日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ 

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実際、不動産業界ではずいぶん前から、「どんな商売であっても、土地を買って建物を建てて経営が成り立つ商売はほとんどない」と言われています。(1)

 

 

『不動産2.0』

マーケットの常識をアップデートせよ

長谷川高  イースト・プレス  2019/12/15

 

 

 

<「不動産の常識」が変わろうとしている
地方で続出している「値段のつかない不動産」

土地を買ってまで成り立つ商売がない

・地方では今、急激に人口が減ってきています。とくに少子高齢化が顕著なエリアでは、東京中心部とはまったく違った風景に出会うことがあります。

 たとえば幹線道路を車で走っていると、道路沿いの数百坪、数千坪という土地に「売土地」と書かれた看板が立っているのをよく目にします。そして数年後、ふたたび同じ場所を走っていると、その看板がなんら変わらず立っているのです。

 最初は「まだ売れていないんだな」と思うだけでした。しかし3年経っても、5年経っても「売土地」の看板が立っているのを見ると、「この土地はもう、永久に売れないのではないか?」と思えてきます。

 

実際、不動産業界ではずいぶん前から、「どんな商売であっても、土地を買って建物を建てて経営が成り立つ商売はほとんどない」と言われています。

 つまり、人口減少が著しい地域においては、店舗用地として一等地であるはずの幹線道路沿いのまとまった土地の買い手が、地元にはすでに存在しないのです。それが今、地方が置かれている厳しい現実です。

 中には、パチンコ店やクリニックが開業する場合もあるかもしれません。しかし、それは極めてまれなケースです。なぜならば、この二つの業種さえ地方では廃業する件数が増えているのです。

 また、ある程度利益を出している業種であっても、何も土地を買ってまでやる必要がないのです。なぜなら、土地を売ろうとする地主以上に、土地を貸してくれる地主がいくらでも存在するからです。

 

私も「売るに売れない土地」を持っている

・では、何年経っても売れない土地の価格は、一体いくらになるのでしょうか?

 厳しい言い方になりますが、こうした土地に価値はありません。「価格不明」「評価不可」の土地と言えるでしょう。

 こういった土地においても国税庁が決める、相続税評価の対象となる「路線価」は、当然ながらゼロ円ではありません。また、地方自治体が固定資産税を徴収するために決める、「固定資産税評価額」もまたゼロ円ではありません。

 とはいえ現実問題として、実勢価格よりは安く評価されているはずの路線価や固定資産税評価額で売りに出したとしても、売れない可能性は非常に高いと言えます。なぜなら、「買いたい人」や「その土地を購入して成り立つ商売」が存在しないからです。

 

・しかも、それが数百坪、数千坪といった広大な土地になれば、その額は莫大なものになります。売ることができないのに、毎年、経費がかかり続けるということは、ある意味「価値がマイナスの不動産」と言ってもよいでしょう。

 じつは私自身、父から相続した「売るに売れない土地」を持っています。

 

・それでも毎年、固定資産税や維持管理費用がかかります。そこで、自治体に無償で引き取ってもらおうと思いました。しかし、役所に相談したところ、正式に「お断り」をされたのです。

固定資産税を払っていただいたほうが何百倍もありがたいので、無償でも寄付は受けつけません

 このように、はっきり言われました。私が相続した土地は、自治体にとってもまったく必要のないものだったのです。

 このような土地が、日本全国に無数にあるのです。この現実を、我々はまず認識する必要があります。

 

もはや地方だけの問題ではない

・こうした状況が見られるのは、地方都市だけではありません。東京の郊外においても、徐々に見受けられるようになっています。

 「郊外」とはいえ東京近郊にもかかわらず、思うように簡単に売れない業務用の土地が出現しています。非常に厳しい現状になったと思います。

 形式的に実勢価格は存在していても、その価格で売ることは不可能なのです。それは先ほどお話しした地方の土地と同じように、その土地を実勢価格で買っても、成り立つ商売がないからです。

 そのとき多くの人は、売れないのなら、貸せばよいと考えます。しかし、それも難しくなっています。人口減少、少子高齢化によって、借り手も少なくなっているからです。

 

