高く、米側の決定的勝利の可能性も低い。

 

 ▼されば、サブシナリオA2、すなわち仮に中国が敗北しても、内政上の悪影響を最小限に抑え、中国の統一と共産党の政治的権威をほぼ現状のまま維持する可能性が、現時点では最も高い。

 

 ▼その場合、中国共産党の指導体制は当面、揺るがない。しかし、米中衝突という異常事態が中国国内の政治経済環境に及ぼす悪影響は計り知れず、いずれ、国内情勢は不安定化していく。

 

 ▼万一、国内の政治的安定が崩れれば、中国の分裂が現実味を帯びるだろうが、その場合でも、漢民族の連帯は強く、分離していくのはチベットウイグルなどの少数民族に限られるのではないか。

 

 ▼可能性は最も低いものの、実現した場合の悪影響が最も大きいのが「漢族分裂」現象であり、その場合には、民主的でない複数の漢族中小国家が生まれる可能性が最も高い。

 

 ▼複数の漢族国家が誕生するか否かは、中国人民解放軍がどの程度、軍としての統一を維持できるかにかかっている。

 

 ▼その場合、各国の軍隊の大小、装備の優劣、とくに核兵器保有の有無が鍵となる。各国軍隊の力が均衡すれば分裂は長期化し、逆に一国の軍隊が突出すれば、いずれ中国は再統一に向かうだろう。

 

 ・現在、中国では、国民の多様化した政治的、経済的、社会的利益を「誰が代表するのかが静かに問われはじめている。中国共産党が新たな統治の正統性を見出さないかぎり、正統性の第一、第二の柱に依存しつづける。そうなれば、中国共産党の統治システムはいっそう脆弱なものとなるだろう。

 

 

 

『日本は誰と戦ったのか』

コミンテルンの秘密工作を追求するアメリ

江崎道朗  KKベストセラーズ    2019/2/8

 

 

 

20世紀とは、ソ連コミンテルンとの戦いであった!

・「東西冷戦」は1991年のソ連の崩壊によって終結したと言われていますが、それはヨーロッパの話です。残念ながらソ連崩壊のあとも、アジアには中国共産党政府と北朝鮮という二つの共産主義国家が存在し、アジア太平洋の平和と繁栄を脅かしているのは御承知の通りです

 この中国共産党政府と北朝鮮という二つの「共産主義」国家が第2次世界大戦後、なぜ誕生したのか。その経緯を調べると、アメリカのルーズヴェルト民主党政権ソ連に協力して、アジアの共産化に手を貸した「歴史」が見えてきます。(中略)半世紀が過ぎ、多くの機密文書が公開されたことで、日本を開戦に追い込み、東欧とアジアの共産化に手を貸したルーズヴェルト民主党政権の問題点が、アメリカの保守系歴史学者の手によって次々と明らかにされてきています。端的に言えば、アジア太平洋で戦争を引き起こしたのは日本ではなく、ソ連コミンテルンルーズヴェルト民主党政権であったのではないかという視点が浮上してきているのです。

 

日本は誰と戦ったのか

・「日米戦争では、アメリカにも問題があったのではないか」

「その通りだ。アメリカのルーズヴェルト民主党政権には大きな問題があった。

 当時、野党の共和党も米軍幹部も懸命に警告したのに、ルーズヴェルト民主党政権は、日米戦争を仕掛けたソ連コミンテルンの秘密工作に振り回されてしまった

 こんな会話が日米の知識人の間で交わされる日が近い将来、訪れるかもしれません。

 

コミンテルンとは1919年、ロシア共産党レーニンが創設し、1943年まで存在した。共産主義政党による国際ネットワーク組織のことです(そのネットワークは戦後も形を変えて続きました)。その目的は、世界各国で資本家を打倒して共産革命を起こし、労働者の楽園を作る、というものです。

 このソ連コミンテルンの対外工作によって世界各地に「共産党」が創設され、第2次世界大戦後、東欧や中欧、中国、北朝鮮ベトナムなど世界各地に「共産主義国家」が誕生しました(厳密に言えば「社会主義国」を自称した)。かくして第2次大戦後、アメリカを中心とする「自由主義国」と、ソ連を中心とする「共産主義国」によって世界は二分され、「東西冷戦」という名の紛争が各地で起こりました。

 ある意味、20世紀は、ソ連コミンテルンとの戦いでした。

 ソ連コミンテルン共産主義を抜きにして20世紀を語ることはできません。そしてこの「東西冷戦」は1991年のソ連の崩壊によって終結したと言われていますが、それはヨーロッパの話です。残念ながらソ連崩壊のあとも、アジア太平洋には中国共産党政府と北朝鮮という二つの共産主義国家が存在し、国民の人権や言論の自由を弾圧しているだけでなく、アジア太平洋の平和と繁栄を脅かしているからです。

 

・この中国共産党政府と北朝鮮という二つの「共産主義」国家が第2次世界大戦後、なぜ誕生したのか、その経緯を調べると、アメリカのフランクリン・デラノ・ルーズヴェルト民主党政権ソ連に協力して、アジアの共産化に手を貸した「歴史」が見えてきます。

 第2次世界大戦当時、アメリカとソ連は同盟国でした。そして、アメリカのルーズヴェルト政権は、ソ連スターリンと組んで国際連合を創設し、戦後の国際秩序を構築しようとしました。その交渉過程の中で、ルーズヴェルト民主党政権は、こともあろうにソ連コミンテルンによるアジアの共産化――特に中国共産党政府と北朝鮮の誕生――に協力したのです。

 

・それから半世紀が過ぎ、多くの機密文書が公開されたことで、日本を開戦に追い込み、東欧とアジアの共産化に協力したルーズヴェルト民主党政権の問題点が、アメリカの保守系歴史学者やジャーナリストたちの手によって次々と明らかにされてきています。

 

端的に言えば、アジア太平洋で戦争を引き起こし、世界を混乱させたのは日本ではなく、ソ連コミンテルンルーズヴェルト民主党政権だったのではないか、という視点が浮上してきているのです。

日本からすれば、我々が戦ったのはアメリカのルーズヴェルト民主党政権だったわけですが、そのルーズヴェルト民主党政権ソ連コミンテルン工作員たちによって操られていたのではないか、ということです。

 

日本は誰と戦ったのか

 日本の真の敵は、アメリカではなく、ソ連コミンテルンではなかったのか。

 近年のアメリカの、それも反共保守派の学者たちによる近現代史研究を読んでいると、そうした「疑問」が湧いてきます。

 ところが残念なことに、アメリカのそうした動向は日本ではほとんど紹介されません。ガラパゴス化と言って日本でしか通用しない技術や製品が揶揄されることがありますが、それは学問の世界でも同様です。特に日米戦争、近現代史に関して日本の歴史学会のガラパゴス化はかなり重症です。

 

・この『スターリンの秘密工作員』は、日米戦争を始めたのは日本であったとしても、その背後で、日米を戦争へと追い込んだのが実はソ連コミンテルン工作員・協力者たちであったことを暴いていますアメリカの機密文書や連邦議会の議事録や調査報告書などを踏まえ、ルーズヴェルト民主党政権内部に滑り込んだソ連工作員・協力者たちが日米両国を開戦へと誘導し、日米の早期停戦を妨害し、ソ連の対日参戦とアジアの共産化をもたらした側面があることを指摘しているのです。

 その指摘が正しいかどうかについては厳密な検証が必要ですが、それはそれとしてこうした議論がアメリカの反共保守派の間で活発に行われている「現実」に目を向けていただきたいと思います。

 