・では、その跡地に何が建っているのか? 持て余すほどの広大な敷地を持つコンビニエンスストアか、または老人ホーム、デイケアセンターといった老人福祉施設が目立ちます。そして地代はかつての数分の一になっています。

 実はこれでもまだいいほうです。こうした業態の規格(土地の広さ、間口、周辺人口の集積度)に合わない土地は、東京近郊であって借り手も、買い手も現れず、放置されているのが現状なのです。

 

「工場跡地」が無価値になる時代

地価下落による負のサイクル

・なぜ、日本の工業はここまで発展したのでしょうか。それは日本人の勤勉な国民性が築き上げたものであることはまぎれもない事実ですが、その経済的な理由の一つには、戦後の急激な土地の値上がりがあるように思います。

 高度経済成長期、企業が保有する広大な工場用地の資産価値が、地価の上昇にともなって、どんどんふくらんでいきました。そして、その土地の担保に新たな土地を購入し、工場を増やしていったのです。当時の日本の産業は、すべてが「正のサイクル」でまわっていました。

 

ところが現在、地価の上昇が止まり、下落へと転じるにつれ、「負のサイクル」へと逆回転し始めています。

 高度経済成長期なら、工場、あるいは工場用地を売りに出せば、同じようなビジネスを手がけるほかの企業が購入してくれました。場合によっては、収得金額の数倍、数十倍で売れることもあったと思います。

 しかし現在、こうした売買はほとんど見られなくなりました。日本の土地が高くなりすぎたのも理由の一つですが、厳しい原価圧縮の影響で、土地や工場を現在の「時価」で購入して採算の合う製品を作り出せる工場は、この日本にはほとんどなくなっていると思われます。

 そのため、ある時期から日本企業の生産部門は、安い労働力と安い設備投資資金を求めて、どんどん海外に出ていったのです。

 

・そして、こうした売買が成り立つのは、全体のごくわずかの、多くの要件を満たした不動産にすぎません。

 たとえば、マンション用地として成立するのは、首都圏の駅に近い物件に限られます。また、物流倉庫やショッピングセンターとして成立するのは、インターチェンジが近く、かつ数万坪の広さがなくてはなりません。もはや数千坪では小さすぎるのです。

 

つまり、売りに出しても買い手が現れない工場が、日本全国に存在するようになってきたのです

 

「土壌汚染対策法」の恐怖

・2002年に土壌汚染対策法という法律が制定されました。そのため、土地を売却する際にその汚染状況をくわしく調査し、その結果を行政に報告する必要があるのです。もし、基準値以上の土壌汚染が検出された場合は、行政の指導のもと、それを除去しなければならないことが法律によって定められました。

 

・つまり、土壌改良の必要があり、その費用が売価を超えてしまうような土地は、結果的に売るに売れない状況におちいってしまうのです。

 

地方企業が保有する資産価値は実質ゼロに

無理やり算出される評価額

端的に言えば、地方の企業、個人が持っている不動産の資産価値が、著しく低下している、ということです。とくに工場、営業所、倉庫、店舗などの資産価値は、近年、顕著に下がっています。

 これまで説明してきたように、企業が土地を買ってまで事業を営むことは少なくなっているうえ、同時にそこにマンションを建てたり、宅地造成をして戸建て分譲をしたりする開発事業も、地方では極めて少なくなっています。

 

・こうした売るに売れない土地に対しても、不動産鑑定評価上の金額は算出されます。固定資産税を算出するうえでの評価額や、相続税を算出するうえでの評価額も、算定基準というある一定のルールによって、ある意味、無理やり算出されていると言ってよいと思います。

 しかし、その土地を売りに出したときに果たして売れるのかといえば、長期にわたって買い手が現れないという現実が一方にあるのです。

 

「担保主義」の崩壊が起こる

・今後、地方はますます人口減少と高齢化の波に襲われることが予想されます。つまり、経済活動における直接的な「需要」がより減少していくのです。その結果として「担保に取った不動産を売却できない」というケースが全国でさらに続出するでしょう

 

・近年、地方銀行の経営状態が悪化しているという報道を、よく目にするようになりました。この問題の一番根深いところにあるのが、地銀の担保に取った不動産が値下がりし、さらには売却ができないという問題であると考えます。

 

・担保こそが重要、担保さえあればお金を貸すという「担保主義」が、根底から崩れ去ろうとしているのです。

 また、幸運にも売却できた場合も、大都市圏のように数か月で現金化というわけにはいきません。数年かかって、担保評価額よりはるか下回る金額でようやく現金化できるというのが現状だと考えます。

 すでに地方の金融機関では、担保そのものの価値の崩壊と、それにともなう「担保主義」の崩壊が同時に始まっています。今後この傾向はますます強まっていくでしょう。

 

発表される数字が実態を反映しているとは限らない

「オフィス空室率」の実態

・ここまで読まれた読者の中には、「新聞などで報道されている、不動産関連の経済指標は好調なのに?」と、違和感を感じた方もいらっしゃるでしょう。

 

・ところが、この統計の対象になっているのは、いずれも大型ビルなのです。地域によって異なりますが、数値の出所を探っていくと、おおむね1フロア100坪を超えるような大型ビルだけを対象にしていることがわかります。

 つまり、報道で発表される「オフィス空室率」は、大都市の大型ビルの空室率を表しているにすぎず、1フロア10~50坪程度の中小規模のビルは、調査の対象にすら入っていないのです。

 地方だけでなく、東京中心部の有名なオフィス街でも、中小規模のビルの場合、3割から5割が空室というケースも少なくありません

 

・東京中心部でさえ、一等地の表通りに立つビルをのぞけば、テナント誘致に苦労しているのが現実です。空室に悩むビルオーナーは数多く存在しています。この事実は、新聞発表の数値からは決して見えてきません。

 

「マンション契約率」の正体

・よって、この「マンション契約率」は、ある程度、または相当に下駄を履かせた数字だと考えるのが妥当でしょう。

 アンケートベースですから、数値の真偽を確かめる方法はありません。ただ、たとえば「契約率が70パーセントを切った」という数値が公表された場合、「実態はさらに悪い」と考えるべきなのです。

 

発表される数字は「過去のもの」

・つまり、こうした官が発表するさまざまな地価動向では、急に起こる不動産の暴落を予想したり、把握したりすることはできないのです。

 

「精度の低い地方の公的地価」

・このように、都市部の住宅地のような多くの売買事例から導き出している地価や路線価と比べると、ほとんど売買のない地域や路線価は、その精度は極めて低いと言えるのです。

 

総合商社の方向転換

表からは見えない大きな変化

・人口増加が見込めない日本において、マンションにしろ、戸建てにしろ、分譲事業の売上は年々、縮小していくことは避けられません。そこで、それに代わる安定収入を得るべく、管理事業を拡大しているのです。

 

不動産ビジネスに将来性はない?

・総合商社は「ラーメンから人工衛星まで」と言われるように、扱う商品や、手がける事業が多岐にわたります。その一つ一つを、50年という長いスパンで事業を見直していったのです。そして、さらには今後の将来性を鑑みて、「不動産業は儲からない」と経営陣は判断したそうです

 

・丸紅のような大手総合商社においても、不動産分譲事業をはじめとした既存事業が、大きな転換点にきている事実を、我々は認識する必要があります。

 こうした不動産における厳しい現実を、意外に多くの方々がご存じないのが現状だと思います。

 

電鉄各社の不動産戦略

運賃収入は頭打ち

・ところが、電鉄会社の本業である運輸業における運賃収入は、どの会社も頭打ちの状態が続いています。

 

本業からシフトする電鉄会社

・今、多くの電鉄会社は、新たなビジネスに乗り出しています。その代表が、ホテルや賃貸マンションなどの不動産事業です。かつては、こうした建物は、自社の沿線に建てるのが常識でした。しかし昨今は、様相が異なります。

 

それでも不動産は会社を救う

不動産賃貸業が本業を救う

大手出版社の意外な収入源

・出版不況を救っているのが、不動産賃貸業であることを知り、私は「出版業界もやはりそうなのか」という感想を持ちました。こうしたケースは今、さまざまな業界で見受けられます。

 

大企業の「生き残り戦略」

・現代において大手出版社、大手マスコミが、不動産賃貸業を一つの柱に据えて、厳しい時代を生き延びようとすることは、ある意味、老舗企業にとって王道の「生き残り戦略」なのです。

 