・詳しくは述べませんが、インドネシアも1960年代に、ソ連中国共産党による秘密工作によって共産革命の危機に瀕したことがあります。そのため、ソ連コミンテルンの対外秘密工作について研究する専門家たちが今なおインドネシアには存在していることがわかり、感心したのです。

 その2年後の2016年秋、インターネットに掲載されている「ソ連コミンテルンの対米工作」に関する私の英語の論文を見て、米軍の情報将校だった一人のアメリカ人が私のところに連絡してきました。彼は、アメリカにおけるいわゆる従軍慰安婦問題に関する反日宣伝の背後に、中国共産党北朝鮮の対米工作があると考え、その調査のために日本にやってきたのです。

 中国共産党の対外宣伝工作について調べていると彼といろいろ話をしていたら、アメリカの保守派による日米戦争の見直しの動向が話題になりました。彼は「中国の軍事的台頭の背景には、第2次世界大戦当時の、ルーズヴェルト民主党政権外交政策の失敗があると考え、今、アメリカの保守派、反共派、軍事専門家の間で、ルーズヴェルト民主党政権と中国、ソ連、日本との関係を見直そうとする動きが活発になってきている」としていくつかの本を紹介してくれました。その一つがなんと『スターリンの秘密工作員』だったのです。

 

・日本の敗戦後、アメリカを中心とする連合国は東京裁判を開廷し、「日本は侵略国家だ」という一方的なレッテルを貼りました。

 この東京裁判史観のもとで、わが国の歴史学会もマスコミも、「侵略戦争をしたのは日本陸軍が悪かったからだ」、「いや東条英機首相が悪かった」、「日本海軍にも責任がある」、「昭和天皇にこそ戦争責任がある」といった形で「侵略戦争の責任」を、日本の誰かに負わせようとする議論ばかりをしてきました。

 この東京裁判史観について私はかねてより、自国のことを非難するだけで他国の動向を見ようとしないという意味で「偏狭史観」と呼ぶべきだと思っていました。戦争相手であるアメリカやソ連、イギリスなどの動向や内情をまともに分析せずに、ひたすら日本だけを糾弾する東京裁判史観は極めて「視野が狭い」と思ってきたからです。

 国際政治というのは、複数の国々の思惑で動くものであって、日本だけに「責任」があるかのような議論自体が無意味です。そして「日本が一方的に戦争を引き起こした」とする東京裁判史観を奉じているから、戦後、憲法9条のもとで「不戦の誓い」をしていれば戦争にならないなどという、特異な政治感覚を持ってしまったのでないでしょうか。

 

・実際に東京裁判史観を奉じる人たちの多くは、北朝鮮核兵器を開発し、わが国に対してミサイルを撃とうが、中国が尖閣諸島周辺に戦闘機や軍艦を派遣し、わが国の領土・領海を脅かそうが、「憲法9条を守れ」と呪文を唱えるだけです。日本を取り巻く外国の「悪意」を見ようとしない「偏狭さ」には呆れるしかありません

 こうした国際感覚の欠落への反省から、「偏狭な」東京裁判史観を見直す動きが起こっています。

 

・「太平洋戦争末期に日本の為政者が終戦を決定した政治過程は、日本人が大きな関心をもってきた問題である。終戦から現在にいたるまで、おびただしい書物や論文が発表されたにもかかわらず、不思議なことに、日本の終戦にいたる政治過程を国際的な文脈から緻密に分析した学術的な研究は存在しない」

 

太平洋戦争終結を論じるときに、ソ連の役割は、アメリカと日本の歴史家によって無視されている

・日本政府は昭和20年当時、なんとか早期終戦を実現しようと必死に模索し、日ソ中立条約を締結していたソ連を仲介に和平交渉をしようとしていました。この日ソ交渉を利用して日本の終戦を意図的に遅らせようとしたのが、ソ連の指導者スターリンでした

 