なぜ大企業はなかなか潰れないのか

<「人」と「事業」のポートフォリオ

・つまりデベロッパーは、多くの担当者を抱えることで、売上の平均化を実現しているのです。

 

何が起こってもおかしくない時代

・総合商社の丸紅は、分譲事業から撤退しました。しかし、不動産業は分譲事業だけではありません。賃貸業が残っています。一般企業がこれからの時代を生き残るためには、この不動産賃貸業がカギとなるのは間違いありません。

 もう一つは、不動産業に隣接する業種である、旅館業、ホテル業、民泊などのインバウンドを対象とした観光・宿泊ビジネスです。

 

どんな会社も不動産とつき合わざるをえない

すべての旧財閥に不動産会社が存在する理由

・時代によって、また地域によって、不動産の優位性は大きく変わるものの、中小企業にとっても、大企業にとっても、「不動産」はつき合わざるをえない存在であることには変わりありません

 

東京中心部はまったく違う国?

・みなさんに見誤らないでいただきたいのは、地方を含んだ日本全体の総論と、東京中心部の各論は、まさに180度、異なるということです。

 

不動産の立地が会社の未来を左右する

東京近郊の大学の「都心回帰

・そこでキャンパスの「立地」が、今まで以上に重要になっているのです。これが大学の存続を左右するほどの課題と言っても過言ではありません。

 

不動産の失敗は「会社の致命傷」

三菱地所でさえかつて不動産投資で大失敗している

高騰時の買収が損失に

・まずは1989年、不動産バブルの絶頂期に、三菱地所がニューヨークのロックフェラーセンターを買収した事例です。

 

・買収後、数年もしないうちに不動産バブルは崩壊し、三菱地所は大きな含み損を抱えました。最終的には、数千億円もの損失を出し、このビルを売却することになったのです。

 

中小企業が不動産で失敗することはまさに致命傷となる

人口減少地域での土地購入

・高度経済成長期の不動産と現在の人口減少時代の不動産、そして東京中心部の不動産と東京郊外や地方の不動産、つき合い方が異なるのは自然なことです。リスクの取り方もまた、180度異なってしかるべきなのです。

 

担保評価があてにならない時代に

融資金額には担保価値が見合わない

・別の言い方をすれば、「融資金額に見合う価値があるのか?」と疑問を持たざるをえない担保(=不動産)が多いのです。

 

銀行の資金回収が難しくなっている
・もはや日本には、企業が新たに工場を買ってまで採算のとれるビジネスが極めて少ないのです。すでに工場は、買うものではなくなっています。借りるか、もしくは生産そのものをOEMの工場に外注するかです。

 

地方銀行は生き残れるか

金融機関の役割が大きく変わる時代

・結果として、ごくわずかな優良企業に、各地方銀行、信用金庫、メガバンクの支店が殺到する事態になります。くり広げられるのは、激烈な低金利競争です。

 

地方金融機関が「商社」になる?

・一方、ただ融資をするだけでなく、「地域商社」として地方の産業を助け、育てていくことを目指している金融機関も現れています。

 

パワーカップルがおちいる落とし穴>

<「億ション」を購入する共働き夫婦

・最近、「パワーカップル」という言葉を時々耳にするようになりました。この「パワーカップル」と呼ばれる収入の高い夫婦が、「億ション」を共有で買っているということのようです。

 

起こりえないことが起こるリスク

・次に忘れてはならないことがあります。住宅ローンの金利は、これ以上、下がることはないものの、上がっていく可能性はいくらでもあるということです。

 

日本版・サブプライムローン破綻が起こる?

超低金利時代の落とし穴

・読者のみなさんの中に、住宅ローンを変動金利で組んでいる方がいらっしゃったら、将来の破綻を避けるために、固定金利に切り替えることを強くおすすめします。

  経済は生きものです。金利の上昇も含め、これから何が起こるかは誰にも予想できないのです。

 

住宅ローン破綻

・ある銀行に勤める友人が、「最近、住宅ローンが払えなくなる顧客が多くなってきた」と忠告してくれました。

 これほど金利が低いのにどうしてなのかと尋ねると、「子どもの塾代や、私立の学費など、当初より支出がかさんでくると、とたんにローンの支払いが滞るようになる。要するに、返済率が高いんだよ」と。

 

「将来が今よりも悪くなる時代」の銀行業

低迷を続ける銀行業界

・私の地元で「学校創立以来の秀才」との評判だった中学時代の同級生の兄も、すんなり東大に入り、卒業後は旧日本興業銀行に就職しました。郊外の公立中学とはいえ、創立以来の秀才ですから、子供ながら興銀というのはそれほどの会社なのかと思ったものです。

 ですから私は、今でも銀行は人材の宝庫だと思っています。

 そのためか、個人的に企業に投資をする際は、銀行業界を重視してきました。

 

・しかし、「株価の低迷」={企業価値の低迷}という現状から判断すれば、地方銀行だけでなく、メガバンクの現状も惨憺たるものと言ってよいと思います。

 

銀行はこれからどうなるのか?

・東京でも、地方でも、こうしたハイリスクかつローリターンな金融商品を銀行が売っているという事実を知り、私はがく然としました。これが今の銀行業界の現実なのだと、暗澹たる気持ちになりました。

 

「事業」を起こすしかない

・しかしこの状況下で、私たちがすぐにできることは、新しい産業を創出することだと思います。新規事業を起こして育てること、それしかないのではないでしょうか。

 

キャッシュフローを生む不動産が唯一の資産

資産性のある不動産はどこにあるのか

・ところが現在は、これまで述べてきたように、なかなか値段がつかない、現金化できない不動産が、日本のあちこちに続出しています。

 

・結果、住宅市場の需給バランスが崩れているのです。今後も基本的には、買い手市場の状況が続いていくことになります。

 

増え続ける「空き家」問題

現在、全国に約850万戸の空き家があると言われています。人口の多い団塊世代が、今後さらに高齢化することで、さらに空き家は加速度的に増えていくでしょう。

 こうした状況をふまえると、総論として住宅地の資産価値は、年々下落していくと予測できます。当然、投資対象としてそのような資産を持とうとする投資家はいません。私のまわりでも、日本の住宅地に長期的に投資している人は皆無です。

 

企業は不動産の保有をどう考えるか

収益を産まなければ意味がない
・借り手が現れるかどうか、収益を生む不動産になるかどうかが極めて重要です。

 どれだけ莫大な建築費をかけたとしても、どれだけ豪華でデザインが優れていたとしても、借り手が現れなければ、固定資産税や都市計画税、維持管理費ばかりかかるお荷物でしかないのです。

 

銀座でも「勝ち組」「負け組」に分かれる

・このように、常に変化し続けているのが、東京という街のダイナミズムです。だからこそ、人口減少の時代を迎えても、いまだに人口が増え、同時にお金が集まってきているのでしょう。

 しかしその東京でさえ、生き残っていけるエリアは年々、限定されていくでしょう。ひと言に東京と言っても広いのです。当然ですが、地方は言わずもがなです。

 

ユダヤ系移民の「富の源泉」は不動産だった

下宿業をやらざるをえなかったユダヤ系移民

・一般的にユダヤ人といえば、金融の世界で成功した人が数多くいるイメージがあると思います。

 実際、世界的に有名な金融機関の創業者は、ユダヤ系が多いことで知られています。たとえば香港上海銀行の創業者は、かのロスチャイルド家です。「ゴールドマン・サックス」という社名も、ユダヤ系の創業家より伝わっているものです。

 その一方、アメリカにおけるユダヤ系移民は、金融よりむしろ不動産が経済活動のメインだったと言われています。

 

・たとえば、1881年の統計によると、ニューヨークの人口の10パーセントにも満たないユダヤ系移民が、当時ニューヨークで取引された不動産売買の63パーセントに関与していたそうです。

 また、1911年の統計資料によれば、ニューヨークのユダヤ系移民世帯の56パーセントが下宿人を置いているという事実があるそうです。

 

日本在住のユダヤ人が始めた元祖サブリース業

N氏との偶然の出会い

・その後N氏がまだ幼いうちに、家族全員でイスラエルに渡りました。ナチス政権が倒れ、強制収容所に送られていたユダヤ人は全員解放されたものの、当時のドイツ国民の間では、ユダヤ人に対する憎悪や差別が続いていたからだそうです。そこでこれ以上、ドイツで生活することはできないと両親が判断し、イスラエルに移住したそうです。