・残念ながら日本では、アカデミズムの世界において「コミンテルン」「工作員」「秘密工作」などを扱うことはタブー視されてきました。

 対照的に欧米諸国では、国際政治、外交史の一分野として、このような秘密工作について論じる学問が「インテリジェンス・ヒストリー」として成立しているのです。

 

・安倍首相も、祖父の岸首相や父の安倍晋太郎外務大臣からこうした「裏話」を聞いていたはずです。ただし、残念ながら「対外インテリジェンス機関の創設」は思ったほど進展していません。それは安倍政権がやる気がないということではなく、インテリジェンスの専門家が不足しているからです。その背後には、インテリジェンスの基礎、つまり「インテリジェンス・ヒストリー」という学問が日本では十分に確立されていないという側面があると思っています。

 

日米開戦はスターリンの工作だった――アメリカ保守派の歴史見直しはここまで進んでいる

変遷する「リメンバー・パールハーバー

・歴史というものは、新資料の公開や研究の進展によって次々と見直されていきます。

 たとえば、日米戦争の発端となったパールハーバー、つまり真珠湾攻撃がその代表です。

 1941年12月、日本軍が真珠湾攻撃をした当時、それはアメリカにとって「卑劣なだまし討ち」でした。

 ところが、その後、アメリカの著名な歴史学者チャールズ・ビアード博士が1948年に『ルーズヴェルトの責任』(邦訳は藤原書店、2011年)を書き、大意、次のようなルーズヴェルト謀略論が登場します。

時のルーズヴェルト大統領は暗号傍受により、日本軍による真珠湾攻撃を知っていたのに、対日参戦に踏み切るため、わざと日本軍攻撃のことをハワイの米軍司令官に知らせなかった

 その後もアメリカでは真珠湾攻撃について議論が続いてきました。

 

スターリン工作説の誕生

・このようなアメリカにおける真珠湾攻撃と日米戦争に関する歴史の見直しは、今後ますます進んでいくことになるでしょう。

 というのも、アメリカでは、「真珠湾攻撃背後にソ連の工作があった」とする「新説」が唱えられているからです。

 

ヴェノナ文書研究が暴いたスターリンの戦争責任

・ヴェノナ文書とは、第二次世界大戦前後に、アメリカ国内のソ連工作員たちがモスクワとやり取りした通信を、アメリカ陸軍情報部がイギリス情報部と連携し、秘密裏に傍受して解読した記録です。

 その内容は衝撃的なものでした。

 というのも、ルーズヴェルト民主党政権の「ウィーク・ジャパン政策」、言い換えればソ連を味方にして日本を敵視するアジア政策の背景に、ソ連のスパイたちの対米工作があったのではないかという接点が急浮上してきたからです。

 第2次世界大戦後、保守派によるルーズヴェルト批判を許そうとしなかったサヨク・リベラルの多くが、ソ連びいきであったことも、そうした疑念を深めることになりました。

 

連邦議会でもソ連のスパイ工作が追求されていた

・かくしてソ連共産主義の脅威や、ルーズヴェルト民主党政権内部におけるソ連のスパイたちの暗躍を追求することは、マスコミやアカデミズムではタブー視され、保守派が内部で隠れるようにして研究と議論をするだけにとどまってきたのです。

 ところが、1995年、アメリカ政府が公開したヴェノナ文書によって、ルーズヴェルト政権内部にソ連のスパイたちがいたことが「事実」であると判明しました。

 アメリカのサヨク・マスコミから全否定されていた、チェンバーズやベントレーの証言は大筋で事実だったことが立証されただけでなく、ソ連の工作がそれまでに考えられていたよりはるかに計画的・体系的で強力なものであったことが明らかになったのですマッカーシー上院議員の告発も、内容自体はほぼ正しかったことが現在では判明しています。

 

ソ連の秘密工作を「アメリカの正義」と讃える倒錯

・それらの加筆部分でも、ラティモア、ロス、ビッソンらこそ正義であり、彼らのスパイ行為を告発したマッカーシー上院議員は悪である、という構図をいささかも変えていないのです。これは驚くべきことです。