 

・ところが北米の移住先でも、ユダヤ系移民に対する差別意識は根強く残っていたそうです。たとえば、彼がゴルフ場に行くと、その入り口に「犬とユダヤ人の入場はお断り」と書かれていたそうです。

 そんな彼が日本に来るきっかけとなったのは、柔道でした。

 

N氏はいかにして日本で成功したのか

・現在でも、外国人向けのインターネット掲示板に「敷金・礼金・更新料なし」をうたって募集すれば、すぐに部屋は埋まるそうです。なぜならこれらは、外国人にとっては到底理解しがたい制度だからです。だから今も昔も、自分の物件は外国人から人気があるのだと言っていました。

 

かつてのイギリス商人に学ぶリスクテイク

ぬるま湯に浸かってきた不動産業界

・端的に言えば、不動産業界や銀行業界が何十年にもわたって、ドメスティックな市場ばかりで競い、その中でできるだけリスクの少ない、先人たちが創り出した手法を踏襲するだけの、言ってみれば「ぬるま湯に浸かってきた」結果が、今の状況なのではないかと思うのです。

 

グラバーこそ真のリスクテイカ

・グラバー商会は、日本国内の政治的混乱に乗じ、「武器商人」として薩摩藩長州藩土佐藩肥前藩などに艦船、武器、弾薬などを売り込み、1860年代半ばには、長崎最大の貿易商に成長します。

 その後、グラバー商会自体は一度破産するものの、グラバーはその後も、高島炭鉱や長崎造船所の前身である小菅ドックの設立などに関わり、日本の近代化に大きく貢献しました。

 

今こそリスクを取るべきとき

・その答えは、かつてのイギリス商人たちのように、地の果てやまだ発展の余地がある新興国に出ていくということかもしれません。あるいはN氏のように、何か新しいものを見つけて、それに積極的にチャレンジしていくということかもしれません。

 もちろん、そこには必ずなんらかのリスクがあります。そしてそのリスクが取れるのが、まだ体力や財力が残っている、今なのだと思うのです。

 

AIと不動産業

不動産業界にもAI導入の波

・最近、ファイナンスとITを融合した「フィンテック」ならぬ、不動産とITを融合した「不動産テック」といった言葉を聞くようになりました。

 

突然、宿泊料が2倍になった理由

・とはいえ、人口数万人の田舎町に、そのライブをめがけて相当数の観光客が訪れるとなれば、地元の宿泊施設の需給バランスは当然、崩れることになります。

 つまりAIは、小さな田舎町に起こりうる事態を予測し、その地域の民泊施設の宿泊料金を大幅に上げていたのです。私はこのとき、初めてAIというものの実力を少しだけ理解することができました。

 

AIは人間の仕事を奪うのか?

・銀行業界では、銀行員の仕事が今後、AIに奪われていくと言われています。実際、シンガポールの先進的な銀行では、すでにフロントには人がいないそうです。銀行の行員の方たちが戦々恐々としている様子は、不動産業界にも伝わってきています。

 では、不動産業界も同様に、AIに仕事を奪われていくのでしょうか? 少なくとも物件の販売価格を決定する「値決め」には、AIが大きく関与するようになるでしょう。

 

・中には、「不動産業界は扱っているものが高額で、しかも権力者関係や法律が複雑だから、AIが仕事を奪うなんてことは起こらない」と反論する人もいるでしょう。しかし、そんな悠長なことが言えなくなる時代が、すぐそこまで来ているように感じます。

 

供給過剰の不動産マーケットに入った

・くり返しになりますがリスクを取らなければ、リターンは得られません。今後、確実に縮小していく国内経済の中で、これまでのやり方を踏襲するだけでは成長がもはや困難であるのは明らかです。

 今こそ、何か新しいことを始めるときです。

 

・10年前に初めて日本では人口減少が始まりました。2019年は30万人の人口が減少しています。2020年の東京オリンピック以降の5年間で約280万人減るだろうと言われています。そして、すでに800万戸以上の空き家があると言われています。

 これはどういうことかと言いますと、日本が供給過剰の不動産マーケットに入ったということです。これは世界で初めてです