 

 第2次大戦当時の「アメリカ的正義」からすれば、ナチス・ドイツと結んだ侵略者日本を敵として、中国を支援することは、申し分のない正当な行為であった。ところが、最も純粋な動機からこの闘争に参加した人々が、マッカーシズムによって、悪の烙印をおされて沈黙を強いられたのだから、そのことの怨念が鬱積し、やがて爆発したのも当然であろう。

 

ソ連国益に従ったラティモアたちを「アメリカ的正義」だと主張しているのですが、正確に言えば「ソ連の正義の代弁者」と表現すべきではないでしょうか。

 

ブッシュ大統領、ヤルタの屈辱を晴らす」

・シュラーフリー女史はさらに、このヤルタ協定によって我々アメリカ人は現在、中国の共産主義帝国の台頭と北朝鮮の核開発に苦しまなければならなくなったとして、次のように訴えているのです。

 

 ルーズヴェルトの擁護者は、スターリンを日本との戦いに引き込むためにはこれらの譲歩が必要だった、と正当化しようとしました。ヤルタ文書は、その主張が間違っていたということを証明しています。例えば、ヤルタ会談の3ヶ月半前、アバレル・ハリマン駐ソ大使は、ルーズヴェルトに対して「太平洋戦争に単に参加するだけではなく、全面的に対日戦争に参戦するという完全な同意をスターリンから得ている」ことを伝えています。

 ロシアは太平洋戦争に必要ありませんでした。そして、ロシアの参戦は、中国と北朝鮮における共産主義帝国構築への道を開くことになったのです。ソ連の参戦は、1950年代の朝鮮戦争と、今日の北朝鮮共産主義の独裁者の息子による核兵器の恫喝を招いたのです

 

独立国家の学問としてのインテリジェンス・ヒストリー

・「ソ連に甘かったルーズヴェルト大統領と、その政権内部に潜り込んだソ連工作員たちが日米両国を開戦へと誘導し、日米の早期停戦を妨害し、ソ連の対日参戦とアジアの共産化をもたらした」というスターリン工作史観とも呼ぶべき、こうした見方に対して「あまりにも一方的過ぎる」「アメリカの歴史学会の主流ではない」などと批判することは自由です。

 しかし、アメリカの反共保守派たちによって唱えられ始めたこの歴史観は、近年の中国や北朝鮮の軍事的脅威の高まりの中で、アメリカのインテリジェンス関係者、特に米軍の情報将校たちに広がっていると聞いています。

 

・そもそもこのスターリン工作史観の根拠となっている「ヴェノナ文書」は、アメリカ陸軍とFBIのインテリジェンス活動の結果、生まれたものなので、それも当然と言えば当然かもしれません。

 アメリカでは、歴史学会を含むアカデミズムと、国際政治や軍事の専門家たちとでは、その歴史観はまったく異なるのです。言い換えれば、歴史学会などだけを見ていては、アメリカの歴史観の動向は正確に理解できないのです

 

・今年(2017年)9月に欧米し、北朝鮮有事に関して米軍の元情報将校やシンクタンクの研究員たちと意見交換をしてきました。

 彼らの多くが「北朝鮮とその背後にいる中国やロシアに対抗するためには、軍事だけでなく、経済、外交、そしてインテリジェンスの四つの分野で対抗策を講じる必要がある」と強調していました。その上で韓国内に浸透している北朝鮮の秘密工作員の動向や北朝鮮とロシア、そしてパキスタンとのネットワーク、中国とアメリカ国内に浸透している工作員と宣伝工作などについて意見交換をしてきました。第2次世界大戦当時の、スターリンの秘密工作員の話は現在も形を変えて進行中なのです

 一方、日本悪玉論を唱えた東京裁判史観を奉じている日本の政治家や官僚、言論人たちは、中国が尖閣諸島海域に軍艦や戦闘機を送ってきても、北朝鮮がミサイルを日本に向けて撃ってきても、「とにかく日本が悪いのだ、憲法9条を守れ」と呪文を唱えるだけなのです。こんな状況ではまともな独立国家とは言えませんし、何よりも同盟国アメリカのインテリジェンス関係者と議論が成り立つとも思えません。

 

・アジア太平洋の平和と繁栄を守るためには、日本も、軍事や外交だけでなく、秘密工作や宣伝といったインテリジェンスの戦いで勝たなければなりません。そしてそのためには戦後、日米両国の有識者たちによって隠蔽されてきた、スターリンの秘密工作をはじめとするインテリジェンス・ヒストリーを必死に学び、自らの力量をあげていくことが重要なのです。

 

アメリカの反共保守派が唱える「スターリン工作史観」は、「先の戦争の原因をすべてスターリンに擦り付ける」ためのものではありません。「ソ連共産主義をより深く理解」するための歴史観なのです。相手を知ろうともせずに上っ面だけ見て相手を批判したり、レッテルを貼ったりする姿勢は、インテリジェンスから最も遠いと言わざるを得ません。

 関連してもう一言だけ附言しておきたいと思います。

 本書を読んで「やはりルーズヴェルト大統領とスターリンが悪かったんだ、日本は悪くなかったんだ」というような誤読はしないでいただきたいということです。国際政治の世界では、騙された方が悪いのです。そして先の大戦では日本はインテリジェンスの戦いで「敗北」したのです。自戒を込めて申し上げるのですが、その痛苦な反省に基づいて必死に学ぼうとすることが、日本にインテリジェンスの戦いの勝利をもたらすことになるのです。

 

ソ連コミンテルンという要因を踏まえた全体像を

・誤解をしないでいただきたいのですが、彼らアメリカの保守派は「ソ連コミンテルンの工作だけが日米戦争の要因だ」と主張しているわけではありません。「日本が正しかった」と主張しているわけではありません。いわゆる東京裁判史観に代表される、これまでの日米戦争論は、ソ連コミンテルンという要因や、秘密工作というインテリジェンスを意図的に排除しており、あまりにも視野が狭いのではないかと、疑問を投げかけているのです。

 

・日米戦争の全体像を把握するためには、少なくとも次の五つの視点が必要だと思っています。

 第一に、ルーズヴェルト大統領の強い意向ですルーズヴェルト大統領がソ連コミンテルンの工作を「容認」した背景には、ルーズヴェルト大統領自身が戦争を望んでいた、という視点を軽視するわけにはいかないと思います。

 第二に、ソ連コミンテルン中国共産党による対米工作です。本書では、コミンテルンの対米工作を中心に紹介しましたが、中国共産党による対米工作も今後解明していく必要があります。

 第三に、イギリスのチャーチル首相による対米工作ですチャーチルは1940年、アメリカの孤立主義・中立政策に傾倒していた国民世論を参戦へと転換させるためにウィリアム=サミュエル・スティーヴンスンを送り込み、1941年、MI6の出先機関、イギリス治安調整局を設立しています。これを通称イントレピッド工作と呼びます。

 第四に、蒋介石中国国民党政権の対米工作です。よく言われているのが、蒋介石夫人の宋美齢による反日キャンペーンですが、それ以外にも、アメリカを対日戦争に引き込むために様々な工作を仕掛けています。

 そして第五に、ソ連コミンテルンの対日工作です。日本が対米戦争へと踏み切った背景にコミンテルンの影響があったわけですが、この点については『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP新書)にて書きましたので、ご関心のある方はご高覧賜れば幸いです。

 少なくともこれら五つの視点で、第2次世界大戦、大東亜戦争は何だったのか、再検証する必要があります。近現代史の見直しはまだ始まったばかりなのです。